シンポジウム 「ビジネス日本語の研究と教育 ―文書改善に必要な条件を探る―」

プロジェクト名・リーダー名
日本語学習者のコミュニケーションの多角的解明
石黒 圭 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授)

科研費 挑戦的研究 (萌芽) 17K18504
クラウドソーシングを用いたビジネス文書のわかりやすさの言語学的研究
開催期日
2021年9月25日 (土) 13:00~16:30
開催場所
Web開催
事前申し込み

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プログラム

13:00

  • 開会の言葉
    石黒 圭 (国立国語研究所)
  • 開催の趣旨
    熊野 健志 (富士通株式会社)
  • 司会
    石黒 圭 (国立国語研究所)

13:10【前半】 (20分×4人)

  • 「ビジネス文書における発注作業の内容の伝え方」
    田中 啓行 (中央学院大学)

    業務を発注する文書では,依頼する作業の内容を明確に伝えることはもちろんですが,受注者との良好な関係を築くために印象良く伝えることも意識したいところです。本報告では,作業自体の内容と「~してください」などの作業内容を伝える表現との組み合わせごとに印象を分析し,作業の内容をどのように伝えたらよいのかを検討します。

  • 「ビジネス文書における形態素的特徴」
    李 婷 (日本大学)

    発注文書における形態素解析の結果を踏まえた上で,受注につながりやすい形態素としてどのような特徴があるのか,なぜ受注につながりやすいのかについて解明します。本発表では,ビジネス文書の成功例から得られるヒントを共有したいと思います。

  • 「ビジネス文書における始め方と終わり方の特徴」
    岩崎 拓也 (国立国語研究所 / 人間文化研究機構)

    どうすればよりわかりやすい文章になるのでしょうか。今回は文書のはじめと終わりに焦点を当て,特定の表現をもとにその出現数の異なりを抽出,分析しました。その結果をもとに文書改善の条件を提示したいと思います。

  • 「文書作成に役立つ検索の Tips」
    横野 光 (明星大学)

    検索エンジンは欲しい情報を見つけるツールとしてだけではなく,例文を見つけるツールとしても使うことができます。本シンポジウムでは検索エンジンを使った文書作成時における表現のチェックの方法などを紹介します。

14:30 休憩 20分

14:50【後半】 (20分×4人)

  • 「AI による効果的な文書表現の発見」
    浅井 達哉 (富士通株式会社)

    最新の AI 技術「Wide Learning」を用いて,数万件の発注文書に対して,多数の応募が集まる効果的な文書の特徴を発見する手法を紹介します。発見の動作原理やデータの前処理 (クリーニング),見つけた仮説の例についても述べたいと思います。

  • 「統計分析と AI 分析に基づくよい文書とは」
    柳瀬 隆史 (富士通株式会社)

    読み手に伝わりやすい,よい文書とはどのようなものかを統計や AI を用いた分析により明らかにしていきます。クラウドソーシングの発注文書を対象に,タイトルや本文の最適な文字数は何文字くらいか,箇条書きの個数は何個くらいがよいかといった疑問に統計分析の観点からお答えします。このほか,報酬や応募期間などの発注条件によって,よい文書の特徴が変わるのかといったことについても,最新の AI 技術を使った分析により解き明かします。

  • 「ビジネス文書が伝える人物像」
    井上 雄太 (国立国語研究所 / 一橋大学大学院)

    文章を読む時,読み手は少なからず書き手の人物像について考えてしまいます。書き手の人物像は文章のどのような表現から伝わるか,仕事の内容をスムーズに伝えるためにどのように人物像をコントロールできるのか紹介します。

  • 「Web 空間の労働における労使関係と言葉」
    アンドレイ・ベケシュ (リュブリャナ大学 名誉教授)

    新しい雇用形態 ―クラウドソーシングの登場によりビジネス文書は,Web 上でやり取りされるのが今や一般的な時代です。しかし,Web 上のビジネスコミュニケーションの中で,発注者という強い立場の者の言葉がぞんざいになり,受注者という弱い立場の者を傷つける,いわゆる「上から目線」の言葉が問題となっています。ここでは,クラウドソーシングを例に,「上から目線」の言葉が生まれた社会的背景について考えていきます。

16:10 質疑応答

16:30

  • 閉会の言葉
    熊野 健志 (富士通株式会社)