鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
モー [⸣moː]~のは。準体助詞⸣-ム[⸣-mu](~の。~もの)に取立ての係助詞⸣-ヤ[⸣-ja](は)が付いて融合変化したもの。
モー [⸣moː](植)海草の一種。藻。
モーキ [⸢moː⸣ki]儲け。利益。「Movqe マゥケ(儲け) 利得」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
モーキザク [⸢moːkiʣa⸣ku]金儲けの仕事。職業。「儲け仕事」の義。⸢モーキズ⸣ク[⸢moːkiʣu⸣ku](儲け仕事)ともいう。
モーキルン [⸢moːki⸣ruŋ]他動儲ける。⸢モー⸣クン[⸢moː⸣kuŋ](儲ける)ともいう。「Movqe,uru,eta.マゥケ、クル、ケタ(儲け、くる、けた)利益を得る、または、取得する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
モークン [⸢moː⸣kuŋ]他動儲ける。
モーサ [⸢moː⸣sa](人)女性の名前。モウシ。モーシャー、ムヲシヤ、と表記されることが多い。「真ウシ」の転訛したもの。石垣の士族の血を受け継ぐ子供に多く命名された。
モーサンマー [⸢moː⸣sammaː]人名。名称。呼称。モーサ姉さん。
モーシェー [⸢moːʃeː](人)女性の名前。同輩、目下に対する呼び名。
モーシェンマー [⸢moː⸣ʃemmaː](人)モウシ姉さん(尊敬)。名称、呼称にも用いる。
モーシムヌ [⸢moːʃimunu]薪。燃料。燃やすもの。タ⸢ム⸣ヌ[ta⸢mu⸣nu](薪。雑木の生木を切り、斧で割って乾燥したもの)、⸢ユシ⸣キキー[⸢juʃi̥⸣kikiː](枯れたススキ)、ウ⸢ジ⸣ル[ʔu⸢ʤi⸣ru](枯れた雑木の小枝)、フ⸢ク⸣ジ[ɸu̥⸢ku⸣ʤi](枯れ葉や塵類)など。
モースン [⸢moːsuŋ]他動燃やす。もす。「~心は母要奴<モエヌ>~。万、3962」の他動詞化したもの。
モースン [⸢moː⸣suŋ]他動生やす。
モーヤー [moː⸣jaː]手踊り。舞踊の小道具を用いないで、歩きながら両手をこねり、上体をなよりして<くねらして>踊る早踊り。沖縄本島から伝わったもの。[maɸi・jaː] → [mawi・jaː] → [moːjaː] と音韻変化したもので、「この御酒(みき)を醸(かみ)けむ人は舞ひつつ~」(旋回しつつ~)「記紀歌謡四十」の転訛したものか。沖縄本島の「⸢モーヤー」[⸢moːjaː]舞踊は「旋回する」ことが中心で、鳩間島の舞踊は、ブドゥル[bu⸢duru](跳躍する動作)から発達したものか。「~立乎杼利<タチヲドリ>足すり叫び~。万、904」参照。
モーヤンマー [⸢moː⸣jammaː]人名。モーヤ姉さん。