鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
[ʔu]語素中称の指示語を作る。近称の意にも用いられる。
[ʔu]接頭お(御)。体言に上接して尊敬の意を表す。沖縄本島方言に比して限られた語に付いて用いられる。
ウー [⸣ʔuː]う(卯)。十二支の第四番目。
ウー [⸣ʔuː]長さの単位。親指と人差し指を伸ばした長さ。五節(中指の第一関節と第二関節の長さの五倍)。約五寸。若い人は⸢ゴッスン[⸢gossuŋ](五寸)という人が多い。
ウー [⸢ʔu⸣ː]長上に対する応諾の「はい」の意。島の外から来る村長や校長、教師、医師、警官に対して最高の敬意を表す。島の長老、目上の人、両親に対しては、⸢オ⸣ー[⸢ʔo⸣ː](はい)と答える。話者と同等以下に対しては、⸢ン⸣ー[ʔŋː](うん)という。
ウー [⸢ʔuː]接頭おお。「おほ(大)」の義。「大きな」の意味を表す。ウ⸢ブ[ʔu⸢bu](大)の転訛したもの。
ウーアミ [⸢ʔuːʔami]大雨。
ウーカー [⸢ʔuː⸣kaː](地)石垣市字大川。
ウーガーラ [⸢ʔuːgaː⸣ra]雄瓦。敷き詰めた⸢ミーガー⸣ラ[⸢miːgaː⸣ra](雌瓦)二枚の接続部に粘土を盛り、その上に覆い被せて連結する瓦。内径約11センチ、長さ約25センチの半円筒状の瓦。片方の先端部に接ぎ手を作ってある。
ウーカジ [⸢ʔuːkaʤi]大風。台風。暴風。
ウーカスン [⸢ʔuːka⸣suŋ]他動動かす。動くようにする。ものの位置や人の配置を変える。「~吾がやどの簾動之<すだれウゴカシ>~。万、488」の転訛したもの。
ウーカタ [⸢ʔuːkata]{PoS_1}大方。大部分。あらまし。大概。老年層の言葉。
ウーカタ [⸢ʔuːkata]{PoS_2}ほとんど。きっと。多分。
ウーキ [⸢ʔuː⸣ki]桶。「桶、乎計<をけ>、汲水於井之器也」『和名抄』の転訛したもの。桶の総称。他に、⸢クーピキウー⸣キ[⸢kuːpikiuː⸣ki](餅を作る際に糯米を挽く桶<粉挽き桶>)、ミ⸢ジウー⸣キ[mi⸢ʤiuː⸣ki](水を運ぶ桶。水桶、水担桶)、タ⸢マウー⸣キ[ta⸢maʔuː⸣ki](玉桶。桶の底にガラスを嵌めた、水中眼鏡用の桶)等がある。桶の帯<輪>には、竹製の帯<輪>と針金製の帯<輪>があった。
ウーキカーキ [⸢ʔuː⸣kikaːki]動き回ること。立ち回ること。働くこと。ABCDBC型の重言。
ウーキグリサン [⸢ʔuːkiguri⸣saŋ]動きづらい。動きにくい。動作動詞⸢ウー⸣クン[⸢ʔuː⸣kuŋ](動く)の連用形に形容詞グリサン[gu⸢ri⸣saŋ](苦しい)が付いて形成された派生形容詞。
ウーグチ [⸢ʔuːgu⸣ʧi](海底地名)大津口(「大口」の義)。石垣、鳩間、白浜の定期船が出入りする干瀬の津口。島の西南西、⸢クー⸣シビーの南側に位置する。⸢ウーグ⸣チの北側にク⸢チ⸣グヮー[ku̥⸢ʧi⸣gwaː](小津口)がある。また、⸢ウーグ⸣チの南側には、⸢ミーグチ⸣グヮー[⸢miːguʧi⸣gwaː](新小津口)がある。指小辞⸢~グヮー[~gwaː](小)」の付く海底地名は糸満方言からの借用語であろう。従って、指小辞「~グヮー」の付く地名は、無名の糸満漁師たちによる命名に基づくものと考えられる
ウーグトゥ [⸢ʔuːgutu]大事件。大きな事柄。一大事。
ウークン [⸢ʔuː⸣kuŋ]自動{1}動く。位置や状態を変える。「Vgoqi,qu,ita.ウゴキ、ク、イタ(動き、く、いた)揺れ動く、あるいは、動く」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ウークン [⸢ʔuː⸣kuŋ]自動{2}働く。⸢ムー⸣クン[⸢muː⸣kuŋ](働く)という人<花城イカ氏>もいる。
ウーケーマ [ʔuː⸢keː⸣ma]小さな桶。⸢ウー⸣キ[⸢ʔuː⸣ki](桶)に指小辞の⸢ヤー⸣マ[⸢jaː⸣ma](小さな物)が付いて、[⸢ʔuː⸣ki+jaːma] → [ʔuː⸢kjaː⸣ma] → [ʔuː⸢keː⸣ma] のように音韻変化して形成された語。
ウーサ [⸢ʔuː⸣sa]多いこと。「多さ」の義。文語調。日常会話では⸢ゴー⸣ラー[⸢goː⸣raː](多いこと)ということが多い。
ウーザラ [⸢ʔuː⸣ʣara]大皿。直径約20センチほどの皿。⸢チュー⸣ザラ[⸢ʧuː⸣ʣara](中皿)、⸢クー⸣ザラ[⸢kuː⸣ʣara](小皿)の対義語。祝儀や法事の際に、大皿には餅や煮魚類、紅白のかまぼこ、紅白の茹蛸。魚芯てんぷら、芋芯てんぷら、揚げ豆腐、昆布巻、大根や里芋の煮付け類を盛り付けた。祝儀の際は赤餅、法事の際は白餅を盛り付けた。
ウーサリ [⸢ʔuː⸣sari]はい、かしこまりました。
ウーサリアーサリ [⸢ʔuːsariʔaː⸣sari]平身低頭すること。
ウーサリハーサリ [⸢ʔuːsarihaː⸣sari]へいへい。ぺこぺこ。権力者に頭を下げて恭順の意を表すさま。首里方言の⸢?uusari?aasari(へいへい。ぺこぺこ)『沖縄語辞典』からの転訛。
ウージカキ [⸢ʔuːʤika⸣ki]大仕掛け。大きな装置。大規模。
ウーシグトゥ [⸢ʔuːʃigu⸣tu]大仕事。大事業。
ウーシックナー [⸢ʔuːʃik⸣kunaː]罪のなすりつけあい。互いに罪や責任を他人に負わせ、なすり付けあうこと。
ウーシマ [⸢ʔuː⸣ʃima]奄美大島。奄美群島の総称。
ウージル [⸢ʔuː⸣ʤiru]おづる(雄弦)。三味線の一番太い弦。⸢ミー⸣ジル[⸢miː⸣ʤiru](女弦)は細い弦。ナ⸢カ⸣ジル[na⸢ka⸣ʤiru](中弦)は中太の弦。
ウーシルン [⸢ʔuːʃi⸣ruŋ]他動罪や責任を他人に負わせる。責任を転嫁する。
ウーシンカ [⸢ʔuːʃiŋka]多人数。大家族。多数の船員。多数の組合員。多数の網元の仲間。首里方言の∫iNka(臣下)からの借用語。
ウースー [⸢ʔuː⸣suː]大潮。満月と新月の頃に生じる干満の差の大きい潮汐。
ウースン [⸢ʔuː⸣suŋ]他動罪を転嫁する。他人に負わせる。「負わす」の義。若年層は⸢オー⸣スン[⸢ʔoː⸣suŋ](負わせる)ともいう。
ウーズン [⸢ʔuːʣuŋ]大損。大欠損。大きな損害。
ウーソー [⸢ʔuː⸣soː]間抜け。とんま。そそっかしい者。遅鈍な人。ぬけさく(抜作)。
ウーソードー [⸢ʔuːsoːdoː]大騒動。
ウーダイク [⸢ʔuːdai⸣ku]大太鼓。ウ⸢ブタイ⸣ク[ʔu⸢butai⸣ku](大太鼓)ともいう。横打ちの大型太鼓。
ウーダチ [⸢ʔuːda⸣ʧi]棒立ち。仁王立ち。
ウーティガラ [⸢ʔuːtigara]大手柄。
ウートートゥ [⸢ʔuː⸣toːtu]あな尊(あなとうと)。神仏に祈願する際、冒頭に唱える慣用句。⸢ウー⸣トートゥ ⸢アー⸣トートウ[⸢ʔuː⸣toːtu ⸢ʔaː⸣toːtu](あな尊、ああ尊)と唱えて祈願する。⸢ウー⸣トートゥ カンガ⸢ナ⸣シェーマイ ⸢ヤーニンズ⸣ヌ ⸣ドゥーパダ ⸢キンコー⸣ ニガイ ッ⸢サリル⸣ユー[⸢ʔuː⸣toːtu kaŋga⸢na⸣ʃeːmai ⸢jaːninʣu⸣nu ⸣duːpada ⸢kiŋkoː⸣ nigai s⸢sariru⸣juː](あな尊、神加那志御前様、家族の五体の健康を祈願申し上げます)のようにいう
ウードゥー [⸢ʔuː⸣duː]大胴。大きい鼓。⸢ク⸣ドゥー[⸢ku⸣duː](小胴、小鼓)の対義語。石垣市字登野城に伝わる大和芸能の「鼓」。
ウードゥク [⸢ʔuː⸣duku]大引き。ユ⸢カム⸣チ[ju⸢kamu⸣ʧi](床の根太、床支え)を支える横材。
ウートゥリ [⸢ʔuː⸣turi]大凪。無風状態になること。⸢ピュー⸣カ[⸢pjuː⸣ka](べた凪)ともいう。
ウートゥルバイ [⸢ʔuːturu⸣bai]ぼんやりすること。ぽかんとしているさま。間が抜けたさま。呆然自失のさま。驚いて目を白黒させるさま。
ウーナミ [⸢ʔuːnami]大波。⸢ウー⸣ナン[⸢ʔuː⸣naŋ]供いう。
ウーニンズ [⸢ʔuːninʣu]多人数。多数の人々。
ウーバニ [⸢ʔuː⸣bani](動物)。鱶の一種。パ⸢ニ[pa⸢ni](尾びれ)が最もよい。
ウーバニ [⸢ʔuː⸣bani](動)鮫魚の名。和名、ヨゴレ(体長4メートルに達するものがいるという)
ウーバンジン [⸢ʔuːban⸣ʤiŋ]真っ最中。真っ盛り。
ウーピカイ [⸢ʔuː⸣pikai]神仏へ祈願する際の前口上。祭文。祝詞。神降ろしの祈願。
ウーピカイヌ カウ [⸢ʔuːpikai⸣nu ⸢kau]祈願の際に神降ろしのために焚く線香。板香を半分に割ったものを三本焚く。
ウーブシ [⸢ʔuː⸣buʃi]鰹節の名。雄節。カツオの背肉で製造した鰹節。
ウーマク [⸢ʔuːma⸣ku]生意気な者。沖縄方言からの借用語。普通はヤ⸢マン⸣グ[ja⸢maŋ⸣gu](腕白小僧。悪戯小僧。狡猾者)という。
ウーマスン [⸢ʔuːma⸣suŋ]他動{1}熟させる。「熟(うま)せる」の義。
ウーマスン [⸢ʔuːma⸣suŋ]他動{2}化膿させる。
ウーマタ [⸢ʔuːmata]大股。股を大きく広げること。ウ⸢ブマタ[ʔu⸢bumata](大股)ともいう。
ウーミジ [⸢ʔuːmiʤi]大水。洪水。
ウーミタルン [⸢ʔuː⸣mitaruŋ]自動完熟する。熟しきる。「熟み垂る(「うみたる梅を」『金葉和歌集』)」の転訛か。
ウームカシ [⸢ʔuːmukaʃi]大昔。
ウームヌ [⸢ʔuː⸣munu]雄。「雄物」の義。動物、植物名に上接して用いられるが、植物の「雄株」に対して用いることが多いようである。⸢ウー⸣バサ[⸢ʔuː⸣basa](雄芭蕉)、ビ⸢キウシ[bi⸢kiʔuʃi](雄牛)、ビ⸢キオー[bi⸢kioː](雄豚)のように、動物の雄に対しては、ビ⸢キ[bi⸢ki](雄)を用いる。
ウームン [⸢ʔuː⸣muŋ]自動{1}熟する。
ウームン [⸢ʔuː⸣muŋ]自動{2}化膿する。「~膿(う)み爛(みだ)れき」『金光明最勝王経』の義。
ウームン [⸢ʔuː⸣muŋ]他動紡ぐ。麻、苧、芭蕉の繊維を細く裂き、縒り合わせて長く繋ぐ。「~麻笥にふすさに宇麻受登毛<ウマズトモ>~。万、3484」の転訛か。
ウームン [⸢ʔuː⸣muŋ]他動うむ(績む)。麻糸を紡ぐ。
ウーモーキ [⸢ʔuːmoːki]大儲け。
ウール [⸢ʔuː⸣ru](植)ウリ(瓜)。きゅうり(胡瓜)。果実は細長く、緑色。普通は畑で露地栽培されたが、家庭菜園ではタ⸢ナ[ta⸢na](棚)を掛けて栽培していた。
ウール [⸢ʔuːru]珊瑚石。海石。枝珊瑚。テーブル珊瑚。⸢ウールイシ[⸢ʔuːruʔiʃi](珊瑚石、海石)ともいう。
ウールイシ [⸢ʔuːruʔiʃi]珊瑚。珊瑚石。
ウールパイ [⸢ʔuːrupai]石灰。いしばい。「珊瑚灰」の義。鳩間島では枝珊瑚やテーブル珊瑚の枯れたものを集めて浜辺で焼き、その灰を砂と混ぜ、藁を細かく裁断して混ぜ、水で捏ね合わせ、搗いて漆喰に仕上げていた。これを、ム⸢チ アー⸣スン[mu⸢ʧi ʔaː⸣suŋ](漆喰を捏ねる)という。
ウールパイヤキガマ [⸢ʔuːrupaijakigama]石灰窯。石灰を焼く窯。
ウールムチ [⸢ʔuːrumuʧi]しっくい(漆喰)。単に、ム⸢チ[mu⸢ʧi](漆喰)ともいう。石灰に砂と藁の刻んだものを混ぜ、水で捏ね合わせて搗いて仕上げたもの。
ウーン [⸢ʔuːŋ]他動{1}追う。後を追う。追い払う。「~あとひみ求め追去者<オヒユカバ>~。万、545」の転訛したもの。
ウーン [⸢ʔuːŋ]他動{2}追い払う。追放する。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動傷が治る。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動泳ぐ。
ウーン [⸢ʔuːŋ]他動釘を打つ。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動{1}老いる。⸢老ゆ。上二」「~消易き吾が身雖老<オイヌトモ>~。万、2689」の転訛したもの。⸢ウイ⸣ルンとも言う。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動{2}果実が熟する。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動{3}傷が治る。
ウーン [⸣ʔuːŋ]自動疵が治る。生ふ「於布流(オフル)万、1507」の転訛したもの。
ウイ [⸣ʔui]老い。老いること。完熟。熟すること。動詞⸢ウイ⸣ルン[⸢ʔui⸣ruŋ](老いる)の連用形から転成した名詞。
ウイ [⸢ʔui]上。{1}空間的高い位置。
ウイ [⸢ʔui]{2}社会的地位(身分など)が上である。
ウイ [⸢ʔui]{3}時間的に古い<高い>位置にある。
ウイ [⸢ʔui]{4}能力や体力が上位である。
ウイカ [⸢ʔui⸣ka]役職に賜る報酬。俸給。公務『石垣方言辞典』。
ウイガーサ [⸢ʔuigaː⸣sa] {1}年をとったもの。「老い・かし葉」の義か。
ウイガーサ [⸢ʔuigaː⸣sa]{2}古い葉。
ウイカイスン [⸢ʔuikaisuŋ]他動追い返す。
ウイカクチ [⸢ʔuikakuʧi]上顎(うわあご)。⸢オーカクチ[⸢ʔoːkakuʧi](上顎)というのが普通。
ウイカジ [⸢ʔuikaʤi]追い風。マ⸢シ⸣ビ[ma⸢ʃi⸣bi]({真艫}{マ|トモ}より吹く風)ともいう。
ウイカタ [⸢ʔuikata]上役。上司。
ウイカダー [⸢ʔui⸣kadaː]役田。役職の報酬として頂いた田。
ウイカナケー [⸢ʔuikanakeː]屋号。浦崎家。浦崎英行氏宅。「上兼久家」の義。浦崎英行氏は鳩間島の名士で、伝統舞踊の名手でもあった。戦前に福吉丸の船主としてカツオ節製造工場を経営していたが戦争で工場が爆撃され、戦後事業から撤退された。次男の浦崎英七氏は竹富町役場に勤務し、町の発展に尽した。
ウイカナケーヌ エイキツァザーテー [⸢ʔuikanakeːnu ʔeikiʦaʣaːteː]屋号。兼久英吉氏(浦崎)宅。鳩間村一斑の⸣ジロッピテー[⸣ʤiroppiteː](大城次郎氏宅)の後隣にあった。戦前は浦崎英光氏と共にカツオ漁業(福吉丸)を経営していたが、米軍の空襲によってカツオ節製造工場が爆破された。戦後は台湾貿易に従事したが成功しなかった。長男の浦崎雪雄氏は、小浜光次郎氏と共に鳩間島出身で初めて琉球大学を卒業し、教職に就いて島の教育に尽力した
ウイカプス [⸢ʔui⸣kapusu]役人。俸禄を貰う人。公務員。「天事、オホヤケコト」『類聚名義抄』の「オホヤケ」が⸢ウイ⸣カ[⸢ʔui⸣ka](公)」に転訛したもの。
ウイガラサー [⸢ʔuigara⸣saː]ろうかい(老獪)な人。「老い烏」の義。経験豊富な悪智恵の働く人。
ウイキー [⸢ʔui⸣kiː]老木。「老い木」の義。
ウイクスン [⸢ʔuiku̥suŋ]他動追い越す。追い抜く。⸢ウイコースンとも言う。
ウイクムン [⸢ʔuikumuŋ]他動追込む。
ウイコースン [⸢ʔuikoːsuŋ]他動追い越す。追い抜く。
ウイサールン [⸢ʔuisaː⸣ruŋ]自動老いぼれる。「老いさらばう」の転訛したもの。
ウイザテー [⸢ʔuiʣateː]屋号。上里木屋氏宅。終戦後に絶家となった。昔は繁盛した家で、庭に池なども作られていた。
ウイザン [⸢ʔui⸣ʣaŋ]初産。
ウイシ [⸢ʔui⸣ʃi]仰せ。言いつけ。命令。
ウイシキ [⸢ʔui⸣ʃi̥ki]老い月。陰暦十四日夜以後の月。バ⸢カ⸣シキ[ba⸢ka⸣ʃi̥ki](若月)の対義語。
ウイシキルン [⸢ʔuiʃikiruŋ]自動追いつく。追いつくことができる。「追いつける」の転訛。
ウイシギルン [⸢ʔuiʃigi⸣ruŋ]自動熟れすぎる。野菜や果物が熟れすぎてすが立つ。年をとって若さが失われる。
ウイ シギルン [⸣ʔui ʃi⸢gi⸣ruŋ]熟し過ぎる。
ウイシティルン [⸢ʔuiʃi̥tiruŋ]他動追い抜く。追い越す。「追い捨てる」の義。
ウイシトゥン [⸢ʔuiʃi̥tuŋ]他動追い抜く。追い越す。「スツ(捨つ)下二段」系動詞の四段化したもの。⸢ウイシティルン[⸢ʔuiʃi̥tiruŋ]と同じ。
ウイシミカーシミ [⸢ʔuiʃimikaː⸣ʃimi]「追い詰め、囲い詰め」の義。ABCDEFCD型の重言。追込み漁で魚を袋網の中へ追い込んだり、両手を広げて放し飼いの鶏を鶏舎へ追い込むように、遠回しに追いかけ、追い詰めていく様子を表現したもの。遊び惚けているマ⸢ブロー⸣マ[ma⸢buroː⸣ma](魂。遊離魂)を屋敷内に追い回し連れて来て魂籠めをする際にいう。遊離魂が水を飲みに来たところを、⸢ブー⸣ジナ[⸢buː⸣ʤina](麻の緒綱)で縛って逃がさぬようにし、ブージナをマブローマの主(肉体)の首に掛け、佩かせた
ウイスーブ [⸢ʔuisuː⸣bu]泳ぎ勝負。水泳競争。競泳。
ウイスールン [⸢ʔuisuː⸣ruŋ]自動成長する。かなり成長する。「生い強まる。強<ッヨ>り『源氏物語(紅葉賀)』」の転訛したものか。乳幼児の成長するさまを表現することば。
ウイスガルン [⸢ʔuisugaruŋ]追いすがる。子供が親の後追いをして、着物の裾にすがりついて泣き喚く。
ウイスクン [⸢ʔuisu̥kuŋ]自動追い付く。「つく(下二段)」に「追い」が上接して合成された複合動詞で四段化したもの。
ウイゾージ [⸢ʔuiʣoː⸣ʤi]泳ぎ上手。
ウイダイ [⸢ʔuidai]上代。上の代。鼻祖の代。
ウイタティルン [⸢ʔuitatiruŋ]他動追い立てる。追い払う。追いやる。標準語からの借用語の転訛したもの。
ウイタビ [⸢ʔui⸣tabi]初旅。パ⸢チタビ[pḁ⸢ʧitabi](初旅)ともいう。
ウイダル [⸢ʔui⸣daru]神行事。祭祀行事。村行事。公務。国王に対する奉公。鳩間島では神行事が公務と考えられていた。「おやだいり(親内裏)」『琉歌全集』、『組踊り』からの音韻変化したもの。
ウイダル [⸢ʔui⸣daru]公事。公務。仕事。「おやだいり(親内裏)」『沖縄古語大辞典』の転訛したもの。
ウイダルプス [⸢ʔui⸣darupu̥su]公務員。勤め人。
ウイダルマイフナー [⸢ʔui⸣darumaiɸunaː]勤め上手。村行事(神事)や公務によく勤める人。
ウイックナー [⸢ʔuikkunaː]追いかけっこ。
ウイッサーラ [⸢ʔuissaːra]上下。
ウイッサールン [⸢ʔuissaː⸣ruŋ]自動老いぼれる。老いさらばえる。老け込む。
ウイッツァースン [⸢ʔuitʦaːsuŋ]他動追い散らす。
ウイットースン [⸢ʔuittoːsuŋ]他動追っ払う。追い倒す。どこまでも追いやる。
ウイナウイナ [⸢ʔuinauina]次から次へと。重ねて。重ね重ね。
ウイナクン [⸢ʔuinakuŋ]他動{1}釘や杭などを打ち込む。
ウイナクン [⸢ʔuinakuŋ]他動{2}突き刺す。
ウイナケー [⸢ʔuinakeː]浦崎家の屋号。浦崎英行氏宅。「上兼久家」の音韻変化したもの。
ウイナル [⸢ʔui⸣naru]{1}植物が老いてから結ぶ果実。
ウイナル [⸢ʔui⸣naru]{2}年取ってから生んだ子供。
ウイヌウガン [⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ]友利御嶽。「上のお願」の義。『沖縄文化財調査報告書第70集』(沖縄教育委員会)に、次のように記述されている。「トゥムリウガン。異称、ウイヌウガン、『琉球国由来記』記載の名称 友利御嶽、所在地 字鳩間福堂。祭神 神名 ヲトモリ 御イベ名 大ザナルガネ。由来 由来不ニ相知一(『琉球国由来記』)。鳩間島では最も古い御嶽である。鳩間を建てたという英雄義左真主が創建した御嶽であるといわれている。各御嶽の中で最高位にランクされ、他のすべての御嶽の<神>の存在する場所であると考えられている。トゥムリウガンには、他の御嶽の香炉が置かれており、祭祀や儀礼もここでのみ行われるものが多い。トゥムリウガンで祈願することは、他のすべての御嶽での祈願に相当する行為であると考えられている」。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](元御嶽)ともいう。歌謡では、トゥ⸢ムル[tu⸢muru](友利<お願>)と歌われている。鳩間島の御願の中心となる所で、ナ⸢カン⸣ブレ[na⸢kam⸣bure](中岡<中森>)の東側の鎮守の森の中にある。フ⸢クン[ɸu̥⸢kuŋ](福木)やガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](榕樹)、マーニ[⸢maː⸣ni](クロツグ<黒桄椰子>)、ク⸢バ[ku⸢ba](びろう、蒲葵)、その他雑木が密生して、昼でも薄暗い。神域は石垣を二重三重に積みめぐらしてある。中心部に⸣ウボー[⸣ʔuboː](威部)があり、そこへ通ずる道の入り口に⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿。小屋根付きの門)がある。そこには、⸢コー⸣ロー[⸢koː⸣roː](香炉)が据えてあり、男性はそこから内へ入れないといわれている。どうしても入域しなければならない場合は、神に祈願をして入るが、その際の条件は、マ⸢ラタリ⸣ムヌ[ma⸢ratari⸣munu](魔羅垂れ者)、ア⸢ティナシ⸣ムヌ[ʔa⸢tinaʃi⸣munu](無分別者)としてであった。従って男性は褌を外して、ぶらぶらさせながら入らなければならなかったという。拝殿の北側には⸣メー[⸣meː](庭空間)があり、その左右に二・三段の低い観覧席が設置されている。拝殿の前面左側にはティジリビーの席、右側にはサカサ・バキサカサの席が設置されている。庭空間の北側には、瓦葺のウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](母屋)があり、拝殿と対面するように南面窓際に神棚が設置され、小窓が設えられて香炉が置かれ、⸣ウボー[⸣ʔuboː]へのお通しが出来るようになっている。古い仏像も安置されている。豊年祭や結願祭の⸢ユードウー⸣シ[⸢juːduː⸣ʃi](夜通しの祈願)や⸢ユーングマ⸣ル[⸢juːŋguma⸣ru](夜籠もり祈願)はそこで実施される。結願祭には、このウ⸢ブ⸣ヤーから南面に張り出しのバンコ・ステージが設置され、幕で仕切られた舞台で伝統的⸢キョン⸣ギン[⸢kjoŋ⸣giŋ](狂言・劇)や舞踊が奉納上演される。その際、ウブヤーは楽屋の機能を果たす。村の人々は老若男女、弁当持参して観覧席から奉納芸能を観劇したものである
ウイヌカー [⸢ʔuinukaː](地)村井戸の一つ。ナ⸢カン⸣ムレー[na⸢kam⸣mureː](中岡)の北、約150メートルの所にある井戸。本来はウ⸢リ⸣カー[ʔu⸢ri⸣kaː](下り井戸)であったが、昭和に入ってコンクリートで掘り抜き井戸に作り変えた。湧水には塩分が少なく、最も美味しい水との定評がある。村から遠い所にあるため、他の二つの村井戸ほど利用されなかったが、夏場の渇水期には活用された。カツオ漁船用の水は、多くの場合この井戸の水を活用した。畑帰りに、この井戸の水を一服すると「命が長くなる」といわれたほどである。井戸の祈願はカ⸢ザケー[ka⸢ʣakeː](加治工家)の人が受け持った
ウイヌカリン [⸢ʔuinukariŋ]自動追い抜かれる。追い抜くことが出来る。動詞⸢ウイヌクン[⸢ʔuinukuŋ](追い抜く)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リン[⸢riŋ](~れる)が付いて形成された派生動詞。
ウイヌクン [⸢ʔuinukuŋ]他動追い抜く。追い越す。
ウイヌ プス [⸢ʔuinu pu̥su]上の人。上級の人々。上役。役場の人。身分の高い人。
ウイヌ プス [⸢ʔuinu⸣ pu̥⸢su]上司。上役。「上の人」の義。
ウイヌ フン [⸢ʔuinu ɸuŋ]石垣島の四箇村。石垣島より北の国(沖縄)。都会。「上の国」の義。
ウイヌ ミチ [⸢ʔuinu⸣ miʧi]上の道。ナ⸢カ⸣ミチ[na⸢ka⸣miʧi](中道。旧鳩間郵便局前通り)より上の道。ス⸢ムヌヌ⸣ ミチ[su⸢munu⸣ miʧi](下の道。旧鳩間国民学校正門通り。沿岸道路)の対をなす道路。
ウイヌムラ [⸢ʔuinumura]上の村。旧鳩間郵便局の前の道<村の中道>より上にある家々。中道より下の海岸沿いにある家々をス⸢ム[su⸢mu](下。下村)といっていた。
ウイパー [⸢ʔuipaː]上歯。普通は⸢オーパー[⸢ʔoːpaː](上歯)と言う。
ウイパナ [⸢ʔui⸣pana]老年の恋。年老いてから激しい恋をすること。「老い花」の義。
ウイパラスン [⸢ʔuipara⸣suŋ]他動追っ払う。
ウイバラリン [⸢ʔuibarariŋ]自動及ばれる。手が届く。成就可能である。動詞⸢ウイブン[⸢ʔuibuŋ](及ぶ)の未然形に助動詞ラリン[rariŋ](られる)が付いて形成された派生動詞。
ウイバリン [⸢ʔuibariŋ]自動及ばれる。手が届く。成就可能である。動詞⸢ウイブン[⸢ʔuibuŋ](及ぶ)の未然形に助動詞リン[riŋ](れる)が付いて形成された派生動詞。
ウイバル [⸢ʔuibaru](地)西表島北部海岸の水田地帯の地名。上原村。現在の船浦集落と中野集落の中間に位置する集落。明治初期にマラリアで廃村化し、住民の一部が鳩間島に移住した。戦後、マラリアの撲滅にともない、鳩間島からの移住者と宮古島、その他からの移住者が増加して現在の賑わいをみるに至った。⸢カンザトゥ⸣ヤー[⸢kanʣatu⸣jaː](慶田城家)、プ⸢サッ⸣キャー[pu̥⸢sak⸣kjaː](冨里家)、トゥ⸢ムレー[tu⸢mureː](友利家、田代家)、ウ⸢チ⸣ネー[ʔu⸢ʧi⸣neː](仲伊部家)、ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](吉川家)、⸢マイトブ⸣レー[⸢maitubu⸣reː](吉川家)などの水田や畑がある
ウイパルン [⸢ʔui⸣paruŋ]他動他動詞。追っかけて行く。後追いする。
ウイビ [⸢ʔui⸣bi]指。「指、ユビ、俗云オヨビ」『類聚名義抄』の俗称から転訛したウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](指)の再転訛したもの。
ウイビヌ マタ [⸢ʔuibi⸣nu ⸣mata]指と指の間。「指の股」の義。若年層の言葉。老年層は、ウ⸢ヤ⸣ビ[ʔu⸢ja⸣bi](ゆび。「指、ユビ、俗云 オヨビ」『類聚名義抄』の転訛か)というのが普通。ウ⸢ヤビ⸣ヌ ⸣マタ[ʔu⸢jabi⸣nu ⸣mata](指と指の間)という。
ウイプス [⸢ʔui⸣pu̥su]老い人。老人。年寄り。「~老人<オイヒト>の をつとふ水ぞ~。万、1034」の転訛したもの。
ウイプススクライ [⸢ʔuipususu̥ku⸣rai]老人の格好をすること。老人ぶること。「老い人・繕い」の転訛。意図的に老人の真似をすること。
ウイプソー キナイヌ タカラ [⸢ʔui⸣pu̥soː ki⸢nainu⸣ tḁ⸢ka⸣ra]老人は家庭の宝だから、尊重すべきである(諺)
ウイブン [⸢ʔuibuŋ]自動及ぶ。望みが適(かな)う。手が届く。匹敵する。
ウイベーマ [ʔui⸢beː⸣ma]小指。「指小」の義。ウ⸢ベー⸣マ[ʔu⸢beː⸣ma](小指)ともいう。
ウイマーシ カルイマーシ [⸢ʔuimaːʃi⸣ ka⸢ruimaː⸣ʃi]追い回し、負いまわし。放し飼いにしている鶏を、夕方に鶏小屋へ追い込む際にもちいる。また体から遊離した魂を、供物を供えて呼び寄せの祈願をし、追い立てるように、負い囲うようにして呼び寄せ、魂籠めをすることにもいう。両手を広げて、逃がさぬように追い立てること。追い込み漁で、海の魚を袋網の中へ追い込むことにもいう。
ウイマースン [⸢ʔuimaːsuŋ]他動{1}追い回す。
ウイマースン [⸢ʔuimaːsuŋ]他動{2}追い立てる。せかす。
ウイマサリ [⸢ʔuimasari]年をとるにつれて向上すること。成長し、進級するにつれて優秀になること。
ウイマリ [⸢ʔui⸣mari]遅生まれ。熟して生まれること。十一月、十二月まで生まれの子。パ⸢ヤ⸣マリ[pa⸢ja⸣mari](早生まれ。一月、二、三月生まれの子)の対義語。
ウイヤク [⸢ʔuijaku]上役。上司。
ウイルン [⸢ʔui⸣ruŋ]自動老いる。古くなる。熟する。⸣ウーン[⸣ʔuːŋ](老ゆ。上二段活用系)ともいう。
ウイルン [⸢ʔui⸣ruŋ]自動傷が治る。⸣ウーン[⸣ʔuːŋ](生ふ)ともいう。「~百枝さし 於布流<オフル>橘~。万、1507」の転訛したもの。
ウインザスン [⸢ʔuinʣasuŋ]他動追い出す。追い払う。
ウカ [⸣ʔuka]負債。借金。
ウカーウカーシ [ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi]{1}おかしく。滑稽で。
ウカーウカーシ [ʔu⸢kaːʔukaː⸣ʃi]{2}危なっかしい。
ウカーサン [ʔu⸢kaː⸣saŋ]{1}可笑しい。滑稽だ。
ウカーサン [ʔu⸢kaː⸣saŋ]{2}怪しい。おかしい。疑わしい。危なっかしい。
ウカカビムヌ [ʔu⸢kakabi⸣munu]借金だらけの人。借金被り。
ウカ カブン [⸣ʔuka ⸣kabuŋ]借金する。「借金被る」の義。
ウカギ [ʔu⸢ka⸣gi]おかげ(御陰)。力添え。恩恵。
ウカサリン [ʔu⸢kasariŋ]自動{1}高熱に冒される。意識不明になる。
ウカサリン [ʔu⸢kasariŋ]自動{2}女性に心を奪われる。女性の色香に迷わされる。
ウカシー [ʔu⸢kaʃiː]連体おかしいこと。いぶかしいこと。ウ⸢カー⸣サン[ʔu⸢kaːsaŋ](おかしい)ともいう。
ウカッキルン [ʔu⸢kakki⸣ruŋ]他動立て掛ける。壁などに立て掛ける。持たせかける。よせかける。他のものに寄せて立て掛ける。
ウカックン [ʔu⸢kak⸣kuŋ]他動立て掛く。壁などに立て掛ける。他のものに寄せて立て掛ける。
ウカットーン [ʔu⸢kattoː⸣ŋ]軽率である。迂闊である。うっかりしている。無神経で気配りがない。
ウカットゥ [ʔu⸢kattu]{1}ぼんやりと。深く考えないさま。気が利かないさま。不注意に。ぼんやりと。「Vcato<うかと>シテワ イカデカ バンジ カナウベキ」『ロドリゲス日本大文典』の転訛したもの。
ウカットゥ [ʔu⸢kattu]{2}軽率に。疎かに。迂闊に。うっかり。
ウカヌ ミー [ʔu⸢ka⸣nu ⸣miː]借金のかた(形)。負債の抵当。負債の担保。⸣ミー[⸣miː]は「穴」の義で、欠損、損失部分を埋め合わせすべき穴の意。
ウカバライ [⸣ʔukabarai]借金払い。借金を返済すること。負債の返済。
ウガマリルン [ʔu⸢gamari⸣ruŋ]自動{1}拝まれる。ウ⸢ガ⸣ムン[ʔu⸢ga⸣muŋ](拝む)の未然形に受身・可能の助動詞⸢リ⸣ルン[⸢ri⸣ruŋ](れる)が付いて形成された受身・可能の派生動詞。
ウガマリルン [ʔu⸢gamari⸣ruŋ]自動{2}拝謁できる。
ウガムン [ʔu⸢ga⸣muŋ]他動拝む。
ウカヤン [ʔu⸢ka⸣jaŋ]可笑しい。滑稽である。「可吹、又、可咲。見\kaeriten{二}醜貌\kaeriten{一}咲(わらふ)貌。阿奈乎加志(あなをかし)」『新撰字鏡』の転訛したもの。
ウカルン [ʔu⸢ka⸣ruŋ]自動合格する。受かる。明治29年に学校が設置されて後、標準語の「受かる」から転訛したもの。
ウガン [⸣ʔugaŋ]御嶽。御願所。聖域。「拝み」の義。「Vogamijo.ヲガミジョ(拝み所)、Faiden」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ヲガミ[wogami] → ウガミ[ʔugami] → ウガン[ʔugaŋ]の音韻変化による。鳩間島では「ウタキ」とは言わない。必ず⸣ウガン[⸣ʔugaŋ]という。ム⸢トゥ⸣ウガン[mu⸢tu⸣ʔugaŋ](「本お願」の義。友利御嶽。単に⸣ムトゥともいう。歌謡では、トゥ⸢ムル{SqBr}tu⸢muru{/SqBr}と歌われている)、ピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川御嶽)、ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽。ミ⸢ジムトゥ{SqBr}mi⸢ʣimutu{/SqBr}ともいう)、⸢マイドゥム⸣ルウガン[⸢maidumu⸣ruʔugaŋ](前泊御嶽。タ⸢ビヌ⸣ウガン{SqBr}ta⸢binu⸣ʔugaŋ{/SqBr}<旅のお願>ともいう)、ニ⸢シ⸣ドーウガン[ni⸢ʃi⸣doːʔugaŋ](西堂御嶽)、フ⸢ナ⸣バルウガンン[ɸu⸢na⸣baruʔugaŋ](船原お嶽)などがある。『琉球国由来記』には、「友利御嶽」と「ヒナイ御嶽」のフ⸢タヤマ[ɸu̥⸢tajama](二御嶽<二山。二岳>)が記載されている。
ウガングトゥ [ʔu⸢gaŋ⸣gutu]神仏への祈願ごと。ウ⸢ガンブス⸣ク[ʔu⸢gambusu⸣ku](祈願不足)は信心が足りず、ウ⸢ガン⸣グトゥを怠ることから起きるといわれている。
ウガンザキ [ʔu⸢gan⸣ʣaki](地)崎枝の西の方にある岬。御神崎。この岬の沖は波が荒く航海の難所の一つと言われている。
ウガンズ [ʔu⸢gan⸣ʣu]御願所。拝所。御嶽。⸣ウガンヤシキ[⸣ʔugaŋjaʃi̥ki](御願屋敷)ともいう。
ウガンツマスン [ʔu⸢ganʦuma⸣suŋ]他動懲りさせる。降参させる。
ウガンツミルン [ʔu⸢ganʦumi⸣ruŋ]自動参る。懲りる。降参する。ひどい目に会って二度とすまいと思う。ウ⸢ガン⸣ツムン[ʔu⸢gan⸣ʦumuŋ](懲りる)のラ行四段化したもの。
ウガンツムン [ʔu⸢gan⸣ʦumuŋ]自動参る。懲りる。降参する。へこたれて、二度とするまいと思う。
ウガンブスク [ʔu⸢gambusu̥⸣ku]祈願不足。信心不足。神仏への祈願が足りないこと。祈願不足で神仏の加護が得られないこと。家族に病人や怪我人が出ると、ウ⸢ガンブス⸣クと言って、神仏への祈願行事を行った。
ウガンヤマ [⸣ʔugaŋjama]鎮守の杜。御願<御嶽>の林。御願は鬱蒼たる森に囲まれている。椰子やクバ(蒲葵)の神木が生えており、福木やヤラブ(てりはぼく)の大木が繁茂し、⸢マー⸣ニ[⸢maː⸣ni](クロツグ<桄榔子>)が聖域を囲んで密生している。昔から御願の樹木を切ることはタブーとされてきた。それを犯すと神罰が下るといわれている。
ウキ [ʔu⸢ki]水を運ぶ際に水桶の水面にススキの茎や芭蕉の葉を浮けて水の揺れを防ぐもの。「浮け」の義。
ウキ [ʔu⸢ki]浮き。浮標。澪標(みおつくし)。⸢ブイ[⸢bui](buoy<浮標>)は英語からの借用語。日露戦役で帝国海軍を除隊した通事家の人が流行らせたという伝承(加治工伊佐)がある。現在はブイ、ゴーヘー、ゴーシタン、アンカー、ブリジ等もみんな本来の鳩間方言と思われている。
ウキウーン [ʔu⸢ki⸣ʔuːŋ]他動請け負う。請負仕事は石垣島のコンクリート建設業者が実施した。昭和初期頃に標準語から借用され、それから転訛した語であろう。
ウキザーラ [ʔu⸢kiʣaː⸣ra](動)鮫魚の名。和名、アオザメ。(体長7メートルに達するものがいるという)。大型鱶で、背の色は青色。性質は凶暴といわれている。鳩間島のイカ釣り漁では、体長約3~4メートルのウキザーラがしばしば釣り上げられた。昔は、ウキザーラの魚肉を長さ約20センチ、幅約3センチ、厚さ約1センチに切り、塩を{塗}{マブ}して天日乾燥したサ⸢バソー⸣ギリ[sa⸢basoː⸣giri]にして沖縄へ輸出されていた
ウキシグトゥ [ʔu⸢kiʃigu⸣tu]請負仕事。
ウキズー [ʔu⸢kiʣuː]船の停泊所。「浮け所」の義。
ウキッサ [ʔu⸢kissa](植)ホテイアオイ(布袋葵)。池や田圃、用水路などの水面に生える藻草。
ウキトゥミルン [ʔu⸢kitumi⸣ruŋ]他動受け止める。銘ずる。覚える。
ウキトゥルン [ʔu⸢ki⸣turuŋ]他動受け取る。
ウキナー [ʔu⸢ki⸣naː](地)沖縄。沖縄本島。首里、那覇は県都として昔からよく知られており、糸満、奥武島、久高島からは漁師たちが毎年サバニを二隻組み、双胴船に仕立てて鳩間島に烏賊釣り漁にやって来たことから鳩間島の人との関係が深い。鰹漁船は明治末期ごろ沖縄本島北部の本部より帆船が導入されたという。
ウキナーカウ [ʔu⸢kinaː⸣kau]沖縄線香。沖縄線香には、イ⸢ツァ⸣カウ[ʔi⸢ʦa⸣kau](板香)とタ⸢キカウ[tḁ⸢kikau](竹香)がある。
ウキナーキョンギン [ʔu⸢kinaːkjoŋ⸣giŋ]沖縄芝居。シ⸢バヤー[ʃi⸢bajaː](芝居)ともい。劇団が沖縄本島より石垣島へ巡業に来た。そこで上演される演目が島の⸢キョン⸣ギン[⸢kjoŋ⸣giŋ](演劇。<狂言>)に影響をあたえた。
ウキナーシタフ [ʔu⸢kinaːʃi̥ta⸣ɸu]琉装。「沖縄支度」の転訛したもの。
ウキナータビ [ʔu⸢kinaː⸣tabi]沖縄本島への旅。
ウキナープス [ʔu⸢kinaː⸣pu̥su]沖縄本島の人。
ウキナームニ [ʔu⸢kinaː⸣muni]沖縄本島の言葉。沖縄本島の言葉の総称。⸣スイクトゥバ[⸣suiku̥tuba](首里言葉)、⸣ナハクトゥバ[⸣nahaku̥tuba](那覇言葉)、イ⸢ツマン⸣ムニ[ʔi⸢ʦumam⸣muni](糸満言葉)、ク⸢ダカ⸣ムニ[ku⸢daka⸣muni](久高言葉)などという。
ウキナームヌ [ʔu⸢kinaː⸣munu]沖縄産のもの。
ウキナーユー [ʔu⸢kinaː⸣juː]沖縄世。琉球王国時代。
ウギナイ [ʔu⸢ginai]栄養、滋養の「補い」の義。補充。動詞ウ⸢ギナウン[ʔu⸢ginauŋ](補う)の連用形からの転成名詞。
ウギナウン [ʔu⸢ginauŋ]他動補う。埋め合わせる。
ウキニビ [ʔu⸢ki⸣nibi]そらね。狸寝入り。眠っているようで、本当は眠っていない眠り。
ウキニビ [⸣ʔukinibi]寝起き。おきふし。
ウキニビ [ʔu⸢ki⸣nibi]うたたね。かりね(仮寝)。「起き寝」の義
ウキパナ [ʔu⸢ki⸣pana]起きぬけ。起きしな。起きだしたばかり。
ウキパナ [ʔu⸢ki⸣pana]余所からきた祈願用供物の線香と初米(はなごめ)。対語の、余所へ持参する供物の線香と初米は⸢コー⸣パナ[⸢koː⸣pana](香と初米)という。
ウキパンスン [ʔu⸢kipan⸣suŋ]他動受け外す。受け損ねる。
ウキピントー [⸣ʔukipintoː]応答。受け答え。「受け答え」の義。
ウキムキ [⸣ʔukimuki]幸不幸。「有卦無卦(うけむけ)」の義。
ウキムチ [ʔu⸢ki⸣muʧi]受け持ち。担当。
ウキムトゥン [ʔu⸢ki⸣mutuŋ]他動受け持つ。
ウキムヌ [ʔu⸢ki⸣munu]料理の上に乗せるもの。上置き(うわおき)。「置物」の義。
ウキャク [ʔu⸢kja⸣ku]お客。新しく標準語から借用された語か。普通はあまり使用しなかった。
ウキョー [⸣ʔukjoː]お経。
ウキル [ʔu⸢kiru]おき(熾・燠)。おきび。薪が燃え尽きて炭火のようになったもの。「火唐煨、オキ」『類聚名義抄』の転訛したものか。鳩間島の人は、西表島の田圃の周りから⸢マーキ[⸢maːki](薪。木材の燃料)を伐り出して島に運び、豊かに燃料として使用することができた。その⸢マーキ[⸢maːki](薪)を燃やしてできる{熾}{オキ}のこと。
ウキルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ]他動請ける。請け負う。仕事を請ける。
ウキルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ]自動起きる。
ウキルン [ʔu⸢kiruŋ]他動浮ける。浮かべる。老年層の言葉。若年層は、ウ⸢ケーラスン[ʔu⸢keːrasuŋ](浮ける)という。
ウキルン [ʔu⸢ki⸣ruŋ]他動受ける。
ウキン [⸣ʔukiŋ](植)うこん(鬱金)。ショウガ科の多年草。根茎は肥大して黄色を呈し、漢方薬として用いられる。黄色の染料としても重用された。鳩間島では、切り傷やその他の傷口から細菌が侵入して発熱がある場合、ウキンを漬けた酒に焼き塩を混ぜ、それを傷口の周りから全身にすり込むようにすりつけた。
ウキンジルン [ʔu⸢kinʤi⸣ruŋ]自動浮き出る。浮き立って見える。目立って見える。
ウキンズン [ʔu⸢kinʣuŋ]自動目立つ。「浮きいづ」の義。ウ⸢キンジ⸣ルン[ʔu⸢kinʤi⸣ruŋ](浮き出る、目立つ)と同じ。
ウキンビリン ナラヌ [⸣ʔukimbirin na⸢ra⸣nu]{1}身動きできない。「起きも座りもできない」の義。
ウキンビリン ナラヌ [⸣ʔukimbirin na⸢ra⸣nu]{2}忙しくて手がはなせない。休息できない。
ウク [ʔu⸢ku]奥。内部へ深く入った所。
ウクー [ʔu⸢kuː](動)魚の名。和名、クマササハナムロ(体長約24センチ)。グルクンの一種。糸満方言からの借用語か。
ウクサン [⸣ʔukusaŋ]奥様。石垣方言からの借用語。明治期に本土寄留商人の夫人を呼んだことば。
ウクジ [ʔu⸢ku⸣ʣi]神意を占う籤。玄米を盆の上に並べて占う。神饌のパ⸢ナン⸣グミ[pa⸢naŋ⸣gumi](花米)を掴み取り、盆の上に二粒を一対に{籤}{クジ}を並べる。対が偶数個並ぶと(ム⸢ルウクジ{SqBr}mu⸢ruʔukuʤi{/SqBr}<諸御籤。吉>)という。米粒が対を形成しない時は何度も占いを実施して対を作る。対が基数個の場合は⸢パンウクジ[⸢panʔukuʤi](半御籤。要用心)といわれている。⸣クジ ウ⸢ク⸣スン[⸣kuʣi ʔu⸢ku⸣suŋ]({籤}{クジ}を起こす<籤で占う>)、⸣クジ バ⸢ルン[⸣kuʣi ba⸢ruŋ](籤を割る<籤で占う>)のようにいう。
ウクタリルン [ʔu⸢kutariruŋ]自動怠る。怠ける。油断する。ウ⸢クタルン[ʔu⸢kutaruŋ](怠る)を多用する。
ウクタルン [ʔu⸢kutatuŋ]自動怠る。怠ける。油断する。
ウクナイ [ʔu⸢kunai]行い。ふるまい。行状。共通語からの借用語。
ウクヌティー [ʔu⸢kunu⸣tiː]奥の手。秘訣。
ウクバー [ʔu⸢kubaː]奥歯。⸣ウシパー[⸣ʔuʃipaː](臼歯)ともいう。
ウクビョー [ʔu⸢ku⸣bjoː]臆病者。共通語からの借用語。
ウクビョームヌ [ʔu⸢kubjoː⸣munu]臆病者。
ウクフカーン [ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣ŋ]{1}奥深い。意味深長である。含蓄がある。
ウクフカーン [ʔu⸢kuɸu̥kaː⸣ŋ]{2}洞窟などの奥が深い。
ウクヤマ [ʔu⸢kujama]奥山。山奥。深山。
ウクラスン [ʔu⸢kurasuŋ]他動遅らせる。
ウクリ [ʔu⸢kuri]{1}送ること。
ウクリ [ʔu⸢kuri]{2}祖霊送り。お盆の三日間、祖霊たちを各家庭に迎えて供養し、孝養を尽くして三日目の夜中に祖霊を霊界へ送ること。仏壇に供えた供物のお初とム⸢ルムル[mu⸢rumuru](木の実や甘蔗の供物)の一部を籠に入れ、香炉の線香を三本抜き取って明かりを消し、戸外に出て屋敷の西側道端にム⸢ルムル[mu⸢rumuru](砂糖黍や果物、木の実)など、供物のお初を砂糖黍の⸢アイ⸣ク[⸢ʔai⸣ku](担い棒)で担いで帰れるように置いて祖霊送りをした。夜中を過ぎて、一番鶏が鳴くと、祖霊たちは霊界へ戻れなくなるので、午前零時までには送りを済ませた。
ウクリコーシ [ʔu⸢kurikoːʃi] 「送り菓子」。法事やお盆の最終日の精霊送りの焼香の際に供える菓子類のこと。焼香の途中に供えた菓子類、その他の料理のお初を一部分取って冥土へのお土産とした
ウクリシームヌ [ʔu⸢kuriʃiːmunu]「送り吸い物」。法事やお盆の精霊送りの日に仏前に供える「精霊送りの吸い物料理」のこと。
ウクリジン [ʔu⸢kuriʤiŋ]送り膳。招待客が都合が悪くて出席出来ないとき、その人に出すべきご馳走の膳を本人の家に届けるもの。ウ⸢クリ[ʔu⸢kuri](送り)ともいう。
ウクリソッコー [ʔu⸢kurisokkoː]⸢送りの焼香」の義。法事の一通りの行事を済ませて、祖霊(死者の霊)をお送りする時の焼香。
ウクリピン [ʔu⸢kuripiŋ]精霊送りの日。旧盆の第三日。「送り日」の義。
ウクリプス [ʔu⸢kuripusu]葬送人。葬列に参加する人。
ウクリマイ [ʔu⸢kurimai]「送り前」の義。「前」は「それ相当のもの。分」の義で「送る義務。金額や責任の多寡」を表わす。支払う義務を負ったお金。
ウクリムエー [ʔu⸢kurimujeː]前金を受け取って後、支払いの義務を負った頼母子講。
ウクリムヌ [ʔu⸢kurimunu]贈り物。進物。
ウクリルン [ʔu⸢kuriruŋ]自動遅れる。
ウクリンカイ [ʔu⸢kuriŋkai]送り迎え。
ウクルン [ʔu⸢kuruŋ]自動遅れる。とり残される。下二段系動詞「~朝立ち行かば後有<オクレタル>~。万、3291」の転訛したもの。
ウクルン [ʔu⸢ku⸣ruŋ]自動起こる。惹起する。興る。
ウクルン [ʔu⸢ku⸣ruŋ]自動怒る。立腹する。
ウクルン [ʔu⸢kuruŋ]他動{1}送る。
ウクルン [ʔu⸢kuruŋ]他動{2}見送る。死者や祖霊などを霊界へ送る。
ウグルン [ʔu⸢guruŋ]他動{1}威張る。驕り高ぶる。
ウグルン [ʔu⸢guruŋ]他動{2}奢る。他人にご馳走を振舞う。
ウクン [⸣ʔukuŋ]自動起きる。「おく(起く)上二段活用」の四段活用化したもの。ウ⸢キ⸣ルンとも言う。
ウクン [⸣ʔukuŋ]他動受ける。「うく(受く)下二段活用」の四段活用化したもの。ウ⸢キ⸣ルンとも言う。
ウクン [ʔu⸢kuŋ]他動{PoS_1}船を浮ける。船を浮かべる。ウ⸢キルン[ʔu⸢kiruŋ](浮ける)と同じ。
ウクン [ʔu⸢kuŋ]自動{PoS_2}ウ⸢ケールン[ʔu⸢keːruŋ](浮かぶ)と同じ意味。
ウクン [ʔu⸢kuŋ]自動浮く。うわつく(浮つく)。精神的に落ち着かなくなる。気が動顚する。
ウケーピケーシ [⸣ʔukeːpikeːʃi]重言。一進一退。良くなったり悪くなったり。
ウケーラスン [ʔu⸢keːrasuŋ]他動浮かす。浮かべる。
ウケールン [ʔu⸢keːruŋ]自動浮く。浮かぶ。
ウコースン [ʔu⸢koː⸣suŋ]他動{1}起こす。
ウコースン [ʔu⸢koː⸣suŋ]他動{2}剥がす。引き剥がす。
ウコーッタン [ʔu⸢koːttaŋ]お早うございます。「起きられましたか」の義。
ウコーリルン [ʔu⸢koːri⸣ruŋ]自動剥がれる。剥がれ落ちる。むくれる<剥れる>。ン⸢コー⸣ルン[ʔŋ⸢koː⸣ruŋ](はがれる)、ウ⸢コー⸣ルン[ʔu⸢koː⸣ruŋ](剥がれる)ともいう。
ウコールン [ʔu⸢koː⸣ruŋ]自動お起きになる。起きられる。ウ⸢キ⸣ルン[ʔu⸢ki⸣ruŋ](起きる)の尊敬語。?ukuN(起く)の連用形に⸢オー⸣ルン[⸢ʔoː⸣ruŋ](「居る」の尊敬語「おはし。ー給ふべき人~せじ」『源氏物語、紅葉賀』の転訛)がついて形成された語。