20.膠原病(こうげんびょう)
[関連] 炎症(えんしょう)(類型B) 免疫(めんえき)(類型B)
自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)(類型A) 結合組織(けつごうそしき)(類型B)
アレルギー(類型B)
まずこれだけは
自分のからだのある部分を敵と間違えて,激しい反応を全身に起こしてしまう病気
少し詳しく
「からだの中で敵から自分を守ってくれている物質が,自分のからだのある部分を敵だと間違えて,攻撃するようになったために起きる病気の一種です。皮膚・血管・関節などに激しい炎症(→16)を起こします」
時間をかけてじっくりと
「からだの中で敵から自分を守ってくれている物質が,何らかの原因によって,自分のからだのある部分を敵だと間違えて,攻撃するようになったために起きる,免疫(→[関連語])の異常による病気です。全身の皮膚・血管・関節などで炎症が起きますが,特に,関節で起きたものを,関節リウマチと言います。『膠』(にかわ)は木工品などに使われる接着剤の意味で,『膠原(こうげん)』とは,にかわのもとになる,からだの中にある物質,コラーゲンのことです。皮膚と筋肉,細胞と血管などをつなぐ結合組織(→[関連語])にコラーゲンが多く含まれていると言われています」
こんな誤解がある
「コウゲンビョウ」と聞くと,「高原病」を思い浮かべて,高原でかかる病気だと誤解する人がいる。また,「抗原病」を思い浮かべて,抗原の病気だと誤解する人もいる。誤解を避けるには,漢字で「膠原病」と書きながら,[時間をかけてじっくりと]に記したような説明を加えるとよい。
言葉遣いのポイント
- 「膠原病(こうげんびょう)」という言葉は,比較的知られているが(認知率82.1%),理解率はかなり低い(39.3%)。また,耳で聞いても正しい漢字を思い浮かべにくいので,説明を付けずにそのままで使うことは避けたい。患者の理解度を確かめながら,病気の仕組みを丁寧に説明するようにしたい。
- アレルギーについては,起こる仕組みを知っている人が比較的多いので,膠原病とアレルギーとを比較して説明すると,患者の理解を助ける効果が期待できる。アレルギー(→36.抗体)は,外から入ってきたものを敵と見なして攻撃して排除しようとするときに起きるが,膠原病は,中にあるものを敵と誤認して起きるものであることを分かりやすく説明したい。
ここに注意
- 病気の仕組みを説明する際に,免疫反応に関して「抗原」(→36.抗体)という言葉を用いることがある。この場合,「膠原(こうげん)」と「抗原」が同音となるため,聞く方は混乱しやすいので,注意したい。
- 「膠原」あるいは「結合組織」がどのようなものであるかが分かりにくいので,具体的に絵に描いたり,模型などを見せたりして説明するのがよい。
関連語
免疫(類型B)
- [説 明]
- 「ある病気に一度かかると,二度目は軽くすんだり,かからなくなったりすることです。生物が自分のからだにとって害になるものを識別して攻撃して排除する働きです」
- [注意点]
- 「免疫」という言葉はよく知られているが,その仕組みを正しく理解している人は多くないと考えられる。膠原病(こうげんびょう)に理解を深めてもらうためにも,免疫の仕組みを分かりやすく説明したい。
自己免疫疾患(類型A)
- [説 明]
- 「通常はからだの外から入ってくる異物を排除する働きをする免疫ですが,誤って自分のからだのある部分を敵だと思って攻撃してしまう病気です。皮膚,血管,関節などに炎症(→16)を起こす場合が多く,炎症が全身に及ぶ場合の代表的なものが膠原病です」
結合組織(類型B)
- [説 明]
- 「からだの中で細胞同士を結び付けたり,細胞に栄養を送り込んだりする組織です。全身にゆきわたっており,関節や皮膚,血管に多くあります」