本研究班は,日本語国際センサスとその前段階である既存資料の収集・整理および各国言語事情等の聴取調査を基礎として,上記の目的に接近する。具体的には下記のような方法で調査研究を行う。
1. 既存資料の収集・整理とその活用日本との関係の深さ・強さを示す各国統計指標(輸出入量,渡航者・在外邦人・来日者数等)や各国における日本語新聞・放送塔メディア普及統計その他の既存統計資料,さらに各国で過去に行われた言語調査結果をデーターベース化する。
2. 聴取調査(アンケート調査を含む)各国の研究機関・研究者,各国大使館,現地の日本語教育機関,商社等を通じての言語事情・言語環境調査を実施する。
3. 日本語観国際センサスこの調査は,国内調査と国外調査の両者から成る。
(1) 国内調査は,留学生・技術研修生・その他の在日外国人や日本人(帰国子女を含む)を対象として,日本国内での日本語・外国語の使用状況,日本人と外国人との接触状況,日本語観等の調査を実施する。
(2) 国外調査は,次の2種の調査に大別される。
- ①日本語観国際調査(ナショナルサーベイ)
- 海外約20か国の国民を対象に,関心ある国や言語(日本・日本語を含む),言語観・言語イメージ,外国語・外国文化との接触度などの比較・対照調査を実施する(調査の実施は各国の調査会社に依託する)。
- ②主要国事例調査
- ①の調査では扱えない,または掘下げにくい事項(日本語そのものの普及状況や日本語教育上での問題点など)について,英独仏米,韓国など主要数か国の大学生や日本語学校就学生などを対象した事例調査を実施する。
これら国内・国外の調査研究によって,日本語および日本語環境の現状を把握し,日本語の将来像を描き出す。また,日本語学習に関する構造分析や要因分析を行うことによって日本語普及の問題点を明らかにしようとする。