第4回研究発表会@国語研

6月21日(土)と22日(日)に国立国語研究所で第4回の研究発表会を
開催しました。
 
今回は,デラウエア大学の富岡諭先生にもご発表いただきました。
 
21日(土)
12:45-14:15 小山内優子(国立国語研究所)
〈レクチャー〉「韓国語の歴史入門」
 

  
14:25-15:05 外池滋生(青山学院大学)
「日英語における多重WH構文の扱いと島の制約」
多重WH疑問文について、現行分析に対する代案として、焦点素性φをもつ
複数のWH句が選言要素(英語ではv、日本語では「か」)をその指定部に
共有する多重構造から、側方移動(SWM)により分離し、その後にWH移動を受ける
という派生を提案した。
ブルガリア語のような言語では、φも共有されているため、すべてのWH句が
随伴される。
 
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15:20-16:10 金水敏 (国立国語研究所/大阪大学)
「疑問文の意味と構造」
 
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16:20-17:20 富岡諭(デラウェア大学)
「従属疑問文の構造と解釈:Quantificational Variabilityの観点から」
日本語の従属疑問文の構造を、遊離数量詞との連携現象をもとに再考を試みた。
Fukui (1986)で提唱された日本語の従属疑問文の名詞性は、[+N]の
フィーチャーにとどまらず、現実に名詞句的な構造を持っている可能性を示唆した。
 
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22日(日)
9:30-10:30 志波彩子 (国立国語研究所)
「スペイン語の疑問表現」
スペイン語のY-N疑問文とwh疑問文,付加疑問文について,各疑問詞の用法にも
考慮しながら紹介した。
また,Bosque(1982)の間接疑問文についての論考から,スペイン語の
間接疑問節を取る動詞の特徴について概観した。
 
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10:40-11:40 張 麟声(大阪府立大学)
「SOV型言語における文末疑問マーカーの2種類の振舞い方 について」
「V+否定辞」によって真偽疑問文を構成する孤立型SVO言語の
疑似疑問マーカー(否定辞)は、疑問詞疑問文、選択疑問文及び内容節に
使われないのは、論理的に納得できるが、では、日本語と同じ膠着型SOV言語の
なかで、真偽疑問文の疑問マーカーが日本語の「か」のように広く使われないと
なれば、その理由をどう考えるべきか。朝鮮語、モンゴル語などを対照の
対象として使い、最終的には、日本語の「か」は、「ミカンかリンゴか」、
「やっぱり捨ててしまうか」のように、選択や意思決定の場合も使うので、
純粋な疑問マーカーというよりも、不定の意味を表わす形なのではないかと結論づけた。
 
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11:50~12:50 高山善行 (福井大学)
「疑問文とモダリティの関係をどう捉えるか」
古代語の疑問文はモダリティ形式(「む」など)を含むものが大半を占め、
現代語とは異なる面がある。なぜ疑問文でモダリティ形式が用いられるのだろうか。
本発表ではモダリティとの関係に焦点を当て、日本語の疑問文の特質について考えた。
 
 
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今回も,時間をオーバーして,活発な議論が交わされました。
遠くからご参加いただいた皆様,ありがとうございました。
 
(研究員:志波彩子)