類型別五十音順一覧
類型A 日常語で言い換える
日常語を使って分かりやすく言い換えることが望まれます。
類型B 明確に説明する
正しい意味と確かな知識が身につき,混同が起きないように,明確な説明を行うことが望まれます。
B-(1) 正しい意味を
言葉は見聞きしたことがあっても,それが何を意味するかがよく理解されていない場合があります。このような言葉については,その意味を正しく理解してもらえるように,明確な説明を行うことが望まれます。
B-(2) もう一歩踏み込んで
言葉はよく知られていて,その大体の意味も理解されているものの中には,患者も,からだや病気の仕組みなどをよく知り,確かな知識を持つことが望まれるものがあります。これらの言葉は,一歩踏み込んだ説明が求められます。
B-(3) 混同を避けて
言葉は知られていますが,病院で使われる意味が日常語の意味と異なっているため,混同が起きやすいものがあります。こうした言葉は,混同を回避するための工夫が特に重要になります。
類型C 重要で新しい概念の普及を図る
概念の普及には,まずそれを的確に表す簡潔で分かりやすい言葉が必要です。ところが,カタカナの長い語形やアルファベット略語は覚えにくく,分かりにくく感じる人が多いものです。概念を的確に表現できる言い換え語や簡潔な説明を,常に言い添える工夫が必要です。見出し語の後に括弧で添える言葉は,常に言い添えてほしい言い換えや説明の表現例です。
さらに,[時間をかけてじっくりと]で示した丁寧な説明や,[概念の普及のための言葉遣い],[患者・家族と医師の問答例]に記すような様々な工夫を行うことが,重要な概念を社会で共有するのに役立つと考えられます。
(1)信頼と安心の医療
望ましい医療の在り方として,患者中心の医療,患者が自ら選び取る医療ということが言われています。また,その基盤となる患者と医療者との信頼関係の構築の大切さが強調されています。こうした考え方を担う概念を表す言葉を扱います。
(2)ふだんの生活を大事にする医療
治療ばかりを追求する医療よりも,日常生活を大事にした医療を実現しようとする医療者や患者が増えています。ふだん通りの生活を大事にする考え方は終末期の医療でも重要視されるようになってきました。また,日ごろから何でも相談できる医療者を持つことが推奨されています。このような,ふだんの生活を重視する医療にかかわる,新しい概念を表す言葉を扱います。
(3)新しい医療機械
画像診断の検査機械として,近年「MRI」「PET」などが順次登場しました。いずれも,一般の人が,適切な医療を受けるために,機械の役割などを知っておくことが望まれるものです。しかし,現段階では,機械の普及に比べて,機械の役割やその機械を使った検査の内容についての知識の普及は不十分です。こうした知識を的確に普及させるためには,事物の普及段階に応じた工夫が大切です。
また,こうした機械の名前には,アルファベット略語が多い点にも注意が必要です。使う側は符丁のように使えて便利ですが,分からない人にとっては理解の手掛かりが非常に少なく困惑してしまうでしょう。医療者側の使いやすさよりも患者側の分かりやすさを優先する必要があります。この種の言葉は日本語に訳しても分かりにくいので,いつも説明を添えて用いることが必要です。