新「ことば」シリーズ19 外来語と現代社会
現代日本では,外来語の流入する勢いが急激で,人々の生活の場面でもなじみのない外来語を見聞きする機会が多くなっています。そのことが,人と人との伝え合いの支障になり,社会に混乱を引き起こしているという問題があります。
本書では,現代社会における外来語の状況を広く見渡し,問題の在りかを照らし出しました。あわせて,国立国語研究所「外来語」委員会が行っている,「『外来語』言い換え提案」について紹介しました。
目 次
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前書き
本号のテーマについて
座談会外来語と現代社会
- 天野祐吉,鳥飼玖美子,道浦俊彦,杉戸清樹(司会)
解説
- 1 「『外来語』言い換え提案」は何を目指しているか (相澤正夫)
- 2 現代社会における外来語の実態 (田中牧郎)
- 3 新聞記事の外来語 (福田亮)
- 4 科学の知識を伝える言葉 (長谷川眞理子)
言葉に関する問答集
- 問1 ある時期から急に,「ジェンダー」という外来語を見聞きする機会が増えたように思いますが,どういう事情があったのでしょうか。
- 問2 外国で生まれた新しい概念を表すために外来語の使用が増えている面もあるようですが,そういった外来語を使う際の注意点は何でしょうか。
- 問3 「『外来語』言い換え提案」では,「インフォームドコンセント」を「納得診療」と言い換えていますが,元の外来語の意味からずれているのではないでしょうか。
- 問4 2005年夏,「クールビズ」は一気に広まりましたが,急速に普及する外来語には,人を引き付ける何かがあるのでしょうか。
- 問5 外来語を使うと,言っていることにも説得力が増すように思えるのですが,どうでしょうか。
- 問6 「コンディション」には,「状態」や「調子」では言い表せない特別な意味があるのでしょうか。
- 問7 「エンターテイメント」「エンタメ」などは,本来「エンターテインメント」という形だと思いますが,いろいろな語形が使われるのはどうしてでしょう。
- 問8 「コンピューター」と「コンピュータ」と両方の表記を見掛けますが,どちらで書いてもいいのでしょうか。
- 問9 外来語をカタカナで書くのはいつから,どのように始まったのですか。
- 問10 明治期には新しい訳語が多く作られたそうですが,現代も同じように訳語の新造をすすめていくのがいいのでしょうか。
- 問11 住民に行政情報を提供する自治体では,行政用語の中の外来語にどのような対応を行っているのでしょうか。
- 問12 外来語は特に年配の人にとっては分かりにくいと思うのですが,幅広い世代が読む広報紙などではどのように使うのが良いでしょうか。
- 問13 高齢者の多い介護現場などでは,外来語についてどのような問題があり,どのような配慮や工夫を行っていますか。
- 問14 外国人が日本語を学ぶ場合,外来語はどのような長所や短所がありますか。また,外来語の教育には,どのような工夫が望まれますか。
- 問15 他の言語では,外来語をどのように取り入れていますか。日本語の場合,特別な事情がありますか。
- 問16 国語研が行っているような,外来語を分かりやすく言い換える取り組みは,他の国でも行われているのでしょうか。
- 問17 2004年暮れに発生したインド洋大津波のニュースで,英語などでも「ツナミ」という日本語がそのまま使われていることを知りました。同じような例はほかにどんなものがあるのでしょうか。
コラム
- 1 外来語に対する各国の姿勢―アイスランドとタンザニアを例として―
- (2004年3月の国際シンポジウムの報告から)
- 2 コンピューター用語と外来語
- 3 方言の中の外来語
参考資料
- 「『外来語』言い換え提案―分かりにくい外来語を分かりやすくするための言葉遣いの工夫―」の例
- 「『外来語』言い換え提案」で取り上げた外来語・言い換え語など
- 外来語に関する調査
言葉のクリップボード
- 1 中国の外来語事情
- 2 カタカナ職業はなぜ多い?
お知らせ
- 最近の刊行物から / 「ことば」シリーズ刊行一覧