「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

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37.ぜん息(そく)

(類型B-(2))もう一歩踏み込んで明確に説明する

[関連] 炎症(えんしょう)(類型B) ぜん鳴(めい)(類型A)

まずこれだけは

気管支などの空気の通り道が炎症などによって狭くなる病気

少し詳しく

 「気管支などの空気の通り道が炎症(→16)などによって狭くなる病気です。夜中や明け方に,ひゅうひゅう,ぜいぜいと笛が鳴るような呼吸の音とともに,発作的に激しくせき込みます」

時間をかけてじっくりと

 「気管支などの空気の通り道が炎症などによって狭くなる病気です。夜中や明け方に,ひゅうひゅう,ぜいぜいと笛が鳴るような呼吸の音とともに,発作的に激しくせき込みます。『喘息(ぜんそく)』の『喘(ぜん)』は『はあはあとあえぐ』こと,『息』は『息をする』こと。『喘息』というのは,『あえぎながら息をすること』を言います」

こんな誤解がある

 「ぜん息」は病名ではなく,症状を表す言葉だと誤解している人がいる(14.3%)。このことと関連して,我慢すればよいとか,自然に治るとか(6.6%),死ぬことはないとか(12.5%),軽く見ている人もいる。

言葉遣いのポイント
  1. 「ぜん息」という言葉はほとんどの人が知っている(認知率98.3%)。上記のような多種多様な誤解があるのは,「ぜん息」という言葉が古くから使われ,長い間にわたって,様々な迷信がしみついてきたことによるものである。誤解や迷信を解くような,明解な説明が必要である。
  2. 例えば,「いわゆるぜん息」だと言った上で,病気の症状や治療方法,今後の見通しなどを述べる中で,患者の持っている「ぜん息」への先入観を打ち消すことが大事である。
  3. ぜん息が怖い病気であることを伝える方法の一つとして,日本では毎年5~6千人がぜん息で亡くなっていることを伝えるのも効果的である。
関連語

ぜん鳴(類型A)

[説 明]
 「呼吸をするときに出る,『ひゅうひゅう』『ぜいぜい』という音のことです。気管や気管支が狭くなることが原因で,呼吸が困難になる兆候でもあるので,注意が必要です」
[注意点]
 「ぜん鳴」(喘鳴(ぜんめい))という言葉は,一般にはなじみがないので,患者に対しては使わない方がよく,「ひゅうひゅう」「ぜいぜい」など具体的な音で表すと分かりやすい。
©2008 The National Institute for Japanese Language