16.炎症(えんしょう) ―感染による場合を例に―
[関連] 細菌(さいきん)(類型B) ウイルス(類型B) 白血球(はっけっきゅう)(類型B)
アレルギー(類型B) 膠原病(こうげんびょう)(類型B)
まずこれだけは
からだを守るために,からだの一部が熱を持ち,赤くはれたり痛んだりすること
少し詳しく
「からだに侵入して悪さをする細菌(→15.ウイルス)やウイルス(→15)と,からだを病気から守る働きをする白血球(→[関連語]が戦うと,赤くなったり熱を持ったりする『炎症』が起きます。細菌やウイルスが白血球にやっつけられると,膿(うみ)になって出てきます」
時間をかけてじっくりと
「からだが,何かの有害な刺激を受けたときに,これを取り除こうとして防御する反応が起こります。普通は,その反応の起きている場所は熱を持ち,はれ上がり,赤みがさし,痛みを感じます。これを『炎症』と言います。
『肺炎』『皮膚炎』など,『○○炎』という病名がたくさんありますが,これらはその部分が炎症を起こしている病気です。例えば,肺炎は,肺に入ってきた細菌やウイルスに抵抗するために炎症を起こす病気です。アレルギー(→36.抗体)の場合も,外から入ってくる物質に反応して炎症を起こします」
こんな誤解がある
- 炎症は皮膚の表面に現れる症状だけのことだと誤解している人がいる。そうした症状としてだけでなく,生体防御反応の仕組みとして理解してもらうことが,患者の治療への意識を高めるためにも重要である。
- 炎症を完全に止めたり,抑えたりすることを望む患者がいる。炎症を必要以上に抑えることは,からだを守る働きを弱める場合もあることを,必要に応じて説明したい。
言葉遣いのポイント
- 「炎症」という言葉はよく知られており,患者にとってもなじみはある(認知率98.4%)。しかし,正しく理解している人ばかりではない(理解率77.4%)。赤くはれて熱を持つ症状であることは理解していても,生体防御反応の仕組みを正しく理解している人は少ないと考えられる。患者が,病気やけがの治療や予防,あるいは健康管理を適切に行うためにも,生体防御反応の側面を理解してもらえるような説明が求められる。
- いきなり「○○炎」と言っても,患者には具体的なイメージがつかめないことが多い。「○○に細菌が侵入してきて悪さをしています。白血球が細菌と戦っているので,痛くて熱が出るのです」などと言い,その後「炎症」の説明に入ると,説明が伝わりやすい。
ここに注意
アレルギーや膠原病(こうげんびょう)(→20)など,感染症以外の炎症について,[少し詳しく][時間をかけてじっくりと]に示したような表現で説明することは難しい。その場合は,アレルギーは「外から入ってきたものを敵と見なして排除することにより起こる炎症」で,膠原病は「からだの中にあるものを敵と誤認して攻撃することによる炎症」であることを説明したい。
関連語
白血球(類型B)
- [説 明]
- 「血液の中にあって,からだを病気から守る働きをしています。からだの中に入ってくる細菌やウイルス(→15)と戦います」
- [注意点]
- 認知度は高いと思われるが,どんな役割をしているかまでは,知っている人は少ない。白血球がかかわる病気やからだの仕組みを説明する場合は,それが果たしている役割についても,説明することが望ましい。