広域博物館連携

大規模災害と広域博物館連携に関する研究

研究代表者

小池淳一(国立歴史民俗博物館)

研究の概要

本研究は、東日本大震災における東北地方の博物館を通して、大規模かつ広域の災害に際して地域の博物館をはじめとする人間文化に関する施設がどのような機能と連携関係を有するべきかを総合的かつ多角的に調査研究しようとするものです。本研究は、人間文化研究機構および国立歴史民俗博物館が、東日本大震災発生以後、繰り広げてきた文化財レスキュー活動を基盤とし、それを研究面において高度化し、さらに展示体制を模索することを目的としています。三陸沿岸地域をはじめとする東日本大震災の被災地においては、文化財レスキューが比較的早期に実施されましたが、生活文化を共有する地域であるにもかかわらず、県毎の救援活動が行われたために、情報の共有や従来の地域史・民俗学などの研究蓄積が生かされない憾みがありました。本研究は、人間文化研究機構が中心となって地域性に配慮しながら、生活文化を大きく束ね、広域の大災害に博物館および関連施設が果たしうる機能を総合的に調査・研究します。こうした研究を推進できる機関は国内には他になく、また研究を推進しながら展示施設を効率的に発信に活用するという点でも、新たな人間文化研究の展開へとつながる大きな意義を持っています。