鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
[⸣ra]格助~から。{1}空間的な出どころ<起点>を表す。カラ[kara](から)→ ハラ[hara](から)→ [⸣ra](~から)のように音韻変化したもの。
[⸣ra]格助{2}時間的な基点を表す(~から)。
[⸣ra]格助{3}比較の基準を表す(~から。~より)。
[⸣ra]格助{4}手段を表す(~で。~から)。
ラー [⸣raː]接助~と。~すると。*[kara] → *[hara] → [raː] のように音韻変化したもの。動詞の已然形について確定条件を表す。
ラーシーラーシー [raː⸢ʃiːraːʃiː]立派に。きちんと。それらしく上等に。若年層は、ダー⸢シーダーシー[daː⸢ʃiːdaːʃiː](立派に。きちんと。それらしく)ともいう。
ラーッサン [⸢raːs⸣saŋ]優れている。良い。立派である。「それらしい。~らしくある」の転訛か。上等である。老年層は、⸢ダーッ⸣サン[⸢daːs⸣saŋ](立派である)という。
ラーッサン [⸢raːs⸣saŋ]接尾~らしい。~相応しい。「らしさあり」の義。
ラク [⸣raku]{1}楽。心身が安らかで楽しいこと。
ラク [⸣raku]{2}たやすいこと。やさしいこと。
ラクダイ [ra⸢kudai]落第。鳩間島に学校教育が開始された明治29年以降に借用された語。⸢キュウダイ[⸢kjuːdai](及第)の対義語。
ラクラクートゥ [ra⸢kurakuː⸣tu]楽々と。ゆったりして。安らかに。「Racuracuto.ラクラクト(楽々と)心のままに、あるいは、安らかに.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ラッキョー [⸢rak⸣kjoː]らっきょう(薤)。ユリ科ネギ属の多年生作物。地下に白色の{鱗茎}{リン|ケイ}をつくる。独特の臭気を有するが、[g]{大蒜}{ニンニク}ほどの{臭気}{シュウ|キ}はない。鱗茎を{甕}{カメ}に入れ、塩漬けにして保存した。
ラリン [⸢ra⸣riŋ]助動~られる。カ変、サ変動詞⸢スン[⸢suŋ](する)の連用形シ[ʃi](せ<為>)について、受身、可能、自発の意味を表す。
ランガサ [⸢raŋga⸣sa]こうもり{傘}{カサ}。洋式の傘。首里方言の⸢ランガサ[⸢raŋgasa]({蘭傘}{ラン|ガサ})からの借用語。⸢ダンガ⸣サ[⸢daŋga⸣sa](こうもり傘)ともいう。男子のハイカラの象徴とされていた。普通は、⸣サナ[⸣sana](傘。{蛇}{ジャ}の{目傘}{メ|ガサ})という。
ランプ [⸣rampu]ランプ(lamp<洋灯>オランダ語からの借用語)。石油ランプ。⸣ダンプ[⸣dampu](洋灯)ともいう。老年層は⸢トゥー⸣ル[⸢tuː⸣ru]({灯籠}{トウ|ロウ})という。
ランボー [⸢ram⸣boː]{乱暴}{ラン|ボウ}。{粗暴}{ソ|ボウ}なこと。暴力を働くこと。荒々しい振る舞いをすること。標準語からの借用語。普通は⸢ダン⸣ボー[⸢dam⸣boː](乱暴)という。
ランボームヌ [⸢ramboː⸣munu]乱暴者。「乱暴する者」の義。⸢ダンボー⸣ムヌ[⸢damboː⸣munu](乱暴者)ともいう。⸣ボーキラー[⸣boːkiraː](乱暴者)の類義語。