鳩間方言音声語彙データベース

見出し語IPA品詞意味記述
ミー [⸣miː]{1}目。
ミー [⸣miː]{2}穴。
ミー [⸣miː]{3}間。
ミー [⸣miː]{4}~の中。
ミー [⸣miː]{1}権利。かた(形)。抵当。割り当て。
ミー [⸣miː]{2}分け前。取り分。
ミー [⸢miː]運命。めい(命)。天命。
ミー [⸢miː]み(巳)。十二支の第六番目。
ミー [⸢miː]{1}肉。汁の中身。実。「身」の転訛したもの。
ミー [⸢miː]{2}真実。内容。まこと。中身。
ミー [⸣miː]いっぱい。満杯。老年層の使用語彙。若年層は、⸢ピッ⸣チン[⸢pit⸣ʧiŋ](一杯。満杯)という。
ミー [⸢miː](数)三。三つ。⸢ティー[⸢tiː](一つ)、⸢ター[⸢taː](二つ)、⸢ミー[⸢miː](三つ)、⸢ユー[⸢juː](四つ)、⸢イ⸣チ[⸢ʔi⸣ʧi](五つ)、⸢ムー[⸢muː](六つ)、⸣ナナ[⸣nana](七つ)、⸢ヤー[⸢jaː](八つ)、⸣ククヌ[⸣ku̥kunu](九つ)、⸢トゥー[⸢tuː](十)と数える。
ミー [⸣miː]{竿秤}{サオ|バカリ}の目盛り。もんめ(匁)。
ミー [⸢miː]三。
ミー [⸢miː]接頭動植物や、瓦の⸢{牝}{メス}」を意味する。ビ⸢キ[bi⸢ki](雄)の対義語。
ミー [⸣miː]接尾~め(目)。その順番を表す。
ミー [⸢miː]接頭新しい。初めての。「ニヒ(新)、若草の新手枕乎<ニヒタマクラを>~。万、2542」の転訛したもの。
-ミー [⸢-miː]終助~みよ。~ごらん。「~見よ」の転訛か。動詞の連用形に下接して、軽い命令の意を表す。
ミー [⸣-miː]終助~だね。間違いなく~だね。確かな情報をもとに、聞き手に同意を求めて尋ねる。念押し。{1}体言に付く。話し手Aの断定の陳述に対し、聞き手BがAに対し、確認、同意を求める(念押し)。
ミー [⸣-miː]終助{2}用言の終止形に付く。話し手Aの断定陳述内容に対し、聞き手BがAの陳述内容に同意することをAに確認し、同意することを求める。通時的には用言の終止形語尾の⸣-ン[⸣-ŋ]に、強意の間投助詞の「い」⸢~木乃関守伊<紀の関守い>とどめてむかも。万、545」が付いて融合変化し、転訛したものか。
ミー アクン [⸣miː ʔa⸢kuŋ]穴をあける。
ミーアティ [⸢miː⸣ʔati]{1}目当て。目標。目印。
ミーアティ [⸢miː⸣ʔati]{2}頼り。
ミーウイ [⸢miː⸣ʔui]目上。年齢や地位が自分より上の人。
ミーウキカーウキ スン [⸢miːʔukikaː⸣ʔuki ⸢suŋ]落ち着かず目をきょろきょろさせる。
ミー ウクン [⸣miː ʔu⸢kuŋ]平常心を失う。落ち着かず目がきょろきょろする。慌てふためく。⸢目が浮く」の義。
ミーウシ [⸢miː⸣ʔuʃi]牝牛。ビ⸢キウシ[bi⸢kiʔuʃi](雄牛)の対義語。
ミー ウスーン [⸣miː ʔu⸢suːŋ]ごまかす。だます。「目を覆う」の義。
ミーウタスン [⸢miːʔuta⸣suŋ]他動見落とす。ミ⸢リパンツァ⸣スンとも言う。
ミーウチ [⸢miː⸣ʔuʧi]身内。縁者。親類。標準語からの借用語。
ミーウティ [⸢miː⸣ʔuti]死去すること。落命すること。「命落ち」の義。多くの場合、目上の人が死去する際に用いる。
ミーウブイ [⸢miː⸣ʔubui]見覚え。
ミーオー [⸢miː⸣ʔoː]雌豚。
ミーカ [⸢miːka]三日。
ミーガーガー [⸢miːgaː⸣gaː]穴が多数あいていること。隙間だらけになること。障子や板戸、桶の底、船底などに穴が多数あいていること。
ミーカースン [⸢miːkaː⸣suŋ]他動面会する。お目にかかる。「目交わす」の転訛か。
ミーガーラ [⸢miːgaː⸣ra]めがわら(雌瓦)。平瓦。粘土を一定の形<ゆるく湾曲した台形>に成形し、焼成した屋根葺き用の瓦。ビ⸢キガーラ[bi⸢kigaːra](牡瓦)の対義語。屋根のユ⸢チル[ju⸢ʧiru](えつり)に粘土を捏ねて乗せ、それにめがわら(雌瓦)を二枚ずつ重ねて並べ、その継ぎ目に粘土を乗せて接着し、更にその上にビ⸢キガーラ[bi⸢kigaːra](牡瓦)を被せ、瓦を連結して屋根を葺きあげていく。最終的には瓦の継ぎ目に漆喰を塗って固定させ、屋根葺きを完成させる。
ミーカキムヌ [⸢miːkaki⸣munu]まぶた(瞼)に傷のある人。⸣ミーカカー[⸣miːkakaː](瞼に傷のある人)ともいう。
ミーカギン [⸢miː⸣kagiŋ]目分量。計量器具を用いないで目分量で測ること。目測すること。「目加減」の義。
ミーカサマサーン [⸢miːkasama⸣saːŋ]目が異常である。目がかさついて見づらい。目が見づらくて不愉快である。
ミーカシキ [⸢miːkaʃi̥ki]三日月。ミ⸢カジキ[mi⸢kaʤiki](三日月)ともいう。
ミーカンガン [⸢miːkaŋ⸣gaŋ]水中眼鏡。漁師が海に潜って漁をする際に装着する手製の水中眼鏡。ッ⸢スイキー[s⸢suikiː](モンパノキ)でゴーグルの型を彫り、ガラスを丸く割って縁取りをし、ゴーグル型に嵌めてつくる。
ミーガンキョー [⸢miːgaŋ⸣kjoː]眼鏡。「目眼鏡」の義。
ミーキー [⸢miː⸣kiː]めぎ(雌木)。雌株。実のなる樹木。「megui.メギ(雌木)雌の樹木;Vogui(雄木)」『邦訳日葡辞書』。
ミーキスン [⸢miː⸣ki̥suŋ]他動見切る。見捨てる。見限る。
ミーグチグヮー [⸢miːguʧi⸣gwaː](海底地名)。小さな新津口。⸢イーリマイズニ[⸢ʔiːrimaiʣuni](西前曽根)の西側にある干瀬の小さな津口。⸢ウー⸣グチ[⸢ʔuː⸣guʧi](大津口)の後に使われたので、「小新津口」と命名された。「~グヮー[~gwaː](「小」の指小辞。diminutive)」は沖縄方言であるから、糸満漁師がイカ釣り漁のためにサバニを二隻組み、双胴船仕立てにして鳩間島へ帆走してきて漁労に従事した頃に伝播した方言であろう
ミーグッふァン [⸢miːguf⸣faŋ]非常に眠たい。瞼が重い。
ミーグトゥ [⸢miːgu⸣tu]みもの(見物)。珍しい見世物。素敵な見物。「みごと(見事。興行)」の義。
ミーグトゥ シキグトゥ [⸢miː⸣gutu ʃi̥⸢kigutu]優れた見物催し物。優れたエンターティメント。⸢見ごと、聞きごと」の転訛。
ミークラガン [⸢miːkura⸣gaŋ]めまい({眩暈}{ゲン|ウン})。「目くらみ」の義か。「Mecurumecu.メクルメク(目くるめく)文章語。Meno mŏ coto(目のまふこと)頭がくらくらする病気、または、目がくらむ病気.~」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。ドゥ⸢ク⸣ヌ ⸣アツァティ ⸢ミークラ⸣ガン ⸢シース[du⸢ku⸣nu ⸣ʔaʦati ⸢miːkura⸣gaŋ ⸢ʃiːsu](あまりにも暑いので、めまい(眩暈)がする<頭がくらくらする。頭が回って目がくらむ>)
ミークラガン スン [⸢miːkura⸣gan ⸢suŋ]めまい(眩暈)がする。立ち暗みする。
ミーグルグル [⸢miːguru⸣guru]目をくるくるさせるさま。きょろきょろするさま。きょろきょろ見回すさま。落ち着かないさま。
ミーケーラ [⸢miːkeːra](数)三回。三度。「三・かへり<返り>、ただひとかへり舞ひて入りぬるは~。源氏<若菜下>の『かへり』が付いて形成された語」の転訛したものか。
ミーケン [⸢miːkeŋ](数)三回。回数、度数の頻度を表す。四回以上にはあまり使わない。
ミーコーガー [⸢miːkoː⸣gaː]病気で痩せこけ眼球がへこんださま。
ミーコーヤー [⸢miːkoː⸣jaː]おめざ。「お目覚め」の義。子供が朝起きたときに与える菓子類やご飯。「目強飯」の義か。主として昨晩の米飯の残りを与えた。親達は朝ご飯の前に、お茶と⸢サー⸣フキ[⸢saː⸣ɸu̥ki](茶請け)に、⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)や⸢アンダミー⸣ス[⸢ʔandamiː⸣su](米味噌に豚の脂肉を混ぜて炒めた味噌)を食して、早朝に畑へ出た。
ミー コールン [⸢miː koː⸣ruŋ]目が冴えて眠れない。「目・強はり」の義。⸢コー⸣ルン[⸢koː⸣ruŋ]は、「Couari,ru,atta.コワリ、ル、ッタ(強り、る、った)物が固くなる、または強直する」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ミー サールン [⸢miː saː⸣ruŋ]早死にする。短命になる。
ミーサ カバッサ [⸢miː⸣sa ⸣kabassa]新しいものが香ばしくてよい。「新しさ・香ばしさ」の転訛したもの。
ミーザマーザ [⸢miː⸣ʣamaːʣa]味の旨いことや不味いこと。「旨さ・不味さ<不味さ・旨さ>」の義。
ミーサマスン [⸢miːsama⸣suŋ]他動目覚ます。起こす。目を覚ます。
ミーサミルン [⸢miːsami⸣ruŋ]自動{1}目覚める。
ミーサミルン [⸢miːsami⸣ruŋ]自動{2}心の迷いが去る。悪事に気付く。
ミーザムニ [⸢miː⸣ʣamuni]不愉快なことば、批評。面白くない物言い。ン⸢ガ⸣ムニ[ʔŋ⸢ga⸣muni](苦言。厳しい批判。悪口)の類義語。ア⸢マムニ[ʔa⸢mamuni](甘言)の対義語。
ミーザムヌ [⸢miː⸣ʣamunu]不味いもの。食べ物の味が不味いもの。
ミーサン [⸢miː⸣saŋ]新しい。石垣方言からの借用語か。老年層が多く使用する。
ミーザン [⸢miː⸣ʣaŋ]味などが不味い。美味しくない。
ミーシゥカイ [⸢miː⸣sï̥kai]めくばせ(目眴)。目つき。めの動かし方や目つきで相手に「否の意味」を知らせること。「目使い」の転訛。
ミーシゥカイ スン [⸢miː⸣sï̥kai ⸢suŋ]めくばせ(目眴)をする。目を怒らせて知らせる。悪い目付きをする。
ミーシゥカイヨー [⸢miːsï̥kai⸣joː]悪い目付き。特に厳しい目つき。「目使いよう」の転訛。
ミーシゥカムン [⸢miːsi̥ka⸣muŋ]他動目をしかめる(顰める)。「Xicame,uru,eta,シカメ,ムル,メタ(顰め,むる,めた)」『邦訳日葡辞書』の転訛したものか。
ミーシキックナー [⸢miːʃi̥kik⸣kunaː]にらめっこ({睨}{ニラ}めっこ)。子供が睨みあって先に目を閉じたり、笑った者が負けとする遊び。「見詰め・比べ」の義。
ミーシキパナシキ [⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥ki]かぜ(風邪)。「目付き・鼻付き」の義。風邪の神が目や鼻に取り付いて人間を病気にすると信じられている。
ミーシキパナシキヌ ニンガイ [⸢miː⸣ʃi̥kipanaʃi̥kinu ⸢niŋ⸣gai]風邪を防ぐ祈願。流行病予防の祈願。「目付き鼻付きの祈願」の義。風邪の神が人間の目や鼻に取り付いて風邪が流行ると信じられている。シ⸢マッサ⸣ル[ʃi⸢massa⸣ru](島くさらしの祭)は、この風邪の神を島から追い払い、再侵入を防ぐために村の入り口にシ⸢ビナージナ[ʃi⸢binaːʤina](左綯いの注連縄)を張り巡らして執り行われる祭りである。
ミーシキラリン [⸢miːʃi̥kira⸣riŋ]狙われる。にらまれる(睨まれる)。「目つけられる」の転訛。⸢ミーシキ⸣ルン[⸢miːʃi̥ki⸣ruŋ](見つめる。睨む)の未然形に受け身・可能の助動詞リン[riŋ](れる)が付いて形成された受身動詞。
ミーシキル [⸢miːʃi̥ki⸣ru](動)雌ナマコ(海鼠)。
ミーシキルン [⸢miːʃi̥ki⸣ruŋ]他動見詰める。凝視する。にらむ(睨む)。
ミーシチカザ [⸢miːʃi̥ʧi⸣kaʣa](植)ヒメノアズキ。「雌節蔓<雌せつカズラ>」の義。ビ⸢キシチカザ[bi⸢kiʃi̥ʧikaʣa](カニクサ<雄節かずら>)の対義語。シ⸢チ⸣カザ[ʃi̥⸢ʧi⸣kaʣa]の項目参照
ミーシティルン [⸢miːʃi̥ti⸣ruŋ]他動見捨てる。
ミーシトゥン [⸢miː⸣ʃi̥tuŋ]他動見捨てる。顧みない。「見・捨つ<下二段。~命も須底弖<ステテ>~。万、4211>」の四段活用化したもの。
ミージナ [⸢miː⸣ʤina]女綱。豊年祭の綱引きに用いる女綱(西村の綱)。ビ⸢キジナ[bi⸢kiʤina](雄綱。東村の綱)の対義語。綱引きには女綱の頭部の大きな輪の中に雄綱の頭部の輪を入れて、かんぬき(閂)の棒を差し込んでから綱引きをした。それまでの儀式が、シ⸢ナヌ⸣ミン[ʃi⸢nanu⸣miŋ]である。
ミーシリ パナシリ [⸢miː⸣ʃiri pa⸢naʃiri]目も鼻も涙にぬれて。悲嘆に暮れて泣くさま。「目擦り鼻擦りして」の義。⸢ミー⸣ッシパ⸢ナ⸣ッシ[⸢miː⸣ʃʃi pa⸢na⸣ʃʃi](目擦り鼻擦り)ともいう。
ミージル [⸢miː⸣ʤiru]めづる(牝弦)。三線の弦の一番細いもの。
ミース [⸢miː⸣su]味噌。調味料の一つ。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米の味噌)、⸢ムン⸣ヌ⸢ミー⸣ス[⸢mun⸣nu ⸢miː⸣su](麦の味噌)、⸢アー⸣ヌ ⸢ミー⸣ス[⸢ʔaː⸣nu ⸢miː⸣su](粟の味噌)、⸢ウン⸣ヌ ⸢ミー⸣ス[⸢ʔun⸣nu ⸢miː⸣su](芋の味噌)などがあった。サ⸢ク⸣マイ[sḁ⸢ku⸣mai](粳米)を一晩水に浸け、ふやかした後に水をきって、⸢クシ⸣キ[⸢kuʃi̥⸣ki](蒸し器、{蒸篭}{セイ|ロウ}。⸢甑、古之岐<こしき>、炊飯器也」『和名抄』)で蒸して煮る。それをニ⸢ブ⸣ク[ni⸢bu⸣ku]({稲掃}{イナ|バ}き{筵}{ムシロ})や筵に4~5日ねかして{醗酵}{ハッ|コウ}させ、{黄麹}{キ|コウジ}を作る。大豆をよく煮て半つぶし状に搗き、麹と塩を混ぜて{蹂}{モ}み合わせて{甕}{カメ}につめ、酒を少量振りかけて蓋をする。その上にウ⸢スイフタ[ʔu⸢suiɸu̥ta]({被}{カブ}せ蓋)、⸢{覆}{オオ}い蓋」の義でビ⸢ローサン⸣パー[bi⸢roːsam⸣paː]<クワズイモの葉>などで覆うものを藁などで{縛}{シバ}っておき、約3週間ほどねかせておくと美味しい味噌が仕上がるという。
ミースー [⸢miːsuː]寿命。天命。運命。「{命終}{ミョウ|ジュウ}」の転訛したものか。
ミー スーラスン [⸢miː suːra⸣suŋ]目を覚ます。眠気を覚ます。
ミースーリルン [miː⸢suːri⸣ruŋ]目が覚める。⸢ミー スーリ⸣ルン[⸢miː suːri⸣ruŋ]と同じ。
ミースールン [⸢miːsuː⸣ruŋ]自動目が覚める。⸣ミー ⸢スー⸣ルンとも言う。
ミーズーワン [⸢miːʣuː⸣waŋ]目が強い。視力が強い。「遠くのものをよく見分けることができる」、⸢遠くにいるカツオ鳥の群れをよく見つけることが出来る」の意味に漁師達が使用していた。
ミースカミ [⸢miː⸣sukami]味噌がめ。口の小さいのが特徴。高さ約30センチの子型の瓶。子供が手を入れると瓶の口に挟まれるといって親に{戒}{イマシ}められた。
ミースカミヌ バン [⸢miː⸣sukaminu ⸣baŋ]行かず後家。「味噌瓶の番人」の義。
ミースクン [⸢miː⸣su̥kuŋ]他動見詰める。凝視する。注視する。{睨}{ニラ}む。「みつむ<下二段>」の四段活用化したもの。
ミースシキ [⸢miː⸣suʃi̥ki]味噌造り。味噌製造。「味噌搗き」の義。味噌造りは、米麹に塩とヌ⸢キ[nu⸢ki](補助材料)として煮た大豆を混ぜ、臼に入れて搗いた後、瓶に入れて密封し、十分に醗酵させて造った。その製造過程の「搗き混ぜる」ことから「味噌搗き」という
ミースジル [⸢miːsu⸣ʤiru]味噌汁。⸢マイヌミー⸣ス[⸢mainumiː⸣su](米味噌)等で調味したお汁。精進料理のように、あっさりした料理を象徴する。魚や肉などが無い時につくるお汁のこと。カ⸢ティ⸣ムヌ[kḁ⸢ti⸣munu](副食物。魚類や肉類など、かてて食べる食品)が無い時に作る。
ミースビ [⸢miː⸣subi](動)魚の名。和名、メバチ(体長約2メートル)。鳩間島では、イカ釣り漁の時期に、イカの生餌で釣り上げていた
ミーソー [⸢miː⸣soː]記憶力。もの覚え。見たものを忘れないで持続する力。⸢目の性(根性)」の義。⸢ミー⸣ヌ ⸢ソー[⸢miː⸣nu ⸢soː](記憶力<目の性>)ともいう。
ミーソーガキ [⸢miːsoːgaki]藁縄などを三本縒り合わせ(掛け合わせ)て作る太い縄。船のアンカーロープを作ったり、綱引きの綱を作る際に綱を縒り合わせた。片方には三本の縄を結わえるハンドルを固定した木枠に装着し、反対側には三本の縄を一本にまとめてハンドルに結わえ、それに三つ又を当てて可動式の木枠に装着し、それぞれ右回りに回転させて{縒}{ヨ}り合わせること。
ミーソアブジテー [⸢miː⸣soʔabuʤiteː]屋号。小浜清二郎氏宅。⸢ウイカナケー[⸢ʔuikanakeː](浦崎家)の東隣にあった
ミータティルン [⸢miːtati⸣ruŋ]他動見立てる。見て選び定める。良いものを選定する。
ミータブル [⸢miːtaburu]三束。
ミーダラスン [⸢miːdara⸣suŋ]他動目を疲れさせる。眠たくさせる。「め・だらす(目・疲らす<倦。ダル、ウム。『文明本節用集』>)」の転訛したものか。
ミー ダリルン [⸣miː da⸢ri⸣ruŋ]目が疲れて眠くなる。眠気をもよおす。睡魔におそわれる。
ミーダルパナダルシ [⸢miːdarupana⸣daruʃi]目から涙を流し、鼻からは鼻水を流して泣くさま。激しく泣くさま。
ミータング [⸢miːtaŋgu]水桶三個。三たご(担桶)。水桶三個分の水。水桶一個は、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、二個でプ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](一担ぎ)という。
ミーダング [⸢miːdaŋgu]鱶釣り用の三種の釣り縄の義で、次の三種がある。{1}ク⸢ビラー⸣ナー[ku⸢biraː⸣naː](イカ釣り漁で、イカを餌にしてカ⸢ジ⸣キ{SqBr}ka⸢ʤi⸣ki{/SqBr}やヒ⸢ラ⸣クサー{SqBr}çi⸢ra⸣kusaː{/SqBr}、サ⸢バ{SqBr}sa⸢ba{/SqBr}等を釣るのに用いる縄)。
ミーダング [⸢miːdaŋgu]{2}ク⸢グサイ⸣ナー[ku⸢gusai⸣naː](小型の魚を狙って釣るのに用いる縄)、ナ⸢カダン⸣グ[na⸢kadaŋ⸣gu](中道具)ともいう。
ミーダング [⸢miːdaŋgu]{3}⸢サバナー[sa⸢banaː](鱶釣り専用の縄。釣り針も大きい)。鱶は⸣ドゥームンダニ[⸣duːmundani](同種の魚の肉で同種の魚の餌にすること)でも釣れる。従って、一度釣れている小型の鱶を他の大型の鱶が喰いついて、同じ釣り針で二匹の鱶が釣れることがあるという(加治工伊佐氏談)
ミーチ [⸢miːʧi](数)三つ。三個。三歳。
ミーチヌ ピーチ [⸢miːʧinu piː⸣ʧi]三分の一。三つに分けたうちの一つ。⸢三つの一つ」の義。
ミーッサーラ [⸢miːssaː⸣ra]{1}目下。年齢や地位が自分より下の者。
ミーッサーラ [⸢miːssaː⸣ra]{2}未成年。目より下の身長。
ミーッサーリムヌ [⸢miːssaːri⸣munu]{1}目の塞がった人。目の見えない人。
ミーッサーリムヌ [⸢miːssaːri⸣munu]{2}穴の塞がったもの。
ミー ッサールン [⸣miː s⸢saːruŋ]目をつぶ(瞑)る。目をつむる。「目閉じる」の義。
ミーッサヌ [⸢miːssa⸣nu]見知らぬ。思い出せない。⸢ミーッ⸣スン[⸢miːs⸣suŋ](見知る)の未然形。
ミーッスン [⸢miːs⸣suŋ]他動見知る。見覚える。人見知りをする。「見知る」の転訛。
ミーッスン [⸢miːs⸣suŋ]目をこする({擦}{コス}る)。
ミーッスン [⸢miː⸣ssuŋ]他動{1}見知る。見覚える。顔を記憶する。
ミーッスン [⸢miː⸣ssuŋ]他動{2}人見知りをする。
ミーティ [⸢miːti](数)三年。再来年。
ミーティナティ [⸢miːtina⸣ti]一昨年。おととし。⸣クズ[⸣kuʣu](こぞ)の前年。⸢ナ⸣ティ[⸢na⸣ti]は過去の年数や日時を表す接辞。「~成りて」の転訛したものか。
ミーディプス [⸢miː⸣dipu̥su]み(巳)年生まれの人。「巳年人」の転訛。
ミーディマリ [⸢miːdimari]巳年生まれ。巳年生まれの人。
ミードー [⸢miː⸣doː]おとこおんな(男女)。男でありながら女のような性徴を有する人。
ミードゥーサン [⸢miːduː⸣saŋ]久しく会わない<会いたい気持ち>。久しぶりである。なかなか会わない。首里方言からの借用語であろう。「目遠い」の義。
ミートゥースン [⸢miːtuː⸣suŋ]他動見通す。遠くまで見渡す。見晴らす。見抜く。
ミートゥール [⸢miːtuːru]三通り。三つの方法。
ミートゥイシ [⸢miːtu⸣ʔiʃi](地)夫婦石のある所の地名。老年層は、⸢ミュートゥ⸣イシ[⸢mjuːtu⸣ʔiʃi](夫婦石)という。タ⸢チ⸣バル[tḁ⸢ʧi⸣baru](立原)の浜に下りる道の左手にある。
ミートゥクル [⸢miːtukuru]三箇所。三方。
ミードゥクル [⸢miːduku⸣ru]見どころ。取り得。長所。ミ⸢ドゥク⸣ル[mi⸢duku⸣ru](見所)ともいう。
ミートゥシ [⸢miːtuʃi]新年。正月。「にひとし(新・年)」の転訛したものか。
ミートゥダク [⸢miːtu⸣daku]夫婦蛸。蛸のつがい(番い)。老年層は、⸢ミュートゥ⸣ダク[⸢mjuːtu⸣daku](夫婦蛸)という。一般的に大型の蛸で、一箇所に二匹、ビ⸢キタク[bi⸢kitaku](雄蛸)と⸢ミー⸣タク[⸢miː⸣taku](雌蛸)が{番}{ツガイ}になって棲息していることからいう。
ミートゥドゥキルン [⸢miːtuduki⸣ruŋ]他動見とどける。目配りする。
ミートゥドゥクン [⸢miːtudu⸣kuŋ]目が届く。注意・監督ができる。気配りできる。目配りできる。配慮することが出来る。
ミードゥル [⸢miː⸣duru]めんどり(雌鶏)。
ミートゥンダ [⸢miːtun⸣da]めおと(夫婦)。「メヲット(妻夫)」の転訛したもの。
ミートゥンター [⸢miːtun⸣taː]出目。飛び出ている目。「目の突き出たもの」の義。⸢ミートゥンティ⸣ムヌ[⸢miːtunti⸣munu](目の飛び出た者)ともいう。
ミーナウスン [⸢miːnau⸣suŋ]他動見直す。改める。改善する。若年層は、⸢ミーノー⸣スン[⸢miːnoː⸣suŋ](見直す)ともいう。
ミー ナスン [⸢miː⸣ nasuŋ]{1}脱穀した籾を磨り臼で玄米にする。
ミー ナスン [⸢miː⸣ nasuŋ]{2}結実させる。目的を実現させる。良い結果を生むようにする。成功させる。
ミーナダ [⸢miː⸣nada]涙。「~奈美太乎能其比<ナミダヲノゴヒ>~。万、4398」の転訛したもの。
ミーナディ パダナディ [⸢miː⸣nadi pa⸢da⸣nadi]体や肌を心をこめてさする。慈しむ。可愛がる。大事に扱う。「身撫で、肌撫で」の義。
ミー ナマラスン [⸢miː⸣ na⸢mara⸣suŋ]恥をかかせる。体面を傷つける。外見で親兄弟の面子をつぶす。「身鈍らす」の義か。
ミーナライ [⸢miː⸣narai]{1}見習い。見て学ぶ<習う>こと。
ミーナライ [⸢miː⸣narai]{2}見慣れていること。
ミーナライ シキナライ [⸢miː⸣narai ʃi̥⸢kinarai]見様見まね。見真似聞き真似して覚えること。見聞を広めること。「見習い・聞き習い」の義。
ミーナラウン [⸢miː⸣narauŋ]他動見習う。見て真似をする。見て学ぶ。学ぶ。真似る。
ミー ナルン [⸢miː⸣ naruŋ]{1}実を結ぶ。「実がなる」の義。
ミー ナルン [⸢miː⸣ naruŋ]{2}実現する。成功する。
ミーナンカ [⸢miːnaŋka]三七日忌。死後三週間目に執り行われる法事。
ミーニ [⸢miːni]十二支の巳(み)の日。
ミーニシ [⸣miːniʃi]晩秋に吹きはじめる北風。「新北風」の義。「にひ(新)」は、「新治<ニヒバリノ>~。万2855」の転訛した、ミー[miː](新しい)に、ニ⸢シカジ[ni⸢ʃikaʤi](北風)の「ニシ」が付いて形成された合成語。老年層は⸣ッサンス[⸣ssansu](白北風)ともいう。
ミーニチ [⸢miːniʦi]命日。その人が死亡した日に当たる毎月または毎年の日で、線香をあげたり茶湯をして{回向}{エ|コウ}をした。忌日。
ミーヌカー [⸢miːnu⸣kaː]まぶた(瞼)。「目の皮」の義。
ミーヌシビ [⸢miːnu⸣ʃibi]めじり(目尻)。
ミーヌ シル [⸢miː⸣nu ⸣ʃiru]涙。「目の汁」の義。
ミーヌシン [⸢miːnu⸣ʃiŋ]{1}めがしら(目頭)。「目の芯」の転訛か。
ミーヌシン [⸢miːnu⸣ʃiŋ]{2}視力。
ミーヌスバシ プスバ ミルン [⸢miːnu⸣subaʃi pu̥⸢suba⸣ miruŋ]軽蔑した目つきで人を見る。正視しないで人を見る。横目で人を見る。「目の側<横目>で人を見る」の義。
ミーヌ ソー [miːnu⸣ soː]目で記憶すること。目の記憶力。「目の性」の義。
ミーヌ タマ [⸢miːnu⸣ tama]目の玉。眼球。
ミーヌッサン [⸢miːnus⸣saŋ]見苦しい。見るにたえられない。「{醜}{ミニク}し<見憎し>。痛醜<アナミニク>賢しらをすと~。万、344」の転訛か。
ミーヌッス [⸢miːnu⸣ssu]{1}目やに。めくそ(目糞)。「眵、<~米久曾> 目汁凝也」『和名抄』の転訛したもの。
ミーヌッス [⸢miːnu⸣ssu]{2}わずかばかりのもの。少量のもの(強調表現)。
ミーヌ ッスタマ [⸢miː⸣nu s⸢su⸣tama]白い目玉。しろまなこ(白眼)。⸢目の白玉」の義。
ミーヌッふァ [⸢miːnu⸣ffa]ひとみ(瞳)。まなこ(眼)。黒目。瞳孔。「目の子」の義。「眼、万奈古<まなこ>、目子也」『和名抄』の転訛したもの。
ミーヌ ッふタマ [⸢miː⸣nu f⸢fu⸣tama]瞳孔。ひとみ(瞳)。目の中の黒い部分。⸢目の黒玉」の義。
ミーヌ ドゥク [⸢miː⸣nu ⸣duku]目の毒。見ると悪影響を及ぼすもの。
ミーヌ ナダカ [⸢miː⸣nu na⸢da⸣ka]目の高さほど。目の丈ほど。
ミーヌ パタ [⸢miː⸣nu ⸣pḁta]目の側。目のふち。まぶち(目縁)。「目の端」の義。
ミーヌ フカ [⸢miː⸣nu ⸣ɸu̥ka]目の外。視野の外。眼中にないこと。
ミーヌ フタナカ [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢tanaka]眉間。目と目の間。マ⸢ユヌ⸣ フ⸢タナカ[ma⸢junu⸣ ɸu̥⸢tanaka](眉間)ともいう。
ミーヌ フチ [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi]{目頭}{メ|ガシラ}。「目の口」の義。⸢ミーヌ⸣フチ[⸢miːnu⸣ɸu̥ʧi](目頭)ともいう。
ミーヌ フチル [⸢miː⸣nu ɸu̥⸢ʧi⸣ru]目薬。「目の薬」の義。
ミーヌマイ [⸢miːnu⸣mai]{1}眼前。目前。間近。⸢ミー⸣ヌ ⸣マイ[⸢miː⸣nu ⸣mai](目の前)ともいう。
ミーヌマイ [⸢miːnu⸣mai]{2}目の前。自分の目の前。自分の利益。
ミーヌマイヌ パンシ [⸢miːnumai⸣nu ⸢paŋʃi]当座しのぎ<{凌}{シノキ}ぎ>。差し当たり目の前<当座>を切り抜けること。「目の前の外し」の転訛。
ミーヌマチ [⸢miːnu⸣maʧi]まつげ(睫)。
ミーヌマユ [⸢miːnu⸣maju]眉。
ミーヌンガーラスン [⸢miːnuŋgaːra⸣suŋ]他動見逃す。大目に見る。見落とす。
ミーパイ [⸢miːpai]感謝。ありがたく思うこと。「御拝」の転訛したもの。フ⸢コーラサ[ɸu̥⸢koːrasa](ありがたいこと。感謝)より敬意が高い。
ミーパカ [⸢miːpaka]{1}⸢ミープス[⸢miːpusu](死んで間もない人)を葬った墓にいう。
ミーパカ [⸢miːpaka]{2}新しい墓。
ミーハガー [⸣miːhagaː](動)魚の名。和名、イロブダイ(雌)。体色は全体的に薄茶色の一色で統一されている。雄の⸢アーガ⸣チャー[⸢ʔaːga⸣ʧaː](イロブダイ)は上体部分がグリーンを基調とする中に、頭部から尾びれにかけて{縞模様}{シマ|モ|ヨウ}に並ぶオレンジ色の半月紋が華やかで、{下顎}{シタ|アゴ}から{胸鰭}{ムナ|ビレ}にかけて流れるスカイブルーのストライプが一層の鮮やかさを増すのと対照的である。
ミーパガー [⸣miːpagaː]ただれめ({爛}{タダレ}目)の人(蔑称)。{眼瞼湿疹}{ガン|ケン|シッ|シン}の人(蔑称)。まぶたの赤く爛れた者。⸢ミーパギ⸣プス[⸢miːpagi⸣pu̥su](爛れ目の人)ともいう。
ミーバカスン [⸢miːbaka⸣suŋ]他動見分ける。{鑑別}{カン|ベツ}する。見て区別する。「見分かす」の義。
ミーパカラウン [⸢miːpaka⸣rauŋ]他動見計らう。適当な時期を考える。
ミーパギプス [⸢miːpagi⸣pu̥su]ただれ目の人。眼病の人。
ミー パギルン [⸣miː pa⸢gi⸣ruŋ]目がただれる。「目が禿げる」の義。
ミーパシゥカーン [⸢miːpasï̥⸣kaːŋ]まぶしい<眩しい>。まばゆい(眩い)。
ミーパシゥクン [⸢miːpasï̥⸣kuŋ]自動まばたき(瞬き)する。しばたたく({瞬}{マバタ}く)。
ミーパシナー [⸢miːpaʃi⸣naː](動)魚の名。和名、トガリエビス(体長30~35センチ)。鮮やかな朱色の体色に白の細く短いい縦縞が体全体に広がっている。朱の背びれや尾びれが高貴で目出度い感じを与える魚である。夜の⸢スー⸣チズー[⸢suː⸣ʧiʣuː](大潮<潮干時>の義)に島の後ろの干瀬のヤ⸢トゥ[ja⸢tu](干瀬の深い割れ目。「{谷}{ヤト}」『日本国語大辞典13』の転訛か)で釣った
ミーパダ [⸢miːpada]新嫁。嫁して間もない頃の嫁。「新肌」の義。⸢ミーパダユミ[⸢miːpadajumi](新嫁)ともいう。⸣パダ[⸣pada](肌。としごろ。年齢)は、⸣ドゥーパダ[⸣duːpada](体。胴体)、ヤ⸢ラビ⸣パダ[ja⸢rabi⸣pada](子供の頃)のように用いられる。
ミー パタックン [⸣miː pḁ⸢takkuŋ]目を押し開く。{睡}{ネム}っている目を開く。{瞑}{ツブ}っている目を開く。
ミーバ ッサピカリ スン [⸢miː⸣ba s⸢sapikari suŋ]じろっと怒った目付きをする。「目を下光りさせる」の義。下から上目遣いに睨むさまをいう。
ミーバッパイ [⸢miːbap⸣pai]見違い。見誤り。⸢ミー[⸢miː](見る)の連用形に⸢バッ⸣パイ[⸢bap⸣pai](誤り。間違い。取り違え)がついて形成された複合語。
ミーパナ [⸢miː⸣pana]顔。顔立ち。目鼻立ち。「目鼻」の義。
ミーバリ [⸢miː⸣bari]ひびわれ({罅割}{ヒビ|ワレ})。{亀裂}{キ|レツ}。材木や{甕}{カメ}などにひび({罅}{ヒビ})が入ってできる割れ目。
ミーパルン [⸢miː⸣paruŋ]自動ひび(罅)が入る。亀裂が生じる。⸢ミー[⸢miː](裂け目)に、⸣パルン[⸣paruŋ](走る)が付いて形成された合成語。
ミー パンクン [⸣miː ⸢paŋ⸣kuŋ]まぶた(瞼)を裏返す。「目を弾く」の義。ミ⸢ジ⸣ナー[mi⸢ʤi⸣naː](スベリヒユ)の茎で上下の瞼を弾いて裏返す子供の遊びがあった。
ミーピカリムヌ [⸢miːpikari⸣munu]よく{癲癇症状}{テン|カン|ショウ|ジョウ}を{発症}{ハッ|ショウ}する人。よく{発作}{ホッ|サ}をを起こす人。よく気絶する人。
ミー ピカルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ]{1}目が光る。怒る。叱る。
ミー ピカルン [⸣miː pi̥⸢ka⸣ruŋ]{2}{癲癇}{テン|カン}症状を発症する。
ミービキドゥム [⸢miːbiki⸣dumu]言動が女のような男。「女男(おんなおとこ)」の義。
ミーピッキジン [⸢miːpikki⸣ʤiŋ]穴のあいたお金。⸢穴あき銭」の義。⸣ミーフガージン[⸣miːɸugaːʤiŋ](穴あき銭)ともいう。
ミー ピッキルン [⸣miː ⸢pikki⸣ruŋ]小穴があく。
ミー ピックン [⸣miː ⸢pik⸣kuŋ]{PoS_1}(他動)小穴をあける。
ミー ピックン [⸣miː ⸢pik⸣kuŋ]{PoS_2}(自動)小穴があく。
ミーフガー [⸣miːɸugaː]穴のあいた物。穴のあいた古着。
ミーフカスン [⸢miːɸu̥ka⸣suŋ]他動見落とす。見失う。
ミー フガスン [⸣miː ɸu⸢gasuŋ]会計上に穴をあける。会計上に欠損を生じさせる。使途不明金を出す。
ミーフギカーフギ [⸢miːɸugikaː⸣ɸugi]穴がたくさんあいているさま。
ミー フギルン [⸣miː ɸu⸢giruŋ]穴があく。
ミーブシ [⸢miːbuʃi](数)三寸。「{三節}{ミ|フシ}」の義。一節は人差し指の第一関節と第二関節の間の長さ。
ミーブシ [⸢miː⸣buʃi]鰹節の名。雌節。カツオの腹部の身で製造した鰹節。ハ⸢ラ⸣ブシ[ha⸢ra⸣buʃi](腹節)ともいう。
ミープス [⸢miːpu̥su]新しい遺体。埋葬したばかりの遺体。埋葬して間もない遺体。
ミーフチ [⸢miː⸣ɸuʧi]顔。顔つき。容貌。{顔貌}{カオ|カタチ}。「目口」の義。
ミープトゥラーン [⸢miːputu⸣raːŋ]まばゆい(眩い)。まぶしい({眩}{マブシ}い)。プ⸢トゥ⸣ラーン[pu̥⸢tu⸣raːŋ]({眩}{マブシ}い)は、プ⸢トゥ⸣ル[pu̥⸢tu⸣ru](稲妻)の形容詞化したもの。「対象物が光り輝き過ぎて眩しい」の意味。
ミープトゥレーシキル [⸢miːpu̥tu⸣reːʃikiru]白に黒の斑点がある[g]{海鼠}{ナマコ}。⸢目・{眩}{マブシ}いなまこ」の義。白い肌に黒の斑点があり、見る人に対し、眩しく目をパチパチさせる感があることから命名されたという。
ミーブラーリ [⸢miːburaː⸣ri]見惚れること。
ミーフラッカスン [⸢miːɸurakka⸣suŋ]他動{1}目を開けさせる。孔を空ける。
ミーフラッカスン [⸢miːɸurakka⸣suŋ]他動{2}成功させる。
ミーフラッカスン [⸢miːɸurakka⸣suŋ]他動{2}教育を受けさせる。教養を養成させる。
ミー フラックン [⸣miː ɸu⸢rakkuŋ]目を開ける。若年層の言葉。
ミー プラックン [⸣miː purakkuŋ]目を開く。老年層の言葉。
ミーブリ シキブリ [⸢miː⸣buri ʃi̥⸢kiburi]見とれて聞き惚れること。「みほれ(見惚れ)、聞き惚れ」の転訛。
ミーブリ スン [⸢miː⸣buri ⸢suŋ]見とれる。見惚れる。うっとりと見惚れる。「見惚れ・する」の義。
ミーホースン [⸢miːhoː⸣suŋ]他動不足分を埋め合わせる。{補填}{ホ|テン}する。「穴を{塞}{フサ}ぐ。穴を埋め合わせる」の義。
ミーマースン [⸢miːmaː⸣suŋ]他動あたりを見回す。周囲を見回す。あたりをぐるりと見る。
ミーマール [⸢miːmaːru]田圃の見回り
ミーマール [⸢miːmaː⸣ru]見回り。巡視。
ミーマール [⸢miːmaːru]身の回りの世話。
ミーマールン [⸢miːmaː⸣ruŋ]自動・他動見回る。巡視する。
ミーマイ [⸢miːmai]新米。新しく収穫された米。ッ⸢ふ⸣マイ[f⸢fu⸣mai](古米)の対義語。
ミーマイ [⸢miː⸣mai]お見舞い。病人や被災者を訪ねて慰めたり、金品を贈ること。
ミーマイムヌ [⸢miːmai⸣munu]見舞い品。
ミーマジ [⸢miːma⸣ʤi](動)ミミズ(蚯蚓)。
ミーマジキー [⸢miːma⸣ʤikiː](植)木の名。シロミミズ。重くて燃えにくい樹木という。
ミーマチガイ [⸢miːmaʧi⸣gai]見間違い。見誤り。
ミーマチガイルン [⸢miːmaʧigai⸣ruŋ]他動見間違える。見誤る。
ミーマチガウン [⸢miːmaʧi⸣gauŋ]他動見間違う。見間違える。見誤る。
ミーマヤ [⸢miː⸣maja]雌猫。
ミーマユ [⸢miː⸣maju]顔貌。顔かたち。「目眉」の転訛。
ミーミカーミ [⸢miː⸣mikaːmi]{1}隅々まで。小さいところまで隈なく。⸢ミー⸣ミ[⸢miː⸣mi](穴という穴すべて)のABACBA型の重言。
ミーミカーミ [⸢miː⸣mikaːmi]{2}根堀り葉堀り。微細に。
ミーミナ [⸢miː⸣mina](動)牝貝。ニシキウズ科。和名、ギンタカハマ。広セ貝。貝類の牝貝一般にもいう。ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](雄貝)の対義語。「{女蜷}{メ|ニナ}」の義。「河貝子、美奈<みな>」『和名抄』の転訛したもの。雄貝に比して形状も小さく、多少ずんぐりしている。ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](雄貝。高セ貝<サラサバテイラ>)に比して美しくない。殻の外唇と内唇が「雄貝」に比して低い。牝貝はノッペラボーな顔に似、「雄貝」は彫りの深い顔に似る。
ミーミュートゥ [⸢miːmjuː⸣tu]新しい夫婦。「新夫婦」の義。⸢ミー ミートゥン⸣ダ[⸢miː miːtun⸣da](新しい夫婦)ともいう。
ミーミュートゥ [⸢miːmjuːtu]三夫婦(祖父母、父母、子供夫婦)。一家に三代揃った夫婦。目出度い家庭のシンボルとして村人の{憧憬}{ドウ|ケイ}<ショウケイ>の的となる。
ミー ムイルン [⸣miː ⸢muiruŋ]老眼になる。目が遠くなる。五十歳代になると目がじらじらしてきて近くの物が見づらくなる現象。
ミームク [⸢miːmuku]花婿。新しい婿。「新婿」の義。
ミームシ [⸢miːmuʃi](数)三回。三度。
ミームス [⸢miːmusu]新しい筵。新品の筵。
ミームタイ [⸢miː⸣mutai]見向き。
ミームタイヤーンツァン サヌ [⸢miːmutai⸣jaːnʦan sa⸢nu]歯牙にもかけない。「見向きすらもしない」の義。
ミームタイルン [⸢miː mutai⸣ruŋ]自動目をもたげる。目を上に向ける(反抗の意思表示)。見向く。ム⸢タイ⸣ルン[mu⸢tai⸣ruŋ]は「かしら{擡}{モタ}げて、『竹取物語』」の転訛したもの。
ミームタイン サヌ [⸢miː⸣mutain sa⸢nu]相手にしない。目もくれない。無視する。問題にもしない。歯牙にもかけない。
ミー ムタウン [⸢miː⸣ mutauŋ]目をもたげる。目を上に向ける。下から見上げて睨む(疑問・反抗に意思表示)。
ミームドゥシ [⸢miːmuduʃi](数)三往復。三回。「みもどし(三戻し)」の転訛したもの。
ミームヌ [⸢miːmunu]新品。新しいもの。「にひもの(新物)」の義。
ミームヌ [⸢miː⸣munu]雌。「雌もの」の転訛したもの。ビ⸢キムヌ[bi⸢kimunu](雄<雄もの>)の対義語。⸢ミー⸣ドゥル[⸢miː⸣duru](雌鳥)、⸢ミー⸣ウシ[⸢miː⸣ʔuʃi](牝牛)、⸢ミー⸣オー[⸢miː⸣ʔoː](雌豚)などをいう。
ミームヌ [⸢miː⸣munu]見物。みせもの(見世物)。芝居。
ミーヤー [⸢miːjaː]新しい家。新築家屋。にいや(新屋)。ア⸢ラヤー[ʔa⸢rajaː](新築家屋)ともいう。
ミーヤーマ [mi⸢jaː⸣ma]{1}小さな目。
ミーヤーマ [mi⸢jaː⸣ma]{2}小さな穴。
ミーヤクティ ティーヤ クティ [⸢miː⸣ja ⸣ku̥ti ⸢tiː⸣ja ku̥ti]注意散漫で動作がばらばらである。統制のとれない行動をすること。⸢目は別、手は別」の義。
ミーヤゴーミ フチヤゴーミ [⸢miːjagoː⸣mi ɸu̥⸢ʧijagoːmi]今にも泣き出さんばかりに顔をしわ({皺}{シワ})くちゃにして。目や口を歪めて不平をいうさま。「目ゆがめ・口ゆがめ」の転訛したもの。
ミーヤッサン [⸢miːjas⸣saŋ]見やすい。ミ⸢リヤッ⸣サン[mi⸢rijas⸣saŋ](見やすい)ともいう。
ミーヤ パーナルン [⸢miː⸣ja ⸢paː⸣naruŋ]驚いて目を大きく見開き茫然自失する。(あっけにとられて我を忘れてしまう)。驚きあきれて戸惑う。驚きうろたえる。
ミー ヤマスン [⸣miː ja⸢ma⸣suŋ]{1}体面を汚す。みっともないことをする。外聞の悪いことをする。「目を病ます」の転訛したもの。見るに耐えないことをする人に対していう。
ミー ヤマスン [⸣miː ja⸢ma⸣suŋ]{2}得られないなものを、欲しくなる気持ちを起こさせる。欲しがらせる。気持ちを損ねる。
ミーユミ [⸢miːjumi]新しい嫁。新嫁。
ミーヨー [⸢miː⸣joː]めくばせ(目配せ。{眴}{メクバ}せ)。目つきで合図すること。
ミーヨー フチヨー [⸢miːjoː⸣ ɸu̥⸢ʧi⸣joː]目や口の様子で合図すること。目配せや口ぶり。「目様・口様」の転訛したもの。
ミー ヨールン [⸢miː joː⸣ruŋ]視力が弱くなる。「目が弱る」の義。
ミールン [⸢miːruŋ]自動{稔}{ミノ}る。豊作となる。根菜などが稔る。熟する。「実入る」の義か。
ミーワク [⸢miːwaku]迷惑。他人から厄介な目にあわされて困ること。
ミーングリサン [⸢miːŋguri⸣saŋ]見苦しい。若年層の言葉。老年層は⸢ミーヌッ⸣サン[⸢miːnus⸣saŋ](見苦しい)というのが普通。
ミーンマ [⸢miːʔm⸣ma](動){牝馬}{メ|ウマ}。ビ⸢キンマ[bi⸢kiʔmma](雄馬)の対義語。
ミカーミカーシ [mi⸢kaːmikaː⸣ʃi]こっそりと{見透}{ミ|スカシ}て。天網恢恢疎にして漏らさず、密かに見透して。
ミガクン [mi⸢gauŋ]他動磨く。石垣方言からの借用語か。普通は、⸣トゥイ ピ⸢カラ⸣スン[⸣tui pi̥⸢kara⸣suŋ](研ぎ光らせる)という。
ミキ [mi⸢ki]みき(神酒)。濁酒。どぶろく。昔は豊年祭のとき、17,18歳の未婚の女性で、しかも虫歯のない健康な女性に塩で歯を磨かせ、一晩水に浸けた米を噛ませて、それを、米を石臼で挽いたものに混ぜて醗酵させ、神酒を醸造したという。昭和に入ってからは、石臼で挽いた物だけを甕にいれ、醗酵させて醸造した。甘酸っぱい味で、アルコール分は弱い。豊年祭の⸢プール⸣ミキ[⸢puːru⸣miki](豊年祭の神酒)は4斗樽に入れて人々に振舞っていた。結願祭には1~2斗ほど醸造して神事用に用いられた。
ミキ [⸣miki](動)三毛猫。石垣方言からの借用語か。普通は、⸢アイ⸣ツァマヤー[⸢ʔai⸣ʦamajaː](毛の色が混じっている猫)という。
ミキバタシ [mi⸢kibata⸣ʃi]神事に用いる酒器。インダ牧場の、ウ⸢シヌ⸣ヨイ[ʔu⸢ʃinu⸣joi](牛の祝い。牛の繁昌と健康祈願祭)の際に神酒を飲むのに用いた酒器。ヤラブ(てりはぼく)の木で作った、ハンドル({把手}{ハ|シュ}。取手)付きの酒器。旧暦九月に行われたウ⸢シヌ⸣ヨイには、牛の耳に⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](家判)をつけた。耳を切って各家の印しとした。その祭りの儀式に下記の歌が歌われた。二人の男が⸢ペンシキビリ[⸢peŋʃikibiri]({跪}{ヒザマズ}き<正座>)をしてミ⸢キバタ⸣シ[mi⸢kibata⸣ʃi](酒器)を持ち、歌に合わせて右上、左上へと交互に持ち上げて歌った。歌い終わって酒器を次の人へ手渡す際に、次の言葉(祝詞)を交わした。(渡す側。二人):マ⸢ムレー⸣ マ⸢ムレー⸣ ッサリー ⸢キュー⸣ヌ ク⸢ガニピー⸣ナ タ⸢ボーラリ⸣タル ⸣ウーミサクドゥ ⸢マームレーユー⸣ ッサリー。シ⸢ギシューヤ タッ⸣テヌ ウ⸢ナンナー⸣マドゥ シ⸢ギシューユー⸣ ッサリー イ⸢メーヌ カー⸣ジ。<順風満帆。(受け取る側。二人)>:⸢ウー⸣タリ。といって受け取る。ウ⸢シヌヨイ⸣ヌ ⸣ウタ(牛の祝いの歌(加治工伊佐氏伝承)は旧暦9月のウ⸢シニー[ʔu⸢ʃiniː]<丑の日>)に歌われた。1、キューヌ ピーヌ ウユワイムトゥ スイナウレ(今日の日のお祝いの本、それ稔れ)。2、フクヌマキ ウユワイムトゥ スイナウレ(福の牧のお祝いの本は、それ{稔}{ミノ}れ)。3、ムヤシバードゥ パンゾスムトゥ スイナウレ(牛が発情すればこそ繁昌のもとだ、それ稔れ)。4、パンゾーシヌ ウミサク ヌムドゥ スイナウレ(繁昌させるところのお神酒を飲むことが、それ稔れ)
ミグトゥ [mi⸢gutu]見事。見るべきこと。きわだって優れている。見もの。沖縄方言からの借用語。おそらく文政四年(1821)年、首里当蔵町に生まれた比屋根安粥<ひやねあんひつ>が安政六(1859)年に鳩間島に遠島を仰せつけられた際に、絵入の「舞踊勤王流」の伝本を持参したというから、その頃に鳩間島に伝えられたものと考えられる。狂言「ピラ」は、全編首里方言で語られる。/クリヤ クヌムラ ムジクイ クーシェー ハマサチドゥ ヤル サティ ワッター ヘークンディ ウムレー ムラカシラヌチャー ヘークデンナ サティ ワッター チクテール カンダファー ドゥードゥ ミグトゥ ヤッサ カタバルヌ ガニヌ アナ カチアギテーン ネーシ ドゥードゥ ミグトゥ ヤッサ ンダマジ ティーチェー フッティ ンダ~/(これは<罷り出でたるは>、この村一番の農業に詳しい浜崎である。さて、我等早く<出かけよう>と思っていたら、村頭の方々も早々にお出ましである。さて我等が植えつけてある芋は大変見事であるよ。潟原の蟹が穴を掻き揚げてあるように、誠の見事である。さて、先ずは一つ掘ってみよう~)。
ミクミ [mi⸢ku⸣mi]見込み。予想。可能性。
ミグルン [mi⸢guruŋ]自動めぐる。{回}{マワ}る。ぐるぐる回る。歌謡語。沖縄方言からの借用語か。普通は、⸢マールン[⸢maːruŋ]({回}{メグ}る。めぐる)という。/イヤイーヤー カミヌ ククルニ タムキ アルラバ ミグリミグリヌ ナシグヮ ウミグヮン ンマリンマリティ アトゥユン サキユン テーラン ムヌサミ アタル ウヤフジ ラクユ ミセユサ ナマヌ パヤシニ クドゥキ ユミユミ/(イヤイーヤー<囃子>、神の御心に{手向}{タ|ムケ}があれば、それが{廻}{メグ}り廻って子<生し子>や大切な子供も繁昌して<生まれに生まれて>{未来永劫}{ミ|ライ|エイ|ゴウ}<後にも先にも>絶えることは無いものだ。当る親や先祖様も楽をなさるよ。今の囃子に口説きを詠め詠め)
ミザーバタ [mi⸢ʣaːbata]横っ腹。脇腹。ヤ⸢カタ⸣バタ[ja⸢kata⸣bata](横っ腹。「片側・腹」の義か)ともいう。
ミサール ヨーニ [⸣misaːru ⸣joːni]宜しく。「宜しいように」の義。
ミサク [mi⸢saku]神に供える特別なミ⸢キ[mi⸢ki](神酒。どぶろく)。豊年祭や結願祭等に供えられた。普通の神事用の供物のミ⸢キ[mi⸢ki](神酒)は醸造酒の[g]{泡盛酒}{アワモリ}である。
ミザシ [mi⸢ʣa⸣ʃi]琉球国時代の役職名。{与人}{ユン|チュ}(村長)の下役で、与人を補佐する、または小村の村長を勤める役人。「目差」と表記される。
ミザシシュー [mi⸢ʣa⸣ʃiʃuː]目差様。ミ⸢ザ⸣シ[mi⸢ʣaʃi]に敬称の接尾辞、⸣シュー[⸣ʃuː](主。様)が付いた形
ミサ ナスン [⸣misa ⸣nasuŋ]病気を治す。他動詞的に用いる。「良く・成す」の義。
ミサナルン [⸣misanaruŋ]自動病気が治る。「良くなる」の義。自動詞的に用いられる。
ミサビナサ [⸣misabinasa]良否。良さ悪さ。可否。老年層の言葉。若年層は⸣ミサワッサー[⸣misawassaː](良し悪し)ともいう。
ミサレーティ アークン [⸣misareːti ⸢ʔaː⸣kuŋ]元気でいる。元気に暮らしている。
ミサン [⸣misaŋ]{1}よろしい。好ましい。良い。
ミサン [⸣misaŋ]{2}適当である。よい。
ミサン [⸣misaŋ]{3}補助形容詞。動詞の連用形に付いて、⸢~してよい」の意味を表す。
ミシ [⸢mi⸣ʃi]接尾~置き。時間や数量を表す語に付いて、その分の間隔をあける意を表す。
ミジ [mi⸢ʤi]水。
ミシーミシ [miʃiː⸢miʃi]みすみす(見す見す)。むざむざと。それと知りつつも。
ミジーミジーシ [mi⸢ʤiːmiʤiː⸣ʃi]瑞々しい。水っぽくて若々しいさま。水気が多く味が薄いさま。
ミジアバ [mi⸢ʤi⸣ʔaba]{1}髪油や、びんつけあぶらの無い時に、水を髪油代用にしてつけ、頭髪を整えた水。「水油」の義。祝祭日以外の日常生活では、半農半漁の鳩間島の主婦達は日常は髪油を付けなかったが、年頃の娘達は夜になると頭髪を洗い髪油をつけて遊んでいた。巫女<神職者>は、神前に出る際に洗髪して身を清め、衣装を整えてから御嶽へ行った。
ミジアバ [mi⸢ʤi⸣ʔaba]{2}びんつけ油。水油。
ミジアミ [mi⸢ʤiʔami]水浴び。
ミジアライ [mi⸢ʤi⸣ʔarai]水洗い。
ミジイリ [mi⸢ʤiʔiri]水入れ。水を入れる容器。
ミジイル [mi⸢ʤi⸣ʔiru]水色。青色。老年層は、ミ⸢ズ⸣ル[mi⸢ʣu⸣ru](水色)ともいう。
ミジウーキ [mi⸢ʤiʔuː⸣ki]水桶。水を運ぶ桶。
ミシゥカーマシ [misï̥⸢kaːma⸣ʃi]密かに{見透}{ミ|スカ}されるように。こっそりと見通されるように。「みそか<密か>」の転訛したものか。総てをお見通しである。忍びやかにするさま。ひそかに。
ミシゥカムニ [⸢misï̥kamunu]内緒話。ひそひそ話。「みそかものいひ<密か物言ひ>」の転訛したものか。
ミジウン [mi⸢ʤi⸣ʔuŋ]水芋。水分が多くて食べられない芋。煮ると水っぽくなって食用に適しないので豚の飼料にした。雨の多い時期に、突然変種の水芋ができた。
ミジオーシ [mi⸢ʤiʔoːʃi]死者へ水を供える行事。「水差し上げ」の義。葬式後初の癸亥(ミズノトヰ)の日に、ミ⸢ジタング[mi⸢ʤitaŋgu](水担桶)のカ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片方)に水を入れて青竹の棒を通して二人で担いで墓へ運び、墓前に置かれた小さな水甕に入れて溢れさせた。
ミジカーキ [mi⸢ʤikaːki]喉が渇くこと。「水渇き」の転訛。夏の暑い時に野良仕事をすると、発汗作用によって極端に喉が渇き、水分を欲しがること。
ミシガイ [mi⸢ʃi⸣gai]しゃもじ(杓文字)。飯をよそう道具。老年層は、普通は⸢イー⸣ガイ[⸢ʔiː⸣gai](杓文字)という。
ミジカミ [mi⸢ʤikami]{水瓶}{ミズ|ガメ}。飲料水を溜めておく瓶。普通は、直径約12センチの、口の小さい水甕に水を入れ、フ⸢ダ⸣ル[ɸu⸢da⸣ru]({柄杓}{ヒ|シャク})で水を汲み出して使用した。柄杓は通常、{水甕}{ミズ|ガメ}の口に掛けておいた。広口の水瓶は、⸢バンドーガミ[⸢bandoːgami]といった。直径約20センチの広口の水瓶で、板を円形に切って蓋をした。
ミジカラーン [mi⸢ʤikaraː⸣ŋ]水が少ない。水が乏しい。水量が少ない。旱魃気味である。
ミジカン [mi⸢ʤikaŋ]「水乾」の義。建築用材を白蟻などの害虫から防ぐために、数ヶ月間川や沼に浸けておくこと。鳩間島では、多くの場合海水に沈めておいたり、海の砂の中に埋めて⸢スー⸣カン[⸢suː⸣kaŋ](潮乾)して樹液を抜き、約一年後に掘り出して、⸢キー⸣ヤー[⸢kiː⸣jaː](木材乾燥用の小屋)に入れて乾燥した。
ミジカンガン [mi⸢ʤikaŋ⸣gaŋ]水鏡。鏡が無い時には、鏡の代用として⸢ビン⸣ダライ[⸢bin⸣darai](洗面器)や⸣タライ[⸣tarai](盥)などに水を入れて顔を写し、みだしなみ<身嗜み>を整えた。
ミジグジ [mi⸢ʤiguʤi]手足にできる、豆のような{水腫}{スイ|シュ}。まめ({肉刺}{マ|メ})。グ⸢ジ[gu⸢ʤi](肉刺)の一種。
ミジクブサー [mi⸢ʤikubu⸣saː]素焼きの鉢。{尿瓶}{シ|ビン}の一種。直径約30センチ、深さ約15センチほどの女性用小水入れ。昔は年寄りの女性は、夜間における小用の際、土間に置いてあるミ⸢ジクブ⸣サー[mi⸢ʤikubu⸣saː]に用を足して、翌早朝にトイレに流して洗っておいた。戦後になって若い女性は使用しなくなり、病人がそれを使用するようになった。
ミジクムル [mi⸢ʤikumu⸣ru]自然に大きく水のたまっている所。大きな池や沼。「水こもり」の義。庭の{水溜}{ミズ|タマリ}には言わない。一定の広さを持った沼や池。
ミシケー [⸢miʃi̥⸣keː]人名。⸢ミシ⸣ケーザー[⸢miʃi̥⸣keːʣaː](ミシケー。ザーは<兄>の訛で敬語)ともいう。
ミジゴイ [mi⸢ʤi⸣goi]みずごえ(水肥)。糞尿の肥。カ⸢ジゴイ[ka⸢ʤigoi](堆肥)の対義語。人糞と豚舎から出る{糞尿}{フン|ニョウ}を混ぜて水肥とし、⸣コイタング[⸣koitaŋgu](こえたご<{肥担桶}{コエ|タ|ゴ}>)で担いで畑へ運んだ。
ミジ サールン [mi⸢ʤi saːruŋ]{1}洪水などが引く。
ミジ サールン [mi⸢ʤi saːruŋ]{2}急須の湯や酒を湯飲みや杯に注ぎきる。
ミジサカシキ [mi⸢ʤisakaʃi̥ki]水さかづき(水杯)。死者との別れのさかづき。
ミジサバ [mi⸢ʤisaba](動)魚の名。「水鮫」の義。和名、ジンベーザメ(体長約12メートル)。
ミジサバ [mi⸢ʤi⸣saba](動物){鱶}{フカ}の一種。じんべーざめ。体長12メートルに達するものもいる。肉が柔らかく鱶の仲間で最大。イカ釣り漁でこれが寄ってくると怖いので逃げた。舟の側にぴたりと寄り添って舟との大きさを比べるので、帆柱などを{繋}{ツナ}いで流し、早々にその場から逃げ出した
ミジソー [mi⸢ʤisoː]生まれた年の干支がミズノエ(壬)、ミズノト(葵)である人の気性。
ミジター [mi⸢ʤitaː]{1}水田。みずた。単に、⸣ター[⸣taː](田)というのが普通。
ミジター [mi⸢ʤitaː]{2}大雨で畑が冠水した状態。
ミジター [mi⸢ʤi⸣taː]⸢水田」の義。みずた。大雨で畑が{水浸}{ミズ|ビタシ}になっていること。サ⸢リター[sa⸢ritaː]({乾上}{ヒ|アガ}った田。{旱魃}{カン|バツ}で水田が乾上ったさま)の対義語。
ミジタンク [mi⸢ʤitaŋ⸣ku]{貯水槽}{チョ|スイ|ソウ}。直径約1メートル、高さ約2メートルのコンクリート製の貯水槽。瓦屋根に降った天水を{樋}{トイ}で受けてミ⸢ジタン⸣クに集め貯水した。
ミジタング [mi⸢ʤitaŋ⸣gu]たごおけ({担桶}{タ|ゴ})。「水担桶」の義。にない桶。水を桶に入れて天秤棒で担ぐ桶。水担桶一個を、カ⸢タ⸣ティー[kḁ⸢ta⸣tiː](片手)といい、水担桶を天秤棒で両端に一対かけて、一人で肩に担ぐ場合、プ⸢スカタ⸣ミ[pu̥⸢sukata⸣mi](いっか<一荷>)という。
ミジッサリ [mi⸢ʤissari]{1}水虫。「水腐れ」の義。ミ⸢ツァ⸣ウティ[mi⸢ʦa⸣ʔuti](泥負け)とは異なる。
ミジッサリ [mi⸢ʤissari]{2}水が多すぎて作物が腐ること。「水腐れ」の義。
ミジティップ [mi⸢ʤitippu]水鉄砲。昭和40年頃まで、男の子供達は、竹筒やパパイアの葉柄で水鉄砲を作って遊んだ。
ミジナー [mi⸢ʤi⸣naː](植)湿地に生える雑草の名。和名、スベリヒユ。「水菜」の義。
ミシナーク [miʃi⸢naːku]みすみす(見す見す)~される。むざむざ~される。あってはならないことが、情けないことに、すっかり~される。
ミシナータクトゥ [miʃi⸢naːta⸣kutu]みすみす(見す見す)~される。むざむざ~される。あってはならないことが、それと知りつつも、すっかり~されてしまう。誠に残念だがすっかり~されてしまう。
ミジ ナルン [mi⸢ʤi⸣ naruŋ]{1}⸢水になる」の義。
ミジ ナルン [mi⸢ʤi⸣ naruŋ]{2}水泡に帰する。
ミジニー [mi⸢ʤiniː]干支の壬(みずのえ)、癸(みずのと)に当る日。
ミジニー [mi⸢ʤi⸣niː]⸢水煮」の義。味噌や塩、醤油などの調味料を入れないで調理すること。
ミジヌール [mi⸢ʤinuːru]「みずのり(水糊)」の義。薄く作った洗濯用のり。カ⸢タヌー⸣ル[kḁ⸢tanuː⸣ru](濃い糊)の対義語。
ミジヌカン [mi⸢ʤinu⸣kaŋ]水の神様。水神。鳩間島のア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川御嶽)は水の神様を祀ってあるといわれている。ア⸢マン⸣グイ[ʔa⸢maŋ⸣gui](雨乞いの神歌)のアラカワウガン(新川御嶽<お願>)に、/ウフイラカ カミガナシ アミブシャヌ カミイラカ タケバル アミブシャヌ ミジムトゥヌ マブルシュ アミブシャヌ ウブガーラヌ シキフチ アミブシャヌ ウムルミジタラショーリ アミブシャヌ フダルミジバ タボラリヨー アミブシャヌ/とある
ミジヌクー [mi⸢ʤinu⸣kuː]水のこ。「水の粉」の転訛したものか。お盆の供物の一つ。砂糖黍の茎、茄子を賽の目に小さく刻んで、米と小豆、昆布の刻んだものを加えて、7回水洗いをしたもの。皿に入れ、⸣マヤーブー[⸣majaːbuː](和名、メドハギ<蓍萩>)の枝を添えて仏壇に供える。一日三食を仏壇に供える際に、マヤーブーでミジヌクーを家の外へ三度掻きはねる。無縁仏達へのお布施といわれている。それをしないと、先祖に供えた供物に無縁仏が手を突っ込んだり、悪事を働くと信じられている。
ミジヌッふァ [mi⸢ʤinu⸣ffa]ぼうふら(孑孑)。「水の子」の義。
ミジバタ [mi⸢ʤi⸣bata]「水腹」の義。水分で一杯になった腹。
ミジパナダル [mi⸢ʤipanadaru]{水洟}{ミズ|ハナ}。風邪をひくと鼻から流れ出る水のような薄い鼻汁。
ミジパナドゥル [mi⸢ʤipanaduru]みずばな(水洟)。
ミジパンタリ [mi⸢ʤipan⸣tari]みずぶとり(水太り)。肉のしまらない、でっぷりとした脂肪質の肥満体。⸢コーパン⸣タリ[⸢koːpan⸣tari](筋肉質の引き締まった太りかた)の対義語。
ミジフクル [mi⸢ʤiɸu̥ku⸣ru]みずぶくれ(水脹れ)。皮膚の下に水分がたまって脹れること。{漿液}{ショウ|エキ}を含んで{膨}{フク}らむこと。
ミジフチル [mi⸢ʤiɸuʧi⸣ru]水薬。老年層は、ミ⸢ジフシ⸣ル[mi⸢ʤiɸuʃi⸣ru](水薬)という。⸢クーフチ⸣ル[⸢kuːɸuʧi⸣ru]、⸢クーフシ⸣ル[⸢kuːɸu̥ʃi⸣ru](粉薬)の対義語。
ミジフニ [mi⸢ʤi⸣ɸuni]浸水した船。「みずぶね(水船)」の義。船を浸水させて航行不能の状態にすること。
ミジフミ [mi⸢ʤiɸumi]水汲み。
ミジマキ [mi⸢ʤimaki]⸢水負け」の義。長時間水田で作業をしたり、湿地帯で作業をすると足の指の間が赤く腫れたり、あかぎれ(皸)のように足の指の間が切れて痛むこと。この症状をいった。水虫の一種か。
ミジマキ [mi⸢ʤi⸣maki]水撒き。水打ち。庭や道などに水をまくこと。
ミジミチ [mi⸢ʤimiʧi]水脈。水の流れるところ。
ミジムトゥ [mi⸢ʤimutu]水源。水源の神。
ミジムン [mi⸢ʤimuŋ]水分が多くて美味しい桃。「水桃」の義。イ⸢シムン[ʔi⸢ʃimuŋ](在来種の固い実を付ける桃)の対義語。
ミジラサ ピルマサ [mi⸢ʤira⸣sa ⸣pirumasa]珍しいさまの詠嘆的表現。珍しいことよ。ABCDEFGD型の重言。形容詞、ピ⸢ルマ⸣サン[pi⸢ruma⸣saŋ](不思議である。怪しい。奇妙である)の語幹部が、ミ⸢ジラ⸣サン[mi⸢ʤira⸣saŋ](珍しい)の語幹部について形成された重言で、強調の意味が含まれる。
ミジラサン [mi⸢ʤira⸣saŋ]{1}珍しい。異様である。
ミジラサン [mi⸢ʤira⸣saŋ]{2}不思議である。
ミジラシ [mi⸢ʤira⸣ʃi]連体珍しい。変わった。
ミジラシスコーナ [mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːna]連体異様な。珍奇な。⸢珍しいような」の義。
ミジラシスコーニ [mi⸢ʤira⸣ʃisu̥koːni]珍しいほど立派に。珍しく。異様に。変なふうに。
ミシルン [mi⸢ʃi⸣ruŋ]他動見せる。老年層の言葉。若年層は、ミ⸢ラ⸣スン[mi⸢ra⸣suŋ](見せる)という。
ミジンガーリ [mi⸢ʤiŋgaːri]みずあたり(水当り)。「水変わり」の義。旅行などで、土地が変わることによって起きる下痢や腹痛。
ミジンガサ [mi⸢ʤiŋga⸣sa]すいほう(水泡)。みずぼうそう(水疱瘡)。ハシカ<{麻疹}{マ|シン}>の{発疹}{ホッ|シン}。顔から始まって全身に水疱が広がる子供の皮膚病。
ミジンガニ [mi⸢ʤiŋ⸣gani]鉛。「水金」の義。老年層のことば。若年層は、ナ⸢マ⸣リ[na⸢ma⸣ri](鉛)という。
ミジングラ [mi⸢ʤiŋ⸣gura]水タンク。貯水池。ミ⸢ジ⸣グラ[mi⸢ʤi⸣gura](水タンク)ともいう。若年層は、ミ⸢ジタン⸣ク[mi⸢ʤitaŋ⸣ku](水タンク)という。
ミジンゴイ [mi⸢ʤiŋ⸣goi]みずごえ(水肥)。液肥。老年層は、ミ⸢ジ⸣ゴイ[mi⸢ʤi⸣goi](水肥)ともいう。
ミジンダナ [mi⸢ʤin⸣dana]水棚。マ⸢カ⸣ルダナ[ma⸢ka⸣rudana](お碗棚)ともいう。台所の脇にある皿や碗類を置いて水分を切るに用いる棚。「Mizzutana.faxiri.ミヅタナ、または、ハシリ(水棚.または、走り)台所で、陶器その他の物をのせて洗う板」『邦訳日葡辞書』。
ミジンダラ [mi⸢ʤin⸣dara]下水だめ。すいこみ。炊事場の下水を流して溜めておく穴。水溜り。
ミズ [mi⸢ʣu]{1}溝。下水溝。
ミズ [mi⸢ʣu]{2}{澪}{ミオ}。水路。鳩間島の東南のパ⸢マザ⸣キ[pa⸢maʣa⸣ki](浜崎浜)とタ⸢カ⸣ビー[tḁ⸢ka⸣biː](高干瀬)の間にある深い澪。水路。ミ⸢ズヌ⸣カン[mi⸢ʣunu⸣kaŋ](澪の上)ともいう
ミスクン [⸢misu̥⸣kuŋ]他動捜す。発見する。「見つく<下二>」の転訛したもの。
ミスコーマシ [misu̥⸢koːma⸣ʃi]こっそりと。小声密かに。ミシゥ⸢カーマ⸣シとも言う。
ミスコーミスコーシ [misu̥⸢koːmisukoː⸣ʃi]用心深く。慎重に。丁寧に。
ミズサライ [⸣miʣusarai]溝さらえ。
ミズヌカン [mi⸢ʣunu⸣kaŋ]海底地名。「{澪}{ミオ}の上」の義。⸢ナーバレー[⸢naːbareː](⸢長い窪地<割れ地>」の義)の干瀬の内側(礁内湖の側)からヤ⸢マ⸣タジル[ja⸢ma⸣taʤiru](浅瀬)へかけて延びる、幅約100メートル、長さ約500メートル、水深約30メートルの澪
ミズノ [mi⸢ʣu⸣no](動)魚の名。イワシの一種。和名、ミズン(体長約15センチ)。小イワシ。老年層はミ⸢ズ⸣ヌ[mi⸢ʣu⸣nu](小イワシ)ともいう。和名、ヤマトミズンは、ヤ⸢マトゥミズ⸣ヌ[ja⸢matumiʣu⸣nu]という。パ⸢ダ⸣ラ[pa⸢da⸣ra](トウゴロイワシ)と供に8月頃に島の海岸に寄ってくる。
ミズヤ [mi⸢ʣu⸣ja]水屋。茶器や食器類を入れる[g]{箪笥}{タンス}様の家具。標準語からの借用語。戦後輸入され、使用されるようになった。台所のある三番座に置かれてあった。大小さまざまあるが、普通は奥行き約45センチ、幅約80センチ、高さ約120センチ程度のものがよく利用されていた。
ミズル [mi⸢ʣu⸣ru]水色。青色。
ミスン [⸣misuŋ]他動見せる。老年層の言葉。「見す(下二段活用)。~令視倍吉君之<ミスベキキミノ>~。万、166」の転訛したものか。若年層は使わない。ミサスンとも言う。
ミダカーマ [mi⸢dakaː⸣ma]めだか。若年層のことば。標準語からの借用語。
ミダスン [mi⸢da⸣suŋ]他動乱す。混乱させる。心を迷わせる。かき回す。標準語からの借用語。
ミタナブニ マラソーリ [mi⸢tanabuni⸣ ma⸢rasoː⸣ri]三棚船を新造され(加治工伊佐氏伝承)。この語は現在ではほとんど死語である。ティ⸢ジリ⸣ビー[ti⸢ʤiri⸣biː]であった同氏が船浦の⸣スラバ[⸣suraba](造船所)の話をした際に、「昔の人はこう話された」述べた。「和船型の接ぎ舟か」『沖縄古語大辞典』とある
ミダルン [mi⸢da⸣ruŋ]自動乱れる。ばらばらになる。標準語からの借用語か。
ミチ [⸣miʧi]{1}道。道路。
ミチ [⸣miʧi]{2}人の踏み行うべき道。倫理道徳。
ミチアウ [mi⸢ʧiʔau]みちづれ(道連れ)。道中仲間。連れ立って行く人。ミ⸢チジリ[mi⸢ʧiʤiri](道連れ)ともいう。
ミチアキナイ [mi⸢ʧiʔaki⸣nai]つじあきない(辻商い)。道端で店を出して商売すること。つじうり。
ミチウクリ [mi⸢ʧiʔukuri]葬送。葬式の行列に直接参加せず、四辻などで待って葬送の行列を送ること。「道送り」の義。
ミチウタ [mi⸢ʧiʔuta]道行の歌。{1}豊年祭の道歌。豊年祭の⸣トーピン[⸣toːpiŋ](当日)、午後一時頃になると各⸣ウガン[⸣ʔugaŋ](御嶽。お願)にいたピ⸢キ[pi̥⸢ki](血族)の者が、⸢マイドゥマ⸣ルウガン[⸢maiduma⸣ruʔugaŋ](前泊お願)のヒキの者はピ⸢ナイ⸣ウガン[pi⸢nai⸣ʔugaŋ](鬚川お願)へ行き、そこのヒキと合流して⸢ウイヌ⸣ウガン[⸢ʔuinu⸣ʔugaŋ](友利御嶽<お願>)へ行く。各お願を出発する際は、鼓の音に合わせて各お願の歌を歌う。ア⸢ラ⸣カーウガン[ʔa⸢ra⸣kaːʔugaŋ](新川お願)のヒキの者は直接友利お願へ向かう。友利お願の前で待ち合わせ、揃って友利お願の中へ入るが、その際、友利お願のピキの者と向かい合って「ウブトゥムル」(大友利御嶽)の歌をうたう。この歌を歌い終えてから一同は⸢パイ⸣ディン[⸢pai⸣diŋ](拝殿)に進み、司やティジリビなどの神職者の後に{蹲踞}{ソン|キョ}し、拝殿に向かって{合掌礼拝}{ガッ|ショウ|レイ|ハイ}する。その後⸢マー⸣ニ(クロツグ)の若葉を80本ほど神前に捧げて祈願し、これを⸢カン⸣シバ[⸢kaŋ⸣ʃiba](神芝)とし、2、3本を繋いで集まった人々の頭に結わえさせる。その後に、次のミ⸢チウタ[mi⸢ʧiʔuta](道歌)を歌いながら⸣サンシキ[⸣saŋʃiki](桟敷)へと下りてくる。1連/ヘイヤー パトゥマユーヌ ホー ナウラバ ヘイヤー トゥムルユーヌ ミキラバ/(ヘイヤー<囃子>鳩間村<世>がホー<囃子> 豊作になる<稔る>と ヘイヤー 友利御嶽神様の統べる村が実ると)、2連/ヘイヤー タルトゥユドゥ ティユマス ヘイヤー ジリトゥユドゥ ナトゥラス/(ヘイヤー<囃子>誰と供にぞ鳴響ます ヘイヤー どなた<何れの者>と供にぞ ホー 轟かす<名を轟かそう>か)。3連/ヘイヤー マブルシュードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ウヤガミドゥ ホー ナトゥラス/、4連/ヘイヤー マブルシューヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー ウヤガミヌ ホー アトゥンヤ ー/、5連/ヘイヤー サカサキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー ティジリキャードゥ ホー ナトゥラス/、6連/ヘイヤー サカサキャーヌ ホー アトゥンニャーヘイヤー ティジリキャーヌ ホー アトゥンニャー/、7連/ヘイヤー ユムチキャードゥ ホー ティユマス ヘイヤー シマムチャードゥ ホー ナトゥラス/、8連/ヘイヤー ユムチキャーヌ ホー アトゥンヤー ヘイヤー シマムチャーヌ ホー アトゥンヤー/、9連/ヘイヤー バガケーラドゥ ホー ティユマス ヘイヤー ユスケーラドゥ ホー ナトゥラス/『鳩間誌』p.43。
ミチウタ [mi⸢ʧiʔuta]{2}お盆の道歌。⸢ソー⸣ラン[⸢soː⸣raŋ](お盆)の獅子舞いのとき、アンガマ隊が移動する際には、次の道歌が歌われる。/シーシェーマーヌ オールンドー(獅子舞が来られるよ)、アンガマターヌ オールンドー(アンガマター<姉子踊り隊。入子踊り隊>が来られるよ)。パダラヤ ナマシ(トウゴロー鰯は刺身にして)。ナマシヤ パイル(刺身には酢を)。パイルヤ フナブ(酢は九年母)。オンガキーヤ シーソヌパー(刺身の妻は紫蘇の葉を)。ソーランヤーヌ アッパーター(精霊会の祖母たちよ)。ミーザンマーザン オーショーリ(不味くても美味しくても召し上がれ)/。そしてイ⸢リクヌ⸣ティー[ʔi⸢rikunu⸣tiː](入子踊りの笛)が吹奏される
ミチェーマ [mi⸢ʧeː⸣ma]小路。路地。-マ[-ma]は美称、愛称の接尾辞(指小辞)。
ミチクサイ [mi⸢ʧikusai]道路修理。みちぶしん(道普請)。「みちこさえ(道拵え)」の義。お盆の送り日の翌日に井戸浚えと共に村中総出で行った。
ミチシキ [mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki]{1}満月。「満ち月」の転訛。
ミチシキ [mi⸢ʧi⸣ʃi̥ki]{2}月日が満ちること。妊娠等の月数が満ちること。
ミチスー [mi⸢ʦi⸣suː]{1}上げ潮。差し潮。満ち潮。
ミチスー [mi⸢ʦi⸣suː]{2}満潮。
ミチタライ [mi⸢ʧi⸣tarai]満足。満ち足りること。
ミチッサーリムヌ [mi⸢ʧissaːri⸣munu]障害物。⸢道{塞}{フサ}がりもの」の転訛。「道」に「擁、布左具(ふさぐ)」『華厳経音義私記』が下接して形成だれた語。
ミチドゥミ [mi⸢ʧidumi]道止め。通行禁止。伝染病が発生した時などに、一時的に通行止めをされることがあった。
ミチナカ [mi⸢ʧinaka]みちなか(道中)。途中。
ミチナカーラ [mi⸢ʧinakaː⸣ra]{1}行程の途中から。日程、旅程の途中から。
ミチナカーラ [mi⸢ʧinakaː⸣ra]{2}発達段階の中途。青年期。子供から大人になる途中。
ミチヌ アジマー [mi⸢ʧi⸣nu ʔa⸢ʤi⸣maː]十字路。四つ角。よつつじ(四辻)。道が十字形に交わっている所。ミ⸢チ⸣ヌ ⸢ユーカドゥ[mi⸢ʧi⸣nu ⸢juːkadu](道の四つ角)ともいう。
ミチヌ スバ [mi⸢ʧi⸣nu ⸣suba]道端。路傍。「道の側」の義。
ミチヌプス [mi⸢ʧinu⸣pu̥su]通行人。道を通る人。「道の人」の義。
ミチブー [mi⸢ʧibuː]みちぶ(道夫)。道普請の際の夫役。道路作業に従事する人夫。
ミチブー [mi⸢ʧi⸣buː]沢山ある。いっぱいある。「満ちている」の義。
ミチ フムン [mi⸢ʧi ɸumuŋ]正しい生き方をする。人としての正しい道を踏み行う。「道踏む」の義。神事や仏事が正しく実施され、継承されていること。
ミチマール [mi⸢ʧimaːru]道草をくうこと。遊びまわること。「道回り」の義。
ミチマユイ [mi⸢ʧimajui]みちまどい(道惑い)。道に迷うこと。
ミチミチ [mi⸢ʧimiʧi]道すがら。歩きながら。~の途上。
ミチユドゥン [mi⸢ʧijuduŋ]道草を食うこと。「道よどみ」の義。
ミチルン [mi⸢ʧi⸣ruŋ]自動満ちる。
ミチンパタ [mi⸢ʧim⸣pata]みちばた(道端)。路傍。「道の端」の義。
ミツァ [⸣miʦa]粘土。泥土。水分の多い泥。
ミツァール [mi⸢ʦaːru]三人。「み・たり(三人)」の転訛したもの。
ミツァール [⸣miʦaːru]上げ潮。潮が満ちてくるとき。「満ち上がり」の転訛したもの。
ミツァウティ [mi⸢ʦa⸣ʔuti]泥かぶれ({気触}{カ|ブ}れ)。泥やぬかるみ(泥濘)の中で長時間歩く際、足の指と指の間がかぶれて{爛}{タダ}れること。泥負け。
ミツァカマチ [⸣miʦakamaʦi]粘土で造った{竈}{ヘッツイ}。{土竈}{ツチ|カマド}。「Camado.カマド({竈}{カマド})鉄鍋とか大釜とかをかけるかまど」『邦訳日葡辞書』の義。
ミツァクビ [mi⸢ʦa⸣kubi]{泥壁}{ドロ|カベ}。{土壁}{ツチ|カベ}。竈の後ろの壁を粘土で塗り上げて防火用にしたもの。
ミツァスン [mi⸢ʦa⸣suŋ]他動満たす。
ミツァパジン [⸣miʦapaʤiŋ](動)蜂の一種。ツチバチ(土蜂)。泥を固めて巣を作る。⸣ッふパジン[⸣ffupaʤiŋ](黒蜂)ともいう。刺されると毒性が強く、激しく痛む。
ミツァムラシ [mi⸢ʦamura⸣ʃi]つちくれ(土塊)。
ミッカ [⸢mikka]三日。
ミッカジキ [⸢mikkaʤiki]三日月。
ミッカラ [⸢mikkara](数)三頭。三匹。「ミ・カシラ[mi-kasira](三頭)」の[k]と[s]の音位転倒(メタテーゼ)によるものか。
ミック [⸢mikku](数)三個。ック [kku](個)は、瓶や球形の物を数える際に用いる助数詞。
ミックヮー [⸢mik⸣kwaː]目の不自由な人。「めくら(盲)。メクラ・メシヒ『類聚名義抄』」の転訛したもの。
ミッタニ [⸢mit⸣tani]めったに。むやみに。下に打ち消しの語を伴って、陳述副詞の機能「ほとんど~ない」の意味を表す。
ミッタマカッタマ [⸢mit⸣tamakattama]目を{怒}{イカ}らせて激しく怒るさま。ABCDEBCD型の重言。強調表現。
ミッチン [mitʧiŋ](数)三個。三つ。三粒。
ミッティ [mit⸢ti]十分。たくさん。いっぱい。かなり。
ミットー アン [⸢mit⸣toː ⸣ʔaŋ]見た目にもよい。見た目にも体裁がよい。
ミットー ナーヌ [⸢mit⸣toː ⸢naː⸣nu]みっともない。{体裁}{テイ|サイ}が悪い。世間体が悪い。「Mitomonai.ミトモナイ(見ともない)、見るのが嫌なこと、あるいは、見るに堪えないこと」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。⸢ミッ⸣トー ⸣アン[⸢mit⸣toː ⸣ʔaŋ](見た目によい。体裁がよい)の対義語。
ミッふァーン [⸢mif⸣faːŋ]{憎}{ニク}い。憎らしい。老年層の言葉。若年層は、⸢ニッ⸣ふァーン[⸢nif⸣faːŋ](憎い)という。「吾こそは憎毛有目<ニククモ・アラメ>~。万、1990」、「Nicui.ニクイ(憎い)憎らしいこと、あるいは、嫌らしい(こと)」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ミツム [mi⸢ʦu⸣mu]目に入ったごみ。目に入った異物。
ミツン [⸣miʦuŋ]自動満つ。「~潮美弖婆<ミテバ>妻呼び交わす~。万、3993」の転訛したもの。
ミツンケン [⸣miʦuŋkeŋ]山ほど。たくさん。たくさん。「満つほど」の義。
ミトゥミルン [mi⸢tumi⸣run]他動認める。目にとめる。
ミドゥム [mi⸢du⸣mu]女。女の子。女性。「~妻子等波<メコドモハ>乞う乞う泣くらむ~。万897」の「め(妻)」に接尾語、-ドゥム[-dumu](ども<等>)が付いて転訛したもの。
ミドゥムウヤ [mi⸢dumu⸣ʔuja]母親。「女親」の義。「桂、女加豆良<めかづら>」『和名抄』の「女<め>」に接尾語、-ドゥム[-dumu](ども<伴>、複数)が付き、さらに名詞、⸣ウヤ[⸣ʔuja](親)が付いて形成された複合名詞。
ミドゥムダチ [mi⸢dumu⸣daʧi]女所帯。「女<め>ども立ち」の義。
ミトゥムン [mi⸢tu⸣muŋ]他動認める。「認め<下二段活用>」の四段活用化したもの。
ミドゥリ [mi⸢du⸣ri]芽。⸣バイ[⸣bai](芽。新芽)、ビ⸢チ⸣ル[bi⸢ʧi⸣ru](新芽。茎)ともいう。
ミナ [⸣mina](動){1}巻貝の総称。ユ⸢ナーミナ[ju⸢naːmina](マルソデガイ)、⸣サザミナ[⸣saʣamina](さざえ)、ビ⸢キミナ[bi⸢kimina](タカセ貝)、⸢ミー⸣ミナ[⸢miː⸣mina](ヒロセ貝)など。
ミナ [⸣mina]{2}和名、サラサバテイ。サザエ(栄螺)貝など。「河貝子、美奈<みな>」『類聚名義抄』の転訛したもの。⸣サザミナ[⸣saʣamina](サザエ<栄螺>)ともいう。⸢ター⸣ミナ[⸢taː⸣mina](たにし<田螺>)は水田に棲息する巻き貝。
ミナー [mi⸢naː]帆を引き上げる縄。イダフニ(サバニ)の帆桁の中央に結びつけ、帆柱の先端の穴カナミー[ka⸢namiː]に通して帆を上下するのに用いる縄。「みなわ(水縄)」の転訛したもの。みづな。
ミナカ [mi⸢na⸣ka]庭。母屋の前の広場、空間。穀物を干したり、仕事をする所。稲の脱穀や米搗きをしたり、イ⸢ガ[ʔi⸢ga](烏賊)をシ⸢ダ⸣ル[ʃi⸢da⸣ru](ススキを編んで作った簾)の上に並べて日干し乾燥するのに用いた空間。⸢イー⸣シ[⸢ʔiː⸣ʃi](つのまた。海草)なども庭で干して乾燥させた。⸢アンタヌ⸣ ミ⸢ナ⸣カ[⸢ʔantanu⸣ mi⸢na⸣ka](東の庭)、⸣マンタヌ ミ⸢ナ⸣カ[⸣mantanu mi⸢na⸣ka](前の庭)というが、後ろや西側には言わない。家の後方は、普通は菜園に利用され、西側には⸢トー⸣ラ[⸢toː⸣ra](炊事小屋)や畜舎、鶏舎、北西の隅には豚舎と便所が建てられたので、庭としての空間がとれなかったからであろう。
ミナカポーキ [mi⸢nakapoː⸣ki]庭箒。庭を掃く箒。⸢ポー⸣キダキ[⸢poː⸣kidaki]({箒竹}{タケ|ホウキ}、庭箒を作る竹)を四、五本束ねて作った箒。タ⸢キポーキ[tḁ⸢kipoːki](竹箒)ともいう。
ミナトーマ [mi⸢natoː⸣ma]小さな川の川口。小さな湊。小湊。
ミナトゥ [mi⸢natu]港。「湊、三奈止<みなと>」『和名抄』の転訛したもの。西表島の川口を、⸢ユシ⸣キダ ⸣ミナトゥ[⸢juʃi̥⸣kida ⸣minatu](ヨシキラ湊。ヨシキラ川の川口)、⸢ケーダ ミナ⸣トゥ[⸢keːda mina⸣tu](ケーダ湊。ケーダ川の川口)、⸢クーラ ミナトゥ[⸢kuːra minatu](クーラ湊。クーラ川の川口)、⸢マーレー ミナトゥ[⸢maːreː minatu](マーレー湊。マーレー川の川口)などのようにをいう。
ミナムトゥ [mi⸢namutu]源。先祖。
ミニ [mi⸢ni]棟木。{棟桁}{ムネ|ケタ}。歌謡語。ム⸢ニアギ[mu⸢niʔagi]({上棟}{ムネ|アゲ})の際に用いる桁材。ク⸢ガニカニバ⸣ ミニバシー~[ku⸢ganikaniba⸣ mi⸢niba ʃiː~](黄金の鋼材を棟木にして~)「アーパーレー歌」
ミヌ [⸣minu]みの(蓑)。{蓑笠}{ミノ|カサ}。「~わが門に蓑笠着ずて来<ケ>る人や誰。万、3125」、「蓑、説文云蓑<蘓和反 美乃>雨衣也」『和名抄』の転訛したもの。しゅろ(棕櫚)の繊維で{綯}{ナ}った細い縄で{蒲葵}{ク|バ}(ビロウ)の葉を編みあげて作った一種の雨具。頭には{蒲葵笠}{ク|バ|ガサ}を被り、肩から掛ける蓑と腰周りに着る蓑で雨を防ぐ百姓の雨具。軽くて通気性がよく、夏の炎天下でも{酷熱}{コク|ネツ}を防ぐので、農作業に適していた。
ミヌカサ [mi⸢nu⸣kasa]蓑。みのかさ(蓑笠)の義。
ミブキ [mi⸢bu⸣ki]おかげ(御陰)。加護。恩恵。「おみぼけ(御みぼけ)、賜り物。お陰」『混効験集(乾・言語)』の義。歌謡語。/キミヌ ミブキン タレアマリ カミンフトゥキン ウハチアギ スヌヌアマリヤ イタダケリ (囃子)イヤイーヤー ニングジョーノー ユリユトゥ ウサミティ カミンフトゥキン ウハチン アギユル アマリヌクリヤ ウザキウミキン シクリマラショリ ミチヌシマタニ ティサジメーウキ ウドゥイキョーギン ウムシルムヌサミ ナマヌパヤシニ クドゥキユミユミ/(国王の恩恵が余るほど国民の上に下され、神にも仏にも収穫のお初を供え、その余りは頂いた。<囃子>{弥弥}{イヨ|イヨ}年貢上納を楽に納めて神にも仏にもお初を供えます。その余り残りはお酒、お神酒に醸造し、道の四辻に手拭を頭に巻き締めて踊り狂言をし、楽しいものだ。今の囃子に口説きを歌おう)「鳩間口説」『鳩間島古典民謡古謡集』
ミマギ [mi⸢ma⸣gi]妻を娶ること。古謡語。現在は日常語としては使用されない。「婚、トツク・ツルブ・メマク・マク」『類聚名義抄』に尊敬の接頭辞ミ[mi]が上接したもの。
ミミジャー [mi⸢mi⸣ʤaː](動)魚名。和名、ひめふえだい(体長約40センチ)。鳩間島ではあまり釣れない。
ミャーウ [⸢mjaːu]{PoS_1}猫の鳴き声。にゃおう。
ミャーウ [⸢mjaːu]{PoS_2}猫。幼児語。
ミャーンガルン [⸢mjaːŋgarun]自動飛び上がる。思い上がる。⸢舞い上がる」の転訛か。
ミヤギ [mi⸢ja⸣gi]土産。若年層の言葉。標準語からの転訛。老年層は、⸣シトゥ[⸣ʃi̥tu](つと<苞>)という。
ミヤラビ [mi⸢ja⸣rabi]農村の未婚の娘。十六、七歳の乙女。歌謡語。「めわらべ(女童)」の転訛したもの。普通は、⸢メーラ⸣ビ[⸢meːra⸣bi](乙女)という。
ミュートゥ [⸢mjuː⸣tu]めおと。夫婦。歌謡語。老年層のことば。若年層は、⸢ミー⸣トゥ[⸢miː⸣tu](夫婦)、トゥ⸢ジミートゥ[tu⸢ʣimiːtu](夫婦)、⸢ミートゥン⸣ダ[⸢miːtun⸣da](夫婦。<めおとら>)ともいう。
ミュートゥイシ [⸢mjuːtu⸣ʔiʃi]{1}地名。タチバルの浜に降り立つ直前の地名。
ミュートゥイシ [⸢mjuːtu⸣ʔiʃi]{2}夫婦石。タチバルの浜に降り立つ直前の原野に大小の岩が二個たっている、その岩。若年層では、⸢ミートゥ⸣イシ[⸢miːtu⸣ʔiʃi]、⸢ニートゥ⸣イシ[⸢niːtu⸣ʔiʃi]という人もいる。
ミュートゥダク [⸢mjuːtu⸣daku](動)つがい(番)の蛸。雌雄の蛸。「夫婦蛸」の義。一つの穴に雌雄の大きな蛸が棲息していることがある。島の後ろの干瀬でよく獲れた。若年層は、⸢ミートゥ⸣ダク[⸢miːtu⸣daku]({番}{ツガイ}の蛸。夫婦蛸)ともいう。
ミューナーキャームイ [⸢mjuː⸣naːkjaːmui]見なければならない。歌謡語。⸣アーパーレー[⸣ʔaːpaːreː](新室寿歌<ナガミク>)で、/ウリユー ミューナーキャームイ/(それを見なければならない)と歌われている。⸣ムイ[⸣mui]は「念を押す」助詞か
ミューマイ [⸢mjuː⸣mai]国王様。「みおまえ(み御前)」の義。「ミ」は尊敬の接頭辞。「御前」は「神仏や国王」を敬っていうことから転じて、間接的に「神仏や国王」をさす二重敬語。
ミョーガ [⸢mjoː⸣ga]{冥加}{ミョウ|ガ}。名誉。栄誉。
ミョージ [⸢mjoː⸣ʤi]名字。姓。家の名。
ミョーダイ [⸢mjoː⸣dai]名代。代理。標準語からの借用語。普通は、⸢ダイカール[⸢daikaːru](代理。「代替わり」の転訛したもの)という。
ミヨシ [mi⸢jo⸣ʃi]みよし(舳)。舟の舳先の波を切るところ。
ミラリン [mi⸢ra⸣riŋ]{1}見ることができる。見える。⸣ミルン[⸣miruŋ](見る)の未然形に助動詞⸣リン[riŋ](れる)が下接して形成された可能動詞。
ミラリン [mi⸢ra⸣riŋ]{2}他人に見られる。⸣ミルン[⸣miruŋ]の未然形に助動詞⸣リン[riŋ](れる<受身>)が下接して形成された受身動詞。
ミリキング [mi⸢rikiŋ⸣gu]メリケン粉。輸入品の小麦粉。昔は、⸣ムン[⸣muŋ](麦)をイ⸢ソーシ[ʔi⸢soːʃi](石臼)で{碾}{ヒ}いて自家用の小麦粉を作った。麦を{煎}{イ}って石臼で{碾}{ヒ}いて作った粉は、ユ⸢ナ⸣ク[ju⸢na⸣ku](麦焦がし)という。ユ⸢ナ⸣クに黒糖を削って混ぜると美味であり、「おやつ」として食した。茶碗に入れてもらったユナクをガ⸢ジマル⸣ヌ ⸢パー[ga⸢ʣimaru⸣nu ⸢paː](ガジマルの葉)で{掬}{スク}って食べることは子供の喜びの一つであった。
ミリパンツァスン [mi⸢ripanʦa⸣suŋ]他動みそこなう(見損なう)。見損じる。見落とす。見逃す。「見外す」の義。
ミリムヌ [mi⸢ri⸣munu]見物。見物するもの。芝居。
ミルカー ミリティ [⸣mirukaː ⸣miriti]これ見よがしに。見るなら見ろと言わんばかりに。
ミルク [mi⸢ruku]弥勒神。弥勒菩薩。鳩間島では弥勒菩薩が神として信仰されている。豊年祭と結願祭に奉納される弥勒踊りは、豊年を予祝する踊である。弥勒踊りは、弥勒のお面をかぶった弥勒神が布袋の姿で大きな杖を持ち、世果報を掬い上げるように、{軍配}{グン|バイ}[g]{団扇}{ウチワ}をゆっくりと扇ぎながら舞う。神酒を盛った⸢カン⸣ビン[⸢kam⸣biŋ]({瓶}{ビン})をささげ持ちながら踊り従う娘(二人)、稲粟等の五穀を盛った{籠}{カゴ}を左右にささげ持ちつつ踊り従う娘(二人)と、三角小旗を持って踊り従う娘(八人)の供を引き連れてしずしずと舞われる。ミルクに扮する男性は、⸣ウブシケー[⸣ʔubusi̥keː](大城家)の血を引く人に限られている。ミルクのお面は、ミ⸢ルクン⸣ヤー[mi⸢rukuɲ⸣jaː](「弥勒の家」の義。⸢メー⸣ケー{SqBr}⸢meː⸣keː{/SqBr}<大城家>)に代々保管されてきた。
ミルクヌ オンギ [mi⸢rukunu ʔoŋ⸣gi]⸢弥勒の扇」の義。豊年祭や結願祭の⸢ゾーラキ[⸢ʣoːraki](奉納舞踊。「常楽」の義か。弥勒菩薩が稲粟の穂を籠に入れて捧げ持つ美しい乙女等を従えて踊る奉納舞踊)の際に、弥勒菩薩が持って扇ぎながら舞う、軍配扇の形をした扇。
ミルクヌ ミン [mi⸢rukunu⸣ miŋ]弥勒菩薩のような大きな耳たぶの耳。福相の大きな耳。
ミルクユー [mi⸢rukujuː]豊年満作の世。豊穣で平和な御世。「弥勒菩薩の世」の義。庶民の理想郷とされ、人々は常にそれを{希求}{キ|キュウ}していた。/ミリクユーヤ イモチ アシババン アシビ ブドゥラバン ブドゥリ ウユルシデムヌ ウユルシデムヌ/(豊年満作の年<弥勒の御世>が迎えられ<来られ>て、遊んでもまた遊び、踊ってもまた踊れ、国王様のお許しだから)(みりくうた<弥勒歌>第2連)。/バガ パトゥマユーヌ ナウラバ トゥムルユーヌ ミキラバ カムラマーヌ アマイヤ ミリクユーバ タボラリ/(わが鳩間島が豊年満作になったら、友利御嶽の御世が豊年満作になったら、カムラーマ<かむろみ「神漏美・かみむすひのかみ」の転訛か>歓びは弥勒世を賜ることである)(カムラーマ歌)『鳩間島古典民謡古謡集』
ミルクンヤー [mi⸢rukuɲ⸣jaː]「弥勒の家」の義。転じて「弥勒を祀ってある家」の屋号。昭和30年頃までは、⸢メー⸣ケー[⸢meː⸣keː](大城家の分家<宮古家>でミルク神の面を保管し、祀っていた家)といわれていた。
ミルトゥ スクトー クティ [mi⸢ru⸣tu su̥⸢kutoː⸣ ku̥ti]かげひなた(陰日向)のあること。人の見ている時と見ていない時で言行を違えること。「実際に見ている時と、見ないで話を聞く時は別人」の義。
ミル ミーン [⸣miru ⸣miːŋ]これ見よがしに。これ見よとばかりに。目に物をみせる。思い知らせる。「見る目に」の義。⸣ミルミン[⸣mirumiŋ]ともいう。/フノーラピトゥヌ ミルミンヨー ウイバルピトゥヌ シクミンヨー ウンシクリ ミギラシヨー アワシクリ ナウラシヨー/(船浦人の見る目に<これ見よがしに>、上原人の聞く耳に<これ聞けよがしに>、芋を作って稔らせよ、粟を作って稔らせよ)(鳩間中岡<中森>)。
ミルン [⸣miruŋ]他動{1}見る。目をとめる。「~野守は不見哉<ミズヤ>~。万、20」、眺める「~外にも見之加<ミシカ>吾妹子が~。万、474」、見物する「~青馬を今日美流比等波<ミルヒトハ>~。万、4494」。
ミルン [⸣miruŋ]他動{2}世話をする。「世話をする。「桂に見るべきこと侍るを」『源氏物語<松風>』」の転訛したものか。
ミルン [⸣miruŋ]他動{3}補助動詞。動詞の連用形に下接して、「~てみる」(試み)の意味を表す。
ミン [⸣miŋ]{1}耳。じだ(耳朶)。
ミン [⸣miŋ]{2}耳状のもの。
ミンカー [⸢miŋ⸣kaː]耳の聞こえない人。聾人。つんぼ。「聾、美々之比(みみしひ)」『和名抄』の義。老年層は、⸢ミントーリ⸣ムヌ[⸢mintoːri⸣munu](つんぼ<耳倒れ者>)ともいう。
ミンガクムン [⸢miŋgaku⸣muŋ]耳学問。聞き覚え、習い覚えた知識。ミ⸢ミガク⸣ムン[mi⸢migaku⸣muŋ](耳学問)ともいう。
ミンカバッサン [⸢miŋkabas⸣saŋ]耳の正常な者のこと。頭脳の{明晰}{メイ|セキ}な人。みみざとい(耳聡い)。⸢ミンッサリ⸣ムヌ[⸢minssari⸣munu](みみだれ<耳垂れ・耳漏>のある人。転じて「役に立たない無能力な者」の義)の対義語。優れた人の耳の匂いは香ばしいといわれていた。
ミンキシオー [⸢miŋkiʃi⸣ʔoː]耳が切り裂かれた子豚。「耳切れ豚」の義。転じて、「おどおどして落ち着かない者」の意。暴れる子豚は耳に穴をあけて綱を通してつないでおいたが、それを振り切って逃げるのもいた。以後その子豚は人を恐れて落ち着かないので、人間もおどおどして落ち着きのない者を、そのようにいう。
ミングイ [⸢miŋ⸣gui]海の中の海水の濁り。海水に濁りが生じると台風が襲来するといわれている。
ミンクジラー [⸢miŋkuʤi⸣raː]耳の聞こえない人。つんぼ(聾)の卑称。
ミンクジリムヌ [⸢miŋkuʤiri⸣munu]耳の聞こえない人。聾人。つんぼ(聾)。「耳崩れ者」の転訛したものか。
ミングラスン [⸢miŋgurasuŋ]他動ぐるぐる回す。「めぐらす(巡らす)」の転訛したもの。
ミングラスン [⸢miŋgurasuŋ]他動やっつける。ぶん殴る。
ミングル [⸢miŋ⸣guru]きくらげ(木耳)。「耳の殻」の義。⸢ゴーナ⸣キ[⸢goːna⸣ki](桑の木)やガ⸢ジ⸣マル[ga⸢ʤi⸣maru](ガジマル。榕樹)に群生するのが食用に供された。
ミングルン [⸢miŋguruŋ]自動{1}回る。巡る。⸢マールンとも言う。
ミングルン [⸢miŋguruŋ]自動{2}頭がぐるぐる回るような症状が現れる。
ミンサー [⸣minsaː]木綿糸を藍などの染料で染めて、幅約10センチ、長さ約120センチに織り上げた帯。かつては若い女性が好きな男のために織って贈ったという。⸢ミンサーフク⸣ビ[⸢minsaːɸuku⸣bi](ミンサー織りの帯)ともいう。
ミンザイ [⸢min⸣ʣai]みみだれ(耳垂れ。耳漏)。耳の穴から{膿}{ウミ}の出る症状。「Mimidare.ミミダレ(耳垂れ).耳から{膿汁}{ノウ|ジュウ}などが流れ出ること」『邦訳日葡辞書』の転訛したもの。
ミン サラウン [⸣min sa⸢rauŋ]耳の穴を{浚}{サラ}う。耳をすませて聞く。注意して聞く。
ミンスクグル [⸣minsu̥kuguru](動)リュウキュウコノハズク(木の葉木菟)。フクロウの一種。石垣方言からの借用語か。普通は単に、⸣スクグル[⸣su̥kuguru](フクロウ)、または⸣マヤースクグル[⸣majaːsukuguru](みみずく<木菟>。フクロウ)という。⸢ミャー⸣ウと鳴くので、その名があるという。
ミンスブ [⸣minsubu] 耳が三つ付いた小さな油壷。耳のある小さな味噌壷。「耳壷」の転訛。ア⸢バ⸣スブ[ʔa⸢ba⸣subu](油壷)も耳のある壷で、豚脂(ラード)や食油を入れて保管し、利用したりした。⸢フー⸣カラジナ[⸢ɸuː⸣karaʤina](クロツグの黒い繊維で綯った綱)で網状に編んで壷を巻き、壷を保護しつつ運搬に便利なようにしてあった。壷が⸢ウッツァー⸣スン[⸢ʔutʦaː⸣suŋ](打ち合わすので)、破損することを防ぐためであった。
ミンター [⸢min⸣taː]こめかみ。
ミンダナー [⸢min⸣danaː](動)魚の名。和名、メジロザメ(体長約7メートル)
ミンタマ [⸢min⸣tama]{1}めんたま。眼球。⸢目玉」の義。
ミンタマ [⸢min⸣tama]{2}眼球の大きな人。卑称。
ミンダリムヌ [⸢miŋdari⸣munu]元気のない者。大人しい人。従順なひと。覇気のない者。だらしない者。「耳垂れ者」の義。
ミン ッサウン [⸣min s⸢sauŋ]耳をふ{塞}{フサ}ぐ。
ミンッサリムヌ [⸢minssari⸣munu]みみだれ(耳垂れ)のある者。「耳腐れ者」の義。転じて、無能な者の意。人を{罵}{ノノシ}るときに用いる。
ミン ッサリルン [⸣min ⸣ssariruŋ]耳の中に膿ができる。中耳炎が悪化して化膿する。「耳腐れる」の義。
ミンドー [⸢min⸣doː]面倒。手数のかかること。物事をするのがわずらわしいこと。標準語からの借用語。
ミントーラー [⸢mintoː⸣raː]耳が聞こえない人の卑称。つんぼ(聾)。「耳倒れ者」の義。
ミントーリムヌ [⸢mintoːri⸣munu]耳の聞こえない人。つんぼ(聾)。「耳倒れ者」の義。
ミン トーリルン [⸣min ⸢toːri⸣ruŋ]耳が聞こえなくなる。つんぼ(聾)になる。⸣ミン ⸢トー⸣ルン[⸣min ⸢toː⸣ruŋ](耳が遠くなる)ともいう。
ミントゥーワン [⸢mintuː⸣waŋ]耳が遠い。難聴である。若年層は⸢ミントゥー⸣ヤン[⸢mintuː⸣jaŋ]ともいう。
ミン トゥルッサイルン [⸣min tu⸢russai⸣ruŋ]耳をそばだて<{欹}{ソバダテ}>る。聞き耳を立てる。⸣ミン トゥ⸢ルッ⸣サウン[⸣min tu⸢rus⸣sauŋ](耳をそばだてる)ともいう。
ミン トゥルッサウン [⸣min tu⸢rus⸣sauŋ]耳をそ{欹}{ソバダテ}てる。聞き耳を立てる。注意して聞く。
ミンナー スクン [⸢min⸣naː su̥⸢kuŋ]小耳に{挟}{ハサ}む。ちらっと聞く。「耳に聞く」の義。
ミンナーマ [min⸢naː⸣ma]小さな耳。小耳。
ミンナミンナ [⸢min⸣naminna]注意して見ながら。気にかけながら。注意して見ながら同時並行して別の作業をする。
ミンヌカー [⸢min⸣nukaː]じかく(耳殻)。じかい(耳介)。「耳の皮」の義。豚の耳殻は、⸢ミン⸣ガー[⸢miŋ⸣gaː](⸢耳皮」の義)という。
ミンヌ シタダル [⸢min⸣nu ʃi̥⸢ta⸣daru]みみたぶ(耳朶)。じだ。耳の下部の垂れ下がった肉。「耳の下垂れ」の転訛したもの。
ミンヌッス [⸢min⸣nussu]みみあか(耳垢)。「耳糞、みみあか」『和名抄』の転訛したもの。
ミンヌッふァ [⸢min⸣nuffa]{鼓膜}{コ|マク}。「耳の子」の義。
ミンヌフカ ナシ スクン [⸢min⸣nuɸu̥ka ⸣naʃi su̥⸢kuŋ]よそ事に聞きなす。心ここに在らずに聞く。うわのそら(上の空)で聞く。
ミンバニ [⸢mim⸣bani]えらふた(鰓蓋)。魚のえら(鰓)を保護する骨質の薄い板。呼吸運動に合わせて開閉する。「耳羽」の義。
ミンパヤーン [⸢mimpajaː⸣ŋ]{耳聡}{ミミ|サト}い。耳が早い。早耳である。
ミンパル [⸢mim⸣paru]しんし(伸子)。布を織る際に、布の両端に差し止めて張り、縮まないようにする弓形の道具。洗い張りをする際にも用いる。
ミンバン [⸢mim⸣baŋ]耳判。牧場の牛の耳に切り込みを入れて所属する家を示した印。⸢ヤー⸣バン[⸢jaː⸣baŋ](家判。所属する家の印)ともいう。
ミン ユグスン [⸣miŋ ju⸢gusuŋ]耳を汚す。不快にさせるような話を相手の耳にいれる。