「簡約日本語」に関する研究

 「簡約日本語」に関する研究は,野元菊雄の所長時代の昭和63年度から始まりました。昭和63年度から「簡約日本語の創成と教材開発に関する研究」の題目の下に3年間,平成3年度からは第二期として「国際語としての日本語の創成とその教材化」の題目の下に3年間,計6年間のプロジェクトを実施しました。その骨子は以下のとおりです。

  • 学習時間のきわめて少ないことが定まっている人に対して,最初の段階からこの「簡約日本語」による学習を開始する。
  • 学習時間の十分な人は,これを出発点として,ステップを重ねていき,最終的には,日本人の日本語と同じものを目指す。
  • 「簡約日本語」から出発したものは全過程を「簡約日本語」と称することとする。

 具体的な活動としては,次の三原則によって作成された語彙表及び文法書をもとに,より覚えやすく,より習いやすい日本語教材(原稿)を作成します。

  • 文法及び文型はできるだけ基本的なものだけを取り上げることとし,現行の初級日本語教科書の中から基本的なものを選ぴ出す。
  • 語彙は第一次千語,第二次千語,計二千語とする。
  • そのうちの多義語について、どの語義の使用度が高いかを調査し,それぞれの語の基礎的な意味がどれであるかを,原則として三義までを決定し登録する。

 このプロジェクトは,出発のころから世間の関心を集めました。また少なからぬ国費を投じていますので,今回6年問にわたるプロジェクトを閉じるに当たり,すべてではないですが,主な成果について,「簡約日本語の創成と教材開発に関する研究」の小冊子の形で,一部はその見本を示し,公表しました。このWebページは,この冊子をもとに,その概観を示すものです。