鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
ウサーシカサーシ [ʔu⸢saːʃi⸣kḁ⸢saː⸣ʃi]二つ以上のものを一つにする。重ね合わせること。「ウサーシ」の重言。
ウサースン [ʔu⸢saːsuŋ]他動{1}手を合わせる。合掌する。一つにする。合計する。「押し合わせる」の転訛したもの。
ウサースン [ʔu⸢saːsuŋ]他動{2}重ね合わせる。襟を合わせる。
ウサーリ [ʔu⸢saːri]大勢の者がそろって。こぞって(挙って)。大勢で連れ立って。大挙して。
ウサーリカサーリ [ʔu⸢saːri⸣kasaːri]大勢が重なり合って来る様子。連れ立って。「おし合わさり、重ね合わさり」の転訛。ABCDEBCD型の重言。
ウサーリ パルン [ʔu⸢saːri⸣ paruŋ]大挙して行く。大勢で連れ立って行く。
ウサーリン [ʔu⸢saːriŋ]自動{1}圧される。圧迫される。威圧される。
ウサーリン [ʔu⸢saːriŋ]自動{2}馬鹿にされる。
ウサーリン [ʔu⸢saːriŋ]自動{3}差し押さえられる。
ウサイ [⸣ʔusai]さかな(肴)。「お菜」の義。ご馳走。肴料理。ご馳走一般についてもいうが、中心的意味は祝儀のご馳走、肴料理、ヨイヌ⸣ムヌ[⸢joinu⸣munu](祝いの料理)をさす。法事の料理は、シ⸢キムヌ[ʃi̥⸢kimunu](供え物)という。
ウサイカサイ [ʔu⸢sai⸣kasai]散散に馬鹿にすること。したたかにに馬鹿にする。甚だしくけな(貶)すさま。
ウサイヤマ [ʔu⸢saijama]猪を押さえて捕獲する装置(罠)。
ウサイルン [ʔu⸢sairuŋ]他動他人を馬鹿にする。見下す。威圧する。「押える」の義。
ウサイルン [ʔu⸢sairuŋ]他動押さえる。
ウサイルン [ʔu⸢sairuŋ]他動{2}覆う。被せる。
ウサイルン [ʔu⸢sairuŋ]他動{3}軽蔑する。
ウサウン [ʔu⸢sauŋ]他動{1}圧す。押す。押える。
ウサウン [ʔu⸢sauŋ]他動{2}馬鹿にする。見下す。威圧する。
ウサウン [ʔu⸢sauŋ]他動{3}差し押さえる。
ウサガルン [ʔu⸢sagaruŋ]他動召し上がる。首里方言の?usjagajuN(召し上がる)の転訛したもの。尊大表現の一つで、話し手のみでなく、第三者の食べる行動も含めて、やや自嘲的に用いられる。普通はン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](召し上がる。敬語)という。
ウサガロールン [ʔu⸢sagaroː⸣ruŋ]他動召し上がる。ッ⸢ふン[f⸢fuŋ](食べる<食らう>)の敬語。沖縄首里方言の?usjagajuN(召し上がる)の転訛したもの。皮肉っぽい表現として用いる。普通はン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](召し上がる)という。
ウサギ [ʔu⸢sa⸣gi](動)兎。戦後の一時期、情操教育のために小学校で兎を飼育していた。
ウサギムヌ [ʔu⸢sagimunu]贈り物。賄賂。
ウサギルン [ʔu⸢sagiruŋ]他動差し上げる。上へあげる。ッ⸢ふィールン[f⸢fiːruŋ](与える。呉れる)の謙譲語。沖縄首里方言の?usjagijuNから転訛したもの。普通は、ウ⸢サギオースン[ʔu⸢sagiʔoːsuŋ](差し上げ申し上げます)という。
ウサシ [ʔu⸢sa⸣ʃi]上からの命令。指示。「御指し」の義。歌謡語。沖縄方言か。日常生活では使用しない。
ウサッカルン [ʔu⸢sak⸣karuŋ]自動もたれかかる({凭}{モタレ}れ掛かる)。もたれる。よりかかる。
ウサッキルン [ʔu⸢sakki⸣ruŋ]他動{PoS_1}乗っける。置き掛ける。何かの上に置く。
ウサッキルン [ʔu⸢sakki⸣ruŋ]他動{PoS_2}立てかける。もたれるようにする。
ウサックン [ʔu⸢sak⸣kuŋ]他動{PoS_1}乗っける。置き掛ける。物の上に置く。
ウサックン [ʔu⸢sak⸣kuŋ]他動{PoS_2}立てかける。他の物に寄せかけて置く。ウ⸢サッキ⸣ルン[ʔu⸢sakki⸣ruŋ]と同じ。
ウザドゥル [⸣ʔuʣaduru](動物)うずら(鶉)。⸢ウッ⸣ザ[⸢ʔud⸣ʣa](うずら)ともいう。
ウサマルン [ʔu⸢sama⸣ruŋ]自動{1}治まる。
ウサマルン [ʔu⸢sama⸣ruŋ]自動{2}収まる。解決する。
ウサミルン [ʔu⸢sami⸣ruŋ]他動{1}納める。収める。
ウサミルン [ʔu⸢sami⸣ruŋ]他動{2}治める。統治する。
ウサムン [ʔu⸢sa⸣muŋ]他動{1}納める。収める。「おさむ(治、収、納)下二段活用」の四段活用化したもの。
ウサムン [ʔu⸢sa⸣muŋ]他動{2}治める。統治する。
ウサンギソッコー [ʔu⸢saŋgisokkoː]三十三年忌の法事。最終の法事。「押し上げ焼香」の義か。鳩間島では三十三年忌の法要が終了すると死者は神になるといわれている。神格化されるための法事という。この法事が終わると、死者は法事の要求をしなくなるという。
ウサンギルン [ʔu⸢saŋgiruŋ]他動三十三年忌の法事をして完了し、以後は神として祀る。終わり焼香を完了する。
ウサンクン [ʔu⸢saŋkuŋ]他動差し込む。押し込む。
ウサングン [ʔu⸢saŋguŋ]他動三十三年忌をして神に祀る。
ウサンダイ [⸣ʔusandai]お下がり。神仏に供えた供物の取り下げられたもの。
ウシ [⸣ʔuʃi]臼。臼の総称。
ウシ [ʔu⸢ʃi]{1}(動)牛。
ウシ [ʔu⸢ʃi]{2}十二支の第二番目。ウシ(丑)。時刻は午前二時前後。
ウジ [⸣ʔuʤi] うじ(蛆)。蛆虫。
ウジ [⸣ʔuʤi](動)和名、ウツボ。浅い岩礁にすみ、凶暴な性格をもつ。カ⸢ミヌ⸣クーウジ[ka⸢minu⸣kuːʔuʤi](亀の甲羅模様のウツボ)は最も大きく凶暴である。
ウシーウシ [ʔu⸢ʃiːʔuʃi]無理やりに。強引に。「押し押し」の義。
ウシアーシ [ʔu⸢ʃiʔaː⸣ʃi]闘牛。「牛合わせ」の義。「闘、タタカフ、アフ」『類聚名義抄』の転訛。
ウシアギルン [ʔu⸢ʃiʔagiruŋ]他動押し上げる。
ウシアグン [ʔu⸢ʃiʔaguŋ]他動押し上げる。位置を高くする。「押し・上げ(下二段)」の転訛したもの。
ウシイツァ [ʔu⸢ʃiʔiʦa]押し板。洗濯した衣類を畳んで、それを上から押さえる台木。厚さ約6センチ、幅30センチ、長さ約90センチの台湾檜や楠の板で作った。アイロンがなかった頃に用いられ、洗濯ものに残る香りを楽しんだ。
ウシカキ [ʔu⸢ʃikaki]⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船、サバニ)の帆柱を立てる梁。梁の中央に帆柱を通す四角の穴がある。梁の厚さは約一寸五分、幅約五寸、長さ約四尺(これは舟の大きさにより異なる)で、舟の両舷側の上部において⸢ウシキ⸣ヤー[⸢ʔuʃi̥ki⸣jaː](「押さえ棒」の義。幅約一寸、厚さ約七分、長さ約七寸の棒)で抑えるように縛って固定してある。ウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki]の真下にはパ⸢ラータティ⸣ミー[pa⸢raːtati⸣miː](帆柱立て穴)があり、帆柱の根っこの尖った部分が挿入されて固定される。ウ⸢シカキの穴と帆柱は⸢シー⸣キサ[⸢ʃiː⸣kisa](楔)という二種類の楔を差して角度を調節し、風力に合わせる。
ウシカキルン [ʔu⸢ʃikakiruŋ]自動押しかける。押し寄せる。
ウシカクン [ʔu⸢ʃikakuŋ]自動押しかける。押し寄せる。相手の意思に関わらず、勝手に相手の所へ行く。
ウシカラスン [⸢ʔuʃi̥karasuŋ]他動押し遣る。押して寄越す。
ウシキー [⸣ʔuʃikiː](植)あこう(赤秀)。ア⸢コーキー[ʔa⸢koːkiː](あこう<赤秀>)と同じ。
ウシキパラシキ [⸢ʔuʃi̥kipara⸣ʃi̥ki]押し付けるように。無理矢理に。「押し付け張り付け」の義。
ウシキヤー [⸢ʔuʃi̥ki⸣jaː]押し板。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟。サバニ)の両舷上部の船板を保護する板。巾約3センチ、厚さ約1、5センチの硬い板で両舷側上部を押さえたもの。舟を漕ぐ際に櫂で舟の両舷側上部が摩滅しないように保護する板。
ウシキラリン [⸢ʔuʃi̥kirariŋ]押さえつけられる。{⸢ウシキルン[⸢ʔuʃi̥kiruŋ](押える)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)}。
ウシキルン [⸢ʔuʃi̥kiruŋ]他動{1}押える。押し付ける。
ウシキルン [⸢ʔuʃi̥kiruŋ]他動{2}強いる。命じる。
ウシクバン [ʔu⸢ʃikubaŋ]祭祀の供物の一つ。本来は牛肉を茹でて燻製にし、細長く切ったものを言った。牛肉が入手出来なくなってからは魚肉を燻製にして用いるようになったという。牛肉の神饌。牛肉を煮て、焙乾したものを厚さ約5ミリ、幅約1センチ、長さ約8センチに切ったもの。イ⸢ズ⸣クバン[ʔi⸢ʣu⸣kubaŋ]は魚肉を用いて作った神饌。
ウシクミルン [ʔu⸢ʃikmiruŋ]他動押し込める。閉じ込める。容器などの中に詰め込む。「押し込め<下二段>」『源氏物語 浮舟』のラ行四段活用化したもの。
ウシクムン [⸢ʔuʃi̥kumuŋ]他動{1}押し込める。容器などに、無理に入れる。詰め込む。監禁する。
ウシクムン [⸢ʔuʃi̥kumuŋ]他動{2}家督を継ぐ嫡子を廃して非嫡出子を家督相続人とすること。
ウシクラサー [ʔu⸢ʃikurasaː]大の怠け者。怠け者野郎。ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu](怠け者)の卑称。「牛殺し奴」の義。
ウシクラシムヌ [ʔu⸢ʃikuraʃimunu]怠け者。ウ⸢シクラサー[ʔu⸢ʃikurasaː](怠け者)ともいう。「牛殺し者」の義。
ウシクルバスン [ʔu⸢ʃikurubasuŋ]他動押し転ばす。ク⸢ルバスン[ku⸢rubasuŋ](転ばす)に強意の接頭語ウ⸢シ-[ʔu⸢ʃi](押し)が付いて形成された語
ウシザキ [ʔu⸢ʃiʣaki]「牛酒」の義。牛のように黙して語らず、ひたすら大量の酒を飲むさま。ン⸢マザ⸣キ[ʔm⸢maʣa⸣ki](「旨酒」の転訛した<馬酒>)の対義語。
ウシシマリティ [ʔu⸢ʃiʃima⸣riti]押し詰まって。
ウシジル [⸣ʔuʃiʤiru]塩味だけで、具の少ないお汁。粗末なお汁。「{潮汁}{ウシオ|ジル}」の転訛したもの。
ウシスビ [⸣ʔuʃisubi](動)魚の名。和名、クロマグロ(体長約3メートル)。
ウシダクン [ʔu⸢ʃidakuŋ]他動強引に抱き着く。抱き着く。引っ立てる。「押し抱く」の義。
ウシダマ [ʔu⸢ʃidama]てんかん(癲癇)。「牛魂」の義。目玉を反転させて体全体を硬直させ、失神状態になること。転じて、憑き物に憑かれたように、無言で一点を凝視する状態にもいう。子供が親に対して無言の抵抗を示すことにもいう。牛を屠殺する際、天を仰ぎ見ると、癲癇に罹るといわれて、子供が屠殺の現場に来ることを禁じていた。
ウシダマルン [ʔu⸢ʃidamaruŋ]自動押し黙る。じっとだまる。全く沈黙する。「Voxidamari,ru,atta.ヲシダマリ,ル,ッタ(押し黙る,る,つた)持っている物とか,知っている事とかを隠して知らぬ振りをして黙っている」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウシッカイスン [ʔu⸢ʃikkaisuŋ]他動押し返す。
ウシックナー [ʔu⸢ʃikkunaː]押し合いへしあいすること。おしくらまんじゅう(押し競饅頭)。⸢ックナー[⸢kkunaː]は「Curabe,uru,eta.クラベ,ブル,ベタ(比べ,ぶる,べた)物と物とを比較する,」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウシックミルン [ʔu⸢ʃikkumiruŋ]他動押し込める。
ウシックムン [ʔu⸢ʃikkumuŋ]他動押し込める。「おしこむ(下二段活用)」の四段活用化したもの。
ウシックルバスン [ʔu⸢ʃikkurubasuŋ]他動押し転ばす。押し転がす。
ウシッケーラスン [ʔu⸢ʃikkeːrasuŋ]他動押しもどす。押しやる。突き飛ばす。「押し・返らす」の転訛したものか。
ウシットースン [ʔu⸢ittoːsuŋ]他動押し倒す。前の方へ押し倒す。ピ⸢キットースン[pi⸢kittoːsuŋ](引き倒す)の対義語。
ウシッふァイカタナ [ʔu⸢ʃiffaikatana]切れない包丁。鈍刀。なまくら<鈍ら>な刀。なまくら庖丁。「牛喰い刀」の義。
ウシッふァイムヌ [ʔu⸢ʃiffaimunu]役に立たない者。怠け者。無能力者。
ウシディ [ʔu⸢ʃi⸣di]お生まれ。高貴な人の誕生。「おすで<お・孵化>」の義。動詞⸣シドゥン[⸣ʃiduŋ](孵化する)の連用形に尊敬の接頭語⸣ウ-[⸣ʔuー](お。御)が付いた形
ウシディプス [ʔu⸢ʃidipusu]丑年生まれの人。
ウシディマリ [ʔu⸢ʃidimari]丑年生まれ。
ウシトーマ [ʔuʃi⸢toː⸣ma]末っ子。男女ともにいう。
ウシトゥ [⸢ʔuʃi̥⸣tu]弟。年下の弟妹。親族名称。
ウシトゥッふァ [⸢ʔuʃi̥tu⸣ffa]弟妹。年下に生まれた子。長男、長女以外の子供。
ウシトゥビキル [⸢ʔuʃi̥tubiki⸣ru]弟。「年下の男兄弟」の義。⸣シザビキル[⸣ʃiʣabikiru](年上の男兄弟)の対義語。
ウシトゥブナル [⸢ʔuʃi̥tubuna⸣ru]妹。男兄弟から見た年下の女兄弟。「弟・姉妹(ヲナリ)」の義。
ウシトゥマキ [⸢ʔuʃituma⸣ki]おとみづわり(弟見悪阻)。おとみまけ『和訓栞』の転訛。出産後一年未満で母親が下の子を懐妊した場合、十分な授乳ができず乳児が痩せ衰えること。「弟負け」の義。
ウシトゥマリ [⸢ʔuʃi̥tu⸣mari]弟妹。兄弟姉妹の中で年下の者。長男、長女以外の者。「弟人生まれ」の義。
ウシトゥミー [⸢ʔuʃitu⸣miː]「弟(妹)見」の義。子供が誕生して一年未満に母親が妊娠すること。そのために子供に十分の授乳ができなくなり、子供が痩せ細り、発育不良となる。その子が⸢ウシトゥマ⸣キ[⸢ʔuʃi̥tuma⸣ki](弟負け)するのである。
ウシトゥミドーンッふァ [⸢ʔuʃi̥tumidoːŋ⸣ffa]次女以下の娘。「弟女の子」の義。
ウシトゥ ミルン [⸢ʔuʃi⸣tu miruŋ]「弟妹を見る」の義。母親が次の子を懐妊すること。
ウシトゥラ [⸣ʔuʃitura]うしとら(丑寅)。東北の方角。
ウシトゥンケー [⸢ʔuʃi̥⸣tuŋkeː]弟たち。弟妹たち。⸣-ケー[⸣-keː](~たち)は主に人間の複数を表し、尊敬、丁寧の意味を含む接尾語。先祖を表す語にも下接する。
ウシナウン [ʔu⸢ʃinauŋ]他動失う。なくする。「~吾が下衣宇思奈波受<ウシナハズ>~。万、3751」の転訛したもの。鳩間方言では、連母音[ai]は融合しないのが原則である。⸢ナーン⸣ナスンとも言う。
ウシナクン [ʔu⸢ʃinakuŋ]他動押し込む。さし込む。詰め込む。
ウシヌウガン [ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ]牛の御願。鳩間島の牛を放牧したインダ牧場にウ⸢シヌ⸣ウガンがあった。トゥ⸢マダー[tu⸢madaː]から⸢クーラ[⸢kuːra]へ通ずる道の中ほどから南へ約100m入った松林の中の山石の側にあった。昭和の初期頃まで、そこでウ⸢シヌ⸣ヨイ[ʔu⸢ʃinu⸣joi](牛の祝い。牛の健康と繁昌祈願)が行われたという。その日に子牛の耳に⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](各家の印)を付けたという(加治工伊佐氏直話)。牧牛の繁昌と健康祈願をする御嶽。鳩間のウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御嶽)は⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の⸢シーヌウチ[⸢ʃiːnuʔuʧi](猪垣の内の原野)の松林の中にあった。
ウシヌ カタ [ʔu⸢ʃinu⸣ kḁ⸢ta]牛の絵。歌謡語。
ウシヌキルン [ʔu⸢ʃinukiruŋ]他動押し退ける。排斥する。
ウシヌクン [ʔu⸢ʃinukuŋ]他動押し退ける。排斥する。「おしのく(下二段)」が四段活用化して転訛したもの。ウ⸢シヌキルンとも言う。
ウシヌクン [ʔu⸢ʃinukuŋ]他動突き刺す。貫き通す。「押し貫く」の義。
ウシヌコイ [ʔu⸢sinu⸣koi]堆肥。牛の糞便を集めて堆肥に入れ、発酵させて肥料につくったもの。地味の痩せた畑に、シ⸢キゴイ[ʃi̥⸢kigoi](堆肥。「敷き肥」の義。畑に畝を掘って堆肥を入れ、畝の土を被せ、その上に作物の苗を植えつけるのに用いた)として利用した
ウシヌ コイ [ʔu⸢ʃinu⸣ koi]きゅうひ(厩肥)。⸢牛の肥やし」の義。牛小屋の糞尿と茅やススキの混じった肥料。畑の土に鋤きこんで南瓜や冬瓜の苗を植えた。
ウシヌ シー [ʔu⸢ʃinu⸣ ʃiː]牛乳。「牛の乳」の義。
ウシヌ シケー [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣ʃi̥keː]臼のゆりわ(揺輪)。米を搗き臼に入れて搗く際に米粒が臼の外へ弾き出されないよう、臼の縁にはめる藁製の揺輪。直径約3センチの藁束の輪に仕上げたもの。
ウシヌッサ [ʔu⸢sinu⸣ssa]かいば。まぐさ(秣)。牛の飼料。「牛の草」の義。鳩間島では牛を原野の牧草地に繋いで野草を食わせて飼育した。
ウシヌ ッス [ʔu⸢ʃinu⸣ ssu]牛の糞。
ウシヌ ッふァ [ʔu⸢ʃinu⸣ f⸢fa]牛の子。
ウシヌ パー [ʔu⸢ʃinu paː]丑の方向。北北東。北から東へ15~30度の方角。
ウシヌ パー タトゥン [ʔu⸢ʃi⸣nu ⸣paː ⸣tḁtuŋ]磨り臼の歯を立てる。臼の歯が磨り減ると鑿で溝を彫り、歯を立てる。
ウシヌパン ゾーレ ゾーレ [ʔu⸢ʃinupan ʣoː⸣re ⸢ʣoː⸣re]童歌の名。乳幼児の足を揃えて曲げたり伸ばしたりしながら、早く立てるように、歩けるようにと願いを籠めて歌い、あやした。
ウシヌ ピラ [ʔu⸢sinu⸣ pira]すき(犂)。「牛の箆(へら)」の義。ウ⸢シヌ⸣ヤマ[ʔu⸢ʃinu⸣ jama](牛の犂)ともいう。⸣ヤマ[jama](仕掛け。装置)はL字型木枠の中央に{轅}{ナガエ}を付け、{軛}{クビキ}に掛けて引かせるようにした鋤。下の木枠の先端部に鉄の歯<箆>を装着したもの。木枠にハンドルを付け、牛に引かせて田畑の土を鋤き返した。
ウシヌマキ [ʔu⸢ʃinumaki]牛の牧場。
ウシヌ ミー [ʔu⸢ʃinu⸣ miː]牛の目。大きな目。
ウシヌ ミン [ʔu⸢ʃinu⸣ miŋ]牛の耳。
ウシヌ ミン [ʔu⸢ʃi⸣nu miŋ]臼の耳。上段の石臼にある、取っ手(柄)を入れる穴。逆L字型の取っ手を入れて石臼をまわすのに用いる。籾擂り用の木の臼は、上段の左右両側に引き紐を結ぶための掘りぬきの穴<耳>があり、それに縄<紐>を結わえ、左右の縄を交差させて交互に引き、上段の臼を右左に回して籾摺りをする。
ウシヌヤー [ʔu⸢ʃinu⸣jaː]牛小屋。ウ⸢シン⸣ヤー[ʔu⸢ʃiŋ⸣jaː](牛小屋<牛の家>)ともいう。鳩間島では自宅の屋敷内に牛小屋のある家はなかった。畑の側の空き地に掘ったて小屋を作る人はいたが、普通は原野の木陰に牛を繋いで飼育していた。
ウシヌヤマ [ʔu⸢ʃinu⸣ jama]すき(犂)。「牛のヤマ」の義。⸣ヤマ[⸣jama](仕掛け。装置)の義で、「牛に引かせて土地を鋤く装置<犂>」の意。ウ⸢シヌ⸣ピラ[ʔu⸢ʃinu⸣ pira](鋤)ともいう。
ウシヌ ヨイ [ʔu⸢ʃinu⸣ joi]⸣インダヌ マ⸢キ[⸣ʔindanu ma⸢ki](伊武田地区の牧場<フ⸢ク⸣ヌマキ>)で行われた牛の健康祈願と繁昌祈願の祝い。毎年の旧暦九月のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː](丑の日)に実施され、その日に牛の⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](各家の印を耳に切り込んで示したもの)をつけた
ウシヌ ヨイヌ ウタ [ʔu⸢ʃinu joi⸣nu ⸣ʔuta]牛の祝いの歌。伊武田牧場(フ⸢ク⸣ヌマキ{SqBr}ɸu̥⸢ku⸣numaki{/SqBr}<福の牧>)で牛の健康祈願、繁昌祈願をする時はウ⸢シヌ⸣ウガン[ʔu⸢ʃinu⸣ʔugaŋ](牛の御願)で牛の飼い主が集まり、二人ずつ⸢ペンシキビリ[⸢peŋʃikibiri](正座。跪き)して、酒を入れたミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](酒器)を持って歌に調子を合わせ、右上へ、左上へと交互に持ち上げて歌った。歌い終わって、次の二人へ酒器を渡す際は、次のように唱えて渡した。<渡す側>:マムレー マムレー ッサリ キューヌ ピー クガニピーナ タボーラリタル ウーミサクドゥ マームレーユ サリ シギシューヤ タッテヌ ウナンナーマドゥ シギシューユー サリー イメーヌ カージ(マムレー、マムレー 申し上げます。今日の佳き日、黄金の佳き日に賜りましたお神酒がお守りと申します。お次様はどこそこの家の誰々様がお次様でございます。以上、申し上げました)。<受け取る側>:ウータリ(はい、かしこまりました)といってミキバタシ(酒器)を受け取る。歌は次の通り。1、キューヌ ピーヌ ウユワイムトゥ スイナウレ(今日の佳き日の祝いの元、さあよく稔れ<囃子>)2、フクヌ マキ ウユワイムトゥ スイナウレ(福の牧の祝いの元、さあ稔れ)3、ムヤシバードゥ パンゾ スムトゥ スイナウレ(発情したらば繁昌の元、さあ稔れ)4、パンゾーシヌ ウミサク ムムドゥ スイナウレ(繁昌させるお神酒、百杯、さあ稔れ)
ウシノーマイ [⸣ʔuʃinoːmai](植)稲の在来品種名。芒が長い。粳米で実の色が赤みを帯びている。一時期広まったが作られなくなったという。
ウシパー [⸣ʔuʃipaː]きゅうし(臼歯)。「臼歯」の義。奥歯。
ウシパイ [⸣ʔuʃipai](動)牛につく蝿。あぶ(虻)。「牛蝿」の義。「人畜を刺して血を吸い、諸種の病原体を媒介する大型の蝿」という。全体的に黒色で、銀蝿よりやや大きく、銀蝿より敏捷である。
ウシバクヨー [ʔu⸢ʃibakujoː]うしばくろう(牛博労)。牛を売り買いして荒稼ぎをすること。またその人。
ウシパタッキルン [ʔu⸢ʃipatakkiruŋ]他動押し開く。大きく広げる。押しはだける。ウ⸢シ[ʔu⸢ʃi](押し)は強意の接頭語。パ⸢タッキルン[pḁ⸢takkiruŋ](開く。広げる)は「開、ハダクル」『運歩色葉集』の転訛したもの。ウ⸢シパタックン[ʔu⸢ʃipatakkuŋ](押し開く)ともいう。
ウシピッツァスン [ʔu⸢ʃipitʦa⸣suŋ]他動押しつぶす。
ウシマーサー [ʔu⸢ʃimaː⸣saː]伝統的な女性の着物の着方。帯を締めないで着物の前身ごろの端を片方に引き寄せて、下ばかまの紐に押し込んで着る着方。沖縄の⸣ウシンチー[⸣ʔuʃinʧiː]に同じ。
ウシマースン [ʔu⸢ʃimaːsuŋ]他動取り仕切る。切り回す。追い回す。急き立てる。「押し回す」の義。
ウシマキ [ʔu⸢ʃimaki]牧場。「牛牧」の義。伊武田地区のフ⸢ク⸣ヌマキ[ɸu̥⸢ku⸣numaki](福浜の牧)と、そこから分かれた、サ⸢キンダヌマキ[sḁ⸢kindanumaki](崎田の牧)、トゥ⸢ムルマキ[tu⸢murumaki](友利山の牧。上原にあった牧場)があったという。
ウシマギルン [ʔu⸢ʃimagiruŋ]他動押し曲げる。強く曲げる。ウ⸢シ[ʔu⸢ʃi](押し)は強意の接頭語。
ウシマグン [ʔu⸢ʃimaguŋ]他動押し曲げる。「押し・曲ぐ(下二段)」の四段動詞へ転訛したもの。
ウシムドゥスン [ʔu⸢ʃimudusuŋ]他動押しもどす。
ウシモーモー [ʔu⸢ʃi⸣moːmoː]牛の幼児語。⸢モー⸣モー[⸢moː⸣moː](牛。幼児語)ともいう
ウシユーシルン [ʔu⸢ʃijuːʃiruŋ]自動・他動押し寄せる。
ウシユースン [ʔu⸢ʃijuːsuŋ]自動・他動押し寄せる。「押し寄す<下二段活用>」の四段活用化したもの。ウ⸢シユーシルン[ʔu⸢ʃijuːʃiruŋ](押し寄せる)と同じ。
ウシュンガナシェーマイ [ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai]琉球国王様。⸣ウシュ[ʔuʃu](御<接頭辞>・主<国王>)・⸢ガナ⸣シ[⸢gana⸣ʃi](愛称の接尾語。「加那志」)・⸣マイ[⸣mai](敬称の接尾語<前>)の語構造を有する複合語。
ウジラニー [ʔu⸢ʤira⸣niː]琉球黒檀(黒木)の芯に黄みがかった白の綾が混じっているもの。三味線の棹(ウディ)に最高の素材となる。
ウジル [ʔu⸢ʤi⸣ru]柴。小枝。小さな雑木。枯れ木の小枝を切って燃料としたもの。鳩間島には山がないので、原野のススキの叢の中に桑や蕃石榴(グワバ)等の潅木が自生しているのを刈り取って枯らせ、燃料として利用したもの。枯れススキと混ぜて燃やすと火持ちがいい。
ウジルタムヌ [ʔu⸢ʤi⸣rutamunu]柴の薪、枯れ小枝の薪。ヤ⸢キバイ[ja⸢kibai](焼け跡の小枝)ともいう
ウシンザスン [ʔu⸢ʃiʔnʣasuŋ]他動押し出す。押して外へ出す。
ウシンチー [⸣ʔuʃinʧiː]婦人の着物の着け方。着物の前の端を下袴の紐に差し込んで着る着方。琉舞に置けるコスチュームの型。⸢クスクン[⸢kusu̥kuŋ](差し込む)ともいう。
ウシンマ [ʔu⸢ʃiʔm⸣ma]牛馬。
ウズ [⸣ʔuʣu]布団。夜具。カ⸢ビ⸣ムヌ[ka⸢bi⸣munu](被り物)ともいう。
ウスーン [ʔu⸢suːŋ]他動{1}おそう(襲う)。のしかかる。悪霊が押し被さるようにとりつく。「襲、オソフ・ツグ」『類聚名義抄』の転訛したもの。
ウスーン [ʔu⸢suːŋ]他動{2}着物の上から重ねて着る。カ⸢サブン[kḁ⸢sabuŋ](重ねる)と同じ。
ウスクン [⸢ʔusu̥kuŋ]他動押す。押し付ける。押える。「おしつく(下二段活用)」の四段活用化したもの。
ウスックミルン [ʔu⸢sukkumiruŋ]他動一つに{纏}{マトメ}める。一つに押し込める。
ウスックムン [ʔu⸢sukkumuŋ]他動一つに{纏}{マト}める。一つに押し込める。?u⸢∫i(接頭語。押し。<強意>)+su̥⸢ku⸣muN({竦}{スク}める。小さく纏める) → [ʔu⸢sukkumuŋ](押し込める。おし纏める)のように融合変化したものか。⸢ピー⸣チナ ウ⸢スックミティ サン⸣ミン ⸢シー⸣バ(一つに纏めて計算しなさいよ)。
ウスッふァイ [ʔu⸢suf⸣fai]ふろしき(風呂敷)。物を包むのに用いる方形の布。
ウスッふァイ カブン [ʔu⸢suf⸣fai ⸣kabuŋ]風呂敷を被る。日除け、雨避け用にかぶった。婦女は畑作業の行き帰りに芋類を運ぶにも頭上運搬を常としたから頭髪の汚れを防ぐために、常に風呂敷や手拭を被った。
ウスッふァイッスン [ʔu⸢suf⸣faissuŋ]風呂敷包み。
ウズヌ アヤ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣ʔaja]布団の模様。市松模様。布団や風呂敷の型染め模様に用いられた。四角形を組み合わせたデザイン。
ウズヌ カー [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣kaː]布団の外皮。布団綿を包んでいる布。外皮。
ウズヌ バタ [ʔu⸢ʣu⸣nu ⸣bata]布団に入れる綿、綿屑。
ウスバスン [ʔu⸢subasuŋ]他動{1}お椀や容器類を伏せる。
ウスバスン [ʔu⸢subasuŋ]他動{2}頭を下げさせる。俯かせる。
ウスバニン [ʔu⸢su⸣baniŋ]「お側人」の義。正式のサ⸢カサ[sḁ⸢kasa](司)ではなく、司やバ⸢キサカ⸣サ[ba⸢kisaka⸣sa](脇司。司の補佐役)の側に付添って⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御願。御嶽)の信仰を許された、セジ(霊力)の高い人。豊年祭や結願祭などの祭祀の際に、サカサ(司)やバ⸢キサカ⸣サ及びティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者)を補佐する。
ウスバ ユシ [ʔu⸢su⸣ba ⸣juʃi]「お側に寄せて」の義。祈願<神願い>をする際に、⸢神様のお側近くに寄せて祈願させてください」と祈るのが一定の形式となっている。
ウスブン [ʔu⸢subuŋ]自動{1}ふす(伏す)。うつぶす。うつむく(俯く)。頭を下げる。
ウスブン [ʔu⸢subuŋ]自動{2}しゃがむ。俯きしゃがむ。
ウスマイ [⸣ʔusumai]お祖父さん。祖父、老翁の敬称。首里方言では、「平民の祖父」の義。石垣方言では士族の「祖父」の義。語源的には「御主前」の転訛したもの。
ウスマサン [ʔu⸢suma⸣saŋ]ものすごい。程度が甚だしい。ひどく恐ろしい。怖い。すさまじい。おぞましい。
ウスマシ [ʔu⸢suma⸣ʃi]連体物凄い。大変な。
ウスマシ スコー [ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣su̥koː]物凄いほど。非常なほど。恐ろしいほどに。「おぞまし」(『源氏物語』帚木)の転訛か。
ウスマシ ムヌ [ʔu⸢suma⸣ʃi ⸣munu]大変なこと。凄いこと。恐ろしいこと。
ウズマリン [ʔu⸢ʣumariŋ]自動{1}埋まれる。埋められる。埋没される。{ウ⸢ズムン[ʔu⸢ʣumuŋ](埋める)の未然形に受身、可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身・可能動詞)}。
ウズマリン [ʔu⸢ʣumariŋ]自動{2}可能動詞。埋めることが出来る。
ウズマルン [ʔu⸢ʣumaruŋ]自動埋まる。埋まれる。埋もれる。
ウスミルン [ʔu⸢sumi⸣ruŋ]他動薄める。
ウズミルン [ʔu⸢ʣumiruŋ]他動埋める。
ウスムン [ʔu⸢su⸣muŋ]他動薄める。
ウズムン [ʔu⸢ʣumuŋ]他動埋める。「うずむ(埋む)下二段活用」の四段活用化したもの。
ウスリラリルン [ʔu⸢surirari⸣ruŋ]自動恐れられる。ウ⸢スリ⸣ルン[ʔu⸢suri⸣ruŋ](恐れる)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。
ウスリラリン [ʔu⸢surira⸣riŋ]自動恐れられる。ウ⸢スリ⸣ルン[ʔu⸢suri⸣ruŋ](恐れる)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。
ウスリルン [ʔu⸢suri⸣ruŋ]他動畏れる。恐れる。畏れ敬う。
ウスン [ʔu⸢suŋ]自動失せる。消える。「うす(失す)下二段活用」の四段活用化したもの。
ウスンガナシェーマイ [ʔusuŋ⸢gana⸣ʃeːmai]琉球国王。国王様。「御主加奈志前」と表記される。ウシュン⸢ガナ⸣シェーマイ[ʔuʃuŋ⸢gana⸣ʃeːmai]ともいう。「加奈志」は尊敬の接尾語。「~妻子見れば可奈之久<カナシク>めぐし~。万、4106」の転訛で、「いとしい、かわいい」の意味から尊敬の意味に転訛したもの。「前」は尊敬の接尾語。
ウズンキルン [ʔu⸢ʣuŋki⸣ruŋ]自動目が覚める。「Vozomi,u,ôda(ヲゾム)眠りからさめる」『邦訳日葡辞書』、「目さむるといふ事を薩摩及肥前にてをぞむと云」(『物類称呼』)の「をぞむ」の転訛したもの。
ウズンクン [ʔu⸢ʣuŋ⸣kuŋ]自動目が覚める。目覚める。「Vozomi,u,ôda.ヲゾミ、ム、ゥダ(おぞみ、む、うだ)眠りからさめる.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウズンクン [ʔu⸢ʣuŋ⸣kuŋ]自動うずく(疼く)。ずきずきと痛む。
ウスンフカスン [ʔu⸢suŋɸukasuŋ]他動お椀を伏せる。下向きに置く。うつむか(俯か)せる。
ウスンフクン [ʔu⸢suŋɸu̥kuŋ]自動うつむく(俯く)。頭を垂れる。顔を下に向ける。
ウゾーバタ [⸣ʔuʣoːbata]小腸。バ⸢ター⸣マ[ba⸢taː⸣ma](小腸)ともいう。
ウソーリルン [ʔu⸢soːriruŋ]自動{1}襲われる。魔物に襲われる。
ウソーリルン [ʔu⸢soːriruŋ]自動{2}押しつぶされる。
ウソーリン [ʔu⸢soːriŋ]自動襲われる。頭から覆いかぶされる。ウ⸢ソーリルン[ʔu⸢soːriruŋ](襲われる)ともいう。
ウソーン [ʔu⸢soː⸣ŋ]薄気味悪い。恐ろしい。「おずし」『源氏物語<浮舟>』の転訛か。
ウタ [⸣ʔuta]歌。民謡。歌謡。
ウタイ [ʔu⸢tai]命令。指図。仰せ。
ウタ イジックナー [⸣ʔuta ʔi⸢ʤikkunaː]歌合戦。「歌・歌い競べ」の義。
ウタ イズン [⸣ʔuta ʔi⸢ʣuŋ]歌を歌う。
ウタイヨールン [ʔu⸢taijoː⸣ruŋ]他動おっしゃる。仰せられる。命令される。指図される。
ウタガーリルン [ʔu⸢tagaːriruŋ]自動疑われる。{ウ⸢タガウン[ʔu⸢tagauŋ](疑う)の未然形に受身の助動詞⸢リルン[⸢riruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)}。
ウタガーリン [ʔu⸢tagaːriŋ]自動疑われる。{ウ⸢タガウン[ʔu⸢tagauŋ](疑う)の未然形に受身の助動詞[⸣リン](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)}。
ウタガイ [ʔu⸢tagai]疑い。疑念。
ウタガイルン [ʔu⸢tagairuŋ]他動疑う。不審におもう。
ウタガウン [ʔu⸢tagauŋ]他動疑う。
ウタガキ [⸣ʔutagaki]歌に掛けて道徳や人生観などを教えること。
ウタサンシン [⸣ʔutasaŋʃiŋ]歌三味線。歌や三味線で演奏すること。
ウタシムヌ [ʔu⸢taʃi⸣munu]落し物。遺失物。
ウタスン [ʔu⸢ta⸣suŋ]他動{1}落とす。
ウタスン [ʔu⸢ta⸣suŋ]他動{2}失う。紛失する。
ウタスン [ʔu⸢ta⸣suŋ]他動打たせる。打たす。{⸣ウタン[⸣ʔutaŋ](打つ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](せる。す)が付いて形成された派生動詞(使役動詞)}。
ウタタノール [⸣ʔutatanoːru]歌唱力。歌を上手に歌う素質。歌う要領、歌唱法。
ウダティ [ʔu⸢da⸣ti]うだち(梲)。うつばり(梁)の上に立てて棟木を支える短い柱。四寸角の角材で、長さ30~40センチ程度の長さの小さな柱。「梁上柱謂二之悦一 (うだち)宇太知」(『和名抄<10>』)の転訛したもの。⸢ヤー ナンツァガニバ ウダティバシー ヤーバ シゥクリアンテスー」(ああ、銀の建材をウダチにして、家を造ってあるという)(⸢アーパーレー節」)。
ウダティラリルン [ʔu⸢datirari⸣ruŋ]自動おだてられる(煽てられる)。他動詞ウ⸢ダティ⸣ルン[ʔu⸢dati⸣ruŋ](煽てる)の未然形に、受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞。可能動詞)。⸢パーサ⸣リン、⸢パーサリ⸣ルンとも言う。
ウダティラリン [ʔu⸢datira⸣riŋ]自動おだてられる(煽てられる)。{ウ⸢ダティ⸣ルン[ʔu⸢dati⸣ruŋ](煽てる)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞。可能動詞)}。
ウダティルン [ʔu⸢dati⸣ruŋ]他動おだてる(煽てる)。誉め立てて煽動する。標準語からの借用語。老年層は⸢パー⸣スン[⸢paː⸣suŋ](囃す)という。
ウタフクル [⸣ʔutaɸu̥kuru]歌が上手なこと。歌の名人。「歌袋」の義。「名歌を自在に歌いこなし、名歌が無限に出てくる人」の義。本土の、和歌の{詠草}{エイ|ソウ}を入れておく袋の「歌袋」に擬した命名であろう。
ウタムチ [ʔu⸢tamu⸣ʧi]三味線の伴奏。前奏。
ウダヤカ [ʔu⸢daja⸣ka]形動穏やか。標準語からの借用語。
ウダラカスン [ʔu⸢daraka⸣suŋ]他動驚かす。びっくりさせる。
ウダラキ [ʔu⸢dara⸣ki]驚き。動詞ウ⸢ダラ⸣クン[ʔu⸢dara⸣kuŋ](驚く)の連用形からの転成名詞。
ウダラクン [ʔu⸢dara⸣kuŋ]自動驚く。びっくりする。
ウチ [ʔu⸢ʧi]{1}内側。奥。区域内。奥座敷。
ウチ [ʔu⸢ʧi]{2}内。以内。時間的、空間的範囲内。
ウチ [ʔu⸢ʧi]接頭動詞の上に付いて意味を強める。
ウチーウチーシ [ʔu⸢ʧiːʔuʧiː⸣ʃi]親しそうに。内輪らしく。親密そうに。「内内に」の義。
ウチアースン [ʔu⸢ʧiʔaː⸣suŋ]他動打ち合わせる。相談する。
ウチアールン [ʔu⸢ʧiʔaː⸣ruŋ]自動打ち合う。心が適合する。心がぴったり合う。調和する。打ち解けて仲良くなる。意気投合する。
ウチアキルン [ʔu⸢ʧiʔaki⸣ruŋ]他動打ち明ける。うちあかす。
ウチアギルン [ʔu⸢ʧiʔagi⸣ruŋ]他動打ち上げる。
ウチアクン [ʔu⸢ʧi⸣ʔakuŋ]他動打ち明ける。うちあかす。
ウチアタリ [ʔu⸢ʧiʔatari]他人に対して言うことが、わが身に強く思い当たること。他人への批判がわが身に当り、深く反省されること。
ウチアミ [ʔu⸢ʧi⸣ami]雨が室内に降り注ぐこと。室内に吹き込む雨。
ウチウチ [ʔu⸢ʧiutʧi]身内のもの。内輪。内密。家族と近親の間だけのこと。「内内」の義。
ウチウトゥスン [ʔu⸢ʧiʔutu⸣suŋ]他動撃ち落す。若年層の言葉。標準語からの借用語の転訛。
ウチカイスン [ʔu⸢ʧikai⸣suŋ]他動打ち返す。
ウチカタライ [⸣ʔuʧikatarai]相談。懇談。協議。「うち・語らい」の義。⸣ウチ[⸣ʔuʧi]は強意の接頭語。
ウチシー [ʔu⸢ʧi⸣ʃiː]打ち身。内出血。
ウチソーダン [⸣ʔuʧisoːdaŋ]内々の相談。内々の話し合い。懇談。
ウチダラスン [ʔu⸢ʧidara⸣suŋ]他動{1}打ちのめす。ぶん殴る。ひっぱたく。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi]は強意の接頭語。
ウチダラスン [ʔu⸢ʧidara⸣suŋ]他動{2}がっかりさせる。落胆させえる。
ウチダリルン [ʔu⸢ʧidari⸣ruŋ]自動うち{萎}{シオ}れる。しょげかえる。
ウチダルン [ʔu⸢ʧi⸣darŋ]自動ぐったりする。疲れ切る。疲れ果てる。
ウチックラウン [ʔu⸢ʧik⸣kurauŋ]他動うち喰らう。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi]は強意の接頭語。
ウチナカー [ʔu⸢ʧi⸣nakaː]内には。中には。歌謡語。ウ⸢チ[ʔu⸢ʧi](内)に、格助詞⸣ナカー[⸣nakaː](~には。場所格)が下接した形。
ウチナスン [ʔu⸢ʧina⸣suŋ]他動成し遂げる。済ませる。うち成す。
ウチニチ [ʔu⸢ʧiniʧi]内熱。熱がある(者)[feverish]*体が熱っぽい感じ。『医学沖縄語辞典』。
ウチネーヌ マトーザテー [ʔu⸢ʧi⸣nenu ⸣matoːʣateː]屋号。仲伊部正吉氏宅。東村のカツオ漁船、正山丸の船主としてカツオ節工場を経営されたが、過疎化に伴い、昭和40年頃に石垣島に引っ越してカツオ漁業を経営された
ウチネヌ マツァーザーテー [ʔu⸢ʧi⸣nenu ⸣maʦaːʣaːteː]屋号。仲伊部正一氏宅。
ウチバシキルン [ʔu⸢ʧibaʃi̥ki⸣ruŋ]自動うち忘れる。度忘れする。
ウチフカ [ʔu⸢ʧi⸣ɸu̥ka]内外。身内と世間。
ウチマー [ʔu⸢ʧimaː]内孫。跡取りの息子の子供。フ⸢カ⸣マー[ɸu̥⸢ka⸣maː](外孫)の対義語。
ウチマー [ʔu⸢ʧi⸣maː]⸢プーザンプー[⸢puːʣampuː](帆桟のある帆)の各桟に、帆柱から離されないように縄を両端に張り渡してある縄。帆柱はその縄と桟の間に通す。
ウチマーリカジ [ʔu⸢ʧimaːri⸣kaʤi]物に当たって跳ね返ってくる台風の風。家や壁、屋敷林などに当たって跳ね回ってくる強風。
ウチマカスン [ʔu⸢ʧimaka⸣suŋ]他動打ち負かす。撃破する。
ウチマラバスン [ʔu⸢ʧimaraba⸣suŋ]他動ぶん殴る。強く打ち据える。
ウチミジ [ʔu⸢ʧi⸣miʤi]打ち水。
ウチユ [ʔu⸢ʧiju]世の中。世間。当世。首里方言からの借用語。「Vqiyo.ウキヨ(浮世・憂世)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウチルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ]自動{1}移る。
ウチルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ]自動{2}写る。映る。
ウチルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ]自動{3}似合う。衣類などがよく似合う。映える。
ウチルン [ʔu⸢ʧi⸣ruŋ]自動感染する。
ウチンター [ʔu⸢ʧintaː]内側。奥座敷。「内の方」の転訛したもの。⸢ター[⸢taː](方向。場所。所)は「{方}{カタ}」の転訛したもの。⸣フカンター[⸣ɸu̥kantaː](外側)の対義語。⸣マンター[⸣mantaː](前方)、⸣シンター[⸣ʃintaː](後方)、⸢インター[⸢ʔintaː](西方)、⸢アンター[⸢ʔantaː](東方)、⸢ウンター[⸢ʔuntaː](上方)、ッ⸢サンター[s⸢santaː](下方)という。
ウツァスン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ]他動{1}写す。撮影する。
ウツァスン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ]他動{2}感染させる。
ウツァスン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ]他動{1}移す。移動させる。若年層はウ⸢ツ⸣スン[ʔu⸢ʦu⸣suŋ](移す)ともいう。
ウツァスン [ʔu⸢ʦa⸣suŋ]他動{2}撮影する。
ウツァナウン [ʔu⸢ʦa⸣nauŋ]他動中止する。ほったらかす。放置する。手を休める。首里方言のcaNnagijuN(うっちゃる。投げ捨てる)に強意の接頭語のウチ[ʔuʧi](打ち)が付いて合成された語?ut iʧannagijuNから転訛したもの。
ウツァナク [ʔu⸢ʦana⸣ku]白玉。白玉粉を水で捏ね、小さく丸めて蒸し上げたウズラの卵大の餅。大きな神事や豊年祭のなどの神行事の際に供える供物の餅。「Chanoco.チャノコ(茶の子) 茶(Cha)を飲む前に食べる、食欲をそそる塩漬けの物」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。
ウツァナクン [ʔu⸢ʦana⸣kuŋ]他動放り出す。投げ出す。うち捨てる。途中で止める。
ウツァバナカスン [ʔu⸢ʦabanaka⸣suŋ]他動仰向けにする。仰向けに寝かせる。
ウツァバナクン [ʔu⸢ʦabana⸣kuŋ]自動仰向きになりやがる。仰向きになって寝やがる。両手両足を広げて寝る様の卑語表現。ウチ(接頭語)+ア⸢バナクン(仰向けになる)→ ウツァバナクンと音韻変化したもの。
ウツァン [⸣ʔuʦaŋ]とあみ(投網)。「Vchiami.ウチアミ(打網)雉鳩などを捕るのに用いる網」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。浅海の魚を捕るのに用いる円錐形の網。下部に鉛の沈子が付けてある。投網の沈子の部分を両手で持ち、網全体を肩に掛け、体を屈めて魚群に接近し、魚の群れを目掛けて網を投げ打つと網は直径約3メートルの円形に拡がり、魚群を被せるように捕獲することが出来る。
ウッカイスン [⸢ʔukkai⸣suŋ]他動ひっくり返す。裏返して乾燥する。
ウッカイムッカイ [⸢ʔuk⸣kaimukkai]ああしようか、こうしようかと迷うさま。逡巡するさま。ぐずぐずして決めかねるさま。
ウッカイラスン [⸢ʔukkaira⸣suŋ]他動ひっくり返す。裏返す。⸢ウッケーラ⸣スン[⸢ʔukkeːra⸣suŋ](ひっくり返す)ともいう。
ウッカイルン [⸢ʔukkai⸣ruŋ]自動覆る。反転する。ひっくり返る。反故にする。反対する。嫌がる。若年層は⸢ウッケー⸣ルン[⸢ʔukkeː⸣ruŋ](反転する。嫌がる)ともいう。
ウッケースン [⸢ʔukkeː⸣suŋ]他動ひっくり返す。裏返す。引き返す。⸢ウッケーラ⸣スン[⸢ʔukkeːra⸣suŋ](ひっくり返す)と同じ。
ウッケーラスン [⸢ʔukkeːra⸣suŋ]他動ひっくり返す。裏返す。⸢ウッカイラ⸣スン[⸢ʔukkaira⸣suŋ](ひっくり返す)と同じ。⸢カイ⸣スン[⸢kai⸣suŋ](返す)ともいう。
ウッケールン [⸢ʔukkeː⸣ruŋ]自動ひっくり返る。覆る。⸢ウッカイ⸣ルン[⸢ʔukkai⸣ruŋ](覆る)と同じ。
ウッザ [⸢ʔud⸣ʣa](動)うずら(鶉)。ウズラの転訛。⸣ウザドゥル[⸣ʔuʣaduru](鶉。鶉鳥)ともいう。尾が短く、茅原に棲む。小指大の卵は美味である
ウツスン [ʔu⸢ʦu⸣suŋ]他動{1}写す。老年層は、ウ⸢ツァ⸣スン[ʔu⸢ʦa⸣suŋ](写す)という。
ウツスン [ʔu⸢ʦu⸣suŋ]他動移す。
ウッソン [⸢ʔus⸣soŋ]盆の窪。後頭部。「後ろ窪み」の義。
ウッソン サリーン [⸢ʔus⸣son sa⸢riːŋ]後頭部が貧相になる<枯れる>。生気がなく影が薄くなる。痩せて元気がなくなる。盆の窪が枯れると、その人は長生きしないといわれている
ウッタイラリルン [⸢ʔuttairari⸣ruŋ]自動訴えられる。{1}⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に受身の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞)。
ウッタイラリルン [⸢ʔuttairari⸣ruŋ]自動{2}⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に、可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(可能動詞)。
ウッタイラリン [⸢ʔuttaira⸣riŋ]自動訴えられる。{⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)の未然形に受身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞(受身動詞・可能動詞)}。
ウッタイルン [⸢ʔuttai⸣ruŋ]他動訴える。
ウッタウン [⸢ʔut⸣tauŋ]他動訴える。「訴う(訴ふ)下二段活用」の四段活用化したもの。⸢ウッタイ⸣ルン[⸢ʔuttai⸣ruŋ](訴える)と同じ。
ウッツァー [⸢ʔut⸣ʦaː]{1}それら。指示代名詞。中称の複数形。ウリ・ター[ʔuri-taː](それ・たち)の融合変化したもの。
ウッツァー [⸢ʔut⸣ʦaː]{2}それたち。その人達。
ウッツァースン [⸢ʔutʦaː⸣suŋ]自動・他動ぶつける。瓶や甕などの陶磁器、ガラス器具などの容器類がぶつけ合う。ぶつかり合う。「打ち合わす」の義か。
ウッツォーリカジ [⸢ʔutʦoːri⸣kaʤi]物に当って跳ね返ってくる風。マ⸢キカジ[ma⸢kikaʤi](旋風)となって吹くことがある。
ウッティ カミルン [⸢ʔutti⸣ ka⸢mi⸣ruŋ]うやうやしく(恭しく)頂く。両手に置いて頭の位置まで押し上げ、恭しく頂く。オッ⸢ティ⸣ カ⸢ミ⸣ルン[ʔot⸢ti⸣ ka⸢mi⸣ruŋ](恭しくいただく)ともいう。
ウットースン [⸢ʔuttoː⸣suŋ]他動打ち倒す。ぶったおす。台風が作物や草木を薙ぎ倒す。切り倒す。
ウットーリルン [⸢ʔuttoːri⸣ruŋ]自動ぶっ倒れる。⸢ウットー⸣ルン[⸢ʔuttoː⸣ruŋ](大木がぶっ倒れる)と同じ。
ウットールン [⸢ʔuttoː⸣ruŋ]自動ぶっ倒れる。大木が強風でぶっ倒れる。
ウッふァスン [⸢ʔuffasuŋ]他動溺れさす。
ウッふィルン [⸢ʔuffiruŋ]自動溺れる。「耽、オホルル」『類聚名義抄』、「Vobore,ru,eta.ヲボレ,ルル,レタ(溺れ,るる,れた)~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸢ウッふンとも言う。
ウッふン [⸢ʔuffuŋ]自動溺れる。「耽、オホルル」『類聚名義抄』、「駅船海に沈み大徳おぼほれ<溺れ>流れて~」『日本霊異記』の四段活用に転訛したもの。
ウツルン [ʔu⸢ʦu⸣ruŋ]自動写る。老年層は、ウ⸢チ⸣ルン[ʔu⸢ʧi⸣ruŋ](写る)という。
ウディ [⸣ʔudi] {1}うで(腕)。
ウディ [⸣ʔudi]{2}葉柄。
ウティウティ [ʔu⸢ti⸣uti]接尾動詞の連用形を重ねて畳語化し、動作の繰り返されるさまを表す。「~落ち落ち」の義。
ウディカキ [ʔu⸢di⸣kaki]腕相撲。「腕掛け」の義。
ウディ カキルン [⸣ʔudi kḁ⸢ki⸣ruŋ]腕相撲をする。
ウディ カクン [⸣ʔudi ⸣kḁkuŋ]腕相撲をする。
ウティ クーン [ʔuti ⸣kuːŋ]{1}落ちてくる。
ウティ クーン [ʔuti ⸣kuːŋ]{2}強風が吹き降ろす。
ウティクバシ [⸣ʔutikubaʃi]{1}落ちこぼし。担桶に入れた水を天秤棒で担いで運ぶ際、桶より水がこぼれ落ちること。
ウティクバシ [⸣ʔutikubaʃi]{2}見落し
ウティクバリ [ʔutikubari]遺漏。不足。失敗。事故。「落ち零れ」の義。
ウティクブシ [⸣ʔutikubuʃi]脱漏。遺漏。抜け落ちること。漏れること。
ウディ クムン [⸣ʔudi ⸣kumuŋ]腕を組む。腕組みする。
ウティサカリ [⸣ʔutisakari]盛衰。「落ち盛り」の義。
ウディシゥカラ [ʔu⸢disïka⸣ra]腕力。腕の力。
ウティシキ [ʔu⸢ti⸣ʃi̥ki]落着き。
ウティシキルン [ʔu⸢tiʃi̥ki⸣ruŋ]自動落ち着く。「Vochitçuqi,qu,ita.ヲチツキ,ク,イタ(落ち着き,く,いた)定着する。すでに家などを持って定住している」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウディスーリ [ʔu⸢disuː⸣ri]腕まくり。[ʔudisuŋguri] → [ʔudisuguri] → [ʔudisuːri] のように音韻変化したもの。
ウティスクン [ʔu⸢ti⸣su̥kuŋ]自動落ち着く。琉歌・組踊り語の「おてつく」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。
ウディスングリ [ʔu⸢disuŋ⸣guri]腕まくり。着物の袖口を肩口まで捲り上げること。威勢よく仕事をしたり、何かをしようとするときの姿勢。「腕・選り<藁のはかまを取るをすぐると言ふ>『志不可起き』七」の転訛したものか。ウ⸢ディスー⸣リ[ʔu⸢disuː⸣ri](腕選り)ともいう。
ウディダイ [ʔu⸢di⸣dai]腕力。腕の力。ウ⸢ディ⸣タヤ[ʔu⸢di⸣taja](腕の力)の転訛したもの。
ウティダカ [ʔu⸢ti⸣daka]落札高。落札の値段。「落ち高」の義。
ウディ ダクン [⸣ʔudi da⸢kuŋ]腕をこまねく({拱}{コマネ}く)。拱手傍観する。「腕抱く」の義。
ウティダニ [ʔu⸢ti⸣dani]{1}自然に落ちた種子。また、それから生えた稲や麦、豆などの植物。「落ち種」の義。
ウティダニ [ʔu⸢ti⸣dani]{2}落としだね<落胤>。
ウティナン ッサナン [ʔu⸢tinan⸣ s⸢sa⸣naŋ]男女による交互歌唱するさま。男女掛け合って歌うさま。
ウティヌカル [⸣ʔutinukaru]残り。残余。落ちこぼし。
ウティプー [ʔu⸢ti⸣puː]落穂。
ウディプス [⸣ʔudipu̥su]卯年生まれの人。
ウディマリ [⸣ʔudimari]卯年生まれ。
ウティムヌ [ʔu⸢ti⸣munu]落ちたもの。木の実などが熟れて落下した物。
ウディヤライ [ʔu⸢di⸣jarai]男女が相手と腕組みすること。腕を交互に交差させること。ヤ⸢ライ[ja⸢rai]はヤ⸢ラウン[ja⸢rauŋ](交叉する。X型に組み合わせる)の連用形で名詞化したもの。
ウティラウティラ [ʔu⸢ti⸣raʔutira]落ちそうになるさま。今にも落ちそうになる。落ち零れそうになる。
ウティルン [ʔu⸢ti⸣ruŋ]自動落ちる。落下する。「落ちる<上一段>」の転訛したもの。
ウティルン [ʔu⸢tiruŋ]他動鍋、釜、湯沸し(薬缶)などを竈の火の上から下ろす。火のある竈から鍋、釜、薬缶類を移動させる。移す。
ウティンガビ [ʔu⸢tiŋ⸣gabi]かみぜに(紙銭)。銭型を金属製や木製のカ⸢ビシキンガニ[ka⸢biʃikiŋgani](紙搗き器具)で馬糞紙に銭形を打ちつけたもの。後生の通貨といわれている。縦横約17,5センチの馬糞紙を二つ折りにし、一段に5個の銭型を10段打ちつけたもの。法事で祖霊を送る際に、仏前に供えた紙銭を焼いて後生へ送る。後生で祖霊たちが金銭に困らないようにとの気持ちが込められているという。
ウティンギサン [ʔu⸢tiŋ⸣gisaŋ]落ちそうである。
ウトー [⸣ʔutoː](人)人名。女性の名前。
ウドースン [ʔu⸢doːsuŋ]他動{1}{脅}{オド}す。恐れさせる。驚かす。怖がらせる。
ウドースン [ʔu⸢doːsuŋ]他動{2}どやす。
ウトゥ [ʔu⸢tu]{1}音。
ウトゥ [ʔu⸢tu]{2}評判。うわさ(噂)。有名になること。好評、悪評にも用いる。
ウトゥ [ʔu⸢tu]{3}音信。
ウトゥーシ [ʔu⸢tuː⸣ʃi]遥拝。遠くにいます神仏に方角を定めて供物を供え、祈願すること。友利御嶽から、ピナイ御嶽、アラカー御嶽、ニシドー御嶽へ向かって供物を供えて遥拝すること。法事にもいう。
ウトゥガイ [ʔu⸢tu⸣gai]おとがい(頤)。下顎の先。
ウドゥカスン [ʔu⸢duka⸣suŋ]他動欠損させる。
ウドゥキルン [ʔu⸢duki⸣ruŋ]自動欠損する。
ウトゥクマリ [ʔu⸢tuku⸣mari]男子。男として生まれているもの。「男生まれ」の義。ブ⸢ナジマリ[bu⸢naʤimari](女生まれ)の対義語。ニ⸢ガイ⸣フチ[ni⸢gai⸣ɸuʧi](祝詞。祈願の時に唱える言葉)などに用いられる言葉。日常会話では使用しない
ウドゥクン [ʔu⸢du⸣kuŋ]自動欠損する。ウ⸢ドゥキ⸣ルン[ʔu⸢duki⸣ruŋ]と同じ。
ウトゥザ [ʔu⸢tu⸣ʣa]親戚。親類。「弟兄」の転訛したものか。共通の先祖からでた「兄弟の間柄」の意であろう。
ウトゥザズルイ [ʔu⸢tuʣaʣurui]親族会議。親戚の集まり
ウトゥサタ [ʔu⸢tu⸣sata]音沙汰。消息。
ウトゥザマリ [ʔu⸢tuʣamari]親戚。親類。「おとせざ(弟兄者)・生まれ」の転訛したものか。「親戚の血をを引く面立ち<生まれ>」の意。
ウトゥザムイサン [ʔu⸢tu⸣ʣamuisaŋ]親戚思いである。親戚を大切にする。⸣-ムイサン[⸣-muisan](~がる。~親しく思う。~親しくしたがる)は接尾語。
ウトゥザンケーン [ʔu⸢tu⸣ʣaŋkeːŋ]親類縁者たち。親戚の者たち。⸣-ケーン[⸣-keːŋ](~たち)は複数を表す接尾語で、丁寧や尊敬の意味をもつ。
ウトゥシ [ʔu⸢tu⸣ʃi]みぞおち(鳩尾)。みずおち。
ウトゥシアナ [ʔu⸢tuʃi⸣ʔana]落とし穴。
ウトゥシダニ [ʔu⸢tuʃi⸣dani]落胤。「落とし種」の義。⸢グンボー⸣ッふァ[⸢gumboːf⸣fa](混血児。士族と平民の合いの子)ともいう。
ウトゥシヌ ヤン [ʔu⸢tuʃi⸣nu ⸣jaŋ]胃の{病}{ヤマイ}。「みぞおちの病」の義。
ウトゥジリ [ʔu⸢tu⸣ʤiri]音信。便り。石垣方言からの借用語か。
ウトゥダカーン [ʔu⸢tudakaː⸣ŋ]名高い。有名である。「音が高い」の義。
ウトゥナッサン [ʔu⸢tunas⸣saŋ]おとなしい。ウ⸢トゥナ⸣サン[ʔu⸢tuna⸣saŋ](おとなしい)ともいう。
ウトゥム [ʔu⸢tu⸣mu]お供。
ウトゥメー [ʔu⸢tu⸣meː](人)平民子女の名前。
ウトゥルイルン [ʔu⸢trui⸣ruŋ]自動衰える。
ウトゥルサン [ʔu⸢turu⸣saŋ]恐ろしい。怖い。沖縄首里方言からの借用語。
ウトゥルムチ [⸣ʔuturumuʧi]接待。「お取り持ち」の義。
ウトゥルン [ʔu⸢tu⸣ruŋ]自動劣る。
ウトゥン [⸣ʔutuŋ]他動打つ。叩く。
ウトゥン [⸣ʔutuŋ]自動落ちる。落下する。⸢落ち<上二段>」、「~我が手觸れなな土に於知母可毛<オチモカモ>。万、4418」の転訛したもの。ウ⸢ティ⸣ルンとも言う。
ウトゥン [ʔu⸢tun]他動鍋、釜、湯沸し(薬缶)などを竈の火の上から移す。下ろす。ウ⸢ティルン[ʔu⸢tiruŋ](鍋を竈から下ろす)と同じ。
ウドゥン [⸣ʔuduŋ]うどん(饂飩)。石垣方言からの借用語か。鳩間島には、饂飩はなかった。年に一度か二度ほど、石垣島に行く時に、そば屋で食することができた。⸣スバ[⸣suba](そば<蕎麦>)と共に日常的に食することの出来ない、美味しい食べ物であった。
ウトゥングイ [ʔu⸢tuŋgui]音沙汰。音信。「おとごえ(音声)」の転訛。
ウトゥン グイン [ʔu⸢tuŋ⸣ guiŋ]音信も。音沙汰も。「音も声も」の義。
ウトゥンジプス [ʔu⸢tuʔnʤi⸣pu̥su]有名人。評判の高い人。音に聞こえた人。
ウトゥンジムヌ [ʔu⸢tunʤi⸣munu]評判者。有名な人。
ウトゥ ンジルン [ʔu⸢tu ʔnʤi⸣ruŋ]評判が響き渡る。(好評、悪評の)評判が世間に広く知れ渡る。有名になる。
ウトゥ ンズン [ʔu⸢tu⸣ ʔnʣuŋ]評判になる。評判が響き渡る。ウ⸢トゥ ンジ⸣ルン[ʔu⸢tu ʔnʤi⸣ruŋ]と同じ。
ウナー [ʔu⸢naː]己(おのれ)。自分自身(話題の人物自身)。「~於能禮<オノレ>神さび~。万、3883」の転訛したもの。
ウナー [⸣ʔunaː]そこで。そこに。指示代名詞の語幹ウ[ʔu](そ)に格助詞⸣ナ[⸣na](に)と係助詞ヤ[ja](は)がついて、[ʔu+na] + [ja] → [ʔunaː](そこには)と音韻変化したもの。
ウナー [ʔu⸢naː]名・代{1}自分自身。己。自分自身。己自身。その人自身。
ウナー [ʔu⸢naː]名・代{2}相手を指す<二人称的用法>。「於能礼<ォノレ>故のらえて居れば~。万、3098」。
ウナーター [ʔu⸢naːtaː]己達(第三者)(複数)。自分達(話題の人物達)。ウ⸢ナー[ʔu⸢naː](己)の複数形。
ウナイ [⸣ʔunai](動)ウナギ(鰻)。河川や堰、水田(湧水のある水田、バ⸢ケーラマシ{SqBr}ba⸢keːramaʃi{/SqBr})などに棲息する川鰻や田鰻。
ウナンザ [⸣ʔunanʣa]そいつ野郎。己野郎。二人称の自称の卑称。
ウナンザー [⸣ʔunanʣaː]己野郎(卑称)。第三者を罵る時に用いる。
ウニ [⸣ʔuni]畝。畑に作物を植え付けるために土を筋状に盛り上げた所。
ウヌ [ʔu⸢nu]連体その。代名詞ウ⸢リ[ʔu⸢ri](それ)の連体詞。-ヌ[-nu](~の)は格助詞。{1}話し手から「それ」と指示される位置にある物・事にかかわる意味。
ウヌ [ʔu⸢nu]連体{2}話題の人や事物に関することを表す。
ウヌアタル [ʔu⸢nuata⸣ru]その程度。それくらい。
ウヌ アタル [ʔu⸢nu ʔata⸣ru]それくらい。その程度(量的程度。感情、感覚的程度)。
ウヌウイ [ʔu⸢nuʔui]その上。さらに。それに加えて。
ウヌウチ [ʔu⸢nu⸣ʔuʧi]{1}そのうち。間もなく。やがて。
ウヌウチ [ʔu⸢nu⸣ʔuʧi]{2}その中で。
ウヌスク [ʔu⸢nu⸣su̥ku]{1}それほど。そのように。たいそう。非常に。
ウヌスク [ʔu⸢nu⸣su̥ku]{2}それぐらい。それほど。その程度。
ウヌ スコー [ʔu⸢nu⸣ su̥koː]それくらいは。その程度は。それほどには。
ウヌ タキ [ʔu⸢nu⸣ taki]その勢いの程度。人格や風格、能力の程度。「その丈」の義。普通はレベルの低さを表す。
ウヌタキ [ʔu⸢nu⸣tḁki]その程度(限度)。それぐらい。そのレベル(品格)。「その丈」の義。
ウヌトゥール [⸣ʔunutuːru]その通り。指図通り。
ウヌバス [ʔu⸢nu⸣basu]その時。その場合。
ウヌパンシ [ʔu⸢nupaŋʃi]その場{凌}{シノ}ぎ。言い逃れ。「その場外し」の義。
ウヌピン [ʔu⸢nu⸣piŋ]そのとき(日)。当日。ある事が行われた時、また、行われる時(日)。
ウヌフカ [ʔu⸢nu⸣ɸu̥ka]そのほか。
ウヌプス [ʔu⸢nupusu]その人。当人。前に話題にした、話し手、聞き手に共通な人。話題の人物。
ウヌプスンケー [ʔu⸢nupusuŋ⸣keː]この方々。⸢ウッ⸣ツァー[⸢ʔut⸣ʦaː](彼ら。それら。その人たち)の敬語
ウヌブン [⸣ʔunubuŋ]副・名非常に。かなり。それ相当程度に。「其の分」の義。
ウヌブン [ʔu⸢nu⸣buŋ]其の分。
ウヌマーマ [ʔu⸢numaːma]{1}そのまま。あるがまま。
ウヌマーマ [ʔu⸢numaːma]{2}(副詞的に)すぐに。その場で<そのまま>。
ウヌマーラ [ʔu⸢numaːra]当時。そのころ(其の頃)。話題となった遠くない過去の一時期。⸢ウンヌマーラ[⸢ʔunnumaːraː](その頃)ともいう。
ウヌマリ [ʔu⸢numari]{1}本性。本質。人となり。「その生まれ」の義。生まれながらの性質。
ウヌマリ [ʔu⸢numari]{2}運命。天命。
ウヌ ムティ [ʔu⸢nu⸣ muti]その旨。その段。その趣意。ことの次第。
ウヌヨーナ [⸣ʔunujoːna]連体そのような。あのような。⸣ウヌヨーヌ[⸣ʔunujoːnu](そのような)ともいう。
ウヌヨーニ [⸣ʔunujoːni]そのように。そんなに。
ウヌヨーヌ [⸣ʔunujoːnu]連体そのような。あのような。
ウバースン [ʔu⸢baːsuŋ]他動驚かす。びっくりさせる。
ウバイカバイ [ʔu⸢bai⸣kabai]恐る恐る。びくびく。
ウバウン [ʔu⸢bauŋ]自動怯える。こわ(怖)がる。「おびゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。
ウハラクイチ [ʔu⸢ha⸣rakuiʧi](地)峠の名称。「大原越地節」の中に「大原越地道<ウハラクイチミチィ>ナガ/ ユサバザヌ道<ミチィ>ナガ」(『八重山民謡誌』)と表記されている。西表島の旧崎山村と鹿川村の間にある峠。崎山村、鹿川村ともに廃村となっている
ウビ [⸣ʔubi]連体{PoS_1}{1}それだけ。それほど。これだけ。これほど。分量を表す。
ウビ [⸣ʔubi]{PoS_2}~するほどに。その程度に応じて~。~につれて。
ウビ [⸣ʔubi]たが(箍)。竹を細く割ってたがね<綰ね>た、桶や樽を堅く締めるのに用いる輪。
ウビイン [ʔu⸢bi⸣ʔiŋ]ぼいん(拇印)。「指印」の義。
ウビカーニ [ʔubi⸢kaːni]ただそれだけ。たったそれだけ。ただこれだけ。分量の限定。
ウビカキ [ʔu⸢bi⸣kaki]指掛け相撲。指相撲。
ウビサキ [ʔu⸢bi⸣saki]指先。指の先端。
ウビダキ [⸣ʔubidaki]それだけ。あれほど。それほどまで。その程度。
ウビッシ [ʔu⸢bi⸣ʃʃi]後ろ指。後ろ指を指すこと。
ウビッチン [ʔu⸢bit⸣ʧiŋ]それぽっち。たったそれだけ。その程度。数量や程度が極めて少量である。
ウビッチンツァン [ʔu⸢bit⸣ʧinʦaŋ]これっぽちすらも。これっぽちさえも。副助詞⸣ツァン[ʦaŋ](すら。さえ)は下に打ち消しの助動詞を導き、それと呼応して打消し強調の意味を表す。
ウビナー [ʔu⸢bi⸣naː]{1}これほど沢山。こんなに多く。分量の多いことや値段の高いことを表す。
ウビナー [ʔu⸢bi⸣naː]{2}各自がそれほどずつ多く。
ウビナー [ʔu⸢bi⸣naː]{3}これほどに多く。程度が大きいことを表す。
ウビブカラ [⸣ʔubibukara]それぐらい。その程度。量や数の程度を表す。
ウビ ヨールン [⸣ʔubi ⸢joː⸣ruŋ]たが(箍)が緩む。
ウビンガニ [ʔu⸢biŋ⸣gani]指輪。「指がね」の義。若年層では、ウ⸢ブン⸣ガニ[ʔu⸢buŋ⸣gani](指輪)ということもある。
ウブ- [ʔu⸢bu-]接頭おお(大)。「おほ<大>」の転訛したもの。⸢ウー[⸢ʔuː](大)ともいう。
ウブーン [⸣ʔubuːŋ]他動覚える。「おぼゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。
ウブアッパ [ʔu⸢bu⸣ʔappa]大祖母。最年長の祖母。⸣アッパ[⸣ʔappa](祖母)は両親の母の名称、呼称である。⸣ウボーッパ[⸣ʔuboːppa](大祖母)ともいう。
ウブアマシェー [ʔu⸢buʔama⸣ʃeː]屋号。小浜正夫氏宅。小浜家の本家。古い名家の一つ。ア⸢マシェー[ʔa⸢maʃeː]の語源は明確ではないが、「あもしられ」系統の語を受け継ぐものと想定すると、⸢百姓の主婦に対する敬称」の義を内包する家柄ではないかと考えられる。おお・あむしられ → [ʔubuʔamuʃirari] → [ʔubu・ʔamuʃʃiː] → [ʔu⸢buʔama⸣ʃeː] のように変化したものか。
ウブアミ [ʔu⸢bu⸣ʔami]大雨。⸢ウーアミ[⸢ʔuːami](大雨)ともいう。
ウブアヤ [ʔu⸢bu⸣ʔaja]大きな模様。「大綾」の義。大柄。色や柄の派手な模様。
ウブアヤキン [ʔu⸢bu⸣ʔajakiŋ]大柄の着物。
ウブアンマー [ʔu⸢bu⸣ʔamma]最年長の姉、長姉の名称。「大姉」の義。⸣ウボマー[⸣ʔubomaː](長姉)の名称、呼称。⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉の名称、呼称)ともいう。⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma]は石垣方言からの借用語であろう。
ウブイ [⸣ʔubui]覚え。記憶。動詞⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形からの転成名詞。
ウブイキ [ʔu⸢bu⸣iki]{1}大きな呼吸。深呼吸。「大息」の義。
ウブイキ [ʔu⸢bu⸣iki]{2}ため息。
ウブイキ マーイキ [ʔu⸢bu⸣ʔiki ⸢maːʔiki]ちょうたんそく(長嘆息)。心配して長いため息をつくこと。
ウブイグリサン [ʔu⸢buiguri⸣saŋ]覚えにくい。⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形に形容詞型助動詞グ⸢リ⸣サン[gu⸢ri⸣saŋ](~にくい。~づらい<辛い>)が付いて合成された派生形容詞。
ウブイサナキ [ʔu⸢buʔisa⸣naki](地)大石垣。石垣島。歌謡語。「⸢ウフイシャナギゥ[⸢ʔuɸuʔiʃanagï](大石垣。石垣集落の美称)」(古謡『まやーゆんた』)の転訛したもの
ウブイマーキ [ʔu⸢buimaː⸣ki]覚えかねて。なかなか記憶することが出来ないで。
ウブイユースン [ʔu⸢buijuː⸣suŋ]他動覚えることが出来る。「覚え得る」の義。{⸣ウブーン[⸣ʔubuːŋ](覚える)の連用形に⸢ユー⸣スン[⸢juː⸣suŋ](~得る)が付いて合成された複合動詞(派生動詞)}。
ウブイルン [ʔu⸢bui⸣ruŋ]他動覚える。記憶する。
ウブウシ [ʔu⸢bu⸣ʔuʃi]大臼。大きな臼。ウ⸢シェー⸣マ[ʔu⸢ʃeː⸣ma](小さな臼。蒲鉾を作る際に用いる小臼)の対義語。米を搗いて精米するのに用いる木の臼。⸣ウシ[⸣ʔuʃi](臼)の項参照。
ウブウスマイ [ʔu⸢bu⸣ʔusumai]曽祖父。ひいじじ。ひいじいさん。「大御主前」の義。石垣方言からの借用語。ウ⸢ブアブ⸣ジ[ʔu⸢buʔabu⸣ʤi](曽祖父)のこと。
ウブウタ [ʔu⸢bu⸣ʔuta]沖縄の古典音楽。荘重で本格的な歌謡。節歌。古典民謡の楽譜工工四に採譜されている本格的な歌。軽快な民謡に対して荘重なメロディーの古典音楽に対していう。「大歌」の義。ウ⸢ブ⸣ウタ[ʔu⸢bu⸣ʔuta]には、ウ⸢ブブドゥ⸣ル[ʔu⸢bubudu⸣ru](古典舞踊)を伴うのが普通である。
ウブウドゥキ [ʔu⸢buʔudu⸣ki]大欠損。大損。大損害。
ウブウヤーリ [ʔu⸢buʔujaːri]大声で叫ぶこと。怒鳴ること。
ウブウヤビ [ʔu⸢buʔuja⸣bi]親指。
ウブカカン [ʔu⸢bu⸣kakaŋ]{下裳}{シタ|モ}。大きなひだ(襞)をとった女性の下着用の腰巻。古典舞踊のパ⸢トゥ⸣マナカムリ[pa⸢tu⸣manakamuri](鳩間中岡)や⸢クンノー⸣ラ[⸢kunnoː⸣ra](古見の浦)、ユ⸢チダキ[ju⸢ʧidaki](四つ竹)などの古典舞踊の衣装として着用される
ウブカジ [ʔu⸢bukaʤi]台風。暴風。「大風」の義。⸢ウーカジ[⸢ʔuːkaʤi](台風)ともいう。
ウブガマジ [ʔu⸢bugama⸣ʤi]礼装用の婦人の大{髷}{マゲ}。
ウブカマチ [ʔu⸢bukama⸣ʧi]大きな竈。
ウブギ [ʔu⸢bu⸣gi]おかげ。⸢ブン⸣ギ[⸢buŋ⸣gi](恩義)に接頭語⸢ウ[ʔu](御)が上接して転訛したもの。ミ⸢ブ⸣ギ[mi⸢bu⸣gi](お陰。御恩義)ともいう。「キミヌ ミブキン タレアマリ/カミン フトゥキン ウハチアギ/スヌヌ アマリヤ イタダケリ」(君主<国王>の御恩義が民に垂れ溢れ<余り>、神にも仏にも収穫のお初を供え、その残りは頂いた)」(『鳩間口説』第八連)とうたわれている
ウブキー [ʔu⸢bu⸣kiː]大木。ウ⸢ブキー⸣ムトゥ[ʔu⸢bukiː⸣mutu]ともいう。
ウブキザル [ʔu⸢bukiʣa⸣ru]大行事。⸣ソンガチ[⸣soŋgaʧi](正月)、⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)、ジ⸢ル⸣クンチ[ʤi⸢ru⸣kunʧi](十六日祭)、⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)、キ⸢チゴン[ki⸢ʧigoŋ](結願祭)などの祭祀行事をいう。その他は普通のキ⸢ザル[ki⸢ʣaru](年中行事)である。
ウブキナイ [ʔu⸢bu⸣kinai]大所帯。
ウブキム [ʔu⸢bu⸣kimu]大胆。「大胆(おおきも)」の義。
ウブクイ [ʔu⸢bu⸣kui]大声。
ウブグシ [ʔu⸢bu⸣guʃi]祈願用、祝儀用の神酒。「大御酒」の義。カ⸢ザリクビン[ka⸢ʣarikubiŋ](飾り瓶子、とくり)に入れた神酒。瓶の蓋は紅白の紙を三角に折り、紅に白色が重ねて出るように作られている。
ウブグヮンス [ʔu⸢bugwan⸣su]先祖伝来の大位牌。「大元祖」の義。ウ⸢ブイー⸣パイ[ʔu⸢buʔiː⸣pai](大位牌)ともいう。巾約2センチ、長さ約10センチの木牌を、二段の木製の枠に嵌め込んだ位牌のこと。
ウブザー [ʔu⸢bu⸣ʣaː]大きな座敷。大広間。「大座」の義。ウ⸢ブ⸣ザー ピ⸢ス⸣サー[ʔu⸢bu⸣ʣaː pi̥⸢su⸣ʣaː](大座敷、広座敷)のように用いられる。
ウブザー [⸣ʔubuʣaː]親族名称。長兄を表す、ウ⸢ボー⸣ザ[ʔu⸢boː⸣ʣa](長兄<大兄>)の訛った形。
ウブジ [ʔu⸢bu⸣ʤi]親族名称。祖父母の長兄をいう。呼称は、ウブ⸢ジェー[ʔubu⸢ʤeː]という。
ウブジー [ʔu⸢bu⸣ʤiː]西表島。「大地」の義。
ウブシキ [ʔu⸢bu⸣ʃiki]満月。「大月」の義。ウ⸢ブシキンガナ⸣シ[ʔu⸢buʃikiŋgana⸣ʃi](大月様)ともいう。
ウブシキン [ʔu⸢bu⸣ʃi̥kiŋ]広い世間。「大世間」の義。
ウブシキンガナシ [ʔu⸢buʃi̥kiŋgana⸣ʃi]満月様。「大月加那志(大月様)」の義。皓々と照り輝く満月には神が宿ると信じられていた。満月の神格化表現。旧暦の十五夜には供物のフ⸢チャ⸣ギ[ɸu̥⸢ʧa⸣gi](吹上餅、俵型の餅に煮た小豆をまぶしたもの)とフ⸢カン⸣ガイ[ɸu̥⸢kaŋ⸣gai](どろどろに煮た餅)を供え、健康祈願をした。これをシ⸢キマチ⸣ル[ʃi̥⸢kimaʧi⸣ru](月祀り)という。子守唄にも/アールカーラ アーリオール ウブシキンガナシ ウキナーン ヤイマーン ティラショーリ ホーオーイーチョーオーガー(東方から上がって来られる大月加那志<お月様>、沖縄も八重山も照らしてください。ホーイチョーガ<囃子>)/と歌われている
ウブシケー [⸣ʔubuʃi̥keː]大城家本家(当主、大城博氏)の屋号。大城博氏の童名はア⸢ガイ⸣サー[ʔa⸢gai⸣saː]。父親の大城安正が早世したので母親のサカイに育てられ、叔父の加治工伊佐の協力を得て成長した。戦後富里キクと結婚し長男肇(琉球大学教授。副学長、学長)、次男學(琉球大学教授)、覚(中学校長)を育てた。また、大城博氏夫妻は、長年鳩間島で里親として沖縄本島から来た子供を育てて鳩間小中学校の維持発展に協力した。
ウブシケーヌ ヤシキ [⸣ʔubuʃi̥keːnu ⸢jaʃi̥⸣ki]屋敷名。「大城家の後ろの空き屋敷」の義。
ウブシケーマ [ʔubuʃi̥⸢keː⸣ma]おはじき。サザエ貝の蓋。直径約2,5センチで半球形の石。地面に碁盤目を描き、対面して碁盤目の上を交互におはじきを弾き、領地を増やすゲーム。ジャンケンでプレーを開始し、最初のプレーヤーのおはじきが碁盤の線上にかかったら相手と交替する。
ウブシマ [ʔu⸢bu⸣ʃima]大きな島。石垣島。
ウブシラ [ʔu⸢bu⸣ʃira]大きな顔。「大面(おおつら)」の義。
ウブシラ [ʔu⸢buʃira]大きな稲叢。刈り取った稲を脱穀しないで、藁の付いたまま庭に積んで保存してあるもの。庭の前に一間四方、高さ約50センチの礎を据え、それに床を張り、筵を敷いて稲束を半球形に積み上げ、頂上をトゥ⸢マー[tu⸢maː](茅の苫)で葺いた稲叢。
ウブジン [ʔu⸢bu⸣ʤiŋ]大金。
ウブジン [ʔu⸢buʤiŋ]大きなお膳。「大膳」の義。
ウブシンカ [ʔu⸢buʃiŋka]大人数。大勢の人。大家族。多数の乗組員。「多臣下」の義。
ウブス [ʔu⸢bu⸣su]海水。潮水。塩水。「潮、~海水朝夕来云、宇之保(うしほ)」『和名抄』の転訛したもの。
ウブスーチズー [ʔu⸢busuː⸣ʧiʣuː]大潮。干満の差の大きな干潮。旧暦三月三日の大干潮の起こる時期。「大潮引潮」の義か。
ウブスディ [ʔu⸢bu⸣sudi]広袖。「大袖」の義。
ウブスブットゥ [ʔu⸢bu⸣subuttu]大怠け者。大の無精者。
ウブスン [ʔu⸢busuŋ]大損。大欠損。⸢ウーズン[⸢ʔuːʣuŋ](大損)ともいうが、普通はウ⸢ブスン[ʔu⸢busuŋ]という。
ウブソッコー [ʔu⸢busok⸣koː]二十五年忌以上の法事。大法事。「大焼香」の義。
ウフダキ [ʔu⸢ɸu⸣daki](地)大岳。小浜島の中心にある山。/小浜ティル 島(シゥマ)ヤ 果報(カフ)ヌ 島ヤリバ 大岳(ウフダギ)バ クサディ 白浜(シルパマ)前(マイ)ナシ/大岳(ウフダギ)ニ登(ヌブ)ティ ウシ下(クダ)シ見リバ 稲粟(ィニァヮ)ヌ稔(ナォ)リゥ 弥勒世果報(ミルクユ ガフ)/「小浜節」(『八重山民謡誌』)
ウブタク [ʔu⸢bu⸣taku](動)オオダコ(大蛸)。幼児語では、大きな男根、おちんちん。
ウブタニ [ʔu⸢bu⸣tani]大きな男根。ウ⸢ブ⸣マラ[ʔu⸢bu⸣mara](大きな摩羅、魔羅)ともいう。⸣マラ[⸣mara]は大人の男根に対して用いる。
ウフタヌ マツテー [ʔu⸢ɸu̥ta⸣nu ma⸢ʦu⸣teː]屋号。大田守清氏宅。
ウフタンヤー [ʔu⸢ɸutaŋ⸣jaː]屋号。大田守太郎氏宅。鳩間村の⸢アンウムラ[⸢ʔannumura](東村)二班の一等奥の、⸢アンヌカー[⸢ʔannukaː](東の村井戸<下り井戸>)の近く(南側)にあった家
ウブチョーチン [ʔu⸢buʧoː⸣ʧiŋ]大きな提灯。カ⸢ザリチョーチン[ka⸢ʣariʧoːʧiŋ](飾り提灯)ともいう。お盆の時に仏壇の前に吊るして飾り、それに蝋燭を灯して祖霊を迎える。
ウフッ [ʔu⸢ɸuʔ]{呪}{マジナ}いのことば。子供が転んで怪我をしたとき、患部に親がフッと息を吹きかけて発する言葉。
ウブッカル [ʔu⸢buk⸣karu]陽光。「大きな明かり」の義。「ウブ(大)・アカル(明かり)」の転訛したもの。新生児を初めて産屋から出して太陽光を拝ませる際に言う。
ウブッカル ウガマシ [ʔu⸢buk⸣karu ʔu⸢gama⸣ʃi]太陽の初拝み。産婦と新生児が誕生後十日目に無事に産屋から出して太陽光を拝ませる儀式。その際、祖母が⸢ピング[⸢piŋgu](鍋墨。⸢竃黒」の義か)を新生児の眉間か額につけ、稲藁のサンを新生児の胸元に置いた。これを、⸢パン⸣ シ⸢キ⸣ルン[⸢paŋ⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ](判をつける)という。それによって、新生児が悪霊に取り付かれることはなく、無事に当家の子供として守護されると信じられている。また、男児の場合弓と矢のミニチュアを作り、女児の場合は⸣ナビシケー[⸣nabiʃi̥keː](鍋敷き)とイ⸢ビ⸣ラ[ʔi⸢bi⸣ra](大杓文字)のミニチュアをかざし(翳し)ながらナ⸢カグス⸣ク[na⸢kagusu⸣ku](ひんぷん。目隠しの石垣)を回ってミニチュアを玄関の軒に差しておいた。
ウブッス [ʔu⸢bu⸣ssu]{PoS_1}「大糞」の義。大きな糞。
ウブッス [ʔu⸢bu⸣ssu]{PoS_2}否だ。あかんべえ。
ウブッふァイダマ [ʔu⸢buffai⸣dama]大の食いしん坊。大変な卑しいん坊。
ウブティダ [ʔu⸢bu⸣tida]太陽。「大天道」の義。ア⸢ガティダ[ʔa⸢gatida](真っ赤な太陽。灼熱の太陽)の対語。
ウブティン [ʔu⸢bu⸣tiŋ]天。大空。「大天」の義。
ウブトゥー [ʔu⸢bu⸣tuː]大海。大海原。海峡。「~明石大門<アカシオホト>に~。万、254」の「大門<オホト>」から転訛したもの。
ウブドゥー [ʔu⸢bu⸣duː]大きな体。胴体。「大胴」の義。
ウブドゥマル [ʔu⸢buduma⸣ru](地)「大泊」と表記されている。旧鳩間小学校跡地(現公民館)から現鳩間小中学校に至る海岸一帯の地名。
ウブトゥムル [ʔu⸢butumuru]⸢友利御嶽」。歌謡語。日常は、⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](上の御願<御嶽>)、ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](本御願<御嶽>)という。ウ⸢ブトゥム⸣ル[ʔu⸢butumu⸣ru](大友利<御嶽>)が転訛したもの。国語のイ段音に対応する石垣方言は中舌母音[i̥]であるが、鳩間方言の母音は、その中舌母音[i̥]が音韻変化(弱化)して[u]となる。/ヘイヤー ウブトゥムル ホー マブルシュー(ヘイヤー<囃子>大友利御嶽の、ホー<囃子>守護神様)/ヘイヤー ウブシクヌ ホー ウヤンガミ(ヘイヤー 大底のホー 親神様)/ヘイヤー ウユミサ ホー アラバン ヘイヤー ナユミサ ホー アラバン(ヘイヤー畏れ多くあっても、ヘイヤー勿体無いことであっても)/ヘイヤー ウスバユティ ホー ウガマ ヘイヤー チカクユティ ホー ウガマ/(ヘイヤーお側に寄って拝もう、ヘイヤーお近くに侍って拝みましょう)「豊年祭の歌」
ウブナカラ [ʔu⸢bunakara]大半。七割程度。
ウブナクラーン [ʔu⸢bunakuraː⸣ŋ]そら恐ろしい。大変怖い。
ウブナビ [ʔu⸢bu⸣nabi]大鍋。三升炊き以上の大きな鍋。ナ⸢ベー⸣マ[na⸢beː⸣ma](小鍋)の対義語。普通の家では⸣ビーナビ[⸣biːnabi](注ぎ口のある鍋)、⸢ティー⸣ナビ[⸢tiː⸣nabi](柄の付いた鍋。シ⸢ルナビ{SqBr}ʃi⸢runabi{/SqBr}<弦鍋>ともいう)を使用していた。⸣ヨイ[⸣joi](祝儀、祝い)や⸢ソッ⸣コー[⸢sok⸣koː](法事、焼香)など、大量の炊飯をする場合に⸢シンメー⸣ナビ[⸢ʃimmeː⸣nabi](四枚鍋)のウ⸢ブ⸣ナビ[ʔu⸢bu⸣nabi](大鍋)を用いた。イモを大量に煮るときもウ⸢ブ⸣ナビを用いた。
ウブナン [ʔu⸢bunaŋ]大波。津波。
ウブニチ [ʔu⸢buniʧi]高熱。高い熱。「大熱(だいねつ)」の義。
ウブニンズ [ʔu⸢buninʣu]大人数。多人数。⸢ウーニンズー[⸢ʔuːninʣuː](大人数)ともいう。
ウブニンズー [ʔu⸢buninʣuː]大人数。多人数。⸢ウーニンズー[⸢ʔuːninʣuː](大人数)ともいう。
ウブニンズヤー [ʔu⸢buninʣujaː]大家族。大人数の家。
ウブヌー [ʔu⸢bu⸣nuː]大野。大きな野原。
ウブヌシトゥル [ʔu⸢bunuʃi⸣turu]大盗人。
ウブヌミ [ʔu⸢bunumi]たくさん飲むこと。暴飲。「大飲み」の義。
ウブバーキ [ʔu⸢bubaː⸣ki]大きな竹製の{笊}{ザル}。
ウブバカヤー [ʔu⸢buba⸣kajaː]屋号。「大若家」と表記されていたという。加治工太郎氏宅。鳩間村第四班の中心部に位置する。語源は、オオハカ(大捗)。⸢秋の田の吾が刈りばか<婆可>の~。万、2133」の「ハカ(捗)」、「稲を植えた一定の広さ」の義が転訛したもの。昔、「大若家」の者が公用で首里に上った際、偶々ある家の⸣ゾーンタヤー[⸣ʣoːntajaː](屋根付きの門)で雨宿りをしていたところ、その家の主人に姓名を問われて八重山鳩間島のウ⸢ブバ⸣カヤーの者と答えたところ、一門であることが判明し、歓待されて帰ったという(加治工ムヲシャ。大城サカイ。宮良ヲナリ。1958年調査)伝承がある
ウブパク [ʔu⸢bu⸣pḁku]大きな箱。「大箱」の義。パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)の対義語。
ウブバサ [ʔu⸢bu⸣basa]糸芭蕉。
ウブバタ [ʔu⸢bu⸣bata]{1}大きな腹。大食漢。
ウブバタ [ʔu⸢bu⸣bata]{2}妊娠すること。
ウブバタ [ʔu⸢bu⸣bata]{3}大腸。
ウブパタ [ʔu⸢bu⸣pḁta]大きな旗。「大旗」の義。
ウブパナ [ʔu⸢bu⸣pana]神前に供える白米。ウ⸢ブパナン⸣グミ[ʔu⸢bupanaŋ⸣gumi](大初米)の義。四段重ねの上段の重箱の内側に紅白の{甲立}{コウ|ダテ}<饗立>を立てて白米を盛り上げた神前の供物。正月や米寿等の大きな祝儀に床の間に供える。
ウブバライ [ʔu⸢bu⸣barai]大笑。爆笑。
ウブパン [ʔu⸢bu⸣paŋ]象皮病で太くなった足<脛>。大きな足<脛>。「大脛」の義。
ウブビー [ʔu⸢bu⸣biː](海底地名)。西表島北岸の⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)の北にある⸢イー⸣シビー[⸢ʔiː⸣ʃibiː](角又を養殖した干瀬)の一つで、フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma](小津口)に面した東側の干瀬の名。ここに養殖された角又は、小浜島のク⸢バザキ[ku⸢baʣaki](久場崎)とカ⸢ビ⸣ラ[ka⸢bi⸣ra](川平)から移植されたものという。
ウブピー [ʔu⸢bu⸣piː]大きな屁。大きな音のおなら。
ウブピサ [ʔu⸢bu⸣pi̥sa]大きな脚。フィラリアに罹患した女性の脚。象皮病。ウ⸢ブ⸣パン[ʔu⸢bu⸣paŋ](大脚)と同じ。
ウブピバチ [ʔu⸢bupiba⸣ʧi]大きな火鉢。「大火鉢」の義。縦約50センチ、横約70センチの木箱に、中央部に約30センチ四方の灰入れの小箱を作って据え、両脇に引き出しをつけて小物が収納できるようにした火鉢。老人のいる限られた裕福な家で用いられた。陶器製の大きな火鉢もあった。
ウブふァイ [ʔu⸢bu⸣fai]食べ過ぎ。「大食い(おおくらい)」の義。
ウブフイ [ʔu⸢buɸui]大降り。本降り。激しい降雨。
ウブフクビ [ʔu⸢buɸu̥ku⸣bi]ティ⸢ジリ⸣ビ[ti⸢ʤiri⸣bi](男性の神人。男性神職者)の用いる帯。「大帯」の義。
ウブブサーラ [ʔu⸢bubusaː⸣ra]巨漢。大男。
ウブブシ [ʔu⸢bu⸣buʃi]古典民謡の歌曲。本格的な歌曲で歌の名に「節(曲名)」がつく。「大節」の義。
ウブプス [ʔu⸢bu⸣pu̥su]大人。成人。「大人(おおひと)」の義。
ウブプス マープス [ʔu⸢bu⸣pu̥su ⸢maːpu̥su]真の大人。心身共に成熟した大人。「大人真人」の義。ABCDEFCD型の重言。大人を強調していう表現。
ウブプスムニ [ʔu⸢bupusu⸣muni]大人の言葉遣い。大人の言葉。
ウブフチ [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi]{1}大きい口。
ウブフチ [ʔu⸢bu⸣ɸu̥ʧi]{2}大言壮語。法螺吹き。
ウブブッツ [ʔu⸢bubut⸣ʦu]でべそ。「大臍」の義。⸢ティンブッツ[⸢timbutʦu](でべそ)を多用する。
ウブブドゥル [ʔu⸢bubudu⸣ru]古典舞踊。本格的な踊り。「大踊り」の義。
ウブフニ [ʔu⸢bu⸣ɸuni]本船。大船。
ウブブラー [ʔu⸢bu⸣buraː]図体ばかりが大きくて仕事をしない怠け者。仕事もしないでぶらつく間抜け者。
ウブブンギ [ʔu⸢bubuŋ⸣gi]大恩義。大恩。
ウブマイ [ʔu⸢bu⸣mai](地)「大前」と表記されている。ナ⸢カン⸣ブレー[na⸢kam⸣bureː](中岡)とパ⸢カヤマ[pḁ⸢kajama](墓山)の南側の畑地一帯。
ウブマシ [ʔu⸢bu⸣maʃi]大きな田圃。「おおます(大桝)」の義。マ⸢シェー⸣マ[ma⸢ʃeː⸣ma](小さな田圃)の対義語。
ウブマタ [ʔu⸢bu⸣mata]大股。大きな歩幅。⸢ウーマタ[⸢ʔuːmata](大股)ともいう。
ウブマタ [ʔu⸢bumata]大股。歩幅の広いこと。⸢ウーマタ[⸢ʔuːmata](大股)ともいう。
ウブミーアン [ʔu⸢bu⸣miːʔaŋ]大目の網。目の大きな網。ヤ⸢シ⸣ミーアン[ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ](八十目網)ともいう。
ウブミジ [ʔu⸢bu⸣miʣi](地)大見謝川。西表北岸の南ヨシキラとケーダの中間を流れる川。西側訳50メートルの所ににケーダ川の川口が、東側約30メートルの所に⸢ユシ⸣キダミナトゥ[⸢juʃi̥⸣kidaminatu](ヨシキラ港)がある。昔は夏に旱魃が続くと、ウブミジ(大見謝川)から水を汲んで鳩間島に運んだ。「水量の多い川」の義。この川は大雨の時には越えられないほどの激流となる。古見岳に降る雨が急勾配の山間の谷間を流れ落ちるからであろう。人々は干潮を待って砂浜から歩いて渡った。
ウブミチ [ʔu⸢bu⸣miʧi]大きな道。大道。村中の道。
ウブムカシ [ʔu⸢bumuka⸣ʃi]大昔。⸢ウームカシ[⸢ʔuːmukaʃi](大昔)ともいう。
ウブムニ [ʔu⸢bu⸣muni]{大口}{オオ|クチ}。大言。法螺吹き。
ウブムラ [ʔu⸢bu⸣mura]大きな村。
ウブモーキ [ʔu⸢bumoːki]大儲け。
ウブヤー [ʔu⸢bu⸣jaː]母屋。「大きな家」の義。⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](台所小屋)の対義語で、{主家}{オモ|ヤ}のこと。田の字型の間取り構造が主で、南面に表座敷を、北面に裏座敷をつくる。表座敷には一番座、二番座、三番座を配置する。一番座は客間、二番座は仏間、三番座は居間として用いられるのが普通であった。一番裏座は男の子の部屋、二番裏座は物置として、または穀物、味噌類の保管場所として利用されたり、産屋として利用されたりした。明治末期から瓦葺の家が造られるようになった。母屋の三番座の西側にはナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](土間)を設け、西壁側に粘土でカ⸢マチ[ka⸢maʧi](竈)を設置し、竈の上にタ⸢ム⸣ヌダナ[ta⸢mu⸣nudana](薪棚)を設置して生木の燃料、薪を積み上げ、乾燥した下の薪から順に抜き取って燃やすのが一般であった。
ウブヤーニンズ [ʔu⸢bujaːnin⸣ʣu]大家族。
ウブヤツ [ʔu⸢bu⸣jaʦu]{1}治療用の大きなお灸。
ウブヤツ [ʔu⸢bu⸣jaʦu]{2}厳しく懲らしめること。大きな罰を与えること。
ウブヤッコン [ʔu⸢bu⸣jakkoŋ]{1}大きな薬缶。
ウブヤッコン [ʔu⸢bu⸣jakkoŋ]{2}大きな睾丸。
ウブヤフ [ʔu⸢bu⸣jaɸu]大厄。大きな災い。ウ⸢ブ⸣ヤク[ʔu⸢bu⸣jaku](大厄)ともいう。
ウフヤマトゥ [ʔu⸢ɸujama⸣tu]大大和。日本国。歌謡語。/ウフヤマトゥ ハズミヨーリヨウ カンヤマトゥ ハズミヨウリヨウ ハーリ アミタボリ リューガナシ/(大大和の国から始めて下さい、神大和の国から始めてください。ああ、雨を下さい<賜れ>竜神様)「雨乞い歌。ハヤミク」 
ウブヤマトゥ [ʔu⸢bujama⸣tu]日本本土。「大大和」の義。
ウブヤマング [ʔu⸢bujamaŋ⸣gu]大変な腕白者。悪戯で言うことを聞き入れない悪童。
ウブヤン [ʔu⸢bujaŋ]大病。「大病み(おおやみ)」の義。
ウブユクジン [ʔu⸢bujuku⸣ʤiŋ]大欲張り。強欲な人。
ウブンーミー [ʔu⸢buʔmː⸣mi]曾祖母。石垣方言からの借用語。「大祖母」の義。
ウブンガイ [ʔu⸢buŋ⸣gai]胃袋。特に牛や豚、猪などの胃袋をいう。
ウベー [ʔubeː]それだけは。指示代名詞⸣ウビ[⸣ʔubi](それくらい。その程度。分量を表す)に取立ての係助詞⸣ヤ[⸣ja](は)が付いて、?ubi+ja(は)→ [ʔubeː](それだけは)と音韻変化したもの。対義語は、⸣クベー[⸣kubeː](これだけは)。
ウボー [⸣ʔuboː]いべ。「威部」の義。⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽。御願。<拝み>の転訛か)の内部にある最も神聖な場所。御神体が安置されているという。サ⸢カサ[sa⸢kasa](司、神女)以外の人はそこへ入ることが厳禁されている。ウボーには香炉があり、神の依代とされる巨木や岩がある。周りに神木のクバ(蒲葵、びろう)や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ)が密生している。台風などで倒木があるときなど、特に必要があって男性(ティジリビ)などがそこへ行く時は、褌の前を垂らして、無分別者であることを装う必要があるという。
ウボーザ [ʔu⸢boː⸣ʣa]長兄。ウ⸢ブアー⸣ザ[ʔu⸢buʔaː⸣ʣa](おおあに<大兄>)の融合転訛した形。⸣ナカザ[⸣nakaʣa](中兄)、アー⸢ザ⸣マ[ʔaː⸢ʣa⸣ma](末の兄)の上の兄。親族名称、呼称にいう。
ウボーダ [ʔu⸢boː⸣da](地)西表島北岸の上原の西に位置する地名。現在の中野集落一帯。この一帯からは、戦前から戦後の一時期にかけてシ⸢キ⸣タン[ʃi̥⸢ki⸣taŋ](石炭)が採掘された。そこから採掘された石炭を、台湾航路の定期船⸢ゾーキ[⸢ʣoːki](蒸気船)は白浜港で補給した。ウ⸢ボー⸣ダには、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)、⸢トゥー⸣ジェー[⸢tuː⸣ʣeː](通事家)、イ⸢ラ⸣ブレー[ʔi⸢ra⸣bureː](西原家)、⸣ナラシケー[⸣narasi̥keː](成底家)、⸢ウフタン⸣ヤー[⸢ʔuFu̥taŋ⸣jaː](大田家)等の水田があった。現在の中野集落は戦後宮古島からの移民が中心となって形成された集落である
ウボーッパ [⸣ʔuboːppa]祖父母の長姉の親族名称、親族呼称いう。[ʔu⸢bu⸣・ʔappa] → [⸣ʔuboːppa] のように融合変化したもの。
ウボーッパー [⸣ʔuboːppaː]祖父母の長姉、⸣ウボパー[⸣ʔubopaː](大祖母<親族名称・呼称>)ともいう。親族名称、親族呼称共に、ウ⸢ブ⸣・アッパ[ʔu⸢bu⸣・ʔappa](大・祖母)が融合同化して形成されたもの。
ウボーマ [⸣ʔuboːma]長姉。親族名称、呼称。「大姉」の転訛したもの。明治生まれの古老の言葉。⸣ウボンマー[⸣ʔubommaː](長姉)とも言う。若年層は⸢ホン⸣マ[⸢hom⸣ma](長姉)という。
ウボマー [⸣ʔubomaː]最年長の伯母。「大伯母」の義。名称、呼称。ウ⸢ブ⸣アンマー[ʔu⸢bu⸣ʔammaː](最年長の姉)の転訛したもの。
ウボヤー [⸣ʔubojaː]最年長の伯父。大伯父。ウ⸢ブアー⸣ヤ[ʔu⸢buʔaː⸣ja](大きい父)の融合転訛したもの。親族名称、呼称にもいう。
ウボン [⸣ʔuboŋ](植)黍。唐黍。トウモロコシ。「大・黍」の転訛したものか。若年層は⸣キン[⸣kiŋ](黍。「きみ<黍>。梨棗 寸三二<キミニ>粟つぎ~。万、3834」の転訛か)という。
ウボンザラ [⸣ʔubonʣara]飯碗。木製の椀をいう。陶器の碗は、マ⸢カ⸣ル[ma⸢ka⸣ru](お碗)という。木製の椀は法事やお盆のときに、祭祀用に使用していた。「御飯・皿」の転訛したもの。日常生活ではマ⸢カ⸣ルを使用していた。
ウボンダマ [⸣ʔubondama](動物)くも(蜘蛛)。ハエトリグモ。老年層のことば。