日本語史研究用テキストデータ集

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春色連理の梅しゅんしょく れんりのうめ

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二編上

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春色連理の梅 二編上

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凡例
1.本文の行移りは原本にしたがった。
2.頁移りは、その丁の表および裏の冒頭において、丁数・表裏を括弧書きで示した。また、挿絵の丁には$を付した。
3.仮名は現行の平仮名・片仮名を用いた。
4.仮名のうち、平仮名・片仮名の区別の困難なものは、現行の平仮名に統一した。ただし、形容詞・副詞・感動詞・終助詞・促音・撥音・長音・引用のト等に用いられる片仮名については、原表記で示した場合がある。 〔例〕安イ、モシ、「ハイそれは」ト、意気だヨ、面白くツて、死ンで、それじやア
5.漢字は現行の字体によることを原則としたが、次のものについては原表記に近似の字体を用い、区別した。「云/言」「开/其」「㒵/貌」「匕/匙」「吊/弔」「咡/囁」「哥/歌」「壳/殻」「帒/袋」「无/無」「楳/梅」「皈/帰」「艸/草」「計/斗」「弐/二」「餘/余」
6.繰り返し符号は次のように統一した。ただし、漢字1文字の繰り返しは原本の表記にしたがい、「〻」と「々」を区別して示した。
 平仮名1文字の繰り返し 〔例〕またゝく、たゞ
 片仮名1文字の繰り返し 〔例〕アヽ
 複数文字の繰り返し 〔例〕つら〳〵、ひと〴〵
7.「さ」「つ」「ツ」に付く半濁点符は「さ゜」「つ゜」「ツ゜」として示した。
8.Unicodeで表現できない文字は〓を用いた。
9.句点は原本の位置に付すことを原則としたが、文末に補った場合がある。
10.合字は〔 〕で囲んで示した。 〔例〕殊{〔こと〕}に、なに〔ごと〕、かねて〔より〕
11.傍記・振り仮名は{ }で囲んで示した。 〔例〕人生{じんせい}
12.左側の傍記・振り仮名の場合は、冒頭に#を付けた。 〔例〕めへにち{#毎日}
13.傍記・振り仮名が付く位置の紛らわしい場合、文字列の始まりに|を付けた。 〔例〕十六|歳{さい}
14.原本に会話を示す鉤括弧が付いていない場合も、これを補い示した。また庵点は〽で示した。
15.原本にある話者名は【 】で示した。 〔例〕【はる】
16.割注・角書および長音符「引」「合」は[ ]で囲んで示した。
17.不明字は■で示した。
18.原本の表記に関する注記は*で行末に記入した。 〔例〕〓{たど}りて*〓は「漂+りっとう」
19.花押は〈花押〉、印は〈印〉として示した。
20.画中文字の開始位置に〈画中〉、広告の開始位置に〈広告〉と記入した。

本文の修正
1.翻字本文を修正した場合には、修正履歴を末尾に示す。
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(口1オ)
春色{しゆんしよく}連理梅{れんりのうめ}第二編序{だいにへんのじよ}
夫{それ}人情{にんじよう}と公道{こうだう}と。両全{りやうぜん}たらん〔こと〕は難{かた}し。公道{こうだう}に
依{よれ}ば人情{にんじよう}闕{かけ}。人情{にんじよう}に順{したがへ}ば公道{こうだう}虧{かく}ると墨翟{ぼくてき}も。
這{この}岐道{ふたみち}には泣涕{べそかき}し。其{その}人情{にんじよう}公道{こうだう}の。両全{りやうぜん}
たらんは小冊{こほん}の趣向{しゆかう}。夫{おつと}を慕{した}ひ妻{つま}を想{おも}ふは。

(口1ウ)
世間{せけん}一統{いつとう}の人情{にんじよう}なり。夫婦{ふうふ}は道{みち}の大倫{たいりん}にて。
相互{あいたがい}に恋々{れん〳〵}和合{わがう}し。子孫{しそん}を繁{ふや}すは公道{こうだう}*「々」字は原本「亽」
なり。是{これ}人情{にんじよう}と公道{こうだう}の。両全{りやうぜん}たらずして又{また}何{なん}
ぞや。と自己{てまへ}得意{がつて}の作文{かきぶり}を。ヲツト承知{せうち}の板
元{はんもと}が。美冊{びさつ}に製本{したて}児女{ひめ}童男逹{とのたち}に。御覧{ごらん}

(口2オ)
に入{いれ}て利{り}を得{ゑん}と。謀{はか}る人情{にんじよう}速{すみやか}に。寿梓{じゆしん}紙
成{かみなり}扨{さて}翁{おやぢ}が。梅星{うめぼし}頭窗{あたま}をおさへて爾云{しかいふ}。
二世梅暮里主人
鈴亭梅星爺戯誌 谷峨〈印〉

$(口2ウ)
風{かぜ}に任{まか}する青柳橋{あをやぎばし}の糸{いと}に命{いのち}を継{つぎ}棹{さほ}も母{はゝ}を
養{やしな}ひ妹{いもと}を育{そだ}つる渡世{くらし}に飲{のみ}し泥水{どろみづ}に染{しま}ぬ
心{こゝろ}もつとめの身{み}露{つゆ}をも玉{たま}と欺{あざむ}くは
思{おも}ひやりなきお客{きやく}の咎{とが}にて
其{その}身{み}の罪{つみ}にはあらざる
べし。噫{あゝ}泥中{でいちう}の
蓮{はちす}に
比{くらべ}て恥{はづ}かし
からぬ
芸者{げいしや}の
お滝{たき}

$(口3オ)
譲{ゆづ}りを受{うけ}し家業{かぎやう}を守{まも}り
親{おや}に孝{かう}あり他{ひと}に愛{あい}ある身{み}を廃{すた}
らさず上{かみ}を敬{うやま}ひ下{しも}を憐{あはれ}む情{じよう}しりは
万端物{ばんたんもの}にさし出{いで}ず 行状{をこなひ}都{すべ}て
優{やさ}しければ白歯{しんぞ}|鉄漿歯{としま}の
差別{さべつ}なく女{おんな}にすかれて
言寄{いひよら}れてもさらに溺{おぼ}れず
扁屈{■ぼ}を言{いは}ぬ通人中{つうじんちう}の通人{つうじん}は*「■」は「や」の欠損か
是{これ}そも何処{いづれ}の壮者{わかもの}ぞ本編{ほんへん}
連理{れんり}の梅{うめ}の拾遺{しうい}別伝{べつでん}
比翼鶯{ひよくのうぐひす}に委{くは}しく|話説{しる}せり*「比翼鶯」は四角囲

$(口3ウ)
柳ばし
より
小舟に
棹さし


$(口4オ)
座ぶ
とんに
おぼゆる
春の
ぬくみ
かな。
駿イハラ
廬阜。

$(口4ウ)
故人{こじん}都{みやこ}松兵衛{まつべゑ}が門弟{でし}の中{うち}にもとり別{わけ}て
節廻{ふしまは}しから音{ね}じめさへ先後{いちぶ}をあらそふ
手練者{てだれもの}当時{たうじ}一閑斎{いつかんさい}宇治紫文{うぢしぶん}が
新文句{しんもんく}の節{て}を
附{つけ}る


談{かたらひ}合人{あひて}と
なすに足{た}る才色{さいしよく}
両全{りやうぜん}の娘{むすめ}お菊{きく} 春風亭谷二述

(1オ)
春色{しゆんしよく}連理梅{れんりのむめ}巻之四
江戸 梅暮里谷峨作
第七齣
百敷{もゝしき}や。古{ふる}き御製{ぎよせい}にあらねども。草{くさ}ならぬ
身{み}も忍{しの}べばや。軒{のき}に懸{かけ}たる〓屋{よつめや}が。黒行灯{くろあんどう}の*〓は菱の中に小さな菱が四つ入った記号
幽{うすくら}き。灯{ほ}かげ欝悒{いぶせく}外{ひと}の視{め}を。心配{かねて}ひきあふ手{て}と
手{て}さへ。握{にぎり}つにきる両個連{ふたりづれ}。通{とほ}りすがりの一個{ひとり}の
女{おんな}に。喚{よび}かけられて愕{びつくり}しながら。往{ゆき}も得{ゑ}さらず立{たち}

(1ウ)
止{とゞま}り。三人|互{たがい}に透{すか}し見{み}て【房】「ヲヤお豊{とよ}か。」【とよ】「ハイ
若旦那{わかだんな}さま私{わたくし}はモウ〳〵どんなに気{き}をもみました
らう。」【房】「何故{なぜ}。是{これ}から何処{どこ}へ往{いく}のだ。」【とよ】「貴君{あなた}を
お迎{むかひ}に参{まい}ツたのでございますヨ。大{おほ}かたお菊{きく}さんと
やらのお宅{うち}だらうとぞんじまして。」【房】「己{おいら}に急用{きうよう}が出来{でき}
たのか。」【とよ】「急用{きうよう}の何{なん}のと其処{そこどころ}ではございません。
先刻{せんこく}から御本家{ごほんけ}の旦那{だんな}さまが|被為入{いらツしや}ツて貴君{あなた}の
お身{み}もちの事からいろ〳〵母上{おつかさん}に理屈{りくつ}を|被為仰{おつしやツ}て

(2オ)
何{なん}でも今{いま}が今{いま}配手{てわけ}をしても房{ふさ}をよび寄{よせ}房{ふさ}の了簡{りやうけん}も
得{とく}と聴{きい}たうへで勘当{かんだう}なりおし込{こめ}なりして今夜
中{こんやぢう}に埓{らち}を明{あけ}なければならぬと立腹{おこり}きツて|被為在{いらつしやい}
ますもんだから御隠居{ごゐんきよ}さまはモウ〳〵おど〳〵遊{あそば}し
て|被為在{いらつしやい}ます。」ト[聞{きけ}ばさすがに房{ふさ}二郎もかくごのうへとはいふものゝまた今{いま}さらにものあんじ。おきくもともに何{なに}とやら
お豊{とよ}のまへもきのどくらしくたゞもぢ〳〵としながらもつまんだ咄{はな}しに先後{あとさき}のわけはくわしくわからねども今{こ}よひ男{をとこ}が身{み}のうへの一大事{いちだいじ}
ぞとおもひやる胸{むね}のあんじはおなじかるべし]【房】「然{さう}か。そりやア大変{たいへん}だノ。おまへ
は彼方{あつち}[本家{ほんけ}の主人{あるじ}をいふ。おゆきが父{ちゝ}なり]のに|被言付{いひつかつて}己{おいら}をむかひに来{き}た

(2ウ)
のか。」【とよ】「イヽヱ左様{さう}ではございませんが貴君{あなた}がおきく
さんの宅{うち}に|被為入{いらつしやる}〔こと〕は皆{みんな}が承知{ぞんじ}て居{をり}ますから旦那{だんな}
さまに|被仰付{いひつかツて}本家{あちら}の手代衆{てだいしゆ}かまたアノ意地
悪{ゐぢわる}[ばんとう勘{かん}八のことなり]でも捜{さがし}に参{まい}ツておきくさんのうちで
貴君{あなた}を得当{つきとめ}てごらん遊{あそ}ばせ。それはモウ猶{なほ}貴君{あなた}の
おために不直{わるう}ございませうとぞんじましたから一寸{ちよいと}
陰{かげ}で御隠居{ごゐんきよ}さまに其{その}〔こと〕を然{さう}申シ上{あげ}て表向{おもてむき}のお迎{むかひ}が
参{まい}りません間{うち}に私{わたくし}が先{さき}へおむかひに参{まい}りました

(3オ)
のでございますヨ。だから貴君{あなた}マアお否{いや}でも一寸{ちよいと}お帰{かへ}り
遊{あそ}ばします方{はう}が宜{よろ}しうございませうとぞんじ
ます。仮令{たとへ}御勘当{ごかんだう}にお成{なり}遊{あそば}すか又{また}押込{おしこめ}におなり
遊{あそば}されて当分{たうぶん}外{そと}へお出{いで}遊{あそば}す〔こと〕がお出来{でき}なさら
ないやうにお成{なり}遊{あそば}しても始終{しじう}わたくしが又{また}どうか
貴君{あなた}がたお両人{ふたり}のお悪{わる}ひやうにはいたしませんから。」ト
[いと心切{しんせつ}なお豊{とよ}が〔こと〕ばにおきくはこゝろうれしくて]【きく】「アノ房{ふさ}さんお咄{はなし}の御容子{ごやうす}じや
ア母上{おつかさん}がさそ御心配{ごしんぱい}を被成{なさつ}て|被為入{いらつしやる}だらうから

(3ウ)
爰{こゝ}からすぐとこの方{かた}と御連立{ごいつしよ}にお帰{かへん}なさいな。
私{わたい}もおうちの辺{そは}まで送{おく}ツて参{まいる}から左様{さう}被成{なさい}
な。ネ房{ふさ}さん。」トやさしく言{いひ}なすむすめのかほを
つく〴〵見{み}るに艶麗{あてやか}なる。露{つゆ}もこぼるゝ容貌{あいきよう}に
胸{むね}のあんじの顕{あらはれ}て。愁{うれひ}を含{ふくめ}るいとしらしさ。女{おんな}ながら
も惚〻{ほれ〴〵}と。霎時{しばし}見{み}とれて亡然{ばうぜん}たるお豊{とよ}は風{ふつ}と
心{こゝろ}づき【とよ】「アノ若旦那{わかだんな}さまヱ貴君{あなた}がおきくさんで
|被為在{いらつしやい}ますかへ。」【房】「ムヽヽ。」ト[間がわるさうにいふ]【とよ】「ヲヤ左様{さやう}で

(4オ)
ございますか。私{わたくし}は若旦那{わかだんな}さまの幼少{おちいさい}うちから
お家{うち}に居{をり}ます豊{とよ}と申シますものでございます。
途中{とちう}とは申シながら御挨拶{ごあいさつ}もいたしませんで
マア失礼{しつれい}な。」ト[商人{あきんと}かたぎにあいさつされておきくはいよ〳〵きのとくさうに]【きく】「ホヽヽヽヽマア
とんだ〔こと〕を。わたくしこそ失礼{しつれい}な。申シわけを
致{いたす}のでございます。モウ〳〵面目{めんぼく}もございません。
若旦那{わかだんな}さんの〔こと〕は悉皆{みんな}私{わたくし}の悪{わるい}のでございます
からお腹{はら}も立{たち}ませうが何卒{とふぞ}堪忍{かんにん}して被下{ください}まし。」

(4ウ)
【豊】「ヲヤまアなんでございませうネ。アノモウ御隠
居{ごいんきよ}さまも不断{ふたん}おまへさんのお噂{うはさ}ばツかり遊{あそ}ばして
どうか故障{さしさはり}もなくば逢{あひ}たいものだが義理{ぎり}ほど
つらひものはないと|被為仰{おつしやつて}たゞおあんじ遊{あそば}して
はかりお在{いで}被成{なさい}ますヨ。それにモウ我儘{わがまゝ}一ツぱいに
お生長{そだち}遊{あそ}ばした若旦那{わかだんな}さまで|被為在{いらつしやい}ますから
さぞお困{こま}り被成{なさい}ませうが。マア何卒{どふぞ}幾年{いつまで}も
愛恋{やさしく}してあげて被下{くたさい}まし。ヲホヽヽヽ。」【房】「アノお豊{とよ}

(5オ)
おまへそれじやア爰{こゝ}は他人{ひと}も通{とほる}から寮朋町{りやうぼうまち}へ
諸共{いつしよ}に来{き}て呉{くん}なナ。然{さう}して三人ンでよく相談{さうだん}を
して家{うち}へ帰{かへる}から。」【きく】「アヽ然{さう}被成{なさい}ヨ。私{わたい}もお目{め}に掛{かゝ}ツた
こそ幸{さいわい}だからお咄{はなし}申シて置{をき}たい〔こと〕もあるし
モウ爰{こゝ}からは遠{とほ}くもありませんからお出{いで}被成{なさつ}て
くださいな。」【豊】「ハイありがたうございますが。」ト[かんがへてゐる]。
【房】「それては悪敷{わるひ}か。」【豊】「ナニ然{さう}いたしても宜{よう}ご
ざいますが若{もし}万一{ひよつと}正使{おもてむき}のおむかひがおきくさんの

(5ウ)
お宅{うち}へ参{まいつた}とき私{わたくし}がおはなし申シて居{をり}ましたら
猶{なほ}悪{わる}くはございませんかねへ。」【房】「ムヽそれも然{さう}さ
ノ。」【きく】「ナニ房{ふさ}さんそれはネ母上{おつかさん}に頼{たのん}でをいて私
逹{わたいたちや}ア二階{にかい}でお咄{はなし}を致{いた}さうではございませんか。」
【房】「アヽ然{さう}サ。マアどうかして得{とつくり}と後{あと}の相{さう}だんを
つけて家{うち}へ往{ゆか}ないと親玉{おやだま}が何{なに}を発語{いひだす}かしれ
ないからノウ。お豊{とよ}それじやアおまへ兎{と}も角{かく}も
一連{いつしよ}に来{き}て呉{くん}なナ。」【豊】「ハイ左様{さう}なら御一連{ごいつしよ}に

(6オ)
参{まい}りませう。しかし余{あんま}りおてまが取{とれ}ましては悪敷{わるう}
ございますヨ。」【房】「あいヨ。それは承知{せうち}だが斯{かう}なツたら
斯{かう}といふ相{さう}だんをするのだから。ホイそれといふ
わけにもいかないわな。ねへおきくさん」【きく】「アヽ
左様{さよう}サ。」【房】「何{なに}しろ降{ふつ}て湧{わい}たやうに然{さう}やか
ましく言出{いひだ}されてはこまるなふ。」【豊】「三人ンよれば
文珠{もんじゆ}の智恵{ちゑ}とか申シますから何{なに}か宜{よい}御相談{ごさうだん}も
つきませう。ねへお菊{きく}さん。」【きく】「ハイモウ斯{かう}うち明{あけ}

(6ウ)
たからはおまへさんひとりを杖{つゑ}ともはしらとも
思{おも}ツて居{をり}ますから何卒{どふぞ}宜{よい}様{やう}にお頼{たのみ}もふします。」【豊】「
なか〳〵どういたして。私{わたくし}がとりしきツて斯{かう}と申ス
〔こと〕にはなりませんか去{さり}ながら是{これ}ほど|和合人{よいおなか}を
裂{さく}やうな〔こと〕をする人{ひと}がもし出{で}ましても夫{それ}は
及{およば}すながら私{わたくし}が陰{かけ}になり陽{ひなた}になりいたして
おふたりのお気{き}のやすまるやうにいたします
からけしておあんじ被成{なさい}ますな。」【きく】「ありがたう。

(7オ)
実{ほんと}に何卒{どうぞ}。」【房】「マア其様{そんな}〔こと〕も早{はや}く帰{かへ}ツてはなしを
究{きめ}やう。」ト三人|連{つれ}だち帰{かへ}りゆく。闇{くら}き夜{よ}みちも
こゝろから。徃来{ゆきゝ}の他視{ひとめ}欝悒{いぶせく}ていはず語{かたら}ず相互{あいたがひ}
見{み}とがめられなと思{おも}ふ木戸{きど}。通{とほり}過{すぎ}つゝ世{よ}の中{なか}は。斯{かく}
まで広{ひろ}き広小路{ひろこうじ}も。忍{しのべ}ば狭{せば}き足{あし}もとの。沙礫{こいし}に
跪{つまづ}く房二郎{ふさじらう}を。いたわるむすめと婢女{はしため}の。夫{をつと}想{おもひ}に
主{しゆう}おもひ。両国橋{りやうごくばし}の長{なが}き夜{よ}も。みじかくおもふ
女夫中{めうとなか}。よし川町{かはちやう}もうち越{こし}て。ひたすら君{きみ}を

$(7ウ)
勘八{かんぱち}
情{なさけ}無{な}く
菊{きく}の
花房{はなぶさ}を
ちらす
房二郎
勘八

$(8オ)
おきく
おとよ

(8ウ)
町境{まちざかひ}。おもふお方{かた}に青柳橋{あをやぎばし}を。吹{ふく}風{かぜ}誘引{さそふ}五十
嵐{いがらし}の。家棟{やね}から白眼{にらむ}鬼瓦{をにがはら}の。ひかりも凄{すご}き星明{ほしあかり}
に。軒下{のきした}つゞき折{をり}曲{まが}る。横町{よこちやう}の出合{であい}がしら。夜目{よめ}も
遁{のが}さぬ鵜{う}の眼{め}鷹{たか}の眼{め}。支配人{ばんとう}の勘八{かんぱち}が。弓張
提灯{ゆみはりぢやうちん}差出{さしだ}して【勘】「ヤ若旦那{わかだんな}。」【房】「ヱ。」トびつくりおも
はずもふり向{むく}後{うしろ}にお菊{きく}とお豊{とよ}。おもひがけざる〔こと〕
なれば惘{あきれ}て霎時{しばし}気{き}も転倒{てんどう}我{われ}にもあらで彳{たゞづみ}たり。
さて此{この}場{ば}の四人{よつたり}。黙{だんまり}にては済{すむ}べからず。勘八{かんぱち}は

(9オ)
理屈{りくつ}をのべて。惨刻{むごく}も房二郎{ふさじらう}を連行{つれゆく}。
おきくは果敢{はか}なく引裂{ひきさか}れて。謂合{いひかはし}をく
言{〔こと〕}の葉{は}も。なきの泪{なみた}の別路{わかれじ}に。相方{さうはう}の恋情{れんじよう}。
独{ひと}り察{さつし}るお豊{とよ}が心痛{しんつう}。彼是{かれこれ}の〔こと〕ば争{あらそひ}を
委{くは}しく記{しる}さば〔こと〕〴〵く。理論{りろん}に落{をち}ておかし
からず。愛観{あいくわん}し給ふ|童男女衆{こどもしゆ}の。欠{あくび}を恐{をそれ}て
其{その}条{くだり}を省{はぶき}ぬ。後段{ごだん}に至{いたり}て自然{をのつから}。其{その}趣{をもむき}を
|万知{しり}給へ。なとゝ理{〔こと〕はり}めかせども。実{じつ}は続文{ぞくぶん}一段{いちだん}を。

(9ウ)
|小一丁{みじか}に端折{はしよつた}る。作者{さくしや}が手間{てま}の盗筆{かすり}にて。
梅星爺{うめぼしぢゞい}が懶惰{をうちやく}なるべし。
第八齣
村雨晴{むらさめはれ}の稲{いな}むらがくれ。彼{か}の五段目{ごだんめ}の勘平{かんぺい}なら
ねど。鉄炮{てつぽう}の火{ひ}をなほし。掃除{さうじ}してある流{なが}し板{いた}へ。
水{みづ}うち流{ながす}下僕{しもおとこ}[二上りはうた]〽ゆふべ風呂{ふろ}のあがり場{ば}で
この腹帯{はらをび}をかゝさんが見{み}つけさんしてこれおそめ
なさけないことしてくれたと泣{なき}しみ付{つい}てのお腹立{はらたち}ツ。

(10オ)
[戸{と}をあけてのそく下女{げじよ}]「モウ沸{わい}たかへ。」【下男】「よいとこ〳〵〳〵せ。」【下女】「なん
だへおふざけて無{ない}ヨ。宜{よか}ア然{さう}申シあげるからサ。」【下男】「
ふざけやアしねへ。宜{いゝ}といふにヨ。」【下女】「それじやア
お連{つれ}申スヨ。それからネ跡{あと}で水{みづ}を入{いれ}て置{をい}てお呉{くれ}ヨ。」
【下男】「ヲイきた。承知{せうち}だ。」ト[水口{みづくち}から出{いで}て行{ゆく}。あとの戸{と}ぴつしやり立付{たてつけ}て輪{わ}かきがねを下{をろ}し]
【下女】「アノお松{まつ}どんヱお風呂{ふろ}が宜{よろ}しうございます。」
【松】「ハイ直{すぐ}にお連{つれ}申シても宜{よい}かへ。」【下女】「ハイ清浄{ちやん}と
してございます。」【松】「左様{さやう}なら若旦那{わかだんな}さま

(10ウ)
おめし遊{あそ}はせ。」【房】「父上{おとつさん}も母上{おつかさん}もモウ済{すん}だのかヱ。」【松】「
イヽヱ皆{みな}さんはお風邪{かせ}を召{めし}て|被為在{いらつしやい}ますから今日{こんち}は
おめし遊{あそ}ばしませんから貴君{あなた}とお嬢{じよう}さまばかりで
ございます。」【房】「ヲヤ然{さう}か。それではお雪{ゆき}おまへマア
お|這入{はいり}ナ。」【雪】「イヱ私{わたくし}はお跡{あと}ではいりますから
貴君{あなた}マアおめし遊{あそ}ばせ。」【房】「然{さう}かそれじやア新湯{あらゆ}へ
|這入{はいる}〔こと〕かノ。」【松】「お嬢{じよう}さまとお対{つゐ}でおうれしう
ございませう。しかし皆{みんな}が|這入{はいり}ました跡{あと}のぬる〳〵致{いた}す

(11オ)
やうなお湯{ゆ}が彼方{あつち}のに似{に}て貴君{あなた}はお好{すき}で|被為在{いらつしやい}
ませう。」ト房二郎{ふさしらう}をぢろりと見{み}て寛爾{につこり}わらふ。房
二郎{ふさじらう}も苦{にか}わらひ。恍惚{をほこ}のお雪{ゆき}はさらに分{わか}らず。【雪】「
ヲヤ私{わたい}に何{なに}がお対{つゐ}のだへ。」【松】「ナニお湯{ゆ}が奇麗{きれい}で
貴君{あなた}の容{よう}だと申シます〔こと〕サ。」【雪】「ヲホヽヽヽヽいやな松{まつ}
だねへ。」【松】「ヲホヽヽヽヽサア若旦那{わかだんな}さま|被為入{いらつしやい}まし。アノ
お嬢{じよう}さまも諸共{ごいつしよ}にお召{めし}遊{あそ}ばせな。」【雪】「私{わたい}もかへ。
可笑{おかしい}ねへ。」【松】「ナニ可笑{おかしい}〔こと〕がありますものか。御夫婦{ごふうふ}

(11ウ)
でお湯{ゆ}を召{めす}に誰{たれ}が何{なん}と申シますものか。」【房】「マア宜{いゝ}
わな。己{おいら}はどうではや湯{ゆ}だから少〻{ちつと}待てお在{いで}。」【松】「
アレ貴君{あなた}が其様{そんな}〔こと〕を|被為仰{おつしやる}からお嬢さまは
御遠慮{ごゑんりよ}ばかり遊{あそ}ばして|被為在{いらつしやい}ますわネ。どうも若旦
那{わかだんな}さまは程{ほど}がお悪{わるひ}ヨ。彼方{あつち}へ|被為入{いらし}ツちやア然{さう}では
ございますまいけれども。」ト白眼{にらむ}。是{これ}主{しゆう}おもひのお松{まつ}
なればお雪{ゆき}が恍惚{をぼこ}のぢれツたさに成替{なりかは}りての
嫉妬{やきもち}なるべし。【房】「ナニおもしろくもねへ。」【松】「サア

(12オ)
お嬢{じよう}さまヱ御遠慮{ごゑんりよ}あそばさずと諸共{ごいつしよ}にお沐浴{めし}遊{あそ}
ばせヨ。サアお衣更{めしかへ}遊{あそ}ばせ。」ト浴{ゆ}かたを持{もつ}てうしろへ
廻{まは}れば。処女心{むすめごゝろ}にはつかしく。廿日{はつか}以来{このかた}同{おなじ}洞房{へや}。寝起{ねをき}を
共{とも}にしながらも。まだうち解{とけ}ぬ男気{おとこき}を。思{おも}ひまは
せばうらめしく。又{また}哀{かな}しくも欝{むすぼ}るゝ。気{き}をとりなほす
お松{まつ}がはからひ。男{おとこ}の心{こゝろ}汲{くみ}かねて。否{いや}がるおゆきを
無理{むり}やりに。房二郎{ふさじらう}と諸共{もろとも}に。湯{ゆ}どのへつれ行{ゆき}【松】「サア
お湯{ゆ}も宜{よい}加減{かげん}でございます」。ト[ふたりを湯{ゆ}へ入{いれ}かれこれせはをしながら]【松】「

(12ウ)
アノ若旦那{わかだんな}さまのお糠{ぬか}は是{これ}でございますヨ。」ト[房二郎に渡{わた}し]
【松】「お嬢{じよう}さまのお脊{せなか}はわたくしかお流{なか}し申シます
からお跡{あと}で若旦那{わかだんな}さまのお脊{せなか}はお嬢{じよう}さま貴君{あなた}
お流{なか}しあそばせヨ。若旦那{わかだんな}さまヱお嬢{しよう}さまにお流{なか}
しあそばしておもらひ遊{あそ}はせ。」ト[いひながらお雪のせなかを流てしまひ]【松】「アノ
わたくしはお部屋{へや}へお茶{ちや}の土瓶{どびん}をかけて置{をき}ました
から一寸{ちよいと}見て参{さん}じますヨ。」【雪】「ヲヤおまへ爰に居{ゐ}
ないのかへ。」【松】「ハイお否{いや}でございますかへ。」【雪】「フヽ。」ト

(13オ)
[わらつて居{ゐ}る]【松】「ホヽヽヽヽ直{ぢき}まいりますヨ。ヲヤお水{ひや}がすくなく
成{なり}ましたネ。」[一段{いちだん}声{こゑ}をはりあげて]「お湯{ゆ}どのへ水{みづ}をかけてお呉{くれ}ヨ。」
ト[こゑかけながら戸{と}をたてゝ出{いで}ゆく。あとはさしむかひたがひにはだかの間{ま}のわるさ房二郎は風呂{ふろ}の中{なか}よりいでゝ]【房】「
サア寒{さむ}くなるからお|這入{はいり}ヨ。私{あたし}はモウそろ〳〵
あがるから」【雪】「ヲヤ左様{さやう}ならおせなかをながし
ませう」【房】「ナニまア宜{よい}からおまへ中{なか}へお|這入{はいり}ヨ
風邪{かぜ}をひくと悪{わる}ひから」【雪】「ハイ左様{さやう}ならすこし
お待{まち}遊{あそ}ばせアノお糠{ぬか}も湿{しめ}してございますヨ」【房】「

(13ウ)
是{これ}だネヲヤ是{こりや}ア何{なん}だかへんだいつもなア如何{どう}
したしら」ト[いひながらつかつて居{い}る。おゆきはやがて湯{ゆ}の中{なか}を出{いで}てはだか身{み}なればなほさらにはづかしさうに
房二郎のうしろへまはり遠{とほ}くから肌{はだ}にはだのつかぬやうに手{て}をのばしてせなかをあらふ是{これ}世間{せけん}ありふれたむすめならばほれた男と
ひとつ風呂{ふろ}にさしむかひのはだかなればわざにもはだへぬら〳〵とこすりもつけべき〔こと〕なれども生得{せうとく}のうち気{き}といひ且{かつ}その身{み}を卑下{ひげ}
するこゝろゆへなり是{これ}ぞむすめの真情{しんじやう}にてすべて女の男にいとしがらるゝはこゝ也|世{よ}にきやんといはるゝ娘{むすめ}ごたちお雪の〔ごと〕く斯{かく}もありたし]
当下{ときまさに}二月{きさらぎ}の。中旬{なかば}も過{すぎ}て漸{やゝ}ゆるむ。寒{さむ}さも風呂{ふろ}に
しら雪{ゆき}の。肌{はだ}温{あたゝま}る桜色{さくらいろ}。見{み}えてうつらふ世{よ}の中{なか}
の。人{ひと}のこゝろと古{いにしへ}の。歌{うた}にも詠{よみ}てあるものを。斯{かく}まで

(14オ)
慕{した}ふこゝろの底井{そこゐ}。すこしは汲{くみ}も分{わけ}てよと。おもふ
限{かぎり}を言{いへ}ばえに。岩瀬{いわせ}の玉{たま}のたまにだに。唯{たゞ}一言{ひとこと}の恨{うら}み
をも。いわ峰{ね}凝重{こりしく}雲{くも}ならで。気病{きやみ}に晴{はれ}ぬ胸{むね}のうち。
男{おとこ}もしらぬにあらねども。まだ年〓{としゆか}ぬ一向{いちづ}の凝*〓は「門+更」
性{こりしやう}。お菊{きく}に義理{ぎり}を立{たつ}秋{あき}の。紅葉{もみぢ}ぶくろの糠汁{ぬかしる}の。
いと半温{なまぬる}く下腹{したはら}へ。ながれつたはる気味{きみ}わるさ。おも
はず股{もゝ}をうちひろげて。うしろへ寄{よれ}ば相互{あいたがい}に。ひツたり
と付{つく}肌{はだ}とはだ。是{これ}はとふり向{む}き見かはす顔{かほ}。真赤{まつか}に

$(14ウ)
おゆき
沐{ゆあみ}して
はからず
お雪{ゆき}
房{ふさ}二郎と
赤縄{せきじやう}を
むすぶ

$(15オ)
房二郎

(15ウ)
なりて俯向{うつふく}お雪{ゆき}。恋〻{いとし}らしいとおもふ気{き}の。如何{どう}いふ
はづみか這時{このとき}に。捨{すて}て置{をか}れぬこゝろになりて【房】「
お雪{ゆき}やモウ宜{いゝ}ヨ寒{さむ}くお成{なり}だらふから中{なか}へおはいり」
ト[肩{かた}さきをなでゝ]「ヲヤ〳〵冷{つめ}たく成{な}ツた」ト[汲{くん}でありし湯{ゆ}を手{て}ぬぐひにしめして
かけてやればお雪{ゆき}はぞつとするほどうれしく]【雪】「ハイありがたう貴君{あなた}マア
お|這入{はいん}被成{なさい}な」【房】「そんなら諸共{いつしよ}にはいらう」【雪】「
ハイ」ト[うれしさうに男の㒵{かほ}を見てにつこり]【雪】「兄{にい}さんヱ。」【房】「ヱ。」【雪】「お菊{きく}
さんをつれて来{き}てあげたうございますねへ。」[これ一ツ

(16オ)
しやうけんめいにいひしなるべし]【房】「フンお菊{きく}さんとは其様{そんな}女{おんな}はしらないヨ。」
ト[風呂{ふろ}の中{なか}へはいる]【雪】「ヲヤ。」ト[にらめつける。是{これ}けんどんににらめるにはあらずせい一ツぱいのやきもち也]折{おり}から
吹{ふき}こむ夢想窓{むさうまど}へ。風{かぜ}がもて来{く}る遠音{とほね}の三味{さみ}せん。
唄古{うたひふる}した|楡莢雨{はるさめ}も。本調子{ほんちようし}と二上{にあが}りの。爪弾{つめびき}ながら
うち合{あは}せ。妙{たへ}にゆかしき京語調{かみがたふう}。
〽はるさめに[合]しつぽりぬるゝ鶯{うぐひす}の羽{は}かぜに匂{にほ}ふ
梅{うめ}が香{か}の[合]花{はな}にたはふれ[合]しほらしや。小鳥{ことり}でさへも
一トすぢに塒{ねぐら}さだめる気{き}はひとつ[合]。わたしや鶯{うぐひす}

(16ウ)
ぬしは梅{うめ}やがて身{み}まゝ気{き}まゝになるならばサア
鶯宿梅{おうしゆくばい}じやアないかいな。サツサなんでもよい
わいな[合]。
【房】「あのネ。」【雪】「ハイ。」【房】「鶯宿梅{おうしゆくばい}にならふねへ。」【雪】「ヱ」ト
余{あんま}りうれしさにぶる〳〵と震{ふるへ}て居{ゐる}。を風呂{ふろ}の中{なか}
から手{て}を出{だ}して【房】「サアお|這入{はいり}ヨ」ト[お雪{ゆき}の手{て}をとり中{なか}へ入る]互{たかひ}の肌{はだ}は
湯{ゆ}の中{なか}なれば如何{いか}なる綾{あや}にや取組{とりくみ}けん他目
八目{をかめはちもく}も爰{こゝ}らまでは利{き}かず【房】「大{たい}さうお|逆上{のぼせ}だ

(17オ)
ねへ」【雪】「■何故{なぜ}ヱ」【房】「耳{みゝ}まで紅{あかい}ものヲ」ト互{たがい}に
ぬれた頬{ほう}と頬{ほう}ひツたり寄{よせ}る。此{この}時{とき}鉄炮{てつぼう}の火{ひ}が皿{さら}へ
落{をち}てチウ[引]。【雪】「アレ松{まつ}がまいりますヨ」【房】「ヱ」ト
外{そと}へ気{き}を置{をく}折{おり}から。樋竹{とひだけ}の口{くち}より水溜箱{みづぶね}に。
水{みづ}の落{をつ}る音{をと}ドウ〳〵〳〵〳〵。
春色連理梅巻之四畢


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底本:東京大学文学部国語研究室蔵本(4L:124:2)
翻字担当者:洪晟準、梁誠允、矢澤由紀、藤本灯
更新履歴:
2017年7月26日公開

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