現代の国語国字問題への対応:キーワードは「言語生活」
このころ,大学の国語学の研究室では,現代語はほとんど研究されていませんでした。それに対して,国立国語研究所ではその時々の生きた日本語を扱うことを目的としたのです。
このような新しい国語研究を行う研究所の第一のキーワードは「言語生活」です。これは,言葉を言葉としてだけ研究するのではなく,生活の中で用いられる言葉の姿や働きを見つめようとする考え方を表したものです。「言語生活」という言葉は既にあったものですが,それを特に重要な研究課題として取り上げたのは,初代所長の西尾実でした。この視点による研究は,後に広く「社会言語学」と呼ばれる分野に発展していきました。