40.糖尿病(とうにょうびょう)
[関連] インスリン(類型B) 血糖(けっとう)(類型B) 尿糖(にょうとう)(類型B)
合併症(がっぺいしょう)(類型B)
まずこれだけは
高血糖が慢性的に続く病気
高血糖症
少し詳しく
「血液の中には,からだに必要なエネルギー源であるブドウ糖があります。ブドウ糖がからだで処理できない濃度になるのが糖尿病です。治療せずにいるとほかの重大な病気になります」
時間をかけてじっくりと
「からだに必要なブドウ糖を血液は運びますが,ブドウ糖の濃さが必要以上に高くなる病気です。膵臓(すいぞう)が出すインスリン(→14)というホルモンが作られなかったり,量や働きが不十分だったりするために起こります。自覚症状はありませんが,そのままにしておくと,血管が弱って詰まって破れたり,目が見えなくなったり,腎臓(じんぞう)も弱ったりと,様々な病気の元になります」
こんな誤解がある
- 「糖」を「砂糖」のことだと考え,甘いものの取り過ぎで起きる病気という誤解が非常に多い(47.9%)。
- 食べ過ぎだけが原因だと思っている人もいて(8.5%),食事制限さえすれば治ると誤解する人も多く(23.8%),食事制限ばかりに過剰に気を遣う人がいる。栄養のバランスも重要であることを伝えたい。
- 「尿」に「糖」が出る病気だとだけ思っている人もいる。尿に糖が出なくても,血液中の糖分が高くなれば,糖尿病であることを理解してもらう必要がある。
言葉遣いのポイント
- 「糖尿病」という言葉はよく知られているが(認知率99.5%,理解率87.5%),字面から尿に糖が出る病気だと受け取られることもある。この名前は,血液の中に糖があることが分かっていなかった時代に付けられたものである。糖尿病は血糖(→[関連語])が増える病気であることを,明確に伝えるべきである。
- 誤解が起きることもある「糖尿病」という言葉を使わず,「高血糖症」という言葉を用いることも考えられる。しかし,「糖尿病」という言葉はすっかり定着しており,上に述べたような誤解は,言い換えや説明やきちんと加えるようにすることで回避できよう。
ここに注意
- 「糖尿病」と呼ばれる病気には二種類あり,「1型糖尿病」と「2型糖尿病」と呼び分けられる。「1型糖尿病」は,からだの中でインスリンが作られなくなったために起きるもの,「2型糖尿病」は生活習慣などによって,インスリンの作用不足が起きるものである。糖尿病患者のうち,「1型糖尿病」は約5%,「2型糖尿病」は約95%である。
- 「糖尿病」という病気は,よく知られているように見えるが,イメージでとらえている人も多く,病気の仕組みや危険性をよく分かっていない人も多い。「糖尿病」の大部分を占める「2型糖尿病」の場合は過食,運動不足,ストレス,飲酒などによる生活習慣病の一種であることを強調し,総合的な健康管理に役立てたい。
- 糖尿病が怖い病気であるのは,合併症(→46)を引き起こすからであることを,例えば次のように伝えたい。
「糖尿病による合併症は,動脈硬化などの血管の病気,手足の感覚低下や自律神経障害,視力の低下,腎臓(じんぞう)の機能低下などです。糖尿病を治療せずに放っておくと,これらが悪化して,手足の先がくさってしまったり,失明したり,腎不全になって透析を受けなければならなくなることもあります。また,脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞にもかかりやすくなります。タバコを吸っているとその危険性がさらに高くなります」
関連語
血糖(類型B)
- [説 明]
- 「血液に含まれるブドウ糖のことです。この量を測る検査で『血糖値』が高いと,高血糖と判定され,糖尿病と診断されます」
- [注意点]
- 「血糖」は認知率は高いが(96.3%),理解率(78.3%)と差があり,意味を正しく理解していない人が少なくない。糖尿病との関係で,明確に理解してもらえるようにしたい。
尿糖(類型B)
- [説 明]
- 「尿の中に含まれているブドウ糖のことです。健康な人は普通,尿にブドウ糖は含まれませんが,血糖値の高い状態の人は血液中のブドウ糖が,尿の中に出てくるのです。血糖値が高いかどうかを知る目安として,この尿糖の検査をします。まれに,血糖値が高くなくても腎臓(じんぞう)の不具合で尿にブドウ糖が出る人がいますが,これは腎性糖尿といって,本当の糖尿病ではありません」
- [注意点]
- 糖尿病を尿に糖が出る病気という程度にしか理解していない人も多いので,糖尿病の診断には尿糖よりも血糖が重要であることを知っておいてもらうためにも,大事な用語である。