11.ADL(エーディーエル) Activities of Daily Living
まずこれだけは
日常生活に最低限必要な基本的動作
日常基本動作
日常生活動作
少し詳しく
「寝起きや移動,トイレや入浴,食事,着替えといった,日常生活に必要な最低限の動作のことで,高齢化や障害の程度をはかる指標とされます」
時間をかけてじっくりと
「日常生活を送るのに最低限必要な,日常的な動作のことです。例えば,寝起きや移動,トイレや入浴,食事,着替えなどです。Aはアクティビティー(activity)で動作,DLはデイリーリビング(daily living)で日常生活の意味,直訳すれば,『日常生活のいろいろな動作』です。高齢者や障害者の身体能力や障害の程度をはかる重要な指標となっています。介護保険制度では,これらの動作一つ一つを,『できる・できない』で調査し,その結果で,その人に必要な介護レベルを決めています」
言葉遣いのポイント
- 「ADL」というアルファベット略語は,患者にとってなじみがない(認知率29.7%)。また,意味を理解している人は極めて少ない(理解率9.3%)。非常に分かりにくい語なので,使わないようにしたい言葉である。[まずこれだけは]に示した表現などを用いて言い換えるべき言葉である。高齢者はアルファベット略語を分かりにくく感じる人が多いので,特に配慮したい。
- 介護保険制度の指標について説明する場面などで,アルファベット略語を理解しようという意欲のある患者や家族を相手にする場合は,[時間をかけてじっくりと]に示した説明方法などを試みるとよい。
ここに注意
「日常生活動作」と言い換えることが一般的だが,この言い換え語は場合によって誤解を生むおそれがある。例えば「ADLが自立している」などという文脈で,単に「日常生活動作」と言い換えると,日常生活動作が自立しているので,通常の日常生活が送れると誤解される場合がある。通常の日常生活ではなく,日常生活を送るための最低限の動作を指すということが,きちんと伝わる言い換えや説明を心掛けたい。