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日本語読本NIHONGO TOKUHON[布哇教育会第2期]

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巻二

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日本語読本 巻二 [布哇教育会第2期]

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凡例
1.頁移りは、その頁の冒頭において、頁数を≪ ≫で囲んで示した。
2.行移りは原本にしたがった。
3.振り仮名は{ }で囲んで記載した。 〔例〕小豆{あずき}
4.振り仮名が付く本文中の漢字列の始まりには|を付けた。 〔例〕十五|仙{セント}
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≪目録 p001≫
モクロク
一 ハヤオキ 一
二 ヒヨコ 三
三 小ウマ 八
四 ヒコウキ 十一
五 ネズミ ノ ソウダン 十三
六 ワタクシ ノ ウチ 十六
七 シャボンダマ 十八
八 ナゾ 二十二
九 ユビ ノ ナ 二十三
十 オハナ 二十六
十一 マンゴ 二十八
十二 一口ばなし 三十一
十三 にし 三十四
十四 タケオ ノ シンセツ 三十五
十五 ワシントン の しょうじき 三十八
十六 おの の とうふう 四十一
十七 かえる と くも 四十四
十八 こくもつ 四十七
十九 おちよ のへんじ 五十二
二十 ウミ 五十四
二十一 三人 の 子ども 五十六
二十二 うらしま太郎 (一) 六十三

≪目録 p002≫
二十三 うらしま太郎 (二) 六十六
二十四 カニ 七十
二十五 私ども の こうち 七十三
二十六 ひなまつり 七十六
二十七 きょうだい 八十
二十八 日本一 の 山 八十二
二十九 右 と 左 八十四
三十 四方 八十六
三十一 さくら 八十七
三十二 さる の さいばん 九十
三十三 あきない の あそび 九十五
三十四 トケイ 九十八
三十五 とけい の うた 百
三十六 でんしゃ や きしゃ に のる 時 百三
三十七 白うさぎ (一) 百五
三十八 白うさぎ (二) 百九
三十九 タスカッタ 子供 百十五
四十 日と風 百十九
四十一 山びこ 百二十一
四十二 金太郎 百二十五
かがい
一 トマト畠 一
二 雨 の しずく 三
三 さる と かえる 六

≪p001≫
一 ハヤオキ
コウバ ノ キテキ ガ ボウボウト ナッテ
イマス。マダ ウスグロウ ゴザイマス ガ、
ケサ コソ ニイサン ヨリ サキ ニ オキ=
テ ミヨウ ト オモッテ、ソット ネドコ
ヲ 出マシタ。
マド ヲ アケル ト、ムコウ ノ ソラ ガ
ウスアカク ナッテ イマス。マイナ ガ ニ=

≪p002≫
三バ ナキ ナガラ トンデ イ=
キマス。
「アア、日ノ出 ガ ホントウニ
キレイ ダ。ニイサン、ニイサ=
ン。」
「オウイ。」ト、ニワ デ、ニイサ=
ン ノ コエ ガ シマス。
マタ 一シキリ ボウボウト キ=

≪p003≫
テキ ガ ナッテ、エントツ カラ ムクムク=
ト マックロナ ケムリ ガ 出マス。コウバ
デハ モウ シゴト ガ ハジマッテ イル
ラシイ。
ハヤク カオ ヲ アラッテ、ニイサン ト
一ショニ オサライ ヲ シマショウ。
二 ヒヨコ
二三日 マエ カラ メンドリ ガ ス ニ

≪p004≫
ツキマシタ。ケサ オカアサン ガ タマゴ
ヲ 入レテ オヤリ ニ ナリマシタ。メンド=
リ ハ、ヘンナ コエ ヲ タテテ イマシタ
ガ、見テ イル ウチ ニ、タマゴ ヲ ハラ
ノ 下 ニ ダイテ シマイマシタ。
エ ヤ 水 ヲ ヤッテ モ、見ムキ モ シ=
ナイデ、タマゴ ヲ アタタメテ イマス。
オカアサン ニ、

≪p005≫
「イツ ヒヨコ ガ 出マス カ。」
ト キキマス ト、
「二十日 バカリ タツ ト
出マス。」
ト オッシャイマシタ。
アル アサ、オカアサン ガ
「ヒヨコ ガ カエッタ。」
ト オッシャッタ ノデ、見 ニ イキマス

≪p006≫
ト、オヤドリ ノ ムネ ノ トコロ カラ、
ヒヨコ ガ 小サナ アタマ ヲ 出シテ、ピ=
ヨピヨ ト ナイテ イマシタ。ハネ ノ 下
ニモ、二三バ イル ヨウ デシタ。
ヒヨコ ガ ナク ト、オヤドリ ハ オハナ=
シ デモ スル ヨウ ニ、ココココ ト イッ=
テ イマシタ。
二三日 タツ ト、オヤドリ ハ ヒヨコ ヲ

≪p007≫
ニワ ヘ ツレ出シマシタ。ヒヨコ ハ ミン=
ナ デ 十パ デス。
ヒヨコ ハ、ホソイ アシ デ、チョコチョコ
アルキマス。タベモノ デモ サガス ノ デ=
ショウ。キイロイ クチバシ デ、トキドキ
ジメン ヲ ツツキマス。
ナノハ ヤ エ ヲ ヤル ト、ヒヨコ ハ
ミンナ ヨッテ キテ タベマス。オヤドリ

≪p008≫
ハ ナン ニモ タベナイデ、コ コ コ ト
イイ ナガラ、ソノ ヘン ヲ 見マワリマス。
ネコ ヤ 犬 ガ ソバ ヘ クル ト、オヤ=
ドリ ハ オコッテ ハネ ヲ サカダテマス。」
ワタクシ ハ ガッコウ カラ カエッテ、ヒ=
ヨコ ヲ 見ル ノ ガ タノシミ デス。
三 小ウマ
ハイシイ、ハイシイ、

≪p009≫
アユメ ヨ、小ウマ。
山 デモ、サカ デモ、
ズンズン アユメ。
オマエ ガ
ススメバ、
ワタシ モ
ススム。
アユメ ヨ、

≪p010≫
アユメ ヨ、
アシオト タカク。
パカパカ、パカパカ、
ハシレ ヨ 小ウマ。
ケレドモ イソイデ
ツマズク マイゾ。
オマエ ガ コロベバ、

≪p011≫
ワタシ モ コロブ。
ハシレ ヨ、ハシレ ヨ、
コロバヌ ヨウ ニ。
四 ヒコウキ
ケサ ヒコウキ ガ 三ダイ トビマシタ。プ=
ロペラ ノ オト ガ トウク ニ キコエマシ=
タ カラ、カケ出シテ 見ル ト、三ダイ ト=
モ 小サク 見エマシタ。見テ イル ウチ ニ

≪p012≫
ダンダン 大キク ナッテ キマシタ。ワタク=
シ ノ アタマ ノ 上 ニ キタ トキ ニ=
ハ、アンナ 大キナ モノ ガ ヨク トベル
モノ ダ ト オモイマシタ。
一ダイ ハ 大キク ワ ヲ カイテ マワリ=
マシタ。一ダイ ハ チュウガエリ ヲ シマ=
シタ。一ダイ ハ ダンダン タカク 上ッテ
行キマシタ。

≪p013≫
ソノ ウチ ニ、三ダイ トモ トウク ノ
方 ヘ トンデ 行ッテ、見エナク ナッテ
シマイマシタ。
五 ネズミ ノ ソウダン
アル日、ネズミ ガ クラ ノ スミ ニ ア=
ツマッテ、ソウダン ヲ ハジメマシタ。
「ココ ニハ 米 ガ タクサン アッテ ヨ=
イ ガ、ネコ ノ クル ノ ニハ コマル。

≪p014≫
ネコ ハ 足オト ヲ サ=
セナイ カラ、スグ ソバ
ヘ キテ モ ワカラナイ。
ドウ カ シテ ワカル
ヨウ ニ スル クフウ
ハ アルマイ カ。」
一バン 小サナ ネズミ ガ、
「ソレ ニハ、ネコ ノ ク=

≪p015≫
ビ ニ 大キナ スズ ヲ ツケタラ ドウ
デショウ。ソウ スレバ、クル ノ ガ ス=
グ ワカリマス。」
ト イイマシタ。
ミンナ ガ
「ソレ ハ オモシロイ。」
ト イイマシタ ガ、年トッタ ネズミ ガ、
「ソレ デハ、ダレ ガ ソノ スズ ヲ ツ=

≪p016≫
ケ ニ 行ク カ。」
ト イッタラ、ミンナ ダマッテ シマイマシ=
タ。
六 ワタクシ ノ ウチ
ワタクシ ノ ウチ ニハ、ニイサン ガ 三=
人、ネエサン ガ 一人、オトウト ト イモ=
ウト ガ 一人 ズツ アリマス。一バン 上
ノ ニイサン ハ イマ ホノルル ニ 行ッテ

≪p017≫
イマス。ワタクシ ハ ガッコウ カラ カエ=
ル ト、イモウト ノ モリ ヲ シマス。
オトウト ハ 犬 ガ スキ デ、イツモ パ=
ペ ト アソンデ イマス。
オトウサン ヤ ニイサン ハ、マイアサ ハヤ=
ク カラ、キビバタケ ヘ 行キマス。ウチ
ノ 人 ガ ミンナ 外 ヘ 出ル トキ ハ、
パペ ガ ルスバン ヲ シマス。

≪p018≫
ユウハン ガ スンダ アト デ、オトウサン
ハ、イロイロナ オモシロイ ハナシ ヲ キ=
カセテ 下サイマス。
七 シャボンダマ
「オカアサン、セッケン ヲ スコシ 下サイ。
ソレ カラ 皿 ヲ 一ツ カシテ 下サイ。」
「ナニ ヲ スル ノ デス カ。」
「シャボンダマ ヲ フキマス。」

≪p019≫
「デハ、コレ ヲ 上ゲマショウ。フク モノ ハ。」
「フルイ フデ ノ ジク ヲ ツカイマス。」
「ハナチャン モ ツレテ 行ッテ、一ショニ
オアソビ ナサイ。」
「ハイ、ハナチャン、オイデ ナサイ。」
アニ ハ ハナチャン ヲ ツレテ、ニワ ヘ
出マシタ。オ皿 ニ 水 ヲ スコシ 入レテ、
セッケン ヲ トカシマシタ。

≪p020≫
「ハナチャン、サア、フキマス ヨ。」
ハナチャン ガ 大キナ 目 ヲ シテ 見テ
イマス ト、ジク ノ サキ ニ 小サナ タ=
マ ガ 出マシタ。ダンダン 大キク ナッテ
ジク ヲ ハナレヨウ ト シテ、パット キ=
エマシタ。
「ア、シマッタ。コンド ハ ウマク 出マス
ヨ。」

≪p021≫
アニ ガ
マタ フ=
キマス ト、
大キナ タ=
マ ガ ツズイテ
三ツ 出マシタ。フワリ フワリト ヤネ ノ
上 ヘ トンデ 行キマシタ。ハナチャン ハ
手 ヲ タタイテ ヨロコビマシタ。

≪p022≫
八 ナゾ
ワタクシ ニハ、口 モ、目 モ、耳 モ ア=
リマセン。手 モ、足 モ アリマセン。マル=
イ ケレドモ、マリ ノ ヨウ ニ マンマル
デハ アリマセン。ウゴカズ ニ イマス ガ、
シンダ ノ デハ アリマセン。
ワタクシ ヲ コロガス コト ハ ダレ ニ=
モ デキマス ガ、立タセル コト ヤ、二ツ

≪p023≫
カサネル コト ハ、ドウシテ モ デキマセ=
ン。ワタクシ ハ 外 ガ カタクテ、中 ガ
ヤワラカ デス。カタイ モノ ニ アタレバ
コワレマス。
九 ユビ ノ ナ
ユウハン ガ スンダ アト デ、オトウサン
ガ ジロウ ニ タズネマシタ。
「オマエ ハ 手 ノ ユビ ノ ナ ヲ シッ=

≪p024≫
テ イマス カ。」
「シッテ イマス。一バン フトイ ノ ガ
オヤユビ デ、一バン ホソイ ノ ガ コ=
ユビ デス。」
「ソレ カラ。」
「ソレ カラ、一バン ナガイ ノ ガ 中ユ=
ビ デ、中ユビ ト オヤユビ ノ アイダ
ニ アル ノ ガ 人サシユビ、中ユビ ト

≪p025≫
コユビ ノ アイダ ニ アル ノ ガ ク=
スリユビ デス。」
「ソウ デス。ソレ デハ、足 ノ ユビ ノ
ナ ヲ シッテ イマス カ。」
「オナジ コト デショウ。」
「マア、イッテ ゴラン。」
「オヤユビ、人サシユビ。」
オトウサン ハ ワライ ナガラ、

≪p026≫
「ジロウ、オマエ ハ ソノ ユビ デ 人
ヲ サシマス カ。足 ノ ユビ ハ、オヤ
ユビ ト 小ユビ ノ ホカ ニハ、ナ ガ
ナイ ノ デ ス。」
ト オシエマシタ。
十 オハナ
オハナ ハ ガッコウ カラ カエル ト、オ=
ツカイ ニ 行ッタリ、ニワ ヲ ハイタリ

≪p027≫
シテ、オカアサン ノ オテツダイ ヲ シマ=
ス。アカチャン ガ ナキ出ス ト、スグ ソ=
バ ヘ ヨッテ、
「ねんねん ころりよ、
おころりよ。
ぼうや は よい子 だ、
ねんねしな。」
ト カワイラシイ コエ デ、子モリウタ ヲ

≪p028≫
ウタイマス。ソレ デモ マダ アカチャン
ガ ナク トキ ニハ、
「オカアサン、アカチャン ニ オチチ ヲ
ノマセテ チョウダイ。」
ト イッテ、ダッコ ヲ シテ、オカアサン
ノ トコロ ヘ ツレテ 行キマス。
オハナ ハ コトシ マダ 八ツ デス。
十一 マンゴ

≪p029≫
私 ドモ ノ スンデ イル ハワイ ノ シマ=
ジマ ニハ、ドコ ヘ 行ッテ モ、マンゴ ノ
木 ガ タクサン アリマス。エダ モ 見エ=
ナイ ホド ニ ミドリイロ ノ ハ ガ シ=
ゲッテ イテ、小エダ ノ サキ ニ、マンゴ
ガ タクサン 下ッテ イル ノ ハ、マコト=
ニ ミゴト ナ モノ デス。」
マンゴ ハ、ハワイ ノ クダモノ ノ 中

≪p030≫
デ、一バン オイシュウ ゴザイマス。シカシ
アマリ タクサン タベタリ、マダ ヨク ジュ=
クサナイ ノ ヲ タベタリ シテ ハ イケ=
マセン。
マンゴ ハ クサリヤスイ モノ デス カラ、
ヨソ ノ クニ ヘ オクル コト ハ デキ=
マセン。マンゴ ノ 木 ノ エダ ハ オレ=
ヤスイ モノ デス カラ、キ ヲ ツケナケ=

≪p031≫
レバ イケマセン。マンゴ ヲ トリ ニ 上ッ=
テ、木 カラ オチテ ケガ ヲ スル 人
ガ タクサン アリマス。
十二 一口ばなし
一 雨 の あな
子ども が そら一めん の 星 を 見て、
「ああ わかった。あの 光る ところ が
雨 の ふる あな だ。」

≪p032≫
二 星とり
「おい、長い さお を ふりまわして、何 を
して いる の だ。」
「星 を 二つ 三つ はたきおとそう と し=
て いる の だ。」
「おかしい こと を ゆう。そんな ところ
で とどく もの か。やね へ 上って は=
たけ。」

≪p033≫
三 星 の かず
ある ばん、弟 が にわ へ 出て、「一つ
二つ」と かぞえて いました。兄 が
「おまえ 何 を かぞえて いる の だ。」
と たずねます と、
弟「星 を かぞえて います。」
兄「こんな くらい ばん に かぞえない で、
ひる かぞえる が よい。」

≪p034≫
十三 にじ
赤 かば きいろ
みどりいろ、
あお あい むらさき
七色 の、
だんだらぞめ の
にし の おび。

≪p035≫
あさ雨 夕雨
はれた あと、
あさ日 夕日 に
むきあって、
そら を いろどる
にじ の はし。
十四 タケオ ノ シンセツ
アル 日、タケオ ガ ガッコウ ヘ 行ク

≪p036≫
ミチ デ、女 ノ 子 ガ 一人 ナイテ イ=
マシタ。コノ 子 ハ、コトシ ガッコウ ヘ
ハイッタ 一年セイ デス。
「ドウ シマシタ。ナゼ ナク ノ デス カ。」
「コノ 石 ニ ツマズイテ、手 ヲ コンナ=
ニ スリムキマシタ。」
「ソレ ハ イタイ デショウ。今 私 ガ
ヨク シテ 上ゲマス。」

≪p037≫
タケオ ハ ジブン ノ ハンカチ ヲ サイ=
テ、ホウタイ ヲ シテ ヤリマシタ。
「モウ イタク ナイ デショウ。」
「ハイ、アリガトウ。モウ イタク アリマセ=
ン。」
「サア、一ショニ 行キマショウ。」
タケオ ハ ミチ ノ マン中 ニ アッタ
石 ヲ トリノケ、女 ノ 子 ヲ ツレテ、

≪p038≫
ガッコウ ヘ 行キマシタ。
十五 ワシントン の しょうじき
ワシントン が 六つ の とき でした。父
から 手おの を 一ちょう もらいました。
よろこんで にわ へ 出て、なに か きって
みよう と、一本 の さくら の 木 を
きりたおしました。
それ は、父 の 一ばん だいじ に して

≪p039≫
いた さくら の 木
でした。父 は しばら=
くして にわ へ 出て、
この ありさま を 見=
ました。ワシントン を、
よんで、
「おまえ は だれ が
この 木 を 切った

≪p040≫
か しって いる か。」
と といました。ワシントン は 父 の こ=
とば を きいて、はじめて わるい こと
を した と、き が ついて
「それ は 私 で ございます。おとうさん
から いただいた おの を ためそう と
おもって、つい 切りました。」
と、いって わびました。父 は ワシントン

≪p041≫
を だきあげて、
「おまえ の しょうじきな の は、なによ=
り も うれしい。私 の すきな 木 な=
ど は、みんな なく なって も おしく=
ない。」
と いった そう です。
十六 おの の とうふう
昔 おの の とうふう と ゆう 人 が

≪p042≫
ありました。わかい とき じ を ならいま=
した が、うまく かけません ので、こまって
いました。
ある とき、雨 の ふる 日 に、とうふう
が にわ へ 出て、池 の はた を とう=
ります と、しだれやなぎ の えだ に、か=
える が とびつこう と して います。
かえる は やなぎ の つゆ を、虫 と

≪p043≫
でも おもった の でしょう、とんで は
おち、とんで は おち、なんべん も、とび=
つこう と します。だんだん 高く とべる
よう に なっ=
て、とうとう
やなぎ に と=
びつきました。
とうふう は

≪p044≫
これ を 見て、この かえる の よう に、
こんき が よければ、なにごと も できな=
い こと は ない と さとりました。
それ から は、一しょうけんめいに なって、
ならいました。ずんずん 手 が 上って、の=
ち には 名高い かき手 と なりました。
十七 かえる と くも
しだれやなぎ に

≪p045≫
とびつく かえる、
とんで は おち、
おちて は とび、
おちて も おちて も、
また とぶ ほど に、
とうとう やなぎ に
とびついた。

≪p046≫
風 ふく 小えだ に
す を はる 小ぐも、
はって は 切れ、
切れて は はり、
切れて も、切れて も、
また はる ほど に、
とうとう 小えだ に
す を はった。

≪p047≫
十八 こくもつ
三郎 の うち では、夕はん が 今 すん=
で、みな あつまって いろいろ はなし を して
います。
母 が 父 に
「もう すぐ お正月 です から、もち米
を ようい しなければ なりません。」
と いいます と、三郎 は それ を きいて、

≪p048≫
「もち に する 米 と、ごはん の 米
は、どう ちがいます か。」
母「おもち に する の は もち米 です。
ごはん の 米 は ねばりけ が 少い
から、おもち には なりません。」
その とき 姉 の おはる は、
「三郎 さん は、まだ それ を 知らなかっ=
た の です か。それ では、うどん や

≪p049≫
そうめん は 何 で つくります か。」
三郎「知って います とも。むぎ です。それ
から パン を つくる の も、むぎ です。」
おはる「むぎ には、大むぎ と 小むぎ が あ=
ります。うどん や そうめん や パン
を つくる の は、小むぎ です。」
兄 の 一郎 が また よこ から、
「こんど は にいさん が ききます が、も=

≪p050≫
ち や だんご の あん は、何 で つ=
くる の です か。」
三郎「豆 です。」
一郎「だんご に つける こな は。」
三郎「あれ も 豆 です。」
一郎「それ では あん の 豆 と だんご
に つける こな の 豆 と、同じ です
か、ちがいます か。」

≪p051≫
三郎「それ は 知りません。」
一郎「あん に する の は 小豆{あずき} と ゆう
豆 で、こな に する の は 大豆{だいず} と
ゆう 豆 です。こな は きなこ と い=
います。」
父 は 三郎 の あたま を なで ながら、
「三郎 は こんや は 大そう もの知り
に なった ね。」

≪p052≫
と いいました。
十九 おちよ の へんじ
おちよ は 今年 八つ に なります。
いつ よばれて も、「はい」と はっきり こ=
たえます。
どんな おもしろい あそび を して いる
とき でも、よばれれば「はい」と へんじ
を して、すぐ 立って いきます。

≪p053≫
何 を いいつけられて も、「はい」と いって、
すぐ とりかかります。
おちよ が いや そう な へんじ を し=
たり、「はい」と いって ぐずぐずして いた=
り する よう な こと は、けっして あ=
りません。
おちよ は がっこう でも 大そう よく
できます。

≪p054≫
二十 ウミ
ウミ ノ 水 ガ 青青ト シテ、ドコ マ=
デ モ ツズイテ イマス。トウク ノ 方
デハ、青ゾラ ト 一ショニ ナッテ イル
ヨウ ニ 見エマス。
キョウ ハ ナミ ガ オダヤカ デ、舟 ガ
タクサン オキ ヘ 出テ イマス。ホ ヲ
カケテ イル ノ モ アリ、カケテ イナイ

≪p055≫
ノ モ アリマス。
クロイ ケムリ ヲ 出シ
テ ハシッテ 行ク キセ
ン モ アリマス。左 ノ
方 ニ、ハナレバナレ ニ
ナッテ イル ノ ハ、魚
ヲ ツッテ イル 舟 デ
ショウ。

≪p056≫
コレ カラ ハマベ ノ 木 ノ 下 ヘ 行ッ=
テ アソビマショウ。アソコ ニハ イロイロ=
ナ 貝 ヤ、ウツクシイ 小石 ガ タクサン
アリマス。
二十一 三人 の 子ども
三人 の 子ども が あそんで いました。
そこ へ 神さま が おいで に なって、
「なん でも ねがい が ある なら いって

≪p057≫
ごらん。」
と おっしゃいました。
一郎 は、
「おいしい おかし を、いくら たべて も
なくならない ほど いただきとう ござい
ます。」
「やさしい ねがい だ。」
神さま は こう いって、一郎 の あたま

≪p058≫
を おなで に なる と 一郎 は ねむって
しまいました。
次郎 は、
「おもちゃ が たくさん ほしい と おも=
います。」
「やすい ねがい だ。」
と いって、神さま は 次郎 の あたま
を おなで に なる と、次郎 は ねむっ=

≪p059≫
て しまいました。
三郎 は、
「先生 に おそわる こと が すっかり
わかる よう に なりたい と おもいま=
す。」
「りっぱな ねがい だ。」
神さま は こう いって、三郎 の あたま
を おなで に なる と、三郎 は ねむって

≪p060≫
しまいました。
その うち に 一郎 が くるしみはじめま=
した。神さま が かた を おなで に な=
る と、一郎 は 目 を さまして、
「神さま、もう もう おかし は いや です。
はじめ は おいしゅう ございました が、
だんだん まずく なって、しまい には
いや に なりました。そうして おなか

≪p061≫
が いたく なりました。」
と いいました。
その うち に 次郎 が くるしみはじめま=
した。神さま が かた を おなで に な=
る と、次郎 は 目 を さまして、
「神さま、もう もう おもちゃ は いや
に なりました。どんな めずらしい もの
を あつめて も、おもしろく ありません。」

≪p062≫
と いいました。
三郎 は ねむって い ながら、にこにこ わ=
らって いました。神さま が おこして お=
たずね に なる と、
「先生 に おそわる こと が なん でも
わかります から、うれしくて たまりませ=
ん。神さま どうぞ いつまで も この よ=
う に して まもって 下さい。」

≪p063≫
と いいました。
二十二 うらしま太郎 (一)
むかし うらしま太郎 と ゆう 人 が あ=
りました。
ある 日、海べ へ 行って 見る と、子ど=
も が 大ぜい で かめ を つかまえて、
おもちゃ に して います。うらしま は
かわい そう に おもって、子ども から

≪p064≫
その かめ を 買って
海 へ はなして やり=
ました。
それ から 二三日 たっ=
て、うらしま が 舟
に のって つり を
して いる と、大きな
かめ が 出て きて、

≪p065≫
「うらしま さん、この あいだ は ありが=
とう ございました。おれい に りゅうぐ=
う へ つれて 行って あげましょう。私
の せなか へ おのり なさい。」
と いいました。うらしま が よろこんで、
かめ に のる と、かめ は だんだん 海
の 中 へ はいって 行って、まもなく りゅう=
ぐう へ つきました。

≪p066≫
りゅうぐう の おとひめ は、うらしま の
きた の を よろこんで、毎日 いろいろな
ごちそう を したり、さまざま の あそび
を したり して 見せました。
うらしま は おもしろがって、うち へ か=
える の も わすれて いました。
二十三 うらしま太郎 (二)
その うち に かえりたく なった から、あ=

≪p067≫
る 日 おとひめ に、
「いろいろ おせわ に なって、ありがとう
ございます が、あまり 長く なります
から、うち へ かえりましょう。」
と いいました。
おとひめ は
「まことに おなごりおしい こと で ござ=
います。それ では おわかれ の しるし

≪p068≫
に、この はこ を あげます。ど=
んな こと が あって も、ふた
を おあけ なさいます な。」
と いって、きれいな はこ を
わたしました。
うらしま は はこ を もらって、
また かめ の せなか に のっ=
て、海 の 上 へ 出て きま=

≪p069≫
した。
うち へ かえって みる
と、おどろきました、
父 も 母 も し=
んで しまって、
じぶん の うち
も 何 も あり=
ません。友だち

≪p070≫
も みんな いなく なって、知って いる
もの は 一人 も ありません。かなしくて
たまりません から、おとひめ の いっ た
こと も わすれて、はこ を あける と、
中 から 白い けむり が ぱっと 出て、
うらしま は しらが の おじいさん に
なって しまいました。
二十四 カニ

≪p071≫
白イ スナ ノ 上 ニ、ナミ ガ シズカニ
ウチヨセテ イマス。ムコウ ノ 岩 ノ ア=
イダ カラ、カニ ガ 出テ キマシタ。
岩 ノ 上 デハ シズカニ
アルイテ イマシタ ガ、スナ
ノ 上 ヘ クル ト、イソ=
イデ 走リハジメマシタ。アレ、
アノ ヨコ ヘ ヨコ ヘ ト

≪p072≫
走ル ヨウス ガ オモシロイ デハ アリマ=
セン カ。
アノ スナ ノ 小サナ アナ カラ モ、一=
ピキ ノゾイテ イマス。ソノ トナリ ノ
アナ カラ モ、一ピキ 出テ、アタリ ヲ
見テ イマス。
ナミウチギワ デハ 大キナ カニ ト 小サ=
ナ カニ ガ、何 カ 話 ヲ シテ イル

≪p073≫
ヨウ デス。大キナ ナミ ガ ウチヨセテ
來タ ノデ、二ヒキ トモ 見エナク ナリマ=
シタ。キット 海 ノ 中 ヘ ツレテ 行カ=
レテ、今ゴロ ハ、ナミ ノ ソコ ノ スナ
ノ 上 ヲ 走ッテ イル ノ デショウ。
二十五 私 ども の こうち
私 ども の きんじょ は きびばたけ ば=
かり で、いえ は ありません。こうち の

≪p074≫
まん中 に ある の は、さとう の せい=
ぞうば で、ここ では 一ばん 大きな た=
てもの で ございます。
その となり には、ゆうびんきょく と びょう=
いん が あります。ゆうびんきょく の よ=
こ を 右 へ まがって、すこし 行く と、
いえ が ならんで おります。その 間 を
とうって、左 へ すすむ と、ていしゃば

≪p075≫
に 出ます。
ていしゃば の あたり は まち に なって
いて、くすりや・とこや・そのほか いろいろ=
な 店 が あります。きしゃ は ひるまえ
に 三ど と、ひるから 三ど とうります。
一ばん しまい に とうる の が 五じは=
ん です から、それ が とうる と、もう
よる に なる と いって、あそんで いる

≪p076≫
子ども は みんな うち へ かえります。
私 ども の こうち には、日本 の いな=
か の よう に、たくさんな 田 や やさ=
いばたけ は ありません。
二十六 ひなまつり
きょう は ひなあそび の 日 です。おは=
る は 姉 に 手つだって いただいて、お=
ひなさま を かざりました。

≪p077≫
一ばん 上 の だん には、だいりさま を
ならべて、その 左 と 右 に、うつくしい
しょくだい
を 立てま=
した。二だ=
んめ には、
かんじょ を
すえて、三=

≪p078≫
だんめ には、五人ばやし を おきました。
四だんめ には、小さな たんす や ながも=
ち など を ならべました。また その つ=
ぎ の だん には、ひしもち と おぜん
を そなえて、花いけ には もも の 花
を いけました。
すっかり かざって から、母 の ところ
へ 行って、

≪p079≫
「おかあさま、おひなさま を かざりました
から、ごらん 下さい。」
と いいました。母 は 來て 見て、
「大そう よく かざれました。まあ、うつく=
しい こと。おちよ さん や おまつ さ=
ん を よんで、おあそび なさい。」
と いいました。おはる は よろこんで、友=
だち を よびあつめて あそびました。

≪p080≫
二十七 きょうだい
三人 の きょうだい が ありました。兄
は りんご を 一つ もって いました が、
弟 に それ を やったら、どんなに よ=
ろこぶ だろう と 思いまして、弟 の と=
ころ へ もって 行って やりました。とこ=
ろ が、弟 は また 小さな いもうと に
やったら、どんなに よろこぶ だろう と

≪p081≫
思いまして、にいさん から いただいた の
を 妹 の ところ へ もって 行って や=
りました。すると、小さな 妹 は 自分 で
それ を たべないで、「私 は これ を お=
かあさん に 上げましょう。」と いって、そ=
れ を おかあさん の ところ へ もって
行って 上げました。
おかあさん は 女の子 を だき上げて、

≪p082≫
「神さま や ほとけさま は、きっと おま=
え たち と 一しょに いて 下さる。」
と いって よろこびました。
二十八 日本一 の 山
あたま を 雲 の 上 に 出し、
四方 の 山 を 見おろして、
かみなりさま を 下 に きく、
ふじ は 日本一 の 山。

≪p083≫
青ぞら 高く そびえたち、
からだ に ゆき の きもの きて、

≪p084≫
かすみ の すそ を とうく ひく、
ふじ は 日本一 の 山。
二十九 右 と 左
ごはん を たべる とき に、はし を も=
つ 方 の 手 は 右 で、ちゃわん を
もつ 方 の 手 は 左 です。
たいそう の とき あるき出す の は、左
の 足 で、おけいこ の とき あげる の

≪p085≫
は、右 の 手 です。また おもい もの
を、右 の 手 に もつ とき には、から=
だ を 左 の 方 へ まげ、左 の 手
に おもい もの を もつ とき には、か=
らだ を 右 の 方 へ まげます。
それ から、みち を あるく とき には、
右がわ を とうる こと に なって いま=
す。

≪p086≫
三十 四方
日 ノ 出ル 方 ガ 東 デ、日 ノ ハイ=
ル 方 ガ 西 デス。
東 ヘ ムイテ リョウ手
ヲ ヒロゲル ト、右 ノ
手 ノ 方 ガ 南 デ、左
ノ 手 ノ 方 ガ 北 デス。」
東 西 南 北 ヲ 四方 ト イイマス。

≪p087≫
三十一 さくら
日本 は まことに けしき の よい くに
で、山 や たに の ながめ も、え に
かいた よう に きれい です。はる に
なって だんだん あたたかく なる と、の
にも 山 にも、一めんに いろいろな 花
が さきそろいます。その 中 で 一ばん
うつくしい の は さくら の 花 でしょ=

≪p088≫
う。
日本 には、山 にも
たに にも、さくら の
木 が たくさん あり=
ます。がっこう の に=
わ にも、こうえん に=
も、おみや や おてら
の にわ にも、たいて=

≪p089≫
い さくら の 木 が うえて あります。
花ざかり に なる と、人 が 大ぜい お=
花見 を して、たいそう にぎやか です。
あたたかい 風 が そよそよと 吹いて 來=
て、さくら の 花びら が ちらちらと ち=
る の も うつくしく、ひらひらと とんで
いく の も おもしろう ございます。朝日
が さして、さくら の 花 の つゆ が

≪p090≫
きらきらと 光る うつくしさ は 何 と
も いえない ほど です。
さくら は 花ざかり に なる と、まもな=
く ちって しまって、わかば が だんだん
みどり色 に なります。
三十二 さる の さいばん
ぶち と 白 が みち で 大きな 肉 を
ひろいました。

≪p091≫
しろ「ぶち さん、わけましょう。」
と いって、白 が 肉 を 二つ に かみ=
切りました。そうして 小さい 方 を ぶち
に わたそう と しました。
ぶち「白 さん、そちら の 方 を 私 が
もらいましょう。」
しろ「いや、こちら の 方 は 私 が とり=
ます。」

≪p092≫
ぶち「いいえ、こちら の 方 が あなた の
です。」
しろ「そんな こと は ありません。そちら
の 方 が あなた の です。」
ぶち「それ では さる さん の 所 へ 行っ=
て、さいばん を して もらいましょう。」
しろ「では そう しましょう。」
さる は 犬 の 話 を きいて、

≪p093≫
さる「目 で 見た だけ では、どちら が
大きい か よく わかりません。目方 を
はかって みましょう。」
と いって、はかり を 出して 來ました。
りょう方 の 皿 に 肉 を 一きれ ずつ
のせて、
さる「右 の 方 が 少し おもい。」
と いい ながら、一口 くいとって、その

≪p094≫
のこり を 皿 に のせました。
さる「おや 左 の 方 が おもく なった。」
と いって、こんど は 左 の 方 の 肉
を 一口 たべました。
こんなに して 何ど かけて みて も、は=
かり が 平 に なりません。その 中 に、
肉 が だんだん 小さく なって、とうとう
なくなって しまいました。

≪p095≫
三十三 あきない の あそび
おまつ が おとみ と あきない の あそ=
び を して います。おまつ の 店 には、
糸 や きれ や えんぴつ や かみ が
ならべて あります。
おとみ「その 糸 は 一まき いくら です か。」
おまつ「十五|仙{セント} です。」
おとみ「それ では それ を いただきましょう。

≪p096≫
それ から えんぴつ
を 見せて 下さい。」
おまつ は 太い えん=
ぴつ と、細い えんぴ=
つ を 出して、
おまつ「この 太い の が
一本 十|仙{セント} で、細い
の は 五|仙{セント} です。」

≪p097≫
おとみ「その 細い の を 二本 下さい。みん=
な で いくら に なります か。」
おまつ は 糸 と えんぴつ を かみ に
つつんで、わたし ながら、
おまつ「糸 が 十五|仙{セント}、えんぴつ が 十|仙{セント}、み=
んな で 二十五|仙{セント} に なります。」
おとみ は まるく 切った 白い 紙 を
三つ 出して、

≪p098≫
「三十|仙{セント} 上げます から、これ で 取って
下さい。」
おまつ は 五|仙{セント} つり を わたして、
「毎ど ありがとう ございます。」
三十四 トケイ
皆サン ハ、トケイ ノ 見方 ヲ 知ッテ
イマス カ。
皆サン ハ、トケイ ニ カイテ アル 字

≪p099≫
ガ ヨメマス カ。
トケイ ノ 長イ ハリ ト、ミジカイ ハリ
ハ、ドチラ ガ 早ク マワリマス カ。
トケイ ガ ナル 時 ニハ、長イ ハリ ハ
ドコ ニ アリマス カ。
皆サン ガ アサ オキル
時 ニハ、ミジカイ ハリ
ガ ドノ 字 ノ トコロ

≪p100≫
ニ アリマス カ。
皆サン ガ ヨル ネル 時 ニハ、ミジカイ
ハリ ガ ドノ 字 ノ トコロ ニ アリマ=
ス カ。
一日 ノ 中 ニハ 何時間 ガッコウ ニ
イマス カ。
三十五 とけい の うた
とけい は 朝 から

≪p101≫
かっちん、かっちん。
おんなじ ひびき で、
うごいて おれども、
ちっとも おんなじ
ところ を ささず に、
ばん まで こう して、
かっちん、かっちん。

≪p102≫
とけい は ばん でも
かっちん、かっちん。
われ ら が ねどこ で、
休んで おる ま も、
ちっとも 休まず、
いき を も つがず に、
朝 まで こう して、
かっちん、かっちん。

≪p103≫
三十六 でんしゃ や きしゃ に
のる 時
でんしゃ や きしゃ では、下りる 人 が
先 で、のる 人 が あと です。
五郎 は、下りる 人 が まだ ある の に
かまわず のりこみました。のって から す=
ぐ まど の 外 を 見よう と して、ど=
ろ の くつ を 人 の 方 に むけまし=

≪p104≫
た。これ は よく ない こと です。
一郎 は あかんぼ を おうた 人 に、
「ここ に おかけ なさい。」
と いって 立ちました。それ から 下りる
時 に、人 を むり に おしのけない で、
しずかに 出て 行きました。一郎 は かん=
しんな 子供 です。
でんしゃ や きしゃ では、人 に めいわ=

≪p105≫
く を かけない よう に、き を つけね=
ば なりません。
三十七 白うさぎ (一)
島 に いた 白うさぎ が、むこう の お=
か へ わたって みたい と 思いました
けれども、海 を わたる くふう が つき=
ません。ある 日 はまべ へ 出て みる
と、わにざめ が いました から、

≪p106≫
「おまえ の なかま と
わたし の なかま と
どっち が 多い か、く=
らべて みよう。」
と いいました。わにざめ は、
「それ は おもしろかろう。」
と こたえて、すぐに なか=
ま を 大ぜい つれて き=

≪p107≫
ました。
白うさぎ は これ を 見て、
「なるほど、おまえ の な=
かま は ずいぶん 多い。
わたし の 方 が 少い
か も 知れない。おまえ
たち の せなか の 上 を あるいて、
かぞえて みる から、むこう の おか

≪p108≫
まで ならんで み よ。」
と いいました。
わにざめ は 白うさぎ の いう とうり
に ならびました。白うさぎ は 一つ 二つ
と かぞえて、わたって 行きました が、い=
ま 一足 で きし へ 上ろう と ゆう
ところ で、
「おまえ たち は うまく わたし に だ=

≪p109≫
まされた な。わたし は ここ の おか
へ 來たかった の だ。」
と いって わらいました。
わにざめ は それ を きく と、大そう
おこって、白うさぎ を つかまえて、からだ
の 毛 を みんな むしり取って しまいま=
した。
三十八 白うさぎ (二)

≪p110≫
白うさぎ は いたくて たまりません から、
はまべ に 立って、泣いて いました。そこ
へ 大ぜい の 神さま が おとうりがかり
に なって、
「なぜ なく の か。」
と おたずね に なりました。わけ を 申=
し上げます と、
「それ なら 海 の 水 を あびて、ねて

≪p111≫
いる が よい。」
と おおしえ に なりました。
白うさぎ は すぐ 海 の 水 を あびま
した が、まえ より も かえって いたく
なって、一そう くるしんで いました。
そこ へ 大國主{おうくにぬし}のみこと と ゆう 神様
が おいで に なりました。この 神様 は
さきほど おとうり に なった 神様 方 の

≪p112≫
弟 の 方 です。重い ふくろ を かつい=
で いらっしゃった ので、兄神様 方 に お=
おくれ に なった の です。
この 神様 も、
「なぜ 泣く の か。」
と、おたずね に なりました。白うさぎ は
目 を こすって また その わけ を 申=
し上げました。すると、神様 は

≪p113≫
「それ は かわい そう な こと だ。それ
なら 早く 川 へ 行って、しおけ の
ない 水 で からだ を 洗って、がま
の ほ を しいて
ころがる が よい。」
と おしえて 下さいま=
した。
白うさぎ が その と=

≪p114≫
うり に します と、からだ は すっかり
もと の よう に なおりました。よろこん=
で 大國主{おうくにぬし}のみこと の ところ へ おれい
に 行って、
「おかげさま で、からだ は この とうり
に なおりました。あなた は おなさけぶ=
かい お方 です から、のち には きっと
おえらく おなり に なります。」

≪p115≫
と 申し上げました。
その のち、大國主{おうくにぬし}のみこと は、白うさぎ
の いった とうり、えらい お方 に おな=
り に なりました。
三十九 タスカッタ 子供
文太郎 ガ 重イ ビョウキ ニ カカリマシ=
タ。カカリツケ ノ イシャ モ、「ヨホド ダ=
イジ ニ シナケレバ タスカルマイ。」ト イッ=

≪p116≫
タ ノデ、父 母 ノ シンパイ ハ 一トウ=
リ デハ ゴザイマセン デシタ。
文太郎 ハ オトナシイ 子 デス。父 母
ノ シンパイスル ノ ヲ 見テ、ドウ カ
シテ ナオリタイ ト 思イマシタ。イシャ
ノ ユウ コト ヲ ヨク キイテ、ドンナ
ノミニクイ クスリ デモ ヨロコンデ ノミ=
マシタ。イロイロナ 手アテ ヲ シテ モラ=

≪p117≫
ウ 時 ハ、ワキ デ 見テ イテ モ 苦シ
ソウ デシタ ガ、イツ デモ ジット ガマ=
ンシマシタ。ウゴク ナ ト イワレタ 時
ハ、長イ 間 ウゴカズ ニ イマシタ。イシャ
モ カンシンシテ、「コンナニ ヨク ユウ コ=
ト ヲ キイテ クレレバ、キット ナオル
ダロウ。」ト イイマシタ。
十日 ホド タツ ト、ダンダン ヨイ 方

≪p118≫
ニ 向イマシタ。ナオリガケ ニハ 何 デモ
タベタイ モノ デス ガ、文太郎 ハ イシャ
ノ ユルシタ モノ ノ 外 ハ、何 モ ノ=
ンダリ タベタリ シマセン デシタ。
二十日 モ タタナイ ウチ ニ、ビョウキ
ガ スッカリ ヨク ナリマシタ。イシャ ハ
カンシンシテ、
「コノ ビョウキ ハ、マッタク コノ 才子=

≪p119≫
サン ノ ヨウジョウ 一ツ デ ナオッタ
ノ デス。」
ト イッテ ホメマシタ。
四十 日 と 風
ある 時、日 と 風 が 力くらべ を し=
ました。たび人 の がいとう を ぬがせた
方 が かち と ゆう こと に きめて、
風 から 先 に はじめました。

≪p120≫
風 は 「なに、一まくり に して みせよう。」
と はげしく 吹立てました。すると たび人
は、風 が 吹けば 吹く ほど、がいとう
を しっかりと つかまえて からだ に くっ=
つけました。
こんど は 日 の ばん に なりました。
日 は 雲 の 間 から やさしい かお
を 出して、あたたかな 光 を おくりまし=

≪p121≫
た。たび人 は だんだん よい 心もち に
なって、しまい には がいとう を ぬぎま=
した。そこで、風 の まけ に なりました。
四十一 山びこ
正太郎 が 犬 を つれて、山みち を と=
うりました。犬 の すがた が 見えなく
なった ので、「ぽち ぽち」と よびます と、
向う の 方 で、「ぽち ぽち」と 口まね

≪p122≫
を する もの が あります。
友だち でも いる の か と 思って、「お=
うい」と よぶ と、「おうい」と いい、「だれ
だ」と ゆう と、「だれ だ」と 答えます。
そこ へ ぽち が 來ました ので、一しょ=
に 向う の 方 へ 行って みました が、
だれ も いません でした。
うち へ かえって、父 に この こと を

≪p123≫
話します と、父 は
「それ は 山びこ です。だれ も いる
の では ありません。」
と おしえました。
正「山びこ とは 何 の こと で ございま=
す か。」
父「ごむまり を かべ に なげつける と、
はねかえる でしょう。」

≪p124≫
正「はい。」
父「人 の こえ も 山 の 中 では、かべ
に あたった ごむまり の よう に、か=
えって くる こと が あります。それ
が 山びこ です。
こちら で やさしく いえば、向う でも
やさしく 答え、おこって いえば、おこっ=
て 答える の です。向う で 『だれ だ』

≪p125≫
と いった の も、おまえ が、先 に『だ=
れ だ』と いった から です。」
四十二 金太郎
「おかあさん、今日 は おむすび を たく=
さん こしらえて 下さい。」
と 金太郎 が おかあさん に 申しました。
「何 に します か。」
「あの ね、けらい ども に すもう を 取=

≪p126≫
らせる の です。そうして かった もの
には おむすび を ごほうび に やる
の です。」
「それ では こしらえて 上げましょう。」
おかあさん が たくさん むすび を こし=
らえて 下さいました。金太郎 は、それ を
もらって、山 の おく へ はいって 行き=
ました。

≪p127≫
「おい、おい、みんな あつまれ。」
と 金太郎 が 申しました。すると、くま
や、しか や、さる や、うさぎ が、たくさ=
ん あつまって 來ました。
「今日 は、ここ で すもう を 取ろう
では ない か。」
と 金太郎 が 言います と、うさぎ が
耳 を ぴんと 立てて、

≪p128≫
「それ は おもしろう ございます ね。」
と 言いました。さる が とがった 口 を
もぐもぐ させて、
「私 は すもう が 大すき です。取りま=
しょう、取りましょう。」
と 言いました。くま は
「私 が 土ひょう を つくりましょう。」
と 言って、土 を ほり出しました。そうし=

≪p129≫
て 見る ま に りっぱな 土ひょう を
こしらえました。
「さあ、土ひょう が 出來 た ぞ。みんな
取れ 取れ。」
と くま が 申しました。金太郎 は 立上っ=
て、げんき の よい こえ で、
「さあ、かった もの には ほうび を や=
る ぞ。しっかり やれ。」

≪p130≫
と 言いました。
「金太郎 さま から ごほうび が もらえ=
る とさ。」
「そいつ は ありがたい ね。」
「よし、おれ が ひとり で ごほうび を
みんな もらう ぞ。」
と、みんな は わいわい さわぎ ながら
よろこびました。金太郎 は、土ひょう の

≪p131≫
わき に あぐら を かいて、にこにこ わ=
らって いました。
まっさき に、さる と うさぎ が 土ひょう
の 上 に とび出しました。しか が ぎょう=
じ に なりました。
「そう方 とも よく 見あわして。」
と 言って、さっと 軍ばいうちわ を ひき=
ます と、さる と うさぎ は、すぐに 立=

≪p132≫
上りました。しばらく おしたり おされたり
して いました が、なかなか しょうぶ が
つきません。しか は 土ひょう の 上 を
とびまわって、
「はっけよい、のこった のこった。」
と、こえ を かけて いました。その うち
に、さる は すき を ねらって、すばやく
うさぎ の 耳 を つかみました。うさぎ

≪p133≫
は、一しょうけんめい=
に くび を ふって、
手 を はなさせよう
と しました が、と=
うとう なげられまし=
た。
金太郎 は さる に
おむすび を 一つ

≪p134≫
やりました。さる は まっかな かお を
し ながら、むしゃむしゃと、おむすび を
たべはじめました。うさぎ は くさ の 上
に すわりこんで、
「まけて しまった。こんど は きっと かっ=
て みせる。」
と 言いました。
しばらく すると、こんど は、くま が の=

≪p135≫
このこと 土ひょう の 上 に あがりまし=
た。そうして しか の 方 に 向いて、
「おい、しか さん、一つ 取ろう よ。」
と 言いました。
「よし來た。」
と、しか が ひょっこりと とび出して 來=
ました。
こんど は、うさぎ が ぎょうじ に なり=

≪p136≫
ました。うさぎ が 軍ばいうちわ を ひく
と、しか は 長い つの を ふり立てて、
とびかかりました。くま は 足 を ずしん=
ずしんと いわせ ながら、しずかに しか
に くみつきました。しばらく の 間 は、
二ひき で うんうんと いい ながら、くみ=
ついて いました が、くま は しか の
前足 を かかえて、なげ出しました。

≪p137≫
「くま の かち。」
と、うさぎ が 軍ばいうちわ を くま の
方 に 上げました。
くま は 金太郎 に ごほうび の おむす=
び を もらって、おいし そう に たべは=
じめました。しか と うさぎ は うらやま=
し そう に、それ を ながめて いました。
すると、金太郎 は

≪p138≫
「しか も うさぎ も ぎょうじ を やって
ごくろう で あった。」
と 言って、おむすび を 一つ ずつ やり=
ました ので、はねまわって よろこびました。
こんど は 三ばん しょうぶ で、みんな
が かわるがわる 取りくみました。金太郎
は しょうぶ の ある たび に、手 を
たたいて よろこびました。

≪p139≫
しまい には、自分 が 土ひょう に とび=
こんで
「さあ、みんな で かかって こい。」
と、大手 を ひろげました。はじめ には、
うさぎ、それ から さる と しか、一ばん
おしまい に、くま が とびかかって 行き=
ました が、みんな ころりころりと、ころ=
がされて しまいました。その うち に、み=

≪p140≫
んな くたびれて 來ました ので 金太郎

「今日 は もう これ で おしまい だ。
また あす に しましょう。」
と 言って、おかあさん の ところ へ か=
えって 行きました。
おわり

≪p141≫
新出漢字表
出1 方13 足14 年15 外17 皿18 立22 私29 雨31 星31 光31
長32 何32 弟33 兄33 赤34 色34 夕35 女36 石36 今36 父38
切39 昔41 虫42 高43 名44 風46 郎47 母47 正47 少48 姉48
知48 豆50 同50 青54 舟54 左55 魚55 貝56 神56 次58 先59
生59 太63 海63 買64 毎66 友69 岩71 走71 話72 來73 右74
間74 店75 田76 思80 妹81 自81 分81 雲82 東86 西86 南86
北86 吹89 朝89 肉90 所92 平94 糸95 細96 紙97 取98 皆98

≪p142≫
字98 早99 時99 休102 供104 島105 多106 毛109 泣110 申110 様111
重112 洗113 文115 力119 心121 答122 金125 言127 軍131 前136
讀替漢字表
二-十-日カ5 出シ6 小コ8 一-人リ16 上ゲ19 三ツ21 八ツ28 下ツテ29
上ツテ31 七ナ34 年ン36 六ツ38 三ブ47 月ツ47 大イ51 今-ー年シ52 四ヨ78 何ニ90
方タ93 少シ93 中チ94 太イ96 時-間ン100 下リル103 先キ103 十ウ117 今-日ウ125
大イ128 土ド128 向イテ135

≪課外 p001≫
かがい
一 トマト畠
雨ふり雲 は
なぜ 來{こ}ない。
トマト畠 が
みな かれる。
トマト畠 に
お日さま は、
じりり じりりと
てらしてる。

≪課外 p002≫
雨ふり雲 は
なぜ 來{こ}ない。
トマト畠 が
みな かれる。
トマト畠 の
ひゃくしょう は、
赤い トマト を
ながめてる。

≪課外 p003≫
二 雨 の しずく
おひゃくしょう が こむぎ の 畠 を もっ=
て いました。こむぎ が そだつ よう に
毎日 はたらきました。
ところ が ひでり が つずいて、こむぎ が
今 にも かれ そう に なりました。おひゃ=
くしょう は
「どう か 雨 が ふれば いい なあ。」
と 言いました。
そら に いた 一つぶ の 雨 が それ を
きいて、

≪課外 p004≫
「では あの おひゃくしょう を たすけて
上げよう。」
と 言いました。
すると、雲 が それ を きいて、
「あなた に 何 が 出來ます か。あなた
は たった 一つぶ の 雨 では ありませ=
ん か。」
「私 は 一つぶ の 雨 です。けれども、少=
し でも あの 人 を たすけて 上げたい
の です。」
こう 言って、一つぶ の 雨 は そら から

≪課外 p005≫
おちて 來ました。そうして おひゃくしょう
の はな の 上 に ぽとんと おちました。
おひゃくしょう は そら を 見上げて、
「今 の は 雨 だろう か。おう、雨 だ。」
と 言って よろこびました。
すると、外 の 雨 が
「私 も あの おひゃくしょう を たすけて
上げよう。」
と 言って おちて 來ました。
すると、べつ の 雨 が、
「私 も あの おひゃくしょう を たすけて

≪課外 p006≫
上げよう。」
と 言って おちて 來ました。
すると、みんな の 雨 は
「では、私 ども は 一しょに 行って、あの
おひゃくしょう を たすけて 上げよう。」
と 言って、一どに おちて 來ました ので、
大へんな 雨 に なりました。こむぎ は に=
わかに げんきずいて、すくすくと のび出しま=
した。
三 さる と かえる
ある 日、さる が 山 を 上って 行きまし=

≪課外 p007≫
た。みち の わき に かえる が いて、
「もし、さる さん、どこ へ 行く の。」
と ききました。さる は
「何 か いい もの は ない か と 思っ=
て 行く の だ。」
と 言いました。
「それ では わたし を つれて 行って 下=
さい。」
「つれて 行って 上げよう。その かわり か=
える さん は、目 が 大きい から みち
で 何 か 見つけたら 知らせる の だ

≪課外 p008≫
よ。」
「いい とも。」
かえる は びょん びょん はねて、さる の
あと から ついて 行きました。
山 の 上 で かえる が うす を 一つ
見つけました。中 を 見る と、つきたて の
もち が はいって いて、ゆげ が ぽっぽと
たって います。
かえる は すぐ さる に 知らせました。さ=
る は よろこんで、
「これ は いい もの を 見つけた ね。」

≪課外 p009≫
と 言って、いきなり 取って たべよう と
しました。かえる は
「わたし が 見つけた の だ から、はんぶ=
ん 下さい。」
と 言いました。さる は
「じゃ、ふもと で わけて たべよう。」
と 言って、ころころと うす を 下 の 方
へ ころがして 行きました。かえる は あと
から ついて 行きました が さる が あま=
り 早く 行く ので、とうとう おくれて し=
まいました。

≪課外 p010≫
さる も あまり 早く うす が ころがって
行く ので、おいつこう と して も おいつ=
けません。とちゅう で すべって ころんで、
岩 の かど で おしり を すりむきました
さる の おしり の 赤い の は この た=
め だ と いいます。
さる は やっと ふもと に つきました の=
で、ひとり で もち を たべよう と、うす
の 中 を 見ました が もち の かげ も
見えません。
「これ は きっと とちゅう で とび出した

≪課外 p011≫
の だろう。」
と、さる は また 山 を 上りはじめました。
かえる は とちゅう で、うす から とび出=
した もち を うんと たべました。かえる
の おなか の ふくれて いる の は この
ため だ と いいます。
そこ へ さる が 來て、
「かえる さん ひどい ね。」
と 言って、かえる の もって いる もち
を ひっぱりました。その ひょうし に ねば=
ねばした あつい もち が さる の かお

≪課外 p012≫
に べったり くっついて しまいました。
かえる は
「さる さん こそ ひどい ね。」
と 言って、その もち を 力 一ばい ひっ=
ぱりました。すると、さる の かお の かわ
が もち に ついて はげて しまいました。
さる の かお の 赤い の は この ため
だ と いいます。


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底本:ハワイ大学マノア校図書館ハワイ日本語学校教科書文庫蔵本(T548)
底本の出版年:昭和4[1929]年7月22日印刷、昭和4[1929]年7月25日発行
入力校正担当者:高田智和
更新履歴:
2021年11月27日公開

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