36.抗体(こうたい)
[関連] 細菌(さいきん)(類型B) ウイルス(類型B) 抗原(こうげん)(類型B)
免疫(めんえき)(類型B) アレルギー(類型B) 肝炎(かんえん)(類型B)
まずこれだけは
細菌やウイルスと戦い,からだを守ってくれる,人間のからだの中で作られる物質
少し詳しく
「からだに入ってくる細菌(→15.ウイルス)やウイルス(→15)に抵抗して,毒を出さないようにしたり,感染するのを防いだりする物質です」
時間をかけてじっくりと
「人のからだには,細菌やウイルスなどが入ってくると,これに抵抗してからだを守ろうとする働きがあります。このときに働く物質のことを『抗体』と言います。細菌やウイルスが悪い働きをしないようにするタンパク質の一種です」
言葉遣いのポイント
- 「抗体」という言葉は,一般の認知度は高く(認知率92.6%),漢字も難しくなく,多くの人が意味も理解している言葉である(理解率88.1%)。しかし,からだの仕組みや病気の理解のためには,言葉の意味だけでなく,医学的な理解も必要になる場合がある。抗体の役割が正しく理解してもらえるように説明するのが望ましい。
- 「からだを守ってくれる防衛軍(戦士,武器)」のように,戦いの比喩(ひゆ)を用いるのも効果的である。この場合,「抗原」は,「からだに攻撃をしかける敵」などのたとえを用いることができる。また,アレルギーの場合,抗体がからだにとって悪い働きをするが,抗体のよい働き・悪い働きを,それぞれ「防衛軍」「反乱軍」のたとえを用いて伝えることも効果的である。
- 場合によっては,免疫の仕組みを分かりやすく説明しながら,抗体も理解してもらうことが効果的なときもある。「免疫」(→20.膠原病[関連語])は,例えば,次のように説明するとよい。
「人のからだには,自分のからだにないものを見分ける力が備わっていて,それを認識したら,『抗体』を作り出して排除します。この働きを『免疫反応』と呼びます」
患者はここが知りたい
- アレルギーの理解のために,「抗体」の理解が必要になる場合も多い。通常は,からだを守る働きをする抗体が,からだに不利益な働きを起こす場合がアレルギーである。例えば花粉症の場合,「本来有害ではない花粉を『敵』だと過剰反応して,抗体が作用して,鼻水や涙で外に追い出そうとしているのです」などと説明することが,考えられる。
- C型肝炎の抗体検査の結果,抗体があるという結果を聞かされた際,それが良いことなのか,悪いことなのかが分かりにくい。肝炎(→34.肝硬変[関連語])が既に治っている場合と現に肝炎にかかっている場合の両方の可能性があることと,さらに詳しい検査を受ける必要があることを,きちんと伝える必要がある。
ここに注意
抗体をY字形などそれぞれの種類に対応した図で表し,免疫反応を視覚化すると分かりやすい。身近に利用が可能な分かりやすい模式図があれば,これを利用するのもよい。