鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
フナアシ [ɸu⸢na⸣ʔaʃi̥]{1}船の速度。⸢船脚」の義。
フナアシ [ɸu⸢na⸣ʔaʃi̥]{2}喫水。船体の、水中に没した部分。⸣アシ[⸣ʔaʃi](喫水)ともいう。
フナイ [⸣ɸunai]船酔い。「船ゑひ<酔い>」『土佐日記』の転訛。
フナイルン [ɸu⸢nai⸣ruŋ]他動袋や他の容器などにものを詰め込む。詰める。
フナウキ [ɸu⸢na⸣ʔuki]地名。船浮。西表島西部の船浮湾の湾口西部にある集落。船浮湾は天然の良港で、戦前は軍港であった。戦後は台風時の避難港に指定されていた。
フナウン [⸣ɸunauŋ]他動詰め込む。容器に物を詰め込む。
フナカク [ɸu⸢na⸣kaku]船乗り。水夫。乗組員。「水手、加古(かこ)」『和名抄』の転訛。「~朝凪に可故等登能倍<カコトトノヘ>~。万4331」の「加古」(水手)が⸢フナ」(船)に下接して合成された合成名詞。
フナカクヌメー [ɸu⸢nakaku⸣numeː]水夫達、乗組員達。敬意を含まない一般名称。フ⸢ナカクン⸣メー[ɸu⸢nakakum⸣meː]ともいう。
フナカクンケー [ɸu⸢na⸣kakuŋkeː]水夫の方々。乗組員の方々。敬称。
フナク [ɸu⸢na⸣ku]水夫。船乗り。歌謡語。「船子(ふなこ)。~満ちのとどみに三船子呼<みふなこを>~。万、1780」の転訛したもの
フナクヤー [ɸu⸢na⸣kujaː](地)。石垣島東北の、伊原間の手前に位置する。石垣島で最も陸地の幅が狭い所である。東海岸から西海岸までの距離が約260メートルという。往時、サバニを担いでこの地を越えたことから命名されたとの口碑がある。
フナザイク [ɸu⸢naʣai⸣ku]船大工。「船細工」の義。
フナシキバ [ɸu⸢naʃi̥ki⸣ba]船着場。はとば(波止場)。桟橋の埠頭。ウ⸢キズー[ʔu⸢kiʣuː](船を浮ける所。波止場)ともいう。
ブナシティアライ [bu⸢naʃi̥tiʔarai]すすぎあらい(濯ぎ洗い)。
ブナシトゥン [bu⸢naʃi̥tuŋ]他動すすぐ(濯ぐ)。ゆすぐ(濯ぐ)。一度洗剤で洗ったものを、別の新しい水の中で揺り動かして洗い流す。
ブナジマリ [bu⸢naʤimari]女として生まれていること。「をなり生まれ」の義。ビ⸢キジマリ[bi⸢kiʤimari](男として生まれていること。<ゑけり生まれ>の義)の対義語。⸢ヤシキ⸣ヌ ⸢ニン⸣ガイ[⸢jaʃi̥ki⸣nu ⸢niŋ⸣gai](屋敷の祈願)の⸢ニンガイ⸣フチ[⸢niŋgai⸣ɸu̥ʧi](祈願文)などで用いられる。⸣ヌーディマリヌ ビ⸢キジマリヌ(ブ⸢ナジマリヌ)フンダメー⸣ル ⸢ヤー⸣ウチ キ⸢ナイウチ⸣ ヤ⸢ナ⸣カジ ア⸢マリ⸣カジ ⸢ペーラ⸣シミ タ⸢ボーラン⸣ヨー ⸣ニガイ ⸢オーシ⸣ ッ⸢サラバ~[⸣nuːdimarinu bi⸢kiʤimarinu(bu⸢naʤimarinu)ɸundameː⸣ru ⸢jaː⸣ʔuʧi ki⸢naiʔuʧi⸣ ja⸢na⸣kaʤi ʔa⸢mari⸣kaʤi ⸢peːra⸣ʃimi ta⸢boːraɲ⸣joː ⸣nigai ⸢ʔoːʃi⸣ s⸢saraba~](何年生まれの男の誰某、<女の誰某>が踏み固めた屋敷内、家屋内に悪い風<悪霊>、余り風<余計な風、悪霊>を入れさせ給わぬように祈願し申し上げ奉りますから~)のように用いられる
フナシンカ [ɸu⸢naʃiŋ⸣ka]船員。乗組員。船人衆。「船臣下」の義。フ⸢ナ⸣カクとも言う。
フナタビ [ɸu⸢na⸣tabi]船旅。
フナダマ [ɸu⸢na⸣dama]ふなだま(船霊)。女の髪の毛、五穀などを神体として祀った船の守護霊。船の守護神。船室の中央に神棚を作って御神体を安置し、酒をコップに入れて出漁前に安全航海と大漁を祈願した。漁船に女性を乗せると縁起が悪いといわれていた。出漁のため、船員が早朝に家を出て船に向かう途中、女性に出会うと縁起が悪いといわれていた。
フナチン [ɸu⸢na⸣ʧiŋ]船賃。運賃。⸢ウンチン[⸢ʔunʧiŋ](運賃)、⸢ウンパン⸣チン[⸢ʔumpan⸣ʧiŋ](運搬賃)ともいう。
フナヌール [ɸu⸢nanuː⸣ru]船乗り。船員。
フナヌシ [ɸu⸢na⸣nuʃi]船主。
フナバル [ɸu⸢na⸣baru](地)鳩間島の東北海岸に位置する一定地域。そこは、鳩間島を創建した人々を乗せた船が最初に接岸した地点という伝承がある。海岸一帯にヤ⸢ラブ[ja⸢rabu](てりはぼく<照葉木>)の林に囲まれた拝所、フ⸢ナ⸣バルウガン[ɸu⸢na⸣baruʔugaŋ](船原御願)があった
フナバルウガン [Fu⸢na⸣baruʔugaŋ]船原御願。島の東北海岸にある御願。『琉球国由来記』には無い。伝承によると、鳩間村創建の際、黒島や古見村から分村されてきた人たちが最初に上陸した所がフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)で、ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞い歌)に、フ⸢ナ⸣バマ[ɸu⸢na⸣bama]とあるが、これはフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)のことであるという。/バガパトゥマ クダリヨーリヨー フナバマニ フナシキヨー ハーリ アミタボリ リューガナシ/(雨乞い歌―33連)『鳩間島古典民謡古謡集』。そこから友利御嶽へ上り、村の根拠地をつくったという。その道跡が⸢カン⸣ヌミチ[⸢kan⸣numiʧi](神の道)であるという(鳩間真吉氏伝承)。フナバル浜に下る道の側に、ク⸢バ[ku⸢ba](蒲葵)や⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](くろつぐ<桄榔子>)の密生する中に拝所がある。⸢コー⸣ロ[⸢koː⸣ro](香炉)があるだけで、サ⸢カサ(司)もティ⸢ジリ⸣ビー(手摺り部<男性神職者>)も今はいない。1960年頃までは、鳩間真吉氏がティジリビーを勤めておられた
フナバルパマ [ɸu⸢na⸣barupama](地)船原浜。鳩間島の東北の海岸にある海岸地名。小さな浜がある。東村の人は、そこから潮干狩りに出た。往古、黒島や古見村から分村させられた人たちが最初に上陸した浜と伝えられている。分村させられた人たちの家具や生活用品を積載した船は喫水の深い船であったと思われる。その船が陸地に最も近くまで接岸可能な所は、ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)で、そこはフ⸢ナ⸣バルパマ[ɸu⸢na⸣barupama](船原浜)に接している。
フナビン [ɸu⸢na⸣biŋ]船便。
フナブ [ɸu⸢na⸣bu](植)ミカン(蜜柑)。くねんぼ(九年母)。シークヮー⸣サー[⸢ʃiːkwaː⸣saː](ヒラミレモン)ともいうが、沖縄本島方言の借用語であろう。「Cunebu.クネブ(久年父)甘い蜜柑の一種」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。西表島北部一帯の水田の回りには九年母の木が自生しており、夏季にはその実を取って刺身に入れて食した。鳩間島には九年母は少なかった。
フナブキー [ɸu⸢na⸣bukiː](植)木の名。蜜柑の木。⸢九年母の木」の義。
フナブパイル [ɸu⸢na⸣bupairu]蜜柑酢。蜜柑で作った酢。ヤ⸢マフナ⸣ブ[ja⸢maɸuna⸣bu](山九年母。ヒラミレモン。シークヮーサー)の汁で作った酢。
フナムトゥ [ɸu⸢na⸣mutu]船主の家。「船元」の義。豊年祭の⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船。イダフニ)を提供する家。鳩間島では、⸢パーレー⸣フニ[⸢paːreː⸣ɸuni](爬竜船)を特別に造らなかった。各家は⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](板船・サバニ)を所有しているので、毎年西村、東村別々に舟を漕ぎ試して、船足の速いものを選んでパーレーフニを決定していた。⸢プール⸣ウタ[⸢puːru⸣ʔuta](豊年祭の歌)の項参照
フナヤー [ɸu⸢na⸣jaː]昔、離島の船乗りが宿泊するために石垣島の浜辺に作ったという小屋。「船屋」。
ブナル [bu⸢naru]姉妹。ビ⸢キル[bi⸢kiru](兄弟)に対して姉妹を指していう。「妹子有麼 'or(n)ari'ari(妹あるか)」「語音翻訳」『海東諸国紀』、「姊 洗之烏乃(シジャウナイ)」、「妹 屋多烏乃(ウットゥウナイ)」『中山伝信録』とある『図説琉球語辞典』参照。
ブナルビキル [bu⸢narubikiru]兄弟姉妹。
ブナルンガイ [bu⸢naruŋgai]婿の姉か妹が嫁方へ嫁ぐこと。「姉妹替え」の義。
ブナルンガン [bu⸢naruŋgaŋ]おなり神。姉妹神。姉妹には兄弟を守護する霊威があるという信仰がある。
ブナレー [bu⸢na⸣reː]人名。平民女子の名。
フニ [⸣ɸuni]船。船の総称。
プニ [⸣puni]骨。
プニ アラーン [⸣puni ʔa⸢raː⸣ŋ]骨が太い。
プニ ザラランケーリ [⸣puni ʣa⸢raraŋkeː⸣ri]死者の骨が揃っているさま。埋葬した人の骨が崩れずに整っているさま。洗骨のために埋葬した人骨を掘り起こした際に用いた言葉。ザ⸢ラランケーリ⸣ルとも言う。
プニスクリヨー [pu⸢nisu̥kuri⸣joː]骨格。骨組み。「骨作りよう」の義。⸢ドゥースクリ⸣ヨー[⸢duːsu̥kuri⸣joː](体格。体作りよう)というのが普通。
プニトゥ カー [pu⸢ni⸣tu ⸣kaː]骨と皮。肉が{削}{ソ}げ落ちて骨と皮だけに痩せさらばえた姿。痩せこけた姿。
フニヌ アカ [ɸu⸢ni⸣nu ⸣ʔaka]あか(淦)。ふなゆ(船湯)。舟底に溜まった水。フ⸢ニ⸣ヌ ⸣ユー[ɸu⸢ni⸣nu juː](船の湯)ともいう。「Aca.yu.アカ、またはユ({淦}{アカ}、叉は、ゆ)揚水器で汲み出す船の水」、「Aca,Acano mizzu.アカ、または、アカノミヅ(閼伽、または、閼伽の水) 朝早く仏(Fotoqes)に供える水」『邦訳日葡辞書』の義。鳩間島では病弱な子供には船の淦を汲んで額に塗ると病気が良くなるという信仰が行われていた。昭和30年代までは、運搬船が入港する際に船長に依頼して淦を汲んでもらい、子供の額に塗ってもらう習慣があった。
フニヌ ユー [ɸu⸢ni⸣nu ⸣juː]舟のあか(淦)。⸢船の湯」の義。
フニ パウン [⸣ɸuni ⸢pauŋ]造船する。⸢舟を{接}{ハ}ぐ」の義。⸢舟」に「Fagui, u, aida. ハギ、ぐ、イダ(矧・接ぎ、ぐ、いだ) ~Itauo fagu(板を接ぐ)戸・扉などを作る時に板を接着する」『邦訳日葡辞書』が転訛したもの。
フニ マースン [⸣ɸuni ⸢maːsuŋ]回船する。手配して運搬船を寄港させる。「船回す」の義。
フニマチ [ɸu⸢ni⸣maʧi]船待ち。運搬船の入港を待つこと。
フニマチ [ɸu⸢ni⸣maʧi]{2}旅に出た夫の帰り舟を待つこと。
フニ ムトゥン [⸣ɸuni ⸣mutuŋ]舟を操船する。サバニに帆を掛けて帆走させる。
プニ ヤーラーン [⸣puni ⸢jaː⸣raːŋ]骨が柔らかい。
フニンジョー [ɸu⸢ninʤoː]不人情。標準語からの借用語。
ブネー [bu⸢neː]母親、女親の親族名称。呼称には用いない。ブ⸢ネーヌ⸣ ウヤー[bu⸢neːnu⸣ ʔuja](母親)ともいう。
ブネーカタ [bu⸢neːkata]母方。「母親方」の義。Bunarikata(をなり方)→ [bunarjaːkata] → [buɲaːkata] → [buneːkata] と転訛したものであろう。
ブネーズー [bu⸢neːʣuː]凧の尻尾の長いもの。「母親尾」の義。
ブネーヌウヤ [bu⸢neːnu⸣ʔuja]母親。「母なる親」の義。
ブネー ビケー [bu⸢neː⸣ bi⸢keː]母親と父親。両親。
フノーラ [ɸu⸢noː⸣ra](地名)船浦湾の西側に位置する船浦集落。往古、西表島北部にあった古村鬚川村はマラリアのために廃村となり、住民は鳩間島に移った。戦後はマラリア撲滅に伴い、鳩間島から船浦への移住が増え、またその他の地域からの移住者も増えて現在のように栄えた。西表観光の船着場としての機能も果たしている。1611年の慶長検地によると古見間切に所属する「ひけ川村」『論集沖縄の集落研究』は、ピ⸢ナイムラ[pi⸢naimura](鬚川村)のことで、船浦にあった古村のことであろう。鳩間島のピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)はピナイムラの御嶽の香炉の灰を分けて建立されたという口碑が伝わっている。⸣シザバナリ[⸣ʃiʣabanari](下離)、ナ⸢ダラ[na⸢dara](なだら田原)、ナ⸢カ⸣シ[na⸢ka⸣ʃi](中石田原)、ニ⸢シダ[ni⸢ʃida](西田田原)の対岸にフ⸢ノー⸣ラ[ɸu⸢noː⸣ra](船浦田原)は位置する。
フノール [ɸu⸢noː⸣ru]田舟。深い田圃で稲束や苗を運んで作業をする際に用いる小さな舟型の農具。木の幹を{刳}{ク}り貫いて船形に作ったもの。⸢トー⸣ニ[⸢toː⸣ni](田舟)ともいう。
ブバー [bu⸢baː]⸢叔母」の親族呼称。「伯母」の親族呼称はウボ⸢マー[ʔubo⸢maː](大叔母さん{EOS!})、ボ⸢マー[bo⸢maː](伯母さん{EOS!})などという。
ブバーマ [bu⸢baː⸣ma]伯叔母の親族名称。
ブバマンガン [bu⸢bamaŋ⸣gaŋ]セジ(霊力)高い伯<叔>母。伯<叔>母や姉妹は兄弟、甥を守護する霊力があると信じられ、兄弟、甥から神として尊敬されている。
フバラリン [ɸu⸢barariŋ]自動縛られる。縛ることが出来る。フ⸢バルン[ɸu⸢baruŋ](他動)の未然形に受身・可能の助動詞⸢-リン[⸢-riŋ](~れる)が下接して生成された受身・可能動詞。
フバリフチ [ɸu⸢bariɸuʧi]結び目。縛り目。結わい目。「縛り口」の義。
フバルン [ɸu⸢baruŋ]他動縛る。くくる。くくりしめる。「頚を結(ゆ)ふをば{縊}{クビル}といふ」『新撰字鏡』、「Cubiri,ru,itta.クビリ、ル、ッタ(縊り、る、った)結びつける、または、しばる、~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フビ [ɸu⸢bi]{1}首。後頭部の下の部分。うなじ。「頸、久鼻(くび)」『華厳経音義私記』の転訛したもの。
フビ [ɸu⸢bi]{2}襟。「衣襟、己呂毛乃久比(ころものくび)」『新撰字鏡』。
フビ [ɸu⸢bi]{3}(数)着物を数える単位。この場合、フ[ɸu]は原音のク[ku]に回帰する。
フビシジ [ɸu⸢biʃiʤi]首すじ。うなじ。襟首。襟足。ヌ⸢ビ⸣シジ[nu⸢bi⸣ʃiʤi](首すじ)ともいう。
フビ スルン [ɸu⸢bi⸣ suruŋ]首を反らす。ふんぞり返る。稔らない稲が穂先を反らす。転じて、人格者でない者が{傲慢}{ゴウ|マン}な態度をとるの意。
フビダリ [ɸu⸢bidari]首を垂れること。自信喪失して落ち込むこと。意気消沈すること。
フビ タルン [ɸu⸢bi⸣ taruŋ]{1}首を垂れる。気力を失う。自信を喪失する。
フビ タルン [ɸu⸢bi⸣ taruŋ]{2}稲穂の実が稔って穂先を垂らす。
フビ ブルン [ɸu⸢bi⸣ buruŋ]{1}首を折る。頭を下げる。了承する。
フビ ブルン [ɸu⸢bi⸣ buruŋ]{2}転じて「詫びる」の意。「首を折る」の義。転じて、人格者は謙遜した態度で行動するの意味。
フビリカビリ [⸣ɸubirikabiri]みすぼらしいさま。貧弱な身なり。ABCDBC型の重言。
フビリマリ [ɸu⸢birimari]貧相な生まれつき。貧相な相貌。貧弱な容貌。
フビルン [ɸu⸢biruŋ]自動みすぼらしくなる。
フミカスン [ɸu⸢mikasuŋ]他動賑わす。盛んにする。ほてらす。老年層は、⸢プーミカスン[⸢puːmikasuŋ](ほてらす。賑わわす)、プ⸢ミカスン[pu⸢mikasuŋ]ともいう。「Fomeqi,u,eita.ホメキ、ク、イタ(燥き、く、いた)非常な暑さである、または、非常に暑い」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フミダイ [ɸu⸢midai]踏み台。高い所にあるものを取る際の足場となる台。標準語からの借用語。
フミフチ [ɸu⸢mi⸣ɸu̥ʧi]{1}編み方。編む方法。フ⸢ミ⸣ミチ[ɸu⸢mi⸣miʧi](編み方)ともいう。
フミフチ [ɸu⸢mi⸣ɸu̥ʧi]{2}編み口。編み始め。組み口。フ⸢ミ⸣-[ɸu⸢mi⸣-]は、「Cumi,u,unda.クミ、む、ンダ(組み、む、んだ)組紐・金銀のモールなどを作る者のやり方で編む~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フミマラバスン [ɸu⸢mimaraba⸣suŋ]他動褒めちぎる。褒めまくる。大いに褒める。「褒め・まろばす」の合成語か。マ⸢ラバスン[ma⸢rabasuŋ](転ばす)は、「馬展、マロバス」『類聚名義抄』の義。動詞の連用形に付いて複合動詞を作り、その動作を強調する一種の接尾語的機能を有する語。
フミムヌ [ɸu⸢mi⸣munu]編み物。
フミムヌ [ɸu⸢mimunu]{履物}{ハキ|モノ}。ア⸢シ⸣ツァ[ʔa⸢ʃi⸣ʦa](下駄)、サ⸢バ[sa⸢ba]({SqBr}g{/SqBr}{草履}{ゾウリ})、⸣フチ[⸣ɸu̥ʧi](藁草履。ク⸢ツ<沓>の転訛したもの)などがある。「Fumimono.フミモノ({踏物}{フミ|モノ}) 踏みつけられる物.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フミルン [ɸu⸢mi⸣ruŋ]他動誉(褒)める。讃える。「まけばしら寶米弖豆久礼留~。万、4342」の義。
フムン [⸣ɸumuŋ]他動誉<褒>める。讃える。「褒め<下二段>」の四段活用化したもの。「眞木柱 寶米弖<ホメテ>造れる殿の如~。万、4342」の転訛したもの。
フムン [ɸu⸢muŋ]他動{汲}{ク}む。水を汲む。「~立ちよそひたる山清水 酌尓雖行<クミニイカメド>~。万、158」、「Cumi,u,unda.クミ、ム、ンダ(汲み、む、んだ)手桶で水を汲む」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フムン [ɸu⸢muŋ]他動{1}{履}{ハ}く。
フムン [ɸu⸢muŋ]他動{2}道理に適う。正しい人の道を踏む。
フムン [⸣ɸumuŋ]他動編む。「組む」の義。⸢物を互いちがいに交差させて作る」から転訛したもの。「Cumi,u,unda.クミ、む、ンダ(組み、む、んだ)組紐・金銀モールなどを作るやり方で編む」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フヤ [ɸu⸢ja]ほや(火屋)。カ⸢サ⸣ランプ[ka⸢sa⸣rampu](笠ランプ)の火を覆うガラス製の筒。
フヤー [⸣ɸujaː]猫が繁殖期に発情して吠え立てる<鳴き騒ぐ>こと。牛馬は、タ⸢キ⸣ルン[tḁ⸢ki⸣ruŋ](たける<哮る>)という。
フヤースン [ɸujaː⸢suŋ]自動猫が吠える
フユ [ɸu⸢ju]冬。「Fuyu.フユ(冬)冬.Fuyuni naru.冬になる」『邦訳日葡辞書』。
フユー [⸣ɸujuː]無精者。怠け者。怠惰な者。「Fuyôフヨゥ(不用)怠惰。無精.Huyôuo camayuru.(不用を構ゆる)怠け心を抱く」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フユー シゥカンカブン [⸣ɸujuː sï̥⸢kaŋ⸣kabuŋ]怠惰を決め込む。怠ける。
フユーナ ムヌ [ɸu⸢juː⸣na ⸣munu]怠け者。無精者。フ⸢ユ⸣ニンとも言う。
フユキン [ɸu⸢juɸkiŋ]冬着。⸢アーシ⸣キン[⸢ʔaːʃi⸣kiŋ](袷。袷着)ともいう。
フユニン [ɸu⸢ju⸣niŋ]怠け者。無精者。⸣スブットゥ[⸣subuttu](無精者。怠け者)、ウ⸢シクラサー[ʔu⸢ʃikurasaː](酷い怠け者)、ウ⸢シクラシムヌ[ʔu⸢ʃikuraʃimunu]({酷}{ヒド}い怠け者)ともいう。
フユムヌ [ɸu⸢ju⸣munu]冬物。ナ⸢チムヌ[na⸢ʧimunu](夏物)の対義語。フ⸢ユ⸣キン[ɸu⸢ju⸣kiŋ](冬着)ともいう。
フヨーゾー [ɸu⸢joː⸣ʣoː]{不養生}{フ|ヨウ|ジョウ}。{不摂生}{フ|セッ|セイ}。健康管理をしないこと。標準語からの借用語。
フヨーン [ɸu⸢joː⸣ŋ]{怠惰}{タイ|ダ}である。{無精}{ブ|ショウ}である。
ブラ [⸣bura](動){1}ホラガイ(法螺貝)。殻長40センチに達するのもある。水深5~10メートルの珊瑚礁やエダサンゴの中に棲息する。昔はこの貝を利用して{湯沸}{ユ|ワカシ}にした。法螺貝の上部に穴をあけ、木製の柄を付け、殻口にも板で作った蓋をし、{竈}{カマド}の上に{自在鉤}{ジ|ザイ|カギ}を作って{吊}{ツ}るし、湯を沸かした。
ブラ [⸣bura]{2}汽笛。
フラー [ɸu⸢raː]ふれもの(狂れ者)の義。気違い。馬鹿者。プ⸢リムヌとも言う。
ブラー [buraː]居るものか。「woram-ja」の転訛か。老年層の言葉。若年層は、⸢ブーワ[⸢buːwa](居るものか)
ブラーマ [bu⸢raː⸣ma](動)タケノコガイ科の細長い巻貝。「小さな法螺貝」の義か。⸣ブラ[⸣bura](法螺貝)に、⸣-マ[⸣-ma](小さなもの、可愛いもの、を表す接尾指小辞)の付いた形。
ブライズ [bu⸢raʔiʣu](動)ボラ(鯔)。単に、ブ⸢ラ[bu⸢ra](鯔)ともいう。西表島の河口あたりに群れをなして集まることが多かった。
ブライトゥリ [⸣buraituri]尻はしょり(尻端折り)。着物のつま(褄)を折りかかげて帯びに挟むこと。明治生まれの老年層の使用語で上品な語感を有する。「折り上げ取り」の義『石垣方言辞典』という。若年層はシ⸢ビ⸣カライ[ʃi⸢bi⸣karai](しりからげ<尻からげ>)という。
プラグ [pu⸢ra⸣gu]農具。洋式鋤。牛に引かせる{鋤}{スキ}。英語のPlough(Plow)から転訛したものか。戦前の鳩間島では台湾から輸入されたものが使われていた。
ブラクゾーカイ [bu⸢rakuʣoːkai]部落常会。標準語からの借用語。昔は、ム⸢ラズルイ[mu⸢raʣurui](村揃い)といったが、部落会という制度ができてから、旧暦正月の後に初常会が持たれ、一年の村行事の日程がきめられたという。
ブラシキムヌ [bu⸢raʃi̥ki⸣munu]ぼんやり者。気力がなく、精神作用が落ち込んで健全な活動ができない者。
フラックン [ɸu⸢rakkuŋ]自動・他動開く。プ⸢ラックン[pu⸢rakkuŋ](開く)と同じ。
プラックン [pu⸢rakkuŋ]自動{PoS_1}開く。人の目、鼻、耳の穴、肝(心)などの塞がっていたのが⸢開く」の意味で用いる。
プラックン [pu⸢rakkuŋ]他動{PoS_2}開く。
ブラッサーク [⸣burassaːku]大声でする咳。しわがれごえ(嗄れ声)でする咳。「法螺貝咳」の義。
フラビルン [ɸu⸢rabiruŋ]他動較べる。比較する。「Curabe,uru,eta.クラベ、ブル、ベタ、(比べ、ぶる、べた)物と物とを比較する、または、対照する.」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フラフカー [⸣ɸuraɸu̥kaː]法螺吹き。大言をする人。でたらめをいう人。多少卑称のニュアンスを伴う。フ⸢ラフキ⸣ムヌ[ɸu⸢raɸu̥ki⸣munu](法螺吹き者)ともいう。
フラフキムヌ [ɸu⸢raɸu̥ki⸣munu]法螺吹き。大言をいう人。でたらめをいう人。
フラ フクン [⸣ɸura ⸣ɸu̥kuŋ]法螺を吹く。大言をいう。
フラフラー スン [ɸu⸢raɸuraː suŋ]ふらふらする。
フラブン [ɸu⸢rabuŋ]他動比べる。比較する。「くらぶ(下二)」の転訛したもの。若年層はク⸢ラブン[ku⸢rabuŋ](比べる)ともいう。
ブラヤッコン [⸣burajakkoŋ]ほらがい(法螺貝)で造った湯沸し。「法螺貝薬缶」の義。戦前までは、西表島の北岸で水田耕作に従事する際に使用していた。田圃小屋を作って、五六日泊りがけの通耕であったから、簡単な炊飯器具類を用意していた。
ブリ [bu⸢ri]群れ。群がっているもの。
-ブリ [⸢-buri]接尾~に夢中になること。~惚れすること。
ブリー [⸣buriː]無礼。失礼。
プリープリシ [pu⸢riːpuri⸣ʃi]あたかも気がふれたように。気違いのように。馬鹿みたいに。「Foreforeto.ホレホレト({耄}{ホ}れ{耄}{ホ}れと)副詞.恋愛とかその他の愛情とかのために夢中になり、気違いのようになるさま」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
プリアサビ [pu⸢riʔasabi]ばか遊び。つまらない遊び。「狂れ遊び」の義。
プリウン [pu⸢ri⸣ʔuŋ]「掘り芋」の義。カ⸢ノーシ[ka⸢noːʃi](かなぐし<金串>)で芋の根を探って掘り出したサツマイモ。⸢カイシ⸣ウン[⸢kaiʃi⸣ʔuŋ](鍬で耕して収穫するサツマイモ)の対義語。
ブリ クーン [bu⸢ri⸣ kuːŋ]群れて来る。
プリサキ [pu⸢risaki]狂い咲き。季節外れに植物の花が咲くこと。
プリシゥカラ [pu⸢risï̥kara]ばかぢから(馬鹿力)。くそぢから。「ほれぢから(耄れ力)」の義。
ブリズー [bu⸢riʣuː]居所。住所。
プリスクライ [pu⸢risu̥kurai]気違い(狂人)のふり。狂人つくろい。「ほれつくろい(耄れ繕い)」の義。-ス⸢ク⸣ライ[-su̥⸢ku⸣rai](~のふりをする。~繕い。~きどり)は動詞の連用形から転成した名詞や普通の名詞に下接して「~のように取り繕う」の意味を表す接尾語。「Tçucuroi,roˆ,oˆta.ツクロイ、ゥ、ゥタ(繕・刷・口刷ひ、うた)整える、または、飾る・Miuo tçukuroˆ.(身をつくろふ)立派に身を装う」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ブリ スクルン [bu⸢ri⸣ su̥⸢ku⸣ruŋ]群れを作る。
プリタクマ [pu⸢ritakuma]気違いの悪知恵。{耄}{ホ}れ者<阿呆>だが自分の得になることには悪智恵が働くこと。タ⸢ク⸣マ[tḁ⸢ku⸣ma]は、タ⸢ク⸣ムン[tḁ⸢ku⸣muŋ](工夫をめぐらす。企む)の連用形タ⸢ク⸣ミ[tḁ⸢ku⸣mi]に、接尾語⸣アー[⸣ʔaː](~する人。~すること)が下接して形成されたもの。
ブリッカースン [bu⸢rikkaː⸣suŋ]他動折る。折り畳む。折り合わせる。
ブリッカームン [bu⸢rikkaː⸣muŋ]他動折り曲げる。折って縮める。折り畳む。ブ⸢ルッカー⸣ムン[bu⸢rukkaː⸣muŋ](折り畳む)ともいう。
ブリッカイスン [bu⸢rikkaisuŋ]自動ぶり返す。病気などがぶり返す。再発する。
プリッサイ [pu⸢rissai]わかしらが(若白髪)。「ほれしらが({耄}{ホ}れ白髪)。狂い白髪」の義で、白髪の生える年齢でない若い人に生える白髪のこと。「Vacaxiraga.ワカシラガ(若白髪)まだそのような時期でないのに生える白髪」『邦訳日葡辞書』のこと。
ブリティ [ブ⸢リテイ]~て居って。「居りて」の義。動詞の連用形について「~していて」の意を表す。話者の動作と話者と同等、又は目下者の動作について用いる。「~旅を苦しみ戀ひ乎礼婆<ヲレバ>~。万、3674」の転訛したものか。目上に対しては、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる。「おはす」の転訛したもの)を用いる。
ブリパダラ [bu⸢ripadara](動)魚の名。ナナメトラギス(体長約20センチ)。「群れパダラ(トウゴロイワシの群れ)」の義
プリパンタリ [pu⸢ripantari]異常に太ること。馬鹿太りすること。プ⸢リ[pu⸢ri](狂れる)の連用形で、⸢異常さ」や「{常軌}{ジョウ|キ}を{逸}{イッ}すること」を表す接頭語。
ブリブシ [bu⸢ribuʃi]すばる(昴)星。むつらぼし(六連星)。ム⸢リカブシ[mu⸢rikabuʃi](群れ星)ともいう。
ブリフチ [bu⸢ri⸣ɸuʧi]折り取った先端。
フリマースン [ɸu⸢rimaːsuŋ]他動振り回す。
プリマービ [pu⸢rimaːbi]気の狂った真似。狂人の真似。「ほれまね(耄れ真似)」の義。
ブリミー [bu⸢ri⸣miː]二重まぶた。⸣カーミー[⸣kaːmiː](一重まぶた)の対義語。
プリムニ [pu⸢rimuni]ばかげた言葉。意味のない言葉。たわごと。「ふれものいい({耄}{フ}れ物言い)」の義。
プリムヌ [pu⸢rimunu]あほう。馬鹿。気違い。狂人。「ほれもの(耄れ者)」の義。「Foremono.ホレモノ(耄れ者)Foreta fito(耄れた人)におなじ.分別のなくなった人、あるいは、老いぼれたひと.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
プリムヌ [pu⸢ri⸣munu]ほりもの(彫物)。彫刻。
ブリルン [bu⸢ri⸣ruŋ]自動折れる。
プリルン [pu⸢riruŋ]自動{1}気違いになる。狂う。ぼける(惚ける)。馬鹿になる。「耄、ホレタリ」『伊呂波字類抄』。「已に衰へ邁<す>ぎ耄<ほ>れ虚<うつ>け」『金光明最勝王経音義』。
プリルン [pu⸢riruŋ]自動{2}惚れる。異性に心を奪われ、恋い慕う。「Fore,ruru,eta.(耄れ、るる、れた)分別がなくなる、または、年取ってぼける、~Fitoni foruru.(人に耄るる)ある人に熱狂的な愛情、感情を抱く.」『邦訳日葡辞書』。
プリワザ [pu⸢riwaʣa]正気とは思われないふるまい。ばかげた行動。気が狂ったような行動。狂態。
ブリンマ [bu⸢riʔmma]群れをなす馬。「群れ馬」の義。
フル [ɸu⸢ru]{1}いんのう(陰嚢)。睾丸。「陰嚢、俗云、布久利(ふぐり)」『和名抄』。「Fuguri.フグリ(陰嚢)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フル [ɸu⸢ru]{2}{秤}{ハカリ}のおもり(錘)。ふんどう(分銅)。
フル [ɸu⸢ru]{3}時計の振り子。
フルザ [ɸu⸢ru⸣ʣa]くじら(鯨)。
フルシキ [ɸu⸢ru⸣ʃi̥ki]風呂敷。石垣方言からの借用語か。老年層はウ⸢スッ⸣ふァイ[ʔu⸢suf⸣fai](風呂敷)、ウ⸢スッ⸣ふァイッスン[ʔu⸢suf⸣faissuŋ](風呂敷包み)のようにいう。
フルシケー [ɸu⸢ru⸣ʃi̥keː]風呂敷。若年層は、フ⸢ル⸣シキ[ɸu⸢ru⸣ʃi̥ki](風呂敷)ともいう。
フルシケーッスン [ɸu⸢ru⸣ʃi̥keːssuŋ]風呂敷包み。
フルシティカーシティ [ɸu⸢ruʃi̥tikaː⸣ʃi̥ti]パタパタと振るって。布や衣類をパタパタ振るって塵を落として。ABCDEFCD型の重言。
フルシティルン [ɸu⸢ruʃi̥tiruŋ]他動振り捨てる。水分や{塵埃}{ジン|アイ}を振り払う。払いのける。洗濯物等を振って水分を切る。
フルシトゥン [ɸu⸢ruʃi̥tuŋ]他動振り捨てる。塵などを振り払う。振るう。衣服などに付着した塵を振るって落とす。「すつ(捨つ)下二段」の四段活用化したものが「振り」に下接して形成された形。
ブルッカーミルン [bu⸢rukkaːmi⸣ruŋ]他動折り曲げる。折り畳む。
ブルッカームン [bu⸢rukkaː⸣muŋ]他動折り畳む。
フルドーング [ɸu⸢rudoːŋ⸣gu]古道具。
フルヌ ミー [ɸu⸢ru⸣nu ⸣miː]便所の糞便を落とす穴。脱糞して便を落とす穴。「便所の穴」の義。
フルバスン [ɸu⸢rubasuŋ]他動{1}滅ぼす。滅亡させる。なきものにする。「~繰り畳ね焼き保呂煩散牟<ホロボサム>~。万、3724」の転訛。
フルバスン [ɸu⸢rubasuŋ]他動{2}損害を与える。倒産させる。
フルブン [ɸu⸢rubuŋ]自動滅ぶ。
フルマイ [ɸu⸢rumai]ご馳走。正月や行事の際のご馳走。接待。もてなし。「翔、フルマフ」『類聚名義抄』、「Furumai,o,ˇ,oˇta.フルマイ、ゥ、ゥタ(振る舞ひ、ふ、うた)宴会を催す、あるいは、ご馳走する~。」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フルマイール [ɸu⸢rumaʔiː⸣ru]⸢車錐」の義。錐の柄の下に錘を付け、横棒を貫き通し、柄の先端から糸を横棒の両端に結び、糸を巻き付けて横棒を下へ押すことにより回転させる仕掛けの錐。
フルマスン [ɸuruma⸣suŋ]他動古くなす。寝かす。熟成させる。
フルムン [ɸu⸢ru⸣muŋ]自動古くなる。古む。
フルヤー [⸣ɸurujaː]便所。豚便所。⸣オンケー[⸣ʔoŋkeː](便所)ともいう。かつては、便所は豚小屋と一つになっていて、人糞を豚に与えていた。戦後、保健所から公衆衛生上の問題点が指摘されて廃止された。三千年前の古代中国にも同様な様式の便所が使われていたことを示す陶器が発掘されたという。1996年の中国雲南省の民俗言語調査の際に、同様の便所様式が少数民族(ハニ族)の中で使用されているのを確認した。
フルヤー [ɸu⸢ru⸣jaː]古い家(若年層)。老年層は、ッ⸢ふ⸣ヤー[f⸢fukagijaː](古い家)という。「古屋」の義。
フルン [ɸu⸢ruŋ]他動振る。「~帰れとか比礼布良斯家武<ヒレフラシケム>~。万、874」の転訛したもの。
ブルン [⸣buruŋ]他動・自動折る。捥ぐ。「梅の花 乎利弖<ヲリテ>かざせる~。万、832」の転訛したもの。
ブルン [bu⸢ruŋ]自動群れる。波が折り畳むように重なってくる。「~白浪の 夜敝乎流我<ヤへヲルガ>上に~。万、4360」の義。
プルン [pu⸢ruŋ]自動{1}気違いになる。馬鹿になる。狂れる。ぼける(惚ける)。
プルン [pu⸢ruŋ]自動{2}ほれる(惚れる)。異性に心を奪われるほどに恋慕する。「ほる<惚る>、下二段活用」の四段活用化したもの。プ⸢リルン[pu⸢riruŋ](気違いになる。惚れる)に同じ。
プルン [⸣puruŋ]他動{1}掘る。穴をあける。「~栄えし君が穿之<ホリシ>井の~。万、1128」の転訛したもの。
プルン [⸣puruŋ]他動{2}彫る。
プロー [⸣puroː]西洋式の鋤。英語のPlowが転訛したもの。鳩間島では台湾製の洋式鋤を輸入して使用する人もいたが、多くは古い型の鋤、⸣ピラ[⸣pira](犂。牛に引かせて土を切り開き、土塊を反転させて耕す耕具)を使用していた。「鋤・鉏、須支<スキ>」『新撰字鏡』。
フン [⸢ɸuŋ]国。村。石垣島から上、沖縄、大和の国を指す。「天皇の敷きます久尓能~。万、4123」の転訛したもの。kuni(国)→ [ɸuŋ]。
フン [⸢ɸuŋ]釘。釘の総称。「群玉の枢に久枳作之<クギサシ~>。万、4390」、「釘、クギ」『類聚名義抄』の転訛したもの。カ⸢ニフン[ka⸢niɸuŋ](鉄釘)、タ⸢キフン[tḁ⸢kiɸuŋ](竹釘)、⸢キー⸣フン[⸢kiː⸣ɸuŋ](木釘)、ピ⸢サフン[pi̥⸢saɸuŋ](平釘)等がある。
フン [⸣ɸuŋ]助数本。細長いものを数える単位。上接語(漢語)の末尾音が [t, k, p] で終わる場合は、異形態-プン [-puŋ]、末尾音が [m, n, ŋ] で終わる場合は、異形態-ブン[-buŋ]、和語の⸢ヨ」(四)が撥音便化したものは、異形態-プン[-puŋ]、それ以外の母音終わりの場合は、異形態-フン[ɸuŋ]となる。これを形態素と定めて見出し語とした。
フン- [⸢ɸun-]接頭接頭辞。動詞の語頭について強意を表す。
ブン [⸢buŋ]自動{1}居る。生物や動くものが存在する。自分の動作については謙遜、卑下の意味が加わり、他人の動作、状態については目下の者として待遇する、または蔑視する意味が加わる。⸢ベー⸣ン[⸢beː⸣ŋ](継続して居る)は、⸢ブン[buŋ](居る)の連用形に⸣アン[⸣ʔaŋ](有り)が下接して形成されたもの。ブ⸢リブー[bu⸢ribuː](居り居る)は連用形に「居る」が付いた形。目上に対しては、⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](いらっしゃる。「おわす<御座す>」の義)を用いる。「~候ふと吾が乎流等伎尓<ワガ ヲルトキニ>~。万、4398」の義。
ブン [⸢buŋ]自動{2}動詞の連用形に付いて、動作を続ける意、⸢~ている」の意味を表す。「~旅を苦しみ故非乎礼婆<コヒヲレバ>~。万、3674」の義。
ブン [⸣buŋ]分。{1}一部。量。
ブン [⸣buŋ]{2}割り当て。分け前。
ブン [⸣buŋ]{3}身の程。身分。地位。
ブン [⸣buŋ]恩。恩義。⸢ブン⸣ギ[⸢buŋ⸣gi](恩義)ともいう。
-ブン [⸣-buŋ]接尾盆。単独に用いられることはなく、名詞に下接して、マ⸢ルブン[ma⸢rubuŋ](丸盆)、タ⸢バク⸣ブン[ta⸢baku⸣buŋ](煙草盆)、バ⸢キトゥリ⸣ブン[ba⸢kituri⸣buŋ](神前に供物を供えるための特別な膳。通い盆)、⸢ドーング⸣ブン[⸢doːŋgu⸣buŋ](仏前供物を供える特別な膳。⸢霊供盆」の義か)のように単語を形成する。
ブン [⸣buŋ]威厳。身分にそなわる品位。
フンカキルン [⸢ɸuŋkakiruŋ]他動ぶっかける(ぶっ掛ける)。荒々しく水をかける。「フンー」は強意の接頭語。⸢フンカクン[⸢ɸuŋkakuŋ](ぶっ掛ける)ともいう。
ブンカドゥ [⸢buŋ⸣kadu]義理。その人に相応しい人間としての体面。「ぶんかど(分・廉)」の義。
ブンギ [⸢buŋ⸣gi]恩義。
ブンギ カイシ [⸢buŋ⸣gi ⸢kai⸣ʃi]ご恩返し。「恩義返し」の義。⸢ブンガイ⸣シ[⸢buŋgai⸣ʃi](恩返し)ともいう。
ブンギガイシ [⸢buŋgigai⸣ʃi]恩返し。若年層は⸢ウンガイ⸣シ[⸢ʔuŋgai⸣ʃi](恩返し)ともいう。⸢ブン⸣ギ ⸢スン[⸢buŋ⸣gi ⸢suŋ](恩を返す)ともいう。
フンキスン [⸢ɸuŋki̥suŋ]他動ぶっ切る。横切る。横断する。近道をとって横切って行く。正規の道を通らずに横切って行く。「踏み切る」の転訛したもの。
フンキル [⸢ɸuŋ⸣kiru]助数畑の一区切り(一区画)。
フンクムン [⸢ɸuŋkumuŋ]自動勢いよく足を踏み込む。勢いよく踏みつける。足を踏み込んで釘などに深く刺される。
フンクン [⸢ɸuŋkuŋ]他動踏む。踏みつける。
フンケーリ トゥンケーリ [⸢ɸuŋkeːri tuŋkeːri]⸢踏み返り・飛び返り」の義。離別の際、別れを惜しんで、二歩進んで振り返り、三歩進んで振り返ってみるさま。非常に名残を惜しんで立ち去る様子。
フンザスン [⸢ɸunʣasuŋ]他動強く汲みだす。怒って水を汲みだす。
フンサマルン [⸢ɸunsamaruŋ]他動ふん縛る。強く荒々しく縛る。接頭語⸢フン[⸢ɸuŋ](強く、荒々しく)が付いた形。
フンザルン [⸢ɸunʣaruŋ]他動踏み{潰}{ツブ}す。踏みつける。⸢フンツァルン[⸢ɸunʦaruŋ](踏み潰す)ともいう。
フンシ [⸢ɸuŋ⸣ʃi]風水。「風水」の漢語音の転訛したもの。山川、水流などの地勢や水勢を占い検討して屋敷や墓地を定める中国伝来の風水思想。
フンシキ [⸢ɸuŋʃi̥ki](海底地名)。⸢インタヌ ズンズン[⸢ʔintanu ʣunʣuŋ](西のズンズン)からナ⸢カウー⸣ル[na⸢kaʔuː⸣ru](中間の枝珊瑚地帯)まで。そこには小さな礁内湖があり、その周辺にス⸢ブル⸣イシ[su⸢buru⸣ʔiʃi](キクメサンゴ)やタ⸢カウー⸣ル[tḁ⸢kaʔuː⸣ru](枝サンゴ)が密生していて、⸣タク[⸣tḁku](蛸)貝類が漁獲できる
フンシキルン [⸢ɸuŋʃi̥kiruŋ]他動踏みつける。踏んづける。足で強く踏む。⸢フンスクンとも言う。
フンジル [⸢ɸun⸣ʤiru]ふんじろ(焚字炉)。書き古した紙を集めて焼き捨てるために路傍の石垣に設けた石製の炉『石垣方言辞典』。
フンシン [⸢ɸuŋ⸣ʃiŋ]本船。カツオ漁船。
フンスクル [⸢ɸunsu̥kuru]ふところ(懐)。歌謡語では⸢フスクル[⸢ɸusu̥kuru](懐)という。
フンスクルディー [⸢ɸunsu̥kurudiː]懐手。手を懐に入れること。
フンスクン [⸢ɸunsu̥kuŋ]他動踏みつける。強く踏みつける。「Fumitçuke,ru.eta.フミツケ、クル、ケタ(踏み付け、くる、けた)足で踏みつける」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ブンダーッサン [⸢bundaːs⸣saŋ]重々しい。いかめしい(厳しい)。ふくぶくしい(福福しい)。「分らしさ有り」の義。⸢ブンラーッ⸣サン[⸢bunraːs⸣saŋ](福福しい)ともいう。
ブンダーブンダー [bun⸢daːbundaː]福福しく。重々しく。
フンダイ [⸢ɸundai]わがまま(我儘)。身勝手。勝手放題。駄駄を{捏}{コ}ねること。「Fŏdai.ハゥダイ(放題)しつけが悪くて物事をするのに下品なこと、または、礼儀正しくないこと、Fŏdai xigocuna mono.(放題至極な者)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。「ほんたい」『混効験集』。
フンダイムニ [⸢ɸundaimuni]{駄駄}{ダ|ダ}を{捏}{コ}ねる物言い。甘えてすねる(拗ねる)こと。ねだること。甘えん坊の物言い。
ブンダカーン [⸢bundakaː⸣ŋ]位、身分が高い。重々しい。
フンタトゥン [⸢ɸuntatuŋ]自動足を地面に踏みしめて立つ。踏ん張って立つ。地面を蹴って立ち上がる。さっと立ち上がる。「Fumitate,tçuru,eta.フミタテ、ツル、テタ(踏みたて、つる、てた)足を踏んばって身を支える」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フンダミルン [⸢ɸundamiruŋ]他動つっぱる。足で強く踏みしめる。「踏み固める」の転訛したもの。
フンダヤー [⸢ɸundajaː]{我儘}{ワガ|ママ}もの。我儘な子供。{気儘}{キ|ママ}勝手な子。勝手放題な子。泣き虫。だだっこ(駄駄っ児)。甘えん坊。
フンチョーシ [⸢ɸunʧoː⸣ʃi]本調子。正調。三線の調弦法の一つ。三線楽譜の工工四に従った正規の奏法。
フンツァ [⸢ɸun⸣ʦa]床。板敷き。縁側。「踏み板」の義。「Fumiita.フミイタ(踏板){厩}{ウマヤ}の板敷きであって、その上に馬が居る所」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フンツァースン [⸢ɸunʦaːsuŋ]他動踏み散らす。散々に踏みつける。作物を踏み{潰}{ツブ}す。「Fumichiraxi,su,aita.フミチラシ、ス、イタ(踏み散らし、す、いた)足で踏んで散らばらせる」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フンツァケンツァ [⸢ɸunʦaken⸣ʦa]ひどい扱い。踏んだり蹴ったり。ABCDBC型の重言。
フンツァヌミー [⸢ɸunʦanu⸣miː]床下。「踏み板の穴」の義。若年層は、⸢フンツァ⸣メー[⸢ɸunʦa⸣meː](床下)とも言う。
フンツァメー [⸢ɸunʦa⸣meː]床下。若年層のことば。「床下の穴」の義。普通は、ユ⸢クンツァ⸣メー[ju⸢kunʦa⸣meː](床下。床下の穴)という。
ブン ッサーラ [⸣bun s⸢saːra]目下の人。身分が下の者。部下。⸣ブン ⸢ウイ[⸣buŋ ⸢ʔui](目上の人。身分が上の人。上司)の対義語表現。
フンティー [⸢ɸun⸣tiː]ほんて(本手)。本式。基本。伝統踊や棒術の正式の型。
フントー [⸢ɸun⸣toː]本当。真。真実。老年層は、⸢ソーフン⸣トー[⸢soːɸun⸣toː](真実。正本当)という。
フントースン [⸢ɸuntoːsuŋ]他動踏みしめる。踏み固める。踏み付ける。「踏み倒す」の義。「フン-」は意味を強める接頭語。
フントールン [⸢ɸuntoːruŋ]他動ぶったくる(打っ手繰る)。ふんだくる。強くたぐりよせる。「フン-」は意味を強める接頭語。
フンドゥ [⸢ɸun⸣du]ちきりじめ(滕締め)。⸣イダフニ[⸣ʔidaɸuni](サバニ。「板舟」)の板の接合部を引き締めるためにうめ(填め)込むもの。幅約3、5センチ、長さ約6センチ、厚さ約1、5センチのイヌマキ(犬槙)で作った{滕締}{チキリ|ジメ}。両端が広く、中がくびれて狭い。このフンドゥと竹釘だけで舟板の接合部分は強化され、分離しにくいようになっている。
フンドゥミ [⸢ɸundumi]釘付け。釘締め。「くぎどめ(釘止)」の義。
フンナーマ [ɸun⸢naː⸣ma]小さな釘。「小釘」の義。⸢⸢-ナー⸣マ[⸢-naː⸣ma]は指小辞の形態素-マ[-ma](小さいもの。小)の異形態。語尾が[n]で終わる語に続く時は[⸢-naː⸣ma]、語尾が二重母音構造の、前舌狭母音[i]で終わる語に続く時は⸢-ヤー⸣マ[⸢-jaː⸣ma](ミー⸢ヤー⸣マ{SqBr}miː⸢jaː⸣ma{/SqBr}<小さな目>)、ガイ⸢ヤー⸣マ[gai⸢jaː⸣ma](小匙)となり、語尾が二重母音構造の、後舌狭母音[u]で終わる語に続く時は⸢ワー⸣マ[⸢waː⸣ma](バウ⸢ワー⸣マ{SqBr}bau⸢waː⸣ma{/SqBr}<小さな棒>、サウ⸢ワー⸣マ{SqBr}sauwaːma{/SqBr}<小さな竿>)となる。語尾がCV構造の[i]で終わる時は、フ⸢ネー⸣マ[ɸu⸢neː⸣ma](小舟)、語尾がCV構造の[u]で終わる時は、パ⸢コー⸣マ[pḁ⸢koː⸣ma](小箱)、語尾がCV構造の[a]で終わる時は、シ⸢マー⸣マ[ʃi⸢maː⸣ma](小島)と形態変化を起こす。
フンナクン [⸢ɸunnakuŋ]他動{PoS_1}船を沈める。沈没させる。水中にぶち込む。
フンナクン [⸢ɸunnakuŋ]自動{PoS_2}舟が沈む。沈没する。
ブンナブンナ [⸢bun⸣nabunna]めいめい(銘銘)。各自。それぞれ。「居りな居りな」の義か。
フンニン [⸢ɸun⸣niŋ]本人。
フンバカウン [⸢ɸumbakauŋ]他動強引に奪い取る。強奪する。ぶん取る。ふんだくる。⸢フン-[⸢ɸum-]は強意の接頭語。
ブンパジリムヌ [⸣bumpaʤirimunu]恩知らず。「恩義の義理から外れた者」の義。
フンパルン [⸢ɸumparuŋ]自動踏ん張る。両足に力をこめて踏みこたえる。
フンパンツァスン [⸢ɸumpanʦasuŋ]他動踏み外す。
フンピグン [⸢ɸumpiguŋ]他動ひきへぐ(引き{剥}{ハ}ぐ)。ひっぺぐ(引っ剥ぐ)。包丁などで薄く{削}{ケズ}り取る。
フンビダーカスン [⸢ɸumbidaːkasuŋ]他動踏み潰す。ぺしゃんこにする。「踏んで平らにする」の義。⸢フン[⸢ɸuŋ-](強く<踏み>~)は強意の接頭語。
フンビチ [⸢ɸumbi⸣ʧi]分別。標準語からの借用語。普通は⸢ジン⸣ブン[⸢ʤim⸣buŋ](存分。考え。存念。思慮分別。「Zonnen.ゾンネン(存念)思うこと」『邦訳日葡辞書』)という。
ブンピトゥ [⸢bumpitu]大きなイルカ(海豚)。⸣アヤ[⸣ʔaja](紋。筋。縞模様)のあるイルカは舟に寄ってきて離れないことがある。
フンピルン [⸢ɸumpiruŋ]他動踏み{潰}{ツブ}す。
フンプー [⸢ɸum⸣puː]ほんぽ(本帆)。舟の中央の帆柱に張る大きな帆。
フンブン [⸢ɸum⸣buŋ]本職。本務。職分(ス⸢クブン{SqBr}su̥⸢kubuŋ{/SqBr})。その人の守るべき本来の分限。標準語からの借用語。
フンマギルン [⸢ɸummagiruŋ]他動ひん曲げる。力強く曲げる。「踏み曲げる」の転訛したもの。
フンマラクン [⸢ɸummarakuŋ]他動強くまろぐ(丸ぐ。円ぐ)。稲束30束をひとまとめにして強く縛る。丸くひっくくる。⸢フン-[⸢ɸuŋ-]は強意の接頭語。マ⸢ラクン[ma⸢rakuŋ]は、「Marome,uru.マロメ、ムル(丸め、むる)」『邦訳日葡辞書』、「是れを丸げて~」『宇治拾遺物語二』の転訛したもの。
ブンムチ [⸣bummuʧi]身分の高い人。重々しいひと。「分持ち」の義。
ブンラーッサン [⸢bunraːs⸣saŋ]重々しい。福福しい。沖縄首里方言の転訛したもの。⸢ブンダーッ⸣サン[⸢bundaːs⸣saŋ](重々しい。福福しい)に同じ。