鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
ノー [⸢noː]脳。脳髄。
-ノー [⸣-noː]終助~<ない>か。打消しの助動詞⸣-ヌ[⸣-nu](~ない)の終止形に付いて反語確認の意味を表す。
ノー サバン [⸣noː ⸢sabaŋ]何をしようと。何をしても。ノー(何を)+⸢{為}{ス}る」の未然形+逆接の接続助詞バン(~ても)。
ノーサン [noː⸢saŋ]しばしば~。たびたび~。幾度も~。動詞を修飾して、くり返す悪い動作内容を予告する。
ノーサンクイサン [noː⸢saŋkuisaŋ]しばしば~。良くないことを予告して、詰問の意を表す。ABCDEFCD型の重言。強調表現。
ノージ [⸢noː⸣ʤi]名字。その家に伝わる家の名前。姓名。首里方言のnoozi(名字)からの借用語。
ノーシシン [noː⸢ʃi⸣ʃiŋ]何としても。どうしても。どのような手段を尽くしても。絶対に。義務や任務の必要性が断定的に述語に係って強意の陳述を表す。
ノーシタンティン [⸢noː⸣ʃi̥tantiŋ]何といったって。どうしても。誰が何と言おうと。ある事柄を強調する際に用いる表現。
ノーシムヌ [⸢noːʃi⸣munu]修理品。修理すべき物。
ノーシン [noː⸢ʃiŋ]いずれにしても。いずれにせよ。どの道。どっちみち。どうせ。ある事態を決め込んで投げやりな気持ちを表す語。
ノーシンクイシン [noː⸢ʃiŋkuiʃiŋ]いずれにしても。どの道。結局。「何しても、これしても」の義。ノー⸢シン[noː⸢ʃiŋ](何しても)の強調表現で、ABCDEFCD型の重言。
ノースン [⸢noː⸣suŋ]他動液体を一気に{零}{コボ}す。器物の中のものを一気に他へ移す。
ノースン [⸢noː⸣suŋ]他動{1}{治}{ナオ}す。{癒}{イヤ}す。古老は⸢ナウ⸣スン[⸢nau⸣suŋ](治す)という。
ノースン [⸢noː⸣suŋ]他動{2}直す。修理する。
ノースン [⸢noː⸣suŋ]他動{3}複合動詞をつくる。動詞の連用形に付いて、⸢~し直す」の意を表す。
ノーラシ ミーラシ [⸢noːra⸣ʃi ⸢miːraʃi]豊年満作にして。稲の穂を完熟させ、芋類の実<地下茎>を太らせる。⸢稔らせ、実入らせる」の義
ノーラスン [⸢noːra⸣suŋ]他動稔らせる。⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](稔る)の未然形に使役の助動詞⸣スン[⸣suŋ](~せる。~させる)が下接して形成された使役動詞。
ノーリオシキ [⸢noːriʔoʃi̥⸣ki]晴天。良い天気。⸢ノーリオシ⸣キ[⸢noːriʔoʃi̥⸣ki](直り・天気)の義。ヤ⸢ブリオシ⸣キ[ja⸢buriʔoʃi̥⸣ki](悪天候)の対義語。
ノーリパヤーン [⸢noːripajaː⸣ŋ]治り易い。「治り早い」の義。⸢ノー⸣ルン[⸢noː⸣ruŋ](治る)の連用形に、形容詞パ⸢ヤー⸣ン[pa⸢jaː⸣ŋ](早い)が下接して形成された派生形容詞。
ノーリユー [⸢noːri⸣juː]豊年。豊作。「稔り世」の義。
ノーリユーサナ [⸢noːrijuːsa⸣na]治りえずに。病気や怪我が治りえないで。⸢ノーリユー⸣スン[⸢noːrijuː⸣suŋ](治ることができる。治り得る)の未然形に打消しの助動詞ヌ[nu](ず。ない)の連用形ナ[na](ずに。ないで)の付いた形。
ノール [⸢noː⸣ru]屋根の桁材と⸣キチ[⸣ki̥ʧi]を固定するために使われるもの。桁と桁の間に横に渡してキチを結わえ、固定するもの。キチの直ぐなものを選んで使った
ノール マイル フベー ブル [⸢noː⸣ru ⸢mairu⸣ ɸu⸢beː⸣ buru]実る稲は頭を垂れる。⸢稔る稲が首を折る」の義。中身の充実した人は頭を低くして謙遜する。<諺>
ノールン [⸢noː⸣ruŋ]自動治る。治癒する。(直る)。壊れたものが直る。元通りに回復する。古老は、⸢ナウ⸣ルン[⸢nau⸣ruŋ](治る。実る。稔る)という。
ノールン [⸢noː⸣ruŋ]自動作物が実る。豊作になる。
ノーン [noː⸢ŋ]何も。何でも。みな。下にくる打消しの語と呼応して、「少しも~ない。全く~ない」の意を表す。
ノーンガサ [noː⸢ŋgasa]何か。何らか。何かしら。内容や実態が特定できない物事、未知の物事を指す。
ノーンコーレー [⸣noːŋkoːreː]なにもかも(何も彼も)。何事も。総て。
ノーンシタンティン [⸢noːŋ⸣ʃi̥tantiŋ]いずれにしても。どうしても。どの道。結局。「何としても」の義。
ノーンティ [naoː⸢nti]何と~<とも>~、どのように~<とも>~、いかように(如何様に)~<とも>~の形で下に程度を強調する逆接の条件句を続け、文末の打ち消し表現と呼応した強調表現をす作る。
ノーンティン [noː⸢ntiŋ]なんとも。なにごととも。文末に打ち消しの語を伴って、「何とも<全く>~ない」の意を表す。
ノーンティン アザランスコー [noː⸢ntiŋ⸣ ʔa⸢ʣaran⸣su̥koː]何とも言えないほど。
ノーンティン クイティン [noː⸢ntiŋ kuitiŋ]うんともすんとも~ない。ほんの一言も~ない。文末に打消しの語を伴う。
ノーンナーカ [noː⸢nnaː⸣ka]何か。何らか。代名詞に特定できない事物や出来事を表す語、⸢ナー⸣カ[⸢naː⸣ka](など)が付いて形成された語。
ノーン ナーヌ [noː⸢n naː⸣nu]何も無い。
ノンカー [⸢noŋ⸣kaː]のんき者(呑気者)。標準語の「呑気」に接尾語⸣ヤー[⸣jaː](~者)が下接して形成された語。