鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
-ヌ [⸣-nu]助動否定、打消しの意を表す。用言の未然形に接続する。
-ヌ [⸣-nu]格助{PoS_1}主格を表す。
-ヌ [⸣-nu]格助{2}代名詞がはだかのままで主格を表す。
-ヌ [⸣-nu]格助{3}とりたての係助詞「は」が付いて、⸢-ノー[⸢-noː](~がは)となり、主格のとりたて限定表現となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{4}とりたての係助詞「も」がついて、⸢-ヌン[⸢-nuŋ](がも)となり、文末の肯定陳述と呼応して、主格の強調表現となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{5}副助詞⸣-サーギ[⸣-saːgi](~さえ)が付き限定表現を表す。
-ヌ [⸣-nu]格助{6}{Ref_4}の形にさらに副助詞⸢ツァン[⸢ʦaŋ](~すら)がついて限定強調の意味を表す。
-ヌ [⸣-nu]格助{PoS_2}⸣-ヌ[-nu](の)属格を表す連体助詞。
-ヌ [⸣-nu]格助{2}格助詞⸣-ラー[⸣-raː](~から)に付いて、⸣-ラヌ[⸣-ranu](~からの。空間的、時間的⸢離脱」の意味を表す)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{3}格助詞⸣-ナーティ[⸣-naːti](~に。~にて。場所格)に付いて、⸣-ナーティヌ[⸣-naːtinu](~での。場所格)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{4}格助詞⸣シ[⸣ʃi](~で。手段格)に付いて、⸣-シヌ[⸣-ʃinu](~での。手段格)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{5}引用の格助詞⸣ティ[⸣-ti](~と)に付いて、⸣ティヌ[⸣-tinu](~との。引用格。伝聞)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{6}副助詞⸣ブカラ[⸣bukara](~ぐらい)に付いて、程度を表す⸣ブカラヌ[⸣bukaranu](~ぐらいの。事物の大きさ、分量、程度を表す)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{7}副助詞カー⸢ニ[kaː⸢ni](~だけ)に付いて、カー⸢ニヌ[kaː⸢nunu](~だけの)となり、限定表現となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{8}副助詞⸢バー⸣キ[⸢baː⸣ki](~まで)に付いて、⸢バーキ⸣ヌ[⸢baːki⸣nu](~までの。動作作用の継続が時間的、空間的、状態的到達点を表す)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{9}副助詞⸣スク[⸣su̥ku](~ほど。程度)に付いて、ス⸢ク⸣ヌ[su̥⸢ku⸣nu](~ほどの。物事の程度、数量の度合)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{10}副助詞ア⸢タ⸣ル[ʔa⸢ta⸣ru](低い程度)に付いて、ア⸢タル⸣ヌ[ʔa⸢taru⸣nu](~程度の。<下の程度、分量>を表す)となる。
-ヌ [⸣-nu]格助{11}自称の代名詞⸣バー[⸣baː](私)、対称の代名詞⸢ワー[⸢waː](あなた)、不定称代名詞⸢ター[⸢taː](誰)がはだかのままで属格を表す。
-ヌ [⸣-nu]格助{PoS_3}⸣-ヌ[⸣-nu](~の)同格を表す。
-ヌ [⸣-nu]接助逆接。~が。~けれど。~だが。動詞の連体形に付いて逆接の条件節をつくる。
-ヌ [⸣-nu]接助~ので。~だから。形容詞の連用形に付き、原因、理由の感情を表す。
ヌー [⸣nuː]野。野原。
ヌー [⸣nuː]何。「なお(オモロ、組踊り、古謡)」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。疑問を表す。
ヌー [nu⸢ː]何?何だって?反問したり、問いかけたりする言葉。
ヌーアー [⸢nuː⸣ʔaː]搗いてない粟。未精米の粟。
ヌーカヤー クイカヤー [⸣nuːkajaː ⸢kui⸣kajaː]何だろうか。「何かな、かく<斯>にかな」の義。
ヌーキシキン [⸢nuː⸣ki̥ʃikiŋ]野良着。「野着衣」の義。パ⸢タキ⸣キン[pḁ⸢taki⸣kiŋ](畑着)、シ⸢グトゥキン[ʃi⸢gutukiŋ](仕事着)ともいう。
ヌーキン [⸢nuː⸣kiŋ]精白してないキビ(黍)。「のきび<野黍>」の義。
ヌークイ [⸣nuːkui]何だこれだ。あれだこれだ。何と何。何くれ。「何これ」の転訛したもの。
ヌーグトゥ [⸢nuːgutu]何事。どんなこと。
ヌーサラ [nuː⸢sara]しばしば。たびたび。なおさら(猶更)。
ヌーザラシ [⸢nuːʣara⸣ʃi]野原に放置して風雨に{晒}{サラ}すこと。「野晒し」の転訛したもの。
ヌーサン [nuː⸢saŋ]しばしば。たびたび。幾度と無く。なおさら。話し手の意に反したことをしている意を表す。怒りの意が内包されている語。ノー⸢サン[noː⸢saŋ](しばしば)ともいう。
ヌーシ [⸢nuː⸣ʃi]{1}いかに。どのように。どう。様子や方法を尋ねる。
ヌーシ [⸢nuː⸣ʃi]{2}相手の気持ちを確かめる。
ヌーシ [⸢nuː⸣ʃi]{3}感動詞。呼びかけとして用いる。
ヌージ [⸢nuː⸣ʣi]虹。雨上がりなどの空にかかる七色の円弧状の帯。「~夜左可の井堤に立つ努自能<ノジの>~。万、3414」の転訛したもの。⸣イツァフクビ[⸣ʔiʦaɸu̥kubi](板帯)ともいう。
ヌーシ オールワ [⸢nuː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣wa]{1}ご機嫌いかがでいらっしゃいますか。お元気ですか。「如何していらっしゃいますか」の義。
ヌーシ オールワ [⸢nuː⸣ʃi ⸢ʔoːru⸣wa]{2}日中に用いられると、こんにちは、夕方に用いられると、こんばんは、の挨拶言葉として用いられる
ヌーシカーシ [⸢nuː⸣ʃi̥kaːʃi]如何様に。どのように。⸢ヌー⸣シ[⸢nuː⸣ʃi](どんなに)の強調表現で、ABCDBC型の重言。
ヌーシキー [⸢nuː⸣ʃi̥kiː]何故に。どうして。どういう訳で。⸢ヌー⸣・シー・キー[⸢nuː⸣・ʃiː・kiː](何を・した・ので。)の縮約形。
ヌーシタ [⸣nuːʃita]連体{1}いかなる。何たる。多少卑下した表現で、⸢一体いかなる~」の意味を内包する。
ヌーシタ [⸣nuːʃita]連体{2}「どうして~か。何だとて~ないことがあるものか」(疑問反語)の意味を有する形。
ヌーシター [⸣nuːʃi̥taː]何故に~か。どうして~ものか。一体全体何故に~か。「何したから」の義。疑問反語。
ヌーシタ イカシタ [⸣nuːʃi̥ta ʔi⸢ka⸣ʃi̥ta]どうした、如何した。「どうした」を強調した畳語表現。形式名詞を伴って反語的に用いられる強調表現。
ヌーシタ ムン [⸣nuːʃi̥ta ⸣muŋ]如何したものか。一体如何したものか。
ヌーシ ブー [⸢nuː⸣ʃi ⸢buː]どうしている。何をしている。
ヌーシヤー [⸢nuː⸣ʃijaː]どうか。いかが(如何)か。
ヌーシル [⸢nuː⸣ʃiru]連体どんな。どのような。「何・しある」の転訛したもの。
ヌーシル [⸢nuː⸣ʃiru]どうして<ぞ>。何故に<ぞ>。「何をして」の義。一体どうして<ぞ>の強調表現。⸢ヌー⸣シル[⸢nuː⸣ʃi-ru](如何にして・ぞ)の縮約形。
ヌーシルン [⸢nuːʃiruŋ]他動載せる。乗せる。積む。
ヌースワ [⸢nuː⸣suwa]どうするか。どうしようか。
ヌースン [⸢nuːsuŋ]他動{1}乗せる。人や物を運搬するものの上に積む。
ヌースン [⸢nuːsuŋ]他動{2}載せる。紙面に掲載する。
ヌースン [⸢nuːsuŋ]他動{3}はめる。計略にかける。
ヌースンティ [nuː⸢sunti]何故。どうして<詰問>。「何するとて」の転訛したもの。重く尋問する雰囲気を漂わせる。更に縮約して、⸣ヌンティ[⸣nunti](何故。軽い質問)ともいう。
ヌーター [⸢nuː⸣taː]原野の中の田。「野田」の義。
ヌーダー クイダー [⸣nuːdaː ⸢kui⸣daː]なんだかんだ。何だ彼だ。なにやかや。
ヌーッシェール [nuːʃ⸢ʃeː⸣ru]連体どんな(奴)。いかなる(奴)。対象を悪しざまにいう、一種の卑語。「何・したる」の転訛したもの。
ヌーテー ナームティ [⸣nuːteː ⸢naː⸣muti]訳も無く。何故ということも無く。取り立てて理由も無く。
ヌーテー ナーン [⸣nuːteː ⸢naː⸣ŋ]片っ端から。何だからというわけもなく。何でも。「何とて無く」の義。⸣ヌーテー ⸢ナー⸣ヌ[⸣nuːteː ⸢naː⸣nu](片っ端から<何が何だからという理由もなく>)ともいう。
ヌーティ [⸣nuːti]何と。何とて。何たる。
ヌーティー [nuːti⸢ː]何だと?何だって?強く反問するときに用いる。
ヌーティ アズカー [⸣nuːti ʔa⸢ʣu⸣kaː]なぜなら。なぜかと言うと。何となれば。⸣ヌーティ ⸢スー⸣カー[⸣nuːti ⸢suː⸣kaː](なぜなら。何となれば)ともいう。
ヌーティ スーユー [⸣nuːti ⸢suː⸣juː]何というのか。不確実、不確定のものを言う際に用いる。
ヌーティヌーティー [nuːtinuːti⸢ː]なんだと?なんてなんてえ?ヌーティヌーティ⸢ー⸣ アイヤ⸢ナー⸣ト イッ⸢カ⸣ シ⸢ミランバン⸣ヨー[nuːtinuːti⸢ː⸣ ʔaija⸢naː⸣to ʔik⸢ka⸣ ʃi⸢mirambaɲ⸣joː](なんてなんてえ?、そんなになんぞは決してさせないからなあ)
ヌーティバ クイティバ [⸣nuːtiba ⸢kuitiba]何やかや。何の彼の。何とかかんとか。何とかこれとか。
ヌーディマリ [⸣nuːdimari]⸢何年生まれ」の義。
ヌーナー クイナー [⸣nuːnaː ⸢kui⸣naː]何か、これか。こんなか、あんなか。どんなか、あんなか。態度のはっきりしない相手を尋問する際に用いる語。
ヌー ナルワ [⸢nuː⸣ na⸢ru⸣wa]何になるものか<何にもなりはしない>。
ヌーヌ [⸢nuːnu]布。「布、沼能<ぬの>、織ニ麻及紵一為レ帛也」『和名抄』。
ヌーヌ [⸢nuː⸣nu]どうして~ものか。「何の~ものか」の義。文末に疑問の終助詞⸣ワ[wa](~か)を伴って反語をあらわす。
ヌーヌー [⸣nuːnuː]何々。⸣ヌー[⸣nuː](何)の重言。
ヌーヌウリ [⸢nuːnuʔuri]布織り。機織。
ヌーヌウリプス [⸢nuːnuʔuripusu]布織職人。「布織り人」の義。
ヌーヌサラシ [⸢nuːnusaraʃi]布晒し。
ヌーヌヌ ピダ [⸢nuːnunu⸣ pida]布のひだ(襞)。布の皺。
ヌーヌヌ ミン [⸢nuːnunu⸣ miŋ]布幅の両端。「布の耳」の義。
ヌーヌピカシ [⸢nuːnupi̥kaʃi]⸢グイ⸣フ[⸢gui⸣ɸu](御用布。貢納布)の貢納を済ませること。「布引かし」の義。
ヌーヌピカシヨイ [⸢nuːnupikaʃijoi]貢納布完納祝い。貢納布<御用布>の検査に合格して貢納を済ませると百姓の娘達は喜びのあまり歌い踊って祝ったという。
ヌーヌ ピダーマスン [⸢nuːnu⸣ pi⸢daːmasuŋ]布をきぬた<砧>で打って平らにする。
ヌーヌフクビ [⸢nuːnuɸu̥kubi]布の帯。田仕事や畑仕事などの場合は、⸣シナフクビ[⸣ʃinaɸu̥kubi](綱の帯)、バ⸢ラフ⸣タフクビ[ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥kubi](稲藁を結んで作った帯)をして作業をした。⸢カーフク⸣ビ[⸢kaːɸu̥ku⸣bi](革製の帯。ベルト)は新しく入ってきたもの。
ヌーヌマッふァ [⸢nuːnumaffa]布製の枕。「布枕」の義。布袋に籾殻を入れたり、小豆を入れたりして作った枕。ハイカラな枕として男女に好まれたが、一般の家庭では木枕が多用されていた。
ヌーヌヤー [⸢nuː⸣nujaː]何の事もない。何ほどのこともない。何のその。意外にも。
ヌーピー [⸢nuː⸣piː]野火。原野を焼く火。
ヌーピー [⸣nuːpiː]何の日。「干支の何れの日」の意。老年層は、⸣ヌーニー[⸣nuːniː](何の干支)という。
ヌーマイ [⸢nuː⸣mai]玄米。搗いてない米。「{能米}{ノウ|マイ}、黒米、玄米」の義『文明本節用集』の転訛。鎌倉時代の語。⸣ッサイマイ[⸣ssaimai](精米)の対義語。
ヌーミチ [⸢nuː⸣miʧi]野道。
ヌーヤ [⸣nuːja]何か。何であるか。何なのか。疑問代名詞⸣ヌー[nuː](何)に、常に疑問詞と呼応して用いられる疑問の終助詞⸣ヤ[ja](か)の付いたもの。
ヌーヤーカ ヌー [⸢nuː⸣jaːka ⸣nuː]何だから何だ。何なら何だ。これこれしかじか。
ヌーヤークイヤー [⸢nuː⸣jaːkuijaː]なにやかや(何や彼や)。あれやこれや。なんだのかんだの。
ヌーヤツォー [nuːja⸢ʦoː]何かってば。何だってば。
ヌー ヤラバン [⸣nuː ja⸢rabaŋ]何であっても。何でも。
ヌー ヤリバル [⸢nuː⸣ jaribaru]何様だから。「何だからぞ」の義。
ヌー ヤルユー [⸣nuː ja⸢ru⸣juː]何なのか。何であるのか。
ヌーユイ [⸣nuːjui]何故。何のため。
ヌーユンサー [⸢nuː⸣junsaː]なにゆえか。どうしてか。何なのか。「何故なのか」の義。
ヌーラスン [⸢nuːrasuŋ]他動乗せる。乗船させる(乗組員にする)。⸢ヌースン[⸢nuːsuŋ](乗せる)ともいう。
ヌーリウリ [⸢nuːri⸣ʔuri]上り下り。
ヌーリカイルン [⸢nuːrikairuŋ]自動乗り換える。
ヌーリククチ [⸢nuːriku̥kuʧi]乗り心地。標準語からの借用語の転訛したもの。
ヌーリザカ [⸢nuːriʣaka]上り坂。
ヌーリッツァースン [⸢nuːritʦaːsuŋ]他動塗りたくる。めちゃくちゃに塗る。塗り散らす。
ヌーリ パンツァスン [⸢nuːri panʦasuŋ]乗り損ねる。乗り遅れる。「Norifazzuxi,su,zzuita.ノリハヅシ,ス,イタ(乗り外し、す、いた)乗るはずであった船に乗りそこなう、~」『邦訳日葡辞書』の転訛。
ヌーリフチ [⸢nuːriɸu̥ʧi]上り口。山に入る入り口。
ヌーリフチ [⸢nuːriɸuʧi]登り方。
ヌーリミチ [⸢nuːrimiʧi]登り方。
ヌーリムヌ [⸢nuːrimunu]乗り物。船や車。交通機関。
ヌーリンーマ [⸢nuːriʔmːma]乗り馬。乗馬用の馬。鳩間島には馬はいなかったが、石垣島や西表島には荷馬車用の馬や乗馬用の馬が飼育されていた。
ヌール [⸢nuː⸣ru]のり(糊)。
ヌール [⸢nuː⸣ru]{漆}{ウルシ}。ペンキ。
ヌール [⸢nuː⸣ru](植)海藻。
ヌール カブン [⸢nuː⸣ru ⸣kabuŋ]顔にしみ(染み)が出る。
ヌール シーオールワ [⸢nuː⸣ru ⸢ʃiːoːru⸣wa]何をしておられますか。
ヌールシキ [⸢nuːru⸣ʃi̥ki]衣類にのり付けをすること。
ヌール シラリワ [⸢nuː⸣ru ʃi⸢rariwa]どうしようもない。どうにもならない。「何ができようか~出来ない」の義。
ヌール ヌーティ ナームティ [⸢nuː⸣ru ⸣nuːti ⸢naː⸣muti]何の理由もなく。訳も無く。「何が何だからとてもなく」の義。
ヌール フーン [⸢nuː⸣ru ⸣ɸuːŋ]苔むす。{海苔}{ノ|リ}が生える。汚れる。
ヌールフム [⸢nuː⸣ruɸumu]入道雲。積乱雲。ヌ⸢リクム[nu⸢rikumu](入道雲。黒雲)ともいう。
ヌールムヌ [⸢nuːru⸣munu]塗り物。漆を塗った器具類。重箱、膳、吸い物椀など。ヌ⸢リ⸣ムヌ[nu⸢ri⸣munu](塗りもの)ともいう。
ヌールン [⸢nuːruŋ]自動乗る。
ヌールン [⸢nuːruŋ]自動上がる。登る。
ヌールン [⸢nuːruŋ]他動塗る。塗布する。
ヌーン [⸣nuːŋ]他動抜き取る。抜く。抜ける。「脱・袒、ヌグ」『類聚名義抄』。「~直に逢ふまでは吾將脱八方<ヌガメヤモ>。万、747」の転訛。
ヌーン [⸣nuːŋ]他動縫う。「~晒さず縫之<ヌヒシ>吾が下衣。万、1315」。
ヌーン [⸣nuːŋ]他動{綯}{ナ}う。縄を綯う。古老は、⸣ナウン[⸣nauŋ](綯う)という。
ヌーンガナ [⸢nuːʔŋga⸣na](植)ノニガナ。「のにがな(野苦菜)」の義。野原や畑に自生している。苦味が強く、胃腸病に効くといわれ、昔から刺身や魚のお汁に入れて食されてきた。カツオの頭の重厚なだし汁にはノニガナの苦味が調和した。刺身には細かく刻んで刺身の妻として重用された。
ヌーンクイン [⸣nuːŋkuiŋ]何もかも。何事も。すべて。
ヌーンブカラ [⸢nuːm⸣bukara]いかほど(如何程)。どれほど。どのくらい。
ヌイ [⸣nui]何。何か。何かね。目上の者から目下の者に対する返事。
ヌイイトゥ [⸢nui⸣ʔitu]縫い糸。裁縫糸。
ヌイクムン [⸢nui⸣kumuŋ]他動縫い込む。縫い付ける。
ヌイフチ [⸢nui⸣ɸu̥ʧi]{1}縫い初め。縫い口。
ヌイフチ [⸢nui⸣ɸu̥ʧi]{2}縫い方。
ヌイミー [⸢nui⸣miː]縫い目。
ヌイミチ [⸢nui⸣miʧi]縫い方。
ヌイムヌ [⸢nui⸣munu]縫い物。裁縫。
ヌイルン [⸢nui⸣ruŋ]自動抜ける。「ぬげ<脱げ>る」の転訛したもの。
ヌカ [⸣nuka]ぬか(糠)。「糠、沼賀(ぬか)、米皮也」『和名抄』の転訛。
ヌカーシ [nu⸢kaː⸣ʃi]主婦たちが共同の夜業をする際、小金を出し合ってソーメンを買いや食を調理して食すること
ヌカースン [nu⸢kaː⸣suŋ]他動金を出し合う。金を募りあつめて一定の目的に使う。
ヌカアミ [⸣nukaʔami]糠雨。こぬかあめ。霧雨。
ヌカスン [nu⸢ka⸣suŋ]他動残す。
ヌカリムヌ [nu⸢kari⸣munu]残り物。
ヌガリン [nu⸢gariŋ]自動だまし取られる。出し抜かれる。ヌ⸢グン[nu⸢guŋ](だまし取る)の未然形に、受け身・可能の助動詞⸣リン[⸣riŋ](れる、られる)が下接した形。受け身動詞・可能動詞
ヌカル [nu⸢ka⸣ru]残り。
ヌカルン [nu⸢ka⸣ruŋ]自動残る。
ヌキ [nu⸢ki]ぬき(貫き)。柱と柱を横に貫いて連結し、構造体の柱を固める建材。厚さ約2センチ、巾約9センチ、長さ約一間半の板状の建材。{貫孔}{ヌキ|アナ}の両方からッ⸢サビ[s⸢sabi](楔)を打ち込んで柱の骨格を固める。ヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫木造りの家)のイ⸢ツァ⸣クビ[ʔi⸢ʦa⸣kubi](板壁)はヌ⸢キ[nu⸢ki](貫き)に直接に釘を打ち込んだ。
ヌキ [nu⸢ki]ぬき(緯)。織物の横糸。⸣カシ[⸣kaʃi](経糸)の対義語。
ヌキ [nu⸢ki]⸢ミー⸣ス[⸢miː⸣su](味噌)を作ったり、サ⸢キ[sḁ⸢ki](酒)を醸造したりする際に、補助材として用いる穀物。元になる材料を⸣カシ[⸣kaʃi]といい、補助材をヌ⸢キ[nu⸢ki]という。ただし味噌作りの際は、{麹}{コウジ}を⸣カシ[⸣kaʃi]といい、大豆やおこわの米飯をヌ⸢キ[nu⸢ki]という。
ヌギッふァイ [nu⸢giffai]人目を盗んで公金を横領すること。
ヌギパー [nu⸢gi⸣paː]死者の霊が落命した地に残らぬよう、祈願する行事。一種の成仏祈願。葬式後、日を選んで、寝室や最期の病室、事故死した所などで行う。「抜き方」の転訛したものか。
ヌギバイ [nu⸢gibai]逃走すること。逃げること。沖縄方言からの借用語か。
ヌキバナ [nu⸢kibana]{1}貫き花。花を糸で貫き並べたもの。女の子たちがレイ(花輪)のように花を貫いて首にかけて遊んだもの。
ヌキバナ [nu⸢kibana]{2}古典舞踊で用いる小道具の貫き花。その舞踊名。
ヌキムヌ [nu⸢ki⸣munu]{1}魔除けの護符。魔除け。「除け物」の義。ヤ⸢ダン⸣ブレ[ja⸢dam⸣bure](和名、フシデサソリガイ。サソリガイ)や⸣ギラ[⸣gira](しゃこ貝)は形態的に女性の性器に似ているということから、魔除けの力があるという。⸣フル[⸣ɸuru](豚便所)、⸣オンケー[⸣ʔoŋkeː](豚舎)に吊るしておいて魔除けとした。
ヌキムヌ [nu⸢ki⸣munu]{2}除け者。仲間はずれ。世間から相手にされない者。
ヌキヤー [nu⸢kijaː]角材の柱に孔を開け、貫材を貫木を貫き通して組み合わせ、ッ⸢サビ[s⸢sabi](楔)を打ち込んで骨格を固め、イ⸢シジ[ʔi⸢ʃʤiʤi](礎石)の上に建てる本格的建築の家。本建築。「貫き家」の義。ア⸢ナ⸣プリヤー[ʔa⸢na⸣purijaː](穴堀家。掘建て小屋)の対義語。⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿ぎ歌)はヌ⸢キヤー[nu⸢kijaː](貫き家)を建築したときに歌う「室寿ぎ歌」である。
ヌキル [nu⸢ki⸣ru]鋸。「鋸、ノコギリ」『類聚名義抄』の転訛したもの。
ヌキルン [nu⸢kiruŋ]他動ヌ⸢クン[nu⸢kuŋ](退ける。除ける。取り除く)のラ行四段化したもの。のける(除ける。退ける)。他の場所へ行かせる。取り除く。
ヌギルン [nu⸢giruŋ]自動ぬける。脱退する。逃げる。逃れる。
ヌキンジルン [nu⸢kiʔnʤi⸣ruŋ]自動抜け出る。ぬきんでる。他より優れる。ひいでる(秀でる)。
ヌキンズン [nu⸢kin⸣ʣuŋ]自動抜きん出る。他より優れる。秀でる。「抜き出づ」の転訛か。
ヌクッタマルン [nukuttamarun]自動温まる。⸢ヌフタマ⸣ルンとも言う。
ヌクミルン [nu⸢kumi⸣ruŋ]他動温める。体を温める。
ヌクムン [nu⸢ku⸣muŋ]自動ぬくむ(温む)。暖をとる。あたたまる。
ヌクン [nu⸢kuŋ]他動{1}貫く。貫き通す。
ヌクン [nu⸢kuŋ]他動{2}刺す。刺し通す。
ヌクン [nu⸢kuŋ]自動{1}退く。避けて離れる。除去する。
ヌクン [nu⸢kuŋ]自動{2}追い越す。
ヌグン [⸣nuguŋ]他動抜く。除去する。あく(灰汁)や渋を抜く。「抄、ヌク・ヌキヅ」『類聚名義抄』の転訛。
ヌグン [nu⸢guŋ]他動だます(騙す)。欺く。ごまかす(誤魔化す)。「抜く」の義。「抜かれはせまいぞ」『虎明本狂言・鏡男』の転訛か。
ヌザキ [nu⸢ʣa⸣ki](植)雑草の名。ハイキビ、『石垣方言辞典』という。根の切れ端からでも生えだすほどの生命力の強い雑草。主に砂地などに生えている。最も嫌われている雑草の一種。
ヌザキダー [nu⸢ʣaki⸣daː](地)西表島船浦の北部、ピ⸢ナイサキ[pi⸢naisaki](鬚川崎)を西へ約200メートル回った原野の中に開けた水田地帯。ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](吉川家)、ウ⸢チ⸣ネー[ʔu⸢ʧi⸣neː](仲伊部家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)等の水田があった
ヌシ [⸣nuʃi]主。持ち主。土地や家、荷物などの所有者。
ヌシキルン [⸢nuʃi̥kiruŋ]他動{1}のしかける({伸}{ノ}し掛ける。挑みかかる)。顔を突き出して挑みかかるように覗く。
ヌシキルン [⸢nuʃi̥kiruŋ]他動{2}仕掛ける。挑む。喧嘩を吹っかける。かさにかかる。
ヌシトゥル [⸢nuʃi̥⸣turu]盗人。ぬすっと。泥棒。
ヌシトゥル [⸢nuʃi̥⸣turu]竹床を編む際に根太に固定する竹竿。「乗せ取り」の義か。タ⸢キフンツァ[tḁ⸢kiɸunʦaː](竹床)や屋根のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)を{締縄}{シメ|ナワ}で絞めて固定するために根太や垂木に渡して縛る竹の棒。
ヌシトゥルン [⸢nuʃi̥⸣turuŋ]他動盗む。
ヌシトゥン [⸢nuʃi̥⸣tuŋ]他動尻をぬぐう(拭う)。拭き取る。
ヌスクン [⸢nusu̥kuŋ]他動覗く(顔を突き出して覗き見る)。
ヌスクン [⸢nusu̥kuŋ]他動仕掛ける。喧嘩を挑む。ぶつかっていく。
ヌスビラ [nu⸢su⸣bira](植)ノビル。ニラに似て食用に供する野草。「のびる(野蒜)」の訛語か。ネギに似た臭気があり、魚の臭みや肉の臭みを消して甘味を出す食材として重宝される。
ヌスマリルン [nu⸢sumari⸣ruŋ]他動盗まれる。
ヌスマリン [nu⸢suma⸣riŋ]他動盗まれる。ヌ⸢ス⸣ムン[nu⸢su⸣muŋ](盗む)の未然形に、受け身、可能の助動詞リン[riŋ](れる、られる)が下接して形成された受け身・可能動詞。
ヌズミ [nu⸢ʣumi]望み。希望。
ヌズミプス [nu⸢ʣumipusu]望む人。求婚者。
ヌスムン [nu⸢su⸣muŋ]他動盗む。
ヌズムン [nu⸢ʣumuŋ]他動所望する。切望する。欲する。期待する。「望む」の転訛。⸢~御後見望み給ふ人人は~」『源氏物語<若紫上>』。
ヌチ [⸣nuʧi]命。生命。
ヌチェー アン [⸣nuʧeː ⸣ʔaŋ]生きている。「命がある」の義。
ヌチ カウン [⸣nuʧi ⸢kauŋ]命が助かる。「命を買う」の義。
ヌチカギリ [⸣nuʧikagiri]死力を尽くして。全力を奮って。一生懸命。「命の限り」の義。⸣カギリ[⸣kagiri]は「時間的限界点」の意を表す。
ヌチガフー [nu⸢ʧiga⸣ɸuː]天寿。生命の運の強いこと。「命果報」の転訛。
ヌチキシムヌ [nu⸢ʧiki̥ʃi⸣munu]死者。死んだもの。「命切れ者」の義。
ヌチ キシルン [⸣nuʧi ki̥⸢ʃi⸣ruŋ]死ぬ。絶命する。こときれる(事切れる)。「命切れる」の義。
ヌチ キスン [⸣nuʧi ⸣ki̥suŋ]死ぬ。絶命する。「命切れる」の義。⸣ヌチ[⸣nuʧi](命)に⸣キスン[⸣ki̥suŋ](切る)がついた形。
ヌチキリバイ [nu⸢ʧikiri⸣bai]命がけの走り。死に物狂いで懸命に走ること。疾走。沖縄本島方言からの借用語であろう。
ヌチグスイ [nu⸢ʧigusu⸣i]{1}妙薬。不思議なほどの効能がある薬。長寿延命の妙薬。「命薬」の義。沖縄本島方言からの借用語か。
ヌチグスイ [nu⸢ʧigusu⸣i]{2}滋養分の多い美味しいもの。
ヌチシティワザ [nu⸢ʧiʃi̥ti⸣waʣa]命を失う危険な仕事。「命捨て業」の義。
ヌチズー [⸣nuʧiʣuː]{1}一生涯。終生。
ヌチズー [⸣nuʧiʣuː]{2}(副)命の限り。一生。
ヌチズーワン [nu⸢ʧiʣuː⸣waŋ]生命力が強い。長生きする。「命強い」の義。
ヌチドゥクル [nu⸢ʧiduku⸣ru]急所。ウ⸢トゥ⸣シ[ʔu⸢tu⸣ʃi](みぞおち<鳩尾>)など。体の中で、そこを害すると生命にかかわる大事なところ。
ヌチドゥ タカラ [nu⸢ʧi⸣du tḁ⸢ka⸣ra]命こそ宝。命は何ものにも代えがたい宝である。
ヌチヌ ウヤ [nu⸢ʧi⸣nu ⸣ʔuja]命の恩人。命を危機から救ってくれた人。「命の親」の義。危険な状況から命を救ってもらった時に用いる。
ヌチパティムヌ [nu⸢ʧipati⸣munu]命知らず。向こう見ず。乱暴者。「命果て者」の義。
ヌチフキ [nu⸢ʧi⸣ɸu̥ki]死に物狂いに。必死に。一生懸命に。「命ふけるほど」の義。
ヌチ フクン [nu⸢ʧi⸣ ɸu̥kuŋ]死にそうな状態になる。死に追い込まれるほど。「命ふける<命抜ける>」の義。⸣ヌチ[⸣nuʧi](命)にフ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](ふける。抜け落ちる)のついた合成語。
ヌチミー [nu⸢ʧi⸣miː]命。生命と身体。身命。「{命}{ヌチ}・{身}{ミ}」の義。
ヌチ ムーン [⸣nuʧi ⸣muːŋ]蘇生する。生き返る。{蘇}{ヨミガエ}る。「命・萌ゆ<下二段活用>」の四段活用化したもの。
ヌチムイムヌ [nu⸢ʧimui⸣munu]生き物。「命を持っているもの<命萌えるもの>」の義。
ヌチ ムイルン [⸣nuʧi ⸢mui⸣ruŋ]蘇生する。生き返る。「命萌える」の義。
ヌチモーシフチル [nu⸢ʧimoːʃiɸu̥ʧi⸣ru]気付け薬。蘇生させる薬。酒類。「命萌やす薬」の義。気絶したり、意識不明になったりした時に酒を口に含んで気絶した人の顔面に強く吹きかけて蘇生させた。
ヌチ モースン [⸣nuʧi ⸢moː⸣suŋ]命を蘇らせる。生き返らせる。長生きさせる。
ヌチ ヨーン [⸣nuʧi ⸢joː⸣ŋ]短命である。薄命である。「命が弱い」の義。
ヌチンガキ [nu⸢ʧiŋga⸣ki]命懸け。命に懸けること。
ヌッサン [⸢nus⸣saŋ]暖かい。温い。老年層は⸢ヌッ⸣ふァン[⸢nuf⸣faŋ](温い)という。「Nucui.ヌクイ(温い) 暖かな(こと)、または、暖かである(こと).」『邦訳日葡辞書』の語幹nukuに接尾語saが付き、更に?aŋ<有り>が付いて形成された形容詞。語幹末尾子音のkが続くu母音の無声化により摩擦音化してΦとなり、続くsに融合同化したもの。
ヌッツァースン [⸢nutʦaːsuŋ]他動塗りたくる。⸢ヌーリッツァースン[⸢nuːritʦaːsuŋ](塗りたくる)ともいう。
ヌッツァール ムヌ [nut⸢ʦaː⸣ru ⸣munu]如何なるもの。「何たるもの」の転訛。相手を卑しめて言う場合に用いる。
ヌッツァラカッツァラ [⸢nut⸣ʦarakatʦara]なんだかだ(何だ彼だ)。なんやかんや。「なにたらかにたら」の転訛。卑しめた言い方。
ヌッふァン [⸢nuf⸣faŋ]温い。温かい。老年層のことば。若年層は、⸢ヌッ⸣サン[⸢nus⸣saŋ](温い)という。
ヌッふィルン [⸢nuffiruŋ]他動差し入れて水に浸ける。水に浸す。
ヌッふン [⸢nuffuŋ]他動水に突っ込む。水に浸す。
ヌッふン [⸢nuffuŋ]他動差し入れて水に浸ける。中に入れて濡らす。
ヌドゥ [⸣nudu]のど(喉)。
ヌドゥカーキ [nu⸢dukaː⸣ki]喉が渇くこと。「喉乾き」の義。「燥、保須<ほす>又、可和久<かわく>」『新撰字鏡』の転訛したもの。ミ⸢ジカーキ[mi⸢ʤikaaːki](喉が渇く<水渇き>)ともいう。
ヌドゥクンツァー [nu⸢dukun⸣ʦaː]喉を詰まらせて、むせかえる<{噎}{ム}せ返る>こと。むせぶ<咽ぶ>こと。激しく咳き込むこと。
ヌドゥヌ シターマ [nu⸢du⸣nu ʃi̥⸢taː⸣ma]のどびこ(喉彦)。口蓋垂。「喉の小舌」の義。
ヌドゥ バルン [⸣nudu ba⸢ruŋ]{1}大声を出して稽古をする。「喉を割る」の義。
ヌドゥ バルン [⸣nudu ba⸢ruŋ]{2}喉が裂ける。
ヌドゥプトゥキ [nu⸢duputu⸣ki]のどぼとけ(喉仏)。喉頭隆起。
ヌドゥマキ [nu⸢du⸣maki]ジフテリア。のど(喉)の病気。「ジフテリア(diphtheria)ジフテリア菌による飛沫感染で小児に多かった伝染病。{1}中国の"馬鼻風"の訛と思われる。
ヌドゥマキ [nu⸢du⸣maki]{2}咽頭に義膜が生じ、これで喉を巻くことから生じた言葉と思われる」『医学沖縄語辞典』。呼吸困難をきたして死にいたる小児の病気。ピ⸢ル[pi⸢ru](大蒜)を{擂}{ス}り{潰}{ツブ}して、その絞り汁を二、三滴飲ませたり、絞り粕を喉の周囲に擦りつけてタオルで巻いておくとよいといわれていた。
ヌバスン [nu⸢ba⸣suŋ]他動{1}伸ばす。
ヌバスン [nu⸢ba⸣suŋ]他動{2}延ばす。延期する。
ヌバルブザマテー [nu⸢ba⸣rubuʣamateː]屋号。寄合徹氏宅。
ヌバン [nubaŋ](植)草の名。カワラニンジン。カワラヨモギ。
ヌビ [⸣nubi]首。⸣ヌドゥ[⸣nudu](喉)とフ⸢ビ[ɸu⸢bi](首。頚部)の混交により、上接語の[du]と下接語の[ɸu]が脱落して形成されたもの。
ヌビ [⸣nubi]あくび(欠伸)。
ヌビ [⸣nubi]両手を伸ばして後ろに反り返ること。背伸びすること。深呼吸をすること。
ヌビーカーミー [⸣nubiːkaːmiː]伸び縮み。
ヌビカーミ [⸣nubikaːmi]伸縮。伸び縮み。
ヌビ ガキルン [⸣nubi ga⸢ki⸣ruŋ]首を吊る。首を引っ掛ける。
ヌビ ガクン [⸣nubi ⸣gakuŋ]首を吊る<引っ掛ける>。
ヌビカジ [nu⸢bi⸣kaʤi]うなじ(項、頸後也、宇奈自<うなじ>『新撰字鏡』)。首すじ。くび(頸)のうしろ側。
ヌビカジヌ コールンケン [nu⸢bikaʤi⸣nu ⸢koː⸣ruŋkeŋ]{項}{ウナジ}が凝るほど。待ち焦がれるさま。
ヌビシジ [nu⸢bi⸣ʃiʤi]くびすじ(首筋)。えりくび。首の後部。
ヌビソッコー [nu⸢bisok⸣koː]延べ焼香。法事を延期すること。
ヌビチジミ [⸣nubiʧiʤimi]伸び縮み。
ヌビッタールン [nu⸢bittaː⸣ruŋ]自動長々と横たわる。長く腹ばう。
ヌビヌビ [nu⸢bi⸣nubi]延び延び。延ばし延ばし。延期するさま。
ヌビパダ [nu⸢bi⸣pada]成長期。伸び盛り。思春期。
ヌビルン [nu⸢bi⸣ruŋ]自動伸びる。延びる。延期する。
ヌビルン [nu⸢bi⸣ruŋ]自動堪忍する。我慢する。
ヌビン ピキン ナラヌ [⸣nubim ⸣pi̥kin na⸢ra⸣nu]{1}身動きできない。
ヌビン ピキン ナラヌ [⸣nubim ⸣pi̥kin na⸢ra⸣nu]{2}堪忍ならない。即座にしなければならない。我慢することも抑えることも出来ない。「伸ばしも引きもできない」の義。⸣タティン ⸣ビリン ナ⸢ラ⸣ヌ[⸣tḁtim ⸣birin na⸢ra⸣nu](身動き出来ない。⸢立つことも坐ることも出来ない」の義)と同じ表現。
ヌブシ [nu⸢buʃi]のぼせ(逆上せ)。上気。血が頭に上って顔がほてること。
ヌブシフチル [nu⸢buʃiɸu̥ʧiru]のぼせの薬。のぼせに効く薬。
ヌブシミー [nu⸢buʃimiː]充血した目。「のぼせめ<逆上目>」の義。
ヌブシムヌ [nu⸢buʃimunu]のぼせもの({SqBr}g{/SqBr}{逆上}{ノボセ}もの)。飲食すると逆上せる食品。鶏肉、落花生など滋養分の多い食品。
ヌブシヤン [nu⸢buʃijaŋ]逆上せる病気。血が頭へのぼる病気。
ヌブスン [nu⸢busuŋ]自動上気する。のぼせる(逆上せる)。頭に血がのぼる。
ヌフタマルン [⸢nuɸu̥tama⸣ruŋ]自動暖まる。首里方言のnukutamajuN(暖まる。暖をとる)の転訛したもの。
ヌフタミルン [⸢nuɸu̥tami⸣ruŋ]他動温める。暖める。首里方言のnukutamijuN(暖める。体を温める)の転訛したもの。
ヌブリクドゥキ [nu⸢burikuduki]歌謡、舞踊の名称。「上り口説」。那覇を出て薩摩に至るまでの叙景歌謡。石垣方言からの借用語。ヌ⸢ブリクドゥキヌ⸣
ヌブルン [nu⸢buruŋ]他動登る。上る。歌謡語。石垣方言からの借用語か。普通は⸢ヌールン[⸢nuːruŋ](登る。上る)という。/パトゥマナカムリ パリヌブリ クバヌ シタニ パリヌブリ ハイヤヨーティバ カイダキ ティトゥユル テンヨー マサティ ミグトゥ/(鳩間中岡駆け上り、蒲葵の下に駆け上り、南の方を眺めると美しい古見の山々が手に取るようで、誠に見事な眺望である)鳩間中岡。『鳩間島古典民謡古謡集』
ヌブン [⸣nubuŋ]自動伸びる。「伸び<上二段>」の四段活用化したもの。
ヌブン [⸣nubuŋ]自動堪忍する。堪える。
ヌベーカベー [⸣nubeːkabeː]延ばし延ばし。ABCDBC型の重言。繰り返し引き延ばすこと。延期することの強調表現。
ヌベーリッツァーン [nu⸢beːrit⸣ʦaːŋ]すべっこい(滑っこい)。ぬるぬるして滑っこい。
ヌベールン [nu⸢beː⸣ruŋ]他動なめる(嘗)。ねぶる。舌で嘗め回す。食べ物や食器を嘗める<下品な行為>。
ヌミ ウタスン [⸣numi ʔu⸢ta⸣suŋ]飲み込む。喉にかかった魚の小骨などを、白湯を入れた茶碗に箸で十文字を作って乗せ、その箸の間から白湯を飲んで落とすこと。
ヌミ ウラスン [⸣numi ʔu⸢ra⸣suŋ]飲みおろす。呑み込む。
ヌミキスン [nu⸢mi⸣ki̥suŋ]他動飲みきる。飲みつくす。
ヌミグル [nu⸢mi⸣guru]飲み残し。液体の沈殿物。
ヌミスクライ [nu⸢misu̥ku⸣rai]飲み下ろす口の動きを装うこと。生唾を飲み込むようにすること。「飲みつくろい」の義。フ⸢チックナー[ɸu̥⸢ʧikkunaː](飲食するように口を動かすこと)ともいう。
ヌミックムン [nu⸢mik⸣kumuŋ]他動{1}飲み込む。{嚥下}{エン|ゲ}する。
ヌミックムン [nu⸢mik⸣kumuŋ]他動{2}見下す。見くびる。
ヌミックル [nu⸢mik⸣kuru]飲み残り。飲み残したもの。
ヌミッタル ッふァイッタル [nu⸢mittaru⸣ f⸢fait⸣taru]飲んだり食ったり。
ヌミドゥシ [nu⸢mi⸣duʃi]飲み友達。
ヌミヌカスン [nu⸢minuka⸣suŋ]他動飲み残す。
ヌミヌカル [nu⸢minuka⸣ru]飲み残り。飲み残し。
ヌミフチル [nu⸢miɸu̥ʧi⸣ru]飲み薬。ヌ⸢ミフシ⸣ル[nu⸢miɸu̥ʃi⸣ru](飲み薬)ともいう。シ⸢キフチ⸣ル[ʃi̥⸢kiɸu̥ʧi⸣ru](付け薬。塗り薬)の対義語。
ヌミミジ [nu⸢mi⸣miʤi]飲み水。飲料水。
ヌミムヌ [nu⸢mi⸣munu]飲み物。水、茶、酒など。
ヌムン [⸣numuŋ]他動飲む。「~乃牟美豆尓<ノムミズニ>~。万、4322」の転訛。
-ヌメー [⸢-nu⸣meː]接尾~たち(達)。~ども(共)。~ら(等)。複数を表す。ぞんざいに話すと、⸢-ンメー[⸢-mmeː](~たち。~ども。~ら)という。目下の者や卑下すべき対象、卑語などにつく。
-ヌヤー [⸣-nujaː]並立並立助詞。~やら。~だの。~や。名詞類に付いて同類のものを並べたてて表す。
ヌリカブン [nu⸢rikabuŋ]自動{1}ことばで激しく襲いかかる。反撃する。
ヌリカブン [nu⸢rikabuŋ]自動{2}かぶりつく。喰らいつく。
ヌリクム [nu⸢rikumu]入道雲。積乱雲。歌謡で用いられる語。
ヌリバン [nu⸢ri⸣baŋ]黒板。「塗り板」の義。明治29年6月、鳩間島に大川尋常小学校の鳩間分校が設置された。ヌ⸢リ⸣バン[nu⸢ri⸣baŋ](黒板)はそれ以後に借用された語であろう。
ヌルーヌルーシ [nu⸢ruːnuruː⸣ʃi]ぬるく(温く)。生暖かく。
ヌルマスン [nu⸢ruma⸣suŋ]他動ぬるめる。ぬるくする。
ヌルミルン [nu⸢rumi⸣ruŋ]他動ぬるめる(温める)。
ヌルムン [nu⸢ru⸣muŋ]自動ぬるむ。{微温}{ヌ|ル}くなる。⸣サムン[⸣samuŋ]({冷}{サ}める)ともいう。
ヌルントゥルンシ [⸣nurunturuŋʃi]のろりとろりと。のろのろと。だらだらと。ぼんやりして。
ヌローン [nu⸢roː⸣ŋ]ぬるい(温い)。
ヌン [⸣nuŋ]のみ(鑿)。木材や石材に穴をうがつのに用いる工具。「鑿、乃未<のみ>」『日本霊異記 上』の転訛。
ヌン [⸣nuŋ](動)ノミ(蚤)。「蚤、乃美<のみ>」『新撰字鏡』の転訛。
ヌン [⸢nuŋ]係助~も。係助詞ン[ŋ](も)が撥音Nで終わる語に付くと、連声ををおこして、ヌン[nuŋ](も)となる。どれか一つに限定せず、同種のものを並列列挙する際に用いる助詞。
ヌンガーラスン [⸢nuŋgaːra⸣suŋ]他動許す。免れさせる。「逃れさす」の転訛。「~老いは、え逃れぬわざなり」『源氏物語<若菜下>』とも関係する語か。
ヌンガーリムニ [⸢nuŋgaːri⸣muni]逃げ口上。{言訳}{イイ|ワケ}。弁解。
ヌンガーリン [⸢nuŋgaː⸣riŋ]自動許される。赦免される。負担や義務を免除される。
ヌンガールン [⸢nuŋgaː⸣ruŋ]自動免れる。許される。
ヌングンジマ [⸢nuŋgunʤima]山や川、水田などのない島。隆起珊瑚礁からなる島。⸢ヌーグニジマ[⸢nuːguniʤima](野国島)の転化した語。対義語は⸢タングンジマ[⸢taŋgunʤima](山や川、水田のある大きな島)。
ヌンツァー [⸢nun⸣ʦaː]唾や水を誤飲して激しく咳き込むこと。
ヌンツァースン [⸢nunʦaː⸣suŋ]他動なまつば<生唾>を飲む。
ヌンティ [⸣nunti]なぜ(何故)。どうして。原因・理由について不審、不満、疑問、詰問の意を表し、終助詞ワ[wa](か)と係り結ぶ。ヌー⸢スンティ[nuː⸢sunti](なぜ。どうして)ともいう。「~何とて我が身消え残りけむ」『源氏物語 橋姫』、「Nanitote.ナニトテ(何とて)なぜ、あるいは、どうして」『邦訳日葡辞書』の転訛。
ヌンティユー [nuntijuː]何故なのか。どういう訳か。
ヌンティル [⸣nuntiru]どういう訳で<ぞ>。何故に<ぞ>。「何とて・ぞ」の転訛。