我が国の国際的役割の増大に伴い,学術研究はもちろん文化・経済等各方面において日本語を通した国際相互理解の必要性が高まっている。今や日本語が日本人だけの,また日本語学的な視点からだけの研究対象であった時代は終り,国際社会における日本語の使用実態を多角的に研究するとともに,日本語を国際的に一層流通させるためのあるべき姿を学術的に追究する時期に来ている。しかし,この問題に正面から取り組んだ総合的な学術的研究は未だ存在しない。

そこで,本プロジェクト研究では,国際社会及び国際化した日本のなかで日本語が現在どのような範囲で,いかに使用されているかを浮き彫りにするための研究を中核にすえて,将来における日本語使用の発展動向に関する研究も試みる。さらに,日本人と外国人との言語習慣の差異に起因する文化摩擦の問題や,日本語による海外への情報発信の問題について,関連諸科学を総合して研究を推進する。この研究は,ただ単に今日の日本語使用の広がりとその未来を見通すためだけのものではなく,もう一段踏み込んで日本語を国際的にさらに普及させるための政策的観点をも射程に入れているという点に特色がある。

本プロジェクト研究で得られる成果は,自然科学を含む学問全体の国際的交流は言うまでもなく,我が国の文化・経済・社会全体の発展に大きく寄与するであろう。同時に,そこから言語研究の世界にも有益な知見がもたらされると考えられる。

上述の研究目的を遂行するため,本プロジェクトでは4つの研究班を構成し,研究を進めている。



「日本語国際センサスの実施と行動計量学的研究」
「言語事象を中心とする我が国をとりまく文化摩擦の研究」
「日本語表記・音声の実験言語学的研究」
「情報発信のための言語資源の整備に関する研究」
研究班1 / 研究班2 / 研究班3 / 研究班4


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