プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は,協同型の作文教育向けの作文・添削支援システムを開発し,授業への導入手法を検討することでです。さらに,システムを用いた授業実践の結果から作文・添削データベースを構築し,作文技能の習得過程とシステムの教授効果を明らかにします。
プロジェクトの特徴
作文教育では,教師の指導のみに依拠しない,協同型の授業活動が広く行われています。そこには作文・添削活動自体を評価するプロセスが含まれていますが,評価に欠かせない,作文・添削活動の記録や,記録データ活用のための環境が十分整っていないのが現状です。また,現状の作文支援システムは,グループ利用ではなく個別利用向けであるとともに,システムが作文を評価する点に焦点が置かれており,協同型の作文教育には適していません。そこで,次の二つの機能を併せ持つ,作文・添削支援システムを構築します。
1. 教師・学習者がインターネット上で作文・添削活動を行うための機能
教室や家庭での利用,海外居住者との協同を考慮するとともに,インストール不要で利用できるよう,Webブラウザ上で動作するWebアプリケーションとして実現します。
2. 実施された作文,添削をデータベース化し,ふりかえり活動や教師の分析を支援する機能
例えば,(1)作文や添削結果の検索,作文・添削過程の閲覧など,教師の分析や学習者のふりかえりを支援する機能,(2)学習者の気づきをグループで共有しやすくするなど,グループでのふりかえり活動を支援する機能を実現します。
この二つの機能を踏まえて,作文・添削支援システムを授業に導入する方法を確立します。アカデミックライディング(日本人大学生,日本語学習者),作文(日本語学習者)の3種類の実践プログラムを作成し,授業で実践します。そして,実践結果から得られたデータを用いて作成する作文・添削データベースを用いて,効果的な作文添削の方法,作文技能の習得過程などを明らかにします。