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日本語読本NIHONGO TOKUHON[布哇教育会第3期]

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巻四

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日本語読本 巻四 [布哇教育会第3期]

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凡例
1.頁移りは、その頁の冒頭において、頁数を≪ ≫で囲んで示した。
2.行移りは原本にしたがった。
3.振り仮名は{ }で囲んで記載した。 〔例〕小豆{あずき}
4.振り仮名が付く本文中の漢字列の始まりには|を付けた。 〔例〕十五|仙{セント}
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≪目録≫
もくろく
一 こま 一
二 とけい 二
三 一寸ボウシ 七
四 金ぎょ 十九
五 カワイ島 の パーカー 二十三
六 かちかち山 三十一
七 イースター の たまご 三十九
八 ネズミ ノ チエ 五十
九 面白いおきゃく 五十三
十 母の日 六十八
十一 かえる 八十
十二 うしわかまる 八十五
十三 とんぼ 九十一
十四 お使 九十三
課外
一 金太郎 百七

≪p001≫
一 こま
こま、こま、まわれ、
ぐるぐる まわれ。
あの 子 の こま も、
この 子 の こま も、
ぐるぐる まわれ。

≪p002≫
こま、こま、まわれ、
ぐるぐる まわれ。
目 が まわって ころぶ な。
ぶっつかって ころぶ な。
なか よく まわれ。
二 とけい
僕 の うち に、大きな ぼんぼんどけい

≪p003≫
が あります。朝 から ばん まで、「かっ=
ちん、かっちん。」と 動いて います。
毎朝、僕 が 目 を さます ころ、
「ぼん、ぼん、ぼん、ぼん、ぼん、ぼん。」
と、六つ なります。學校 へ 行く 時 や、
かえった 時 に、僕 は、きっと とけい
を 見ます。おかあさん も、時時 ごらん
に なって、

≪p004≫
「そろそろ ごはん の したく を しまし=
ょう。」
など と おっしゃいます。
きのう、僕 が 學校 から かえって 來て、
見る と、とけい が ありません。おかあさ=
ん に 聞く と、
「動かなく なった から、とけいや へ、な=
おし に やった の です。」

≪p005≫
と おっしゃいました。
「かっちん、かっちん。」
と ゆう 音 が 聞=
えない ので、なんだ=
か さびしい 氣 が
しました。けさ
ごはん の
時 に、

≪p006≫
「もう 七時 か な。」
と 言って、にいさん が とけい を 見よ=
う と した ので、僕 が 笑い出します
と、みんな が 大笑 を しました。けれど=
も、學校 に 行く 時、僕 も、つい とけ=
い を 見よう と しました。そば に お=
いで に なった おかあさん が、お笑い
に なりました。

≪p007≫
三 一寸ボウシ
オジイサン ト オバアサン ガ アリマシタ。
子ドモ ガ ナイ ノデ、
「ドウゾ、子ドモ ヲ 一人 オサズケ 下サ=
イ。」
ト、神サマ ニ オネガイ シマシタ。神サマ
ハ、小指 クライ ノ 小サナ 男ノ子 ヲ、

≪p008≫
下サイマシタ。アンマリ 小サイ ノデ、一寸=
ボウシ ト ユウ 名 ヲ ツケマシタ。
一寸ボウシ ハ、二ツ ニ ナッテ モ、三ツ
ニ ナッテ モ、少シモ 大キク ナリマセン。
オジイサン ト オバアサン ハ、シンパイ
シテ、
「一寸ボウシ ノ セイ ガ 高ク ナリマス
ヨウ ニ。」

≪p009≫
ト、毎日、神サマ ニ オネガイ シマシタ。
ケレドモ、ヤッパリ 大キク ナリマセン デ=
シタ。
一寸ボウシ ハ、十三 ニ ナリマシタ。アル=
日、オジイサン ト オバアサン ニ、
「私 ハ、ミヤコ ヘ 行ッテ、エライ 人
ニ ナリタイ ト 思イマス。ドウゾ ヤッ=
テ 下サイ。」

≪p010≫
ト 言イマシタ。
一寸ボウシ ハ、オバア=
サン カラ、ハリ ヲ
一本 モライマシタ。ソ=
レ ヲ 刀 ニ シテ、
コシ ニ サシマシタ。
オワン ヲ モラッテ、
舟 ニ シマシタ。オハシ ヲ モラッテ カ=

≪p011≫
イ ニ シマシタ。
一寸ボウシ ハ、オワン ノ 舟 ニ ノッテ、
大キナ 川 ヲ ノボッテ 行キマシタ。
ミヤコ ニ ツク ト、トノサマ ノ オウチ
ヘ 行キマシタ。
「ゴメン 下サイ。」
ト 言ウ ト、トノサマ ガ 出テ オイデ
ニ ナリマシタ。

≪p012≫
「ダレ ダロウ。」
ト 言ッテ、オサガシ ニ ナリマシタ。
「ドコ ニ イル ノ ダロウ。」
ト 言ッテ、ニワ ヲ 見マワシナガラ、アシ=
ダ ヲ オハキ ニ ナロウ ト シマシタ。
スルト、アシダ ノ カゲ ニ イタ 一寸ボ=
ウシ ハ、
「フンデ ハ イケマセン。」

≪p013≫
ト 言ッテ、アワテテ
トビ出シマシタ。ソウ=
シテ、
「ケライ ニ シテ
下サイ。」
ト タノミマシタ。
トノサマ ハ、
「コレ ハ 面白イ

≪p014≫
子 ダ。」
ト 言ッテ、ケライ ニ ナサイマシタ。
アル日、一寸ボウシ ハ、オヒメサマ ノ オ=
供 ヲ シテ、遠イ 所 ヘ 出カケマシタ。
トチュウ マデ 來ル ト、ドコ カラ カ、
オニ ガ 出テ 來テ、オヒメサマ ヲ タベ=
ヨウ ト シマシタ。
一寸ボウシ ハ、ハリ ノ 刀 ヲ ヌイテ、

≪p015≫
オニ ニ 向カイマシタ ガ、トウトウ ツカ=
マッテ シマイマシタ。
オニ ハ、一寸ボウシ ヲ ツマンデ 一口
ニ ノンデ シマイマシタ。
一寸ボウシ ハ、オニ ノ オナカ ノ 中
ヲ、アチラ コチラ ト カケマワッテ、ハリ
ノ 刀 デ、チクリ チクリ ト ツツキマシ=
タ。オニ ハ、

≪p016≫
「イタイ、イタイ。」
ト 言イマシタ。
ソノウチ ニ、一寸ボウシ ハ、オナカ ノ
中 カラ ハイアガッテ、ハナ ノ オク ヲ
通ッテ、目 ノ 中 ヘ 出マシタ。ソウシテ、
ハリ ノ 刀 デ 目玉 ヲ ツツキマワッテ、
ピョコリ ト ジメン ヘ トビオリマシタ。
オニ ハ、目 ノ 中 ガ イタクテ タマリ=

≪p017≫
マセン。目 ヲ オサエテ、一生ケンメイ ニ
ニゲテ 行キマシタ。
ウチデノコズチ モ、
忘レテ ニゲテ 行=
キマシタ。
オニ ノ 忘レタ
ウチデノコズチ ヲ
見ル ト、オヒメサマ ハ、

≪p018≫
「コレ ハ ヨイ モノ ガ アル。」
ト 言ッテ、タイソウ ヨロコビマシタ。コレ
ヲ フル ト、ナン デモ 自分 ノ 思ウ
通リ ニ ナル カラ デス。ソコデ、
「一寸ボウシ ノ セイ ガ、高ク ナル ヨ=
ウ ニ。」
ト 言ッテ、オヒメサマ ハ、サッソク ウチ=
デノコズチ ヲ フリマシタ。

≪p019≫
一寸ボウシ ノ セイ ガ、少シ 高ク ナリ=
マシタ。
「モット 高ク ナレ、モット 高ク ナレ。」
ト 言イナガラ、ナンベン モ フリマシタ。
一寸ボウシ ハ、ダレ ニモ マケナイ 大男
ニ ナリマシタ。
四 金ぎょ

≪p020≫
目 が さめました。
ゆうべ 買って いただいた 金ぎょ の
こと を 思う と、じっと して は いら=
れません。
私 は とびおきました。すぐ だいどころ
に 行って、バケツ の 中 を のぞきまし=
た。かぞえて みる と、やっぱり 五匹 い=
ました。みんな きれいな、かわいい 金ぎょ

≪p021≫
です。
おかあさん が、ガラス の 金ぎょばち
を 持って 來て、
「これ に 入れて おやり なさい。」
と おっしゃいました。私 は、すぐ 金ぎょ
を 金ぎょばち に 入れて やりました。
金ぎょ は、前 より も、ずっと きれい
に 見えます。よこ の 方 から のぞく

≪p022≫
と、金ぎょ が、
急に 大きく 見=
えたり、又 もと
の よう に、小=
さく 見えたり
します。
ゆうべ から 何
も やらない か=

≪p023≫
ら、おなか が すいて いる だろう と
思って、私 は おかあさん に、ふ を も=
らって 來て やりました。
五 カワイ島 の パーカー
昔、カワイ島 に、パーカー と ゆう 子供
が ありました。おかあさん と 二人 きり
で、くらして いました。ある日、パーカー

≪p024≫
が、
「おかあさん、なぜ、僕 には おとうさん
が ない の です か。」
と たずねました。おかあさん は、かなしそ=
う に、
「おとうさん は、お前 が 生まれて 間も=
なく、ハワイ島 へ おいで に なって、
それきり おかえり に ならない の で=

≪p025≫
す。」
と 言いました。
パーカー は かなしく なりました。どうか=
して、ハワイ島 へ 行って、おとうさん に
あいたい と 思いました。けれども、まだ
小さい 子供 です。
「遠い ハワイ島 まで、カヌー を こいで
行く こと は とても 出來ない。カヌー

≪p026≫
が ひとり で 走る よう には、出來な=
い もの だろう か。」
パーカー は、長い 間、それ ばかり 考え=
て いました。
ある日、ふと よい 考 が うかびました。
パーカー は、ハラ の 木 の 長い は
を 取って 來て、ござ を 作りました。ご=
ざ の りょうはし には、一本 ずつ、木

≪p027≫
の ぼう を しばりつけました。
パーカー は、カヌー を こいで 沖 へ
出ました。すずしい 風 が、そよそよ と
吹いて います。
パーカー は、長い ぼう を、カヌー の
まん中 に 立てて、ほばしら に しました。
ごさ を、つな で、高く ほばしら へ 引=
上げて、ほ に しました。風 が ほ に

≪p028≫
あたって、カヌー は、いきおい よく 走り=
ました。青い、青い 海 の 上 を、まるで
すべる よう に、すすみました。パーカー
は、手 を うって よろこびました。カヌー
は、夜 も ひる も 走りつずけました。
そうして、とうとう ハワイ島 に つきまし=
た。
ハワイ島 は、大きい 島 です から、パー=

≪p029≫
カー は、おと=
うさん を さ=
がす のに、た=
いそう ほね
を おりました。
しかし、とうと=
う さがしあて=
ました。二人

≪p030≫
は、手 を 取って
よろこびました。
パーカー は、お=
とうさん と 一=
しょ に、カワイ=
島 へ かえって
來ました。そうして それか=
ら は おかあさん と 三人 で、たのしく

≪p031≫
くらしました。
ハワイ の 人たち は、パーカー の まね
を して、ほ を つかう よう に なった
と ゆう こと です。
六 かちかち山
一郎さん と 太郎さん は、紙 で、面 を
作って あそぼう と、そうだん しました。

≪p032≫
一郎さん は、紙 に うさぎ の 顔 を
かきました 耳 を 長く かきました。目玉
を 赤く ぬりました。
太郎さん は、それ を 見て、
「僕 は たぬき に しよう。」
と 言って、たぬき の 顔 を かきました。
はな の りょうがわ から 耳 まで、茶色
に ぬりました。

≪p033≫
二人 は、はさみ で その
え を 切りぬいて、面 を
こしらえました。そうして、
べつ の 紙 を 細長く 切って、それ を
自分たち の あたま に 合う よう に、
わ に 作って、面 に は=
りつけました。
二人 は、面 を つけて

≪p034≫
みました。よく にあいました。
太郎「君、かちかち山ごっこ を しよう よ。」
一郎「いい な、しよう。」
それから、二人 は、舟 を こしらえる そ=
うだん を しました。
舟 は、ボール紙 で 二つ こしらえました。
そうして、長い ひも を つけて、首 に
かけます と、舟 は おなか の へん に

≪p035≫
かかって います。
一郎「うまい、うまい。うまく 出來た。さあ、
僕 は うさぎ、君 は たぬき だ よ。」
太郎「僕 が たぬき か。よし、やろう。」
うさぎ の 一郎さん は、少し 考えて か=
ら 言出しました。
うさぎ「たぬき君、よい お天氣 だ ね。これか=
ら、一しょ に 舟あそび を しよう。」

≪p036≫
たぬき「よかろう。」
うさぎ と たぬき は、舟 を こぐ まね
を しました。
うさぎ は うたいました。
うさぎ「うさぎ の お舟 は
木 の お舟、
たぬき の お舟 は
どろ の 舟。」

≪p037≫
そのうち に、
たぬき の
舟 が 少し
おくれました。
たぬき「おうい、うさぎ君、
僕 の 舟 は、
なんだ か 重くて すすまない よう だ。」
うさぎ「そんな こと は ない よ。君 の こ=

≪p038≫
ぎ方 が 下手な の だ。」
たぬき「そう か ね。」
又 しばらく こぎました。たぬき は だん
だん おくれて 來ました。
たぬき「やあ、たいへん、たいへん。僕 の 舟
に 水 が はいって 來た。あ、舟 が
しずむ、しずむ。うさぎ君、助けて くれ。」
いつ の 間 にか、となり の へや に、

≪p039≫
一郎さん の おかあさん と ねえさん が
來て、見て いらっしゃいました。
一郎さん も 太郎さん も、氣 が ついて、
あわてて やめました。おかあさん は、
「まあ、ほんとう に 上手 です ね。」
と 言って、おほめ に なりました。
七 イースター の たまご

≪p040≫
しゅんじ君 と、僕 と、みさちゃん とが、
かくれんぼ を して あそんで いました。
そこ へ ねえさん が 來て、
「イースター の たまご が 出來ました。
みんな おいで。おかあさん が よんで
いらっしゃいます。」
と 言いました。僕たち は、大よろこび で、
だいどころ へ ついて 行きました。

≪p041≫
お皿 の 中 には、赤 と、黄 と、青 と、
むらさき の たまご が、たくさん はいっ=
て います。さわって みる と、あたたか
でした。
「きれい だ なあ。みんな 僕たち に 下=
さるんです か。」
「ええ、みんな 上げます。それから、これ
も 上げましょう ね。」

≪p042≫
そう 言いなが=
ら、おかあさん
は、紙ぶくろ
を 見せて 下=
さいました。中
には おかし
の たまご が
はいって いま=

≪p043≫
した。
ねえさん は 言いました。
「さあ、始めましょう。あなた方 は、となり
の おへや に、はいって いらっしゃい。
わたし が かくします から、みんな で
さがす の です よ。」
僕たち は、すぐ となり の へや に は=
いりました。

≪p044≫
少し たつ と、ねえさん が、
「たまご は、おにわ に かくしました。さ=
あ、さがして いらっしゃい。」
と 言いました。しゅんじ君 と 僕 は、す=
ぐ とび出しました。みさちゃん も あと
から かけて 來ました。
僕たち は、草 の 中 や、うえ木 の 間
を さがしました。みさちゃん も、長く の=

≪p045≫
びた しば草 を
ふんで みたり し
て います。
「みさちゃん、
ふんだら、
たまご が
つぶれて
しまう よ。」

≪p046≫
と、僕 が 言う と、
「そう。」
と 言って、今度 は、手 で さがし始めま=
した。
ふい に しゅんじ君 が、
「やあ、見つけた、見つけた。」
と さけびました。見る と、ハイビスカス
の ねもと から、紙ぶくろ を 取出して

≪p047≫
います。
僕 と みさちゃん が、急いで 行って み=
る と、ふくろ の 中 には、美しい たま=
ご と、おかし の たまご と、かわいらし=
い おもちゃ の ひよこ が、入れて あり=
ました。
「よし、僕 も 見つける ぞ。」
僕 は、一生けんめい に、あちら こちら

≪p048≫
を さがしまわりました。すると、大きな う=
え木ばち の かげ に、紙ぶくろ の ある
の が 見つかりました。
「あった、あった。」
僕 は 思わず さけびました。ふくろ を
あけて 見る と、やはり、たまご と、おか=
し と、ひよこ が はいって いました。
みさちゃん が、泣出しそうな 顔 を して、

≪p049≫
立って います。
「今度 は、みさちゃん の を さがして
上げよう ね。」
と、僕 が 言いました。すると、
ここ に ある、ここ に ある。」
と、しゅんじ君 が 大ごえ で 言いました。
しゅんじ君 は マンゴ の 木 を 指さし=
て います。その 枝 に、ふくろ が 糸

≪p050≫
で つるして あります。
「これ が みさちゃん の だ よ。」
しゅんじ君 が そう 言う と、みさちゃん
は、急 に にこにこ して、その ふくろ
を 取りました。
八 ネズミ ノ チエ
「コノゴロ、ナカマ ノ モノ ガ、ネコ ニ

≪p051≫
取ラレテ 困ル ガ、何 カ ヨイ 考 ハ
アルマイ カ。」
ト、年トッタ ネズミ ガ、ナカマ ノ モノ
ニ 言イマシタ。
ソノ 時、一匹 ノ 子ネズミ ガ、前 ヘ
出テ 言イマシタ。
「ヨイ 考 ガ アリマス。大キナ スズ ヲ
ネコ ノ 首 ニ ツケテ オイテ、ソノ

≪p052≫
音 ガ 聞エタ=
ラ、逃ゲル コ=
ト ニ シテ ハ
ドウ デショウ。」
「ナルホド、ヨイ
考ダ。」
ト 言ッテ、ミンナ
カンシン シマシタ。

≪p053≫
スルト、年トッタ ネズミ ガ、
「ソレ モ ヨイ ガ、ダレ ガ、ソノ スズ
ヲ ツケ ニ 行ク ノ カ。」
ト 言イマシタ ノデ、ミンナ ダマッテ シ=
マイマシタ。
九 面白い おきゃく
花子さん の おうち は、夏休 に、いなか

≪p054≫
から 町 へ ひっこして 來ました。花子さ=
ん には、まだ、お友だち が ありません。
いなか から つれて 來た ぽち と、ぶた
と、あひる と、おんどり が、なか の よ=
い お友だち でした。
學校 が 始って から は、お友だち が
たくさん 出來ました。ある日、學校 で メ=
リーさん が、

≪p055≫
「今度 の 日よう は、
私 の たんじょう日
です から、あそび
に いらっしゃい。」
と 言いました。
花子さん は、學校
から かえる と、す=
ぐ、おかあさん に

≪p056≫
その こと を 話しました。
おかあさん は、喜んで、
「行って いらっしゃい。始めて 行く の
です から、この 間 こしらえた、あたら=
しい 着物 を 着て いらっしゃい。」
と おっしゃいました。
花子さん は、日よう日 に なる の が、
待遠くて たまりません でした。

≪p057≫
日よう日 に な=
りました。花子さん
が 出かけよう と
する と、ぽち と、
ぶた と、あひる
と、おんどり が、
もう、ちゃんと に=
わ に 出て、待っ=

≪p058≫
て いました。
「まあ、みんな わたし に ついて 行く
つもり か しら。」
と、花子さん が 言いました。
おかあさん が、
「こや の 中 に 入れて、戸 を しめて
おきなさい。」
と おっしゃいました。

≪p059≫
花子さん は、その 通り に して、
「さようなら。すぐ かえって 來る から、
この 中 で 待って おいで。」
と 言って、出かけました。
メリーさん の おうち の 近く まで 來=
る と、お友だち は、みんな 花子さん の
方 を 向いて、どっと 笑いました。花子さ=
ん は、

≪p060≫
「あの 人たち は、なぜ 笑う の だろう。
わたし の 着物 が、おかしい のか し=
ら。」
と 思いました。
その 時、うしろ の 方 で、何 か、へん=
な こえ が しました。ひょいと ふり向く
と、ぽち と、ぶた と、あひる と、おんど=
り が、ついて 來て いました。花子さん

≪p061≫
は、おどろきました。
「こや の 中 に 入れ=
て、戸 を しめて 來=
た のに、どうした
の だろう。」
と ふしぎ に 思いま=
した。
「ああ、そう だ。ぶた

≪p062≫
が こや の 下 を、はな で ほって、
その 穴 から、みんな が 出て 來た
の だろう。外 へ 出て から は、ぽち
が 私 の 足あと を かいで、道 を
おしえた に ちがい ない。そう だ、
きっと そう だ。」
と 考えつきました。
花子さん は、

≪p063≫
「みんな おかえり。」
と しかりました。
けれども、だれ も かえろう とは しない
で、ぼんやり 立って います。そこ へ メ=
リーさん が 走って 來て、
「かえさないで 下さい。一しょ に あそん=
で やりましょう。」
と 言いました。

≪p064≫
「ああ、それ が いい。花子さん、そう な=
さい。」
と、外 の お友だち も 言いました。
ぽち も、ぶた も、あひる も、おんどり
も、たいそう 喜んで、みんな と 一しょ
に あそびました。
そこ へ、メリーさん の おかあさん が、
アイスクリーム と、ケーキ を 持って來て

≪p065≫
下さいました。
ぽち も、
ぶた も、
あひる
も、おんどり も、
みんな と 一=
しょ に ごち=
そう を いた=

≪p066≫
だきました。
花子さん は、うち へ かえって から、お=
かあさん に、
「おかあさん、私たち は、ほんとう に 面=
白う ございました。」
と 言いました。
おかあさん は、
「私たち とは、だれ と だれ です か。」

≪p067≫
と、ふしぎそう に お聞き に なりました。
「私たち です よ。ぽち、ぶた、あひる、お=
んどり、それから 私、みんな で 五人
です。五人 が ごちそう を いただいた
の です。」
花子さん が そう 言った ので、おかあさ=
ん は、たいそう お笑い に なりました。

≪p068≫
十 母の日
花子さん と、次郎さん と、きく子さん は、
おとうさん と おかあさん に、お休みなさ=
い を 言って、ベッドルーム に 行きま=
した。
花子さん が、小さい こえ で、
「あさって は 母の日 です よ。おかあさ=

≪p069≫
ん に、何 を 上げましょう。」
と 言いました。
「何 か、おかあさん の びっくり なさる
よう な 物 を 上げたい な。」
と、次郎さん が 言いました。きく子さん
は、しんぱいそう に、
「でも、わたし、お金 が ないんです もの。」
と 言いました。

≪p070≫
「お金 が なく ても、出來ます よ。」
と、花子さん が 言いました。
「どんな こと、ねえさん。」
「何 を 上げる の、ねえさん。」
きく子さん と 次郎さん が、聞きました。
花子さん は、考えて いた こと を、小さ=
い こえ で 話しました。
「それ が いい、それ が いい。」

≪p071≫
「きっと、おかあさん が お喜び に なる
でしょう。」
次郎さん も、きく子さん も、たいそう 喜=
びました。間もなく、三人 は、すやすや と
ねむって しまいました。
あくる日 は、土よう日 でした。三人 は、
學校 から かえる と、すぐ へや に 集=
って、何 か こしらえて いました。

≪p072≫
「あした は、おかあさ=
ん が きっと びっ=
くり なさる でしょ=
う。」
「おかあさん は、何
も 知らず に いら=
っしゃるんだ ね。」
「あす の 朝 は、おかあさん より 早く

≪p073≫
起きる の です よ。次郎ちゃん、朝ねぼ=
う して は だめ です よ。」
「僕、朝ねぼう なんか しない。早く あし=
た に なる と いい なあ。」
次郎さん は、元氣 よく そう 言いました。
あくる朝、次郎さん は、いつ も より 早=
く 目 を さまして、ねえさん と 妹 を
起しました。三人 は、おかあさん に 分か=

≪p074≫
らない よう に、そっと へや を 出まし=
た。そうして、だいどころ に 行って、ごは=
ん の したく を 始めました。
したく が すっかり 出來た ころ、
「けさ は、まあ、みんな どうした の で=
す。こんな に 早く 起きて。」
と 言いながら、おかあさん が 二かい か=
ら おりて いらっしゃいました。

≪p075≫
「おかあさん、お早う ございます。」
「おかあさん、お早う ございます。」
「おかあさん、お早う ございます。」
三人 は、めいめい、あいさつ を しました。
「おかあさん、ちょうど ごはん の したく
が 出來ました。」
と、花子さん が 言いました。おかあさん
が 行って ごらん に なる と、ちゃんと、

≪p076≫
朝はん の したく が 出來て いました。
テーブル の 上
には、パン も
バタ も、出して
あります。お皿
も コップ も、
ならべて ありま=
す。赤い カーネ=

≪p077≫
ーション の 花 も、かびん に さして
あります。おかあさん は びっくり して、
「まあ、まあ。」と おっしゃいました。
テーブル の 上 に、カード が 三枚 お=
いて あります。一枚 の カード には、
おかあさん、僕 は、これから 毎日
うえ木 に 水 を やります。
次 郎

≪p078≫
と 書いて あります。もう 一枚 には、
オカアサン、ワタクシ ハ、コレカラ
ジブン デ キモノ ヲ キマス。
キクコ
と 書いて あります。もう 一枚 には、
おかあさん、私 は、これから 毎朝
早く 起きて、ごはん の したく
を します。 花 子

≪p079≫
と 書いて あります。
おかあさん が、カード を よんで いらっ=
しゃる 所 へ、三人 が はいって 來まし=
た。おかあさん は、
「まあ、ありがとう。みんな いい子 に な=
りました ね。」
と 言って、たいそう お喜び に なりま=
した。

≪p080≫
十一 かえる
かえる の 子供 が、川ばた で あそんで
いました。
そこ へ 牛 が 來て、水 を のみました。
子がえる は、びっくり して、逃出しました。
子がえる は、あわてて うち へ かえりま=
した。そうして、おとうさんがえる と おか=

≪p081≫
あさんがえる に、
「今、大きい ばけ=
もの が、水 を
のみ に 來まし=
た よ。」
と 言いました。
近所 に いた 大=
がえる が、それ を 聞いて、

≪p082≫
「その 大きな ばけもの は、わたし くら=
い も あった か ね。」
と 聞きました。子がえる は、
「どうして どうして。あんな 大きな もの
は、今 まで 見た こと が ありません。」
と 答えました。
大きい の が じまん の 大がえる は、
うん と いき を すいこんで、おなか を

≪p083≫
ふくらませて、
「そんなら、この くらい も あった か
ね。」
と 言いました。子がえる は 首 を ふっ=
て、
「とても そんな もの では ありません。」
と 言いました。
「では、この くらい か ね。」

≪p084≫
と 言って、大がえる は、一そう おなか
を ふくらませました。子がえる は、
「おじさん、およし
なさい。いくら お=
なか を ふくらま=
せて も、かないま=
せん よ。」
と 言いました。

≪p085≫
けれども、大がえる は、今度 こそ と、一=
生けんめい に なって、いき を すいこみ=
ました。おなか は、まるで ふうせん玉 の
よう に ふくれました。すると、「ぽん。」と
大きい 音 が して、大がえる の おなか
が、やぶれて しまいました。
十二 うしわかまる

≪p086≫
月 の よい ばん でした。
うしわかまる が、ふえ を 吹きながら 歩=
いて いました。
五じょう の はし に 來ます と、
「待て。」
と、言う もの が あります。
見る と、大なぎなた を 持った 大きな
男 が 立って います。

≪p087≫
うしわかまる は、
「だれ だ。何 の 用 か。」
と 言いました。
「べんけい だ。その 刀 を よこせ。よい
刀 を 千本 集める つもり で、九百九=
十九本 は 取った。もう 一本 で 千本
だ。さあ、刀 を 出せ。」
うしわかまる は、びく とも しません。

≪p088≫
「刀 が ほしい か。ほしければ 取って
み よ。」
と 言いました。
べんけい は、大なぎなた を ふりまわして、
切って かかりました。
うしわかまる は、ひらりと らんかん の
上 に とび上りました。
べんけい が 上 を 切る と、うしわかま=

≪p089≫
る は 下 へ と=
びおります。右 を
切れば、左 へ と=
びのき、左 を 切=
れば、右 へ とび=
のきます。
強い べんけい も、
だんだん つかれて

≪p090≫
來ました。
うしわかまる は、その 時、おうぎ で べ=
んけい の うで を 強く たたきました。
べんけい の 大なぎなた が がらりと 落=
ちて しまいました。
とうとう、べんけい は こうさん しました。
そうして、うしわかまる の けらい に な=
りました。

≪p091≫
十三 とんぼ
とんぼ、とんぼ。
にわ の かきね に、
とんぼ が 一匹
とまった。
ぐるり ぐるり、

≪p092≫
指 で わ を かく と、
ぎらり ぎらり、
目玉 が 光る。
ちょっと 羽 を
つまもう と したら、
すいと、あっち へ
逃げて 行った。

≪p093≫
十四 お使
おとうさん は、にわ の 草 を かって
いらっしゃいます。
おじいさん は、うえ木 に 水 を やって
いらっしゃいます。
おかあさん は、せんたく を して いらっ=
しゃいます。

≪p094≫
おばあさん は、ぬい物 を して いらっ=
しゃいます。
友一 が、うた を うたいながら、かえって
來ました。
「友一、ちょっと 店 へ 行って、草かりが=
ま を 一ちょう 買って 來て おくれ。」
おとうさん が、草かりミシン の 手 を
やめて、そう おっしゃいました。

≪p095≫
「はい、行ってま=
いります。」
すると、おじいさん
が おっしゃいまし=
た。
「おじいさん にも、
朝顔 の 種 を
一ふくろ 買って

≪p096≫
來て おくれ。」
「はい。」
友一 は、うた を うたう よう に、
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。」
と、くりかえし くりかえし 言いながら、出=
かけ よう と しました。
すると、今度 は、おかあさん が お呼び

≪p097≫
に なりました。
「友ちゃん、おかあさん にも、パン を 一=
つ 買って 來て ちょうだい。」
「はい。」
友一 は、まど の 下を 通って 行きま=
した。
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。

≪p098≫
おかあさん には、パン 一つ。」
今度 は、又 おばあさん が お呼び に
なりました。
「友ちゃん、友ちゃん、おばあさん にも、こ=
んな糸を一まき買って來てちょ=
うだい。」
「はい。」
友一 は、おばあさん が お渡し に なっ=

≪p099≫
た 黒い 糸 を、左 の 手 の 指 に
まきつけました。
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。
おかあさん には、パン一つ。
おばあさん には、黒い 糸。」
こう 言いながら、出て 行きました。
間もなく 店 に つきました。

≪p100≫
「今日 は。」
「いらっしゃい。ぼっちゃ=
ん、何 を 上げます
か。」
と、店 の 人 が 言い=
ました。
「朝顔 の 種 は、おじ=
いさん。

≪p101≫
草かりがま は、おとうさん。
おかあさん には、パン 一つ。
おばあさん には、……。」
友一 は、おばあさん の 買物 を 忘れて
しまいました。
「おばあさん には、何 だった か なあ。」
「ぼっちゃん、おかし では ありません か。」
と、店 の 人 が 聞きました。

≪p102≫
「いいえ、そんな 物 では ないんです。待=
って 下さい、僕、今 考え出します から。」
友一 は、そば に あった はこ の 上
に こし を かけました。
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。
おかあさん には、パン 一つ。
おばあさん には、……。」

≪p103≫
何度 くりかえして 言って みて も、思い=
出せません。首 を 右 に まげて も、考=
え出せません。左 に まげて も、分かりま=
せん。
「おばあさん には、何 だった か なあ。」
友一 は 兩手 で、あご を ささえながら
考えました。すると、小指 の 黒い 糸 に
氣 が つきました。

≪p104≫
「あ、分かった。おばあさん には、黒い 糸。」
そう 言って、元氣 よく 立上りました。
店 の 人 は、笑って、
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。
おかあさん には、パン 一つ。
おばあさん には、黒い 糸。
ぼっちゃん、お使、ごくろうさん。」

≪p105≫
と、うた を うたう よう に 言いながら、
紙 に つつんで くれました。友一 は、
「朝顔 の 種 は、おじいさん。
草かりがま は、おとうさん。
おかあさん には、パン 一つ。
おばあさん には、黒い 糸。
ぼっちゃん、お使、ごくろうさん。」
と うたいながら、うち へ かえりました。

≪p106≫
課外

≪p107≫
金太郎
「おかあさん、けふ は、おむすび を たく=
さん こしらへて 下さい。」
と、金太郎 が、おかあさん に 言ひました。
「何 に します か。」
「けらいども に すまふ を 取らせる の
です。さうして、かった もの には、おむ=

≪p108≫
すび を、ごはうび に やる の です。」
「それでは、こしらへて 上げませう。」
おかあさん が、たくさん おむすび を こ=
しらへて 下さいました。金太郎 は、それ
を 持って、山 の おく へ はいって 行=
きました。
「おい、おい、みんな 集れ。」
と、金太郎 が 言ひました。すると、くま

≪p109≫
や、しか や、さる や、うさぎ が たくさ=
ん 集って 來ました。
「けふ は、ここ で すまふ を 取らう
では ない か。」
と、金太郎 が 言ひます と、うさぎ が、
耳 を ぴんと 立てて、
「それ は、面白う ございませう。」
と 言ひました。さる が、とがった 口 を

≪p110≫
もぐもぐ させて、
「私 は、すまふ が 大すき です。取りま=
せう、取りませう。」
と 言ひました。くま は、
「私 が 土へう を つくりませう。」
と 言って、土 を ほり始めました。さうし=
て、見る 間 に、りっぱな 土へう を こ=
しらへました。

≪p111≫
「さあ、土へう が 出來 た ぞ。みんな
取れ、取れ。」
と、くま が 言ひました。金太郎 は、立上=
って、元氣 の よい こゑ で、
「さあ、かった もの には、はうび を や=
る ぞ。しっかり やれ。」
と 言ひました。
「金太郎さま から、ごはうび が もらへる

≪p112≫
とさ。」
「それ は ありがたい ね。」
「よし、おれ が 一人 で、ごはうび を、
みんな もらふ ぞ。」
みんな は、わいわい さわぎながら 喜びま=
した。金太郎 は、土へう の わき に あぐ=
ら を かいて、にこにこ 笑って ゐました。
まっさき に、さる と うさぎ が、土へう

≪p113≫
の 上 へ とび出しました。しか が ぎゃ=
うじ に なりました。
「さう方 とも、よく 見あって。」
と 言って、さっと ぐんばいうちは を 引=
きます と、さる と うさぎ は すぐ に
立上りました。
しばらく おしたり おされたり して ゐま=
した が、なかなか しょうぶ が つきません。

≪p114≫
しか は 土へう の 上 を とびまはって、
「はっけよい、のこった、のこった。」
と、こゑ を かけて ゐました。そのうち
に、さる は、すき を ねらって、すばやく
うさぎ の 耳 を つかみました。うさぎ
は、一生けんめい に、首 を ふって、手
を はなさせよう と しました が、とうと=
う なげられました。

≪p115≫
金太郎 は さる に
おむすび を 一つ や=
りました。さる は、まっ=
かな かほ を しながら、
むしゃむしゃ と おむ=
すび を たべ始めまし=
た。うさぎ は、草 の
上 に すわりこんで、

≪p116≫
「まけて しまった。今度 は、きっと かっ=
て みせる。」
と 言ひました。
次 には、くま が、のこのこ と 土へう
の 上 に 上りました。さうして、しか の
方 に 向いて、
「おい、しかさん、一つ 取らう よ。」
と 言ひました。

≪p117≫
「よし 來た。」
と、しか が、ひょっこり と とび出して
來ました。うさぎ が ぎゃうじ に なりま=
した。ぎゃうじ が ぐんばいうちは を 引=
く と、しか は、長い つの を ふり立て=
て とびかかりました。くま は、足 を ず=
しんずしん と ふみならしながら、しか に
くみつきました。しばらく の 間 は、二人

≪p118≫
で、うんうん と 言ひながら、くみついて
ゐました が、くま は、しか の 前足 を
かかへて なげ出しました。
「くま の かち。」
と、うさぎ が、ぐんばいうちは を、くま
の 方 に 上げました。
くま は、金太郎 から、ごはうび の おむ=
すび を もらって、おいしさう に たべ始=

≪p119≫
めました。
しか と うさぎ は、うらやましさう に
それ を ながめて ゐました。すると、金太=
郎 は、
「しか も うさぎ も、ぎゃうじ を やっ=
て ごくらう で あった。」
と 言って、おむすび を 一つづつ やり=
ました。二人 は はねまはって 喜びました。

≪p120≫
今度 は、三ばんしょうぶ で、みんな が、
かはるがはる 取りくみました。金太郎 は、
しょうぶ の ある たび に、手 を たた=
いて 喜びました。しまひ には、自分 が
土へう に とびこんで、
「さあ、みんな で かかって 來い。」
と、大手 を ひろげました。始め には、う=
さぎ、それから さる と しか、一ばん お=

≪p121≫
しまひ に、くま が とびかかって 行きま=
した が、みんな、ころりころり と ころが=
されて しまひました。そのうち に、みんな
くたびれて 來ました ので、金太郎 は、
「けふ は、これ で おしまひ だ。又、あ=
す やらう。」
と 言って、おかあさん の 所 へ かへっ=
て 行きました。

≪p122≫
卷四新出漢字
動3 學3 校3 氣5 笑6 寸7 神7 指7 高8 舟10 供14 遠14 通16 忘17 買20 匹20 島23 作26
沖27 引27 海28 太31 紙31 顔32 耳32 茶32 色32 細33 合33 助38 皿41 黄41 始43 草44 度46 美47
糸49 困51 年51 逃52 夏53 町54 友54 喜56 着56 物56 近59 足62 道62 母68 知72 起73 元73 妹73
枚77 書78 牛80 答82 用87 千87 百87 強89 落90 羽92 使93 店94 種95 呼96 渡98 黒99 兩103
卷四讀替漢字
六{むつ}つ3 時{じ}6 一人{ひとり}7 生{しょう}17 金{きん}19 急{きゅう}22 間{ま}24 人{にん}30 舟{ふな}あそび35 下手{へた}38 今{こん}46 外{ほか}64
次{じ}68 土{ど}71 分{わ}からない73 近所{きんじょ}81 何{なん}87
卷一新出漢字

≪p123≫
子 中 大 立 一 二 三 四 五 行 外 六 七 八 九 十 目
卷二新出漢字
赤 小 白 青 今 木 下 持 上 切 入 言 見 畠 泣 出 月 日
光 山 虫 玉 拾 早 來 手 自 分 思 水 戸 方 首 私 前 先
生 休 貝 少 待 門 犬 川 時 男 名 向 刀 人 車
卷三新出漢字
花 君 取 受 長 石 重 同 本 穴 口 所 郎 次 毎 又 間 何
雲 風 空 吹 天 雨 夕 夜 星 右 面 左 朝 田 枝 考 僕 急
走 音 昔 土 金 話 聞 松 米 火 枯 咲 歩 集 (おわり)


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底本:ハワイ大学マノア校図書館ハワイ日本語学校教科書文庫蔵本(T580)
底本の出版年:1936年12月20日発行、1938年12月30日再版
入力校正担当者:高田智和
更新履歴:
2021年11月27日公開

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