「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書

治る(治らない)

→表の見方・データ利用に関する注意

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
しばしば患者から「治りますか」や、「治らないと言われた」という発言が聞かれますが、治るというときは医師の側は完治する場合にのみ使います。だから完治することが難しい疾患では治ることはないが症状の緩和はある程度できると答えますが、うまく伝わりません。 治らない疾患についてと症状の緩和について細かく説明しています。
  「治りますよね」とよく聞かれますが、そこで数字を具体的に示してほしい方と、治癒を信じてすがるような思いで言う方がおられます。簡単に「治りますよ」と言ってしまうと、絶対治ると信じてしまう人もいるし、医者の力強い一言がほしい人に「いや、○%の確率で・・」と説明するのは、患者さんの希望を打ち砕くようで、いつもどう答えていいか迷います。
  気管支喘息を診療する機会が多いが、「治る」という言葉を使用するときには気をつけている。多くの保護者は、中学生頃までに「治癒」するものだと思っているが、実際には症状が続いたり、成人後に症状が増悪する場合もある。また、肺機能は健常人の状態にまで改善しないことも多いからである。
  「治る」という言葉は医師が介入しなくても自然経過で改善する例と医師が介入して初めて症状が改善する例に分けられることと、症状が改善する場合も病気の経過への影響を与える場合と与えない場合があることを意識して伝えるようしているが、やはり難しい。
悪性腫瘍の経過説明時に"治る"のですかとの問いかけあり。 "治癒"という言葉と退院して生活できるとは異なることを説明したい。
  出来るだけ使わない言葉としてきたが、最近、治療結果として『元通りに治る』ことが当然のように言われ、「治らないのは、主治医の腕が悪いからだ。」と言い責任問題にしたい患者さんがちょこちょこ出てきた。殺伐とした社会になりつつある。
  治療しなければ治らない。子供の病気は自然に治ると勘違いされる。

*本ページの「病院の言葉」にかかわる調査データを引用する場合は,必ず出典を明示してください。

©2008 The National Institute for Japanese Language