「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書
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24時間心電図-頸部

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24時間心電図 CRP値 CRP定量 CT DT二混 GIST ICT LDLコレステロール MRワクチン RSウイルス

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
24時間心電図 24時間心電図をしましょうというと、入院する暇はないといわれる。 体に装着していただく、もちかえり用の小型心電計と説明する。
CRP値   CRP値については、体がウイルスや細菌によって炎症と言う、燃えている程度を表している等、安易な言葉に置き換えて説明している。
CRP定量 炎症反応のCRPがまだ高いから、もう少し経過を見ましょうと言ったら、CRPとは何ですか?と言われた。 CRPは風邪でも上昇するけれども、この位の値だと、かなり強い炎症が、まだ残っている事になるので、1週間後に再検しましょうとか、パンフを見ながら説明するようにしている。
CT {CTとMRIは}よく混同される。またCTよりMRIの方が詳しい検査という認識の人が多い。 それぞれに特性があって、病状に適した検査を行うと説明するようにしている。
DT二混 二混の予防接種を児に勧めたが数万人に一人、副作用がある。うちの子がそれに当たらないという保障はない。やりたくない。 罹った時の危険性が高いことを説明。本症例は結局、接種しなかった。
GIST GISTという粘膜下腫瘍が疑われ、大きさが4cmなので手術を勧めますと説明しましたが、癌なのかと何度も聞き返された。 癌のような悪性腫瘍の可能性のある腫瘍といってあげたほうがわかりやすい。
ICT 重症感染患者の家族に「われわれ主科だけの意見ではなく、ICTとも相談し、総合的に意見を取り入れて抗生剤を決定、投与している」と説明したところ、「ICT」について聞き返された。 同僚間で何気なく使っている「ICT」は一般にはまだ聞きなれない言葉であるようであり、「感染制御チーム」と言い直し「院内感染などが広がらないように対処もしている」と付け加えたところ、テレビで聞き覚えがあるとのことであった。
LDLコレステロール LDLコレステロールが高く、脳卒中や心筋梗塞の予防が必要だと伝えたが、ピンと来ていないようだった。 「悪玉コレステロール」という言葉や、LDLコレステロールが具体的にどのように悪影響があるかをゆっくり説明すべきだったかもしれない。
MRワクチン 「予防接種は終わっていますか?MRワクチンはどうですか?」と聞いたら、理解されていなかった。麻疹風疹混合ワクチンという言葉に言い換えても分かっていない様子だった。 三種混合は「DPT」、麻疹風疹ワクチンは「MR」と医療者で略されている。実際欧米ではDPTと言っているし、日本でもDPT、MRで流布させたほうがいいのではないか?
RSウイルス RSウイルス感染による肺炎です。と説明したら非常に悪いもので命に関わるのかといわれた。 RSウイルスは冬に流行るかぜの一つで、大人がかかると咳や鼻風邪のレベルですみますが、乳幼児がこのウイルスに出会うと喘息様症状や肺炎など重症化することが多くあります。

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X線 アナフィラキシーショック アルブミン投与 アンギオ インスリン感受性 インスリン注射 エコー エコー検査 かかりつけ カテーテル

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
X線 『胸のX線検査をします。』と言ったが、聞きなおされた。 『レントゲン検査』とか『写真』と言ったほうが理解してくれやすい。
アナフィラキシーショック 食物アレルギーにてじん麻疹がでて、来院した患者に危険性を説明した際、理解が得られなかった。 病名よりも症状などを話して、理解を得るようにしている。
アルブミン投与 透析中、血圧の低下する患者がいる場合、血清アルブミンの値が低い時には(主治医が)承諾書を取った上、透析中にゆっくりアルブミンの投与を行うことがある。血液製剤の一種であるため、くわしく説明したが、むしろ「輸血でもないのにいちいち説明するな」と言われてしまった。 この患者が気の短い患者であったことは否めないが、「アルブミンは血液製剤の一種であること、このためリスクもあること」は必ず伝えておかなければならない情報である。「話題になっている、凝固製剤でのエイズや肝炎があるでしょう」と付け加えたら、納得なされた。
アンギオ 慣用的にアンギオ検査といってしまうときがある。ほとんど理解はされていない。 血管撮影といえば、分かってもらえる。
インスリン感受性 糖尿病の患者に、インスリン感受性が低下しているので、データも悪いし、内服薬を開始しましょうと言ったら、よくわからないようだった。 わかりやすいパンフを渡して、それを見ながら説明している。
インスリン注射   一生打たないといけないイメージがあり、一時的でいい場合がありますと抵抗感を弱める。
エコー エコーの検査と言ったら、聞き返された。 超音波と言い換えたが、それでも理解してもらえず、説明に苦労した。写真で見せるなど具体的なものが必要と感じた。
エコー検査 過去にエコー検査を受けたことがあるか尋ねた際に、超音波なら受けたことがあるという患者に遭遇。 両方の言葉を並べて言うことにしている。
かかりつけ かかりつけ医を紹介したら、みすてられたと。 次回の予約はとっておく。
カテーテル 血液透析を緊急で行う場合、ブラッドアクセスとしてカテーテル(挿入)が必要である。説明したところ、「心臓で風船をふくらますのですか」という言葉が返ってきた。 「カテーテル」という場合、「心臓カテーテル検査」は広く知られているようである。「カテーテル」とは血管に入れる管で、普通の注射の時の針より太く長く、ものによっては(透析用のように)数日留置するものもあると説明し、了解が得られている。

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カテゴリー カリウム カルチノイド カンファレンス クオリティーオブライフ クベース クラスⅡ グリコヘモグロビン くる病 クレアチニン

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
カテゴリー 乳癌検診で撮影するマンモグラフィー、あるいは乳腺エコーでの悪性度評価で『カテゴリー』という言葉を使用するが、一般人にはその内容をいちいち説明しなければならない。一般社会ではあまり使用しない言葉であるためにわからないのも無理はないと思う。 説明時には最初からこの『カテゴリー』という言葉は使用せず、正常、良性、境界域、悪性、などと理解しやすいような言葉で理解してもらうようにしている。
カリウム 高カリウム血症の患者に対してカリウムが高いので下げる薬を使うと伝えたが、理解していない雰囲気であった。もとから薬の内服をあまりきちんとしない方であり、飲んでもらえるか心配。 不整脈などの原因となると説明している。
カルチノイド 最初癌もどきと説明していたが、悪性であることを理解していない様子であった。 通常の癌より予後はよいが、癌の一種であると説明するようにした。
カンファレンス カンファレンスで話し合いましたといっても通じなかった。 医者同士の話し合いと説明している。
クオリティーオブライフ   たとえ話を出す。Quolityoflife:意識がない状態でも生き永らえる様子を描写したり、自宅での生活のメリットなど、患者さんに応じて話す。(一般的なたとえは現在思い浮かばなくてすみません)
クベース クベースは保育器のことであるが、患児入院の説明時にクベースと入院診療計画書に書いて、聞き返された。 クベースは医師・看護師の中では日常使っている言葉であるが、一般ではあまり知られていない。日常のちょっとした時に不注意で言ったり書いてしまうので、スタッフ間でお互いチェックした方がよい。
クラスⅡ 胃内視鏡で、胃潰瘍の生検の組織結果をクラスⅡと言ったら、クラスⅠではないので、灰色だと患者が勘違いした。 ⅠとⅡは正常だと、紙に書いて、説明している。
グリコヘモグロビン グリコヘモグロビンが高いと言ったら、それは何ですかと聞き返された。 グリコヘモグロビンの臨床的意義(最近1~2ヶ月間の血糖コントロールの指標)を伝えてから高い、低いのコメントをするようにしている。
くる病 未熟児で生まれた子がALP値が上がっており、骨のレントゲンでもくる病と考えられた。家族に「くる病の可能性があり治療が必要」と話したら、「くる病って聞いたことがない」と返答された。 「くる病」は「がん」や「ぜんそく」に比べ、まだ一般に流通していない言葉であろう。骨がもろくなりやすくなる、ビタミン剤の投与が必要であるといったように、わかりやすい対処法を話していくようにしなければいけない。
クレアチニン クレアチニンが高い、といっても、専門用語なので分からない。 簡単に言うと「体の中のゴミの指標」です。腎臓が元気がなくなってきて、ゴミを身体の外に捨てることが出来ないので、体内に溜まっているのです、と伝えます。

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さらさら ジェネリック薬品 シスタチンC ショック スキルス胃癌 ステージ ステロイド治療 ステロイド薬 ナースステーション ネフローゼ

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
さらさら   さらさらにはいろいろあり、テレビでいうさらさらは血液の変型能。ワーファリンのときは固まりにくさ。
ジェネリック薬品 これまで使用していた薬をジェネリック薬品へ変更することの了解を得ようとしたが、理解してもらえなかった。 薬剤師から再度説明。
シスタチンC 腎機能を見る指標として、Cr(クレアチニン)が有用であるが、早期の診断には向かないことがある。最近新しく出た腎機能マーカーについて説明をした。分からなくてもしょうがないでしょう。 クレアチニン以外に、腎機能を評価する指標が出来ました。といって、説明しています。簡単には、高いと体にゴミがたまってきていると思ってください。とお伝えしています。
ショック 重篤な救急患者で、血圧が50前後であり、同僚が「ショック状態です。」と家族に話したところ、全く理解されていなかった。 ショック状態であるときは、「心臓からの血液の供給も不十分で、危険な状態です。」と話すようにしている。
スキルス胃癌 生検で胃癌と診断された患者に、印環細胞が出ていたのでスキルス胃癌であるため粘膜下を這うようにすすむから、場合によって胃全摘になる可能性を話したところ、「粘膜下を這う」という意味がわからなかったようだ。 術前には胃が残せると思っても術中の所見で全摘になる可能性があるため、ある程度専門的でも組織の話までしなくてはいけなかった。スキルスといってもわからないから、粘膜下を這う、とか、生検では出なくても、と話したら、検査でどうしてわからないのか、とかえって混乱をきたしてしまったようだ。検査でわからないと表現すると、いかにも「へたくそだから」という印象を与えかねないので、どうしたらいいのかいつも迷う。
ステージ ステージの意味が分からないと言われた。 病気の進んだ段階と言い直した。
ステロイド治療   なるべく平易な言葉で、わかりやすく説明すること。副作用を強調せず、有効性をなるべく最初に説明し、患者をリラックスさせたうえで、副作用を説明する。そうでないと、患者は身構えて、治療に積極的にならない、副作用防止に協力的にならないため。
ステロイド薬   ステロイド薬に対しては拒否反応を示すヒトが時にいる。時間をかけて説明。
ナースステーション 若い人なら多分分かると思うが、老人には理解できないことがある。外来看護師が、詳しいことはナースステーションでお聞きくださいといって説明しても、意味が理解できない年寄りがいた。 昔ながらに、看護婦詰め所というようにしている。
ネフローゼ ネフローゼという言葉は、専門用語で分からないので、理解出来ないようでした。 紙に「1)タンパク尿」「2)浮腫」「3)低アルブミン血症」を書いて、説明しています。

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ネフローゼ症候群 バイパス手術 ビタミン剤 ピロリ菌 フォロー プラス ヘモグロビン ホルモン治療 マーキング メタボリックシンドローム

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
ネフローゼ症候群 足のむくみで紹介受診された患者の検査データから上記診断名を告げたところ、患者の家族からそれはなにかと訊かれた。 血液中の大事な成分であるたんぱく質が尿中に大量にもれ出てしまい、むくみや胸水をきたす病気だと説明するようにしている。
バイパス手術 心臓の手術で冠動脈バイパス術の説明でバイパスの意味がなかなか理解してもらえなかった。 通りにくい部分を他のところから血液が流れるように道を形成するのだと説明している。特に絵を描いて説明するようにしている。
ビタミン剤 「最近疲れやすいのでビタミン剤でも注射して欲しい」と患者に言われたことがある。 リポビタンDのような栄養ドリンクはビタミンの補給により「体力を増す」効果があると思っている人がいるようで、そのような人たちは、ビタミン剤の入った点滴を受けると、元気になると思い込んでいる。ビタミン剤の意味について説明している。
ピロリ菌 「健康診断の結果、ピロリ菌がいるといわれて、そのために具合が悪いので除菌してほしい」と言われることが多い。 一般的に健康に対する意識が高まってきて、いろいろな医療用語が一人歩きしていることが多い。ピロリ菌に関しては、潰瘍の既往があるなど除菌の保険適応はきまっているため、パンフレットなどを参考に、高齢者のほとんどにはピロリ菌がいることを説明し納得してもらっている。
フォロー   設問の趣旨と違うかもしれませんが、自分のなかでは日本語ではあまりないように思います。「フォロー」は「経過観察」、「コントロール」は「調整や調節」など、とにかく日本語での説明に心がけています。
プラス 尿潜血が1プラスと言ったらプラスとは何か聞き返された。 血液が(1とか2とか)出ていますと説明する。
ヘモグロビン 入院歴の長い患者であったため、「今日のヘモグロビンの値は・・」と話しはじめたら、「ヘモグロビンて何?」と聞き返された。 貧血、という言葉は身近であるが、ヘモグロビンの数値が・・といっても分かりにくい。普段は、貧血の程度を表すヘモグロビンという数字、という言い方をしている。
ホルモン治療 食べ物のホルモンの印象が強いらしく、イメージがわかないとの指摘あり。 特になし。
マーキング 手術前に切除部の確認のために行なう内視鏡でのマーキングの説明をした際に,理解されなかったため,具体的に内視鏡をいれ,金属製のクリップを腫瘍の周囲に固定して手術の際の助けにすると説明した. 書類にはマーキングと書くが,その横にしるしをつけることと添付し,上記のような説明を加えている.
メタボリックシンドローム メタボが未だ確とした定義がない。個人差や年齢差を考慮していない。 私自身の過去と現在を勘案して、個人に合った判定をしている。

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もうすこし モルヒネ使用 モルヒネ製剤 ラジオ波 リンゲル(点滴) レシピエント レセプター 悪性度 安静 異常所見

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
もうすこし リハビリをもう少し続けましょうといった。 もう少しとはあと何日くらいを指すのか、自分だけ分かっていても患者や看護サイドでの受け取り方が必ずしも一致しない。抽象的なことばは避けたほうがいい。
モルヒネ使用   モルヒネやモルヒネ製剤の使用もモルヒネといっただけで拒否反応を起こす家族が多いため、一番いい痛み止めと説明するようにしている。
モルヒネ製剤 モルヒネ製剤を使って痛みをとりますと説明したところ、わかりにくかったようだ。 麻薬というとわかりやすいようであった。
ラジオ波 ラジオ波治療は根治だと思っている。 困難例もあることを説明する。
リンゲル(点滴) 点滴(ST3,リンゲル液など)をすれば、かぜなどがすぐ治ると思っている人がまだいる。 ポカリスエットなどを点滴用にしただけのものである、と説明している。
レシピエント 生体肝移植の説明を求められて、臓器摘出の説明を行なったが、用語が理解されなかった。 実際に絵に書いて説明した。
レセプター   場合によっては、「ニコチン依存症」「神経伝達物質」「レセプター」をそれぞれ図示したスライドなどを利用する。なかなか言葉だけではイメージしにくいが、タバコの依存性を理解してもらうには、とても重要な概念なので工夫している。
悪性度 大腸癌、乳癌、胃癌その他、癌は全て同じと思っている一般人は時々見かけるが、同じ乳癌の中でも悪性度の高低がある事となるとまず一般人は知らない。そのため、乳癌等悪性度の違いによって術後治療が異なる場合などは最初から説明するとなると外来がストップしてしまう。 自分の担当患者には入院中から悪性度についての説明をあらかじめ行うようにしている。『悪性度』と言う言葉は使用せず、『たちのいい癌、わるい癌』と説明している。これで聞き返されるような事は皆無である。
安静   「安静」と患者に指示したが、程度が理解されず、普通に日常生活をされてしまった。具体的に日常ではここまでと指示するようにした。
異常所見 「診察、血液検査、レントゲン写真で異常所見はありません。」と説明したところ、所見とはどういうことかと聞き返された。 できるだけ専門用語は避けて、平易な説明をするようにした。「異常所見」とは言わず、「異常な結果やおかしいと思うところはありませんでした。」と言っている。

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胃管 医局 医師 医事課 医療事故 一過性 一般的 咽頭炎 延命 横隔膜

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
胃管   胃の中に細い管を入れて胃液や腸液を外に出す。
医局 患者から普段はどこにいるのかと聞かれたときに、医局といっても、理解出来ていないようであった。 医者の控え室を医局というと説明している。
医師   話し言葉では伝わりにくく、固い感じがするので、医療関係者を除いては<医者>を使用。
医事課 医事課は病院独自の組織であり、事務手続きを医事課でするようにと説明しても伝わらない。 入院事務所とか外来事務所といって説明している。
医療事故 医療事故,医療ミスなどの言葉の違いに関して患者だけでなく医療者側も十分理解していない場合もある. 医療者側の医療に対するモチベーションが下がらないことだけを望むこのごろである.
一過性   「一過性」の肝機能障害などと説明するが、分かってくれない人がいる。「一時的ですぐに正常化する」と言うように説明している。
一般的   患者サイドと医療サイドの一般的な見方に温度差があるように思われる。
咽頭炎 咽頭炎ですねの診断では「えっ?」と聞き返される。 上気道の解剖について教える。
延命   「延命治療」とは完治不可能な疾病に対し、生存期間の延長を図る治療を指すが、終末期の延命措置と混同され真意が伝わらない。
横隔膜 喘息の患者さんでX-Pの説明で横隔膜の意味を聞き返された。 自分ではだれもが知っているつもりの言葉が伝わらないこともあり注意している。

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下剤 仮死 過活動膀胱 過形成ポリープ 過敏性肺炎 回復が難しい 壊死 外痔核 隔離 完全

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
下剤 胃透視後に下剤を飲むよう処方したが本人の判断で服用せず、同日夕方バリウムによるイレウス状態となって入院した。 バリウムから正常便への移行便が出るまでは必ず服用するよう注意しなければならない。
仮死   「仮死」は使わないようにしている。
過活動膀胱 頻尿・尿失禁症候群として一連の話をしたがもともと学会でも難しい基準であると考えられ流布にはまだまだ時間がかかると思われた。 前立腺肥大症という言葉も一般的になるまでにはかなりな時間を要した。過活動膀胱もこれから理解されていくだろう。ガイドランを用いて丁寧にお話ししていくことが肝要だろう。
過形成ポリープ 大腸ポリープの説明で、過形成ポリープだからがん化しないので切除しなくていいと説明したところ、なぜと聞かれた。 正面からがん化しないのはなぜと聞かれると、答えが難しいのですが、組織学的にみて細胞の腫瘍性変化がないので、切除の必要がないと説明したが、例外として右半結腸の大きいものは切除すると説明した。いまひとつクリアカットでなく、詳しい話をしすぎると理解が難しくなるかもしれない。
過敏性肺炎 過敏性肺炎の病状説明をするときに肺のアレルギーという説明をしたが,特発性間質性肺炎との異同を理解していただけなかった.薬剤性肺炎などの類と理解されたようだ. 吸入抗原によるアレルギー反応について図を描いて説明することとしている.
回復が難しい 有り体に言えば「もう助からない。」といいたい所を、「回復が難しい。」などと表現するが、患者の家族はまだ望みを持ってしまうケースが何度かあった。 状況を選びながらですが、「少々ショッキングかもしれませんが、もう助からないものと思ってください!」など、はっきりいうようにしている。
壊死 患者の状態が悪く、循環不全から下肢の末端の部分的な壊死が認められたため、説明を行った。 腐るという言葉は使いにくいので壊死を使うが、結局理解されないので腐るを使わざるを得ないことが多い。
外痔核 痔ができていると来院してきた患者に対して、外痔核の遺残であり,治療が必要な内痔核ではないと説明した。 シェーマで説明して、パンフレットを渡している。
隔離 ウィルス性胃腸炎で入院中の児の家族に、「人にうつりやすいので隔離させてください。」と説明したところ、「うちの子がよっぽど汚いと思っているのか」と聞き返された。 現在は「人にうつりやすいし、何よりも弱っているあなたのお子さんが他の病気にならないように、隔離させてください。」と言い方を変えている。
完全 完全なことはないと言う意味が理解してもらえなかった。 100%はない。

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完全除去 感受性 感冒薬 緩和 肝移植 肝機能 肝機能異常 癌性腹膜炎 癌末期 癌末期状態

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
完全除去 卵アレルギーで、卵の完全除去を指示していたが、「卵を原料で使っているソーセージはいいと思って食べていた」と母親が言った。 完全除去というのは、卵そのものだけでなく、卵を原材料として使ってある加工品も含むからね、と言っています。
感受性 髄膜炎の起因菌に感受性が高い薬物へ変更すると説明した時に、理解してもらえなかった。 感受性ではなく、より効きやすいか、効果があると言えば理解してもらえただろう。
感冒薬 風邪を引きそうなので風邪の薬をはやめに飲みたいので下さいといわれる。(かなり多くの人に言われる) 急性上気道炎は多くの場合ウイルス性であり、抗生剤は効果がないことを説明する。また、感冒薬はあくまでも症状改善の薬であり、早めに飲んだからといって効くものではないことも説明している。しかし、テレビの影響や先入観からどうしても処方を希望する人も多く、そのような場合には短期間分を処方するようにしている。
緩和   症状を軽くすること。素人には使えない。
肝移植 大腸癌が見つかりましたが、肝臓に多発性転移があり、すべてを手術でとりきることは不可能です。と説明したところ、新聞に載っていたように肝移植をして取り除けないかと質問された。多発転移がある場合は、目に見えない転移がほかにもある可能性が高く、移植して免疫抑制をかけると、残りの腫瘍が急激に増大する可能性が高いことを説明したが、理解しにくかった模様。 単純に、移植のクライテリアをはずれ、無効であることがわかっていると、説明したほうがわかりやすかったかもしれない。
肝機能 肝硬変の疑いがある患者が「近医では肝臓の値はよいといわれている」ということがある。おそらく、AST、ALT値が正常もしくは正常に近いものと思われる。 AST、ALTが正常でも、いままでの積み重ねで肝機能が悪くなっている状態もあり、肝硬変だからといってASTやALTが異常値を示さない場合があると説明している。
肝機能異常 食物アレルギー児で,「採血の結果,軽度の肝機能異常が見つかった」といったところ,「肝機能異常ということは,肝臓が働いていなくて黄疸が出るのですか?」と聞かれた。すぐに肝不全状態を想像したようだ。 「異常」という言葉をなるべく使わず,「肝臓が働き過ぎでちょっと弱っている」というようにしている。他のことでも「異常」というと親は心配すると思うが,「正常よりちょっとずれている」程度で話すといいかなと思う。
癌性腹膜炎 普通の腹膜炎と区別しかねている。 腹腔内の状態を細菌性と癌性に分けて、細かく説明する。その治療法の違いも詳しく理解してもらう。
癌末期   癌があるということと、末期癌との違い。
癌末期状態   一部の患者および家族は病気が全て治るものと考えている。そういった非常に基本的な説明をしてから上記の言葉を使用するようにしている。

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基準値 基礎体重ダウン 既往症 既往歴 機能 機能性(卵巣)嚢胞 機能性胃炎 機能的 機能亢進 気管支拡張剤

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
基準値 正常値ではなく基準値とお話ししても理解が得られなかった。 健常だと思われる人を100人検査してみて95人が含まれる範囲が基準範囲と説明した。
基礎体重ダウン 血液透析業務に従事している。うっ血のある透析患者には基礎体重を落とすべく除水していきたいことを説明したが、「そんなに痩せると栄養失調になる」と返答あり。 基礎体重のダウンは「体の過剰な水分を抜くことであり、栄養を抜くことでないこと、あなたの体重の増加は余分な水分のためである」と説明している。
既往症 既往歴という言葉そのものではないが、いつもこれまでに手術や大きな病気はしたことないですか?とか今飲んでいる薬はありますか?という聞き方をしているが、時々「虫垂炎」はそのような病気に入らないと思っているか、軽い病気というイメージがあるのか、虫垂炎手術の既往歴が漏れていることがあり、先日は他科の術前の患者で当科に関連していないかとのコンサルトを受け、当科では問題ないが後で虫垂炎の既往が問題となった。既往歴として聴取できていなかった。 既往歴聴取の際に、盲腸の手術もしていないですか?と聞くことにしている。
既往歴 既往歴という言葉そのものではないが、いつもこれまでに手術や大きな病気はしたことないですか?とか今飲んでいる薬はありますか?という聞き方をしているが、時々「虫垂炎」はそのような病気に入らないと思っているか、軽い病気というイメージがあるのか、虫垂炎手術の既往歴が漏れていることがあり、先日は他科の術前の患者で当科に関連していないかとのコンサルトを受け、当科では問題ないが後で虫垂炎の既往が問題となった。既往歴として聴取できていなかった。 既往歴聴取の際に、盲腸の手術もしていないですか?と聞くことにしている。
機能   肝機能が悪いとか腎機能が悪いというとふんふんときいておられるが、肝臓が大分弱っていますというとああ、お酒はだめですねと理解してもらいやすい。
機能性(卵巣)嚢胞 検診の際卵巣腫大を指摘された患者さんに、なかなか理解してもらえなかった。 <月経周期に伴って卵巣が腫れることがあります>とお話しするようにしている。
機能性胃炎 目に見える病変がないのになぜ痛むのか?言葉の定義を説明しても理解できないお年寄りがいた。 まさに病態(定義)を繰り返し解説するしかない。
機能的   「機能的」という言葉は、患者やその家族に対しては、使わないようにしている。以前「あなたの病気は機能的なものですよ」と言ったが、患者は、全く理解できない様子であった。患者によっては、意味が伝わらない言葉だということに気づいた。それ以来、「立派な内蔵だが上手に使えていない」「宝の持ち腐れ」などと言うようにしている。
機能亢進 「こうしん」ってなんですか?行進? 機能が活発にはたらくことを意味すると説明するようにしている。
気管支拡張剤 ぜんそくで入院する患者さんに気管支拡張剤を使おうとし、説明しようとしたが分かっていなかった。 空気の通り道を広げると言った砕けた話し方が必要。

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気管切開 気管挿管 起立性調節障害 偽陽性 疑陽性 休日診 吸入ステロイド 吸入ステロイド薬 急性胃腸炎 救急蘇生

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
気管切開 声門下狭窄・抜管困難の3kgの子どもの母親に対して、次回の抜管が無理だった際の気管切開の必要性を説明しました。子どもに傷をつけるので、両親の心理的抵抗が(当然ですが)強そうです。やはり、母親の表情が硬い。治療行為そのものは何となくわかるようですが・・・。  気管切開を受けることが子どもにとってどんなメリットがあるのか、デメリットがあるのかを説明しますが、なるべくできるようになること(経口摂取や抑制の解除、そして退院)を強調して説明しました。 さらに、一緒に悩んでいる様に話し、親の不安を聞き出すような話し方にしました。何度も繰り返し説明する必要があると思いますし、他の小児科・新生児科医もそうしていると思います。
気管挿管 意味が分からない。 絵を描いたり、写真を用いて説明した。理由は少しでも理解を深めてもらうため。
起立性調節障害   起立性調節障害による症状が、俗に「貧血」と言われていることが多く、血液学的な「貧血」つまりヘモグロビン低値と、神経学的な「起立性調節障害」が全く異なる事だという事を説明しないと、混同されてしまう事がある。
偽陽性 検査の結果について偽陽性という可能性を説明したが理解してなさそうであった。 とくになし。
疑陽性 疑陽性というのは結局どういうことかと聞き返された。 陽性でもなく、陰性でもない。経過観察が必要な状態と説明した。
休日診 休日の診療所であり、投薬は1日分であることを説明すると、明日は仕事で病院にはいけないので数日分出すようにごねられた。 休日は明日まで待てない方が受診しているので、症状の変化が予想以上に大きくなることがあることを、説明してなんとか納得していただいている。
吸入ステロイド 気管支喘息の症例に対して吸入ステロイド薬を導入したところ,ステロイド薬と効いただけで副作用を恐れて受け入れてもらえなかった. 吸入ステロイドが内服と比較して全身性の副作用を軽減するためのものと説明した.内服のステロイド剤とは根本的に目的などが異なることをまず説明して使用することにしている.
吸入ステロイド薬 薬の使用を拒否された。 ステロイド薬に対して副作用のことばかりが気になるようであった。治療効果がある薬であること、吸入薬は全身的な副作用が少ないことを話すようにしている。
急性胃腸炎 急性胃腸炎ですね、と伝えるとそれは嘔吐下痢症とはちがうのですか、と言われる。 急性胃腸炎と嘔吐下痢症はほとんど同じものだと思ってもらってかまいません。急性胃腸炎は腸の炎症、腸の風邪のようなもので、その症状として嘔吐と下痢を認めます。
救急蘇生   できるだけわかりやすい言葉に変えてお話ししています。時には図式化して説明もします。しかし、高齢で治療、検査の危険のほうが高いとき、さらにできる限りのことを希望される家族に対しての説明には苦慮します。

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巨大結腸症 虚血性心疾患 境界悪性 境界型 狭窄 胸水 胸腺腫 胸部症状 鏡視下手術 局所再発

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
巨大結腸症 潰瘍性大腸炎の合併症の説明でこの言葉を使用したが、理解されなかった。 図に書く。
虚血性心疾患 心電図上で前壁中隔心筋梗塞の疑いが自動読影器の結果が、そのような現症既往なく私の読影でも境界域のため、説明中に虚血性心疾患についてのInformedConsentを全般に行った。 心臓を栄養する血管が動脈硬化などで細くなって心臓の筋肉が酸素不足になって障害を受けること。
境界悪性 卵巣腫瘍で境界悪性の可能性や境界悪性であった場合の説明をそのままの言葉で行うと、悪性と考えてしまうことがあった。 良性でも悪性でもなく、中間と言ってもわかりにくいことがあるので、悪性ではないが、稀に(具体的な数値があればそれを示して)再発することがあるなどと説明している。
境界型 健診で糖尿病を疑われ受診した際に75gOGTTを施行し、境界型であることを伝えたところ、なんのことかわからないような顔をされた。 経口ブドウ糖負荷試験の結果の血糖の示すパターンにより、正常型、糖尿病型と判定されることがあり、境界型はそのどちらにも属さない、いわゆる間の型だと説明するようにしている。
狭窄   血管の狭窄:これは医学用語らしい。→以後、血管の中が詰まってきて狭くなっている、と言う。
胸水 癌の末期の患者で胸水がたまってきたことを話したが、腹水は聞いたことがあるからイメージが付くようだが、胸水はききなれないので理解できなかったようだ。 胸に水がたまります、と話した。しかしそれがかなり状態が悪いことや、穿刺してもまたたまってきてしまうことは理解が難しいようだ。聞きなれなかったり、なじみの無い言葉は難しいと感じた。
胸腺腫 胸腺腫手術の際に、胸腺腫が、良性のような名前であるが、悪性であることを説明したところ、怪訝な顔をされた。 胸腺癌と胸腺腫の違いを説明するときに、胸腺腫は胸腺癌ほど悪性度が高くないが悪性であることを説明し、両者とも悪性であることを理解してもらう。
胸部症状   狭心症発作などでこられた患者さんの問診時、重要かつ急いできかないといけないのだが、胸部症状といってもやはりぴんとこないと思われる。具体的に押さえつけられるかんじ、痛みなどといわないと十分な情報がえられない。
鏡視下手術 鏡視下手術は危険というイメージがあるようで、通常手術をしてほしいといわれたことがある。 当院では、ほとんどの手術を鏡視下でおこなっており退院や社会復帰もはやく行えます、と長所を先に説明する。その後で短所や合併症を説明し、質問に答える。
局所再発 局所再発を告げたが、局所の意味が分からなかった。 図に書く。

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局所麻酔 筋萎縮性側索硬化症 形成外科 経過観察入院 経肝栄養 経腟分娩 劇症肝炎 結核 血栓 血糖

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
局所麻酔 「局所麻酔でとれますよ」といっても「寝てしまうんですか?」ときかれた。 麻酔は全て意識がなくなるものと思われたのか。歯医者さんの麻酔というと、納得されることが多い。
筋萎縮性側索硬化症   「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の疑われる方が来院した場合に、そのままALSの疑いがありますと説明するのではなく、「運動ニューロン疾患」ですと説明している。初対面の状況では、患者さんの精神的な負担がどれくらいあるのかわからないので、あえて難しい言葉で伝えるようにしている。
形成外科 創が汚いので形成外科で診てもらいましょう。というと、どうして創が整形外科なのかときかれることがあった。 形成外科と整形外科の区別がついていないようである。形成とは創をきれいにする外科であると説明している。
経過観察入院   救急外来患者を診察し帰宅させるのは危険と判断した折、経過観察入院とするが、経過観察という意味が軽くとらえられがちでした。最近は命に関わるといけないのですぐに入院して様子を見ましょうと伝えている。
経肝栄養 手術で造設した腸瘻より栄養を開始する際の説明で,理解されてなかったようであったため,点滴ではなく,直接腸に栄養剤を流し込むより生理的に近い方法で栄養を投与すると説明した. 栄養は点滴からと理解している人が多いと思われるため,よりよい方法であることを説明し,その際に上記のような説明も加えるようにしている.
経腟分娩 同僚が「出産は経腟ですか?カイザーですか?」と家族に聞いて「はあ?」と言われていた。怪訝そうな顔をされていたが、なんとか納得して帰って行った。 ふつうのお産か、帝王切開か(お腹を切ったか)と聞くようにしている。「経腟」や「カイザー」といった医学用語はなるべく避けるべきである。
劇症肝炎 顔が黄色いと初診で受診した42歳の女性、採血の結果肝機能の悪化と黄疸があり肝炎の疑いがあることを告げたが、自覚症状がないため病気の深刻さがわからない様子。旦那を呼んで劇症肝炎の話もしたが、ききなれない言葉であり、命の危険があることも話したが伝わらなかった。 癌だけが怖い病気ではない、と言葉に出して話す。どうも病名に「癌」とつかないと、軽い病気という認識がある。
結核 結核の可能性がある30代の患者は、結核が過去の病気であると誤解していた。 若年者でも感染する日常病であることを説明。
血栓   血栓は血の固まり、拘束は説明が大変難しく、心臓の広がりが悪いなどと言い直している。
血糖 血糖と尿糖の区別がつかない。尿糖が陰性だと満足している。 尿糖よりも血糖が大事であると説明している。

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血漿交換療法 健診 検診 検診異常 検討 献血 元に戻る 原因不明 厳しい 厳しい状況

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
血漿交換療法 血管炎症候群で肺胞出血をきたし、血漿交換を行わなければならないこととなった。時間の許す範囲で説明したが、「透析ということですね」という言葉が返ってきた。 実は血漿交換の説明の時、「(血液)透析のように血液をいったん体外に出して(血漿を分離して新しい血漿と交換し)戻す」という説明を行ったが、理解しにくかったかも知れない。できるだけ、図示して説明するようにしている。
健診   健診(検診)という言葉を、健康診断、住民検診という意味でなく、有症状時、あるいは定期的経過観察のときにも患者さん側が使用されて理解の食い違いを生じることあり。一寸アンケートの趣旨とずれてたらごめんですが。
検診   「検診」の必要性および適正診療機関。
検診異常 検診で異常と判定されたが、現在まったく症状がないので心配ないと思い、様子をみていたとのこと。 検診とは無症状のうちから異常なものを拾い出し、大きな病気に進展するのを未然に防いでいる。
検討 見通しが明確にされない事に対する苛立ちを招いた。 具体的に期日を設定して検討結果を報告するようにする。曖昧なままにしない事で一定の区切りと了解が得られるから。
献血 人に血を差し上げるのではなく、自分がもらうと考えている。 意味の誤解を説明した。
元に戻る   神経系の疾患(脳症など)の場合、全身状態が戻っても発達が全く同じように戻るかははっきりしないことが多い。予測できないことなので色々な可能性を説明するが、「結局元に戻るのかどうか」という返事だけを求められるため説明がかみ合わないことが多い。
原因不明 くびのすじが痛いという訴えに対して、エコーなどの検査を行ったが痛みの原因がはっきりしませんとお話しした。 医学、検査というものは万能ではなく、調べてもわからないことがあると言う。
厳しい まず助からないという意味で使用しても、患者さんの家族は「助からないというわけではないのですから」と当然のように言われた。 死亡する、命に関わる、命が危ない、助からない、と状況次第でははっきりと言うようにしている。
厳しい状況   死に至るような重篤な状況下で、危険・厳しい・重症などの言葉を使うが、家人の気持ちを考え「死」という言葉を出さずに説明しようとするために希望を持っている家人には充分に伝わりにくい気がする。

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減感作 個人情報保護法 姑息的 五十肩 誤嚥 交差抗原性 好酸球 好中球 抗ウイルス剤 抗菌薬

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
減感作 アレルギー患者で、少しずつ原因となる抗原を摂取したほうがいいのか質問されて、減感作について説明が必要となった。 アレルギーを起こすものに対して、「慣れ(寛容)」を起こさせると説明している。
個人情報保護法   患者の家族から、本人に告知しないでほしいと言われた際に、個人情報保護法があるので、告知しないわけにはいかないと説明しても、なかなか受け入れていただけない。
姑息的   「姑息的」は使わず、治すことはできないが症状を和らげるためなどと説明。
五十肩 60になれば治ると思っていらした。 年齢と関係ないことをお伝えした。
誤嚥 誤嚥性肺炎の説明をしている際に聞きなおされたため。 具体的に物がどこに入っていくかを説明している。
交差抗原性 ラテックスアレルギー患者にフルーツによるOASが生じた際に説明したが、患者の理解は不十分であった。 実際の頻度や機序などを図を示して説明している。
好酸球 アレルギーの検査をすると、必ず好酸球について説明しないといけない。 白血球の一種で、アレルギーに関わると簡単に説明している。
好中球 化学療法で白血球が低下し、その中で好中球の割合が低いため、白血球を増やす薬が必要ですと答えたとき。 白血球の中でも、菌を食べたり、殺したりする細胞でこれが少なくなると、感染しやすくなりますと、話している。
抗ウイルス剤 ロタウイルス感染による白色便性冬季嘔吐下痢症患者について説明する際に、抗生剤は投与する必要が無い、と説明したが、「ウイルス感染症なら抗ウイルス剤を投与して欲しい」と注文された。インフルエンザウイルスに対するタミフルと同様に、他のウイルスにも抗ウイルス剤があると思われていた。全く同様に、ムンプス患者にも聞かれたことがある。 抗ウイルス剤は極一部のウイルスに対してしかまだ開発されていない事を説明する。
抗菌薬 抗菌薬よりも抗生剤のほうが、医療スタッフの間でも一般的。本来は、より限定した用語を使用すべきだが、医療スタッフが使い続けているのでなかなか浸透しない。抗生剤と保護者がいったのちに、抗菌薬と言い直すことにしているが、故意に波風を立てているような気がしてしまう。 スタッフとのやり取りでも、一貫して抗菌薬という言葉を使用するようにしている。

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抗酸菌症 拘束 高血圧 骨シンチ 骨盤腹膜炎 根治術 根治度A 再建 再手術 再燃

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
抗酸菌症   肺結核は比較的理解されやすいが、非結核性抗酸菌症に関する説明に時間をかける。
拘束   拘束は説明が大変難しく、心臓の広がりが悪いなどと言い直している。
高血圧 高血圧の定義を言って、拡張期140以上といっても、一日の変動が大きいといわれる。 早朝安静時で、トイレの後1時間以内、食事の前、具体的に測定時の時間等を注意した。
骨シンチ 肺癌転移の説明のとき、骨シンチをおこなうと説明したが、シンチグラムの意味がうまく伝わらなかった。 シンチグラムの簡単な原理について説明を加えた。
骨盤腹膜炎   骨盤腹膜炎は、婦人科に関連するおなかのなかの感染、性行為から移りやすい感染などと言い換える。
根治術   根治術がすなわち根治ではないことを必ず言う。
根治度A 直腸癌の手術を行った。進行癌だったが、規約上は根治度Aの手術を行う事が出来た。術後に家族と面談し、その旨を伝えた所、『よかった』と安堵の声が聞かれた。しかし、進行度から考えると術後化学療法の適応であり、また再発高危険群でもある事から、決して安心は出来ないと思う。 根治度、あるいは治癒切除といった言葉は慎重に使わないと再発した場合のトラブルの元になる。自分はこのような言葉は極力使用せず、『手術では見える範囲の癌細胞は取りきりましたが、血液内に入り込んだり、既に全身に小さな転移が潜んでいる可能性があります』と付け加えるようにしている。喜んでいる患者家族に冷や水を浴びせるようで申し訳ないのだが。
再建 手術前の説明の際に,再建について話したところ,再建という言葉が理解できてなかったと感じ,とってしまったところを別の臓器を用いてつなぎ合わせることと説明した. 書類には再建臓器と書き,説明の際には図示をし,さらに上記のような説明を加えるようにしている.
再手術   再手術=失敗ではなく生じた合併症に対する処置。
再燃 慢性蕁麻疹で通院治療中の中学生と母親。今日で内服薬は中止だが、通院は必要であることを説明しているときに、「蕁麻疹はいったんよくなって、薬を中止した後で、「「再燃」」することがあるので、薬を飲まなくなっても通院してくださいね」と言ったが、きょとんとしていて、「はっ?」て聞き返されました。 もう一回、症状が出てくるんだよ、と言い直しました。

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細胞診(クラス分類) 在胎週数 子宮癌検査 子宮癌検診 子宮脱 死 死ぬ 死期 糸球体濾過量 視能訓練士

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
細胞診(クラス分類)   細胞診でクラス4を病期分類のステージ4と勘違いしている患者がおり説明に苦労したことがある。それ以来数字を使うのは病期分類のみにしている。
在胎週数 「生まれた時の週数は何週ですか?」と聞いたが「週数」と言う認識はないようだった。「予定日」は理解されているようだった。 母子手帳にも「何週」で生まれるかは記載される事であり、母親・父親はこどもの在胎週数は把握しておくべきである。
子宮癌検査 子宮癌検診の結果はclass1-5まで分類されているが、class2の患者さんに<1でないけど大丈夫ですか>何回もきかれた。 結果はとくに異常ないですよという言い方にすることがある。患者さんの反応に応じて対応。
子宮癌検診 人間ドックなどの子宮がん検診(婦人科検診)では実際には子宮頚癌のための細胞診しか意味がないが、患者さんは子宮筋腫や卵巣腫瘍など婦人科の病気がわかると思っているため。 人間ドックにおける子宮がん検診とは、子宮頚癌の早期発見しか意味がないため、筋腫や卵巣腫瘍、その他気になる症状があれば産婦人科受診が必要です。
子宮脱 子宮脱って何が出てきているんですか、と質問されることがある。 子宮や膣の壁が下がってくる病気であり、具体的に写真を見せて、骨盤の断面像を見せて説明している。
  患者の死に関して最も重要なのは,それを受け入れる側である患者の家族である.したがって末期患者を抱える家族には死に関しても過去のデータをしめすことによって,死を受け入れる準備(あとどれくらいなのか,どのような最期を迎えるのかなど)をさせるよう努めている.そして臨終の場においても家族が納得するタイミングを常にはかるようにしている.
死ぬ   死ぬという直接的な言葉は使用しないようにしている。
死期   あとどのくらい生きられのかと告知されている末期患者に言われてもはっきりした死期は話さない。
糸球体濾過量   糸球体濾過量に関しては、腎臓でどれだけおしっこの元を濾し出せるかということで、健康な人は100ml/min x 1440 分で、一日ドラム缶一本です、etc.
視能訓練士 コメディカルの話をした時に、眼科には視能訓練士がいると説明しても、一般的には知られていない職種であり、伝わらなかった。 目の検査をする人と説明している。

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治癒率 痔 痔瘻 痔瘻癌 耳漏 自家中毒 自己責任 自然経過 執刀医 主治医

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
治癒率   予後など患者背景や、医療環境により左右されることがあり、全国的な統計などをもとにはなしても、なかなか理解してもらうのは至難の業だ。
「血栓性外痔核ができています」と伝えたら、「え?痔ではないのですね」と聞かれた。「痔の一種ですよ」と伝えたら、「痔ですか...」と落胆していた。 「痔」は肛門疾患の総称であるが、患者の多くは「脱肛」のことを痔と考えているようだ。患者が「痔」という言葉を使ったら、「脱肛」をイメージしているものと考えるようにしている。
痔瘻 痔は内痔核と考えていて、痔瘻は判らない。 絵に書いて説明する。
痔瘻癌 直腸癌と痔瘻癌の区別がつかない。 絵に書いて説明する。
耳漏 中耳炎の患者さんに耳漏はと聞くと意味がわからないといわれた。 わかりやすく耳だれと言えばよい。
自家中毒   「自家中毒」は小児科でよく使うが、何かの中毒と誤解されることが多いので、「血液の中に中毒物質」が出来て症状が出ているのだと説明する。
自己責任   自覚症状が少ないと別に治療しなくてもという気持を抱くことも多いため、放置すれば起きうるリスクが、まるで自分とは全く無関係のように説明を聞いている方が多い。最近は、「高速道路のまん中を歩いているようなものです」と説明している。
自然経過   改善しない、症状が続く、自然経過はいずれも小児科では多いウイルス感染症でよく使う言葉で、特定のウイルス感染症以外では抗ウイルス薬は存在しないことからこれらの言葉を使うことがある。その際は他の言葉を使うのではなく解説するように詳細を述べるようにし、不安による時間外受診が起きないよう注意している。
執刀医   主治医が執刀医であり、すべてを行う医師であるように理解されている。病院では役割分担があり、チーム医療になってきているのを理解されていない。具体的に関わる医療関係者を説明するようにしている。
主治医   主治医が執刀医であり、すべてを行う医師であるように理解されている。病院では役割分担があり、チーム医療になってきているのを理解されていない。具体的に関わる医療関係者を説明するようにしている。

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手術関連死 手術合併症 手術侵襲 腫脹 腫瘍熱 腫瘤 周術期合併症 集学的治療 重症度 重積

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
手術関連死   手術は100%安全ではない。
手術合併症 手術前に話した起こりうる合併症が、実際に起こった場合、クレームがきた。話は聞いていても自分には起こりえないと思っている。 真摯な態度でじっくり接していくしかないと思います。
手術侵襲   侵襲は、身体に対するストレスや影響と説明している。
腫脹 頚部リンパ節腫脹の患者さんが来て、頚部の腫脹はいつからですかといったところ聞き返された。 難しい言葉ではないが、口語体でないとわかりにくいためそのように話すよう心がける必要があり。
腫瘍熱 膵癌の多発肝転移・肺転移・縦隔リンパ節転移で入院となった患者の熱が抗生剤を点滴しても改善がない。他に感染を疑う所見が無いので「これは腫瘍熱と言って、癌のための熱です」と話をしたところどうして熱が出ているのですかと家族より質問があった。 癌は体にとって悪いものなので、それをやっつけて体を守ろうと体が癌と戦うため、熱が出るのです。この熱を抑えるためには癌をやっつけようとする体の働き、つまり免疫反応を抑えるステロイドという薬が有効なのでそれを使ってみましょうと説明している。
腫瘤   「腫瘍」「腫瘤」という言葉は、必ずしも「悪性」を指す言葉ではなく「良性」もあることを説明している。あまり心配をかけないようにするためになるべく英語「tumorテューマー」などを使用している。
周術期合併症   『周術期合併症』も理解が困難なため、『手術に関連したトラブル、あるいは不測の事故』と話している。
集学的治療   いろいろな治療を組み合わせて行う治療のこと。
重症度   なるべく平易な言葉で、わかりやすく説明すること。重症度を1,2,3,4段階に分けて、何段階かわかりやすく説明する。
重積   痙攣重積状態は、痙攣が続いている状態であるが、現状だけ見て、今後どうなるかしか考えていないことが多いので、痙攣が30分以上続くと、酸素が脳にいかないと、後遺症を残すことがあると説明する。

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術後譫妄 術後絶食 術後入院期間 術後補助化学療法 術前検査 循環不全 順調 処置 症状が続く 障害

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
術後譫妄 これはぼけではなく術後せん妄ですと説明すると何のことか理解できないといわれた。 せん妄という言葉を言い換えた。
術後絶食 術後は絶食の必要性を説明していたが、勝手に経口をしていたから。 指示があるまで、絶食を守るように、同意書に記載。
術後入院期間 手術後1週間で退院できますと伝えられていた患者が、術後6日目に退院できるものと考えていた。こちらは手術の翌日から数えて7日目をイメージしていた。 「術後第○病日」というわれわれの発想は、患者には理解されていないことを十分認識し、「手術後1週間で退院できます」というような伝え方ではなく、「○月○日には退院できます」と具体的に伝えるようにしている。
術後補助化学療法 手術後の抗癌剤治療に対して『術後補助化学療法』という言葉があるが、以前この言葉を使用した際、『補助』と言うならあまり積極的に希望はしない旨の申し出を受けた事がある。それ以来、この言葉は使用せず、『手術では取りきれなかった部位に癌の見えない程度の細胞が残っている可能性があり、そのために抗癌剤を使用する事が勧められています』と説明するようにしている。 上記説明を行うようになってからは患者側も十分に理解をするようになったと思う。家族間の会話からもその事がよく伺えるようになった。
術前検査   肺癌の手術が可能な患者にFDG-PETや脳MRIや心電図・呼吸機能検査を行うことの意義を理解できない方が多い→手術には体の機能が問題なく、遠隔転移のない場合にのみ成立すると説明。
循環不全 循環不全にて血圧が上がらず昇圧剤を使用したが、循環不全の意味は理解されないようであった。 今回の場合、血圧が上がらないことを強調して説明したが、全身状態が悪い中での循環不全が多いのでその点には気をつけて説明している。
順調 手術直後の説明に関して、手術は術前の説明通りに無事にすみ、術直後の経過は概ね術前の予想通り、順調であることを説明した際に、患者の家族はややもすると病気自体が治癒したと勘違いし、合併症の可能性は皆無と考える傾向があった。 現状につき再度説明し、理解をさせるようにしている。一般人と医療関係者の理解の仕方にはギャップが大きく、術後の家族はいいようにすべてを考える傾向が特に強いため。
処置 ERCPのムンテラをし承諾書にサインを貰った。大きな検査や処置には本人と家族の同意書と捺印が必要だが、ERCPのような処置内視鏡は、わざわざ家族を呼んで捺印を貰うからか「手術」という捕らえ方をされやすい。家族は「手術は何時からですか」とか「手術は何時間かかるのですか」と聞き返してくる。 処置内視鏡のムンテラでいつも家族から「手術」という言葉がでるので、家族はそういう認識なんだろうなと思うことが多い。検査の延長みたいなものだが、危険が伴うときは捺印を貰っていますというように話して、これは手術とは全然違うものだと理解してもらうようにしている。
症状が続く   改善しない、症状が続く、自然経過はいずれも小児科では多いウイルス感染症でよく使う言葉で、特定のウイルス感染症以外では抗ウイルス薬は存在しないことからこれらの言葉を使うことがある。その際は他の言葉を使うのではなく解説するように詳細を述べるようにし、不安による時間外受診が起きないよう注意している。
障害   出生前診断で何らかの異常が見つけられた場合の対応で、多くの方々は胎児異常で障害が残るのであれば中絶するという発想になる。人の命とは何か、障害とは何か、中絶することで解決する問題か、中絶の法的許容時期などについて、時間をかけて話すようにしている。

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常在菌 色素沈着 食間 食間内服 食物アレルギー 心エコー 心因性 心雑音 心疾患 心臓が動いていない

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
常在菌 膣分泌物培養の結果説明の際、質問された。 <体についている、心配のない細菌ですよ>と説明するようにしている。それでも、再度質問されますが。。。
色素沈着 長期にわたるアトピー性皮膚炎によって誘導される色素沈着や脱色素班が外用ステロイド剤の副作用でないかどうかを患者が心配する。 色素沈着と脱色素班は慢性炎症の結果によって惹起される事を説明する。
食間 食事の最中に飲むと思っていた。 食事と食事の間であることを伝えたとのこと。
食間内服 漢方薬の処方を行った際、食間内服の指示を出したが、守れていなかった。 薬剤師より再度説明を行ってもらった。
食物アレルギー 食物アレルギーを主訴に他院より紹介されて初診した患児の母に、前医にて危険なのであらゆるものを除去する必要があると指導され、両親で落ち込み、とても暗い日々を送っていたといわれた。実際には、軽症で、基本的な注意は必要だが、予後良好と考えられる症例であった。 独善的で不適切な医療診断・治療により不要な心配を患者家族に与えてしまう場合もある。医師は、最新のレベルの医学について勉強を怠らないようにすると共に、乳幼児の母親に対する説明には、育児不安に陥らないよう、細心の注意を払う必要がある。
心エコー 心エコーしますと、いうときょとんとしていた。 心臓の超音波検査で、それで、心臓の動きや形がわかりますという。
心因性   「心因性」という言葉は意外と理解してもらえないので「心が原因」でと説明することにしている。
心雑音   なるべく「病気」、「心臓の音の異常」、「血球が減る」など別の表現を使うようにしている。
心疾患 言葉の意味が不明といわれた。 心、肝などではなく心臓、肝臓と言う。
心臓が動いていない   心臓があまり動いていません:心臓が動いていなければ死んでるじゃないかと猛烈に抗議された→心臓の動きが大変弱っています、と言う。

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心肥大 振戦 浸潤影 真菌 神経ニューロン疾患 神経性頻尿 診断書 腎炎 腎盂腎炎 髄液

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
心肥大 心臓の筋肉が肥大しているようですね、と言ったら、「以前からレントゲンで心肥大」といわれていると答えが返ってきたが、心肥大はレントゲンでは診断できないので、どのように違いを説明するかうまい返答が思いつかなかった。 できるだけ、心肥大という言葉の正確な意味を伝えられるよう、図示しながら説明するようにしている。
振戦 気管支拡張剤β刺激剤を処方するときに、「必ず手足の振戦が出ることがあります。」と注意するが聞き返されることが多い。 振戦という用語は一般的でないので、「手足の指先が震えることがあります。」と説明するようにした。
浸潤影 ぜんそくの患者さんでX-Pの説明で浸潤影が理解されていなかった。 別の言葉でおきかえる。
真菌 免疫低下した患者で、真菌の一つであるカンジダ感染の治療について説明したとき、「抗生物質で治るのか」と聞き返された。 細菌については情報として知っているが、真菌は知らない患者、家族は多い。「カビ」の仲間と説明し多少のイメージは抱いてくれているようである。免疫低下時の真菌感染は重要なので、きちんと知っていただく必要がある。
神経ニューロン疾患 神経ニューロン疾患の疑いと診断したら、よくわからないようだった。神経難病の一つなので、いきなり筋萎縮性側索硬化症と診断すると、ショックだろうと思って、言ったら、よくわからないようだった。 次回の検査予約を取って、少しずつ説明しないと、ショックで本人は話をよく聞いてないことがあるので、家族同席で次回に話すようにした。
神経性頻尿 神経性の言葉に「ノイローゼでしょうか?」と聞かれたため。 膀胱神経症、神経性頻尿、神経因性膀胱、不安神経症、自律神経症などの用語についてはそれぞれに違いを述べないと理解が得にくい。
診断書 患者が「診断書が欲しい」といってきた場合に、実は患者は、生命保険会社の「入院証明書」を希望していることが多い。 こちらにとっては「診断書」は病名や休務の必要性を証明する書類のことをイメージすることが多いが、患者は生命保険会社の「入院証明書」のことも「診断書」と呼んでいるので、確認するようにしている。
腎炎 病名を「腎炎」と説明すると、「熱もないから違うのではないか」とか「人にうつるのか」とか言う返答が多い。肺炎や腸炎の「炎」と一緒になってしまって、感染症じゃないということが理解してもらいにくい。 理解していただけるまで何度でも説明する。
腎盂腎炎 腎盂腎炎であり、入院が必要と説明したところ、透析になる可能性はありませんか?と聞かれた。 腎炎や腎不全と腎盂腎炎は異なる病態であり、稀な例をのぞいて腎盂腎炎で透析が必要になる可能性は極めて低いことを説明している。
髄液 けいれんで入院したときに「髄液の検査をします」と話したが、髄液自体知らなかった。 「脳」や「けいれん」などは一般に知られているが、「髄液」や「髄膜」はあまり知られていない。しかし髄膜炎は頻度も多い疾患であり、もう少し一般に知られていてもよいのではないか?

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成功確率 整形外科 正常妊娠 静脈麻酔 積極的治療 切除 切断術 切迫流産 絶飲 絶飲食

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
成功確率 腸管穿孔による腹膜炎に対して緊急手術を行う事となり、患者、及び家族に説明をした。その際、『手術の成功確率はどれくらいですか』との質問を受けた。家族の心情的には最も聞きたい事であろうが、テレビドラマの見過ぎであると思う。 マスコミは様々な情報を垂れ流す。中には有用な情報もあろうが、自分の専門分野に限って言えば、今までに不快な思いをした経験が圧倒的に多い。これは日本のマスコミに特徴的なものなのだろうか。
整形外科 打撲の診断に対して後日整形外科受診を指示したところ,形成外科(美容外科)と勘違いして聞き返されたことがあった. 整形外科とはいわず,骨や筋肉,外傷に関する外科と説明するようにしている.
正常妊娠 エコーで胎嚢が見えても、胎児心拍が確認されないときはまだ<正常妊娠>とはいえないということをなかなか理解してもらえない。 胎嚢が見えても、流産になることもあるので再検査をしていきましょうと説明している。
静脈麻酔 内視鏡の施行時に鎮静剤などの静脈麻酔をしますか?と聞くと、過去に受けた内視鏡検査時の咽頭麻酔と取り違えたり、ブスコパンの筋肉注射を麻酔と思っていることがある。 咽頭麻酔は全例に施行すること、静脈麻酔を「眠くなる薬」などと言い換えて説明している。
積極的治療 悪性腫瘍の患者に病状説明しているとき,積極的治療についてなかなか理解してもらえなかった.化学療法や放射線療法などを指すが,患者さんにとってはこちらが「真剣」に治療するような意味合いに取られてしまったようだ. 根治療法と対症療法の言葉を使うようにした.
切除 OPの説明の時、必要以上に深刻に受け取られた。 丁寧な説明を心がけるようにしている。
切断術 前方切除と切断術の違いにについて説明困難。 具体例を示して、そのうえ合併症とQOLを示す。
切迫流産   切迫という言葉の意味がわかりにくいため、現在流産または早産になる可能性があり得る状態であると説明を加えています。
絶飲 「水も飲めません」と説明したが・・・。 手術や検査前に茶やコーヒーを飲まれてしまうことがある。
絶飲食 絶飲食と説明するも飲食をしていたことがあったようで,患者は絶飲食という言葉の意を理解されていなかったようだ. 絶飲食とは表現せず,食事,飲料水を飲むことは禁止ですとわかりやすい言葉で説明するようにしている.

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先天性 川崎病 潜伏期 穿孔 穿刺 線維化 線維筋性疼痛症 腺腫様甲状腺腫 前癌状態 前向きに考える

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
先天性   先天性→胎児期→『自分のおなか中でのこと』と母親が子どもの病気が自分の責任と考えてしまう。遺伝子に関して環境的、社会的な影響も含めて話をし責任のないことと、これから将来に向かって何が出来るのか一緒になって考えようと、父親、出来れば祖父母を交えて話をする様にしている。
川崎病 公害ですかと質問された。 川崎富作先生が世界ではじめて報告したため川崎病という病名になったことを説明するようにしている。以前公害と思われて、自宅の環境が悪いのが原因と考えていた家族がいた。
潜伏期 水痘の潜伏期が2-3週間のため、接触感染直後は感染力がないことを説明したが、潜伏期とは何かと質問された。 潜伏期とは感染が成立して、症状が出現するまでの期間であることは多くのひとが理解していると思っていた。
穿孔 穿孔を先行と間違われた。 穿孔という言葉を使わず穴が開くことと話している。
穿刺 穿刺するという言葉を使ったときにせんしって何ですか?と聞かれた。 針を刺すことと言うようにしている。
線維化 C型肝炎の患者に対して、炎症が沈静化されないと(インターフェロンなどで)線維化を来たすことを述べたかった。 ウイルスが暴れているうちに肝臓がだんだん硬くなる。
線維筋性疼痛症 入院患者の腰痛に関してのムンテラで、鑑別疾患として病名を上げたら、理解されなかった。 診断基準をはっきり明示して説明する。
腺腫様甲状腺腫 甲状腺腫の鑑別診断で良性腫瘍の場合の病名を説明した。 日本語自体がイメージが悪い。単に良性の甲状腺腫で良いのだろう。
前癌状態 早期癌についてムンテラしている時、それは前癌状態かときかれた? できるだけ前癌状態という言葉は、使わないようにして、病理学的な説明をできるだけわかりやすくしている。
前向きに考える 結局は遠回しな否定語でしかないから。 場を凌ぐだけの回答は信頼感を失うだけなので、明確に即答して結論するように努める。

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前方切除 全身麻酔 蘇生後脳症 創 双極性障害 奏効率 掻痒 早期癌転移率 早期離床 早朝血圧

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
前方切除 前方切除と切断術の違いにについて説明困難。 具体例を示して、そのうえ合併症とQOLを示す。
全身麻酔 流産手術をするとき静脈麻酔をするが、患者さんは全身麻酔と静脈麻酔の区別がついていないことが多い。 違いを話すようにはしているが、時間が無いときはあえて説明していないことも多い。
蘇生後脳症 蘇生後脳症で当院に先日より入院中の69歳男性の母親と息子が見舞いに来た。この時の面談の中で「前の医師には蘇生後脳症で回復は無理でしょうと言われたのですが、蘇生後脳症って、どんな状態ですか?」と質問された。 心臓の動きと呼吸が停止したため蘇生処置が施され息を吹き返したが、その間脳に十分な酸素と血液が行き渡らなかったため、脳細胞が死んでしまった。蘇生に成功するまでの時間が短ければ症状が殆どでないこともあるが、本人さんの場合は蘇生に時間がかかったため、脳細胞が広範囲に渡り死んでしまっています。このため考えたり・話したり・動いたりする能力が奪われてしまいました。死んでしまった脳細胞が息を吹き返すことはないので、残念ですが今より状態が改善することは非常に難しいと思います。と説明した。
創に感染することがあります。「創というのは何ですか?」と、聞き返された。 創とは、手術の皮膚の傷。
双極性障害 双極性障害の疑いがありますね、と言ったら、本人はよくわからないようだった。 「DSM:Ⅳでは双極性障害、いわゆる躁鬱病の疑いです」と言って、DSM Ⅳの本のページを見せるようにしている。
奏効率 がんに対する化学療法の奏効率30%と説明したところ、治る可能性が30%あると思われた。 ある程度がんが小さくなる割合を説明するようにしている。
掻痒 アトピー患者さんで掻痒感は?と聞いたら聞き返された。 かゆみとおきかえたら理解してもらえたためわかりやすい言葉に置き換えるようにしている。
早期癌転移率   早期癌は100%助かると思っておられる人が多いので、文献などを準備して家族に説明する。
早期離床 手術説明時に術後早期離床の必要性を話したが、意味を理解できていなかった。 手術のあと、出来るだけ早く動くようにと説明している。
早朝血圧 早朝血圧の測定を説明したところ、朝ごはんを食べた後で血圧を測ると勘違いされた。 お布団の中で、朝起きたらどこへも行かずまず血圧を測ってください。早朝血圧がコントロールされると高血圧による脳血管障害や心臓発作を減らすことが出来るのです、と一生懸命話します。何度でも。

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相対的手術適応 総胆管結石 造影剤 造血能 即時反応 損傷 多動症 対症的 耐性菌 胎児ジストレス

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
相対的手術適応   患者・家族はデジタル二元論的に「手術が必要=しなくてはいけない」「不要=しなくてもよい」という両極端の説明しか理解できないようで、相対的適応について「今すぐする必要があるとはいえないが、しなくても絶対大丈夫と保証するものではない」などとわけのわからん説明になる。
総胆管結石 胃癌で手術をし、以後外来通院している80代の男性はいつも奥さんと一緒に来院する。胃癌のオペ前にも胆石総胆管結石があり同時にオペしたが、総胆管結石が再発し黄疸になったので病状を説明したが、胆石は比較的理解してもらえるが、総胆管結石はききなれないため理解が悪い。 胆道の結石は胆石だけではないことをよく説明するようにしている。総胆管結石は再発することもあるためきちんと理解されていないと、何年か経って他の病院にいったときに、あそこでは何も言われなかったといわれたらいやなので。
造影剤 入院中の患者で造影剤をもちいたCT検査を行う際の説明で,造影剤といったところ,理解されていないと思われたため,よりよく情報を得るために点滴で薬を投与しながら撮影をすることを説明した. 造影剤は知らない方も多いため,病院で作成してある説明書を示しながら上記のような説明をするようにしている.
造血能 「造血能の回復」と説明したが、その後の質問で「貧血は治りますか」ときかれたため。 血をつくる力、と説明している。
即時反応 食物抗原負荷試験施行中,「食物アレルゲンで即時反応が出る心配があるので入院していただいたのですよ」と言ったら,きょとんとしていた。 その後はもう少し,説明を加えてみた。「即時反応と言って,食べてから数分で体が反応して,蕁麻疹や咳がでることがあります」
損傷 「手術で血管を損傷したため、切除した」というような説明をしたところ、あとから「医療ミスではないか」と指摘された。 細かい手術手技や、意図した操作ができなかったが結果には大きな影響のない細かい技術的な問題については、患者にいちいち説明しないようにしている。特に「損傷」という言葉は使わないようにしている。
多動症 多動症の疑いもあると言ったら、そんな事はないといわれた。 ADHDは、注意欠陥多動性障害なので、多動でなくても、不注意型もあるという風に、診断基準をみせている。
対症的   対症的も使わず、病気を根本から治すことではなく症状を和らげるためなどと説明。
耐性菌 中耳炎の患者の耳漏からMRSAが検出されたが、説明しても理解してもらえず、無意味に怖がられた。 薬の利きにくい菌と説明している。
胎児ジストレス 分娩中の胎児ジストレスで緊急帝王切開になったとき、説明書の診断の欄にそう書いたら、不思議そうな顔をされた。 患者さんには、以前に使用していた<胎児(切迫)仮死>のほうが理解しやすいようなので、<胎児(切迫)仮死>と似たような状態で、胎児が苦しいことですとお話ししている。

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胎児異常 退院日 脱色素班 中耳炎 中枢神経 中絶 朝 腸瘻 鎮痛薬 転医

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
胎児異常   出生前診断で何らかの異常が見つけられた場合の対応で、多くの方々は胎児異常で障害が残るのであれば中絶するという発想になる。人の命とは何か、障害とは何か、中絶することで解決する問題か、中絶の法的許容時期などについて、時間をかけて話すようにしている。
退院日 医学的に問題なく退院可能な状態なのに家族が拒否するため、ベッドがふさがれてしまう。 家での看護を煙たがられている場合、なかなか引き取ってくれない。ケースワーカーに介入してもらいやっとこぎつけたが、しこりが残った気がする。
脱色素斑 長期にわたるアトピー性皮膚炎によって誘導される色素沈着や脱色素斑が外用ステロイド剤の副作用でないかどうかを患者が心配する。 色素沈着と脱色素斑は慢性炎症の結果によって惹起される事を説明する。
中耳炎 診断名を告げても「なんですか?それ」と聞かれる。 耳の解剖について教える。
中枢神経 薬の副作用を説明するために「中枢神経症状」といったが、理解困難なことが予想されたため、「脳の神経」と言い直した。 「中枢神経」という言葉は分かりやすく説明するには難しい言葉だと感じている。副作用を説明するときには、「脳や脊髄など大事なところ」と、重要性を強調するようにしている。
中絶   出生前診断で何らかの異常が見つけられた場合の対応で、多くの方々は胎児異常で障害が残るのであれば中絶するという発想になる。人の命とは何か、障害とは何か、中絶することで解決する問題か、中絶の法的許容時期などについて、時間をかけて話すようにしている。
明日の朝にまた診ますね。と言ったところ、自分としては8時、9時頃と考えていたが、患者さんは7時頃のつもりでいたようで、クレームをつけられた。 はっきりと時間を告げたほうが良かったと思いました。
腸瘻 手術前の説明の際に,腸瘻を造設しますと説明したが,理解されてなかったようであったため,栄養を入れるチューブを腸に留置しますと説明した. 書類には腸瘻と書くが,聞きなれない言葉だと思うため,図に示し,上記のような説明を加えるようにしている.
鎮痛薬 「鎮痛薬を処方しましょうか」と話したら怪訝な顔をされたので、「痛み止めです」と説明しなおした。 鎮痛薬、でも通じると考えていたが、以降「痛み止め」と説明している。
転医 患者さんに通院の都合で転医をすすめたが,「転院」と勘違いされた.退院する上で通院先を別にするということがなかなか理解できなかったようだ. 退院して通院先を変更するということを最初からきちんと説明するようにしている.

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転院 点滴が抜ける 電解質 糖毒性 糖尿病大血管障害 透析導入 頭皮マッサージ 特異IgE抗体 突然死 頓服

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
転院 療養型病院への転院が決まった後、追い出されることになったとナースにもらしていた。 当院が急性期病院であり、ベッドに限りがあることをお話ししたが、今後このようなケースは増加していくだろう。
点滴が抜ける 点滴を抜きましょうというと完全に治ったと勘違いされ,今すぐにでも退院出来ると思い込む。 まだ入院は必要ですが,少し良くなったので点滴を抜きましょうと前置きを入れて説明している。
電解質 電解質、といった時の表情から分かっていないかも、と感じた。そのため、ナトリウムとかカリウムなどですが・・と付け加えた。 嘔吐・下痢症の時には「下痢などでナトリウムなどがくるってしまうので・・スポーツ飲料を飲むようにしてください」というと納得される。
糖毒性 糖尿病の成り立ちについての説明の際、糖毒性の説明に難渋した。 分かりやすい言葉で言い換えた。
糖尿病大血管障害 糖尿病教室で糖尿病合併症の話をしたときに、大血管障害といってもなんのことかわからないような顔で聞いている患者が多かった。 動脈硬化症とほとんど同義で、心筋梗塞や脳梗塞などを指すと説明している。
透析導入   「慢性腎不全で透析導入になると、腎移植をしない限りは、一生透析を続けなくてはならないということ」を説明すること。患者さんの多くは、透析をしばらくすると腎機能が良くなると考えていることがある。
頭皮マッサージ 患者様に頭皮に脱毛症の薬を塗りこむようにご説明したら、霧吹きで散布していいですかと聞かれた。 少量ずつ頭皮に直接付けて指の腹でマッサージするようにと実地に見せて理解を促すようになった。
特異IgE抗体 「アレルギー検査で特異IgE抗体が陽性の食品はありませんでした。」と説明したが、良くわからないとのことであった。 「特異IgE抗体」とは言わず、「アレルギー検査で反応を起こしている食品はありませんでした。」と説明するようにしている。
突然死   「急変」とか「急な状態の変化」と言う言葉に置き換えている。
頓服 頭痛の患者に、鎮痛剤を頓服して下さいと指示して処方したが、2~3日後に再処方を求めて来院した。定期的に内服してしまったため薬が足らなくなったとの事であった。 「頓服」というのは症状が強く、我慢できない時だけ内服するという意味で使用したが、一般の人は飲み薬と勘違いしているようであった。以後は必ず、「症状がある時に飲んで下さい。ただし、6時間以上あけて1日3回まで」というように説明している。

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頓用 内照射 内服 軟膏 難病 二次性高血圧 肉芽腫 日和見感染 尿管 熱中症

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
頓用 50代だが理解の悪い女性患者。胃癌が見つかった時点で手がつけられず、骨転移もあった。痛みがでたのでモルヒネを導入したが、頓用の意味が何度説明してもよくわからないようで、次回診察までに頓用のクスリを全部内服してくる。何度説明してもわからないようで、頓用を何回飲んだのかでモルヒネの量を決めたいから痛いときだけ飲んでくださいといっても必ず全部内服してきた。 理解の悪い患者は入院で痛みをコントロールするようにした。
内照射 ヨード内用療法と外照射との違いをなかなか理解してもらえなかった。 飲み薬の放射線療法と説明している。
内服 内服して下さいといわれても患者がいぶかしげな顔をした。 飲んでくださいと説明した。
軟膏 軟膏といったら怪訝な顔をされた。 なし。
難病   「難病」と説明したが、理解されず、具体的に治療の難しい病気と説明した。
二次性高血圧 2次性高血圧を除外する為の検査をしましょうと話したが、意味が通じていないようだった。 2次性高血圧と言葉で言ってもわからないようなので、紙に書いて説明するようにした。漢字で書くと、意味が通じやすいと思う。
肉芽腫 にくげ腫っていうのはがんですかとききかえされた。 なし。
日和見感染 ステロイド治療していると日和見感染が起きるという事が、理解されなかった。 日和見の意味を説明する。
尿管   お小水の管。
熱中症 熱中症イコール熱射病というイメージがありました。死ぬと思ったらしい。 熱疲労、暑くて少し脱水を起こしたと説明しました。

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粘膜 粘稠 嚢胞 脳溢血 脳検査 脳死 脳貧血 肺炎球菌 肺炎球菌ワクチン 肺気腫

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
粘膜 粘膜癌と進行癌の違いを聞かれた。 なし。
粘稠   「侵襲」「粘稠」などの言葉は一般に使用される頻度は少なく、平易な言葉に置き換えて説明するようにしている。
嚢胞   「いわゆる水たまり」とお話ししている。また「たいていの場合実害はない」といっても、主訴と結びつける患者さんも多く、訂正が大変である。
脳溢血 おおよそ、脳溢血は脳出血と勘違いをして、話をしてくることが多い。 脳溢血という言葉は、自分では使わない。脳梗塞あるいは脳出血と。
脳検査 頭痛の原因を求めて、いきなりMRIなどの検査を希望する患者がいる。明らかに脳原発の頭痛でない場合でも、納得してもらえない。 ひたすら説明するのみ。それでもだめなら、許す限り患者の希望通り検査をすることもある。
脳死   脳死と植物人間の区別がつかない。
脳貧血 起立性低血圧の患者さんで、立ちくらみをめまいと表現したり、脳貧血を説明する前に貧血と取り違えたりすることがある。 起立性調節障害という病名より、起立性低血圧という病名を使ったり、脳貧血という言葉は使わず、脳に血液が行きにくいとか説明する。
肺炎球菌 耳漏の細菌培養から肺炎球菌がでた時、結果を説明したときに「熱の原因は肺炎だったんですね」と言われた。 細菌には紛らわしい名前がついていることが多いため、説明の際には誤解されないように注意が必要である。
肺炎球菌ワクチン ワクチンを使用するとすべての肺炎にかかりにくくなると理解されているようだった。 そもそも肺炎の原因菌はさまざまであることを理解させるところからはじめなければならない。
肺気腫   肺気腫:肺が伸びきって呼吸ができなくて十分換気できない状態と説明している。

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肺塞栓症 肺野 発赤 反復性耳下腺炎 皮下注射 肥厚 非定型抗酸菌症 必要時 標準 標準的治療

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
肺塞栓症 肺塞栓症とは何か?と聞き返された。 エコノミークラス症候群のことであると説明している。
肺野 喘息の患者さんでX-P上の肺野の説明をしたところ通じなかった。 肺野を具体的に指し示すよう努力している。
発赤   発赤という言葉をわからない人が時々いるため使わないようにしている.少し赤くなっていると説明している.
反復性耳下腺炎 以前にムンプスを罹患している患者で今回2回目に耳下腺が腫脹したら2回もムンプスに罹ると思っていたらしく反復性耳下腺炎て何ですか?といわれた。 ムンプスは2回はかかりませんといちいち説明している。
皮下注射 インスリンを皮下に注射するということがすんなり理解してもらえなかった。 筋肉注射、皮内注射などの例を出し、それと比較することで理解してもらった。
肥厚 胆石胆嚢炎で手術前の説明時に、胆嚢壁の肥厚が高度であると話した。 正常の胆嚢壁は数㎜と薄く柔らかいが、胆嚢炎により、数倍に厚くなってしまっていると説明。
非定型抗酸菌症 非定型抗酸菌症という診断名を告げた時に、どういうものか判らないと説明を求められた。 抗酸菌とは結核菌の仲間の名前で、非定型とは結核菌ではないという意味であることをまず説明し、土やほこりや水回りに通常すんでいる菌のことであると説明し、普通はこれを吸入しても菌は住み着かないが、気管支拡張などの弱い所に住み着いて、慢性の病気を起こすものであることを説明すると、大抵は判っていただける。
必要時 長年、NSAIDsを内服している患者が入院し絶食となった。絶食期間があったため、すべての服薬を中止していたが、特に痛みを訴えることがないため服薬は"必要時"としたが、今日、いつから服薬開始したらいいのか?と聞き返された。 薬袋に必要時の文字を入れ、必ずしも継続投与の必要性のないことを家人とともに説明した。長年の慣習のため、一度や二度では理解できないと思われるため、視覚的に訴え、身近な人にも理解してもらうほうが近道と思われる。
標準 大腸癌術後、再発症例に対する抗癌剤治療。 標準と最適の違い。
標準的治療 手術的治療を説明する際に標準的治療という言葉を用いたところ理解されてないように感じた. エビデンスや標準的治療など医療者側にとっては容易な言葉でも患者側は理解していない場合もあり,一般的や確立されたなど,よりわかりやすい言葉を用いるようにしている.

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病期分類 病原性 病理結果 不穏 不可能 不確実性 不潔 不正性器出血 不良肉芽 風邪薬

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
病期分類   癌の病期分類は、病気分類と間違える人が多いので、紙に書いて、具体的に説明している。
病原性 MRSAが検出され個室隔離となったが、MRSAが病原性は弱いが院内感染の原因となると説明するも、病原性の強弱の意味が伝わらず、悪い感染症を発症したと思い込んでしまわれた。 病気の起こしやすさなど平易な言葉に言い換えることはできるが、言い換えるたびに正確な意味から遠のいていくように思え、最初はそのままの言葉で言っている。
病理結果 病理とは何ですか。 顕微鏡検査のことです。
不穏 不穏という言葉をなかなか簡単な言葉で言い換えることができず、理解されなかった。 具体例を用い理解してもらった。
不可能 拒絶を意味するように取られて反感を買う結果となった。 「不可能と思われる」という遠回しな表現にして客観的に伝える。角が立たないようにするため。
不確実性   がんは必ずしも根治するわけではなく、医療とは不確実なものであるという点。
不潔 処置をしていて手袋が必要になったが、滅菌されたものは必要ではありませんでした。そこで「手袋をもってきて。不潔なものでかまわないから」といったところ、患者さんがビックリしていた。 「滅菌されたものでなくていいから。」というように心がけている。
不正性器出血   患者側が「不正出血がある」といって来院するときがあるが、ほとんどが起こるべくして起こった出血で、「不正かどうかは調べてみないとわからない。月経が遅れてきているだけなのかもしれないし、ホルモンの作用で起こることもある」と説明する。逆に「不正出血のようですね」と話すと、悪性のものではないかと不安になる患者もいるので、こちらからは不正出血という言葉は使わず、月経に準じた出血とか心配のない出血といった表現にするようにしている。
不良肉芽 縫合糸膿瘍による創感染を生じて、不良肉芽が盛り上がってしまっていた。 肉芽という言葉は印象悪く、説明しにくい。皮膚が再生する基礎となる細胞の塊と話すがわかりにくい。
風邪薬 風邪薬を予防的にほしいという要望が多い。 かぜは基本的に対処療法である旨を繰り返し伝えている。

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副腎インシデンタローマ 副反応 副鼻腔 腹腔ドレーン 腹腔鏡手術 腹腔内癒着 腹部エコー 腹膜浸潤 分割接種 吻合部

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
副腎インシデンタローマ 放置してもいい場合と手術しなければいい場合の違いが理解してもらえなかった。 ホルモン分泌能について治療法が異なることについて繰り返し説明した。
副反応 ワクチンの副反応と言う言葉が悪い意味での「副作用」と受け取られる。 副反応の頻度と対処をきちんと伝える。
副鼻腔 鼻・目の奥が痛く鼻閉があるとのことで受診した14歳女性とその母親。waters法のレントゲン撮影にて急性副鼻腔炎と診断し、病名を告げると「どんな病気ですか?」との質問。 頭の骨に「副鼻腔」という空間があって、その中に鼻水などが溜まって炎症が起きる病気ですと告げた。
腹腔ドレーン 下行結腸癌術後で、腹腔ドレーンを抜去する際に、不安がられた。 手術後に腹腔に溜まってくる液体を排除・確認するために、柔らかい管が挿入されていますと説明している。
腹腔鏡手術 手術の説明の際、なかなかわかってもらえなかった。 <おなかに小さな穴を開けて、カメラをいれて画面を見ながら手術します>と話すようにしていますが、なかなかわかってもらえないことが多いです。
腹腔内癒着 術後の説明で、手術時間が長くなった事を説明する時に、癒着という言葉を使ったが、理解出来ていない様だった。 ぺっちゃりという言葉を使ってヴィジュアル的に説明する様にしている。
腹部エコー 診療中にたまたま行った血液検査で肝機能異常がみつかり、過去に腹部エコー検査をしたかどうか聞いたときに、なんのことかわからないような発言、態度がみられた。 腹部超音波検査と言い換え、おなかにゼリーをぬって、機械をあててみる検査だと説明するようにしている。
腹膜浸潤 S状結腸癌術後に病理結果を説明する際に、SSで、腹膜浸潤がぎりぎり陰性であったことを説明した。腹膜の部位と浸潤のイメージが理解しにくいようだった。 大腸癌は内側の粘膜から発生して、進行していくと、粘膜下層~筋層~腹膜と浸潤が進んでいくことを説明している。
分割接種 インフルエンザの予防接種の時,皮内テストが陽性であったため,「2回に分割して接種します」と言った。私は「今,規定量を分けて15分間隔で注射する」という意味のつもりだったが,「今日と次回来院時との2回に分けて注射する」と思ったと言いましたので。 「分割」という単語を使うのではなく,「予定量の半分ずつを2回に分けて」と言えばよかったと思いました。
吻合部 吻合部といっても理解されない。 吻合部は専門用語なので「手術のつなぎ目」など容易な言葉にいいかえる。

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変性 便秘 保険 保険診療 蜂窩織炎 麻薬性鎮痛薬 麻痺性腸管 毎食後 末期癌 慢性腎不全

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
変性 家族に対する子宮筋腫の術後の説明で、筋腫に著しい変性が認められますとの説明に対し、変性とは何ですか? 変性は、筋腫の場合、急に大きくなったり、血液が行き渡らなくなった時、古くなった時に、筋腫に変化が起きて、硬くなったり、赤くなったり、液状に変化することを言いますと答えた。
便秘 腹痛の患者に浣腸して、改善したため、便秘でしょうというと、便秘でこんなになるわけがない!と怒り出した。 特に小児では著明な腹痛、嘔気でも浣腸のみで改善する場合が多いのだが、便秘のイメージが軽すぎて、便秘でしょうといわれると、馬鹿にされたような気になるのか?とてももめたので、以後、便秘と思っても「胃腸炎の初期の可能性もありますが」と、付け加えるようにしている。
保険 認められている治療という意味で使ったが,補助のおりる治療と思われ,ただになるのかと聞かれた。 保険が通っているということは認知されている治療という意味ですと説明を入れている。
保険診療 IgERAST検査にはお金がかかるからと説明したところ保険診療につき話したが理解してもらえなかった。 医学用語以外にも注意する必要があり。
蜂窩織炎 トゲを刺して、炎症を起こしている状態で、蜂か織炎と説明。 皮下組織に細菌が入り込み、炎症をおこして、腫れている状態と説明。
麻薬性鎮痛薬 麻薬を使うのならもう末期ですね。といわれた。 積極的な疼痛コントロールのために必要であることをお話しした。麻薬という言葉を極力避けたほうがよいのかもしれないが、ナース、薬剤師などさまざまな部署からもれるし、同意も必要なため、しょうがない面もあるのだろう。
麻痺性腸管 麻痺を腸がなかなかうまく動かないことと説明した。 麻痺という言葉を使わないようにした。
毎食後 内服薬の処方を行うとき、一日3回毎食後、と処方するが、朝ごはんを食べないので朝の薬は飲みませんでした、といわれることが多々ある。 降圧剤などは食事と関係が無いので、食べなくても内服するように必ず説明する。また、胃腸炎などの患者で食事が取れない症状がある場合には、1日3回朝昼夜、という指示で処方している。
末期癌 癌の末期だからといって,死に直結するか,理解できない. 癌は患者さんにとって異物であるので,いつ死んでしまうかわからない.
慢性腎不全   「慢性腎不全で透析導入になると、腎移植をしない限りは、一生透析を続けなくてはならないということ」を説明すること。患者さんの多くは、透析をしばらくすると腎機能が良くなると考えていることがある。

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無気肺 無理 免疫不全 免疫不全症 盲腸 夜間不穏 薬剤アレルギー 癒着性イレウス 有意差 予防給付

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
無気肺 入院中の患者さんについて,発熱の原因として考えられた無気肺の説明をした際に,理解されてなかったようであったため,離床がすすまず背中側に痰がつまって肺炎を起こしていると説明した. 肺炎という言葉は必ずわかるため,上記のような説明をするようにしている.
無理 客観的に不可能であることを表明しただけなのに拒絶的な受け取り方をされた。 「無理と思われる」という軟らかい言い回しにして客観的に表現する。角が立たないようにする為。
免疫不全 長期間大量のステロイドを使用していた患者がおり、リンパ球の値が0となったため、家族に免疫不全と説明したが、そのままの言葉では理解が得られなかった。 特になし。
免疫不全症 インフルエンザ予防接種予診票に「近親者に免疫不全症と診断された方がいますか?」の問があるがとても説明しづらい。 体の抵抗力がなく、感染症にかかり易いなどと説明してもなかなか難しく、免疫不全症という言葉を聴いたことがなければ、あーいないんだなーと考えています。
盲腸 虫垂炎の事を盲腸といわないと患者はわからない。 盲腸は臓器の名称で虫垂炎というのが正しい病名ですといちいち患者に説明した。
夜間不穏 認知症の患者が肺炎で入院になった。夜間の不穏があり、大声を出したこと、徘徊したことなどを説明すると、そんなはずはないと言い張った。 病気で入院した際には家ではおこらなかった、不穏症状が起きることを丁寧に説明する必要がある。
薬剤アレルギー アレルギーの既往があるか聞いたところ、薬を飲んで下痢したり、気持ちが悪くなったことなど、薬によると思われる症状すべてをアレルギーだと思っている患者を時々見かけます。 アレルギー症状である可能性もあるかもしれませんが、一般的なアレルギー症状がどういうものか話すようにしています。
癒着性イレウス 術後癒着性イレウスで再手術となったが、患者家族から癒着を剥離してしまえばもう起こらないのですねと言われた。手術をすればまた起こる可能性があると説明したところ、じゃあ手術はしないで欲しいと言われたとのこと。 手術をすれば腸と腸や腸と腹壁が必ず癒着すること、癒着の仕方や程度は個人差があること、癒着してもほとんどは症状は出ないがまれに腸閉塞を起こすことを説明している。癒着性イレウスの可能性はゼロではないことを術前に十分に説明しておくことが大切である。
有意差   明らかなちがいなどのことばに言い換えています。
予防給付   検診目的の健康保険利用はできない、ということがなかなかわかってもらえない。どうしようもなくなってけんかになることもある。

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予防的手術 溶連菌 良くなる 良性 良性腫瘍 リンパ リンパ節 リンパ節転移 喘息死 喘息性気管支炎

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
予防的手術   予防的手術についても同じで、手術しなくてよいとは保証できない、というのと、手術する必要が(絶対にある)というのとの違いを理解できないように思う。
溶連菌 咽頭発赤があり、「溶連菌は保育園で流行していますか?」と聞いたら聞き返された。 溶連菌は医療者には理解できる言葉であるが、一般には「溶連菌」として受け取られない事がある。紙に書いたりして細菌の種類であることをきちんと説明する方がよい。
良くなる   よくなった、と言われ、翌日から託児施設を利用しようと言う親御さんが多くいます。入院治療は必要ないが、退院後しばらくは自宅療養していてほしいことを理解してもらうのは難しく「完璧に治してもらわないと困る」ともよくいわれます。本来自宅でみきれない重症だから入院するのであって、感冒では入院しないことからゆっくりお話ししています。また、入院施設であり、ほかにもたくさんの病原体があるので、違う病気になる危険性もお話ししますが、感染予防のことを突かれると困ります。
良性 胃がんの告知の際になかなかわかってもらえなかった。 図を示している。
良性腫瘍 腫瘍というと悪性の感覚があり、良性の腫瘍の説明に困った。 いぼなど、具体的な例をあげて説明した。
リンパ   「リンパ」と言っても具体的な理解ができないので、白血球や脂肪の流れる道と具体的に説明している。
リンパ節 リンパ節再発について説明。「リンパ管ですか?」と質問された。 癌におけるリンパ節転移・再発は理解しがたいようなので、時間をかけて説明するようにしている。
リンパ節転移 リンパ節転移があるので合併切除しますと説明したが、リンパ節って何ですかと聞かれた。 説明内容としてはリンパ節とは血管周囲にある豆粒のようなものでリンパ管という血管ににた管でつながっていることを図示して説明するようにしている。さらに胃や大腸、甲状腺の手術では癌と一緒に治癒切除できることを説明する。
喘息死 喘息の患児が目の前におり、家族に「喘息死のリスクもあるので気をつけないと」と話をしたら聞き返されてしまった。「喘息」=「死」という認識がないのかもしれない。 軽症であっても喘息で亡くなる事があることを話し、喘息死は過去の遺物ではないと説明をするようにしている。
喘息性気管支炎 喘息性気管支炎と喘息との違いについて理解している人が少ない。 喘息性気管支炎も、喘息と病態としてはそれほど異なるものでなく、むしろ喘息の一種であり、治療・対処も喘息とさほど変わらないと考えるべきと考えるが、それが医療関係者でも認識していない人がおり、患者家族に混乱を生じている。

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嵌頓 鬱病 痙攣重積 痺れ 糜爛 膵液瘻 酩酊 頸部

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
嵌頓 ヘルニアの嵌頓状態で緊急手術が必要であったときのこと。嵌頓して壊死の危険性があるときの説明で苦慮した。 腸の首が絞まって血液が流れない状況であると説明した。
鬱病   最初から精神的とか病的とかいわず、まず起立性低血圧や起立性調節障害などの病名で治療してみて、無効の場合、専門医に紹介するようにしている。
痙攣重積 痙攣が起こっているのに、しばらく様子を見ていた。 痙攣が20分以上続くと、重積と言って、痙攣がとまっていない場合は、後遺症の問題もあるので、できるだけ、痙攣が、続いているようなら、医療機関に行くことを薦める。
痺れ いわゆる「しびれ」は、感覚障害を指すが、運動麻痺と思い込んでいる人が多い。 「しびれ」という言葉は使わずに、その他の脱力あるいはビリビリ感などの単語を使っている。
糜爛 胃カメラにて結果を説明するときにびらんがあるとの説明だったが、びらんの意味がわからないとのことであった。 表面の粘膜が損傷をうけている様子を絵を使って説明した。
膵液瘻 言葉が通じなかったようで、紙に絵を描いて説明した。 すい臓の切除断端から膵液がもれているようですと言い直している。
酩酊 飲酒後入浴していて水没しCPAの患者が搬送された。私は当直ではなかったが蘇生を手伝ったが駄目だった。家族に担当医が話をしているとき、アルコール濃度を採血するが、酩酊状態ではなかったかと思いますと話したが、酩酊という言葉が理解されず、自分自身も脇で聞いていてきちんと理解していないことに気づいた。 泥酔はよく理解されるがそれ以下の飲酒量はなかなか言葉も難しいし理解も難しい。ほろ酔いとか、まっすぐ歩けないなどというようにしたほうがいいと思った。
頸部 頚部リンパ節腫脹の患者さんが来て、頚部の腫脹はいつからですかといったところ聞き返された。 わかりやすい言葉でいうことが大切と痛感した。

*本ページの「病院の言葉」にかかわる調査データを引用する場合は,必ず出典を明示してください

©2008 The National Institute for Japanese Language