「病院の言葉」を分かりやすくする提案

病院で使われている言葉を分かりやすく言い換えたり説明したりする 具体的な工夫について提案します。

設立趣意書

炎症

→表の見方・データ利用に関する注意

できごと
(カレンダー調査の問4)
注意していること,工夫していること。その理由
(リクルート調査の問2,カレンダー調査の問5)
「炎症が起こっています。」と説明して家族から「はあ」と生返事をもらった。 小さな怪我をしている状態ですと説明した。
  炎症とは医療関係者では、平易な用語だが患者に炎症といってもなかなか伝わらないので、できるだけ簡単な説明を加えるようにしている。
  炎症という概念が伝わりにくいので、けがや感染、ただれなどという表現で言葉を説明してから使う。
  炎症という言葉もよく使う割りに、患者さんの中でどのように理解しているか不明な状態であった。なるべく、「体の中の火事」「腫れて赤くなっているような状態」など、その時の状況に応じて補足説明をいれている。
間質性肺炎を説明するときに、肺胞の間の炎症と説明したが、細菌性肺炎との区別がつかないようだった。細菌やウイルス感染による炎症とは違うことを説明しても、理解が不十分だった。 アレルギーや膠原病など、感染症以外の炎症を説明するのは困難である。組織の変性・障害・増殖などの複合事象である炎症の概念自体が難しく、患者に理解してもらいにくい。「バイ菌の感染とは別の原因による炎症」と説明しているが、あまり理解できていなさそうである。
気管支喘息患者に「気道の炎症を抑える治療を続けましょう。」と説明したが、「炎症」とは何ですかと聞き返された。 「気道の炎症」とは言わず、「気道が腫れて敏感になっている状態を改善しないと、すぐ発作が出ますよ。」と言うように平易な表現を心がけている。炎症は医学用語であり一般の人々にはイメージができないから。
下肢の蜂窩織炎の患者に「炎症が起こっている」と説明したところ、「炎症とはどういうことですか」と聞き返された。 「炎症が起こっている」という言葉は確かに便利な言葉で、多くの患者さんではどこまで理解されているかは別として、何となく判った気にさせる言葉である。しかし、炎症を素人に短時間で医学的に正しく理解させることは大変困難でもある。 「細菌が体内に侵入し、悪さをするので、これを防止するために白血球が細菌と戦っており、このために腫れて、痛くて、熱が出るのです。この戦いで死んだ白血球と細菌が膿となって出てくるのです。」と説明すると理解が得られることが多い。
  「炎症」と言うと、患者は「感染」をイメージしやすいので、感染以外が原因の炎症は、菌による感染とは違うことを説明している。
  検査の結果を説明していて、炎症反応が強いと言っても理解してもらえない。肺炎や膀胱炎などと具体的な例をあげて理解してもらうようにしている。
小児の気管支喘息の病態について説明する際に、この言葉を使っても理解しにくそうな家族がいる。 赤くはれる状態、と言い換えたり、アトピー性皮膚炎の皮膚の状態などに例えたりする。
体の異常を訴えて来院した患者で、採血検査の結果説明でCRPと白血球上昇しかない場合に説明してもなかなか患者や家族がイメージできない。 「体の中で病気に対する色々な反応が起きている」と説明しています。分かってくださるように感じていますが。
「傷が炎症を起こしています」と説明したら聞き返された。 炎症でなくばい菌が入ったと説明するようにした。
  「炎症」とはただれ、傷口のようなものといって説明している。
  炎症は熱、痛み、腫れるなどの言葉で代用している。
  「炎症」とはたとえば熱が出る、痰が絡むなどと、具体的な言葉に置き換える。
  「炎症」は赤く腫れ上がった状態で、細菌やウイルス、アレルギーなどで起きる状態。

*本ページの「病院の言葉」にかかわる調査データを引用する場合は,必ず出典を明示してください。

©2008 The National Institute for Japanese Language