● 1 研究の目的
本プロジェクトでは、これまでの学習者コーパスの問題点を検討しつつ、データ収集とデータに基づいた課題研究を並行して行い、データの検証とその結果を反映したデータならびに電子コーパス化を行い、最終的には海外および国内で利用可能な汎用性の高い大規模な学習者コーパスを構築することを目的とする。具体的には、以下の3点を行う。
(1)学習者言語データを基盤として、海外の研究者と共に日本語学習者の文法習得の研究を行う。
(2)学習者言語データを基盤として、海外の研究者と共に指導と習得の関係に関する研究を行う。
(3)海外および国内において日本語学習者のデータを収集し、上記の研究から問題点を改善しつつ、国内だけでなく海外の研究者も利用できる学習者コーパスを構築する。
●2 本研究の特色および意義
本研究の学術的な特色としては(1)と(2)が、意義としては、(3)と(4)が挙げられる。
(1)データ収集と具体的な課題研究を対話的に行う。一方では、コーパスに基づいたより実証性の高い課題研究を行い、他方では実際の課題研究に有用なコーパスの構築を目指す。本研究は課題研究と並行的に構築することによって、実際の使 用面での諸問題をコーパス構築の際に検討し、解決策を盛り込むことができる。
(2)上質で整備された日本語学習者大規模な言語コーパスを構築し、そのコーパスを国内および海外に公開することにより、国内・海外の言語研究や教育研究に貢献できる。
(3) 自国以外の学習者データが入手でき、海外・国内で日本語の習得研究が盛んになり、習得順序や発達過程が明らかになる。さらに、学習者の学び方を視野に入れた言語研究の広がりと日本語の運用力につながる日本語教育研究の発展が期待できる。
(4)現存の英語・独語の学習者コーパスに加え、日本語の学習者コーパスを示すことで習得研究への貢献、さらに言語や教育からの研究成果を示すことでコーパス研究の発展に寄与できる。
●3 プロジェクトメンバー
〈代表〉
迫田久美子
〈研究分担者〉
岩立志津夫、大関浩美、奥野由紀子、金田智子、田中真理、野田尚史、松見法男、峯布由紀、李在鎬
〈連携研究者〉
砂川有里子、プラシャント・パルデシ
〈国内研究協力者〉
今井新悟、川崎千枝見、小林典子、小西円、酒井たか子、佐々木藍子、嶋田和子、須賀和香子、崔延朱、中上亜樹、仁科喜久子、細井陽子、八木豊
〈海外研究協力者〉
アグス・スヘルマン・スルヤディムリア、安達祥子、穴井宰子、アフマッド・ダヒディ、小熊利江、カオ・レ・ユン・チー、邱学謹、近藤玲子、白井恭弘、鈴木裕子、タサニー・メーターピスイット、張超、張佩霞、曺英南、ディアンニ・リスダ、トムソン千尋、東伴子、フォード史子、マダドナーめぐみ、南雅彦、頼錦雀、李京哲、劉怡伶、リード真澄、若井誠二