「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

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26.頓服(とんぷく)

(類型B-(1))正しい意味を明確に説明する

まずこれだけは

症状が出たときに薬を飲むこと

少し詳しく

 「食後など決まった時間ではなく,発作時や症状のひどいときなどに薬を飲むことです」

時間をかけてじっくりと

 「一日一回とか毎食後とか,決められたときに薬を飲むのではなく,症状が出て必要になったときに薬を飲むことです。『頓服(とんぷく)薬』と言うのは,そのようにして飲む薬のことです」

こんな誤解がある
  1. 鎮痛剤(痛み止め)のことだという誤解(34.1%)や,解熱剤(熱冷まし)のことだという誤解(33.4%)が多い。これらは,「頓服(とんぷく)」として処方された薬を,そのときの症状に効く薬だと思い込んでしまうことによる誤解である。
  2. 包装紙にくるんだ薬のことだという誤解もある(16.2%)。これは,処方された薬の形状によるもので,ほかに,粉薬だとか,座薬だとかいう様々な誤解がある。
  3. 症状が出たら何度でも飲んでよいという誤解もある(7.3%)。これは,症状が出たら飲むようにと言われたものを,効き目がみられないからと何度も飲んでしまうことによる誤解だと考えられる。
言葉遣いのポイント

 「頓服(とんぷく)」は,認知率は比較的高いが(82.6%),理解率はかなり低く(46.9%),見聞きはするけれど意味の分からない人の多い言葉である。「頓(とん)」は義務教育では習わないこともあり,一般にはなじみのない漢字である。このため,「トンプク」と聞いても漢字が思い浮かばず,「頓服」という字面を見ても意味が分からないのだと考えられる。この言葉を使うときは,意味を言い添えたり書き添えたりするようにしたい。

ここに注意

 [こんな誤解がある] 1. 2. に記した誤解は,頓服(とんぷく)を処方する際に必ず説明を付けることによって,かなり回避できると考えられる。 3. の誤解は,説明が不十分なために起きるものであるので,服用の際の注意事項を丁寧に説明したい。

©2008 The National Institute for Japanese Language