鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
シザ [⸣ʃiʣa]年上(の者)、年長(者)「せさ(兄)」『おもろさうし辞典・総索引』、「sinca」『語音翻訳』。親族名称。「'u-ra sin-ca 'a-ri」(汝兄あるか)「語音翻訳」『海東諸国紀』(岩波書店)の「sin-ca」、「先札」『琉球館訳語』、「先牝」『音韻字海』、「先之」『中山伝信禄』、「せざ」『おもろ。2-608』。「すざへ 兄の事也。惣して我より長しき方は俗に斯申也」『混効験集(坤・人倫)』と関係ある語。アー⸢ザ[ʔaː⸢ʣa]は、「兄」の名称、呼称。
シザウシトゥ [⸣ʃiʣauʃi̥tu]{1}兄弟、姉妹。「兄姉・弟妹」の義。
シザウシトゥ [⸣ʃiʣauʃi̥tu]{2}兄と弟(姉と妹)。
シザウシトゥ [ʃiʣa⸢ʔuʃi⸣tu]兄弟。
シザウヤ [⸣ʃiʣaʔuja]両親亡き後、伯父、伯母、叔父、叔母、兄、姉を敬っていう語。親代わり。「兄親」の義か。
シザガタ [⸣ʣiʣagata]年長者。年長者の方々。沖縄本島方言からの転訛。⸢クリヤ クヌム⸣ラ トゥシ⸢ヌ シザガタ⸣ ワン⸢ドゥ⸣ ダヤビル~(罷り出でたる<これ>はこの村の長老、私でございます)のように唱える。「ザーピラキ」『鳩間島古典民謡古謡集』
シザガタ [ʃi⸢ʣa⸣gata]年輩。年輩方。年寄り方。芸能用語。沖縄本島方言からの借用語。/クリヤ クヌムラ トゥシヌ シザガタ ワンドゥダヤビル カク ウジガミヌ ウマムイ ウタビミショーチ ブラクミン カラダケンコウ ウタビミソーティ~/(罷り出でたる<此なるは>は、此村の年寄り方は、この私であります。斯くの如く氏神様が御守護くださいまして、部落民の体の健康を賜りましたので~)。狂言「ザーピラキ」『鳩間島古典民謡古謡集』
シザッふァ [ʃi⸢ʣaf⸣fa]長男長女。年上の子。
シザヌ クイ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui]{1}兄の言うこと(兄の声)。シ⸢ザ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸣クイ ウ⸢ヤ⸣ヌ ⸢クイ⸣ヤー ⸢カン⸣ヌ ⸣クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸢kui⸣jaː ʔu⸢ja⸣nu ⸣kui ʔu⸢ja⸣nu ⸢kui⸣jaː ⸢kan⸣nnu ⸣kui](兄の言うこと<声>は親の言うこと<声>と同じ。親の言うこと<声>は神のいうこと<声>と同じだ)諺。
シザヌ クイ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui]{2}念仏歌の一つで、兄の歌(兄の声)。
シザヌ ドゥーパダ [ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣duːpada]人間の体。「衆生」の転訛したものか。祝詞にのみ使われる語
シザバナリ [⸣ʃiʣabanari](地名)。下離。⸢クーラタバル[⸢kuːratabaru](久浦水田地帯)の西端、フ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦湾)に湾入する東端の岬。そこは明治期に炭鉱が開設されたが石炭層が薄いとのことで一時栄えただけで閉山されたところである。地図などでは「インタ崎」と記されているが、鳩間島の人は、⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離れ)という。
シザビキル [ʃi⸢ʣabiki⸣ru]年上の兄。年上の男兄弟の名称。妹の方からいう言葉。
シザビコーンッふァ [ʃi⸢ʣabikoːŋ⸣ffa]長男。年上の男の子。「兄者男の子」の義。
シザブナル [ʃi⸢ʣabuna⸣ru]長女。年上の姉。弟のほうから年上の女兄弟に対していう言葉。
シザブナル [⸣ʃiʣabunaru]年下の兄弟からいう年上の姉妹(ヲナリ)。
シザマ [ʃi⸢ʣama]振舞い。事をなす仕方。所業。「仕様」の義。⸢シーザマ[⸢ʃiːʣama](仕様)ともいう。
シザマリ [⸣ʃiʣamari]長男や長女。「兄者生まれ」の義。⸢ウシトゥ⸣マリ[⸢ʔuʃi̥tu⸣mari](弟妹。「弟生まれ」の義)の対義語。
シザミドーンッふァ [ʃi⸢ʣamidoːŋ⸣ffa]長女。「兄者女ども子」の義か。
シザミドゥナー [ʃi⸢ʣamidu⸣naː]長女。「年長の女」の義。
シザムイサン [ʃiʣa⸢mui⸣saŋ]兄(姉)思いである。兄(姉)を敬い、兄(姉)のことをよく思うこと。
シザンケー [⸣ʃiʣaŋkeː]年上の方々。兄さん方。
シジ [⸣ʃiʤi]{PoS_1}{1}筋。腱。
シジ [⸣ʃiʤi]{2}繊維。
シジ [⸣ʃiʤi]{3}いきさつ。訳。理由。
シジ [⸣ʃiʤi]助数{PoS_2}細長いものを数える単位。すじ(筋)。本。
シジ [⸣ʃiʤi]{PoS_1}粒。
シジ [⸣ʃiʤi]助数{PoS_2}米粒などを数える単位。
シジ [⸣ʃiʤi]{1}血筋。血統。先祖。
シジ [⸣ʃiʤi]{2}霊験。霊威。霊力。オモロ語の「せぢ」に相当する。
シジ [ʃi⸢ʤi](動)魚名。ダツの仲間。和名、トオサヨリ(体長約40センチ)。和名、タイワンダツ(体長約1メートル)。和名、オキザヨリ(体長約1メートル)。和名、テンジクダツ(体長約1メートル)の総称。鳩間島の海岸から磯釣りでよく釣れる。⸢トゥーシジャー[⸢tuːʃiʤaː](ハマダツ。オキザヨリ。体長約1メートル)は沖で釣れるが、磯釣りでも釣れる。秋から冬にかけてよく釣れた。
シジウン [ʃi⸢ʤi⸣ʔuŋ]丸煮した芋。「煎じ芋」の義。
シジカスン [ʃi⸢ʤikasuŋ]他動続かせる。
シジカタ [si⸢ʣi⸣kata]父方の血筋。父系血族。「筋方」の義。
シジカニ [ʃi⸢ʤikani]形動静かに。おだやか(穏やか)に。ひっそりして。動作の激しくないさまを表す。歌謡語。/イヤイヤー ユタカナルユヌ シルシサミエー アミヤ トゥカグシ カジヤ シジカニ シクリムジクイ マンサク ソーリバ~/(いやいや<弥弥>、豊かなる御世の兆候というものだ。雨は十日越しに降り、風は静かに吹いて、農作物は満作して<豊かに実って>おりますので~。)(⸢鳩間口説」。『鳩間島古典民謡古謡集』)
シジガラ [ʃi⸢ʤi⸣gara]茶殻。だしがら(出し殻)。茶の出涸らし。「煎じがら」の転訛したもの。
シシキ [⸢ʃiʃi̥ki]躾け。叩いて躾けること。厳しく躾けること。折檻。
シシキルン [⸢ʃiʃi̥kiruŋ]他動叩いて躾ける。「仕付ける」の義。礼儀作法を身につけさせる。罰を与える。
シジキルン [ʃi⸢ʤikiruŋ]他動続ける。切らずに繋げる。
シジグル [ʃi⸢ʤi⸣guru]煎じ糟。煎じ殻。
シジクン [ʃi⸢ʤikuŋ]自動続く。
シジコーマ [ʃi⸢ʤikoː⸣ma]ゆで卵。煮抜き卵。鶏卵を殻のまま茹でたもの。
シジ サバクン [⸣ʃiʤi sa⸢ba⸣kuŋ]父方血縁の元祖を訪ねも止める。元祖を捜し求める。
シジジル [ʃi⸢ʤi⸣ʤiru]煎じ汁。煮出汁。⸢シンジ⸣ジル[⸢ʃinʤi⸣ʤiru](煎じ汁)ともいう。
シジダカーン [ʃi⸢ʤidakaː⸣ŋ]霊力が強い(セジ高い)。霊験あらたかである。
シジックル [ʃi⸢ʤik⸣kuru]何度も煎じた後の煎じ殻(出し殻)。
シジフチル [ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru]煎じ薬。
シジマルン [ʃi⸢ʤimaruŋ]自動縮まる。縮む。縮こまる。縮んだ状態になる。ス⸢ク⸣マルン[su̥⸢ku⸣maruŋ](竦まる)ともいう。
シジマルン [ʃi⸢ʤi⸣maruŋ]自動静まる。若年層は、シ⸢ズ⸣マルン[ʃi⸢ʣu⸣maruŋ](静まる)という。
シジミチ [⸣ʃiʤimiʧi]筋道。道理。
シジミラリン [ʃi⸢ʤimira⸣riŋ]他動片付けられる。下一段系動詞、シ⸢ジミ⸣ルン[ʃi⸢ʤimi⸣ruŋ](片付ける)の連用形に可能の助動詞⸢ラ⸣リン[⸢ra⸣riŋ](られる)が下接して形成された、可能動詞。
シジミルン [ʃi⸢ʤimi⸣ruŋ]他動片付ける。静める。落ち着かせる。
シジミルン [ʃi⸢ʤimiruŋ]他動縮める。短縮する。
シジュームドゥルチ [ʃi⸢ʤuːmuduru⸣ʧi]四十歳頃に視力が戻ること。
シジリ [ʃi⸢ʤi⸣ri]硯。「Suzuri、スズリ(硯)日本のインク壺」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
シジリカジリ [⸣ʃiʤirikaʤiri]爛れて縮れ{捩}{ヨジレ}れるさま。
シジルン [ʃi⸢ʤi⸣ruŋ]自動{爛}{タダ}れちぢれる(縮れる)。爛れよじれる({捩}{ヨジ}れる)。
シスクン [⸢ʃisu̥kuŋ]他動叩いて躾ける。厳しく躾ける。礼儀作法を身につけさせる。「しつく<下二段活用>」の四段活用動詞化したもの。⸢シシキルン[⸢ʃiʃi̥kiruŋ](厳しくしつける。処罰して教える)ともいう。
シズクン [ʃi⸢ʣu⸣kuŋ]自動後へさがる。後ずさりする。退く。退出する。/ヘイヤー ピナイパナヌ ホー マブルシュー ヘイヤー カンパナヌ ウヤンガミ ヘイヤー ニガウカラ シズカ ヘイヤー ティジルカラ ムドゥラ/(へいやー<囃子>鬚川御嶽の、ホー<囃子>守り神<主> ヘイヤー<囃子>最高神の親神、ヘイヤー<囃子>願ってから退こう、ヘイヤー<囃子>手擦り合わせて退こう<戻ろう>)「ピナイウガン<鬚川御嶽>の歌(豊年祭の歌)」『鳩間島古典民謡古謡集』。
シズマルン [ʃi⸢ʣu⸣maruŋ]自動静まる。落ち着く。平静になる。
シズミルン [ʃi⸢ʣumi⸣ruŋ]他動片付ける。整理する。落ち着かせる。
シズムン [ʃi⸢ʣu⸣muŋ]他動{1}片付ける。整理する。落ち着かせる。
シズムン [ʃi⸢ʣu⸣muŋ]他動{2}手の中に握る。
シズラスン [ʃi⸢ʣura⸣suŋ]他動ずり下ろす。ずらす。
シズリ ウティルン [ʃi⸢ʣu⸣ri ʔu⸢ti⸣ruŋ]ずり落ちる。ずれてさがる。滑りって落ちる。
シズリウトゥン [ʃi⸢ʣu⸣riʔutuŋ]自動ずり落ちる。ずれさがる。滑り落ちる。
シズルン [ʃi⸢ʣu⸣ruŋ]自動ずり落ちる。ずり下がる。垂れ下がる。滑り落ちる。「しずる<垂る>下二段」の転訛したものか。
シズン [⸣ʃiʣuŋ]他動{1}煎じる。薬効のある動植物を湯で煮出す。「煎、センズ」『色葉字類抄』の転訛したもの。
シズン [⸣ʃiʣuŋ]他動{2}豚の脂肉を油鍋で焼いて脂肪を抽出する。絞り出す。
シタ [⸣ʃi̥ta]舌。
シタ [⸣ʃi̥ta]下。歌謡語。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ ハイヤヨーティバ カイダキ ティトゥルトゥ テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡<ナカムリ>に駆け上って、<囃子>南の方はといえば、美しい古見の連山<岳々>が手に取るようで、誠に見事である)(鳩間中岡<ナカムリ>)
シダーシダーシ [ʃi⸢daːʃidaː⸣ʃi]涼しく。ひんやりとして気持ちよく。涼やかに。
シダーシダーシ [ʃidaː⸢ʃidaː⸣ʃi]ひんやりと。涼しく。爽やかに。清清しく。「すずすず<涼涼>、心もすずすずとして『玉塵抄』」の義。
シダースン [ʃidaːsuŋ]他動お洒落をする。着飾る。化粧をする。身なりを整える。装飾を施す。「仕出し」『三体詩抄二ノ二』、「Xidaxi.シダシ(為出し)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
シターマ [ʃi̥⸢taː⸣ma]{1}小さな舌。
シターマ [ʃi̥⸢taː⸣ma]{2}ヌ⸢ドゥ⸣ヌ シ⸢ター⸣マ[nu⸢du⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ma](のどちんこ。口蓋垂。「喉の小舌」の義)
シターマキー [ʃi̥⸢taː⸣makiː](植)和名、エゴノキ。西表島北岸の山林に自生している。鳩間島の人の水田の上流一帯の山林から建築用材の⸣キチ[⸣kiʧi](垂木)材として伐り出したり、薪炭用材として切り出したりした。
シターンティ [ʃi̥taːn⸢ti]すとんと。どんと。物が落ちるさま。物が落ちる音(擬音語)。
シタイ [ʃi̥⸢ta⸣i]でかした。うまくやった。うまく事が運んだ時に言う語。快哉を叫ぶ際に言うことば。「したりがほ<得意顔>『源氏物語(葵)』」の義。シッ⸢タ⸣イ[ʃi̥t⸢ta⸣i](でかしたぞ)ともいう。
シタイヒャー [ʃi̥⸢taiçaː]やったぞ。でかしたぞ。万歳。これはしたり。シッ⸢タイヒャー[ʃi̥t⸢taiçaː]ともいう。
シタウチ [ʃi̥⸢ta⸣ʔuʧi]「舌打ち」。舌背と歯茎ではじき音を作り、鳴らすこと。感激した時や、残念、忌々しいという気持ちを表す。連続して鳴らすときは、「誠に素晴らしい」、⸢誠に残念、誠に忌々しい」などの気持ちをあらわす。
シタギ [ʃi̥⸢tagi]下着。標準語からの借用語。
シダキ [ʃi⸢daki]{PoS_1}先に。先頭に。
シダキ [ʃi⸢daki]{PoS_2}先頭。先。前。
シタク [ʃi̥⸢taku]したく(支度)。準備。用意。
シタクバリムニ [ʃi̥⸢takubari⸣muni]どもり(吃り)。どもること。「舌・こわばり(強張り)・もの言い」の転訛したものか。ン⸢ガニ[ʔŋ⸢gani](吃音)ともいう。
シタクバリムヌ [ʃi̥⸢takubari⸣munu]吃音者。どもり(吃り)。ン⸢ガナー[ʔŋ⸢ganaː](吃り。吃る人)ともいう。
シタクリカークリ スン [ʃi̥⸢ta⸣kurikaːkuri ⸢suŋ]あれこれと用意する。いろいろと工面する。
シタクルン [ʃi̥⸢ta⸣kuruŋ]自動あれこれと用意する。あれこれ準備する。いろいろと工面する。工夫算段する。
シタ コールン [⸣ʃi̥ta ⸢koː⸣ruŋ]「舌が硬くなる<舌強る>」の義。舌がもつれ<縺れ>る。舌が回らなくなる。ろれつ<呂律>が回らなくなる。
シダスン [ʃi⸢da⸣suŋ]他動孵化させる。雛をかえす<孵す>。卵を温めて子<雛や虫>にする。
シタタカ [ʃi̥⸢ta⸣taka]したたか。ひどく。甚だしく。沖縄本島方言からの借用語。
シタダラスン [ʃi̥⸢tadara⸣suŋ]他動滴らせる。垂らす。水などを雫のように垂れ落とす。
シタダル [ʃi̥⸢ta⸣daru]{PoS_1}滴り。しずく(雫)。
シタダル [ʃi̥⸢ta⸣daru]助数{PoS_2}プ⸢ス シタ⸣ダル[pu̥⸢su ʃi̥ta⸣daru](一滴)。
シタダルアマダル [ʃi̥⸢ta⸣daruʔamadaru]たらたらと垂れ落ちるさま。垂れ流すほど。だらしなく垂れ下がっているさま。有り余るほど。
シタダルカーダル [ʃi̥⸢tadarukaː⸣daru]ずぶ濡れになったさま。びしょびしょに濡れたさま。
シタダルン [ʃi̥⸢ta⸣daruŋ]自動滴る。しずく(雫)となって落ちる。「淋、志太々留<シタタル>又毛留」『新撰字鏡』の転訛したもの。
シタダレー [ʃi̥⸢ta⸣dareː](地名)。⸢ユシ⸣キダー[⸢juʃi̥⸣kidaː](南ヨシキダ)とサ⸢キンダー[sa⸢kindaː](崎田)の境界地点の海岸に、山から流れ出る水がシターンシターンと流れ落ちているところ。山の水がしたたり落ちている所から命名されたものであろう。
シタックラスン [ʃi̥⸢takkura⸣suŋ]他動ぶん殴る。したたかに打つ。「したたかに懲らす」の義か。
シタ ッスン [⸣ʃi̥ta ⸣ssuŋ]舌を刺す。舌を強く刺激する。腐敗してはいないが毒気が舌を刺すように感じる。
シタディ [ʃi̥⸢ta⸣di]醤油。「したぢ<下地>」の義。⸢~御無心ながらしたぢ<下地>が少しあらば」『東海道中膝栗毛』の転訛したもの。麦を搗いて糠を除き、一晩水に浸け、強めに煎った大豆を水洗いして一緒にこしき(甑)で蒸し、ニブク(稲掃筵)に寝かせて黄色い麹を造る。それを麹(5升)対塩(3升)対水(6升)の割合で甕に入れて仕込む。約3ヶ月間掻き混ぜながら醗酵させてシ⸢タ⸣ディ[ʃi̥⸢ta⸣di](下地。醤油)を仕上げた。
シタディカミ [ʃi̥⸢ta⸣dikami]醤油を入れる甕。
シタディヌ カシ [ʃi̥⸢tadi⸣nu ⸣kḁʃi]醤油の糟。醤油を絞った残り糟。漬物や味噌代用にしたり、調味料の代用に用いた。
シタディヌ ッふァ [ʃi̥⸢tadi⸣nu f⸢fa]醤油糟を濾す籠。醤油を甕から汲み取る際に用いる糟を濾す壺状の籠。「下地の子」の義。
シタティルン [ʃi̥⸢tatiruŋ]他動仕立てる。拵える。布を織る。
シタトゥン [ʃi̥⸢tatuŋ]他動仕立てる。拵える。布を織る。「したつ(下二段活用)、~御屏風などあたりあたりしたてさせ給ふ」『源氏物語<若紫>』の四段活用化したもの。
シタニ [⸣ʃi̥tani]ひたすら。もっぱら。一途に。「~當土<ヒタツチニ>足踏み貫き~。万、3295」の「直<ひた>」の転化したものか。
シタフ [ʃi̥⸢ta⸣ɸu]{1}服装。衣装。みなり(身形)。
シタフ [ʃi̥⸢ta⸣ɸu]{2}支度。用意。準備。
シダフカ [ʃi⸢daɸu̥⸣ka](植)はまゆう(浜木綿)。はまおもと(浜万年青)。石垣方言のサディフカの母音[i]と[a]の音位転倒した形。海岸の砂浜に自生する。子供はシダフカの幹を切り、外皮を剥いでビニール状の内皮を取り出し、風船を作って遊んだ。母親達はシダフカの幹を約20センチの長さに切って割り、その皮でお握りを包んだり、弁当を包むのに用いた。
シダフカー [ʃi⸢da⸣ɸu̥kaː](植)ハマオモト。はまゆう(浜木綿)。海岸の砂地に自生する。葉は炙って二つにはがし、葉肉部を腫れ物に当てて貼り、膿みの吸出し薬に用いた。幹の真っ白い皮を剥がして握り飯などの食べ物を載せる皿の代用にしたり、子供は、その外皮の肉質部を剥がしてビニールのような内皮を取り出し、膨らまして風船に作って遊んだ
シダマスン [ʃi⸢dama⸣suŋ]他動涼しくさせる。涼しませる。「涼ませる」の義。「いと暑き日東の釣殿に出で給ひてすずみ(涼み)給ふ『源氏物語 常夏』」の他動詞化したもの。
シダミ [ʃi⸢da⸣mi]{1}(動)カタツムリ(蝸牛)。若年層は、シ⸢ダ⸣メー[ʃi⸢da⸣meː](カタツムリ<蝸牛>)ともいう。
シダミ [ʃi⸢da⸣mi]{2}縮みこまって黙るさま。
シダミヌ グル [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru]カタツムリの殻。
シダミヌ グル アーシ [ʃi⸢dami⸣nu gu⸢ru ʔaː⸣ʃi]児童の遊戯の一つ。カタツムリの殻を突き合わせて潰しあう遊び。殻の底の突起部分を先に潰されたほうが負けとする遊び。
シダミヌ ッふァイックル [ʃi⸢dami⸣nu f⸢faikkuru]カタツムリの食い残し。
シダムン [ʃi⸢da⸣muŋ]自動涼む。涼しい風に当って暑さをしのぐ。
シタラー [ʃita⸢raː]まあ汚い!ああ汚い!不潔!下品!シタ⸢リー[ʃita⸢riː](汚い{EOS!})ともいう。
シタラー [ʃi̥⸢ta⸣raː]時期。期間。
シタラカタラ [⸣ʃi̥tarakatara]じくじく。湿った状態を強調して表す。ABCDBC型の重言。
シタラシタラ [ʃi̥⸢taraʃi̥tara]たらたら。水など、液体の滴り落ちるさま。
シタラスン [ʃi̥⸢tara⸣suŋ]他動名誉を傷つける。けなす(貶す)。くさす(腐す)。そしる(謗る)。
シタラスン [ʃi̥⸢tara⸣suŋ]他動水を垂らす。
シタリー [ʃi̥ta⸢riː]ああ汚い!まあ不潔!シタ⸢リー⸣ ヤ⸢ニヤ⸣ヌ ウ⸢レー⸣ カ⸢サマラヌ[ʃi̥ta⸢riː⸣ ja⸢nija⸣nu ʔu⸢reː⸣ ka⸢samaranu](まあ汚い{EOS!}汚くてそれは掴めない)。まあ汚い。ああ汚い。
シタリジー [ʃi̥⸢tari⸣ʤiː]湿地。水はけ(水捌け)が悪く、じくじく湿って耕作するのに適しない土地。
シタリルン [ʃi̥⸢tari⸣ruŋ]自動廃れる。シ⸢タ⸣ルン[ʃi̥⸢ta⸣ruŋ](廃る。下二段)ともいう。
シダル [ʃi⸢da⸣ru]すだれ(簾)の総称。⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)やタ⸢キ[tḁ⸢ki](竹)を編んで軒に立て、夏の暑い陽光を遮るもの。{1}⸢ユシ⸣キシダル[⸢juʃi̥⸣kiʃidaru](ススキの簾)。ススキの簾は、スルメイカを日干し乾燥する際にも使用された。
シダル [ʃi⸢da⸣ru]{2}タ⸢キシダル[tḁ⸢kiʃidaru](竹簾)。竹簾の甍覆いとして利用された。
シダル [ʃi⸢da⸣ru]{3}すのこ。蒸し器のすのこ(簀子)。
シタルムノー アラヌ [⸣ʃi̥tarumunoː ʔa⸢ra⸣nu]こうしてはおれない。このままにしてはおけない。「為たるものではない」の義。
シタルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ]自動{1}湿る。
シタルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ]自動{2}濡れて滴る。しずくとなって落ちる。
シタルン [ʃi̥⸢ta⸣ruŋ]自動廃れる。衰える。流行らなくなる。「廃、スタル」『類聚名義抄』の転訛したもの。
シダローマ [ʃida⸢roː⸣ma]小さな簾。
シタンバイ [ʃi̥⸢tam⸣bai]準備すること。用意すること。航海用語で、stand by(用意せよ、の号令)の転訛したもの。鳩間島では、多くの場合⸢カツオ漁船の出漁準備」の意味に用いられた。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]七。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]{1}時節。季節。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]{2}時期、頃。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]{3}折。時。度。際。回。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]せつまつり(節祭)。旧暦八、九、十月のいずれかのミ⸢ジニー[mi⸢ʤiniː](壬、己亥)、シ⸢チ⸣ニー[ʃi̥⸢ʧi⸣niː](戊戌)の⸢ピュール[⸢pjuːru](神事のひより。「日選り」の義か)に友利御嶽で執り行われた⸢ズンガチニン⸣ガイ[⸢ʣuŋgaʧiniŋ⸣gai](十月願い)の時に、各家庭では節祭が執り行われた。シ⸢チフル⸣マイ[ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai](節振る舞い。節祭のご馳走)を作っていただく。家の内外を清掃し、祓い清め、シ⸢マナカヌ⸣パマ[ʃi⸢manakanu⸣pama](島中の浜)より東の裏海岸の岩の上に自生しているシ⸢チ⸣カザ[ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa](節蔓。和名、ヒメノアズキ<雌の節蔓。⸢ミー⸣カザ{SqBr}⸢miː⸣kaʣa{/SqBr}>。和名、カニクサ<雄の節蔓>。ビ⸢キカザ{SqBr}bi⸢kikaʣa{/SqBr})を採取してきて柱、立ち木、水瓶などに結わえた。五寸ほどに切った節蔓を家族全員の耳に掛けてシチフルマイを食した。家の四隅の軒には⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキ)で作った⸣サン[⸣saŋ](魔除け)と桑の小枝を挿し、浜砂を屋敷に撒いて厄払いとした。ヤ⸢マトゥ⸣ソンガチ[ja⸢matu⸣soŋgaʧi](新暦の正月。大和正月)、ウ⸢ブ⸣ソンガチ[ʔu⸢bu⸣soŋgaʧi](旧暦の正月)に対して節祭りを、グ⸢マ⸣ソンガチ[gu⸢ma⸣soŋgaʧi](小正月)といい、グ⸢ソー⸣ヌ ⸣ソンガチ[gu⸢soː⸣nu ⸣soŋgaʧi](後生の正月)とも称していた。節祭りには、あの世の先祖の暮らし向きや、その家の一年中に起こる事の物音が聞こえるといって茅で造った鍋蓋を被り、井戸の側で息を凝らして聞き耳をたてた。ある者は墓の見えるところでシ⸢チ⸣ビー[ʃi̥⸢ʧi⸣biː](節の火。イ⸢ニンビー{SqBr}ʔi⸢nimbiː{/SqBr}<意念火>)を見に行ったものである。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]湿気。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]質。品物を抵当にして金を借りること。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]{1}土。土壌。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]{2}熟語の構成要素として用いられる。
シチ [⸣ʃi̥ʧi]病気の一種。⸢シー⸣ラ[⸢ʃiː⸣ra](寒気・風雨 昔の人は、体が風雨にさらされる事が後日病気を引き起こす誘引と考える人が多かった。『医学沖縄語辞典』)と同じ。⸣シチ ク⸢マ⸣ルン[⸣ʃi̥ʧi ku⸢ma⸣ruŋ](湿地帯で長時間居住したり、仕事をしたりすると冷気が体内に入って罹患する<冷気がこもる>)という。腹が太鼓のように腫れて死ぬことがあるという病気
ジチ [ʤi⸢ʧi]実。真実。本当。
シチカザ [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa](植)和名、ヒメノアズキ(雌の節蔓)。カニクサ(雄の節蔓)『石垣方言辞典』。鳩間島の裏海岸の岩原に自生している。節祭りの時、シ⸢マナカヌ⸣ パ⸢マ[ʃi⸢manakanu⸣ pa⸢ma](島中の浜)より東側に自生しているのを採って、家の柱、臼類、杵類、農具類、家具類、瓶類。箸類、庭の立ち木等に結わえた。五寸ほどの長さに切って家族全員の耳に掛けてシ⸢チフル⸣マイ[ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai](節祭りのご馳走)を食べた。
シチカザ [ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa]節祭りに用いる葛。節葛。節葛で巻いてあるものは現世人間の所有物である印とされ、祖霊がそれらをあの世へ持ち去ることは無いと信じられている。和名、カニクサ(雄株)、ヒメノアズキ(雌株)。必ず、シ⸢マナカヌ⸣ パマ[ʃi⸢manakanu⸣ pama](島中の浜)より東の岩原に生えているシチカザを採取することになっていた。
シチギョー [ʃi̥⸢ʧigjoː]卒業。明治29年6月16日に大川尋常小学校鳩間分校が設置され、「明治33年4月、初メテ本分校第1回卒業生3人ヲ出セリ」(「鳩間小学校沿革」)とあるから、その年に標準語から借用された語であろう。
シチジューサンヌ ヨイ [ʃi̥ʧiʤuː⸢san⸣nu ⸣joi]七十三歳の生年祝い。「古稀の祝い」に相当する生年祝い。
シチズーワン [ʃi̥⸢ʧiʣuː⸣waŋ]湿気が強い。
シチナビ [ʃi̥⸢ʧi⸣nabi]どなべ(土鍋)。カ⸢ニナビ[ka⸢ninabi](鉄鍋。「金属鍋」の義)の対義語。
シチナンカ [ʃi̥⸢ʧinaŋ⸣ka]七七日忌。四十九日の法事。
シチニー [ʃi̥⸢ʧi⸣niː]干支の戊<つちのえ>、己<つちのと>。
シチニンキ [ʃi̥⸢ʧiniŋ⸣ki]七年忌。死後七年目の法事。四十九日忌、百日忌と同様の仕方で行われる法事。{⸢ニンキソッ⸣コー[⸢niŋkisok⸣koː](年忌焼香)の中でユ⸢ノー⸣レー[ju⸢noː⸣reː](死後一年目の法事。焼香)}。⸢サンニン⸣キ[⸢sanniŋ⸣ki](三年忌の法事。焼香)に次いで行われる法事。⸢ジュー⸣サンニンキ[⸢ʤuː⸣sanniŋki](十三年忌の焼香)、ニジューグ⸢ニンキ[niʤuːgu⸢niŋki](二十五年忌の法事。焼香)、サンジュー⸢サンニン⸣キ[⸣sanʤuː⸢sanniŋ⸣ki](三十三年忌の法事。焼香)で法事は終了する。
シチヌ カン [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣kaŋ]土の神様。土地神。
シチヌ ナル [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣naru]季節の果物。季節に実る木の実。
シチヌ ムヌ [ʃi̥⸢ʧi⸣nu ⸣munu]季節のもの。魚介、蔬菜、果物の旬のもの。
シチパジリ [ʃi̥⸢ʧipaʤi⸣ri]季節外れ。旬でない果物や産物。
シチビ [ʃi̥⸢ʧi⸣bi]毎月の祈願行事。神事を執り行う日。「節日」の転訛したもの。
シチビー [ʃi̥⸢ʧi⸣biː]祭祀。年中行事。毎月執り行われる村の祭祀。「せちにち(節日)」の転訛したもの。
シチピー [ʃi̥⸢ʧi⸣piː]節祭りの夜に墓所のあたりに見える妖火。村人たちは、この妖火によって、その家の吉凶を占ったという。
シチブ [ʃi̥ʧibu]馬鹿。愚か者。正常な人は十分。七分の人は正常でない意。
シチブイツァ [ʃi̥⸢ʧibu⸣ʔiʦa]七分板。厚さ七分の床板。
シチブクギ [ʃi̥⸢ʧibu⸣kugi]7分釘。標準語からの借用語。壁板を打つのに用いる釘。家庭で使われている釘。シ⸢チブ⸣フン[ʃi̥⸢ʧibu⸣ɸuŋ](7分釘)ともいう。
シチブドゥル [ʃi̥⸢ʧibudu⸣ru]節祭りの踊り。西表島租納村の節祭りの踊り。
シチブヌン [ʃi̥⸢ʧibu⸣nuŋ]七分鑿。建築大工が用いる鑿。ほぞ穴を掘る際に用いる鑿。
シチフルマイ [ʃi̥⸢ʧiɸuru⸣mai]節祭りの振る舞い<もてなし。ご馳走。饗応>。節祭はグ⸢ソー⸣ヌ ⸣ソンガチ[gu⸢soː⸣nu ⸣soŋgaʧi](後生の正月)と云われており、現世の正月同様に節祭の当日にフ⸢ルマイ[ɸu⸢rumai](ご馳走<振る舞い。饗応>)を作って家族で食した。フ⸢ルマイ[ɸu⸢rumai]は、「翔、フルマフ」『類聚名義抄』、「せちぶるまひ(節振舞)」の転訛したものか。
シチマチリ [ʃi̥⸢ʧimaʧi⸣ru]土神さまへの祈願。「土祭り」の義。地鎮祭など、土地の神に対する感謝、祈願の祭り。家や墓を移動する際にも執り行われる。
シチヤー [ʃi̥⸢ʧi⸣jaː]質屋。
シチリン [⸣ʃi̥ʧiriŋ]七輪。素焼きのこんろ(焜炉)。炭火で炊飯する焜炉。戦後の一時期輸入されたが、普及しなかった。農家では炭火を使って炊飯するほどの悠長な生活ではなく、薪を利用する炊飯が普通であった。その後暫くして石油コンロやガスコンロの時代へと流れていった。
シチンガチ [ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧi](数)七月。
シチンガチウートゥリ [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧiʔuː⸣turi]旧暦七月の無風状態。「七月大凪」の義。
シチンガチニンブツァー [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧinimbu⸣ʦaː]旧暦七月の御盆に歌われる念仏歌。「七月念仏歌」の義。鳩間島で伝承されている念仏歌には、(i) ン⸢ゾーニンブツァー[ʔn⸢ʣoːnimbuʦaː](無蔵念仏歌)、(ii) シ⸢ザ⸣ヌ ⸣クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui](兄の声<歌>)、⸢ウシトゥ⸣ヌ ⸣クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の声<歌>)がある。米盛クヤ氏によると昔は他にも大和由来の「」何種かうたわれていたらしい。(i) の「無蔵念仏歌」は、「親の御恩は深きもの、父くが御恩海深さ、母くが御恩は山深さ、~」(浜川本)でははじまる。(ii) のシ⸢ザ⸣ヌ クイ[ʃi⸢ʣa⸣nu ⸣kui](兄の声<歌>)は、/ナムアミダブチ アミダプトゥキ イマジョーヌ サンナル シキダイス~/(南無阿弥陀仏 阿弥陀仏 今十の三になる月であります)で始まり、⸢ウシトゥ⸣ヌ クイ[⸢ʔuʃi̥tu⸣nu ⸣kui](弟の声<歌>)は、/ワリンダカ ユニンナル イヤシングァヌ ムチュタル タカラヤ ネーナヤブリ ムチュタル タカラヤ アリバクリ~/(兄弟<頭数>四人いる中の最貧の子が、持てる宝<金銭>は何一つもなくて、持てる宝があればこそ<孝行を尽せるのだが>~)とある。「八重山地方に流布する念仏歌について」『沖縄文化』36・37
シチンガチ ムドゥリティダ [ʃi̥⸢ʧiŋgaʧi⸣ mu⸢duri⸣tida]旧暦七月に酷暑が再来すること。「七月戻り太陽」の義。
シツ [ʃi̥⸢ʦu](動)魚の名。和名、クロメジナ(体長約50センチ。青みを帯びた灰色の体色)。マ⸢トゥ[ma⸢tu]ともいう。西表島のイーリジマ干瀬でシ⸢ナカキ⸣ヤー[ʃi⸢nakaki⸣jaː](追い込み漁)をする際によく漁獲された。
シッカームッカー [⸢ʃikkaːmuk⸣kaː]支離滅裂なさま。バラバラに乱れたさま。滅茶苦茶なさま。混乱したさま。
シッカク [⸢ʃikka⸣ku]{PoS_1}せっかく。わざわざすること。
シッカク [⸢ʃikka⸣ku]{PoS_2}わざわざ。努力してするさま。
シッキカーキ [⸢ʃik⸣kikaːki]げんこつ(拳骨)をくらわす。拳骨を食らわしまくること。
シッキツァースン [⸢ʃikkiʦaː⸣suŋ]他動搗きつぶす。散々に搗く。うち叩く。叩きつぶす。
シッキマーサー [⸢ʃikkimaː⸣saː]漁法の名。サバニに乗ったまま、桶鏡<玉桶>で海底を見ながらタコや魚を突き刺して漁獲する漁法。
シッキマーシ [⸢ʃikkimaː⸣ʃi]突っつき回し。急き立てること。追い込み漁の際、魚を追い込む人が竿で珊瑚礁を突っつきながら袋網の方へ追い込むこと。
シッキンザルン [⸢ʃikkin⸣ʣaruŋ]他動{1}石などでささくれ立つまで突っつく。搗いて粉々にする。
シッキンザルン [⸢ʃikkin⸣ʣaruŋ]他動{2}散々に打ちのめす。叩き付ける。
シックン [⸢ʃik⸣kuŋ]他動叩く。{敲}{タタ}く。つつく。ぶつ。殴る。搗く。
シッタイ [⸣ʃittai]それ見ろ。それ見たことか。相手が失敗したときにいう語。「したり(為たり)」の転訛したもの。
シッタイヒャー [⸣ʃi̥ttaiçaː]それ見ろ。それ見たことか。強調表現。相手が失敗したときにいう語。
ジッチ [⸢ʤitʧi]{1}(植)だんどく(檀特)の芽、茎。茎を抜いて吸うと甘味があるので子供達はそれを嘗めて遊んだ。
ジッチ [⸢ʤitʧi]{2}幼児語。小さなおっぱい
ジッチェーマ [ʤit⸢ʧeː⸣ma]小さなお乳。乳の幼児語。
シッツァースン [⸢ʃitʦaː⸣suŋ]他動擦り合わせる。擦り付ける。⸢シッツァー⸣スン[⸢ʃitʦaː⸣suŋ](擦り合わせる)ともいう。
シッツァーン [⸢ʃit⸣ʦaːŋ]助動形容詞型助動詞。~したい(便意、尿意をもよおす)。生理現象を表す語に付いて、⸢~したい」の意を表す。「~したさ・あり」の転訛した形。
ジットー [⸢ʤittoː]種痘。
シットースン [⸢ʃittoː⸣suŋ]他動力をこめて擦り付ける。強くこする(擦る)。強く擦り磨く。
シットゥイ [ʃit⸢tui]万歳。「しとと(甚だしく)」の転訛したものか。日常会話では使用することがほとんどない。新築落成式の儀式で⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)を歌う際、⸢ユイプス[⸢juipu̥su](ユイ人)が人形を抱いて、⸢ワンヌン ビー⸣ティ ⸢バンヌン ビー⸣ティ シッ⸢トゥイ⸣シッ⸢トゥイ[⸢wannum biː⸣ti ⸢bannum biː⸣ti ʃi̥t⸢tui⸣ʃi̥t⸢tui](貴方も酔って私も酔って、ああ万歳万歳)と唱え、神酒を棟木に投げかけるときにいう語
ジッパーマ [ʤip⸢paː⸣ma]鳥の名。めじろ(目白)『八重山語彙』。
シッパイ [⸢ʃip⸣pai]うんと。一生懸命。力の限り。精一杯。強意で⸢シーッ⸣パイ[⸢ʃiːp⸣pai]ともいう。「精一杯」の転訛したもの。
シッパイカッパイ [⸢ʃippaikap⸣pai]どうにかこうにか。辛うじて。やっとかっと。ABCDEBCD方の重言。
シッピラー [⸢ʃippiraː]ぺしゃんこ。押しつぶされて平たいこと。
シッピルン [⸢ʃippiruŋ]他動強く吸う。強く吸い取る。
シティー [ʃi̥⸢ti-]接頭最悪の。やけくそに。「捨て」は、「壽毛須底て<命も捨てて>『万葉集 4211』」、「sute、tçuru,eta。(捨て・棄て)『邦訳日葡辞書』」の義。後続の名詞の意味を最悪に強調する。
シティカーシ [ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi]投売り。「捨て売り」の義。損得を度外視して売り尽くすこと。
シティカーシ [ʃi̥⸢tikaː⸣ʃi]捨て売り。投げ売り。損失を構わず安値で売ること
シディカイ [ʃi⸢di⸣kai]水のようになった粥。
シディガフ [ʃi⸢diga⸣ɸu]幸せ。光栄。冥加。生まれた甲斐。有難うございます。「生まれ<孵化>果報」の転訛したもの。
シディガフー [ʃi⸢di⸣gaɸuː]栄誉。光栄。幸せ。
シティガラ [ʃi̥⸢ti⸣gara]粗末に扱うこと。おろそかに扱うこと。ほったらかしにすること。粗相に扱うこと。粗略に扱うこと。⸢アッ⸣タラ ッ⸢ふァイムヌバ⸣ アイニ シ⸢ティ⸣ガラ ス⸢ナ⸠ツォー。⸣ムノー ア⸢タラ⸣サ ⸢サン⸣カー ナ⸢ラン⸠ダー[⸢ʔat⸣tara ⸢faimunuba⸣ ʔaini ʃi̥⸢ti⸣gara su⸢na⸠ʦoː。⸣munoː ʔa⸢tara⸣sa ⸢saŋ⸣kaː na⸢ran⸣daː⸠](もったいない<あたら>食べ物を、あんなに粗末にするなよ。ものは惜しん<可愛がって>で大切にしないといけないよ)
シディガラ [ʃi⸢di⸣gara]抜け殻。脱皮した後の殻。シ⸢ディッ⸣クル[ʃi⸢dik⸣kuru](抜け殻)ともいう。
シティガラシゥカナイ [ʃi̥⸢ti⸣garasi̥kanai]ほったらかしにすること。子供をほったらかしにして育てること。手を掛けずに育てること。
シティガラ スン [ʃi̥⸢ti⸣gara ⸢suŋ]粗略に扱う。ほったらかしにする。
シティガラッふァイ [ʃi̥⸢ti⸣garaffai]粗末にして食うこと。食い放題にすること。
シティキム [ʃi̥⸢tikimu]悪心。悪い考え。非情な心。悪巧み。「捨て肝<心>」の義。
シディグル [ʃi⸢di⸣guru]抜け殻。蛇や蝉などの脱皮した殻。もぬけ(蛻)。
シティシゥカイ [ʃi̥⸢tisi̥kai]無駄遣い。贅沢に使うこと。不要なものを買うこと。「捨て使い」の義。
シティシゥカナイ [ʃi̥⸢tisi̥kanai]粗末な子育て。粗末な養育。ほったらかして子供を育てること。
シティスクン [ʃi̥⸢ti⸣su̥kuŋ]他動ほっておく。捨て置く。放置しておく。ほったらかす。うちすてておく。
シディックル [ʃi⸢dik⸣kuru]抜け殻。「すでから<孵で殻>」の義。
シティッツァースン [ʃi̥⸢titʦaːsuŋ]他動捨て散らかす。投げ捨てる。放り捨てる。
シティトゥジ [ʃi̥⸢tituʤi]離別した妻。「捨て刀自(捨てた妻)」の義。トゥ⸢ジ[tu⸢ʤi]は、「~已麻勢波々刀自~『万葉集 4342』」の転訛したもの。
シティハギ [ʃi̥⸢tihagi]「外脛」の義か。ハ⸢ギバラー[ha⸢gibaraː](軒柱。「脛柱」の義か)の南面外側に、更に三尺の軒を出して立てた柱。シ⸢ティハギの軒下を利用して⸢ナーラ⸣シ[⸢naːra⸣ʃi](均し。ならし竹)を作り、作業着を掛けたり、漁具や農具類を置いたりするのに用いた。
シティブトゥ [ʃi̥⸢tibutu]離別した夫。「捨て夫」の義。
シティプリムヌ [ʃi̥⸢tipurimunu]大ばか。大馬鹿者。「捨て惚れ者」の義。
シティポーリ [ʃi̥⸢tipoː⸣ri]撒き散らすこと。放り捨てること。
シティポーリマキポーリ [ʃi̥⸢tipoː⸣rimakipoːri]散々に撒き散らすこと。「捨て放り・撒き放り」の義。
シティポールン [ʃi̥⸢tipoːruŋ]他動撒き散らす。放り捨てる。うち捨てる。「捨て放る」の義。
シディミジ [ʃi⸢di⸣miʤi]若水。「すでみず<孵で水>」の義。元旦や⸣シチ[⸣ʃi̥ʧi](節祭り)の未明に井戸から汲んできた水。これで洗面すると孵で変わり、長寿延命するといわれている。「すで水人誕生の時明方の井川より水をとり撫さする也 其水をすで水と云う也」『混効験集』とある。
シティムヌ [ʃi̥⸢ti⸣munu]価値のないもの。屑物同然のもの。つまらないもの。「捨て物」の義。役に立たないもの。
シティムヌ [ʃi̥⸢timunu]捨て物。捨てられたもの。廃棄物。
シティヤマング [ʃi̥⸢tijamaŋgu]ひどいいたずらっ子。ひどい腕白者。手に負えない乱暴もの。ひどく狡猾な者。シ⸢ティー[ʃi̥⸢ti-](<捨て>強意の接頭語)は続く名詞の悪い意味内容を強調する。
シティルン [ʃi̥⸢tiruŋ]他動捨てる。手放す。見放す。投げ出す。「たまきはる壽毛須底て~『万葉集 4211』」の義。
シディルン [ʃi⸢di⸣ruŋ]自動{1}孵化する。卵からかえる。虫などが{涌}{ワ}く。卵がかえる({孵}{カエ}る)。孵化する。
シディルン [ʃi⸢di⸣ruŋ]自動{2}脱皮する。再生する。若返る。
シディルン [ʃi⸢di⸣ruŋ]自動粥や糊などが水っぽくなる。変成する。
シディンガールン [ʃi⸢diŋgaː⸣ruŋ]自動再生する。生まれ変わる。孵化する。脱皮する。「すで<孵化>変わる」の転訛したもの。
シトーンシトーン [ʃi̥⸢toːŋʃitoːŋ]液体や物が落ちる音の擬音語(onomatopoeia)。
シトゥ [⸣ʃi̥tu]土産。「つと(苞)」。土地の物産を土産とすること。「~貝にありせば都刀<ツト>にせましを『万葉集 4396』」。「贄、タカラ・ニへ・ツト『類聚名義抄』」の転訛したもの。藁などを束ねて物を包んで土産としたもの。鳩間島から干し烏賊や干し蛸、燻製蛸などが土産品として石垣島の親戚筋へ贈られた。また鶏卵を縦に5、6個並べて稲藁で包み、稲藁で5,6段結わえて固定し、吊り下げられるようにして土産とした。
シトゥ [⸣ʃi̥tu]澱粉。芋や⸢キー⸣ウン[⸢kiː⸣ʔuŋ](キャッサバ)の澱粉。桟で作った木枠(幅約30センチ、長さ約50センチ)に、釘で多数の穴をあけたブリキ版を張って作った⸢ウンッシ⸣カナ[⸢ʔuŋʃʃi⸣kana](芋摺り<鉋>)で芋を摺り下ろし、メリケン袋に入れて絞り、絞り汁を沈殿させ、乾燥させた純白の澱粉。搾り滓も団子状に握って乾燥させ、搗き臼に入れて搗くと澱粉の粉が再生産できる。ただし澱粉の質は落ちるので、非常食用として保存された。
シトゥ [ʃi̥⸢tu]しゅうと、しゅうとめ(舅、姑)。夫の親。
シトゥウヤ [ʃi̥⸢tuʔuja]しゅうとおや(舅親)。夫の親。
シトゥキ [ʃi̥⸢tu⸣ki]潮時。丁度良い時期。干潮時。
シトゥギ [ʃi̥⸢tu⸣gi]しとぎ。米粉を水で捏ねてウズラの卵の大きさに作った餅。「次米、之度岐<しとき>」『和名抄』の転訛か。
シトゥケーシトゥケーシ [ʃi̥tu⸢keːʃi̥tukeː⸣ʃi]ずっしりと重く。乳児が発育してずしりと重くなるさま。
シトゥケーン [ʃi̥⸢tu⸣keːŋ]乳児がずっしりと重い。乳児が順調に成長して体重が重い。
シトゥッチ [ʃi̥⸢tut⸣ʧi](植)そてつ(蘇鉄)。普通は約2メートルの高さに育つ。幹頂部に硬い羽片状の葉をつける。羽片状の葉は先端が尖っており、葉を二、三枚重ねて結わえ、ナ⸢カ⸣ザポーキ[na⸢ka⸣ʣapoːki](台所の土間箒)をつくる。また、この葉を用いて子供の玩具を作る。果実は卵形で赤黄色の角質の殻を有する。実の内部は白色。殻を割って中の実を出し、有毒成分のサイカシンを水に浸けて十分に毒抜きをし、何度か水に晒して灰汁(毒)抜きをし、日干し乾燥して臼で搗き、粉にして救荒食に利用した。日干し乾燥したものを芋に混ぜて炊くこともあった。
シトゥッチヌ ナル [ʃi̥⸢tutʧi⸣nu ⸣naru]蘇鉄の実。実は卵形。赤黄色の角質の殻を有する。殻の中の実は白色の澱粉質になっている。一本の蘇鉄から5升~1斗の実が採れる。実の周囲には赤黄色の錦状の花弁が密生しており、昔はそれを採取して、⸢マー⸣ル[⸢maː⸣ru](鞠)の素材に利用した。殻は割って中身を取り出し、3~4日水に浸けて十分に灰汁抜きをし、日干し乾燥して保存したり、搗き臼に入れて搗き、粉にして食用に供したりした。芋と混ぜて炊くと美味であった。
シトゥッチヌ パー [ʃi̥⸢tutʦi⸣nu ⸢paː]蘇鉄の葉。
シトゥッチポーキ [ʃi̥⸢tut⸣ʧipoːki]蘇鉄の葉箒。蘇鉄の葉を3~4枚重ねて括り、台所土間用の箒に作ったもの。どこでも金をかけずに簡単に作れて機能的にも優れていたので重宝された。
シトゥッチマール [ʃi̥⸢tut⸣ʧimaːru]蘇鉄の綿状の花弁で作った鞠。「蘇鉄鞠」の義。
シトゥッチムトゥ [ʃi̥⸢tut⸣ʧimutu]蘇鉄の幹。
シトゥッチムラシ [ʃi̥⸢tut⸣ʧimuraʃi]蘇鉄の群落。蘇鉄が固まって群生して<叢がって>いる所。
シトゥッチムルク [ʃi̥⸢tut⸣ʧimuruku]蘇鉄の群落地。
シトゥッチヤマ [ʃi̥⸢tut⸣ʧijama]蘇鉄の群生しているところ。蘇鉄の群落地。
シトゥトゥリウーキ [ʃi̥⸢tuturiʔuː⸣ki]澱粉採取用の桶。直径約45センチ、高さ約50センチの木製の桶。⸢ウンヌ⸣クジ[⸢ʔunnu⸣kuʤi](芋の葛粉。芋の澱粉)や⸢キーウン⸣ヌ ⸣クジ[⸢kiːun⸣nu ⸣kuʤi](キャッサバ芋の葛粉。キャッサバの澱粉)を採取する際、擂り潰した甘藷やキャッサバ芋の滓を搾って、その絞り汁を入れて沈殿させる桶。一昼夜放置して沈殿させると純白の澱粉が桶の底に、2~3センチの厚さに沈殿する。それを剥ぎ取って乾燥させ、保存する。
シトゥナイ ナラースン [ʃi̥⸢tu⸣nai na⸢raː⸣suŋ]尻を引っ叩いて教育する。尻を叩いて躾ける。
シトゥナイルン [ʃi̥⸢tunai⸣ruŋ]他動{1}水を加えて叩き捏ねる。叩いて捏ねる。敲く。シ⸢トゥ⸣ナウンとも言う。
シトゥナイルン [ʃi̥⸢tunai⸣ruŋ]他動{2}叩いて懲らしめる。打ちのめす。やっつける。
シトゥナウン [ʃi̥⸢tu⸣nauŋ]他動{1}ぶん殴る。ひっぱたく(引っ叩く)。叩く。
シトゥナウン [ʃi̥⸢tu⸣nauŋ]他動{2}叩いて{捏}{コ}ねる。
シトゥヌ ムチ [ʃi̥⸢tu⸣nu mu⸢ʧi]大きな法事の供物の餅。「苞の餅」の義。⸣シンズク[⸣ʃinʣuku](四十九日忌)からウ⸢サンギソッコー[ʔu⸢saŋgisokkoː](三十三年忌)まで、必ず供える餅。祖霊が土産にする餅といわれている。八寸重箱に一列四個の三列、十二個詰めにして二段重ねにした二十四個の餅をいう。
シトゥヌ ムヌ [ʃi̥⸢tu⸣nu ⸣munu]つと(苞)の物。お盆祭の際に祖霊へ供えた供物を、お送りの日に霊界へのお土産として供物のパ⸢チ[pḁ⸢ʧi](お初)を取って戸外に置くもの。
シトゥバラ [ʃi̥⸢tubara]こじゅうと(小姑。小姑)。「しゅうと輩(ばら)」の意『石垣方言辞典』。こじゅうとめ(小姑)。配偶者の兄弟姉妹。「妹、コジフトメ。婦兄・婦弟・兄公、コジウト」『類聚名義抄』の義。
シトゥピライ [ʃi̥⸢tupirai]しゅうと(舅・姑)と嫁の付き合い。
シトゥベー [ʃi̥⸢tu⸣beː]シ⸢ラ[ʃi⸢ra](いなむら<稲叢>)の頂上をかぶせる覆い。茅の先を束ねて丸め結わえ、根の部分を円錐状に広げて、稲叢の頂上を覆った苫の上に被せて雨を防ぐ。田の畦や畑で収穫物を一時的に保管するためにも利用した。
シトゥベーパカ [ʃi̥⸢tu⸣beːpḁka]シ⸢トゥ⸣ベーを被せた幼児の墓。二歳以下の幼児の墓で、本墓の隅に埋葬し、カ⸢ソーライシ[ka⸢soːraʔiʃi](テーブル珊瑚<笠石>)を被せ、その上にシ⸢トゥ⸣ベーで覆った墓。
シトゥミ [ʃi̥⸢tu⸣mi]{1}神職を勤めること。祈願をすること。
シトゥミ [ʃi̥⸢tu⸣mi]{2}職務。仕事。任務。義務。役目。「勤め」の義。標準語からの借用語。
シトゥミアギルン [ʃi̥⸢tumiʔagi⸣ruŋ]他動勤め上げる。やるべきことを成し遂げる。標準語からの借用語。
シトゥミアグン [ʃi̥⸢tumi⸣ʔaguŋ]他動任務をまっとうする。勤め上げる。やるべきことを成し遂げる。「勤め上ぐ」の義。
シトゥミニン [ʃi̥⸢tumi⸣niŋ]月給取り。「勤め人」の義。
シトゥミルン [ʃi̥⸢tumi⸣ruŋ]自動仕える。勤務する。勤める。
シトゥムティ [ʃi̥⸢tumu⸣ti]朝。早朝。「日初出時也、明也、豆止女天<つとめて>、又阿志太<あした>」『新撰字鏡』の転訛したもの。
シトゥムティヌ イー [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣ʔiː]朝の御飯。「つとめての飯」の転訛したもの。ア⸢サ⸣ボン[ʔa⸢sa⸣boŋ](朝飯)ともいう。
シトゥムティヌ パイ [ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai]早朝の祈願。午前5時頃に行われる祈願。「ツトメテ(朝)の拝」の義。豊年祭や結願祭の⸢ユードゥー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)の際、ユ⸢ナカ⸣ヌ ⸣パイ[ju⸢naka⸣nu ⸣pai](夜中の拝<祈願>)からシ⸢トゥムティ⸣ヌ ⸣パイ[ʃi̥⸢tumuti⸣nu ⸣pai](朝の拝<祈願>)までの間、村の総代を始め、村役人や有志らが神職者(司、ティジリビー)の祈願の後に飲酒、歌舞をして徹夜で祈願の御供をした。中には仮眠をとる人もあったが、夜通し三線を弾き、太鼓を打ち鳴らし、神歌や民謡を歌いながら睡魔を払って徹夜の祈願をしたものである。「早朝の祈願」が済むとサカサを先頭にしてティジリビーや村役人たちは友利御嶽を下りて家路に向かうのであった
シトゥムティユネン [ʃi̥⸢tumutijuneŋ]朝夕。
シトゥムン [ʃi̥⸢tu⸣muŋ]自動勤める。「勤む<下二段活用>」の四段活用化したもの。
シトゥラスン [ʃi̥⸢tura⸣suŋ]他動湿らす。湿らせる。シ⸢ミラ⸣スン[ʃi⸢mira⸣suŋ](湿らす)ともいう。
シトゥリルン [ʃi̥⸢turi⸣ruŋ]自動湿る。
シトゥルシトゥル [ʃi̥⸢turuʃi̥turu]そろりそろりと。しずしずと。弱弱しく、影が薄く行動するさま。存在感が薄く、ひっそりと行動するさま。
シトゥルシトゥルシ [ʃi̥⸢turuʃi̥turu⸣ʃi]静かに歩く様子。しおしおと。孤影悄然と。ひっそりと。他人に知られないようにそっと。うなだれて歩く様子。老人や幼子が淋しそうに歩くさま。ABCABC型の重言。
シトゥルッティ [ʃi̥tu⸢rutti]ひっそり。ひそかに。他人に知られないようにさっと。風のようにそっと。
シトゥレーン [ʃi̥⸢tu⸣reː⸣ŋ]湿っぽいさま。「しとり(湿り)・あり」の転訛したもの。畑の潤いが過ぎてびちゃびちゃするさま。畑の土壌に水分が多くてびちゃびちゃするさま。
シトゥレーン [ʃi̥⸢tu⸣reːŋ]しとる(湿る)さま。湿っぽい。ぬかるむ(泥濘む)さま。雨で畑がびちゃびちゃになるさま。
シトゥン [ʃi̥⸢tuŋ]他動{1}捨てる。投棄する。「すつ<棄つ>下二段。~壽毛須底<イノチモ・ステテ>て~『万葉集 4211』」の四段活用化したもの。
シトゥン [ʃi̥⸢tuŋ]他動{2}紛失する。無くする。失う。
シドゥン [⸣ʃiduŋ]自動孵化する。卵から雛がかえ(孵る)。脱皮する。蛆がわく。
シトンカー [⸣ʃi̥toŋkaː]びっこ(跛)を引くこと。びっこ(跛)。
シトンカー [⸣ʃi̥toŋkaː]びっこの人。足の不自由な人。びっこをひいて歩く人。
シトンティ [ʃiton⸢ti]ドスンと。ストンと。それほど重くない物が落下して音を出すことの形容。
シナ [ʃi⸢na]品。品物。シ⸢ナムヌ[ʃi⸢namunu](品物)ともいう。
シナ [⸣ʃina]{1}綱。藁やアダンの気根の繊維、くろつぐ(桄榔子)の繊維などを縒り合わせて太く長く綯った縄。「~風を疾み都奈波多由登毛<ツナハタユトモ> 言な絶えそね『万葉集 3380』」の義。
シナ [⸣ʃina]{2}罪人を捕縛する縄。
シナースン [ʃi⸢naː⸣suŋ]他動{1}心を合わせる。調和させる。{宥}{ナダ}めて。仲良くする。
シナースン [ʃi⸢naː⸣suŋ]他動{2}取り揃える。しっくり合わせる。はめ込む。ほどよく取り合わせる。揃える。
シナー ムヌ [ʃi⸢naː⸣ munu]幼い子供。「幼い者」の義。
シナーリン [ʃi⸢naːriŋ]自動繋がれる。シ⸢ナウン[ʃi⸢nauŋ](繋ぐ)の未然形に助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](れる。られる)が下接して、派生動詞の可能動詞、受身動詞が形成されたもの。
シナールン [ʃi⸢naː⸣ruŋ]自動調和する。適合する。しっくり合う。
シナーン [ʃi⸢naː⸣ŋ]幼い。幼稚である。
シナイッツァースン [ʃi⸢naitʦaːsuŋ]他動つなぎ散らす。縄をつなぎ散らす。継ぎ足しをする。つぎはぎする。たくさん継ぎをあてる。
シナイフチ [ʃi⸢naiɸu̥ʧi]{1}繋ぎ目。繋いだところ。結び目。「繋ぎ口」の義。
シナイフチ [ʃi⸢naiɸu̥ʧi]{2}繋ぎ方。
シナイヨー [ʃi⸢naijoː]繋ぎ方。「繋ぎ様」の転訛したもの。
シナイルン [ʃi⸢nairuŋ]他動繋ぐ。繋げる。「繋げる<下一段>」の転訛したもの。シ⸢ナウンとも言う。
シナ ウトゥン [⸣ʃina ⸣ʔutuŋ]綱を打つ。三本の縄を縒り合わせて太い綱に綯い上げること。船のロープを作る際に、庭先の木の枝に三本の綱を掛け、三人の人が各自一本の綱を縒りながら手渡しつつ三人で一本の太い綱を綯いあげていた。
シナウン [ʃi⸢nauŋ]他動繋ぐ。
シナウン [⸣inauŋ]自動調和する。適合する。ぴったり合う。一致する。
シナウン [ʃi⸢nauŋ]他動繋ぐ。糸や綱などの切れ目を結び、続け合わせる。「あずの上に古馬乎都奈伎て~『万葉集 3539』」の義。シ⸢ナイルンとも言う。
シナカイヤン [ʃi⸢nakai⸣jaŋ]姿形が上品で美しい。上等である。容姿が優美である。
シナカキヤー [ʃi⸢nakaki⸣jaː]漁法名の一つ。フ⸢クル⸣アン[ɸu̥⸢kuru⸣ʔaŋ](袋網)、⸣タカアン[⸣takaʔaŋ](高い網)、⸣キタアン[⸣kitaʔaŋ](桁網)、ッ⸢サ⸣ジナ[s⸢sa⸣ʤina](魚脅しの綱)を用いて魚道に仕掛け、魚を追い込んだりして漁獲する漁法。
シナカキヤマ [ʃi⸢nakaki⸣jama]綱を三本縒り合わせて一本の太い綱に仕上げる器具。「綱掛けやま」の義。「ヤマ」は、「機械」、「仕掛け」の意味。一枚の厚い板に三個の穴を開け、回転式のハンドルを付けて地面に立てた二本の棒に固定する。他方の板には一個の穴を開け、同じ回転式のハンドルを付けておく。三本の縄の片端を三本のハンドルに結び、もう一方のハンドルには三本の縄を結んで、三本のハンドルを右方に回して縄を縒る。適当に縒ったところで三つ又を当てて、片方の一本のハンドルを三本のハンドルと逆方向に回すと太い縄が縒りあがる。鳩間島ではこのようにして⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina]のロープを製造していた。
シナ カクン [⸣ʃina ⸣kḁkuŋ]綱を3~4本縒り合せて太いロープに作る。縒り合せるて太い綱にする。
シナカジ [ʃi⸢nakaʤi]品数。
シナカジゴーカジ [ʃi⸢nakaʤigoː⸣kaʤi]品々のことごとく。ありったけの品。多種類。数々。種々。ありったけ。ある限り。ABCDEFCD型の重言。
シナギリ [ʃi⸢nagiri]品切れ。
シナサダミ [ʃi⸢nasadami]品定め。
シナジナ [ʃi⸢naʤina]品々。いろいろの品物。
シナスン [ʃi⸢nasuŋ]他動{1}殺す。「死なす」の義。
シナスン [ʃi⸢nasuŋ]他動{2}死なせる(死なれる)。
シナタ [ʃi⸢nata]{1}姿。格好。
シナタ [ʃi⸢nata]{2}嫌な態度。嫌なしぐさ(仕種)。
シナタカタチ [ʃi⸢natakataʧi]容姿。顔立ちや体つき。
シナダル [ʃi⸢nadaru]病名。せきり(赤痢)などの便。粘液の混じった便。
シナッふァ [ʃi⸢naf⸣fa]幼児。おさなご(幼子)。
シナナーイカナー [ʃi⸢nanaːʔika⸣naː]半死半生で。生死の境にあって。やっとのことで。辛うじて生きて。「死なず、生かず」の義。
シナナイスーブ [ʃi⸢nanaisuː⸣bu]縄綯い競争(勝負)。
シナ ナウン [⸣ʃina ⸣nauŋ]綱<縄>を綯う。
シナヌミン [ʃi⸢nanu⸣miŋ]{1}「綱の耳」の義。豊年祭の綱引きの際に用いる雄綱(東村)、雌綱(西村)の大綱の頭部の輪になった部分。雌綱の耳に雄綱の耳を入れて棒を差し込み、結合してから綱を引く。
シナヌミン [ʃi⸢nanu⸣miŋ]{2}綱引きの前に行われる儀式。東村から戸板の台に乗った侍装束の若者が長刀で身構え、西村からは同じく戸板の台に乗った紅型衣装の乙女が両手に鎌を持って身構え、笛や銅鑼の音に合わせて桟敷中央へ寄せ合わせ、五穀と神酒の交換をする。桟敷中央に達すると双方とも身構えを解き、東村の男性からは米麦粟豆黍の五穀の種を西村の乙女に手渡され、西村の乙女からは神酒の入った瓶が東村の男性に手渡れて、再び身構えながら東、西へと退く儀式である。西村の乙女役は、⸣ウブシケー(大城家)、ア⸢ラブシケー(大工家<東大城家>)、イ⸢ラ⸣ブレー(西原家)の血筋の者がなった。
シナピキ [ʃi⸢na⸣pi̥ki]綱引き。豊年祭の最終日<三日目>に、東村<雄綱>と西村<雌綱>に分かれて豊年予祝の綱引きをする儀式。⸢プー⸣ル[⸢puː⸣ru](豊年祭)の第三日、早朝から両村の青年たちが各戸から徴収した稲藁で縄を綯い、それらを掛け合わせて更に大きな大綱に仕上げる。大綱の耳の部分は藁束を巻き込んで直径約30センチの大綱に作ってあり、雄綱と雌綱の耳を重ね合わせて、カ⸢ヌチボー[ka⸢nuʧiboː](「{閂棒}{カンヌキ|ボウ}」の義)を貫き通して固定した後に大綱を引く。雄綱、雌綱を合わせることは生殖の模擬行為と信じられている。
シナフクビ [⸣ʃinaɸu̥kubi]藁縄の帯。⸢綱帯」の転訛したもの。百姓や漁師は、バ⸢ラフ⸣タジナ[ba⸢raɸu⸣taʤina](藁縄)や、⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](棕櫚縄)を二重、三重に腰に巻いて帯とした。
シナマリ [ʃi⸢na⸣mari]おくて(晩生)。成長の遅い人。幼稚な生まれ。「幼い生まれ」の義。
シナムニ [ʃi⸢na⸣muni]子供っぽい言葉遣い。幼稚な内容の話。
シナムヌ [ʃi⸢namunu]品物。
ジナン [ʤi⸢naŋ]次男。二番目の男子。
シナンシニ [ʃi⸢naŋʃini]無駄死に。犬死。「死なぬ死に」の義。
シニ [⸣ʃini]すね(脛)。膝からくるぶし(踝)に至る部分。「Sune.スネ(臑・脛)臑,または,足」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
シニアウリ [ʃi⸢niʔauri]死ぬほどの苦労。「死に哀れ」の義。
シニガー [ʃi⸢nigaː]死力。必死の力。「死に我」の義。
シニカザ [ʃi⸢nikaʣa]死臭。
シニカタチ [ʃi⸢nikataʧi]死に顔。
シニキスン [ʃi⸢nikisuŋ]自動死に絶える。死に果てる。死に尽くす。「死に切れる」の転訛したもの。
シニシタフ [ʃi⸢niʃitaɸu]死に装束。死者に着せる衣装。
シニシタフ [ʃi⸢niʃi̥taɸu]死に装束。「死に支度」の義。正装させて、きょうかたびら(経帷子)をその上に横にして掛ける。両膝は曲げて立たせる。
シニスクライ [ʃi⸢nisu̥kurai]死んだふり。「死に繕い」の転訛。シ⸢ニマービ[ʃi⸢nimaːbi](死に真似)よりも迫真の演技で本物の「死人」のようにみせること。
シニソー [ʃi⸢nisoː]死相。
シニトゥク [ʃi⸢nituku]死に得。
シニナガー [⸣ʃininagaː]すね(脛)の長い人。膝から踝までの長い人。背高。のっぽ。
シニナガーン [ʃi⸢ninagaː⸣ŋ]脛が長い。足が長い。
シニバカリ [ʃi⸢nibakari]死別。死に別れ。
シニパジ [ʃi⸢nipaʤi]死後に残る恥。死ぬときの恥。
シニパティルン [ʃi⸢nipatiruŋ]自動死に果てる。死に絶える。すべて死んでしまう。
シニパンツァスン [ʃi⸢nipanʦasuŋ]他動死に後らせる。死に損なわせる。「死に外す」の義。
シニパンツン [ʃi⸢nipanʦuŋ]自動死に損なう。九死に一生を得る。「死に外れる」の転訛したもの。
シニプス [ʃi⸢nipu̥su]死人。死者。
シニフチ [ʃi⸢niɸu̥ʧi]死に際。死に目。「死に口<死に方>」の義。
シニマービ [ʃi⸢nimaːbi]死に真似。死んだ真似。死んだ振り。
シニミー [ʃi⸢nimiː]臨終。死に際。「死に目」の義。
シニミジ [ʃi⸢nimiʤi]{1}死に水。死者の末期に口に塗る水。
シニミジ [ʃi⸢nimiʤi]{2}ゆかん(湯灌)に用いる水。
シニヤドゥ [ʃi⸢nijadu]「死に宿」の義。死人の出た家族が一時的に泊まる宿。
シニヤフ [ʃi⸢nijaɸu]「死に厄」の義。死ぬほどの災厄、災難。
シニヤン [ʃi⸢nijaŋ]死病。不治の病。罹患したら百パーセント死ぬ病気。「死に病」の義。
シニヨー [ʃi⸢nijoː]死にざま。死によう。
シニンガタ [ʃi⸢niŋgata]死にそうになること。死ぬ直前。
シニンガター [ʃi⸢niŋgataː]瀕死の状態。死にそうな状態。
シニンギサン [ʃi⸢niŋ⸣gisaŋ]死にそうだ。動詞シ⸢ヌン[ʃi⸢nuŋ](死ぬ)の連用形に、形容詞型接尾語⸢ン⸣ギサン[⸢-ŋ⸣gisaŋ](~そうだ。外から見て推測されるけはい、様子、感じ、の意を表す。-NgisaN
シヌ [⸣ʃinu]{1}つの(角)。動物の頭にある堅い突起物。
シヌ [⸣ʃinu]{2}かど(角)。隅。とがって突出した部分。⸣カドゥ[⸣kadu](角)ともいう。
シヌ [⸣ʃinu]{3}こぶ(瘤)。「瘤、之比禰<しひね>」『和名抄』の転訛か。
シヌアシブ [⸣ʃinuʔaʃibu]角のように尖った芯のあるお出来や腫れ物。「角あせも」の義。尖った芯の部分から膿が出るようになるので、芯のない腫れ物やお出来よりも処置しやすいと言われていた。
シヌグン [ʃi⸢nuguŋ]他動しのぐ(凌ぐ)。乗り越える。耐え忍ぶ。「~秋萩師ノ藝~『万葉集 1609』」の義。
シヌ スコー パタラクン [ʃi⸢nu⸣ su̥koː pḁ⸢tarakuŋ]死ぬほど働く。
シヌックリ カークリ [ʃi⸢nuk⸣kuri ⸣kaːkuri]ぐずぐずして決断しかねているさま。
シヌックルン [ʃi⸢nuk⸣kuruŋ]自動{1}あれこれと迷う。思いあぐねる。決めかねて苦しむ。
シヌックルン [ʃi⸢nuk⸣kuruŋ]自動{2}駄々を捏ねる。
シヌブン [ʃi⸢nubuŋ]他動偲ぶ。思い慕う。心惹かれる。恋い慕う。「~妹が形見とかつも思努播武『万葉集 1626』」の義。
シヌブン [ʃi⸢nubuŋ]他動我慢する。こらえる(堪える)。耐える。「~つみし手見つつ志乃備<シノビ>かねつも。万、3940」の転訛したもの。
シヌマール [ʃi⸢numaː⸣ru](動)和名、テングハギ。体長は約50センチまで成長するという。鳩間島では、体長35~40センチのテングハギがよく漁獲された。頭に一本の角があり、尾びれの付け根に2個の刃状の骨盤突起があって、尾を振る際に怪我そすることがある。浅い岩礁に棲息し石灰藻を食べる。皮は鮫皮のサンドペーパーのようにざらざらとしており、肉には油が多く、煮ても刺身にしても美味である。
シヌ ムイルン [⸣ʃinu ⸢mui⸣ruŋ]⸢角が生える」の義。逆上するほど。嫌というほど。我慢が限界に達して理性で対処できず、鬼面となる様をいう。
シヌン [ʃi⸢nuŋ]自動死ぬ。「~命可死<イノチシヌベク>戀ひわたるかも。万、599」の転訛したもの。
シノー [⸣ʃinoː]ふるい(篩)。「すいのう(水嚢)」の転訛したもの。直径約20センチ、高さ約8センチの円筒形の篩。底部に馬尾毛<ばす>や針金で編んだ極細の網を張ったものが多く、麦粉や米粉を篩うのに用いた。約0、5ミリ方眼の網を曲げ物の底に張った篩。
シノー [⸣ʃinoː]すいのう(水嚢)。目の細かい篩。丸い曲げ物の底をばす<馬尾毛>または針金の極細の網で張った篩。小麦粉や米粉を篩うのに用いる調理用器具。