「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

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45.ポリープ  polyp

(類型B-(2))もう一歩踏み込んで明確に説明する

まずこれだけは

胃や腸の内側にできる,いぼやきのこのような形のできもの

少し詳しく

 「胃や腸の内側にできる,いぼやきのこのような形のできもののことです。良性のものと悪性のものとがありますが,悪性のものに変化するおそれがあると診断された場合は,手術や薬で取り去ります」

時間をかけてじっくりと

 「胃や腸の内側にできる,いぼやきのこのような形のできもののことです。良性のものと悪性のものとがありますが,悪性のものに変化するおそれがあると診断された場合は,手術や薬で取り去ります。最近は,小さなポリープのうちに,内視鏡で簡単に取り去る方法もあります。ポリープは内臓にできることが多いですが,声帯や鼻の奥の粘膜や皮膚にできる場合もあります」

こんな誤解がある

 ポリープは悪性のものではない,という誤解が多い(24.1%)。ポリープはすべて,小さなうちにすぐに取り去ってしまった方がよいという誤解も多い(32.6%)。

言葉遣いのポイント

 「ポリープ」という語の認知率(97.8%)と理解率(91.9%)は高い。しかし,自分のからだにポリープが見つかった際にどうすればよいか,的確に判断できる人ばかりではないと考えられる。ポリープを適切に理解でき,治療について的確な選択ができるように,[患者はここが知りたい]に記すような点に注意して説明を工夫する必要がある。

患者はここが知りたい
  1. 患者は,見つかったポリープが,がんなのか,今後がんになるおそれがあるかどうかに,一番関心がある。ポリープができた場所,大きさ,形状などによって,がんになる危険性は異なってくることなど,一般的な知識を説明するのが望ましい。その上で,見つかったポリープの危険性について,できるだけ分かりやすく説明したい。
  2. ポリープが見つかった場合,手術を勧められる患者,様子を見ることを勧められる患者,その選択をゆだねられる患者,それぞれに不安や迷いは少なくない。患者が納得して治療法を選べるように,情報を整理して提供したい。
ここに注意

 ポリープががんになるかどうかについては医学的にも不明なところがあり,説明が難しい場合もあろう。しかし,患者にとって一番の関心事であるので,はっきりしないということも含めて,分かりやすく説明することが必要である。

©2008 The National Institute for Japanese Language