「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書

ADHD-譫妄

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ADHD COPD CRP GVHD HbA1c

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
ADHD 家族が他病院で患者がADHDと診断されて喜んだという話を患者から聞いて。 患者からADHDではないかと聞かれたとき以外には、家族が疾患についてある程度の知識を得るまでは積極的に診断名を告知しない。
ADHD 多動症の疑いもあると言ったら、そんな事はないといわれた。 ADHDは、注意欠陥多動性障害なので、多動でなくても、不注意型もあるという風に、診断基準をみせている。
COPD 肺気腫とどうちがうのかと説明がおわってからききかえされた。 そもそも肺気腫についても理解されているわけではないため説明困難であった。
CRP CRPという感染を表す数字が高いので、入院をしたほうがいです、という説明をするが、CRPはアルファベットなので覚えにくく、「これはなんでしたっけ?」とよく聞き返される。 何度も「感染を表します」「ばいきんが多いと高くなります」と繰り返し説明している。ただ、感染症のみで上昇するものではないので、自分としては不満足な説明である。
GVHD 輸血について説明したとき、エイズや肝炎ウイルスとともに感染症のことかとおもわれた。 特になし。
GVHD 輸血の説明をする際にGVHDとはgraft versus host diseaseと略さずにいっても移植片対宿主病と訳しても、意味がわかりにくいので、拒絶反応の説明をまずしてから、その逆のことと説明するようにしている。移植片のリンパ球を某国の工作員に例えたらよく理解してもらえたことがあるが、某国出身の人もいるので、その例えはあまり使わないようにしている。
HbA1c HbA1Cが●●です。危険ですといわれても、数値ではわからないと思った。 体温にたとえている。値に30を足して答える。6.6の人なら、36.6℃の体温の程度「微熱程度ですがあなどれません」。10の人なら「40度です。自宅療養できない状態ですよね。入院が必要です」というように。

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IgE MRSA インスリン インスリン抵抗性 インフルエンザ桿菌

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
IgE アレルギーの検査結果を説明している時に。 アレルギーを起こす体の免疫蛋白質ですと説明し、高いとアレルギーを起こしやすい。
MRSA MRSAで隔離が必要なときに、非常に動揺された。 院内感染というと患者は非常に不安になります。患者ケアについての院内マニュアルの作成が必要と感じた。
MRSA 薬剤耐性菌であることを説明し、治療薬があることも説明したが、すべて薬が効かないと理解されているようだった。 とくになし。
インスリン 一生打たなければいけないのかというように考えられる。 一時的に打つだけかもしれないこと、そのためには食事と運動療法も重要であることを説明。
インスリン 内服加療が限界となった、重度の糖尿病患者に「インスリンをはじめると、もう止めることが出来ない薬なんですよね。だったら使いたくありません」と頑なにインスリン導入を拒否された。 体内から分泌されるホルモンであり、体の正常な代謝を補助してあげる為のものだと説明していますが、なかなか十分理解できる人は少ないようです。
インスリン抵抗性 糖尿病患者にあなたはインスリン抵抗性が強いようだといったときに、なんのことかわからないような態度だった。 インスリン作用の簡単な説明をし、インスリンの末梢細胞での作用が弱いことを指すのだと説明するようにしている。
インスリン抵抗性 肥満、糖尿病の患者に、インスリン抵抗性があるので注意が必要と述べたが、わかっていなかった。 すい臓から血糖を下げるホルモンが出すぎている、というような言い方をしている。
インフルエンザ桿菌 肺炎でインフルエンザ桿菌が原因と説明したが、インフルエンザと混同しているようだった。 聞かれなくても、インフルエンザ桿菌の話をするときには、インフルエンザウイルスとは別のものだと話すようにしている。
インフルエンザ桿菌 今回の肺炎は、インフルエンザ桿菌が咽頭培養からでましたので、おそらく原因菌であります。と説明したら、インフルエンザ脳炎は大丈夫でしょうか?といわれました。菌とウイルスの違いがわからなかったらしい。 菌とウイルスの違いをしっかり説明し、インフルエンザ脳症はならないことを説明した。

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オペ かかりつけ医 クリニカルパス コントロール ジェネリック

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
オペ 日本語で言い直した。 略語は使わない。
オペ 看護師が今からオペ室にご案内しますといったときに、理解出来ていない風情の患者がいる。 オペは医療従事者だけの言葉と思う。患者には手術というようにしている。
かかりつけ医 糖尿病専門外来をしているのに、さまざまな他領域の検査をして欲しい(検診に近い)と言われ、かかりつけ医を作って、そちらで相談するように伝えたところ、何を意味するのかわからないような発言、態度がみられた。 かかりつけ医とはどんな概念か、専門外来などとどう違うのかなどを説明するようにしている。
かかりつけ医 ちかくの診療所へ紹介しようとしたが断られた。 ほかのスタッフから声掛け。
クリニカルパス 胃ロウ造設術ムンテラの最中、CPで説明している時、家族が理解できなかった。 分り易い日本語に直した。
クリニカルパス まず、難しいと思われる言葉でも知っている可能性もあるので、通常の如く使用して、「これはいわゆる・・・」とか、「これは・・・ということですが」と説明を補足するようにしている。
コントロール 糖尿病についてコントロールが必要と、生活指導をきびしく行っていたら「治す薬を出してください。それを飲めばいいでしょう」といわれた。 実のところ困っている。詳しく糖尿病について説明する時間は現在の診療時間では無理である。一度発症すればそれまで、というと、患者は悲嘆する。「でも、コントロールさえすれば正常の人と同じ血管状態を保てます」とFOLLOWUpはしているつもりである。
コントロール 設問の趣旨と違うかもしれませんが、自分のなかでは日本語ではあまりないように思います。「フォロー」は「経過観察」、「コントロール」は「調整や調節」など、とにかく日本語での説明に心がけています。
ジェネリック 自らにかかる医療費を極度に気になさっている患者に、「ジェネリック医薬品にしてみますか」と聞いてみたところ、全く理解されている様子もなく聞いたこともないとのことであった。 「後発品」であり、ある程度薬剤費が安くなると説明したところ、「聞いたことがある」とのことでジェネリックでの処方を希望された。以後、この患者は別の医療機関でもジェネリックを希望されているとのことである。

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シャント ステロイド ぜいぜい セデーション タミフル

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
シャント 「シャント」という言葉自体、まったく初めて聴く単語であり、説明を要する。 写真の載っている本を提示しながら説明する。
シャント 透析を主にしているが、シャントの意味がよくわからないようだ。
ステロイド 喘息の患者に、吸入しても発作がおさまらないため、ステロイド入りの点滴をします、と説明したところ、断られた。 断られる前にステロイドについての説明を簡単にするようにしている。
ステロイド 「副作用」や「ステロイド」は説明上必須の単語であるが、しばしば患者や保護者はこの単語に過剰反応を示すため、その過剰反応が収まるまで、出来る限り誠実に時間をかけて説明している。
ぜいぜい ぜんそく患者さんでぜいぜいは?ときいてもわかってもらえずひゅうひゅうは?で理解できた ぜいぜいは?ときいてもわかってもらえずひゅうひゅうは?でわかってもらえたためひとによりわかりやすいことばに置き換えるようにした。
セデーション セデーション下での内視鏡を「全身麻酔でカメラしてもらいました」と言われるかたが多い。 全身麻酔の既往を聞くときには手術内容をよく聞く必要がある。胃や大腸ポリープ切除などは、セデーション下の内視鏡的切除のことが多い。
セデーション 脳出血で入院してこられ意識のない患者さんの家族に、痙攣が止まらないので弱いセデーションをかけさせていただきたいことを説明すると、はじめのうち頑なに拒否的であった。 よく聞いてみると、「眠らせて、もう積極的には治療しない」と早合点されていたようである。あくまでも痙攣が治まる状況になるまでの処置であり、脳出血の治療は通常通りに行う旨を説明し、納得が得られた。
タミフル 妊婦のインフルエンザ予防投与についてよく質問されるが、適応外と話してもなかなか理解されない。 添付文書を見せながら、説明する。
タミフル インフルエンザ感染に対し、厚生省の発表、新型インフルエンザ対策ガイドラインでは、抗インフルエンザ薬は推奨されていない。児がかわいそうなのでタミフルを出して欲しいといわれた。 1-9歳までの小児にしかタミフルは使えず、承諾書をとる必要があると思う。

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マイコプラズマ 異形成 異常 胃炎 胃腸炎

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
マイコプラズマ 肺炎なのに入院しなくていいのか。 マイコプラズマは合併症が無ければ、内服薬がメインで治る肺炎であると説明。
異形成 子宮頚部の癌検診で異常がでて、精密検査をした結果が、軽度異形成だった。それについて一生懸命正確さにつとめてお話しして、今後再検査をしていこうと話したのだが、「先日友人に『これは大変だからきちんと検査に行きなさい』と言われたからきた」というので、もう検査をやめようと思っていたのか?と聞くと「そうです」と言われた。検診をしている意味がないではないかととてもがっかりした。 今の所癌ではない、でも全く正常の人に比べたら癌に近いところにいる可能性があるので普通だったら1年毎の所を今回は3ヶ月(あるいは1ヶ月)後に検査しましょう。と話すようにしているが、うまく理解できない、あるいはこれだけでパニックになりそうな人もいるので、できるだけきちんと目を見ながら表情から理解を確認しながら話すように心がけている。
異形成 異形成という癌の前段階の病気ですと、話すと、そんなに悪いんですか?癌ではないんですか?直ぐ切らないといけませんか?などの質問を受ける。 異形成にも3段階有り、当院では説明書を渡し、説明書を読みながら再度説明している。
異常 心電図などの軽度の異常所見を不安に感じる患者について。 異常にもさらに精密検査が必要な異常と、放置可能な異常の境界について説明する。
異常 診察して「特に異常ありません」と説明したら、「そんなはずはない、どこかに異常があるはず」と薬を要求される。
胃炎 外来患者から「前から胃炎をわずらっていて胃の調子が悪い」といつも言われる。 だいたいの場合、胃炎は萎縮性胃炎のことをさしている場合が多く、これにより調子が悪くなるこことはないと説明している。
胃炎 胃炎といったところ、「言えん」といわれたと思い込んだ患者さんがいた。以後は慢性胃炎というようにしている。
胃腸炎 胃腸炎です、が理解してもらえない。 おなかの風邪ですと言えば理解できるようだが...。
胃腸炎 胃腸炎と説明しても、風邪ですかと言われる。 風邪と言うと、基本的には咳・鼻を言うのですが、すべて風邪になってしまっている。一応、風邪について説明する。

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胃瘻 遺伝 医療用麻薬 院内感染 黄疸

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
胃瘻 胃ろうについては時にアレルギー的に拒否されることがある。経口摂取と比べて人工的であること、口から食べられないくらいなら生きている意味がない、といった考えによる反応と思われるが、口から食べられないから胃ろうを勧めるのであって、それを拒否するということは治療を施さないということに等しいことがなかなか理解されない。
遺伝 アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患や、熱性痙攣などの疾患の場合、家族に同様の症状の方がいるかという質問をすると、「この病気は遺伝か」とか「相手方の親族が悪いに違いない」とかいう話になってくる。 遺伝という言葉はなるべく使わず、体質という言葉を使用するようにしている。
遺伝 遺伝はがんではどうですか。はっきりと言えないことが、より疑問を呼ぶ。 はっきり証明されてない遺伝は、否定して答える。
医療用麻薬 癌性疼痛の治療にモルヒネ製剤を使用開始することとしたが、モルヒネという言葉が麻薬というマイナスイメージがある。 医療用に効果が高いモルヒネ系統の薬剤を使用しますと説明。
医療用麻薬 痛みに対して医療用麻薬(モルヒネのような薬)を使用しますと説明したが、余命が短くなるのではないか、中毒になるのではないかとの質問があった。 麻薬製剤は決して残された命を短くしないこと、痛みを取ることでかえって充実した生活ができることを必ず説明するようにした。麻薬への偏見をなくするような説明が必要。
院内感染 MRSAで隔離が必要なときに、非常に動揺された。 院内感染というと患者は非常に不安になります。患者ケアについての院内マニュアルの作成が必要と感じた。
院内感染 入院施設でありほかにもたくさんの病原体があるので違う病気になる危険性もお話ししますが、感染予防のことを突かれると困ります。
黄疸 新生児で光線療法をする時に黄疸があるから治療すると説明したら黄疸がわからなかったようだ。 黄疸は皮膚や結膜が黄色くなる状態ですと説明したら、なんとなく理解した様子だった。
黄疸 「黄疸」と言うと理解できない事が多いため、皮膚の色が黄色くなる(生理的に)など、分かりやすく話す。

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改善 漢方薬 看取る 肝機能障害 肝硬変

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
改善 川崎病急性期の治療が効くことをこう表現したら、冠動脈瘤の後遺症などを説明する前に完全に治ると思われてしまった。 後遺症の説明から先に始めるようにしている。
改善 改善しない、症状が続く、自然経過はいずれも小児科では多いウイルス感染症でよく使う言葉で特定のウイルス感染症以外では抗ウイルス薬は存在しないことからこれらの言葉を使うことがある。その際は他の言葉を使うのではなく解説するように詳細を述べるようにし、不安による時間外受診が起きないよう注意している。
漢方薬 漢方処方を考えましょうと申し上げたら「煎じたりするのは・・・」と言われた。 エキス剤については「ツムラ」のおかげで一般的な理解が得られているように思うが、それでも町の煎じ薬屋さんが近くにあると、保険適応から説明する必要があります。
漢方薬 漢方薬は副作用がないから、・・・・・。 漢方薬は副作用がないと思っている患者が多い。漢方薬は通常の薬同様、肝機能障害ほかの副作用があり、定期的にチェックが必要。
看取る 維持透析患者で臨終が近い時に、家族に看取りの治療を行うべきか尋ねた。看取りの意味がわからず、全く放置されると勘違いされ、大変困った経験があった。 看取りの治療で具体的に何を治療として行うかを、なにを施行しないかを、詳しく説明するようにしている。
肝機能障害 肝機能障害と説明すると、小児科の患者さんの親御さんは、この子はお酒は飲んでいないといわれた。 肝機能障害といっても、かぜによるものが多いので、風邪が治ったら良くなることを説明しました。
肝機能障害 「肝機能障害が軽度見られます」と言ったら、多くの人は問題なかったが、一度だけ「肝臓がぼろぼろで、余命いくばくもない」と思われた母親がいた。以後は、「肝臓が働き過ぎで若干疲れています」と言うようにした。
肝硬変 肝硬変合併の食道癌患者さんで、手術リスクが高いため化学放射線療法を薦めたが、肝硬変自体の理解が悪いため、既往疾患である肝硬変の説明も要した。 肝硬変になると後数年しか生きられないと考えている患者さんも居られるため、過去の内科などでの説明や、本人が肝臓の病気に対してどう理解しているかを聞いてから説明するようにしている。
肝硬変 肝硬変と説明していても自覚症状がないため、病状は軽いとかんがえる。 やはり病状はかなりすすんでいることを説明。

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間食 頑張る 危険 虚血 軽減

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
間食 食事療法中、一番悪いことは間食だと言っているのに平気で結果の悪さの原因を"間食"だと言われた。 すい臓の立場になって、過労状態だと働かなければいけないときでも働けなくなるでしょう!間食をやめれば各食事の制限はもっと緩やかになる。と、図示して説明した。
頑張る 頑張らないと受けられない検査ですか?との問いかけがあり、「検査をお受けください。」というように頑張るの本来の意味に改めて気付かされました。
頑張る 頑張って治していきましょう、ということばが漠然としていて抽象的だなと自分で言いながら感じた。 特に、うつ病の人には頑張りましょうという指導はしてはいけないことになっている。
危険 死に至るような重篤な状況下で、危険・厳しい・重症などの言葉を使うが、家人の気持ちを考え「死」という言葉を出さずに説明しようとするために希望を持っている家人には充分に伝わりにくい気がする。
危険 侵襲的手技の説明の際に、こちらの理解と食い違っているようであった。 何度も説明する。具体例を挙げて説明する。
虚血 ムンテラ中に虚血性心疾患といったところ、きょけつってなんですかと聞き返された。 虚血性心疾患といわないようにしている。
軽減 病気について説明している時に使ってしまい、症状が軽くなったと言い直した。 なし。
軽減 症状が良くなると言う。

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健康 抗癌剤治療 抗生剤 根治手術 根治度

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
健康 健康の定義をいかにわかりやすい言葉で説明するか。それが病気を説明する裏返しなので。
抗癌剤治療 家族が、患者に用いている抗がん剤をふせて処方してほしいという。 副作用もあるので告知は絶対必要であると話した。
抗生剤 ロタウイルス感染による白色便性冬季嘔吐下痢症患者について説明する際に、抗生剤は投与する必要が無い、と説明したが、「ウイルス感染症なら抗ウイルス剤を投与して欲しい」と注文された。インフルエンザウイルスに対するタミフルと同様に、他のウイルスにも抗ウイルス剤があると思われていた。全く同様に、ムンプス患者にも聞かれたことがある。 抗ウイルス剤は極一部のウイルスに対してしかまだ開発されていない事を説明する。
抗生剤 風邪には抗生剤が必要と思っている保護者がおり、ウイルスによる風邪と説明して抗生剤を処方しなかったために後から抗生剤がほしいと言われた。ウイルスには抗生剤が効かないということ、ふつうの風邪には抗生剤は必要ない、ということを説明するようにしている。
根治手術 手術の説明の際、根治手術を使用せねばならないのだが、一般の方はほとんどがその意味をご存じないため、簡単な言葉に置き換え説明している。 根治手術可能であった場合、癌が完全に治ったと勘違いされることもあるので、再発の危険性に関しては別途説明している。
根治手術 直腸癌の手術を行った。進行癌だったが、規約上は根治度Aの手術を行う事が出来た。術後に家族と面談し、その旨を伝えた所、『よかった』と安堵の声が聞かれた。しかし、進行度から考えると術後化学療法の適応であり、また再発高危険群でもある事から、決して安心は出来ないと思う。 根治度、あるいは治癒切除といった言葉は慎重に使わないと再発した場合のトラブルの元になる。自分はこのような言葉は極力使用せず、『手術では見える範囲の癌細胞は取りきりましたが、血液内に入り込んだり、既に全身に小さな転移が潜んでいる可能性があります』と付け加えるようにしている。喜んでいる患者家族に冷や水を浴びせるようで申し訳ないのだが。
根治度 生命予後、根治度といった言葉は、使用せず、5年後に生きている確率は・・・%、治る確率は・・・%といった説明をしている。
根治度 予後など患者背景や、医療環境により左右されることがあり、全国的な統計などもとにはなしても、なかなか理解してもらうのは至難の業だ。

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最期 細菌感染 細胞診の結果 治験 自己検診

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
最期 最期の時どうすることを希望するかと想定した質問をしたとき。 いろんな言葉で言い換えてみる。理解できるまでいろいろ話すしかないが、まったくわからない人たちがいる。
最期 最期のときのことを想定して話すとき、その状況を全く理解していない家族がいる。たとえば末期癌で心停止呼吸も停止したとしても心マッサージをすれば息を吹き返して助かると思っている人が結構いる。対応にとても苦慮しているが、何度もいろんな例をあげ丁寧に話すしかないと考えている。
細菌感染 インフルエンザがウイルス感染であり、インフルエンザ菌が細菌感染であることが患者にはわからない様子であった。 インフルエンザ予防接種時に、この注射はインフルエンザウイルスを予防する注射ですと指導するようにしている。
細菌感染 できるだけ噛み砕いて、わかりやすい言葉で言い換えている。少々ニュアンスが異なってもわかりやすい言葉で伝えるようにしている。細菌感染ではなくばい菌が悪さをして熱が出ているなど、あるいは切迫早産でもすぐにでも早産になりそうな場合とそれほど危険性は高くないが、治療しないと早産にいたるかもしれない場合では使う言葉も異なる。また何%何かが起こる危険性があるとか、手術の合併症が何%とかはなかなかわかりづらいので、その後でまず起こらないけれども、絶対ないは言えないなど、追加して説明している。
細胞診の結果 クラス分類:細胞の形が変形しているかどうかを見ます。これだけでは癌かどうか最終的な診断は出来ないので、クラスⅢ以上がでれば精密検査で調べます。
細胞診の結果 細胞診の結果についてⅢaとか、Ⅳと説明した場合、それを癌の進行期と勘違いし、深刻な顔をされることが時々ある。そのため、必ず、書面をもって説明するようにしている。
治験 同僚の妻が婦人科で治験を頼まれたが、意味がわからなかったので、断ったという話を聞いた。 これから自分がその言葉を使う時には、理解してもらえているか確認しながらいこうと思った。
治験 同意書を取得するために説明中に治験とはなにかを説明したが、理解できていない様子であった。 治験とはなにか、順序よく、例をあげながら説明するしかないと思われる。
自己検診 乳癌は、日本では罹患者、死亡者が増えていて、緊急に検診体制を充実させる必要があると思うが、自分でも簡単にできる自己検診を「自分では解らないから」という人が多すぎる。マンモグラフィでも解らない場合、見つけられない場合もあるという事をしっかり理解した上で、自己検診の重要性を解ってもらいたいが、とても難しいと実感している。 乳癌検診をする特に20代から30代の人に自己検診のやり方や重要性を視触診をしながらマシンガンのように話しかけています。まだ大勢を対象とした話をする機会が無いので、個人個人にできるだけ時間を裂いて話すようにしています。
自己検診 「乳癌の自己検診」その大切さが、いつもしっかり伝わらないというもどかしさを感じている。患者さんは、しても解らないんですよね。でおわってしまう。

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自閉症 自律神経失調症 手術 食事療法 神経

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
自閉症 自閉症の疑いの可能性があると診断したら、個性なのだから、病気にして欲しくないという風に言われた。 家族が自閉症と言う障害を理解していないのと、急に言われて家族もショックだったのだと思う。今は、発達障害の一つだとか、こういう長所があるとか、必ずやりようがあるという事をプラス志向で、伝えるようにしている。
自律神経失調症 過敏性腸炎の患者が、自律神経失調症と他院でいわれたが、自律神経失調症ってなんですかと質問された。 私は自律神経失調症などという、あいまいな言葉は使わないようにしている。
自律神経失調症 自律神経失調症かもしれないですね、と言ったら、それはどういうことですか?と聞き返された。 自律神経失調症のパンフをいつも置いている。それを使用して説明している。
手術 ERCPのムンテラをし承諾書にサインを貰った。大きな検査や処置には本人と家族の同意書と捺印が必要だが、ERCPのような処置内視鏡は、わざわざ家族を呼んで捺印を貰うからか「手術」という捕らえ方をされやすい。家族は「手術は何時からですか」とか「手術は何時間かかるのですか」と聞き返してくる。 処置内視鏡のムンテラでいつも家族から「手術」という言葉がでるので、家族はそういう認識なんだろうなと思うことが多い。検査の延長みたいなものだが、危険が伴うときは捺印を貰っていますというように話して、これは手術とは全然違うものだと理解してもらうようにしている。
食事療法 食べるものを制限するということではなく、特別に何かを食べることで治療すると考える患者さんもいる。食事療法が必要というと「じゃあ何を食べればいいですか?」と聞かれることがある。 じっくり説明する。
食事療法 食事療法というと軽く考えられ、守れないことが多い。 生活習慣病の治療では食事、運動療法が薬物療法の前提として重要であることを何度も外来のたびに説明する。
神経 中枢神経・末梢神経について説明する場合「神経」という言葉を用いるが、精神と混同しないように丁寧に説明する。精神的な問題について説明するときは「神経」を使わず、気分・ストレスなどといった言葉を用いる。

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進行癌 進行度 人工呼吸管理 人工呼吸器 生命予後

生命予後 意味が分からない。 時間をかけて説明した。理由は少しでも理解を深めてもらうため。
できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
進行癌 進行癌に関しては、末期がんと混同しないように細心の注意を払って説明している。
進行癌 早期癌は内視鏡治療にて根治しうることもある。進行癌は内科的治療では根治しない。
進行度 癌の進行度を図やわかりやすい言葉にて説明する。理解に乏しい場合は繰り返し説明し、できれば家族も一緒に説明する。
進行度 真実を話すか、それとも少し修飾して話すかが難しい。癌の進行度は考え方、捉え方で大きく異なり注意が必要である。患者や家族に病気の実態を伝えにくい。
人工呼吸管理 詳しい説明を求められた。家族間での理解が異なった。 一般的な例えを使って説明したり、絵を描いたり、写真を用いて説明した。理由は少しでも理解を深めてもらうため。
人工呼吸器 「人工呼吸器をつけていても心臓が止まることがあるのですか?」と聞かれた。 あくまでも呼吸を補助するための機械であることを説明するようにしている。
生命予後 生命予後、根治度といった言葉は、使用せず、5年後に生きている確率は・・・%、治る確率は・・・%といった説明をしている。

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切迫早産 絶食 専門外 腺腫 増悪

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
切迫早産 切迫という言葉の意味がわかりにくいため、現在流産または早産になる可能性があり得る状態であると説明を加えています。
切迫早産 切迫早産でもすぐにでも早産になりそうな場合とそれほど危険性は高くないが、治療しないと早産にいたるかもしれない場合では使う言葉も異なる。
絶食 「絶食が必要です」といったが理解されず「食事はしばらく食べられません」と言い直した。 絶食は一般には使われない言葉という認識で接するべき。
絶食 「しばらくごはんは食べられません」と説明したがパンを食べられることがしばしば。 「食べ物はいっさい口にしないでください」など食べてはいけないことを強調する。術後や検査後に絶食が必要な理由をよく説明するとまもっていただける。守れなさそうな方には、絶食を守らなかったことで起こりえる合併症を強調することが大事。
専門外 救急病院で当直中、子供の母親から子供の診療を依頼されたが、小児科受診を勧めるも治療拒否といって相当憤慨された。専門外だと説明すると、給料をもらっているのだから子供のことくらい勉強しろと怒鳴られた。 具体的に当番病院、受診可能な病院を提示する。
専門外 外傷の患者が来て、専門外なので、外科へ行くように指示したらクレームが来た。 医者は何でもできるわけではないことはわかっていただく必要があり、強気で交渉する。
腺腫 癌なんでしょうかと聞きなおされた。 腺癌との区別を話す。
腺腫 「先日内視鏡で切除した病変は腺腫でした。癌は含まれていませんでした。腺腫というのは、癌ではありませんが将来癌になる可能性のあるできものです。」と説明しました。通常はこの説明でわかってもらえるのですが、今日は何度も「それは具体的にどんなものですか?」と聞き返された。 通常は上記の説明で納得してもらえるのですが、逆に知識のある程度高い患者さんに、具体的にどんなものかと聞かれると適切に答えるのが難しいと気づきました。大腸腺腫でしたので、「正常大腸粘膜の細胞に遺伝子変異が生じて隆起したものです。さらに遺伝子変異が生じると大腸癌になると考えられています。」と答えましたが、なかなか食い下がられました。パンフレットなどと作っておいて読んでもらうのがいいかもしれません。
増悪 増悪(ぞうあく)ということばが一般的でなく、どういう意味か患者がわかっていなかったと看護師に説明を受けた。 「わるくなる」と説明している。
増悪 増悪(ぞうあく)ではなく「ぞうお」といわれた。 なし。

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対症療法 耐糖能異常 潰瘍 点滴 糖尿病

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
対症療法 癌の末期などで癌に対する積極的な治療は行わず、症状を緩和するための治療を行う際に使用するが、十分に意味が伝わらないことがあるため、具体的な説明を追加している。
耐糖能異常 診断基準の耐糖能異常に属するという説明が難しかった。 境界型と説明している。
耐糖能異常 糖尿病の一歩手前の耐糖能異常だと説明したが、わかっていなかったようだった。 糖尿病の境界型と説明している。そのうち何割かが糖尿病になる糖尿病予備軍だとか、糖尿病の一歩手前だとか説明した後で、データ(グラフ)や、パンフを使って説明するようにしている。
潰瘍 癌の形態としての、潰瘍型と、いわゆる胃潰瘍との混乱。 胃潰瘍でも癌はあり得ることを伝えるようにした。
潰瘍 潰瘍型のがんとの鑑別。
点滴 食欲がないので点滴して欲しいと頼まれるケースがしばしばある。 点滴には、水分を補う効果はあっても栄養を補給する効果はほとんどないことを説明する。
糖尿病 糖尿病の診断基準を満たしていたため、その旨を話したが理解されなかった。 血糖が上がっている病気と話す。

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統合失調症 内診 乳腺症 播種 肺炎

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
統合失調症 統合失調症の疑いがあると説明したら、そんなはずはないと言われた。 統合失調症でも、今はいいお薬があるので、仕事も継続できる人も多い、とか、プラスのイメージを持つように指導している。
統合失調症 かつての精神分裂症であるが、疾患概念としての理解が困難なので、天才偉人などで説明する。
内診 産婦人科診察が初めての患者に「内診します」と説明したが、いざ内診室に入っても、内診台に上がらず、理解出来ていない様子であった。 診察を介助する看護師より十分説明を行ってもらった。
内診 男性の患者に、内科の診察で腹部を見たいので伝えると、内診ですか?と聞かれた。 婦人科の診察と混同しているらしい。
乳腺症 乳がん検診で既往歴を訪ねると、恐らく乳腺炎の症状であったと思われる既往に対し、乳腺症と間違って解釈している方が多い。 その都度病態を解説することになる。
乳腺症 乳腺のしこりについて説明の際に、乳腺症によるものの可能性が高いと話をした。 腫瘍性の変化ではなく、乳腺が部分的に硬くなったり、痛みを感じたり、という良性変化と説明。
播種 播種のために試験開腹となった患者の家族に対して、根治術を行わなかったことを説明するときに、同僚が苦慮していた。 なし。
肺炎 症状の始まったときから自分で診察し投薬していたが改善せずに肺炎になり入院が必要になったところ、悪くなったのが私のせいだというようなことを言われた。 風邪症状が改善せず、肺炎になることがあることを早期から話すようにする。
肺炎 肺炎を重症と感じるか、軽く感じるかは患者家族によって異なり、具体的に話さないと難しい。

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肺水腫 汎発性血管内凝固症候群 病理解剖 頻回 腹水

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
肺水腫 肺水腫はありふれた病気なので、その都度家族に心不全の講義をしている時間はない。今時の医学生や研修医もそうだが、家族の人も質問する前に自分で調べて欲しいものだ。結局、肺の血が流れが悪くなると水がたまるのですよとなるべく簡単にやりすごしている。
肺水腫 心不全や腎不全で肺に水がたまっているというと、たいてい高齢者以外の家族からなぜ肺に水がたまるのですかと聞き返される。 なるべくわかりやすいように肺水腫の機序を説明するが、時間がかかり、大変疲れる。
汎発性血管内凝固症候群 汎発性血管内凝固症候群はたとえばばい菌が血液の中に入り、そのばい菌が血管を障害し、血が細い動脈で固まりやすくなり色々な障害を起こし、一方では血が固まるのに必要なものが消費され出血しやすくなる状態などを、図を書いて説明するようにしています。
病理解剖 胃癌術後退院当日に吐血し緊急入院、治療に反応せず致死的経過を辿った患者がいた。死因究明のために病理解剖を勧め、家族も同意したが解剖の結果、死因の究明には至らなかった。家族側にしてみれば遺体を切り刻まれた上に『わかりませんでした』では納得ができないのも理解出来る。しかし病理解剖で全てが判明する訳ではなく、限界も当然ある。どこまでがわかる事で、どこからがわからない事か、説明は非常に難しいと思う。 まずそのような(病理解剖が必要な)事態となることを極力回避する事、やむをえずそうなった場合は経過をふまえて何度かに分けて家族に説明を行う事、その際、なるべく同じ言葉を使わず、別の言葉で言い換える等、理解を助けるように努めるべきであると思う。
病理解剖 受け持ちの子が亡くなると、家族に剖検の許可を取らなければならないのですが、子どもを亡くした直後の親にとって、解剖という言葉がかなりきついです。そこで、「原因を究明するためには'病理の検査'が必要です」と説得します。承諾が得られた後に書いていただく承諾書には、'病理解剖を承諾します'と書かれていますが・・・。
頻回 頻回という言葉は、医師・看護師ともよく使用するが、伝わらないことがほとんどであり、できるだけ使用しないようにしている。
腹水 卵巣腫瘍の手術前のMRI検査にて腹水を指摘された患者に、その事を説明した。開腹した特には腹水は認められず、術前のMRIにて認められた腹水は生理的なものであったことを説明したが、理解できず、「診断ミスでは?」と疑っている様子であった。 女性の場合、月経周期によって腹水が認められる時期があることを、なるべく理解しやすい言葉を使って説明するようにした。
腹水 肝硬変患者の家族説明に腹水がたまって腹部膨満が生じている際に腹水について説明したが、腹水って何?という反応であった。 腹水は単純に腹腔内にたまった水であるが、どういうようにしてでてくるのか、どういう成分なのかを説明した。

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腹膜透析 末期状態 無作為化比較試験 問題ない 癒着

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
腹膜透析 腎臓内科(内科)の診療を行っている。透析導入となる末期腎不全の患者に、透析には「血液透析」と「腹膜透析」の2つがあることをお話ししている。「腹膜透析」については、お腹から透析の機械に液をまわし、病院に通っておこなうのか、など質問があった。 「血液透析」については、テレビドラマなどでも取り上げられており理解されやすいと思われるが、そもそも「腹膜透析」は5%程度しか普及しておらず、マスコミでの取り上げられ方も少ないためか、イメージが湧きにくいのかも知れない。言葉での説明の後、ビデオなどで学習していただくよう心がけている。
腹膜透析 日本では、透析といえば、血液透析がほとんど(95%)であり、腹膜透析のイメージが無いのは想像可能である。血液透析のイメージが先行する様子。 腎代替療法としては、1)血液透析、2)腹膜透析、3)腎臓移植 の3つがあることを、本を使って、示しています。
末期状態 「末期状態」とは何もできない悲惨な状態と受け取られることが多く、生命の終わりに近い状態と言う意味で「終末期状態」と表現している。
無作為化比較試験 コンピューターで割り付けられる治療群に不満。 科学的な評価をしなければならない。
無作為化比較試験 モルモットと同義に思われている。倫理的に問題ないか審査を受けていることを重視して説明している。無作為に割り付けられることに抵抗を感じる人が多いので科学的な評価の必要性を説明している。
問題ない 患者様が検査結果を聞きに来院した時に、特に忙しいときに『この間の検査問題ありませんでした。』と伝える時があるが、この言葉は病院に来た患者にとって一番聞きたくない言葉のようです。いろいろ苦労して受けた検査について、何がどういう風に異常がなかったのか、また今問題なくても今後どんな注意が必要なのか「詳しく」説明してもらいたいようです。最近は其の点に注意しながら、患者様への対応にあたっています。
癒着 子宮脱でリングを挿入中の患者さんに対して、外来で診察中に、リングと膣の壁が癒着してきています。癒着がひどい場合はリングを抜去する必要があります、との説明に。癒着って? この場合の、癒着は異物であるリングと膣の壁がくっつくことを言い、ひどくなると膣の壁から離れなくなりますと話した。

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輸液 輸血 予防接種 抑制 卵巣嚢腫

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
輸液 「入院後は輸液を行います」と言ったときに何のことか理解されていなかった。 輸液というより「点滴」の方が一般には分かりやすいようである。点滴する、もしくは水分を注射で与えるなど、相手が想像しやすい言い方にした方がいいのかもしれない。
輸液 輸血と間違えられたことがある、以来点滴と付け加えるようにしている
輸血 輸血で病気がうつったらどうなるのですか? 確率的に非常に低く、私や周りの医師で最近経験した先生はいません、それだけ安全性は高くなっています。移った場合には、病原に対応した治療を行います。
輸血 輸血で感染をすることに恐怖を感じられた。 感染の頻度が低いことを強調する。
予防接種 インフルエンザ予防接種を受ければ、発症しないと考えている方が意外に多い。 発症の可能性が低下すると説明。
予防接種 予防接種をする時、必ず希望者のサインをもらい任意で接種するのが理解されない。 診察では接種可能だが希望するかは患者の希望であり、そのための任意接種である。
抑制 抑制書の同意書をもらうとき虐待のイメージをもたれた。 極力医療上の必要性を説く。
抑制 高齢の認知症患者が肺炎で入院になり、夜間の不穏に対して抑制をする可能性があったため、抑制する必要があると説明した。体を縛るなんて事はやらないで下さいと言われた。 虐待をするように思われてしますので、具体的な抑制の方法と、抑制しない場合の転倒、抜針などの危険性を説明する必要がある。
卵巣嚢腫 子宮筋腫+卵巣皮様嚢腫にて手術予定、初診時より説明していたが、具体的に卵巣腫瘍の内容について理解されておらず、良悪性、内容について再度説明が必要であった。 卵巣腫瘍の良性、悪性(癌)の可能性、卵巣は腫れていてその内容がどういう物であるか、などできるだけわかりやすく具体的に話している。
卵巣嚢腫 卵巣腫瘍が捻転して手術をしたが、放っておくと血流が滞って組織がくさってしまうので手術が必要である旨説明した。既往歴に嚢腫ではなく膿腫(くされて膿がたまった袋)と書かれていた。 組織の壊死についてもう少しわかりやすい表現がないか気をつけている。

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臨床研究 喘息様気管支炎 喘鳴 鬱血 譫妄

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
臨床研究 臨床研究と言うと何となく実験台になっているという感覚がどうしてもぬぐい去れないから。 実際には、昔から使っているお薬を使っています。ただ、その順番や量、投与方法を工夫しているだけです、と繰り返し伝えています。
臨床研究 臨床研究と言っても、実験をしているわけではなくて、今までの治療方法からよりよいと思われる治療方法を目指しているだけです。従って過去にやってきたことと同じなのですが、最近はこういう言い方をするだけです。変わった薬とかを使うのではありません。
喘息様気管支炎 慢性の病気と理解されている。 喘息とは異なり、気管支炎から喘鳴が出てくるものを言うが、喘息と完全に区別できず、経過中に、喘鳴を繰り返す場合に、喘息になる。
喘息様気管支炎 ゼーゼーする病気はすべて喘息と思っている人がいて、症状と病態の説明をして喘息用気管支炎とか、クループと正式にはいう病名になりますと説明している。
喘鳴 喘息患者さんの定期受診の際に必ず喘鳴の有無を聞くが、1/3ぐらいの患者さんは喘鳴の意味が分らないようである。 喘鳴は医学用語であるので一般の人には理解が難しいと思われるため、患者さんには「胸がヒューヒュー、ゼーゼー」言わなかったですか。と質問するようにしている。
喘鳴 ぜんそく発作初発の患者さんにきいたら聞き返された。 ぜいぜいは?ときくとわかってもらえたためわかりやすいことばに置き換えるようにした。
鬱血 胸水と間違われた。 肺が湿っている、と説明している。
譫妄 手術合併症の説明の際に、せん妄の可能性を説明したが、他に端的に表現するわかりやすい表現がなかったため、現在では使用が望ましくない言葉である「ボケ」と説明したところ、容易に理解できた。 「ボケ」には暗く、悲劇的なイメージがあるが、術後せん妄はあくまでも一時的な「ボケ」で、必ず元に戻ることを説明して、過度の不安を抱かせないようにしている。
譫妄 入院患者で、入院時に受け答えがおかしかった患者さんのことを家族に説明しているときに、病気の名前として使った。 「せん妄」という病気のことを知らずにいると、ご家族は入院すればなおると思っているので、入院したら具合が悪くなったと誤解してしまうことが多い。このような病気があることを、「体の病気や入院などによる環境の変化などで脳の働きがうまくいかなくなって、患者さん自身が混乱した状態になることがある」と言うふうに分かりやすく説明している。

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©2008 The National Institute for Japanese Language