鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
ヨー [⸣joː]{1}動詞の連用形に付いて、仕方。仕様、方法の意を表す。イ⸢ビヨー[ʔi⸢bijoː](植え方)、カ⸢キ⸣ヨー[kḁ⸢ki⸣joː](書き方)、フ⸢キヨー[ɸu̥⸢kijoː](葺き方)、⸢ヌーリヨー[⸢nuːrijoː](塗り方)、ム⸢ティ⸣ヨー[mu⸢ti⸣joː](操船の仕方。持ち方)など。
ヨー [⸣joː]{2}名詞や代名詞について、ありさま、様子、形状、体裁、の意を表す。
ヨー [⸣joː]ゆおう(硫黄)。
ヨー [⸢joː]係助詞(をば)。格助詞ユ[ju](を)に係助詞ヤ[ja](は)が付いて、[ju] + [ja] → [joː](をば)のように融合変化して形成されたもの。
ヨー [⸢joː]終助{1}よ。動詞の命令形や終助詞につく。
ヨー [⸢joː]終助{2}活用語の終止形について、よ。さ。ね(念押し)の意を表す。
ヨー [⸢joː]終助{3}名詞、転成名詞について断定・強調を表す。
ヨー [jo⸢ː]ねえ。よいか。念押し、確認の意味を表す。
ヨーカ [⸢joː⸣ka]サバニの中に溜まった水。ふなゆ。「{湯}{ユ}・{淦}{アカ}」の転訛したものか。転じて、ふなゆを排出する孔の⸢ヨーカ⸣ミー[⸢joːka⸣miː](湯淦孔)の意味に用いる
ヨーガー [⸢joː⸣gaː]弱体。弱々しい体質。
ヨーカーピーカー [⸢joː⸣kaːpiːkaː]夜も昼も。
ヨーガーペーガー [⸢joːgaːpeː⸣gaː]弱々しいさま。ABCDEFCD型の重言。
ヨーカミー [⸢joː⸣kamiː] サバニの中に入った水(湯)を排出する穴。あか(淦)を流す穴。排水孔。「湯淦穴」の転訛したもの。
ヨーカヤー [⸢joː⸣kajaː]屋号。西原松氏宅。⸢ヨー⸣カヤーの東の庭に霊威の高いビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](びんずる<賓頭蘆>)がある。友利御嶽に通ずる⸢カン⸣ヌ ⸣ミチ[⸢kan⸣nu ⸣miʧi](神の道)がそこに通じていると伝えられている。昭和の初期頃までは、友利御嶽で行われる神事祈願の後、司やティジリビー達は必ず⸢ヨー⸣カヤーのビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](賓頭蘆)に集まってア⸢マイヨーッ⸣タ[ʔa⸢maijoːt⸣ta](神遊びされた)という。
ヨーカヤーヌ ウキナザーテー [⸢joː⸣kajaːnu ʔu⸢ki⸣naʣaːteː]屋号。西原茂氏宅。
ヨーカヤーヌ マチャーヒーテー [⸢joː⸣kajaːnu ⸣maʧaːçiːteː]屋号。西原松氏宅。⸣ウトンマーテー[⸣ʔutommaːteː](ウト氏<姉さん>の家)ともいう。西原ウト氏は金城次郎氏の娘で、長年自宅屋敷の隅に家を建てて金城二郎氏夫妻を住まわせていた。
ヨーガラー [⸢joːgaraː]やせっぽち(痩せっぽち)。ひどく痩せている人(卑語)。⸣パンタレー[⸣pantareː](太っているひと。太っちょ)の対義語。
ヨーガリカーガリ [⸢joːgarikaː⸣gari]痩せ細って。ひどく痩せて。ABCDEFCD型の重言。
ヨーガリムヌ [⸢joːgarimunu]痩せっぽち。痩せた人。
ヨーガルン [⸢joːgaruŋ]自動痩せる。「飢<ヤワシ>かし時~『日本書紀神代上』」の語幹に⸢燥、加留<カル。かわく>」『新撰字鏡』が付いて形成された合成語か。
ヨーガレー [⸢joːgareː]やせっぽち(痩せっぽち)。ひどく痩せている人(卑語)。⸢ヨーガラー[⸢joːgaraː](痩せっぽち)と同じ。痩せた人のニックネーム
ヨーコイ [⸢joːkoi]午後3時頃から夕方まで。夏の太陽が傾いて暑気が衰えるころ。「夕影」の転訛。「~生ひたるやどの暮陰尓<ユフカゲに>~。万、2159」の転訛したもの。
ヨーシ [⸢joː⸣ʃi]養子。標準語からの借用語。竹富町の、明治15年の戸籍簿に⸢養子」の語彙が記録されている。鳩間方言では、⸢イーリ⸣ッふァ[⸢ʔiːri⸣ffa](貰い子)、シゥ⸢カナイ⸣ッふァ[si̥⸢kanai⸣ffa](養い子)というのが普通である。
ヨーシ [⸢joː⸣si]様子。模様。有様。
ヨージ [⸢joː⸣ʤi]{1}ようじ(楊枝)。お菓子楊枝。
ヨージ [⸢joː⸣ʤi]{2}歯の間に挟まった物を除去するのに用いる具。普通は、⸢パーヨー⸣ジ[⸢paːjoː⸣ʤi](歯楊枝。歯ブラシ)という。
ヨーゾー [⸢joː⸣ʣoː]{1}養生。
ヨーゾー [⸢joː⸣ʣoː]{2}看護。病後の手当て。
ヨーゾーウクリ [⸢joːʣoːʔuku⸣ri]養生遅れ。病気治療の手遅れ。
ヨーソロー [⸢joː⸣soroː]よろしい。微速前進。操船で船頭がオ⸢モ⸣カジー[ʔo⸢mo⸣kaʣiː](面舵)、ト⸢リ⸣カジー[to⸢ri⸣kaʣiː](取舵)の必要がなく、船の進行方向へ真っ直ぐに、ゆっくり進め(slow)の号令。「ようそろ(宜候)」の義で帝国海軍の操船用語からの借用語という
ヨーチ [⸢joː⸣ʧi]かんざし(簪)。女性用の{真鍮製}{シン|チュウ|セイ}、{鼈甲製}{ベッ|コウ|セイ}、木製の簪。先端部は尖り、根っこは小さな{匙状}{サジ|ジョウ}になっている。
ヨーッタバスン [⸢joːttabasuŋ]他動揺り動かす。たごおけ<担桶>の水を揺らす。
ヨーッタビカーッタビ [⸢joːttabikaːt⸣tabi]よろよろと。よたよたと。足運びが不安定なさま。ABCDEFGCDE型の重言。強調表現。
ヨーッタブン [⸢joːttabuŋ]自動よろめく(蹌踉めく)。ふらつく。よろける。よたよたする。千鳥足であるく。(強調表現)。⸢ヨータブン[⸢joːtabuŋ](よろめく)ともいう。
ヨーッタヨーッタ [⸢joːttajoːtta]{1}よたよた。よろめく様子。
ヨーッタヨーッタ [⸢joːttajoːtta]{2}ゆらゆら揺れる様。
ヨーナ [⸣joːna]助動~のような。⸣ヨーヌ[⸣joːnu](ような)ともいう。類似の事柄を例示して性質、状態を述べる意を表す<比況>。⸣ヨーニ[joːni](~のように~)<連用形>。
ヨーニ [joː⸢ni]容易に。たやすく。なかなか。滅多に。「容易に」の転訛したもの。ク⸢トゥヤッ⸣サ[ku̥⸢tujas⸣sa](容易く)が肯定陳述を要求するのに対し、ヨー⸢ニ[joː⸢ni]は、常に文末にの打ち消しの陳述表現と呼応する。
ヨーバー [⸢joː⸣baː]弱い者。意気地なし。弱虫。
ヨーパイル [⸢joːpai⸣ru]弱い酢。ミ⸢ジパイ⸣ル[mi⸢ʤipai⸣ru](水になった酢)ともいう。
ヨーピー [⸢joː⸣piː]弱火。とろ火。
ヨーフキカーフキ [⸢joːɸu̥kikaː⸣ɸu̥ki]弱々しく顔色が青ざめているさま。
ヨーベー [⸢joː⸣beː]弱虫。弱いもの。粗悪品。少し卑下した表現に用いる。
ヨーマルン [⸢joː⸣maruŋ]自動{1}弱くなる。弱まる。
ヨーマルン [⸢joː⸣maruŋ]自動{2}老衰する。
ヨーミ [⸢joː⸣mi]弱点。弱み。
ヨーミ イルン [⸢joː⸣mi ʔi⸢ruŋ]外傷を受ける。弱みが入る。病弱となる。体内に物理的、精神的に重い外傷が入る。
ヨーミサン [⸢joːmi⸣saŋ]{畏}{オソレ}れ多い。主として神や高貴な人に対して用いられる。畏れ多くて、お側近くへ寄ることが{憚}{ハバカ}られる時に用いられる。ウ⸢ヤミ⸣サン[ʔu⸢jami⸣saŋ]がぞんざいにに発音されて、ウ⸢ヤミ⸣サン[ʔu⸢jami⸣saŋ](畏れ多い)→ [⸢joːmi⸣saŋ](畏れ多い)のように変化したもの。
ヨーミルン [⸢joːmi⸣ruŋ]他動弱める。弱くする。弱らせる。
ヨームン [⸢joː⸣muŋ]自動弱くなる。弱む。弱る。
ヨーヤク [⸢joːja⸣ku]ようやく(漸く)。やっとで。かろうじて。「徐、ヤウヤク」『類聚名義抄』の転訛したもの。
ヨーヨー [joː⸢joː]きっと。必ず。注意を促す時に用いる念押しの言葉。「能く能く」の義。「能能、ヨクヨク」『文明本節用集』の転訛したもの。
ヨーラ [⸢joː⸣ra]腰。わきばら。横っぱら。
ヨーラサー [⸢joːra⸣saː](動)ホシゴイ。ゴイサギ(五位鷺)。夜烏。夜鳴く烏。不吉の鳥といわれている。⸢ユーガラ⸣サー[⸢juːgara⸣saː](夜烏)ともいう。「暁と夜烏<ヨカラス>鳴けど~。万、1263」の転訛したもの。*[juːkarasa] → *[juːharasa] → [joːrasa] のように音韻変化したものであろう。
ヨーリカーリ [⸢joː⸣rikaːri]動作が弱々しく老衰したさま。年老いてよぼよぼしているさま。ABCDBC型の重言。
ヨールン [⸢joː⸣ruŋ]自動弱くなる。体力、気力が衰える。弱る。「~二三日になりぬるに、むげに弱るやうにし給ふ」『源氏物語 夕顔』の転訛したもの。
ヨールン [⸢joː⸣ruŋ]補動(動詞の連用形に付いて)、~ていらっしゃる。
ヨールン [⸢joː⸣ruŋ]補動{Exp_1}上接語の末尾がCVVの音節構造の場合、⸢ヨー⸣ルン[⸢joː⸣ruŋ](~ていらっしゃる)となる。
ヨールン [⸢joː⸣ruŋ]補動{Exp_2}上接語の末尾がCVCVの音節構造の場合、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](~ていらっしゃる)となる傾向が強い。
ヨーン [⸢joːŋ]暗闇。闇夜。「~夜は燭し居る吾を也未<ヤミ>にや~。万、3669」の転訛したもの。
ヨーン [⸢joː⸣ŋ]弱い。「~片緒に縒りて緒を弱弥<ヨワミ>~。万、3081」の転訛したものか。
ヨーンナー [⸢joːnnaː]ゆっくり(緩り)。急がずに。
ヨーン ナスン [⸢joːn⸣ nasuŋ]暮れさせる。夜になす。真っ暗になす。「闇になす」の義。
ヨーン ナルン [⸢joːn⸣ naruŋ]日が暮れて暗くなる。真っ暗になる。「闇になる」の義。
ヨーンヌ ミー [⸢joːnnu⸣ miː]暗闇の中。{闇夜}{ヤミ|ヨ}の中。
ヨーンヌ ユー [⸢joːnnu⸣ juː]闇の夜。闇夜。
ヨーンバイ [⸢joːmbai]遅き{夕餉}{ユウ|ゲ}。日暮れまで夕食の準備が遅れること。「ユー(夕方)・ンバイ(化膿する)」の義か。正常な日常生活時間の配分が仕事の都合により日没時までずれ込むことから意味派生したものと考えられる。
ヨイ [⸣joi]祝い。
ヨイグトゥ [⸢joigu⸣tu]祝い事。慶事。
ヨイサー [⸢joi⸣saː]ぶらんこ({鞦韆}{シュウ|セン})。ふらここ(古語)。「鞧 韆、ユサバリ」『類聚名義抄』の転訛したものか。
ヨイサー [⸢joi⸣saː]掛け声。よいしょ。綱引きをする時や、重い物を引っ張る際に発する掛け声。
ヨイザー [⸢joi⸣ʣaː]祝いの座。祝いの座敷。
ヨイシキン [⸢joiʃi⸣kiŋ]祝い着。祝い用の着物。礼服。式服。「祝い・し・衣」の義。
ヨイシプス [⸢joiʃi⸣pu̥su]祝い客。祝いをする人。「祝い・し・人」の義。
ヨイシムヌ [⸢joiʃi⸣munu]祝い物。祝いの品。祝い酒や祝いの料理に必要な糯米、野菜類、魚類を事前に贈る習慣があった。
ヨイシヤー [⸢joiʃi⸣jaː]祝いのある家。「祝い・し・家」の義。
ヨイシンカ [⸢joiʃiŋ⸣ka]祝い客。祝い客のグループ。
ヨイ スン [⸣joi ⸢suŋ]{1}お祝いをする。
ヨイ スン [⸣joi ⸢suŋ]{2}結婚する。
ヨイヌ マク [⸢joi⸣nu ⸣maku]お祝いの幕。
ヨイヌムヌ [⸢joinu⸣munu]{1}祝いの物。お祝いに贈る品物。酒や花米。
ヨイヌムヌ [⸢joinu⸣munu]{2}お祝いの席で頂く料理。祝いのご{馳走}{チ|ソウ}。
ヨイユーズ [⸣joijuːʣu]祝い事。祝いの行事。「祝い用事」の義。
ヨツワリ [jo⸢ʦuwari]四つ割り。四等分にすること。カツオを三枚に下ろして、更にそれぞれを脊椎に沿って二分し、背肉の部分を⸢ウー⸣ブシ[⸢ʔuː⸣buʃi](雄節)、腹部の身を⸢ミー⸣ブシ[⸢miː⸣buʃi](雌節)にする。カツオ節製造工場の導入に伴い、鹿児島、宮崎、高知あたりの日本語からの借用語。