44.副作用(ふくさよう)
[関連] 有害事象(ゆうがいじしょう)(類型B) 副反応(ふくはんのう)(類型A) ステロイド(類型B)
抗(こう)がん剤(ざい)(類型B) 糖尿病(とうにょうびょう)(類型B)
まずこれだけは
病気を治すために使った薬による,望んでいない作用
少し詳しく
「どんな薬にも目的に合った働きと目的に合っていない働きとがあります。例えば風邪薬を飲むと,風邪の症状を抑える反面,眠くなることがありますが,眠くなるのは,副作用です。副作用には害のあるものもあれば,害のないものもあります。もし有害な反応が出てしまった場合は,すぐに電話などで連絡してください」
時間をかけてじっくりと
「薬による,病気の治療に役立たない働きや,有害な反応のことを広く「副作用」と呼んでいます。副作用は,薬がもたらす光に対する影の部分と言えます。副作用には害のあるものもあれば,害のないものもあります。害のあるものの場合は,特に丁寧に説明しますので,よく聞いてください。どんないい薬にも副作用はあります。からだに害を与えるものを『有害事象』と言うことがあります」
こんな誤解がある
- 漢方薬には副作用がないと思い込んでいる人が多い(誤解率27.0%)。漢方薬を処方するときにも,副作用が起きることがあることを言い添えるなど,どんな薬にも副作用があることを理解してもらうように努めることが必要である。
- 反対に,ステロイド(→24)や抗がん剤(→33.化学療法[関連語])など,ある種の薬には強い副作用があって危険だ,と思い込んでいる人も多い。副作用が怖いからといって,服用をやめたり,量を減らしたりしてよいと思っている人も多い(誤解率26.1%)。副作用があるからといって過度に怖がることはないことを伝えることも重要である。
- 糖尿病(→40)で血糖値を下げる薬を飲んでいるときに食事が遅れると低血糖になる場合がある。これを副作用と誤解する人がいるが,これは薬そのものの作用である。
不安を和らげる
- すべての薬に副作用があるということを述べた上で,それでもこの薬を使う理由は,副作用より好ましい作用が大きいからだ,ということを納得してもらうとよい。医師がその薬の副作用のことをきちんと理解した上で,選んでいるということを説明するだけで,患者の不安はかなり減る。
- 患者にとって副作用の可能性が大きい薬を飲むことには不安がつきまとう。[言葉遣いのポイント]を参考に副作用が出たときの対処方法をきちんと説明し,何かあったときはすぐに(次の診療まで待つのではなく)医師の指示を仰ぐように言っておけば,患者の不安は軽減する。
言葉遣いのポイント
薬を処方する際にはいつも,「どんな薬にも必ず副作用が出ることがあります。副作用が出るかどうかは処方する医師でも完全に予測することはできません。もし薬を飲んで具合の悪いことがあったら,薬を飲むのをやめて,すぐに電話で連絡してください」と話しておくことが大切である。
ここに注意
薬で副作用が出ると「悪い薬」を出されたと患者は思ってしまい,同時にそれを出した医師を「悪い医者」と思ったりもする。薬剤一つ一つの副作用の説明を「各論」とすれば,日ごろから「薬には必ず副作用がある」ことをいつも説明しておく「総論」がより大切である。
関連語
副反応(類型A)
- [説 明]
- 「ワクチンの予防接種によって起こる,望んでいない反応です。薬の副作用と同じことが,ワクチンについて起こる場合『副反応』と言います。どんなワクチンにも副反応があり,からだにとって害のあるものもあれば,害のないものもあります」
- [注意点]
- 副作用の場合と同じく,過度に不安に感じる人がいるので,不安を軽減する言葉遣いの工夫が望まれる。