鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
カタ [kḁ⸢ta]{1}型。形。
カタ [kḁ⸢ta]{2}絵。⸢イーカタ[⸢ʔiːkata](絵)、カ⸢タ[kḁ⸢ta](絵)ともいう。
カタ [kḁ⸢ta]{1}方。方向。
カタ [kḁ⸢ta]{2}所。場所。
カタ [kḁ⸢ta]{3}味方。自分の側。助勢。
カタ [kḁ⸢ta]{4}仕方。方法。動詞の連用形に下接する。
カタ [⸣kḁta]肩。
カタ- [kḁ⸢ta-]接頭{1}名詞の前に付いて後接名詞を連体修飾し、「片一方の」。「対のものの一方の」の意を表す。
カタ- [kḁ⸢ta-]接頭{2}半分。中途半端。
カタ [⸣kḁta](動)イナゴ(蝗、稲子)。バッタ科の昆虫の総称。稲の害虫で稲の葉を食い荒らす。
-ガタ [⸣-gata]接尾人に付けて敬意を含む複数を表す。方。方々。
-ガタ [⸣-gata]接尾ころ(頃)。時分。時期。時刻を表す特定の名詞や動詞の連用形に格助詞ン[ŋ](の)を介して接続する。
カターカターシ [kḁ⸢taːkataː⸣ʃi]濃く。濃いさま。渋く。渋いさま。
カターン [kḁ⸢taː⸣ŋ]{1}色が濃い。液体の濃度が濃い。濃い。お茶が濃い。茶が渋い。
カターン [kḁ⸢taː⸣ŋ]{2}細かい。密である。
カタアミ [kḁ⸢ta⸣ʔami]{1}片降り。そばえ。夏の雨が片方だけに降ること。かたしぐれ(片時雨)。カ⸢タ⸣フイ[kḁ⸢ta⸣ɸui](片降り)ともいいう。
カタアミ [kḁ⸢ta⸣ʔami]{2}えこひいき(依枯贔屓)。片一方のひいき(贔屓)をする(比喩的用法)。
カタイッポー [kḁ⸢taʔip⸣poː]片一方。片方。
カタウディ [kḁ⸢ta⸣ʔudi]片腕。
カタウムイ [kḁ⸢ta⸣ʔumui]片思い。
カタウヤ [kḁ⸢ta⸣ʔuja]
カタカ [kḁ⸢ta⸣ka]{1}かげ(陰)。物陰。日光、雨、風を避ける物陰。
カタカ [kḁ⸢ta⸣ka]{2}庇うこと。擁護。庇護。
カダカ [ka⸢da⸣ka]これほどの高さ。
カタカシ [kḁ⸢takaʃi](動)魚の名。和名ヒメジ。ミナミヒメジ(イジヤンカタカシ。体長約25センチ)。インドヒメジ(アーマンカタカシ)。オウゴンヒメジ(ジンバー。体長約25センチ)。マルクチヒメジ(ジンバー。体長約25センチ)。コバンヒメジ(ジンバー。体長約35センチ)。ホウライヒメジ(ジンバー。体長約30センチ)。和名、モンツキアカヒメジ(体長約30センチ)『原色沖縄の魚』などがいる。
カタカシラ [kḁ⸢takaʃi⸣ra]琉球国時代の成人男子の髪型の一つ。「欹髻。もとどり」、元は頭の右辺に結び、後には中央に結ぶようになった。貴族は15歳で、一般は10歳内外で結った『沖縄語辞典』。
カタカ スン [kḁ⸢ta⸣ka ⸢suŋ]{1}庇う。物陰を作る。
カタカ スン [kḁ⸢ta⸣ka ⸢suŋ]{2}擁護する。庇う。贔屓する。
カタカタ [kḁ⸢ta⸣kata]片方の肩。
ガタガタ [ga⸢tagata]{1}擬態語。がたがた。恐怖や寒さで震えるさま。
ガタガタ [ga⸢tagata]{2}擬音語。がたがた。
カタカドゥ [kḁ⸢ta⸣kadu]一角。片隅。一部分。「片角」の義。
カダカナー [ka⸢daka⸣naː]こんなに高く。
カタキ [kḁ⸢ta⸣ki]{1}かたき(敵)。仇敵。
カタキ [kḁ⸢ta⸣ki]{2}禁止事項。
カタキウチ [kḁ⸢taki⸣ʔuʧi]敵討。あだうち(仇討ち)をすること。沖縄芝居などからの借用語。
カタキシ [kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi]着物の偏った着方。調和の取れない着方。「片着」の義。
カタキシ [kḁ⸢ta⸣ki̥ʃi]一片。一切れ。切断した一片。切れ端。「片切れ」の義。破砕したものは、カ⸢タ⸣バリ[ka⸢ta⸣bari](片割れ)という。半切れ。畑などのプ⸢スフン⸣キル[pu̥⸢suɸuŋ⸣kiru](一区画)の半分。
カタキム [kḁ⸢ta⸣kimu]一方の心。心の片方。心の片隅。心のどこか。全身からそう思うのではなく、心の片隅に別の思いがあること。「片肝」の義。
カタグー [kḁ⸢ta⸣guː]片方。一対のものの片方。揃いのものの片割れ。「片具」の義か。
カタグーパンチ [kḁ⸢taguːpan⸣ʧi]片方はずれ。一足の履物の片方が揃わないもの。
カタグーマンツァー [kḁ⸢taguːman⸣ʦaː]不揃いの物。一対の揃いの一組が不揃いになっているもの。男物の下駄や女物の下駄などが混ぜこぜになって不揃いであること。若年層は、カ⸢タグーマン⸣チャー[kataguːmanʧaː]という。
カタクトゥムニ [kḁ⸢takutu⸣muni]片言。不完全な、たどたどしい言葉遣い。ク⸢バ⸣ムニ[ku⸢ba⸣muni](片言)ともいう。
カタクリ [kḁ⸢takuri]片栗粉。カ⸢タクリクー[kḁ⸢takurikuː](片栗粉)ともいう。老人達は、片栗粉をお湯に溶かして黒糖を削って入れて飲んでいた。
カタサー [kḁ⸢tasaː]濃い茶。ッ⸢ス⸣サー[s⸢su⸣saː](薄い茶。出涸らしの茶。「白茶」の義)の対義語。
カタシキ [kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki]肩当て。
カタシキ [kḁ⸢ta⸣ʃi̥ki]型付け。型を付けて模様を描くこと。
カタ シキルン [kḁ⸢ta⸣ ʃi̥⸢ki⸣ruŋ]味方する。くみ(与)する。加勢する。贔屓する。カ⸢タ⸣ スクン[kḁ⸢ta⸣ su̥kuŋ](贔屓する)ともいう。
カタジキルン [kḁ⸢taʤiki⸣ruŋ]他動片付ける。標準語の転訛したもの。普通はシ⸢ズミ⸣ルン[ʃi⸢ʣumi⸣ruŋ](片付ける)という。
カタジクン [kḁ⸢taʤi⸣kuŋ]他動片付ける。「かたづく<下二段活用>」の四段活用化したもの。老年層は、カ⸢タ⸣スン[kḁ⸢ta⸣su̥kuŋ](片付く)という。
カタシラ [kḁ⸢ta⸣ʃira]片頬。反面。片方の顔。「かたつら(片面)」の義。⸢マーシラ[⸢maːʃira](真正面)の片面。
カタスクギ [kḁ⸢tasuku⸣gi]肩を組み合わせること。カ⸢タスクン⸣ギ[kḁ⸢tasu̥kuŋ⸣gi](肩を組みあわせる)ともいう。
カタ スクン [ka⸢ta⸣ su̥kuŋ]味方する。与する。加勢する。贔屓する。
カタスディヌキ [kḁ⸢tasudi⸣nuki]片肌を脱ぐこと。「片袖脱ぎ」。
カタスバ [kḁ⸢ta⸣suba]片側。側。ス⸢バ⸣カタ[su⸢ba⸣kḁta](側)の音位転倒したもの。
カタ スブイルン [⸣kḁta su⸢buiruŋ]肩をすぼめる。寒いとき、風邪を引いたり、体調不良の時に無意識にする動作。
カタスブシ [kḁ⸢tasubu⸣ʃi]かたひざ(片膝)。膝の片方。
カタスブル [kḁ⸢tasubu⸣ru]頭の片側。⸢片頭」の義。
カタスブルヤン [kḁ⸢tasuburu⸣jaŋ]偏頭痛。
カタソーピキ [kḁ⸢tasoː⸣piki]{1}対の物の一方が長いこと。
カタソーピキ [kḁ⸢tasoː⸣piki]{2}かたびいき(片贔屓)。「Catabijqi<カタビイキ>片贔屓。例、Catabijqiuo suru。(片贔屓をする)『邦訳日葡辞書』」。
カタソーピキ [kḁ⸢tasoːpi̥ki]ひいき(贔屓)。えこひいき。気に入った者に特別に目をかけ、後援すること。
ガタダー [ga⸢tadaː]浅田。西表北岸の海岸近くの浅い田圃。ユ⸢ビター[ju⸢bitaː](深田)の対義語。「潟田」の転訛したものか。西表北岸一帯の水田には、雌牛四五頭の角を棒に括り付けて水田に入れ、水田の泥を踏ませて田の水漏れを防いでいた。「潟田」は海岸の砂州の上に形成された水田で、「醎也、浜也、加太(かた)」『新撰字鏡』の転訛したものか。
カタチ [kḁ⸢taʧi]{1}姿形。格好。なりふり。
カタチ [kḁ⸢taʧi]{2}態度。そぶり。様子。気配。
カタチ アン [kḁ⸢taʧi⸣ ʔaŋ]容姿が美しい。「形がある」の義。
カタチェー ナーヌ [kḁ⸢taʧeː naː⸣nu]容姿が端麗でない。容貌が美しくない。「形がない」の義。
カタチカーニ [kḁ⸢taʧikaːni]形ばかり。形式だけ。
カタチタンガ [kḁ⸢taʧitaŋ⸣ga]{1}形だけ。容貌だけ。
カタチタンガ [kḁ⸢taʧitaŋ⸣ga]{2}ほんの少し。形ばかり。形式用。
カタチ トールン [kḁ⸢taʧi toː⸣ruŋ]容貌がみすぼらしくなる。痩せ衰えてやつれる。「形が倒れる」の義。
カタチニ [⸣kḁtaʧini]~のように。ある物の姿、かっこうの如く。「形に」の義。
カタッポー [kḁ⸢tap⸣poː]片方。片一方。
カタティー [kḁ⸢ta⸣tiː]{1}片手。
カタティー [kḁ⸢ta⸣tiː]{2}片方。片手。みずたご(水担桶)などの一対のものの片方。フ⸢タティー[ɸu̥⸢tatiː](二手。両手)でプ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一担い。「一担げ<ヒトカタゲ>」の義)となる。
カタティダ [kḁ⸢ta⸣tida]片一方に太陽光があたること。片陰。片面にだけ日が当たること。
カタティマ [kḁ⸢ta⸣tima]{1}本業の余暇にする仕事。非正規雇用。
カタティマ [kḁ⸢ta⸣tima]{2}手間賃の半額。片手間賃。
カタドゥー [kḁ⸢ta⸣duː]半身。体の半分。
カタトゥキ [kḁ⸢ta⸣tuki]かたとき(片時。一時の半分)。わずかの間。短時間。一刻(も)。
カタトゥキン [kḁ⸢ta⸣tu̥kiŋ]一時も。片時も。一刻も。わずかの時間も。
カタトン [kḁ⸢ta⸣toŋ]片方。一方。片側。「片所」の義。
カタナ [kḁ⸢ta⸣na]包丁。菜切り包丁。「刀」と同義で、料理に用いる片刃の刃物。刀剣の意味はない。「大刀、太知(たち)。小刀、賀太奈(かたな)『和名抄』」の転訛したもの。鰹節製造工場では、イ⸢ズバザイカタナ[ʔi⸢ʣubaʣaikatana](魚を捌く包丁)、ヨ⸢ツワリカタナ[jo⸢ʦuwarikatana](三枚下ろしにした鰹の上身と下身を四つ割りにする包丁。幅約10センチ、刀身約15センチの半円形の包丁)、サ⸢バカタナ[sa⸢bakatana](⸢鱶刀」の義。柄にぎざぎざの切込みをつけて滑り止めを施した鋭利な包丁。烏賊釣り漁に持参した)、ヤ⸢マンガラ⸣シ[ja⸢maŋgara⸣ʃi](山刀)などがあった。
カタナシ [kḁ⸢ta⸣naʃi]偏った産み方。男または女の一方だけに偏って産むこと。「片生し<片産み>」の義。
カタナヌ パー [kḁ⸢tana⸣nu ⸣paː]包丁の刃。
カタニー [kḁ⸢ta⸣niː]{1}片荷。一方の荷。
カタニー [kḁ⸢ta⸣niː]{2}一方に荷を積みすぎること。片方の荷が重いこと。
カタニー [kḁ⸢ta⸣niː]片煮え。一方だけ煮えて全体が煮えないこと。
カタヌ ブリ [ka⸢ta⸣nu ⸣buri]肩揚げ。着物のゆき(裄)を肩のところで縫い上げておくもの。「肩の折」の義。
カタパー [kḁ⸢ta⸣paː]片刃。片側にだけ刃をつけたもの。
カタパーシーグ [kḁ⸢tapaːʃiː⸣gu]片刃の小刀。「片刃・み・すへご」『混効験集(乾・器財)』とある。「すへご」は「鉏<サヒ>・グ」の転訛したものか。「鉏を作りテ此の岡に祭るに・・・即ち佐比<さひ>岡と号<なづ>く」『播磨風土記』。鰹節を押し削るのに用いる小刀。引き削り用の小刀はピ⸢ギシー⸣グ[pi⸢giʃiː⸣gu](へぎ<剥ぎ>・小刀)、押して削る小刀を、シ⸢キシーグ[ʃi̥⸢kiʃiːgu](突き小刀)という。
カタパーヌキル [kḁ⸢tapaːnuki⸣ru]片刃鋸。鋸の片面にだけ刃が付いているもの。山仕事や薪割り作業で、木を切るのに用いる鋸。⸢リョーバーヌキル[⸢rjoːbaːnukiru](細工道具の両刃鋸)の対義語。
カタパームヌ [kḁ⸢tapaː⸣munu]{1}偏屈な者。かたくな(頑な)な人。「かたは(片端)。容姿性質の不完全なこと」『源氏物語 末摘花』の転訛したものか。
カタパームヌ [kḁ⸢tapaː⸣munu]{2}⸢イッポー⸣ギ[⸢ʔippoː⸣gi](一徹者。頑固者。偏屈な者)ともいう。
カタバキ [kḁ⸢ta⸣baki]偏った分け方。片方に贔屓して多く分割すること。
カタバタ [kḁ⸢ta⸣bata]心の片方。片心。そう思う一方で、正反対のことを思うこと(悪事の企みを連想する際に用いる)。「片腹」の義。類義語の、カ⸢タ⸣キム[kḁ⸢ta⸣kimu](片肝。心の片方。一方の心)は「心配事、吉事を連想する」際に用いる。
カタパニ [kḁ⸢ta⸣pani]片方の翼。片羽。
カタパバ [kḁ⸢ta⸣paba]肩幅。
カタバリ [kḁ⸢ta⸣bari]{1}片割れ。半分。割れた物の片方。
カタバリ [kḁ⸢ta⸣bari]{2}対になっているものの片方。双生児の片方。
カタバル [kḁ⸢tabaru]干潟。「潟原」の義。「潟」は、浦、入り江、湾、海岸など遠浅の海で、満潮時には海水に没し、干潮時には現れる砂浜。遠浅の浜。「~之保非能可多爾<潮干の潟に>。万、3595」。⸢~浜也、加太<かた>」『新撰字鏡』の義。
カタバルゴーナー [kḁ⸢tabarugoːnaː](動)和名、コメツキガニ(米搗蟹)。西表北岸の湾の干潟に群棲するスナガニ科の小さな蟹。甲羅の長さは約1センチで両方のはさみを上げ下げしながら砂や泥を食べ、巣の周りに砂団子を並べる習性がある。
カタパン [kḁ⸢ta⸣paŋ]{1}片足。
カタパン [kḁ⸢ta⸣paŋ]{2}履物や箸など、一対(一組)のものの片方。カ⸢タ⸣グー[ka⸢ta⸣guː](片方)ともいう。
カタパンツァーリ [kḁ⸢tapanʦaː⸣ri]一揃い<一対、一足>の物の片方が別の物と混じること。ふぞろい(不揃い)になること。ちぐはぐになること。「片足あざり(狂リ)」の義か。「Catachigu.カタチグ(片ちぐ)対で数える物の片方あって、たとえば、履物や瓶子などの片方がもう一方と違っている場合に言う.」『邦訳日葡辞書』。
カタピキ [kḁ⸢ta⸣pi̥ki]えこひいき(依こ怙贔屓)。かたびいき(片贔屓)。「片引き」の義。
カタピキムヌ [kḁ⸢tapi̥ki⸣munu]身体障害者。かたわもの(片端者)。
カタピサ [kḁ⸢ta⸣pi̥sa]履物の片方。片足。⸣ピサ[⸣pi̥sa](足)は、⸣パンピサ[⸣pampi̥sa](人の足。特に踝より下)のこと。
カタピサ [kḁ⸢ta⸣pi̥sa]両面あるものの片面(片足)。「片ひら(平)」の義。「Catafira.カタヒラ(片平)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。Cira→Cisa(C=*p)の音韻変化の法則がある。魚を三枚おろしにした上身と下身の各部分。
カタピサイズ [kḁ⸢tapisa⸣ʔiʣu](動)魚名。カレイ。ヒラメの総称。海底の砂地に棲息している。「片ひら魚」の義。
カタピサヤー [kḁ⸢tapisa⸣jaː]片側屋根の家。片流れ造り。「片ひら<坂。屋根>家」の義。「~此をば余母都比羅佐可<よもつひらさか>といふ『日本書紀 神代』」の「ひら」と同じ。「Catafira.(片平)家の屋根の流れの片側.」『邦訳日葡辞書』の義。
カタプー [kḁ⸢ta⸣puː]片帆。一つだけの帆。横風を受けて帆をはらませて操船する際に用いる帆。これによって⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟、サバニ)はマ⸢ギ⸣フニ[ma⸢gi⸣ɸuni]<ジグザグ航法>をして風上の方へ航行することができる。⸢マープー[⸢maːpuː](真帆。マ⸢シ⸣ビカジ{SqBr}ma⸢ʃi⸣bikaʤi{/SqBr}<真艫から吹く風>をうけて張る帆)の対義語。
カタふァイ [kḁ⸢ta⸣fai]偏食。「片喰い」のぎ。
カタフイ [kḁ⸢ta⸣ɸui]片降り。雨が片方にだけ降ること。
カタプサ [kḁ⸢ta⸣pu̥sa]側。片側。
カタプサーラ [kḁ⸢tapu̥saː⸣ra]片っ端から。一方から。次々に。手当たり次第にすべて。⸢イッソー⸣ラ[⸢ʔissoː⸣ra](片っ端から)ともいう。
カタフチ [kḁ⸢ta⸣ɸu̥ʧi]片口。入り口の片方。注ぎ口の片方。
カタフチェーラ [kḁ⸢taɸuʧeː⸣ra]片っ端から。一方から。総て。
カタフチピケーシ [kḁ⸢taɸu̥ʧipi̥keː⸣ʃi]微笑。口の片側を少し引いて微笑むこと。含み笑い。片口笑い。「片口引きあい」の義。
カタブニ [kḁ⸢ta⸣buni]鎖骨。「肩骨」の義。
カタブリ [kḁ⸢ta⸣buri]肩上げ。「肩折」の義。子供の着物の肩を縫い上げておくこと。
カタフル [kḁ⸢ta⸣ɸuru]片方の睾丸。フ⸢ル[ɸu⸢ru](陰嚢)は「陰嚢、俗云、布久利<ふぐり>」『和名抄』の転訛したもの。フィラリア症による陰嚢水腫。片方の睾丸が腫れている男性。
カタホー [kḁ⸢ta⸣hoː]下駄の片方。片一方。老年層は、カ⸢タパン⸣マー[ka⸢tapam⸣maː](片足は)という。
カタマーリ パルン [kḁ⸢tamaː⸣ri ⸣paruŋ]行きやがる。行きくさる。ほっつきまわる。相手の「行く」動作を軽蔑し、憎むことば。
カタマールン [kḁ⸢tamaː⸣ruŋ]自動 行きやがる。うろつく。うろつき回る。ほっつきやがる。ほっつき回る。卑語。
カタマスン [kḁ⸢tama⸣suŋ]他動担がせる。動詞カ⸢タ⸣ムン[kḁ⸢ta⸣muŋ](担ぐ)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる。~させる)が付いて形成された派生動詞(使役動詞)。
カタマラスン [kḁ⸢tamarasuŋ]他動固める。固くする<固まらせる>。
カタマリ [kḁ⸢tamari]かたまり(塊)。
カタマルン [kḁ⸢tamaruŋ]自動固まる。凝固する。
カタミ [kḁ⸢ta⸣mi]形見。思い出の遺品。「安波牟日能 可多美爾世与等~<逢はむ日の 形見にせよと~>『万葉集 3753』」の義。
カタミ [kḁ⸢ta⸣mi](数)。か(荷)。天秤棒の両端に水担桶などを吊るして担う分量の単位。「担ぎ」の義。その一方の分量はカ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手、片一方)という。
カタミー [kḁ⸢ta⸣miː]片目。
カタミチ [kḁ⸢ta⸣miʧi]片道。⸢ギームドゥル[⸢giːmuduru]<往復。行き来>の対義語。
カタミティマ [kḁ⸢tami⸣tima]担ぎ賃。担ぎ手間。
カタミヌ サカシキ [kḁ⸢taminu⸣ sḁ⸢kaʃi̥ki]固い約束の杯を交わすこと。「固めの杯」の義。「~天地能 加多米之久爾曾 夜麻登之麻祢波<天地の固めし国ぞ 大和島根は>『万葉集 4487』」の義。
カタミルン [kḁ⸢tami⸣ruŋ]他動担ぐ。
カタミルン [kḁ⸢tamiruŋ]他動{1}固める。
カタミルン [kḁ⸢tamiruŋ]他動{2}固く約束する。固く契る。
カタミン [kḁ⸢ta⸣miŋ]片耳。
カタムトゥン [kḁ⸢ta⸣mutuŋ]贔屓する。味方をして援助する。「肩を持つ」の義。
カタムラシ [kḁ⸢tamuraʃi]つちくれ(硬い土塊)。ミ⸢ツァムラ⸣シ[mi⸢ʦamura⸣ʃi](土塊)ともいう。
カタムラシ [kḁ⸢tamura⸣ʃi]肩の盛り上がった筋肉。
カタムン [kḁ⸢tamuŋ]他動固める。強化する。「かたむ<下二段活用>、天地能 加多米之久爾曽『万葉集 4487』」の四段活用化したもの。
カタムン [kḁ⸢tamuŋ]他動{2}しっかりと<口を固くして>約束を守る。
カタムン [kḁ⸢ta⸣muŋ]他動担ぐ。
カタヤン [kḁ⸢ta⸣jaŋ]肩の痛み。「肩病み」の義。カ⸢ヤ[ka⸢ja](肩の病気)ともいう。
カタントン [kḁ⸢tan⸣toŋ]片方。一方。片側。「片所」の義。カ⸢タ⸣トン[kḁ⸢ta⸣toŋ](片方)ともいう。
カチ [⸣kḁʧi]勝ち。
ガチ [⸢ga⸣ʧi]助数月。若年層の月を数える助数詞。老年層は⸢-グヮ⸣チ[⸢gwa⸣ʧi](月)という。イ⸢チンガ⸣チ[ʔi⸢ʧiŋga⸣ʧi](一月)、⸢ニンガ⸣チ[⸢niŋga⸣ʧi](二月)、⸢サンガ⸣チ[⸢saŋga⸣ʧi](三月)、⸢シンガ⸣チ[⸢ʃiŋga⸣ʧi](四月)、⸢グンガ⸣チ[⸢guŋga⸣ʧi](五月)、ル⸢クンガ⸣チ[ru⸢kuŋga⸣ʧi](六月)、シ⸢チンガ⸣チ[ʃi̥⸢ʧiŋga⸣ʧi](七月)、パ⸢チンガ⸣チ[pa⸢。ʧiŋga⸣ʧi](八月)、⸢クンガ⸣チ[⸢kuŋga⸣ʧi](九月)、⸢ズンガ⸣チ[⸢ʣuŋga⸣ʧi](十月)、⸢ジュー⸣イチンガチ[⸢ʤuː⸣ʔitiŋgaʧi](十一月)、⸢ジュー⸣ニンガチ[⸢ʤuː⸣niŋgaʧi](十二月)と数える
ガチー [⸣gaʧiː]食いしん坊。いやしん坊。ガ⸢チ⸣マヤー[ga⸢ʧi⸣majaː](食いしん坊)ともいう。
カチイクサ [kḁ⸢ʧiʔiku⸣sa]勝ち戦。マ⸢キイクサ[ma⸢kiʔikusa](負け戦)の対義語。
ガチガチ [ga⸢ʧigaʧi]擬音語。がちがち。歯などの硬いものが小刻みにぶつかり合って発する音。寒さに震えて上下の歯がぶつかり合って出す音。
カチマキ [⸣kaʧimaki]勝ち負け。
ガチマヤー [ga⸢ʧi⸣majaː]食いしん坊。卑しん坊。食い意地のはった人。「がきねこ(餓鬼猫)」の転訛したものか。飢えた猫はよく魚や蛸を盗んでいったものである。転じて、盗み食いをするような「食いしん坊」をガ⸢チ⸣マヤーと呼ぶ。ッ⸢ふァイダマー[f⸢faidamaː](食いしん坊)より卑罵の程度が軽い。
カチミー [kḁ⸢ʧi⸣miː]勝ち目。勝機。勝つ見込み。
カチリカザ [ka⸢ʧirikaʣa]腐った匂い。腐臭。
カチリムヌ [kḁ⸢ʧiri⸣munu]飢えた者。「かつえ(餓え者)」の転訛。
カチルン [ka⸢ʧi⸣ruŋ]自動飢える。かつえる。「飢極、カツヱコウジタリ」『文明本節用集』の転訛したもの。
カツ [kḁ⸢ʦu](動)魚名。和名、カツオ(鰹)。体長約80センチ。大きさによって、ク⸢バン[ku⸢baŋ](小判、全長約50センチ)、⸢ダイ⸣バン[⸢dai⸣baŋ](大判、体長約80センチ)、トゥ⸢ビダイ[tu⸢bidai](超大判、体長約1メートル)、ビ⸢リ⸣グヮー[bi⸢ri⸣gwaː](体長約30センチ)のカツオが漁獲された。五、六月頃の北へのぼるカツオは小判が多く、七、八月頃には大判も多く釣れた。九月頃の北から南へ下る秋鰹にはトゥビダイが釣れた。
カツァ [kḁ⸢ʦa]蚊帳。麻糸で編んだ細目の網状のとばり。夏期には蚊が発生するので、寝室に蚊帳を吊るし、その中に寝た。8畳用、6畳用、4畳半用の蚊帳があった。蚊帳の四隅、または6箇所にカ⸢ツァヌ⸣ミン[kḁ⸢ʦanu⸣miŋ](蚊帳の耳。吊革)を付け、部屋の四隅に取り付けた吊り金に掛けて吊るした。
カツァースン [kḁ⸢ʦaː⸣suŋ]他動掻き混ぜる。
カツァヌミン [kḁ⸢ʦanu⸣miŋ]⸢蚊帳の耳」の義。蚊帳吊り。蚊帳の吊り手の先に取り付けた金属製の輪。これを部屋の四隅、又は6箇所に取り付けた吊り金<フック>に引っ掛けて蚊帳を吊った。
ガッカシ [⸢gakka⸣ʃi]がくがく。ぶるぶる。厳しい寒さで体ががくがく震えるさま。驚愕したり、恐ろしさに怯えて体が震えるさま。
カッキ [⸢kak⸣ki]かっけ(脚気)。ビタミンB1の欠乏症。
ガック [⸢gak⸣ku]かぎ(鉤)。先の曲がった金属製の具。物を吊り下げるための金具<鉤>。
ガッケ [⸢gak⸣ke]鎌。稲刈りや草刈りに用いる、三日月形の鉄製の刃に木製の柄をつけた農具。戦後になって、稲刈り鎌として鋸目のついた鎌が現れた。軽く、長時間使用しても鎌の刃が鈍ることはなかった。
カッコー [⸢kakkoː]格好。様子。身なり。すがた。
ガッコー [⸢gak⸣koː]学校。鳩間小学校沿革史によると「明治二十九年六月十六日、初メテ當村ニ於イテモ学校ヲ設立スルコトトナリ、當村事務所ノ西隣ノ僅カ九十二坪ノ地ニ、幅ガ二間、長サ三間半、総坪数七坪ノ掘立小屋ヲ作リ、就学児童二十三人ヲ収営シテ大川尋常小学鳩間分校と称シ、雇教員大濱安能氏當分校勤務ヲ明ゼラル。此レ當村ニ於いて教育ノ嚆矢ナリ」『創立百周年記念誌 波涛を越えて』とある。昭和24年新学制(6・3・3制)により中学校が併置され、新校舎は大泊582番地に新築された。村人総出による校舎新築であった。昭和30年には小学校も字大泊の現校地に移転し、現在に至っている。
ガッコーシートゥ [⸢gak⸣koːʃiːtu]学校生徒。生徒。⸢ガッ⸣コーヤラビ[⸢gak⸣koːjarabi](学校童。学校生徒)ともいう。
ガッコーッふァ [⸢gak⸣koːffa]児童。生徒。「学校子等」の義。
ガッコードング [⸢gak⸣koːdoŋgu]学校道具。学用品。カバンや教科書、ノート、鉛筆、消しゴム、小刀など。
ガッコーナー [⸢gakkoː⸣naː]学校で呼ばれる名前。戸籍上の名前。
ガッコーヌ ナー [⸢gakkoː⸣nu ⸢naː]戸籍上の正式の名前。「学校の名」の義。⸢ヤー⸣ナー[⸢jaː⸣naː](家の名前。童名。家での呼び名。伝統的な命名法に基づく名前。長男は父方の祖父の名前を貰い、長女は父方の祖母の名前を貰って命名されたもの。次男は母方の祖父の名、次女は母方の祖母の名を貰って付ける)の対義語。
ガッコーヤスミ [⸢gak⸣koːjasumi]学校休み。夏休みや冬休みなどの休業。
ガッサガッサ [⸢gassagassa]すばやく。急いで。すばやく働いたり、行動するさま。
ガッサラガサラ [⸢gassaragasara]がじがじ。歯で{齧}{カジ}ったり、ものを噛んだりするさま。
カツシン [kḁ⸢ʦuʃiŋ]カツオ漁船。鳩間島のカ⸢ツシン[kḁ⸢ʦuʃiŋ]は明治の末頃に沖縄本島の本部町より導入されたという。当初は⸢プーシン[⸢puːʃiŋ](帆船)で六挺櫓、八挺櫓で漕ぐ船であったという。散水機もなく、⸢スー⸣パニ[⸢suː⸣pani](潮撥ね。竹を割った物で潮をかき撥ねる道具)で散水してカツオを釣ったといわれている。発動機船(焼玉エンジン一気筒を装備した漁船)が導入されたのは昭和に入ってからである(故加治工伊佐氏直話)という。
カツシンシンカ [kḁ⸢ʦuʃiŋʃiŋka]カツオ漁船の船員。「カツオ船臣下」の義か。フ⸢ナ⸣カク[ɸu⸢na⸣kaku](船員)ともいう。漁業組合組織にして、カ⸢ブシンカ[ka⸢buʃiŋka](株組員。株仲間。「株臣下」の義か)ともいうこともある。
カツダシ [kḁ⸢ʦudaʃi]カツオの出汁。
ガッダルガダル [gad⸢darugadaru]がたがた震えるさま。驚愕のあまり、腰を抜かしてがたがた震えるさま。
カッツァー [⸢kat⸣ʦaː]彼ら。あれら。あの人たち。三人称代名詞カ⸢リ[ka⸢ri](あれ。彼)の複数形。人、物に対して用いる。
ガッツリ [gat⸢ʦuri]きっちり。かっきりと。ちょうど。
カッティ [⸢katti]身勝手。わがまま(我儘)。思うまま。自分だけ都合のよいこと。
ガッティン [⸢gat⸣tiŋ]合点。承知。
ガッティン スン [⸢gat⸣tin ⸢suŋ]承知する。承諾する。納得する。
カツドゥル [kḁ⸢ʦuduru](動)カツオドリ。カツオドリ科の海鳥で腹は白く他は暗褐色。うみねこ(海猫)にもいう。カツオの魚群に群れて小魚を捕食するので、その群れを探して、それを目印に、カツオを追いながら魚群に船を付けて餌を撒き、カツオを釣る。
カツナマシ [kḁ⸢ʦunamaʃi]カツオの刺身。
カツヌ キンパルン [kḁ⸢ʦunu kimparuŋ]カツオの黄色い卵巣。「カツオの黄はらみ」の義か。塩漬けにして、バ⸢タガラ⸣ス[ba⸢tagara⸣su](からすみ<鱲子>)を製造した。
カツヌ シェーガー [kḁ⸢ʦunu ʃeː⸣gaː]カツオの背びれ。背びれと背皮。「カツオの背皮」の義か。単に⸢シェー⸣ガー[⸢ʃeː⸣gaː](背皮。背びれ)ともいう。
カツヌ ズーブニ [ka⸢ʦunu ʣuːbuni]カツオの尾びれ<尾骨>。
カツヌ スブル [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ru]カツオの頭。
カツヌ スブルキシ [kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ruki̥ʃi]カツオの頭切り。漁船が帰港すると、本船から釣ったカツオを⸢ティンマ⸣グヮー(小伝馬舟)で浜辺へ運ぶ。渚では、カ⸢ツヌ⸣ ス⸢ブ⸣ルキシ マ⸢ニ⸣ツァ[kḁ⸢ʦunu⸣ su⸢bu⸣ruki̥ʃi ma⸢ni⸣ʦa](大きなカツオの頭切り俎板)を据え、数人の製造人がカツオの頭切り作業をした。その際、カツオの頭は捨てるものだから、カツオを渚から大俎板台へ載せる手伝いをした子供が貰うことになっていた。そこでは、ハ⸢ラ⸣ゴー[ha⸢ra⸣goː](腹皮。腹鰭のある腹部の皮)と⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](カツオの卵巣)、ッ⸢ス⸣パルン[s⸢su⸣paruŋ](しらこ<白子>。「白ハラミ」の義か)を取って、カ⸢ツヌ⸣ バ⸢タガラ⸣ス[kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su](卵巣や白子の塩漬け。からすみ<鱲子>)を製造した
カツヌ ッスパルン [kḁ⸢ʦunu⸣ s⸢su⸣paruŋ]カツオの白い精巣。しらこ(白子)。⸢カツオの白はらみ」の義か。塩漬けにした。
カツヌ ナカブニ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣buni]カツオの中骨(脊髄骨。⸢ズーブニ{SqBr}⸢ʣuːbuni{/SqBr}<尾骨。尾びれ>を除いたもの)。
カツヌ ナカワリ [kḁ⸢ʦunu⸣ na⸢ka⸣wari]カツオの三枚卸。「カツオの中割」の義。
カツヌ ニージル [kḁ⸢ʦunu niːʤiru]カツオの煮汁。
カツヌ バタ [kḁ⸢ʦunu⸣ bata]カツオのはらわた(腸)。内臓。
カツヌ バタガラス [kḁ⸢ʦunu⸣ ba⸢tagara⸣su]カツオの腸の塩漬け。
カツヌ ハラゴー [kḁ⸢ʦunu⸣ ha⸢ra⸣goː]カツオの腹皮。カツオの胸鰭から後ろの腹部の皮。内臓を包む腹部の皮。脂がのって美味しい。塩漬けにもして販売した
カツヌ パルン [kḁ⸢tunu⸣ paruŋ]カツオの卵巣と精巣。「カツオのハラミ」の転訛したものか。⸢キンパルン[⸢kimparuŋ](黄色い卵巣)とッ⸢ス⸣パルン[s⸢su⸣paruŋ](白い精巣)がある。
カツヌ ピーマ [ka⸢ʦunu piːma]カツオのえら(鰓)。
カツヌ ヒジガラ [kḁ⸢ʦunu⸣ çi⸢ʤi⸣gara]鰹節の削りくず<殻>。単にヒ⸢ジ⸣ガラ[çi⸢ʤi⸣gara]ともいう。ヒ⸢ジ⸣ガラ[çi⸢ʤi⸣gara](削り殻)は冬期の家庭用の出汁のもととして保存された。
カツヌ ミンバニ [ka⸢ʦunu mim⸣bani]カツオのえらぶた(鰓蓋)。
カッパ [⸢kap⸣pa]合羽。雨合羽。ポルトガル語由来の外来語が借用されたもの。
ガッパイ [⸢gap⸣pai]おでこ。出っ張った額。
ガッパイスブル [⸢gap⸣paisuburu]おでこ(額)の大きな頭。額が高く出ている頭。
カツピギ [kḁ⸢ʦu⸣pigi]鰹節削り。「鰹節へぎ<剥ぎ>」の義。この作業は主として婦人達が担当した。専用の⸢シー⸣グ[⸢ʃiː⸣gu](小刀。「さいぐ(鉏具)」の転訛したものか)を用いた。
カツピギシーグ [kḁ⸢ʦupigiʃiː⸣gu]鰹節削り小刀。「鰹節へぎ<剥ぎ>・シーグ(さいぐ<鉏具>)」の転訛したもの。
ガッふァガッふァ [⸢gaffagaffa]豚のように大きな口を開けて、口から食物を零しながら勢いよく食べるさま。擬音語。擬態語。がばがば。むしゃむしゃ。
ガッふァティ [gaf⸢fa⸣ti]がっぽりと。ぴったりと。ぱくっと。思いがけない大量の幸運がくるさま。
ガッふァティ [gaf⸢fati]ばったり。突然に対面するさま。
カツブシ [ka⸢ʦubuʃi]鰹節。鰹節には⸢ウー⸣ブシ[⸢ʔuː⸣buʃi](雄節。四つ割りにした背肉の部分)と⸢ミー⸣ブシ[⸢miː⸣buʃi](雌節。四つ割りにした腹肉の部分)、カ⸢ミ⸣ブシ[ka⸢mi⸣buʃi](亀節。ク⸢バン{SqBr}ku⸢baŋ{/SqBr}<小判。小さなカツオ>の身を三枚おろしにして、片身を一節にしたもの)がある。⸢ウー⸣ブシ(雄節)が最高品質の鰹節で、⸢ミー⸣ブシ(雌節)は二級品質、カ⸢ミ⸣ブシ(亀節)は三級品質の鰹節である。カツオを三枚におろし、四つ割りにして煮籠に並べ、それを十数枚重ねて煮釜に入れて煮る。十分に煮た後煮籠を引き上げて冷し、バ⸢ラ⸣ヌキ[ba⸢ra⸣nuki](骨の抜き取り)をして焙乾小屋に移して焙乾し、カツオ節にした。
カツブシ シーゾーヤー [kḁ⸢ʦubuʃi ʃiːʣoː⸣jaː]鰹節の製造屋。鰹節製造工場。単に⸢シーゾー⸣ヤー[⸢ʃiːʣoː⸣jaː](製造屋)ともいう。
カツムシ [kḁ⸢ʦumuʃi](動)カツオブシムシ。鰹節に寄生する甲虫。
カツン [⸣kaʦuŋ]自動勝つ。
ガツン [⸣gaʦuŋ](動)魚の名。アジの仲間。和名、メアジ(体長約30センチ)。体形は長紡錘形で、背は暗青色。腹部は銀白色を呈する。
カティ [kḁ⸢ti]技術や要領を会得していること。経験豊かで、その道に精通していること(老年層の言葉)。若年層で⸢カッティ[⸢katti](勝手。経験豊かな人)という人もいる。
カティウシ [kḁ⸢ti⸣ʔuʃi]搗き臼。在来種の赤穂米の長いのぎ(芒。禾)を落とすための搗き臼。玄米を精げる臼よりも高さが低く、深めに彫られた臼で、松材で作られていた。
カティヌ アン [kḁ⸢tinu⸣ ʔaŋ]経験豊かで仕事に精通していて、上手である。
カティマイ [kḁ⸢ti⸣mai]ノギ(禾、芒)を取り去った籾。在来種の稲を脱穀して芒を落とすために臼にいれ、杵で搗いて籾にした。これを更に挽き臼にかけて玄米にし、搗き臼で搗いて精米した。芒を除去するために臼で搗くことを、⸣カトゥン[⸣kḁtuŋ](かてる<糅て>の義か)という。⸣ウシノーマイ[⸣ʔuʃinoːmai](在来種の米)やダ⸢ネー⸣ママイ[da⸢neː⸣mamai](在来種の米)には長いのげ(芒)があるので、搗臼で搗いて芒を除去する必要があり、そのことを⸣カトゥン[⸣kḁtuŋ](搗く<カツ>)というが、カティマイは、「搗いて芒を落とした籾」の義。
カティムヌ [ka⸢ti⸣munu]副食物。おかず(御数)。和え物。「かてもの<糅てもの>」の義。「糅、まぜる。醤酢<ひしほす>に蒜<ひる>つきかてて~。万、3829」。⸢雑、マジフ・カサヌ・カツ」『類聚名義抄』」の転訛したもの。「むきやてもの 御和<カテ>物の事也『混効験集』」の義。
カティルン [kḁ⸢ti⸣ruŋ]他動御飯に副食物を和える。混ぜる。「かてる(糅てる)、推古紀」の義。
カティルン [kḁ⸢ti⸣ruŋ]他動臼に在来種の稲を入れて搗き、のぎ(芒)を除去する。
カドー [⸣kadoː]⸣カドゥ[⸣kadu](こんなに遠く<空間>)に係助詞-ヤ[-ja](は。とりたて強意)が融合した形。
カトーシ [kḁ⸢toːʃi]梳き櫛。歯の細かい櫛。⸣ッサン[⸣ssaŋ](虱)や⸢ケー⸣サ[⸢keː⸣sa](虱の卵)を梳き落とすのに用いる櫛。左右両方に細かい櫛の歯がある。
カドゥ [⸣kadu]義理。{廉}{カド}。きちんとしたけじめ。折り目正しい態度。
カドゥ [⸣kadu]角。すみ(隅)。⸣シヌ[⸣ʃinu](つの)ともいう。
カドゥ [⸣kadu]歌謡語で、「村」の意。⸢琉球国時代の集落の単位で、十戸ほどを一組にしたもの。⸢フン[⸢ɸuŋ](組)ともいった。⸢アサドーヤブ⸣シゥ[⸢ʔasadoːjabu⸣sï](安里屋節)に⸢フンカドゥ[⸢ɸuŋkadu]が集落の意で歌われている」『石垣方言辞典』。「仲筋ニ走リオリ/フンカドゥニ飛ビヤオリ」安里屋節、第六連『八重山民謡誌』
カトゥク [kḁ⸢tu⸣ku]家督。相続すべき家の跡目。標準語からの借用語。普通は、⸣アトゥシギ[⸣ʔatuʃigi](跡継ぎ)という。
カドゥブリムヌ [ka⸢duburi⸣munu]義理を欠いた者。不義理な人。「廉<かど>折れ者」の義。
カトゥン [⸣kḁtuŋ]他動かつ(搗つ)。臼で搗く。「かてる(糅てる)下二段」の四段活用化したものか。稲ののぎ(芒)を搗き臼で搗いて取り除く。「搗、ツク・カツ『類聚名義抄』」の転訛したもの。
カトゥン [⸣kḁtuŋ]他動ご飯に副食物のおかず(御数)を混ぜて食べる。混ぜる。「~醤酢(ひしほす)に蒜都伎合而<ひるつきカテテ>~。万、3829」、「雑、マジフ、カサヌ、カツ」『類聚名義抄』の転訛したもの。
カトンカスン [kḁ⸢toŋka⸣suŋ]他動傾ける。傾かせる。
カトンキアラキ [kḁ⸢toŋkiara⸣ki]傾き歩き。首をかしげ<{傾}{カシ}げ>て歩くさま。首を傾げて歩く癖のある歩き方。
カトンクン [ka⸢toŋ⸣kuŋ]自動{1}傾く。傾斜する。
カトンクン [ka⸢toŋ⸣kuŋ]自動{2}横になる。
カナ [ka⸢na]かんな(鉋)。大工道具の一つ。⸢ヤーザイ⸣ク[⸢jaːʣai⸣ku](家造り大工)、フ⸢ナザイ⸣ク[ɸu⸢naʣai⸣ku](船大工)、サ⸢シ⸣ムヌザイク[sḁ⸢ʃi⸣munuʣaiku](指物細工)等が用いる工具。木材や板の表面を削って平滑にする鉋や溝を作ったり、桶の側面や丸底を削ったりするのに用いるマ⸢ルカナ[ma⸢rukana](丸鉋)などがあった。カ⸢ナッ⸣クル[ka⸢nak⸣kuru]({鉋屑}{カンナ|クズ})は焚きつけに用いた。「眞鉋持<まかな持ち>『万葉集 1385』、⸢鏟、平\kaeriten{㆑}木鉄也、加奈<かな>」『新撰字鏡』」の転訛したもの。一般の鉋はヒ⸢ラカナ[çi⸢rakana](平鉋、台鉋)という。
カナ [⸣kana]織物用の糸を束ねたもの。⸣カシ[⸣kaʃi](経糸)を数える単位。
カナ [ka⸢na]仮名。平仮名。片仮名。標準語からの借用語。明治29年の鳩間尋常小学校の開設に伴って導入された語であろう。
カナー [⸣kanaː]人名。男子の名。「愛し」の語幹「かな」から転じたもの。「~妻子見波 可奈之久米具之~<~めこ見れば かなしくめぐし~>『万葉集 4106』」の転訛したもの。
カナー [⸣kanaː]あそこで。あそこに。指示代名詞⸣カマ[⸣kama](あそこ)に格助詞⸣ナー[naː](で)が下接し、[kama](あそこ)+ [naː](で)→ [kanaː](あそこに)のように融合して形成された語。⸣クナー[⸣kunaː](ここに)、⸣ウナー[⸣ʔunaː](そこに)、⸣カナー[⸣kanaː](あそこに)も同様の音韻変化によって形成されたものである。
カナースン [ka⸢naː⸣suŋ]他動叶える。
カナーヒーテー [⸣kanaːçiːteː]屋号。兼久 清氏宅。人名の⸣カナー[⸣kanaː](加那)に、接尾語⸣ヒー[⸣çiː](兄さん)が下接して → ⸣カナーヒー[⸣kanaːçiː](カナー兄さん)のように生成された合成語。⸣ヒー[⸣çiː]は糸満方言の、⸣アフィー[⸣ʔaɸiː](兄さん)が転訛したもの。
カナーヨー [⸣kanaːjoː]琉球舞踊の雑踊り一つ、「加那よー天川」のこと。沖縄本島の舞踊が鳩間島にも伝えられている。何時、誰によって伝えられたか明確ではないが、キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)の奉納舞踊として踊られていた。おそらく比屋根安粥(粥<シュク>。弼<ヒッ>とも)の頃から沖縄の芸能が鳩間島にも伝えられたであろうが、今日上演されているのは明治27年以後の芝居踊りが伝えられたものと考えられる。鳩間島には、他の古典舞踊の古形が伝承されていることから考えると、古形のカナヨー踊りが比屋根安粥によって伝えられていたかもしれない。彼は1821年首里当蔵に生まれ、天保九年(1838)「戌の御冠船踊方」に加わったという。安政六年(1859)年、39歳の時に綾門前で放歌高吟したかどで八重山に流罪となった『八重山鳩間島民俗誌』という。その流罪先が鳩間島であった(『八重山舞踊勤王流関係論考・資料集』、『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』参照)。
カナアミ [ka⸢naʔami]金網。標準語からの借用語。老年層はカ⸢ニアン[ka⸢niaŋ](金網)という。
カナイ [⸣kanai]地租。小作料。税金。「かなひ」(貢租)『おもろさうし』。
カナイウシ [ka⸢nai⸣ʔuʃi]体力のあってよく働く牛。
カナイジー [⸣kanaiʤi]自力で開墾した貢租田。「かなひ・ぢ」(貢租地)の義か。近世八重山では、人頭税納入の義務を負う年齢になると⸢ウイ⸣カダー[⸢ʔui⸣kadaː](公用田)から、本田約一反歩と苗代田約一畝歩を配分して与え、その収穫を人頭税として納入させた。その不足を自力開田した田地からの租税収穫で補ったという『石垣方言辞典』。
カナイ シキプス [⸣kanai ʃi̥⸢ki⸣pu̥su]納税の義務を負う人。「貢租・付き・人」の義。
カナイヌーヌ [⸣kanainuːnu]貢納布。苧麻布を晒して白布に仕上げたもの。芭蕉布。
カナイプス [ka⸢nai⸣pu̥su]万能な人。何でも上手に出来る賢い人。知力、体力、気力、技量の備わった有能な人。「叶い人」の義。
カナイムヌ [⸣kanaimunu]有能な若者。体力、知力のある人。やり手。「叶い者」の義。
カナイルン [ka⸢nai⸣ruŋ]自動交尾する。つるむ。犬、猫、牛、馬、豚などが交尾することにいう。普通は、⸣ズブン[⸣ʣubuŋ](つるむ。交尾する)という。
カナイルン [ka⸢nai⸣ruŋ]他動叶える。適える。願いを成就させる。
カナウン [⸣kanauŋ]自動{1}叶う。匹敵する。相手に勝つ。優れている。
カナウン [⸣kanauŋ]自動{2}立派に条件が揃っている。適合する。しっかりしている。「~月待者 潮毛可奈比沼 今者許芸乞菜<~月待てば潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな>『万葉集 8』」の義。
カナカキ [ka⸢na⸣kaki]琉球古典女踊⸢カセカケ」の鳩間島独特の名称。ウ⸢キナーブドゥル⸣ヌ カ⸢シカキ⸣バ パ⸢トゥ⸣マナテー カ⸢ナ⸣カキティ ア⸢ズ⸣ツォー[ʔu⸢kinaːbuduru⸣nu kḁ⸢ʃikaki⸣ba pḁ⸢tu⸣manateː ka⸢na⸣kḁkiti ʔa⸢ʣu⸣ʦoː](沖縄古典舞踊のカセカケを鳩間ではカナカキというそうだ)『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』大城學著
カナケー [ka⸢na⸣kaː]屋号。兼久英吉氏宅。鳩間村四班の村中にある。トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利三益氏宅)の前隣、ウ⸢ブバ⸣カヤー[ʔu⸢buba⸣kajaː](大若屋。加治工太郎氏宅)の西隣にある家。昭和40年ごろに石垣島へ引っ越された。「本年、八重山島鳩間村の兼久仁也の功労を褒嘉して爵位を賞賜す(尚灝王即位元年。大清嘉慶九年甲子)」『球陽 読み下し編』とある
カナケヌ サンドーザーテー [ka⸢na⸣kenu ⸢san⸣doːʣaːteː]屋号。兼久三戸氏宅。兼久家からの分家。鳩間島の東村一斑にあった家。昭和40年とに石垣島へ引っ越された
カナサ [ka⸢na⸣sa](人)女性の名前。「愛し<かなし>。可奈之久米久之~『万葉集 4106』」の転訛したもの。
カナサイジ [ka⸢nasaʔiʤi]愛情のある叱り方。「愛しさ・叱り」の義。
カナサ スン [ka⸢na⸣sa ⸢suŋ]可愛がる。愛する。あたらしく<可惜しく>思う。
カナサビ [ka⸢nasabi]かなさび(金錆)。
カナサマリ [ka⸢nasamari]生来の可愛い性格。生まれつき人に可愛がられる性格。「愛しさ・生まれ」の義。⸢ニッふァマリ[⸢niffamari](生来の憎まれやすい性格)の対義語。
カナサン [ka⸢na⸣saŋ]可愛い。愛らしい。いとしい。「~可奈之久米具之(カナシクメグシ)~。万、4106」の「可奈之」の転訛したもの。
-ガナシ [-ga⸢na⸣ʃi]接尾~さま(様)。神仏や尊敬する人に対して、敬愛の意を表す接尾辞。ウ⸢ブトゥム⸣ル ⸣カミガ⸢ナ⸣シ ⸣アミ ブ⸢シャ⸣ヌ[ʔu⸢butumu⸣ru kamiga⸢na⸣ʃi ⸣ʔami bu⸢ʃa⸣nu](大友利御嶽の御神様、雨が欲しくて<雨を降らしてください>)/パ⸢トゥ⸣マティル シ⸢マ⸣ヤヨー バ⸢ケナー ネヌ⸣ シ⸢マ⸣ヤリヨー ⸢ハーリ⸣ ア⸢ミ⸣タボリ ⸢リュー⸣ガナシ[pḁ⸢tu⸣matiru ʃi⸢ma⸣jajoː ba⸢kenaː nenu⸣ ʃi⸢ma⸣jarijoː ⸢haːri⸣ ʔa⸢mi⸣tabori ⸢rjuː⸣ganaʃi](鳩間という島は湧き泉のない島だから、ハーリ雨を降らしてください竜神様)/「降雨願歌、ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui]<雨乞歌>」『鳩間島古典民謡古謡集』。
カナシェーマ [ka⸢naʃeː⸣ma]可愛い子。いとしい子。幼児に深い愛情を込めて呼びかける言葉。
カナシキ [ka⸢naʃi̥ki]鉋かけ。「鉋突き」の義。「鏟、平\kaeriten{㆑}木鉄也、加奈<カナ>『新撰字鏡』の転訛したもの。⸢真かな持ち弓削の河原の~」『万葉集 1385』の義。
カナシキグル [ka⸢naʃikiguru]{鉋屑}{カンナ|クズ}。カ⸢ナッ⸣クル[ka⸢nak⸣kuru](鉋屑)ともいう。
カナシキ スン [ka⸢naʃi̥ki suŋ]鉋かけをする。
カナジル [ka⸢naʤiru]「金汁」の義。水田に滲出する炭鉱排水のような金錆色の水。この水が出ると稲の発育が遅れるといって心配した。
カナダライ [ka⸢nadarai]金属製の盥。「金盥」の義。標準語からの借用語。戦後ジュラルミンや亜鉛などで製造されたものが出回った。木製の盥は重く、乾燥すると水漏れすることもあったが、金属製の盥は軽くて普及するのが早かった。
カナックル [ka⸢nak⸣kuru]かんなくず(鉋屑)。「鉋突き殻」の転訛したもの。木材や板に鉋をかける時に出る紙のような薄い削り屑。これを集めて焚き付けにした。
カナックル [ka⸢nak⸣kuru]こも(薦)や蓆を編む編み機の錘。カナックルには薦や蓆を編む縄を巻き取ってあり、編み進めながら縄を繰り出すようになっている。
カナドゥク [ka⸢naduku]かなとこ(金床)。かなしき(金敷)。鍛冶屋道具の一つ。板金作業をする際の鋼鉄製の台。
カナノコ [ka⸢nanoko]金属を切る鋸。借用語。「金鋸」の義。沖縄の慶良間や本部、久米島から発動汽船がカツオ漁船として導入されて後に、この金鋸は導入されたという。
カナパイ [ka⸢napai]鍬。鉄製の平鍬。「くはい 鍬之事、(坤・器材)『混効験集』、」の義。朝鮮語のxomɐi(鋤)と同源という『岩波 古語辞典』。⸢キー⸣パイ[⸢kiː⸣pai](木製の鍬。水田専用の鍬。戦後の1962年まで西表島の鳩間の水田耕作に使用していた)の対義語。カ⸢ナパイは畑を耕すのに用いる鍬。平鍬は畑に雨が降ると粘土質の土が鍬の耳の辺りに粘着し、鍬が重くなるので、鍬を振り上げるのに力を要し、疲れやすかった。⸢ミーマタカナパイ[⸢miːmatakanapai](三叉金鍬)は、単に⸢ミーマタともいう。フ⸢タマタカナパイ[ɸu̥⸢tamatakanapai](二叉金鍬)は、単にフ⸢タマタともいう。これら三叉鍬や二叉鍬は石ころの多い畑で使用された鍬である。鍬の構造は、カ⸢ナパイヌ⸣ ミン[ka⸢napainu⸣ miŋ](鍬の耳。柄を取り付けるところ)、カ⸢ナパイヌ⸣ パー[ka⸢napainu⸣ paː](鍬の刃)、カ⸢ナパイヌ⸣ ス⸢ブ⸣ル[ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ru](鍬の頭部)、カ⸢ナパイヌ ユイ[ka⸢napainu jui](鍬の柄)の部分から成リ立っている
カナパイヌ スブル [ka⸢napainu⸣ su⸢bu⸣ru]鍬の頭。
カナパイヌ パー [ka⸢napainu⸣ paː]鍬の刃先。
カナパイヌ ミン [ka⸢napainu⸣ miŋ]鍬の耳。鍬の柄を装着する所。
カナパイヌ ユイ [ka⸢napainu jui]鍬の柄。
カナバル [ka⸢nabaru]唇や足の踵のあかぎれ(皸)。寒い冬に唇や足の踵の皮膚にできるきれつ(皸裂)。老年層は、カ⸢ラバル[ka⸢rabaru](あかぎれ<皸>)という。
カナバル [ka⸢nabaru]夕顔(瓢箪)の成熟果実の果肉を取りり去って乾燥して作った容器。水筒などに用いた。ひさご。
カナミ [ka⸢nami]かなめ(要)。最重要なもの。
カナミ [ka⸢nami]義理。「要」の義か。
カナミー [ka⸢namiː]⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板舟。サバニ)の帆柱の先端にある、ミ⸢ナー[mi⸢naː](水縄)を通す金具の穴。真鍮製の輪のついたキャップを帆柱の先端部に填めたもの。「金目」の義か。
カナムヌ [ka⸢namunu]金物。金属製の器具。家具に取り付ける金具。
カナムヌドーング [ka⸢namunudoːŋgu]金物。金属製の器具。「金物道具」の義。
カナムヌヤー [ka⸢namunujaː]金物屋。金物店。
カニ [ka⸢ni]鉄。金、銀、銅など。金属の総称。「金<かね>」の義。「鉄、クロガネ」『類聚名義抄』の転訛したもの。/カ⸢クガニバ⸣ パ⸢ラー⸣バ ⸢シー ヤー⸣バ ス⸢ク⸣リ ⸣アンティスー ウ⸢リユー ミュー⸣ナーキャームイ[ka⸢kuganiba⸣ pa⸢raː⸣ba ⸢ʃiː jaː⸣ba su̥⸢ku⸣ri ⸣ʔantisuː ʔu⸢rijuː mjuː⸣naːkjaːmui](四角の鉄鋼材を柱にして家を造ってあるという。それを見なければ)「新室寿ぎ歌アーパーレー<ナガミク>」『鳩間島古典民謡古謡集』
カニ [ka⸢ni]{1}鐘。
カニ [ka⸢ni]{2}銅鑼。
カニ [ka⸢ni]{3}時鐘。
カニ [ka⸢ni]義理。正常な直感。基準となる感覚。「勘」の転訛したもの。
-ガニ [⸣-gani]接尾接尾敬称辞。童名について敬意を表す。「かね 童名の下に付ける詞。たとへは太郎かね松かね之類也」『混効験集(坤・言語)』。/松金<マチィンガニ>ヌ イーハーイ(囃) マイフナ ヤタディヤ ヤーラムチィ ムチヤイ/(松金という 優れ者の 家建ては) マ⸢チン⸣ガニ ⸣ユンタ[ma⸢ʧiŋ⸣gani junta](松金ユンタ)『八重山古謡(上)』。石垣方言からの借用語
カニー [⸣kaniː]十干の庚<かのえ>、辛<かのと>の日。
カニアン [ka⸢niʔaŋ]金網。
カニガニ [ka⸢ni⸣gani]かねがね(予予)。かねて。以前から。カ⸢ニテー⸣ラ[ka⸢niteː⸣ra](予てから)ともいう。
カニク [ka⸢ni⸣ku]砂地。土地台帳では、通常は「兼久」と表記される。
カニクジー [ka⸢niku⸣ʤiː]砂地。
カニジン [ka⸢niʤiŋ]硬貨。金属で鋳造された貨幣。小銭。カ⸢ビジン[ka⸢biʤiŋ](紙幣)の対義語。
カニソー [ka⸢ni⸣soː]勘が働くこと。直感が正常であること。正しい判断力があること。⸢ソーカニ[⸢soːkani](正常な勘<判断力>)ともいう。
カニティ [ka⸢niti]かねて。あらかじめ。前もって。「可加良牟等 可祢テ思理世婆~<かからむとかねて知りせば~>『万葉集 3959』」の義。
カニナール [ka⸢ninaːru]{甲高}{カン|ダカ}い音。金属音のように高く響く音。西瓜などをたたいた時、完熟したものが出す甲高い音。ス⸢クナール[su̥⸢kunaːru](底鳴り)の対義語。
カニナビ [ka⸢ninabi]鉄製の鍋。金属製の鍋。
カニパンチムニ [ka⸢nipanʧimuni]{辻褄}{ツジ|ツマ}の合わない言葉。でたらめな言葉。筋の通らない言葉。「勘外れ物言い」の義か。耄碌した者のいう辻褄の合わない言葉。
カニパンツン [ka⸢nipanʦuŋ]自動耄碌する。辻褄の合わないことを言う。「勘が外れる」の義。カ⸢ニパンチルン[ka⸢nipanʧiruŋ](耄碌する)ともいう。
カニブー [ka⸢nibuː](動)、昆虫。コガネムシ。夏の夜、ランプの光に突っ込んできて人を悩ませる害虫である。
カニブーヤー [ka⸢nibuːjaː]鋼材で造った家。歌謡語。
カニフン [ka⸢niɸuŋ]釘。「金釘」の義。「~久留尓久枳作之<~くるにクギサシ>~。万、4390」の「久枳」の転訛したもの。「釘、クギ」『類聚名義抄』と同じ。*[kungi] → [ɸungi] → [ɸuŋ] の音韻変化による。タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)、⸢キー⸣フン[⸢kiː⸣ɸuŋ](木釘)、ピ⸢サフン[pi̥⸢saɸuŋ](平釘、⸢ティンマ{SqBr}⸢timma{/SqBr}<伝馬船>や大型木造船に用いる釘)の対義語。⸢イッスン⸣クギ[⸢ʔissuŋ⸣kugi](一寸釘)、⸢サンズン⸣クギ[⸢sanʣuŋ⸣kugi](三寸釘)、⸢ゴッスンクギ[⸢gossuŋkugi](五寸釘)などもあるが、標準語からの借用語であろう。
カニマースン [ka⸢nimaːsuŋ]他動成し遂げる。切り盛りしてやりぬく。
カニムイ [⸢kanimui]人名。女の名前。
カニヤッコン [ka⸢nijakkoŋ]鉄瓶。鉄製の湯沸し<薬缶>。鋳物の湯沸し<薬缶>。「金薬缶」の義。⸣ブラヤッコンン[⸣burajakkoŋ](法螺貝を利用した湯沸し。西表の田圃小屋で稲刈りや田草取り、田打ちなどの農作業に従事する際に利用した)の対義語。単に⸣ヤコン[⸣jakoŋ](湯沸し。薬缶)ともいう。
カニルン [ka⸢niruŋ]他動兼ねる。一つで二つ以上の用をする。
カニン [⸣kaniŋ](植)和名、エビツル。ブドウ科植物。野ぶどう。原野の雑木林の中のガジマル[ga⸢ʤi⸣maru](木容樹)や⸢ゴーナ⸣キ[⸢goːna⸣ki](桑の木)などに巻きつくように生えて、直径約1センチほどの球状の実をつける。未熟の実は緑色を呈するが完熟する濃い赤紫色になり、甘く美味である。長さ15~17センチの房いっぱいに実をつける。カニンの蔓を切って、その樹液を目に入れると眼病が治るといわれていて、目ヤニが出ると眼病の薬として樹液を目にさして利用していた。
カニンカザ [⸣kaniŋkaʣa]植物。エビヅルのかずら(蔓)。野葡萄の蔓。
カニンマ [ka⸢niʔmma]自転車。「鉄馬<かねうま>」の義。石垣方言からの借用語。⸢キーン⸣マ[⸢kiːʔm⸣a](竹馬)の対義語。
カヌ [ka⸢nu]連体あの。かの。
カヌカムラ [ka⸢nu⸣kamura]鹿川村(廃村)。船浮湾の裏<南>海岸にあった古村。
カヌカワン [ka⸢nu⸣kawaŋ]地名。鹿川湾。西表島船浮湾の反対側、南海岸の入り江。廃村になった鹿川村の南海岸。
カヌシャーマ [ka⸢nuʃaː⸣ma]男性からいう女性の恋人。いとしく可愛いひと。「愛<かな>しき人」。石垣方言からの借用語。「可奈之久米具之~<~かなしくめぐし~>『万葉集 4106』」の義。/ナカドウ道カラ 七ケラ 通ユルケ 仲筋カヌシャマ 相談ヌ ナラヌ(囃子)イラ、ンゾーシーヌ、カヌシャマヨウ/「トゥバラーマ節」『八重山民謡誌』
カヌチバウ [ka⸢nuʧibau]⸢閂棒」の義。「かんぬき(貫木。閂)・棒」の転訛したもの。豊年祭の綱引きで雄綱と雌綱の大綱を合わせて、その耳に貫き通す棒のこと。単に⸣バウ[⸣bau](棒)ともいう。
カヌトゥ [kanutu]かのと(辛)。「金の弟」の義。十干<じっかん>の第七、⸣キニー(木の兄・木の弟)、⸣ピニー(火の兄・弟)、シ⸢チ⸣ニー(土の兄、弟)、⸣カニー(金の{兄}{エ}・{弟}{ト})、ミ⸢ジニー(水の兄・弟)の第8の「⸣カニーの弟(辛)」に当たる日。十干の辛。
カヌ プス [ka⸢nu pu̥su]あの人。彼。「彼の人」の義。
カヌ ユー [ka⸢nu juː]あの世。「彼の世」の義。⸣グソー[gusoː]ともいう。
カノーシ [ka⸢noːʃi]鉄製の芋を掘る器具。農具の一つ。「金・掘串<ふくし>」の転訛したもの。「堀串<フクシ>」は、「~布久思毛與 美夫君志持」『万葉集 1』の「布久志」の義。芋畑の草取りや芋を掘るのに用いる鉄製の堀串。長さ約30センチ、直径約2センチの鉄筋の先端部を尖らせ、片方に匙状の頭をつける。この部分を右手の掌に当てて握り、土を突き起こすようにして左手で除草する。硬い土塊などは叩いたり、突いたりして細かく砕くのに用いる。芋ほりをする際は、これで地中の芋をを探り当て、実の大きいのを選んで掘り出した。
カバ [ka⸢ba]芳香。
ガバー [⸣gabaː]あか(垢)。汚れ。「かび」の転訛で、転意したもの『石垣方言辞典』という。
カバーカバーシ [ka⸢baːkabaː⸣ʃi]香ばしく。{馥郁}{フク|イク}と。
カバーカバーシ [kabaː⸢kabaː⸣ʃi]良い香りがする。馥郁と香る。
ガバーフー [⸣gabaːɸuː]思いがけない幸運。こぼれざいわい(零れ幸い)。ぎょうこう(僥倖)。
ガバー フーン [⸣gabaː ⸣ɸuːŋ]垢がつく<垢が喰う>。汚れる。
ガバーフイムヌ [ga⸢baːɸui⸣munu]垢まみれの者。汚れだらけのもの。不潔な者。⸣ガバーフヤー[⸣gabaːɸujaː](垢まみれの不潔者)ともいう。
ガバーフヤー [⸣gabaːɸujaː]垢にまみれた物。垢まみれの不潔もの。
ガバーンガバーンシ [ga⸢baːŋgabaː⸣ʃi]硬いものがぶつかり合って出す音。擬音語(onomatopoeia)。がたんがたん。
カバアバ [ka⸢ba⸣ʔaba]香油。香りのよい髪油。
カパカパシ [kḁ⸢pakapa⸣ʃi]カパカパと。パリパリと。洗濯して糊付けした衣類などがパリパリと固く乾いたさま。
カバサリン [ka⸢basariŋ]他動嗅がされる。カ⸢バスン[ka⸢basuŋ](匂いを嗅ぐ)の未然形カ⸢バサ[ka⸢basa]に受身・可能・自発の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](れる)が下接して形成された、受身・可能動詞。
カバスン [ka⸢basuŋ]自動{PoS_1}匂いがする。「臭い・する」の義。
カバスン [ka⸢basuŋ]他動{PoS_2}嗅ぐ。嗅がせる。
カバスン [ka⸢ba⸣suŋ]他動かぶせる。覆う。上からかける。
カバッサン [ka⸢bas⸣saŋ]{1}香ばしい。かんばしい。「香細寸 花橘乎<カグハシキ 花橘を~>。万、1967』」の義。
カバッサン [ka⸢bas⸣saŋ]{2}上品である。
カバムニ [ka⸢bamuni]上品な言葉遣い。匂やかな物言い。「香ばしい物言い」の義。
ガバラ [ga⸢ba⸣ra]かけや(掛矢)。樫などで作った大槌。建築工具。家屋建築の際に用いる大槌。木材を繋ぎ合わせたり、ほぞあな(枘穴)に木材の接合部を入れる際に打ち込むのに用いる大槌。⸢バンギ[⸢baŋgi](「板木」の義か。敷き木。丸太<円形の固い回転木>をその上に乗せ、カツオ漁船を陸揚げする際に用いる)のコ⸢ロ[ko⸢ro](回転木)を打つ際にも用いた。
ガバラ [ga⸢ba⸣ra](動)魚名。和名、スズメダイの仲間(デハスズメ、クラカオスズメダイ、シリスズメダイ、オキナワスズメ、スズメダイ、モンスズメダイ、アマミスズメ、ロクセンスズメダイ、オヤビッチャ)の総称。枝珊瑚の中に群棲している。釣り糸の餌を盗み食いする。食用にはほとんど利用されない。
ガバラーッティ [gaba⸢raːtti]がばっと跳ね起きるさま。
ガバラガバラ [ga⸢baragabara]硬いものがガラガラと音を立てるさま。
ガバラガバラシ [ga⸢baragabara⸣ʃi]擬音語。ごろごろと。がらがらと。重くて硬いものが音を立てて転がっていく様子。
ガバラグブル [ga⸢baraguburu]{1}雷の音。硬くて大きなものが崩れ落ちる音。
ガバラグブル [ga⸢baraguburu]{2}大きな浮遊物が流れていく音。がらりころり。どぶりんどぶりん。
ガバラパタラ [ga⸢barapatara]がたごとと騒がしく動き回るさま。
ガバラパタラシ [ga⸢barapatara⸣ʃi]擬態語。慌て騒ぐさま。がらがらばたばたと。がらがらと音をたてながら立ち働く様子。
ガバララー [gabara⸢raː]ガラガラッ(擬音語)。積み上げてあるものが一瞬に崩れ落ちる音。
ガバンミカスン [ga⸢bammika⸣suŋ]他動ガバンと音をたてるようにする。擬声語ガ⸢バン[ga⸢baŋ]に、接尾語のミ⸢カ⸣スン[mi⸢ka⸣suŋ](~めかす。~のようにする)がついて形成された語。
カビ [ka⸢bi]紙。
カビウズ [ka⸢bi⸣ʔuʣu]掛け布団。「被り布団」の義。
カビオンギ [ka⸢biʔoŋgi]うちわ(団扇)。「紙扇」の義。幅約1、5センチ、長さ約30センチの竹を、柄の部分に約10センチ残し、他の部分を細く裂いて骨とし、紙を張って半円形の団扇に仕上げたもの。
カビシキンガニ [ka⸢biʃi̥kiŋgani]法事の際に死者のために焼いて供える後生の紙銭、ウ⸢ティン⸣ガビ[ʔu⸢tiŋ⸣gabi]を作る際に⸢銭型」を打ちつける器具。木製と鉄製がある。直径約1、5センチ長さ約12センチの円柱状の型棒、または円筒状の金具。底部は銭型の鋳型になっている。
カビジン [ka⸢biʤiŋ]紙幣。「紙銭」の義。カ⸢ニジン[ka⸢niʤiŋ](硬貨)の対義語。
カビッスン [ka⸢bissuŋ]紙包み。
カビファイムシ [ka⸢bifaimuʃi](動)シミ。「紙喰い虫」の義。
カビフクル [ka⸢biɸu̥kuru]紙風船。「風袋」の義。普通は、ゴム風船は⸢プー⸣カー[⸢puː⸣kaː]という。出来ものが腫れあがることにも⸢プー⸣カー ⸣ナルン[⸢puː⸣kaː ⸣naruŋ](御出来がパンパンに腫れあがる)という。
カビムヌ [ka⸢bi⸣munu]被り物の総称。{1}頭に被るもの<帽子、笠>。頭上に覆うもの<傘>。
カビムヌ [ka⸢bi⸣munu]{2}体にかけるもの。体を覆うもの<寝具、夜具>。
カビヤー [ka⸢bijaː]紙屋。紙を売る家。紙店。
カビヤキムヌ [ka⸢bijakimunu]紙銭を焼きあげる器具。小型の金盥に載せて使う。長さ約1尺に切った2本のバ⸢サ⸣ヌ ⸣ウディ[ba⸢sa⸣nu ⸣ʔudi](芭蕉の葉柄)を、長さ約1尺に切った2本の⸢ユシ⸣キ[⸢juʃi̥⸣ki](ススキの生木)で貫き刺し、井の字型に作ったもの。長さ約1尺の⸢ユシ⸣キパシ[⸢juʃi̥⸣kipaʃi](ススキ箸)で紙銭を挟みながら焼いた
カビラ [ka⸢bi⸣ra](地)川平村。石垣島の西北海岸、名蔵湾裏側の川平湾に面した美しい集落で石垣市中心部から約四里の里程にある。⸣マユンガナシ[⸣majuŋganaʃi]の神事が伝わる歴史の古い集落といわれている。
カブ [⸣kabu](人)「加部」と表記されている男性の名前。
カブ [ka⸢bu]撒き餌。魚をおびき寄せるために撒く餌。
カブ [⸣kabu]助数出漁回数を表す。数を表す語の下に付いて数える対象となる物の性質、回数、形状などを表す。
カフー [⸣kḁɸuː]果報。幸福。
カフーヌ プス [kḁ⸢ɸuː⸣nu pu̥⸢su]媒酌人。人徳があり、富貴繁昌を肖ることのできる人を媒酌人(「果報の人」の義)に頼んだ。カ⸢ドゥ⸣ヌプス[ka⸢du⸣nupu̥su]ともいう。
カブシンカ [ka⸢buʃiŋka]株仲間。カツオ漁業の組合員。「株臣下」の義。昭和に入ってから発動機船が導入され、組合も株組織に編成さらたという。ウ⸢ヤ⸣カタ[ʔu⸢ja⸣kata](親方)を中心に、その親戚を(約20名)集めて組合を組織し、組合員が小額ずつ出資したいう。各組合に所属する組員を⸢シン⸣カ[⸢ʃiŋka](仲間、「臣下」の義)と称した。
ガフタ [⸢gaɸu⸣ta]ざんばら髪。伸び放題の乱れた髪のままにいること。手入れをしない見苦し頭髪。
カブッチ [ka⸢butʧi](植)カボチャ(南瓜)。苗床に苗をおろして育苗し、シ⸢ブル[ʃi⸢buru](冬瓜)と同じように、本圃へ移植する。花が咲くとオシベの花粉をメシベにつけて受粉させた。実は、普通直径約30センチの球形になった。収穫した果実は、⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)、または母屋の裏座やユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下)などに、藁で作った⸣シケー[⸣ʃi̥keː](ゆりわ<揺輪>)を置き、その上に置いてタ⸢ブータン⸣ダー[ta⸢buːtan⸣daː](保存したよ)。
ガフティ [gaɸu̥⸢ti]{1}ぴったり。ガッ⸢ツティとも言う。
ガフティ [gaɸu̥⸢ti]{2}ぱくっと。口を大きく開けて食いつくこと。
ガブヌン [ga⸢bunuŋ]がぶ飲み。酒や水をがぶがぶ飲むこと。若年層はガ⸢ブヌミ[ga⸢bunumi]ともいう。
カブルキー [⸣kaburukiː](植)木の名。若年層は、ビンダ⸢ロー⸣マキー[binda⸢roː⸣makiː]ともいう。和名、オオバイヌビワ。
カブルン [ka⸢bu⸣ruŋ]他動損する。背負い込む。⸢被る」の義。
カブレー [ka⸢bu⸣reː](動)コウモリ(蝙蝠)。「蝙蝠、カハボリ『類聚名義抄』」の義。
カブン [⸣kabuŋ]他動{1}かぶる(被る)。帽子や面をかぶる。
カブン [⸣kabuŋ]他動{2}布団を被る。「~麻被 引可賀布利<~麻ふすま引きかがふり>『万葉集 892』」の義か。
カブン [⸣kabuŋ]他動{3}傘をさす。
カブン [⸣kabuŋ]他動{4}浴びる。水をかぶる。
カブン [⸣kabuŋ]他動{5}罪や負債を被る。
カブン [ka⸢buŋ]他動嗅ぐ。
カマ [ka⸢ma]かま(釜)。
カマ [⸣kama]{1}接合部分。両方の継ぎ合わせ目。
カマ [⸣kama]{2}つじつま(辻褄)。
カマ [⸣kama]あそこ。遠称の指示語。
ガマ [ga⸢ma]洞窟。鍾乳洞。天然の横穴。洞穴(竪穴)にはア⸢ブ[ʔa⸢bu]といい、ガ⸢マ[ga⸢ma]とは言わない。
カマークマー [ka⸢maː⸣kumaː]あちこち(彼方此方)。あちらこちら。⸣ウマーカマー[⸣ʔumaːkamaː](そこここ)の対語。ク⸢マー⸣カマーナとも言う。
カマー フーン [⸣kamaː ⸣ɸuːŋ]辻褄があう。食い違いがなく、筋道が通る。
カマー ホースン [⸣kamaː ⸢hoː⸣suŋ]辻褄を合わせる。筋道をたてる。理路整然とする。
カマーラサン [ka⸢maːra⸣saŋ]悲しい。わびしい。物悲しい。
-ガマーラサン [-ga⸢maːra⸣saŋ]接尾~し勝ちである。よく~する。
カマアギ [ka⸢maʔagi]釜揚げ。鰹節製造工場の大釜で、円い蒸籠に並べて煮たカツオを釜より引き上げること。
カマイ [⸣kamai]いのしし(猪)。「○羊、加万之々(かましし)、大ニ於羊一而大角者也」『和名抄』の転訛したものか。西表島の山中には猪が多数棲息しており、夏の稲の収穫時には猪害が発生した。この猪害を防ぐために、田圃の周囲を猪垣でめぐらさなければならなかった。カ⸢キ[kḁ⸢ki](垣)は、直径約4センチ、長さ約2メートルの⸣キチ[⸣ki̥ʧi](若木、木の枝)を約4センチ間隔で編みあげて作る。
カマイ [ka⸢mai]構え。構造。間取り。
カマイ トゥリプス [⸣kamai tu⸢ri⸣pu̥su]猪を獲る人。猟人。猪のかりゅうど(猟人)。
カマイヌ カキ [ka⸢mai⸣nu kḁ⸢ki]猪の垣。猪の害を防ぐために田圃の周りに若木や竹を編んで張り巡らした垣。直径約4センチ、長さ約6尺の若木や竹を、上、中、下段に横木を渡してトウズルモドキの皮で編んだ垣根。
カマイヌ キム [ka⸢mai⸣nu ⸣kimu]猪の胆嚢。「猪の肝」の義。猛烈な苦味を有するが胃薬として重宝されていた。乾燥した猪の胆嚢を煎じて服用すると、胃潰瘍などの胃の病気に効くといわれていた。
カマイヌ シー [ka⸢mai⸣nu ⸣ʃiː]猪の巣。
カマイヌ ミン [ka⸢mai⸣nu ⸣miŋ]猪の耳。猪の耳のように聡い耳。小さな物音にも敏感に反応する耳のこと。
カマイヤマ [⸣kamaijama]猪の罠。猪を捕獲する仕掛け。獣道を探して、猪の好む餌を撒いて罠へ導き、罠の中に入ったところを、上に揚げておいた木の枠を落として捕獲する仕掛け。仕掛けは、タ⸢ル⸣キ[ta⸢ru⸣ki](垂木、棰)を戸板状に編み、その上に重い石を載せ、片面を吊るし上げて支柱で支えておき、猪がその中に入ったとたんに戸板が落下して猪を押えて捕獲するようにしたもの。
カマイヨー [ka⸢mai⸣joː]構造。家の構え。「構え様」の義。
カマイルン [ka⸢mai⸣ruŋ]自動構える。身構える。
カマイルン [ka⸢mai⸣ruŋ]自動吠える。
カマウン [⸣kamauŋ]自動犬が牙を剥いて吠える。身構えて吠え立てる。
ガマク [ga⸢ma⸣ku]腰周りの細くくびれた部分。ウエスト。
ガマコーマ [gama⸢koː⸣ma]ほっそりしたウエスト。細腰。細くくびれた腰周り。リブ(肋骨)とヒップ(腰)の間の胴のくびれた所。
カマサー [ka⸢ma⸣saː](動)魚の名。和名、オオカマス(体長約1、5メートル)。和名、ヤマトカマス(体長約30センチ)の総称。
カマジ [ka⸢ma⸣ʤi]かます。藁蓆を二重にし、二つ折りにして作った袋。穀物や塩を入れるのに用いられた。石垣島から農業用化学肥料の⸢リュー⸣アン[⸢rjuː⸣aŋ](硫安<金肥>)や⸢チッ⸣ソ[⸢ʧis⸣so](窒素肥料)を入れて送るのにも用いられた。
ガマジ [ga⸢ma⸣dʒi]{1}頭髪。「かもじ」(<髪>「女房言葉」)の転か。
ガマジ [ga⸢ma⸣dʒi]{2}頭。
ガマジキジ [ga⸢ma⸣dʒikidʒi]髪梳き。髪をすくこと。
ガマジ シミルン [ga⸢ma⸣ʤi ʃi⸢mi⸣ruŋ]ガ⸢マ⸣ジ ⸣シムン[ga⸢ma⸣ʤi ⸣ʃimuŋ]と同じ。
ガマジ スミルン [ga⸢ma⸣ʤi su⸢miruŋ]髪の毛を染める。
ガマジヌ アバ [ga⸢maʤi⸣nu ⸣ʔaba]髪の油。髪油。びんつけあぶら。ポマード。シ⸢キ⸣アバ[ʃi̥⸢ki⸣ʔaba](つけあぶら)ともいう。
ガマジヌ グル [ga⸢maʤi⸣nu gu⸢ru]断髪して切り落とした髪の毛。「髪の殻」の義。
ガマジヌ ヤン [ga⸢maʤi⸣nu ⸣jaŋ]頭の病。頭痛。「頭の病み」の転か。
ガマジ フキルン [ga⸢ma⸣ʤi ɸu̥⸢kiruŋ]結い髪がとける。
ガマジ ヤムン [ga⸢ma⸣ʤi ⸣jamuŋ]頭が痛い。頭痛がする。「頭が病む」の義。ス⸢ブ⸣ル ⸣ヤムン[su⸢bu⸣ru ⸣jamuŋ](頭が痛)とも。
ガマジヤン [ga⸢maʤi⸣jaŋ]頭痛。「かもじ病み」の転訛したもの。
ガマジ ユーン [ga⸢ma⸣ʤi ⸢juːŋ]髪を結う。
カマチ [ka⸢maʧi]かまど(竈)。鍋や釜をかけて炊飯するところ。へっつい。竈は粘土を捏ねて炊事場のナ⸢カ⸣ザ[na⸢ka⸣ʣa](土間)の西側壁面の前に造った。ウ⸢ブカマ⸣チ[ʔu⸢bukama⸣ʧi](大竈。⸢シンマイ⸣ナビ{SqBr}⸢ʃimmai⸣nabi{/SqBr}<四枚鍋。芋を煮る大型の鍋>用の竈)、ナ⸢カカマ⸣チ[na⸢kakama⸣ʧi](中竈。⸢イー⸣ナビ{SqBr}⸢ʔiː⸣nabi{/SqBr}<飯鍋。ご飯を炊く鍋>、⸢スー⸣ナビ{SqBr}⸢suː⸣nabi{/SqBr}<汁鍋。お汁を炊く鍋>用の竈)、カ⸢マチェー⸣マ[ka⸢maʧeː⸣ma](小竈。⸣ヤコン{SqBr}⸣jakoŋ{/SqBr}<薬缶。湯沸し>用の竈)の三種の竈を造り、それぞれの竈の前面に「水」の文字を刻印するのが慣わしであった。竈の後方には、山石、野石、海石の三個を置き、ピ⸢ナカン[pi⸢nakaŋ](火の神)として信仰した。
カマチ [ka⸢ma⸣ʧi]かまち(框)。玄関の上がり口。床の間、縁側などの床面の端を隠すための化粧横木。
カマチェーマ [ka⸢maʧeː⸣ma]小さな竈。湯沸し用の竈。
カマチヌ シン [ka⸢maʧinu⸣ ʃiŋ]竈の消し炭。
カマチフチ [ka⸢maʧiɸu̥ʧi]台所。「竈口」の義。シ⸢ム[ʃi⸢mu](台所。下)ともいう。
カマデー [ka⸢madeː]人名。女の名。
カマドー [ka⸢madoː]人名。女の名。
ガマナーリ [ga⸢manaːri]反響を伴って鳴り響くこと。洞窟の中で反響するように鳴り響くこと。
ガマナール [ga⸢manaːru]大反響。がらんどう(伽藍堂)の室内で声が大きく反響すること。
ガマナキ [ga⸢manaki]悲しみにくれて泣くこと。大声で泣き喚くこと。
カマヌ ティダイ [ka⸢ma⸣nu ⸣tidai]先方のおごり。「あそこのおごり<饗応>だ」の義。
カマヌ パタ [ka⸢ma⸣nu pḁ⸢ta]あちら側。
ガマヌ ミー [ga⸢manu⸣ miː]洞窟の中。
カマブク [ka⸢mabuku]蒲鉾。魚肉を臼で搗き、それに⸢パイ⸣ザイ[⸢pai⸣ʣai](繋ぎの配剤。でんぷん)に⸣クジ[⸣kuʤi](葛粉。澱粉)か、ミ⸢リキン⸣グ[mi⸢rikiŋ⸣gu](メリケン粉)を加えて搗き、成形し煮て仕上げる。
カマブクシッキウシ [ka⸢mabukuʃikki⸣ʔuʃi]蒲鉾搗き臼。松の幹を切って作った。直径約20センチ、高さ約50センチの臼。魚肉を入れて杵で搗き、澱粉の⸢パイ⸣ザイ[⸢pai⸣ʣai](いもの澱粉やメリケン粉)をいれ、搗き捏ねて蒲鉾を作るのに用いる臼。
カマブクヌ シー [ka⸢mabukunu⸣ ʃiː]蒲鉾の型枠。「蒲鉾の鞘」の義。ピ⸢サカマブク[pi̥⸢sakamabuku](平蒲鉾)を造るのに用いる木製の型枠。長さ約15センチ、厚さ約1、5センチ、幅約7センチの枠。
カマリン [ka⸢ma⸣riŋ]他動噛むことが出来る。食べることが出来る。食える。⸣カムン[⸣kamuŋ](噛む・食う)の未然形に受身・可能の助動詞⸣-リン[⸣-riŋ](~れる)が下接して形成された受身・可能動詞。
カマレー [ka⸢ma⸣reː]人名。男の名。
カマレザー [ka⸢ma⸣reʣaː]人名。⸢カマレ兄さん」の義。
カマンタ [⸣kamanta](動)魚の名。和名、イトマキエイ科の軟骨魚の総称。マンタエイ。アカエイ。大きいのは約3メートルに達する。ユ⸢ノーラミズ[ju⸢noːramiʣu](小浜島と西表島の間の水道。潮の流れが速い難所である)や鳩間島と西表島の間の鳩間水道に大型のアカエイが現れる。鳩間島のリーフの内には体長70~80センチのカマンタが捕獲された。尾は細長く、ムチ状で毒針をもつので恐れられていた。
カマンタ [⸣kamanta]あちら。あそこら。向こう側。あちら側。
カマンター [⸣kamantaː]あちら側へ。
カミ [⸣kami]神。神様。⸣カン[⸣kaŋ](神)ともいう。
カミ [⸣kami]かめ(甕)。
カミ [ka⸢mi](動)、カメ(亀)。海亀。
カミアキナイ [ka⸢miʔaki⸣nai]商品を頭に載せて行商すること。石垣の糸満女性は頭上に塩や魚などを載せて売りあるいた。
カミガナシ [kamiga⸢na⸣ʃi]神様。歌謡語。日常語では、カンガ⸢ナ⸣シ[kaŋga⸢na⸣ʃi](神様)ともいう。/ウブトゥムル カミガナシ アミブシャヌ/、/ガラクトートゥ カミガナシ アミブシャヌ/雨降願歌(雨乞歌)『鳩間島古典民謡古謡集』
カミクルスン [ka⸢mikuru⸣suŋ]他動噛み殺す。食い殺す。
カミザー [ka⸢mi⸣ʣaː]上座。
カミシミルン [ka⸢miʃimi⸣ruŋ]他動酒などを頂かせる。神酒などを額の位置まで持ち上げて頂くようにさせる。長寿を肖るための献杯をさせる際、また、神前に供えた⸣グシ[⸣gusi](神酒。御酒)を恭しく持ち上げて頂かせる際にいう。
カミシム [ka⸢mi⸣ʃimu]上下。職務の上下。立場の上下。身分の上下。
カミニンガイ [ka⸢miniŋ⸣gai]神への祈願。「神願い」の義。
カミニントゥー [ka⸢minin⸣tuː]神様への年頭の挨拶。「神年頭」の義。旧暦の元旦の朝、サ⸢カサ(司)やティ⸢ジリ⸣ビー(男性神職者。「手摩り部」の義か)たちが正装をして御嶽の神様に対して行う年始の挨拶。新年の報告、新年度中の村人の健康と村の繁栄とを祈願する。新暦の正月には、カ⸢ミニン⸣トゥーは行わない。新暦の正月に統一された後も、神職者の家では旧正月を行った。
カミヌ クー [ka⸢minu⸣ kuː]亀の甲。亀の甲羅。
カミヌクーウジ [ka⸢minu⸣kuːʔuʣi](動)魚の名。和名、ウツボの仲間。ニセゴイシ(体長約1メートル。体表は茶褐色の亀甲模様におおわれている)。浅い珊瑚礁の中に棲息する。ウツボの仲間で最も凶暴といわれている。
カミヌクーパカ [ka⸢minu⸣kuːpḁka]亀甲墓。屋根が亀の甲の形をした沖縄の伝統的な墓。ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡)の西側の岡に発達した砂岩の南面に亀甲墓が作られている。明治以降、沖縄からの寄留民の手によって掘られたという。
カミヌ シビバーキン ピーチ [ka⸢mi⸣nu ʃi⸢bibaː⸣kim ⸢piː⸣ʧi]瓶の底までも一つ(諺)。仲の良い夫婦は死後にも一つの骨壷に納まるの意。
カミヌズー [ka⸢minuʣuː]子供の後頭部の盆の窪にうぶがみ(産髪)を剃り残してある髪の毛。「亀の尾」の義。子供のお守りとして、大切にされていた。
カミヌ ナダヌ カタチニ [ka⸢minu⸣ na⸢da⸣nu ⸣kḁtatini]亀が大粒の涙を流すように。非常に悲しいことの比喩表現。
カミヌ バリ [ka⸢mi⸣nu ba⸢ri]甕の[g]{欠片}{カケラ}。
カミヌ ミン [ka⸢mi⸣nu ⸣miŋ]瓶の耳。「無用の長物」の意。瓶の耳は単に装飾用として付いているのみで、実用に供されないことからの比喩表現。
カミブシ [ka⸢mi⸣buʃi]鰹節の一つ。小判のカツオを三枚に下ろして、上身と下身を四つ割りにしないままで、一節の鰹節に製造したもの。上等の鰹節より一ランク下のカツオ節。
カミラリヤン [ka⸢mirari⸣jaŋ]差し込むように痛む胃の病。
カミルン [ka⸢mi⸣ruŋ]他動{1}頭に載せる。
カミルン [ka⸢mi⸣ruŋ]他動{2}おし頂く。頂戴する。
カミルン [ka⸢mi⸣ruŋ]自動錐を差し込むように痛む。
カムーン [ka⸢muːŋ]自動かまう。関わる。面倒をみる。関与する。「構ひ」の転訛したもの。
カムイ [ka⸢mui]鴨居。敷居の上部に渡した、溝をつけた横木。襖、障子などを立てるために敷居の上に渡した溝のある横木。「高欄{鴨居}{カモ|イ}」『延喜式』の転訛したもの。
カムイ [ka⸢mui]係。担当。「構ひ」の義。「さきざきまでかまふといふ事~」『仮名草子・清水物語』の転訛したものか。
カムラーマ [ka⸢muraː⸣ma]豊年祭に豊穣予祝芸能の神の一団として出現する東村の芸能神。西村の弥勒神と対をなす。カムラー[kamuraː]は、「かぶろ(禿)、カムロに転。童、ワラハ・カブロ『類聚名義抄』」の義で、語源は「禿、无髪、加夫呂奈利」『新撰字鏡』と解され、「かむろき(神漏岐)、かむろみ(神漏美)」に繋がる言葉と解される。子孫繁栄を予祝する「おかっぱの童神」の意か。-マ[-ma]は接尾指小辞。カムラーマの一団は、翁神と童神七・八人で構成されてた芸能団である。翁には、代々東村の小浜家の人が扮する。頭に茶褐色の棕櫚の鬚で作った三角の帽子を被り<後に黄色い布を被るようになった>、裸足のまま、クバ扇を右手に持ち、黄色い衣装を纏って、右足を上げると扇を左に払い、左足を上げると扇を右に払う仕草で前進してカ⸢ムラーマ⸣ヌ ッ⸢ふァ[ka⸢muraːma⸣nu f⸢fa](カムラーマの子供)をリードする。童神は黄色い袖無しの陣羽織を着、カムラーマの歌に合わせて両手を肩の上に乗せたり払い上げたりする所作を繰り返しつつ翁に導かれて反時計回りに円陣をつくる。翁が円陣の中央に立つ頃、カムラーマ歌は第二連まで歌い終わる。そこで翁神が「ヘイ」という掛け声を入れ、「ホーイ、ホーイ」と声をかけて童神たちを呼び集める。童神たちは翁神の足元へ転びまろび寄ってくる。それを翁神はクバの葉扇で撫でる。カムラーマのこのシーンが村人の爆笑を誘うのであった。続いて直ぐにカムラーマ歌が始まると童神たちは元の陣形に戻り、第三連、第四連の歌に合わせて楽屋へと引かれていく。桟敷の舞台には村人たちの歓え誇る哄笑が子孫繁盛予祝の余韻を残すのであった。/パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌミギラバ カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/タルトゥユードゥ ティユマス ジリトゥユードゥ ナトゥラス カムラマーヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボラリ/マブルシュードゥ ティユマス ウヤガミドゥ ナトゥラス カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/カムラマーヌ アマイヤ ヌーフサティル アマイル カマウラマーヌ アマイヤ アカカラジフサティル アマイル カムラマーヌ アマイヤ ウヤキユーバ タボラリ/(カムラーマヌ ウタ)『鳩間島古典民謡古謡集』
カムン [⸣kamuŋ]他動噛む。食べる。
カムン [kamuŋ]他動頂く。頂戴する。おし頂く。
カムン [kamuŋ]自動{1}籾摺り臼の上下の歯がよく噛みあう。よく籾摺りが出来る。
カムン [kamuŋ]自動{2}酒などのもろみ(諸味、醪)がよく醗酵する。
カモーッピテー [⸣kamoːppiteː]屋号。大城加茂氏宅。⸢アッピー[⸢ʔappiː](兄さん)は糸満方言。人名の⸣カム[⸣kamu](加茂)に⸣アッピー[ʔappiː]が下接して生成された合成語⸢カモーッピー[⸢kamoːppiː](加茂兄さん)に、接尾辞⸣テー[⸣teː](~の家)が付いたもの。三男の大城安一氏と四男の大城盛喜氏は沖縄県警察署に勤務した。
カヤ [ka⸢ja]腕。肘から肩の付け根あたり。二の腕。「~木綿たすき可比奈尓<カヒナニ>かけて~。万、420」の転訛したもの。
カヤー [⸣kajaː]終助~だろうか。~かな。~かしら。疑問の意を表す。語源的には、疑問の終助詞「か」に間投助詞の「ヤー」が融合して形成されたもの。{1}活用語の終止形につく。例。
カヤー [⸣kajaː]終助{2}活用語の連体形に付く。
カヤー [⸣kajaː]終助{3}体言、体言に準ずる形(準体助詞)につく。
カヤー [⸣kajaː]終助{4}格助詞につく。
カヤー [⸣kajaː]終助{5}副助詞につく。
カヤー [⸣kajaː]終助{6}係助詞につく。
ガヤー [⸣gajaː](植)茅。茅葺家の屋根を葺く材料、シ⸢ラ[ʃi⸢ra](稲叢)のトゥ⸢マー[tu⸢maː](苫)を編む材料。
ガヤー アイプス [⸣gajaː ⸢ʔaipu̥su]茅葺屋根を葺く際に茅を屋根に投げ上げる人。
ガヤークビ [ga⸢jaː⸣kubi]茅で葺いた壁。「茅壁」の義。現在は板壁が多いが、昔は母屋の壁も茅で葺いた家が多かったという。「新室の壁草刈りにいまし給はね~『万葉集 2351』」はそれを忍ばせる。壁にする部分に桟を入れ、柱と柱を連結して竹やススキでユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)を編む。その上に、下から順に茅を並べてティ⸢ブ⸣ク[ti⸢bu⸣ku](木矛)で押さえ、締め縄で締め結わえて順に上へ葺き上げて行く。
ガヤーシキ [ga⸢jaː⸣ʃi̥ki]茅野。茅が一面に広がっている野原。「茅敷」の義。
ガヤースリ [ga⸢jaː⸣suri]茅刈り。⸢ガー⸣スリ[⸢gaː⸣suri](茅刈り)ともいう。
ガヤースリプス [ga⸢jaːsuri⸣pu̥su]茅葺屋根を葺く際に頼む結い作業の茅刈り人。茅を刈る人。
ガヤー スルン [⸣gajaː ⸣suruŋ]茅を刈る。「茅を剃る」の義。
カヤースン [ka⸢jaːsuŋ]他動荷を運搬する。荷を担いで往復する。若年層は、カ⸢ヨースン[ka⸢joːsuŋ]ともいう。「通わす」の義。
ガヤーティンゾー [⸣gajaːtinʣoː]板張りにしてない天井。梁に竹竿の桟を掛け渡し、その上に蓆や茅で編んだこも(薦)状の敷物を張った天井。
ガヤーヌー [ga⸢jaː⸣nuː]{1}茅の繁茂している原野。「茅野」の義。⸢ガー⸣ヌー[⸢gaː⸣nuː](茅野)ともいう。原野一般をさす。
ガヤーヌー [ga⸢jaː⸣nuː]{2}畑が放置され、雑草や茅が繁茂するようになった、荒れた状態の土地。
ガヤーパジン [⸣gajaːpaʤiŋ](動)蜂の一種。⸣ガーパジン[⸣gaːpaʤiŋ](茅蜂)、⸣アガパジン[⸣ʔagapaʤiŋ](赤い蜂)ともいう。茅の中に巣を作る小さな蜂。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂)より毒は弱い。茅を刈りに行って、よく刺されたものである。
ガヤーン ミー [ga⸢jaːm⸣ miː]茅原の中。茅の密生した原野の中。
ガヤヤー [⸣gajajaː]茅葺きの家。「茅家」の義。⸢カー⸣ラヤー[⸢kaː⸣rajaː](瓦葺きの家。瓦家)の対義語。
カユーン [ka⸢juːŋ]自動通う。行き来する。往来する。
カヨーリン [ka⸢joːriŋ]自動通われる。通うことが出来る。通える。カ⸢ユーン[ka⸢juːŋ](通う)の未然形に受身、可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](れる)が付いて派生した可能動詞。
カヨーン [⸣kajoːŋ](植)キールンヤマノイモ。葉の間に、ウン⸢ナー⸣マ[ʔun⸢naː⸣ma](ぬかご<零余子>)がある。ぬかごは、ご飯やおかゆに混ぜて炊いた。