「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

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1.イレウス  ileus

(類型A)日常語で言い換える

[関連] 腸閉塞(ちょうへいそく)(類型B) 腸捻転(ちょうねんてん)(類型B)

まずこれだけは

腸閉塞(へいそく)
腸の通過障害

少し詳しく

 「腸の一部が詰まって,食べたものやガスが通らなくなっている状態です」

時間をかけてじっくりと

 「腸の管の中が塞(ふさ)がったり狭くなったりすると,食べたものやガスがつっかえて通らなくなります。また,腸の運動がにぶっても,やはりスムーズに動かなくなります。おなかが痛くなってふくらみ,食べ物を吐き,便やガスが出なくなることもあります。こういう状態を『腸閉塞(へいそく)と言います」

言葉遣いのポイント
  1. 「イレウス」は極めて専門性の高い言葉であり,ほとんどの人にとってなじみがない(認知率12.5%)。「イレウス」という言葉は,患者に対しては使わないで説明する方がよい。以前から使われており,なじみのある人の多い言葉である「腸閉塞(へいそく)」を使って説明するのがよい。
  2.  
  3. 「腸閉塞」という言葉で説明する場合,この言葉の大体の意味は理解されているが,症状についての知識は不確かな患者が多いと考えられる。[少し詳しく][時間をかけてじっくりと]に示した表現などを使って,分かりやすく説明したい。
ここに注意
  1. 外来語(カタカナ語)は,全般に医療者にとって使いやすい面がある。「イレウス」という言葉も,調査の結果から多くの医療者が,患者に対して使っていることが確かめられた(医師52.2%,看護師・薬剤師34.7%)。しかし,[言葉遣いのポイント]の1. に記したように,「イレウス」は認知率が極めて低い。一般になじみのある言葉で言い換えられる場合は,外来語は使わないようにしたい。
  2. 腸が詰まった部分や様子が分かる場合は,図や絵によって具体的に示すと分かりやすい。
関連語

腸捻転(ねんてん)(類型B)

[説 明]
 「腸がねじれて腸の血のめぐりが悪くなる病気です。放っておくと腸がくさってしまう怖い病気です。緊急手術が必要です」
[注意点]
 「腸閉塞」と同じくある程度なじみのある人の多い言葉である。「腸閉塞」「腸捻転」(場合によっては「腸重積(じゅうせき)」も)の関係を,図示などで説明すると患者の理解は深まる。
©2008 The National Institute for Japanese Language