5.重篤(じゅうとく)
[関連] 減弱(げんじゃく)(類型A) 頻回(ひんかい)(類型A)
まずこれだけは
病状が非常に重いこと
言葉遣いのポイント
- 一般の人には知られていない言葉(認知率50.3%)であるのに,患者に対してこの言葉を使う医療者は多い(医師65.7%,看護師・薬剤師29.9%)。別の言葉で十分言い表すことができる意味であるので,「重篤(じゅうとく)」という言葉は使わないで患者に説明するようにしたい。
- 「重篤な症状」「重篤な副作用」などと言いたい場合は,「非常に重く,生命に危険が及ぶ症状」「とても重い副作用」などと言い換え,「症状の重篤化を防ぐ」は「症状がひどく悪くなるのを防ぐ」などと言い換えると分かりやすい。
ここに注意
- 類義の言葉に,「重症」「重体」「危篤(きとく)」などがあるが,それらとの使い分けもあいまいで分かりにくい。命の危険があることを伝えたい場合は,「重篤(じゅうとく)」という言葉を使うのは避け,その旨をはっきりと伝えた方がよい。
- 医療者間でのみ通用する言葉であることを認識し,患者には使わないように努めたい。患者向けの説明文書や,口頭での説明に不用意に使ってしまいやすい言葉であるので,注意したい。
- 「重篤」と同じように,医療者間ではよく使うが,一般の人には通じない言葉に,「減弱(げんじゃく)」(「弱まる」の意),「頻回(ひんかい)」(「頻繁」の意)などが挙げられる。いわゆる医療用語以外にも,患者に伝わらない言葉があることにも注意し,こうした言葉は患者に使わないようにしたい。