Top> 研究発表会> 2013> 第7回研究発表会(11月9日)

第7回研究発表会(11月9日)

開催日時

平成25年11月9日 (土) 13:30~17:00

開催場所

金沢大学 サテライト・プラザ (石川県金沢市西町教育研修館内)

発表テーマ・発表者氏名と概要

「連濁プロジェクトの中間報告」
ティモシー・J・バンス (Timothy J. VANCE) (国立国語研究所 NINJAL)


連濁プロジェクトの最終目的は連濁に関連する,あらゆる課題を可能な限り取り上げる“事典”を編纂することである。本発表では今までの研究成果,メンバーの役割分担,連濁事典の編纂状況およびこれからの計画について報告した。

「幼児の連濁獲得―その獲得過程と発達的示唆」
杉本 貴代 (SUGIMOTO Takayo / 常葉大学)


本研究では,語彙の爆発的増加期にあり,かつ文字言語を使いこなす前の段階 (preliterate children)にある幼児が日本語の語彙体系 (メンタル・レキシコン) を構築していく過程を解明するため,和語に適用される「連濁」をとりあげ,その獲得過程について実験により検証した。成人のデータをもとに定義されてきた「ライマンの法則」と「和語」という連濁条件に対する敏感性を検討した結果,成人とは異なる方法で子どもは連濁させている可能性が示唆された。また,日本語母語児と成人日本語学習者の連濁生起傾向の比較に基づき,両者のメンタル・レキシコンの特性と連濁獲得の本質的な相違について考察した。

「連濁は日本語学習者に習得されるか」
玉岡賀津雄,早川杏子 (TAMAOKA Katsuo, HAYAKAWA Kyoko / 名古屋大学)


中国語と韓国語を母語とする日本語学習者に対して,連濁の習得についての調査紙および語彙命名実験を行った。調査紙調査では,ライマンの法則,焼酎の連濁,先行する名詞の語種の影響について正答率から検討した。また,連濁の命名実験では,処理速度と正答率の両面から2語の複合語の連濁の処理を品詞の種類別に検討した。また,本研究では,同数の中国語と韓国語の日本語学習者にテストおよび実験を実施したので,L1の違いについても報告した。