鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
フタ [ɸu̥⸢ta]ふた(蓋)。板製の鍋蓋や茅製の鍋蓋がある。
フタ [ɸu̥⸢ta]接頭⸢二つ」を意味する接頭語。⸢ケーラ[keːra](回数)には往復の意味が内包される。
フタ [ɸu̥⸢ta]接頭そのまま。いちず。ひたすら。専らにすること。「ひた<直>」の転訛したもの。「~ひた土に 足踏み貫き~。万、3295」の転訛したものか。
フダ [⸣ɸuda]{1}機織りの横糸をつむ<紡錘>の管に巻いて抜き取り、シャトル<{梭}{ヒ}>の内部に装着するもの。
フダ [⸣ɸuda]{2}糸繰車のつむ<{紡錘}{ボウ|スイ}>にさして糸を巻きつける小さいフ⸢ドー⸣シ[ɸu⸢doː⸣ʃi](管)。「~久太(くだ)、管子、同上」『和名抄』の意。
フダ [⸣ɸuda](動)巻貝の一種か。直径1~2ミリのへび貝に似た管状の貝が珊瑚礁などにくっ付いていて、その管の口辺部が鋭い刃をなしている。それを踏みつけると足の裏に円形の切り傷が付いていたむ。それを防ぐためにも潮干狩りに行く際は[g]{草鞋}{ワラジ}を履く必要があった。「~久太(くだ)、管子、同上」『和名抄』の転訛したもの。
フダ [ɸu⸢da]札。
フターチ [ɸu̥⸢taːʧi](数)二つ。二歳。
フターチェー [ɸu̥⸢taːʧeː]双子。
フターチェーッふァ [ɸu̥⸢taːʧeːffa]双子。若年層は⸢ター⸣チュー[⸢taː⸣ʧuː](双子)ともいうが、沖縄方言からの借用語であろう。
フターチズニ [ɸu̥⸢taːʧiʣuni](海底地名)。
フターチフニ [ɸu̥⸢taːʧiɸuni]舟(イダフニ)を二艘並べて帆柱で前方のウ⸢シカキ[ʔu⸢ʃikaki](帆柱を立てる梁)と後方の⸣トゥム[⸣tumu](艫)の部分を結わえて固定し、双胴船のようにしたもの。糸満の漁師は、漁期になると沖縄からサバニ(板で接いで造った舟)をフ⸢ターチフニ[ɸu̥⸢taːʧiɸuni]にして鳩間島に渡り、漁期が終了すると舟を鳩間島の人に売って帰ったという。
フターチマキ [ɸu̥⸢taːʧimaki]つむじ(旋毛)の二重巻き。ピ⸢ジ⸣ル[pi⸢ʤi⸣ru]({SqBr}g{/SqBr}{旋毛}{ツムジ})が二つあるもの。
フタール [ɸu̥⸢taːru](数)二人。
フタールヌ ウヤ [ɸu̥⸢taːrunu⸣ ʔuja]二人の親。両親。
フタールミツァール [ɸu̥⸢taːrumiʦaːru](数)二、三人。
フタイ [ɸu̥⸢tai]ひたい(額)。「~ヒタヒ、カシラノカハラ」『類聚名義抄』の転訛したもの。タ⸢カ⸣フタイ[tḁ⸢ka⸣ɸu̥tai](おでこ。「高額」の義)、⸢ガッ⸣パイ[⸢gap⸣pai](おでこ。高く出た額の卑語)ともいう。
フタイツァカカン [ɸu̥⸢taiʦakakaŋ]古典舞踊で着用する女性用下着のコスチューム(衣装)。ふたぬの(二布)で縫製された腰巻の一種。
フタイビ [ɸu̥⸢ta⸣ʔibi]じかまき(直播)。種子を直接田畑に播いてそのまま生育させる農法。「直接植え」の義。マ⸢タイビ[ma⸢taʔibi](植え替え。「また植え」の義)は、一度植えたものが枯れたり、発芽しなかったりした際に植え替えすること。播種して苗に育てて他の田畑に植え代えることを、⸣ヤトゥーン[⸣jatuːŋ](移植する)という。
フタイヤーマ [ɸu̥⸢taijaː⸣ma]小さな額。貧相な額。
フダイリ [ɸu⸢dairi]投票。札入れ。
フダ イルン [ɸu⸢da⸣ ʔi⸢ruŋ]投票する。「札を入れる」の義。
フタウシキ [ɸu̥⸢taʔuʃi̥⸣ki]強引に押し付けること。無理に押し付けること。
フタウヤ [ɸu̥⸢taʔuja]両親。「ふたおや(二親)」の義。
フタカサビ [ɸu̥⸢takasabi]二重。二つ重ねること。ふたかさね。
フタキシキン [ɸu̥⸢ta⸣ki̥ʃikiŋ]普段着。常時着る着物。平常服。{常住着}{ジョウ|ジュウ|ギ}。着たっきりの着物。「一着だけを着続ける着物」の義。接頭語⸣フタ[⸣ɸu̥ta](いちず。専ら~。そのまま~。継続して~。日常的に続けて~)は「ひた(直)」の転訛した接頭語で、動詞の連用形に上接したもの。
フタキナ [ɸu̥⸢taki⸣na]直ちに。直ぐに。ただちに(直ちに)。すぐさま。さっそく。若年層は、フ⸢タケ⸣ナ[ɸu̥⸢take⸣na](すぐさま)ともいう。
フタキム [ɸu̥⸢takimu]ふたごころ(二心)。裏切りの心。若年層はフ⸢タグクル[ɸu̥⸢tagukuru](二心)ともいう。
フタグクル [ɸu̥⸢tagukuru]二心。
フタケナ [ɸu̥⸢take⸣na]直ちに。直ぐに。すぐさま。さっそく。
フタサバン [ɸu̥⸢tasabaŋ]蓋付きの茶碗。
フタシゥカイ [ɸu̥⸢ta⸣sï̥kai]{1}常用すること。持続的に使用すること。
フタシゥカイ [ɸu̥⸢ta⸣sï̥kai]{2}使用人として使うこと。下男、下女として奉公させること。
フタシジ [ɸu̥⸢taʃiʤi]二粒。
ブダッカルン [bu⸢dakkaruŋ]自動飛び上がる。飛び跳ねる。
フタッチン [ɸu̥⸢tatʧiŋ](数)二つ。二個。二粒。粒状のものを数えるのに用いる語。「二粒」の義か。
フダッツメー [ɸu⸢datʦumeː]{1}(動)ヤモリ(守宮)。
フダッツメー [ɸu⸢datʦumeː]{2}家の外に出ない人。{引籠}{ヒキ|コ}もりの人。
フタティー [ɸu̥⸢tatiː]{1}両手。両腕。カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)の対義語。
フタティー [ɸu̥⸢tatiː]{2}両方の水桶。
フタディル [ɸu̥⸢tadiru]弁当を入れる{蓋付}{フタ|ツキ}の{笊}{ザル}。蓋付きの{籠}{カゴ}。⸢クー⸣ジ[⸢kuː⸣ʤi](トウヅルモドキ)の皮で編みあげた蓋付きの笊。畑や海へ行く際に持参した。また、日帰りで⸢パイ⸣ター[⸢pai⸣taː](南端、西表島北部の水田地帯)へ田仕事で行く際もそれを持参した。「蓋笊」の義。⸢ウンヌ⸣イー[⸢ʔunnu⸣ʔiː](芋を煮て{捏}{コ}ねてボール状に握ったお握り)や、カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](御数。菜。副食物)などを入れておくのに用いた。冷蔵庫のなかった時代には、この蓋付きの笊に食物を入れて風通しのよい木陰の枝に吊るしておくと、食品は長持ちできたし、蝿などの昆虫が付くこともなく、衛生的に食品を保存し、運搬することができた。
フタトゥシ [ɸu̥⸢tatuʃi]二年。
フタナイラ [ɸu̥⸢tanaira]二人で代わる代わる。
フタナカ [ɸu̥⸢tanaka]{1}二つのものの間。あいなか(相中)。
フタナカ [ɸu̥⸢tanaka]{2}母屋と炊事小屋の間。
フタナンカ [ɸu̥⸢tanaŋka]二七日忌。人の死後14日目に執り行われる法事。
フタニバシ [ɸu̥⸢taniba⸣ʃi]直接醗酵。こうじ(麹)をしたてる際に、原料の米や大豆などを蒸して筵などに広げ、そのまま醗酵させること。「そのまま寝かせ」の義。マ⸢タニバシ[ma⸢tanibaʃi](「又度寝かせ」の義。盛り上げてある程度醗酵させた後、更に原料を加えて広げて醗酵させること)の対義語。
フタニビ [ɸu̥⸢tanibi]二度寝。一度目覚めた後に、もう一度寝ること。
フタニビ [ɸu̥⸢ta⸣nibi]寝続けること。寝たきり~。
フダニン [⸣ɸudaniŋ]納税義務者(満十五歳から五十歳の人)。琉球国時代に満十五歳になると一人前として納税の義務を負わされ、田地の配分を受ける権利を有した人。村の祭祀行事にも一人前の人間として参加した。「札人」の義か。⸢Fuda.フダ(札) 禁制のこととか人々の名前とかなどを書きつける小さな板」『邦訳日葡辞書』や書状などによって役所から通知された人。
フタヌ ナーン ジンパク [ɸu̥⸢tanu naː⸣n ⸢ʤim⸣paku]豚便所。「蓋のない銭箱」の義。諺。戦前までは主婦は豚便所で養豚していた。肥育した豚を売って金を儲けたので、豚便所を比喩的に「蓋のない銭箱」と表現した。
フタバーキ [ɸu̥⸢tabaːki](数)竹製{笊}{ザル}の二杯分の量。「二笊」の義。
フタバキ [ɸu̥⸢tabaki]二分すること。両分すること。「二分け」の義。
フタバリ [ɸu̥⸢tabari]二つ割り。真っ二つに割ること。
フタパリ [ɸu̥⸢ta⸣pari]行ったきり。行ったきり戻らないこと。
フタパン [ɸu̥⸢tapaŋ]両足。両脚。カ⸢タ⸣パン[kḁ⸢ta⸣paŋ](片足)の対義語。
フタピサヤー [ɸu̥⸢tapi̥sajaː]切妻屋根。棟を境に両方に流れを持つ屋根、切破風の屋根。「二平屋」の義。「Catafira.カタヒラ(片平)家の屋根の流れの片側」『邦訳日葡辞書』の両面のこと。
フタヒル [ɸu̥⸢taçiru]二尋。フ⸢タイル[ɸu̥⸢tairu](二尋)ともいう。
フタマタ [ɸu̥⸢tamata]{1}二股。もとが一つで、末が二つに分かれたもの。
フタマタ [ɸu̥⸢tamata]{2}二股の鍬。
フタマタ カキルン [ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ]{1}ふたまた(二股)をかける。同時に二つの物事を達成しようとする。
フタマタ カキルン [ɸu̥⸢tamata⸣ kḁ⸢ki⸣ruŋ]{2}あちらに付き、こちらに付きして{去就}{キョ|シュウ}が定まらないこと。態度をはっきり示さないこと。
フタマタミチ [ɸu̥tamatamiʧi]二本に分かれた道。分かれ道。二股道。三叉路。
フダマリ [ɸu⸢damari]{神託}{シン|タク}を告げること。{託宣}{タク|セン}。{神懸}{カミ|ガカリ}して神託を告げること。
フダマルン [ɸu⸢damaruŋ]自動神懸りして神の託宣をのべる。神仏の霊が人に{憑依}{ヒョウ|イ}して神仏の意を告げる。⸣サーダカマリ[⸣saːdakamari](セジ高生まれ)の女性に神仏の霊が乗り移って失神状態となり、その後に神仏の意思を語り出すことをいう。
フタミー [ɸu̥⸢tamiː]両眼。二つの目。カ⸢タ⸣ミー[kḁ⸢ta⸣miː](片目)の対義語。
フタムシ [ɸu̥⸢tamuʃi]二度。二回(数詞)。
フタムティ [ɸu̥⸢tamuti]再婚。「二持ち」の義。
フタムニ [ɸu̥⸢ta⸣muni]口癖。常日頃から言っている言葉。「平生から言い続けている言葉」の義。
フダユリ [⸣ɸudajuri]納税免除。{賦役免除}{フ|エキ|メン|ジョ}。琉球国時代、五十歳以上になって納税・賦役等の義務を免除されたこと。「札許し」の義。
フダル [ɸu⸢da⸣ru]ひしゃく(柄杓)。水甕より水を汲み取るのに用いる道具。「ほだり(秀罇)。本陀理」『古事記 下雄略 歌謡104』の転訛したものか。
フダローマ [ɸu⸢daroː⸣ma]小さな{柄杓}{ヒ|シャク}。{酒甕}{サケ|カメ}から酒を汲み取るのに用いる小さな柄杓。
ブタン [bu⸢taŋ](植){花卉}{カ|キ}の名。観賞用植物。鳩間島には栽培されていないが、石垣方言などからの借用語であろう。
フチ [⸣ɸu̥ʧi]櫛。頭髪をすく道具。「~眞櫛用<マクシモチ>~。万、1233」の転訛したもの。タ⸢キフチ[tḁ⸢kiɸuʧi](竹製の櫛)、⸢キー⸣フチ[⸢kiː⸣ɸu̥ʧi](木製の櫛)、カ⸢ミヌ⸣クーフチ[ka⸢minu⸣kuːɸu̥ʧi]({鼈甲製}{ベッ|コウ|セイ}の櫛)などがあった。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]{1}口。「久知(口)」『古事記中、神武謡13』。「口 姑之」『琉球館訳語』の転訛したもの。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]{2}言葉。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]{3}{端緒}{タン|ショ}。糸口。はじまり。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]{4}~時。~方法。~仕方。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]{5}回数。口に物を入れる回数を表す。
フチ [ɸu̥⸢ʧi]津口。港の入り口。島の回りを取り巻く珊瑚礁の切れ目。船は珊瑚礁の切れ目より港へ出入りした。鳩間島の東南の方には、タ⸢カビ⸣ヌ フ⸢チ[tḁ⸢kabi⸣nu ɸu̥⸢ʧi](タカビ<高干瀬>の津口)があり、西南西の方には⸢ウーグ⸣チ[⸢ʔuːgu⸣ʧi](大津口)がある。定期航路の運搬船はこの津口を通って出入港した。
フチ [⸣ɸu̥ʧi]わらじ({SqBr}g{/SqBr}{草鞋}{ワラジ})。「~刈りばねに足踏ましなむ久都波氣<クツハケ>吾が背。万、3399」の「沓<久都>」が [kuʦu] → [ɸu̥ʦu] → [ɸu̥ʧi] のように転訛したもの。普通は、バ⸢ラフ⸣タフチ[ba⸢raɸu̥⸣taɸu̥ʧi](稲藁で編んだ草鞋)を履いて潮干狩りに行った。稲藁製の草鞋は弱いから一回で履き捨てにしたが、ア⸢ダナ⸣シフチ[ʔa⸢dana⸣ʃiɸu̥ʧi](あだん<阿檀。タコノキ>の気根の繊維で編んだ草鞋)は強いので二、三回使用す  ることが出来た。鳩間島の北西の⸣ピー[⸣piː](干瀬)の⸢フンシキ[⸢ɸuŋʃi̥ki]には、タ⸢カウー⸣ル[tḁ⸢kaʔuː⸣ru](枝珊瑚)が密生していて蛸がよく獲れたので、そこへ行くには⸣フチ[⸣ɸu̥ʧi]を二本要した。
フチ [⸣ɸu̥ʧi](植)薬草の名。ヨモギ(蓬)。
フチ アースン [ɸu̥⸢ʧi ʔaː⸣suŋ]くちうら<口裏>を合わせる。両者が話を一致させる。
フチ アーラスン [ɸu̥⸢ʧiʔaːra⸣suŋ]足りない物を少しずつ分けて皆に配分して食べさせる。
フチ アキルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kiruŋ]{1}口を開ける。何かをし始める。
フチ アキルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kiruŋ]{2}イダフニの通行のため、魚垣の一部を開けて通した後に元通りに石垣を積みなおすこと。
フチ アクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔa⸢kuŋ]口を開ける。
フチアタル [ɸu̥⸢ʧiʔataru]{1}口当たり。くちざわり(口触り)。
フチアタル [ɸu̥⸢ʧiʔataru]{2}悪口や{呪詛}{ジュ|ソ}に満ちた言葉に当って災いを受けること。
フチイカラーン [ɸu̥⸢ʧiʔikaraː⸣ŋ]口の中が不快である。食中毒気味で口中が正常でない。
フチイリ [ɸu̥⸢ʧiʔiri]申し込み。取引の申し込み。「口入れ」の義。
フチ ウキルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢ki⸣ruŋ]申し込みを受ける。申し込みを承諾する。
フチ ウクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔukuŋ]申し込みを受ける。
フチ ウスーン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔu⸢suːŋ]沈黙する。口を締める。口を慎む。「口を{覆}{オオ}う」の義。
フチウタイ [ɸu̥⸢ʧiʔutai]口答え。反抗。「Cuchigotaye.クチゴタエ(口答)自分に命ぜられた事に対して言い訳をするような返答」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フチェー ウイナリ [ɸu̥⸢ʧeː ʔui⸣nari]反抗して。叱って指導するのに対して逆に口答えして反抗する。「口は上になって」の義。
フチェーラ シダキ マリ [ɸu̥⸢ʧeːra⸣ ʃi⸢daki⸣ ma⸢ri]口から先に生まれて。{能弁}{ノウ|ベン}な者を形容して言う表現。
フチガール [ɸu̥⸢ʧigaːru]自慢。大{法螺}{ホ|ラ}を吹くこと。威張ること。自分で自分を{褒}{ホ}める。自分に関係の深いことを褒めそやし、他人に誇ること。言葉で⸢ガー⸣ルン[⸢gaː⸣ruŋ](自慢する。応援する。威勢よく掛け声を上げて乱舞する)こと。
フチガイシ [ɸu̥ʧigaiʃi]他人の{呪詛}{ジュ|ソ}を返す{呪}{マジナ}い。「口返し」の義。フ⸢チンガイシ[ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃi](口返し)ともいう。
フチカカー [ɸu̥⸢ʧikakaː]三つ口。{兎唇}{ト|シン}。{口唇裂}{コウ|シン|レツ}。「口欠け者」の義。
フチカキムヌ [ɸu̥⸢ʧikakimunu]縁の欠けたもの。縁の欠けた碗や什器類。「縁欠け物」の義。
フチカザ [ɸu̥⸢ʧikaʣa]{口臭}{コウ|シュウ}。「口の臭い」の義。
フチガザ [ɸu̥⸢ʧigaʣa]口角炎。
フチカサマサン [ɸu̥⸢ʧikasama⸣saŋ]口がうるさい<煩い>。くちやかましい<口喧しい>。フ⸢チ ンガマ⸣サン[ɸu̥⸢ʧi ʔŋgama⸣saŋ](口煩い)ともいう。
フチカザル [ɸu̥⸢ʧikaʣaru]まじない(呪い)ごとを{唱}{トナエ}ること。儀礼を伴わずに口で祈願の呪文を唱えること。心配事や危機に直面したとき、神仏に安全祈願の呪文を唱える習慣がある。
フチカジ [ɸu̥⸢ʧikaʤi]くちかず(口数)。ことばかず。話す回数。
フチ カターン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢taː⸣ŋ]口が堅い。約束をまもる。秘密を口外しない。
フチ カタミルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢tamiruŋ]口止めする。秘密にする。口外しないようにする。「口を固める」の義。フ⸢チ⸣ カ⸢タムン[ɸu̥⸢ʧi⸣ kḁ⸢tamuŋ](口止めする)ともいう。
フチカナイムヌ [ɸu̥⸢ʧikanai⸣munu]能弁者。おしゃべり。「口適い者」の義。
フチ カナウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kanauŋ]{1}口答えをする。反抗する。「{口適}{クチ|カナ}う」の義。
フチ カナウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ kanauŋ]{2}弁が立つ。能弁である。
フチカローン [ɸu̥⸢ʧikaroː⸣ŋ]口が軽い。軽率である。
フチカンスル [ɸu̥⸢ʧikansuru]厳しい口調。厳しく尋問すること。「口剃刀」の義。
フチギライ [ɸu̥⸢ʧigirai]ものたち(物断ち)をすること。病気や健康のために特定の飲食物を断って取らないこと。「{口嫌}{クチ|キライ}」の義。
フチグシ [ɸu̥⸢ʧiguʃi]口癖。
フチグッふァン [ɸu̥⸢ʧiguf⸣faŋ]口が重い。軽々しくものを言わない。言葉がなめらかに出ない。「Cuchiuomoi.クチヲモイ(口重い) 話がのろくて、口べたな(人)、または、口数の少ない(人)」『邦訳日葡辞書』。
フチクバーン [ɸu̥⸢ʧikubaː⸣ŋ]どもり(吃り)がちである。口下手である。上手に話せない。フ⸢チ[ɸu̥⸢ʧi](口)に「Couai.コワイ(強い)固くてこわばった(もの).また、比喩.骨の折れる(もの)、あるいは、苦痛の種になる(もの)、恐怖を感じさせる(もの)」『邦訳日葡辞書』が付いて形成された合成語であろう。
フチクバリムニ [ɸu̥⸢ikubari⸣muni]どもり(吃り)のことば。{吃音}{キツ|オン}による物言い。ン⸢ガニ[ʔŋ⸢gani](どもり)ともいう。たどたどしい物言い。
フチ クバルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ku⸢ba⸣ruŋ]どもる(吃る)。「口強張る」の義。
フチクバレー [ɸu̥⸢ʧikuba⸣reː]どもり(吃り)。吃音者。「口強ばり者」の義。フ⸢チクバリ⸣ムヌ[ɸu̥⸢ʧikubari⸣munu](どもり)ともいう。ン⸢ガナー[ʔŋ⸢ganaː](どもり<吃り>)ともいう。
ブチクン [bu⸢ʧi⸣kuŋ]気絶。一時的に{人事不省}{ジン|ジ|フ|セイ}(意識不明)に陥ること。
フチ コールン [ɸu̥⸢ʧi koː⸣ruŋ]頑なに言い張る。「口」に「Couari,ru,atta.コワリ、ル、ッタ(強り、る、った)物が固くなる、または、強直する」『邦訳日葡辞書』が下接して形成された連語であろう。⸢ギーンゴー⸣ルン[⸢giːŋgoː⸣ruŋ](強情に言い張る)ともいう。
フチ コイルン [ɸu̥⸢ʧi koi⸣ruŋ]口が肥える。口がおご(奢)る。美味いものを沢山食べて、食物に対する好みが贅沢になる。
フチザイ [ɸu̥⸢ʧiʣai]食べることばかりを考えていること。食べることしかできないこと。生活すること<食べること>にかまけて、他のことを考える余裕がないこと。接尾語-ザイ[-ʣai](~かまける<{感}{カマ}ける>。~拘泥する)が名詞や動詞の連用形に下接して、その名詞の指し示す意味内容や動詞の指し示す動作・作用に感ける意味を表す。
フチサキ [ɸu̥⸢ʧisaki]言葉の上だけのこと。うわべばかりの言いぐさ。言うだけで誠意がないこと。「口先」の義。
フチザシ [ɸu̥⸢ʧiʣaʃi]さしでぐち。ようかい(容喙)。「口出し」の義。
フチサラーン [ɸu̥⸢ʧisaraː⸣ŋ]喋りが{流暢}{リュウ|チョウ}である。能弁である。
フチザライ [ɸu̥⸢ʧiʣarai]{津口}{ツ|グチ}を{浚渫}{シュン|セツ}すること。「口浚え」の義。
フチサンシン [ɸu̥⸢ʧisaŋʃiŋ]口三線。くちじゃみせん(口三味線)。⸢デン⸣トゥンデン⸢トゥンと口で三線の音や曲をまねること。
フチシ ドゥー ムトゥン [ɸu⸢ʧi⸣ʃi ⸣duː ⸣mutuŋ]口先で世間を渡る。「口で体を持つ<生命を維持する>」の義。
フチ シビルン [ʧu̥⸢ʧi⸣ ʃi⸢biruŋ]くちづけ(口付け)する。接吻する。「口を吸う」の義。フ⸢チ シッピルン[ɸu̥⸢ʧi ʃippiruŋ](くちづけをする)ともいう。シ⸢ビルン[ʃi⸢biruŋ](強く吸う。嘗める)は甘いものをしゃぶって食べたり、乳児の{洟垂}{ハナ|タレ}を母親が口で吸い取ることにもいう。
フチジル [ɸu̥⸢ʧiʤiru]なまつば(生唾)。おいしいものや{酸}{ス}いものを見た時などに、自然に口中に分泌される唾液。「口汁」の義。
フチジル キシルン [ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ]{1}口中に唾液が盛んに出てくる。フ⸢チジル⸣ キスン[ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥suŋ](口中に唾液が盛んに出る)ともいう。キ⸢シ⸣ルン[ki̥⸢ʃi⸣ruŋ](酢が十分に醗酵する)は、{甕}{カメ}の中で⸢パイル[⸢pairu](酢)の{種}{タネ}が十分に熟成することにも言い、唾液が多量に分泌することにも言う。
フチジル キシルン [ɸu̥⸢ʧiʤiru⸣ ki̥⸢ʃi⸣ruŋ]{2}すいぜん(垂涎)する。ひどく食べたがる。
フチ スールン [ɸu̥⸢ʧi suːru⸣ŋ]言語能力が成長する。言うことがませてくる。語彙が増えて表現力が向上する。「口が成長する」の義。
フチズーワン [ɸu̥⸢ʧiʣuː⸣waŋ]物言いが厳しい。「口強し」の義。
フチスクライ [ɸu̥⸢ʧisu̥ku⸣rai]何か食べているように口を動かすこと。口をもぐもぐさせる。「口」・⸢Tçucuroi,roˆ,oˆta.ツクロイ、ゥ、ゥタ(繕)整える~」『邦訳日葡辞書』の転訛か。
フチスブー [ɸu̥⸢ʧisubuː](動)魚の名。和名、アカマツカサの仲間(体長約20センチ)、目玉が大きく体色は薄い朱色。{鰓}{エラ}の下から腹部にかけてやや白みがかっている。和名、ウロコマツカサ、体長約25センチ。ウロコマツカサはフ⸢チスブー[ɸu̥⸢ʧisubuː]に似る。体表に細い黒色の縞が頭部からストライプ状に5、6本並ぶが、これにもフチスブーという
フチスボーン [ɸu̥⸢ʧisuboː⸣ŋ]しぶい(渋い)。「口渋・有り」の転訛したもの。未熟なバ⸢サン⸣ナル[ba⸢san⸣naru](バナナ)の味等を表す。舌の上や口中にカサカサ感、ザラザラ感を残す味覚。
フチ タタックン [ɸu̥⸢ʧi⸣ tḁ⸢tak⸣kuŋ]自慢する。ほら(法螺)を吹く。「Cuchitataqi.クチタタキ(口叩き)ぺちゃくちゃとよくしゃべる者.Cuchiuo tataqu(口を叩く)よくしゃべる」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。
フチダリ [ɸu̥⸢ʧidari]{喋}{シャベ}り過ぎて口を開くのが{億劫}{オッ|クウ}になること。口がだるくなること。喋るのが疲れること。「口・だれる」の義。
フチックナー [ɸu̥⸢ʧikkunaː]他人が食べるのを見て、自分も食べたそうに口をもぐもぐ動かすこと。舌なめずり。「口較べ」の義か。
フチ ッサールン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saːruŋ]口を閉じる。物を言わなくなる。口を{塞}{フサ}ぐ。
フチ ッサーン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢saː⸣ŋ]口臭がある。「口が臭い」の義。
フチ ッサウン [ɸu̥⸢ʧi⸣ s⸢sauŋ]口を閉じる。口を締める。「口・塞ぐ」が、[kuʧi・ɸusagi] → [ɸu̥ʧi・ssagi] → [ɸu̥ʧi・ssai] のように音韻変化(逆行同化)して転訛したもの。
フチッサリカザ [ɸu̥⸢ʧissari⸣kaʣa]口臭。「口腐れ臭い」の義。
フチ トゥルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ turuŋ]口真似をする。親の口真似をする。受け売りをする。
フチナイ [ɸu̥⸢ʧinai](動)魚の名。和名、ハナフエフキ(体長約25センチ)。和名、イソフエフキ(体長約25センチ)。鳩間島の前の浜で、延縄をしてよく釣り上げた。高級魚の一つ。
フチナシイズ [ɸu̥⸢ʧinaʃiʔiʣu](動)魚の名。和名、コチ(体長約70センチ)。イソフエフキ(体長約25センチ)。高級魚の一つ。白身の肉が美味である。鳩間島の前の浜で、延縄で釣れた。島の周囲でよく釣れる。焼き魚、から揚げ、煮付け、刺身等にして食された
フチ ニーバン [ɸu̥⸢ʧi niːbaŋ]{1}{喋}{シャベ}るのが遅い。話すのが遅い。⸢Cuchi vosoi.クチヲソイ(口遅い)話すのがおそい」『邦訳日葡辞書』の転訛。フ⸢チ⸣ ク⸢バー⸣ン[ɸu̥⸢ʧi⸣ ku⸢baː⸣ŋ]({吃}{ドモ}ってなかなか喋れない。話すのがおそい)、フ⸢チ フコー⸣ン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸukoː⸣ŋ] ともいう。
フチ ニーバン [ɸu̥⸢ʧi niːbaŋ]{2}幼児の話し始めるのが遅い。
フチニチ [ɸu̥⸢ʧiniʧi]口の中に熱が出ること。「口熱」の義。
フチヌ アクママ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ ʔa⸢kumama]口のあくまま。言いたい放題に言うこと。
フチ ヌイ スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ nui ⸣su̥kuŋ]黙らせる。喋らないようにする。「口を縫っておく」の義。
フチ ヌシトゥン [ɸu̥⸢ʧi nuʃi̥⸣tuŋ]{1}口をぬぐう(拭う)。口を軽く拭き取る。口の回りの汚れを拭う。
フチ ヌシトゥン [ɸu̥⸢ʧi nuʃi̥⸣tuŋ]{2}そしらぬ顔をする。
フチヌシバ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ʃiba]唇の総称。
フチヌ パー [ɸu̥⸢ʧi⸣nu ⸣paː]櫛の歯。
フチヌ パジェー ナーヌ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ paʤeː ⸢naː⸣nu]食い意地がはって恥ずかしいとも思わない。口の恥が無い。
フチヌ パタ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pḁ⸢ta]口の周辺。
フチヌ ピライ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ pirai]表面だけの付き合い(言葉の付き合い)。「口の付き合い」。
フチヌ マイ [ɸu̥⸢ʧinu⸣ mai]くちすぎ(口過ぎ)。食費を得るだけのこと。{糊口}{コ|コウ}。生計。「口の前<生計分。食べる分>」の義。
フチヌ ヤムンケン [ɸu̥⸢ʧinu⸣ jamuŋkeŋ]くちすっぱく(口酸っぱく)言い聞かせる。「口が痛くなるまで」の義。
フチノーシムヌ [ɸu̥⸢ʧinoːʃi⸣munu]口直し。苦い薬や{不味}{マ|ズ}いものを飲食した後、その味を消すために食する甘い物や美味な物。「口直し物」の義。
フチ ノールン [ɸu̥⸢ʧi noː⸣ruŋ]口の傷や味覚障害が治る。「口が治る」の義。
フチパク [ɸu̥⸢ʧi⸣pḁku]櫛箱。女性用の櫛やびんつけ油、鏡などを収納した木箱。
フチバシ [ɸu̥ʧibaʃi]くちばし(嘴)。
フチパジ [ɸu̥⸢ʧipaʤi]軽々しくものを言うこと。慎みがなくものを言うことで恥をかくこと。「口恥」の義。
フチ パタッカルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkaruŋ]{1}口を開ける。
フチ パタッカルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ pḁ⸢takkaruŋ]{2}唖然とする。ぼうぜん(呆然)となる。あっけ(呆気)にとられて、あいた口がふさがらないさま。
フチパブ [⸣ɸu̥ʧipabu](動)和名、オオイカリナマコ。浅い珊瑚礁の砂地に棲息している。直径約2~3センチの円筒状の体形で、体長約は約2メートル。海砂の上に長く伸びたり、折りたたんだように這っているのでウミヘビと間違えることがある。グロテスクな感じを与える。
フチパヤーン [ɸu̥⸢ʧipajaː⸣ŋ]口が早い。早口である。
フチビー [ɸu̥⸢ʧibiː]いぼ(疣)。皮膚上に突起した角質の小さな塊。「贅、布須倍(ふすべ)」『和名抄』の義。ミ⸢ジフチビー[mi⸢ʤiɸuʧibiː](柔らかい疣)、イ⸢シフチビー[ʔi⸢ʃiɸu̥ʧibiː](固い疣)がある。
フチピーワン [ɸu̥⸢ʧipiː⸣waŋ]えがらっぽい。口内がひりひりして、{痺}{シビ}れるような感じがする。食中毒を起こす前兆として、口内がひりひりしてくる感じを表す。ビ⸢ロー⸣サ[bi⸢roː⸣sa](くわずいも)の汁液が唇にかかると、ひりひりしてくる感じを表す。
フチビタ [ɸu̥ʧibita]くちべた(口下手)。くちぶちょうほう(口不調法)。口のきき方が下手であること。首里方言から転訛した語。老年層はフ⸢チブックー[ɸu̥⸢ʧibukkuː](口下手)という。
フチ フーン [ɸu̥⸢ʧi ɸuːŋ]口を閉じる。口をつぐむ(噤む)。口を塞ぐ。
フチフイ [ɸu̥⸢ʧiɸui]寒さで口が震えること。「口振るえ」の義。
フチブク [ɸu̥⸢ʧibuku]口下手。口不調法。
フチフコーン [ɸu̥⸢ʧiɸu̥koː⸣ŋ]口下手である。口が遅い。喋りが遅い。
フチブシ [ɸu̥⸢ʧibuʃi]口達者。能弁家。口先だけで勇ましいことを言う者。虚勢を張る者。「口武士」の転訛したもの。
フチ フラックン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ɸu⸢rakkuŋ]ものを言う。話をする。「口を開く」の義。
フチ マイヤン [ɸu̥⸢ʧi mai⸣jaŋ]口が大きい。
フチマチル [ɸu̥⸢ʧimaʧiru](海底地名)。⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]の北西部にある干瀬が外洋部から湾入した所。フチマチル漁をするところ。外洋から干瀬の頂上部に海草を食べに上がった魚は引き潮で外洋や⸣フキクムル[⸣ɸu̥kikumuru]の方へと下がっていく。その魚道に網を仕掛けて⸢クー⸣レー[⸢kuː⸣reː](チョウチョウコショウダイ。クロコショウダイ)やシ⸢ツ[ʃi̥⸢ʦu](クロメジナ)などを漁獲する。
フチマチル ウラシ [ɸu̥⸢ʧimaʧiru⸣ ʔu⸢ra⸣ʃi]⸣タカアン[⸣tḁkaʔaŋ](高網)や⸣キタアン[⸣ki̥taʔaŋ](桁網)、ヤ⸢シ⸣ミーアン[ja⸢ʃi⸣miːʔaŋ](広目<八十目>網)を使って、主として島の北西の干瀬のフチマチルで行われた漁法。満ち潮に乗って⸢ピーヌ⸣クシ[⸢piːnu⸣ku̥ʃi](干瀬の外。外洋)から海藻を食いに、干瀬の上に上ってくる魚を巻き取る漁法
フチマリカザ [ɸu̥⸢ʧimari⸣kaʣa]きな臭さ。薪がくすぶる時の煙の臭い。「燻り臭い」の義。
フチマルン [ɸu̥⸢ʧi⸣maruŋ]自動くすぶる(燻る)。けむる(煙る)。もうもうと煙る。「Fusube,uru,eta.フスベ,ブル,ベタ(燻べ、ぶる、べた) いぶす.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
フチミーザン [ɸu̥⸢ʧimiː⸣ʣaŋ]ものの味が不味い。ものの味が不味く感じられる。「口不味い」の義。多くは重い病気に罹った際に使用されることが多い。
フチ ムサリンダー [ɸu̥⸢ʧi⸣ mu⸢sarin⸣daː]口をむしられる({毟}{ムシ}られる)ぞ。口をちぎら(千切ら)れるぞ。
フチムチ [ɸu̥⸢ʧi⸣muʧi]よもぎもち(蓬餅)。旧暦三月三日の節句の日に作って食べる。
フチ ヤーラーン [ɸu̥⸢ʧi jaː⸣raːŋ]ものごし(物腰)柔らかい。ことばつきが優しい。「口が柔らかい」の義。
フチャギ [ɸu̥⸢ʧa⸣gi]十五夜の餅。「吹き上げ餅」の義。円柱形の餅の周りに煮た小豆を{塗}{マブ}した餅。これを皿に盛り、庭に台を置いてススキを活けた瓶一対と酒を入れた⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ](燗瓶)一対とともに十五夜の月に供えた。家族一同が揃って健康祈願をした後、ご馳走を頂いた。子供達も深夜まで月見の遊びが許された。
フチヤクスク [ɸu̥⸢ʧijakusuku]口約束。口だけで嫁取の約束をしたり、物品売買、その他の約束をすること。
フチヤニヤン [ɸu̥⸢ʧijani⸣jaŋ]口汚い。言葉遣いが汚い。若年層は、フ⸢チヤン⸣ヤン[ɸu̥⸢ʧijaɲ⸣jaŋ](口汚い)ともいう。
フチ ヤビルン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ja⸢bi⸣ruŋ]「口が破れる」の義。大病した後に味覚障害をおこすこと。味覚がおかしくなる。フ⸢チ⸣ ヤブン[ɸu̥⸢ʧi⸣ jabuŋ](口が破れる。口がおかしくなる)ともいう。
プチュルパタラシ [pu̥⸢ʧurupatara⸣ʃi]ぱちぱちと。竹や枯れススキの束がぱちぱちと音を立てて燃え盛るさま。
フチル [ɸu̥⸢ʧi⸣ru]薬。「薬、{療}{レ}病則謂ニ之薬一、久須利(くすり)」『和名抄』の「ス」、「リ」の[u]と[i]母音が音位転換して転訛したもの。老年層はフ⸢シ⸣ル[ɸu̥⸢ʃi⸣ru](薬)ともいう。ヌ⸢ミフチ⸣ル[nu⸢miɸuʧi⸣ru](飲み薬)、⸢クーフチ⸣ル[⸢kuːɸuʧi⸣ru](粉薬)、⸢シンジフチ⸣ル[⸢ʃinʤiɸuʧi⸣ru](煎じ薬)、シ⸢ジフチ⸣ル[ʃi⸢ʤiɸuʧi⸣ru](煎じ薬)、サ⸢ギフチ⸣ル[sa⸢giɸuʧi⸣ru](下げ薬<血圧降下剤>。下剤)、シ⸢キフチ⸣ル[ʃi̥⸢kiɸuʧi⸣ru](塗り薬)、パ⸢リフチル[pa⸢riɸu̥ʧiiru](張り薬)等がある。
フチル スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuŋ]{1}薬が{効}{キ}く。{薬効}{ヤッ|コウ}がある。フ⸢シ⸣ル ⸣スクン[ɸu⸢ʃi⸣ru ⸣su̥kuŋ](薬が効く)ともいう。
フチル スクン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸣su̥kuŋ]{2}効果てきめん(覿面)である。
フチル スン [ɸu̥⸢ʧi⸣ru ⸢suŋ]薬にする。薬として使用する。
フチルヌ ムヌ [ɸu̥⸢ʧiru⸣nu ⸣munu]{滋養}{ジ|ヨウ}食品。薬になる食品。「薬のもの」の義。
フチルヤー [ɸu̥⸢ʧi⸣rujaː]薬屋。薬店。フ⸢シ⸣ルヤー[ɸu̥⸢ʃi⸣rujaː](薬屋)ともいう。
フチンガイシ [ɸu̥⸢ʧiŋgaiʃi]「口返し」の義。フ⸢チガイシ[ɸu̥⸢ʧigaiʃi](口返し)ともいう。他人から受けた{呪詛}{ジュ|ソ}を{祓}{ハラ}うための{呪術}{ジュ|ジュツ}。
フチン サーラヌ [ɸu̥⸢ʧin saːra⸣nu]食べ物が少ないさま。食べ物が少なくて、ほとんど食べられない。食べ物がほんの少ししか口に入らないさま。「口に{触}{サワ}らない」の転訛したものか。
フチンザシ [ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣ʃi]物事の切っ掛けをつくる。最初に手掛けること。手がかりとなることをすること。
フチ ンザスン [ɸu̥⸢ʧi⸣ ʔn⸢ʣa⸣suŋ]口火を切る。最初に言ったり、したりしてきっかけをつくる。
フチンザスン [ɸu̥⸢ʧiʔnʣa⸣suŋ]他動口を出す。差し出口をいう。ようかい(容喙)する。
フチンダタール [ɸu̥⸢ʧindataːru]世間の取り沙汰。世間の噂。くちのは(口の端)にのぼること。口うるさく噂されること。「口立たり」の義か。
フチン ッふァーリン [ɸu̥⸢ʧiŋ⸣ f⸢faːriŋ]口に食われる。悪口を言うとその通りになって、災いが己にふりかかる。ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズ⸣カー フ⸢チン⸣ ッ⸢ふァーリン⸣ティ ⸢スンダ⸣ ヤ⸢ナ⸣ムニ イ⸢ズナ[ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣu⸣kaː ɸu̥⸢ʧiŋ⸣ f⸢faːrin⸣ti ⸢sunda⸣ ja⸢na⸣muni ʔi⸢ʣuna](悪口を言うと口に食われるというから、悪口は言うな)<諺>
フチンドゥ オーリ [ɸu̥⸢ʧindu ʔoːri]口に追われる。子供を食べさせるのに精一杯である。生活に困窮している。
フツァーマ [ɸu̥⸢ʦaː⸣ma]海底地名。津口の名。「小津口」の義。西表島の⸣インダ[⸣ʔunda](伊武田)と⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)の北にある干瀬の中央部にある小さな津口。⸢クーラ[⸢kuːra](久浦)、⸣インダ[⸣ʔinda](伊武田)、トゥ⸢マダ[tu⸢mada](苫田)、⸢ケー⸣ダ[⸢keː⸣da]、⸢ユシ⸣キダー[⸢juʃi̥⸣kidaː](ヨシキ田)、サ⸢キンダ[sḁ⸢kinda](崎田)で通耕する鳩間島の舟は、このフ⸢ツァー⸣マを通っていく。フ⸢ツァー⸣マ[ɸu̥⸢ʦaː⸣ma]より西の干瀬は、⸢イーリジマ[⸢ʔiːriʤima]といい、そのすぐ東側の干瀬にはウ⸢ブ⸣ビー[ʔu⸢bu⸣biː](大干瀬)があり、その東側に⸢ダイ⸣クビー[⸢dai⸣kubiː]があって、この一帯が鳩間島の角又養殖場で、約2万坪の広さがある
ブッカー [⸣bukkaː]不器用。不器用な者。
フッカースン [⸢ɸukkaː⸣suŋ]他動{1}間に入れて差し挟む。挟みこむ。
フッカースン [⸢ɸukkaː⸣suŋ]他動{2}歯を食い縛る。噛みあわせる。
フッカイスン [⸢ɸukkaisuŋ]自動{治癒}{チ|ユ}した熱病が再発する。熱病が繰り返す。若年層は、⸢フッケースン[⸢ɸukkeːsuŋ](熱病が再発する)ともいう。
ブックミルン [⸢bukkumiruŋ]他動ぶち込める。うち混ぜる。{一纏}{ヒト|マト}めにする。
ブックムン [⸢bukkumuŋ]他動ぶち込む。うち混ぜる。一纏めにする。合算する。
プックン [⸢puk⸣kuŋ]自動穴が開く。⸢ピッ⸣クン[⸢pik⸣kuŋ](自動詞、穴が開く。他動、穴をあける。ほがす)ともいう。
フッサールン [⸢ɸussaː⸣ruŋ]自動ぶら下がる。しがみつく。「食い下がる」からの転訛。
ブッター [⸣buttaː]太いもの。太っちょ。厚ぼったいもの。肥えたもの太ったものを卑しめた語。
-ブッター [⸣-buttaː]接尾~だらけ。~まみれ。~でいっぱい(多すぎるさまに対して用いる)。汚れたものを表す語に下接して、⸢~まみれ、~だらけ」を表す。沖縄方言からの借用語か。普通は⸢-ゴー⸣ダー[⸢-goː⸣daː](~まみれ、~だらけ)を用いる。
フッチ ッふン [⸢ɸut⸣ʧi f⸢fuŋ]食いちぎる。噛み千切って食う。
ブッツ [⸢butʦu]へそ(臍)。ほぞ。「臍、和名保曾(ほそ)。俗云倍曾(へそ)」『和名抄』。⸢ティンブッツ[⸢timbutʦu](でべそ。大きなお臍)、ブッ⸢ツォー⸣マ[but⸢ʦoː⸣ma](小さなへそ<臍>)などという。
フッツァスン [⸢ɸutʦa⸣suŋ]他動髪の毛や紙などを{鋏}{ハサミ}でチョキチョキと小刻みに切る。鋏で切り刻む。{抓}{ツ}む。
フッツァミルン [⸢ɸutʦami⸣ruŋ]他動食いしばる。食いしめる。指をくわえ<{銜}{クワ}え>る。「食い詰める」からの転訛。
フッツァムン [⸢ɸut⸣ʦamuŋ]他動指をくわえ(銜え)る。食いしめる。噛む。「食い詰む<下二段>」からの転訛。⸢フッツァミ⸣ルン[⸢ɸutʦami⸣ruŋ]と同じ。
フッツォーリカッツォーリ [⸢ɸutʦoːrikatʦoːri]ぶるぶると震えるさま。ABCDEFBCDE型の重言。⸢震える」の強調表現。
フッツォールン [⸢ɸutʦoːruŋ]自動震える。身震いする。
ブッツキシプス [⸢butʦu⸣ ki̥⸢ʃi⸣pu̥su]お臍の緒を切る人。産婆のいない島では、カ⸢ティ[kḁ⸢ti]、⸢カッティ[⸢katti]といわれる取上げ婆<助産婦の経験者>が煮沸した竹ナイフや炎で焼いて消毒した剃刀を使ってお臍の緒を切ったという
ブッツヌ ブー [⸢butʦunu buː]お臍の緒。
フッツン [⸢ɸut⸣ʦuŋ]他動噛み切る。食い千切る。
ブットゥル [⸢but⸣turu]炒め物。サツマイモやキャッサバの澱粉を熱湯で固めて、さらに油で炒めたもの。弾力のあるジェリー状の炒め物。
プツルパタラ [⸣pu̥ʦurupatara]擬音語。ぱちぱちと。火がぱちぱちと勢いよくもえるさま。いさりび(漁火)の竹松明やススキ松明がぱちぱちと燃えるさま。
フディ [ɸu⸢di]筆。毛筆。
フディキ [ɸu⸢diki]凶作。「不出来」の転。標準語からの借用語。
フディタティ [ɸu⸢di⸣tati]筆立て。筆筒。筆入れ。
フディヌ シゥカ [ɸu⸢dinu⸣ sï̥ka]筆の軸。「筆のつか(柄)」の義。
フドーシ [ɸu⸢doː⸣ʃi]いねこき({稲扱}{イネ|コキ})。「{管}{クダ}<久太>『和名抄』・串<ツラヌク・クシ>『類聚名義抄』」の転訛したもの。直径4~5ミリ、長さ約10センチの竹管二本をわらしべ(藁稭)で貫き通して{蝶番}{チョウ|ツガイ}状に連結したもの。在来種の稲は、フドーシを右手に持って稲穂を挟み、{籾}{モミ}を{扱}{コキ}き落として脱穀した。それを搗き臼に入れて杵で搗き、{芒}{ノゲ}を落として{籾}{モミ}にした。籾は更にピ⸢キウシ[pi̥⸢kiʔuʃi]({挽}{ヒキ}臼)に入れ、{摺}{ス}って玄米にした。玄米は必要に応じて搗き臼で搗いて精白し、⸢パンガマ[⸢paŋgama](羽釜)で炊いて食した。
フドゥ [ɸu⸢du]{1}体格。背丈。身長。
フドゥ [ɸu⸢du]{2}身の程。分際。体力実力。身長体力。
フドゥ [⸣ɸudu]副助{1}歌謡語で、名詞や代名詞などを受けて⸢程度」を表す。沖縄本島方言からの借用語か。/クリフドゥ ウヤニ ウムワリティ トゥシヤ トゥハタチ ナユリドゥン ウヤヌウグヌヤ マダシラン/(これほど親に思われて、年は二十歳になっても親のご恩はまだ知らない。『無蔵念仏節』)。{1}の⸣フドゥ[⸣ɸudu](ほど)は、日常会話では、⸣ブカラ[⸣bukara](~ぐらい)を多用する。
フドゥ [⸣ɸudu]副助{2}~するほど(文語的)。日常会話では、アー⸢シ[ʔaː⸢ʃi](~ほど<~につれて、~にあわせて>)を多用する。ムティとも言う。用言の連体形に下接して「~するほど。~ほど」のように、程度を表す。
ブトゥ [bu⸢tu]をふと(夫)、(ヲヒト<男人>の転)。「夫、ヲフト」『伊呂波字類抄』(鎌倉初期、10巻本)。
プトゥキ [pu̥⸢tu⸣ki]仏。石垣島の桃林寺の山門に、⸣ニヨープトゥキ[⸣nijoːpu̥tuki](仁王仏)が安置されている。友利御嶽のウ⸢ブ⸣ヤー[ʔu⸢bu⸣jaː](本殿。<母屋>の義)にもプ⸢トゥ⸣キ[pu̥⸢tu⸣ki](仏像)が安置されている。
プドゥキ [pu⸢du⸣ki]機織の道具。おさ(筬)。たていと(縦糸)を一定の密度に整えるため、竹または金属の薄い小片を櫛の歯のように連ね、長方形のわく(框)に入れたもの。
プトゥキブニ [pu̥⸢tuki⸣buni]のど仏の骨。「ほとけぼね(仏骨)」の義。
プトゥキルン [pu̥⸢tuki⸣ruŋ]他動ゆるめ、解き放つ。ほどく(解く)。ほどける(解ける)。
ブドゥク [bu⸢du⸣ku](動)貝の名。和名ロウソクイモ。殻は厚くて高い。ら塔は平たく、円錐形状をなす。沿岸の海底砂地に棲息する。子供は、煮て身を取った後の殻の上半分割って親指と中指で{捻}{ヒネ}って回転させ、独楽の代用にして遊んだ。
プトゥクン [pu̥⸢tu⸣kuŋ]他動ほどく(解く)。とく。解き放つ。プ⸢ドゥ⸣クン[pu⸢du⸣kuŋ](解く)ともいう。「ほどく(解く)下二段活用」の四段活用化したもの。
プトゥケーマ [pu̥⸢tukeː⸣ma]小さな仏さま。友利御嶽の本殿に祀られている仏像。
フトゥッチウン [ɸu̥⸢tutʧi⸣ʔuŋ]虫が入って朽ち腐っているサツマイモ。「朽ち腐れ芋」の義。
フトゥッチカーチ [ɸu̥⸢tut⸣ʧikaːʧi]朽ち腐るさま。フ⸢トゥッ⸣チカタッチ[ɸu̥⸢t⸣ʧikḁtatʧi](朽ち腐れるさま)ともいう。ABCDEFD型の重言。
フトゥッチキー [ɸu̥⸢tutʧi⸣kiː]朽木。木の髄が朽ち腐れているもの。
フトゥッチパー [ɸu̥⸢tutʧi⸣paː]虫歯。「朽ちた歯」の義。
フトゥッチパー [ɸu̥⸢tutʧi⸣paː]虫歯。「朽ち歯」の義。
フトゥッチルン [ɸu̥⸢tutʧi⸣ru]自動朽ちる。転じて「虫歯になる」の意にもなる。
フトゥッツァスン [ɸu̥⸢tutʦa⸣suŋ]他動沸騰させる。沸かせる。煮立たせる。
フトゥッツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ]自動朽ちる。「くつ(朽つ) 上二段活用」の四段活用化したもの。
フトゥッツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ]自動{1}沸騰する。ぐつぐつ煮えたぎる。
フトゥッツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ]自動{2}ぶつぶつ不平をいう。ぶつぶつ小言を言う。
フドゥバスン [ɸu⸢dubasuŋ]他動成長させる。養育する。「ほど(程<身分、分際>)」『源氏物語<桐壺>』・Fodofodoni xitagatte(程々に随って)すなわち、bũnzaini xitagatte(分際に随って)『邦訳日葡辞書』と「おふ(生ふ)・せる<成長させる>『古事記(下)』」の合成語か。
フドゥビルン [ɸu⸢dubiruŋ]自動成長する。フ⸢ドゥブンとも言う。
ブトゥフガシムヌ [butu⸢ɸugaʃimunu]夫を裏切る女。姦通する女。
ブトゥ フガスン [bu⸢tu⸣ ɸu̥⸢gasuŋ](夫の目を盗んで)姦通する。「夫の目を盗む<ほがす。穴をあける>」の義。転じて⸢裏切る」の意味。
フトゥフトゥ [ɸu̥⸢tuɸutu]{1}どきどき。激しく動悸するさま。
フトゥフトゥ [ɸu̥⸢tuɸutu]{2}ふつふつ(沸沸)。思いが激しく湧き出るさま。
フドゥブン [ɸu⸢dubuŋ]自動人間が成長する。身長が伸びる。背が伸びる。「ほど(程)・おふ(生)」の合成語か。
フドゥ マイヤン [ɸu⸢du mai⸣jaŋ]体が大きい。巨体である。
フトゥマスン [ɸu̥⸢tumasuŋ]他動{蒸}{ム}らして温める。{麹}{コウジ}などを温める。「浸水、ホトバカス」『運歩色葉集』の転訛したものか。
フトゥミカザ [ɸu̥⸢tumikaʣa]{黴臭}{カビ|クサ}いにおい(臭い)。蒸れて腐敗しつつある臭気。長期間放置した部屋や寝具類の湿った黴臭さ。夏場になると押入れの寝具類はフトゥミカザを放つようになる。
ブトゥムティプス [bu⸢tumuti⸣pu̥su]夫のある人。「夫持ち」の義。
フトゥムン [ɸu̥⸢tumuŋ]自動多少熱気ががこもり、湿気を帯びる。{蒸}{ム}れる。
ブドゥル [bu⸢duru]踊。舞踊。「~立乎杼利<たちヲドリ>~。万、9904」、「躝、踰也、越也、~古由<こゆ>、又乎止留<をどる>」『新撰字鏡』の転訛したもの。⸢飛び上がる、跳ね上がる」の転訛したもの。鳩間島には、ウ⸢ブブドゥ⸣ル[ʔu⸢bubudu⸣ru](伝統的古典舞踊)。
プトゥル [pu̥⸢tu⸣ru]いなびかり(稲光)。稲妻。「Inabicari.イナビカリ(稲光)稲妻」『邦訳日葡辞書』とあるが、鳩間方言のプ⸢トゥ⸣ル[pu̥⸢tu⸣ru]は、「電 波得那(フディヌ)」『琉球館訳語』の転訛したもの。「ほてり(火照り)」に{遡源}{ソ|ゲン}される語であろう。
ブドゥルキョンギン [bu⸢durukjoŋgiŋ]踊や村芝居。⸢踊狂言」の義。キ⸢チゴン[ki̥⸢ʧigoŋ](結願祭)で⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利お嶽<お願>)に奉納される村芝居や踊。
ブドゥルキン [bu⸢durukiŋ]踊り衣装。「踊り衣」の転訛したもの。
ブドゥル シーパナ [bu⸢duru ʃiːpana]踊をする年頃。
ブドゥルシープス [bu⸢duruʃiːpusu]踊り手。⸢踊をする人」の義。
ブドゥルシタフ [bu⸢duruʃi̥taɸu]踊の衣装。踊の衣服をととのえること。コスチューム(costume)。「踊支度」の義。
ブドゥルシンカ [bu⸢duruʃiŋka]踊りの一団。踊りの団員。踊り人数。⸢踊り臣下」の転訛したもの。西村と東村に別れて競演する入子型の舞踊集団の団員。
ブドゥル スン [bu⸢duru suŋ]踊をする。踊る。ブ⸢ドゥルン[bu⸢duruŋ]とは言わない。
ブドゥルゾージ [bu⸢duruʣoːʤi]踊上手。
プトゥルパタラシ [pu̥⸢turupatara⸣ʃi]擬態語。ぴかぴかと。松明が燃えて光るさま。イカ釣りランプ<集魚灯>の光るさま。
ブドゥルヤー [bu⸢durujaː]豊年祭の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](入子踊<⸢常楽舞踊」の義か>)の稽古に指定された家。
フドゥン [⸣ɸuduŋ](植)樹木の名。ホウトウ。フトモモ(蒲桃)。フトモモの実。ビワの実に似た形と色をした香りの高い実がなり、食用となる。西表島の山中に自生している。
フトッツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ]自動{1}{沸騰}{フッ|トウ}する。沸く。煮立つ。
フトッツン [ɸu̥⸢tut⸣ʦuŋ]自動{2}ぶつぶつ不平をいう。
ブナージマヌー [bu⸢naːʤimanuː](地)トゥ⸢マダタバル[tu⸢madatabaru]の南側、ティ⸢ドゥ⸣ク[ti⸢du⸣ku]山の北側斜面に、幅約50メートル、長さ約100メートルの茅の密生した原野がある。これをブ⸢ナージマヌーという。明治末期から大正期にかけて、⸣シザバナリ(下離)の炭坑用の坑木を伐採したり、炭焼き用の材木を伐採したためにできた原野といわれている。昔は竹富島の山で、⸢ソー⸣ノー[⸢soː⸣noː](樟脳の木)を植林した原野という(加治工伊佐氏談)