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研究目的と計画

研究目的

本研究の学術的な目標は,関連分野の知見を結集し,「理想的な日本語基本動詞用法ハンドブックのプロトタイプ」の開発を目指すことである。また,応用的な目標は,当該プロトタイプに基づいて,世界の日本語学習者の体系的且つ効率的な学習に役立つ日・中,日・韓,日・英,日・マラーティー語版日本語基本動詞用法ハンドブックの作成を試みることである。所内の言語資源研究系との連携で『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を最大限に活用し,コーパスから見えてくる頻度,コロケーション,文型などに関する知見の研究成果に反映させる。また,研究情報資料センターを通じて研究成果のデータベース化および公開を図り,日本語教育研究・情報センターを通じて世界の日本語教育現場への還元を図る。

また,本研究は言語資源系以外に日本語と外国語との対照研究の面において言語対照研究系,動詞意味論の観点から理論・構造研究系とも関わりを持つ。

研究計画・方法

本研究は多くの専門分野の研究者による共同作業を必要とするものである。現段階での共同研究者・協力者の数は61名である。

平成22年度において,共同研究者全員参加による全体研究発表会を1回(2011年3月)に開催し,BCCWJコーパスを見出し執筆に利用できるために本プロジェクトで開発したツール―NINJAL-LagoWordProfilerの講習会を行った。

平成23年度の主な作業は以下の通りである。

  • ネット上で時間と空間を超えて見出しの編集が可能な執筆用editorの完成
  • 寺村誤用例集のデータベース化、誤用の種類、学習者の国籍、作文形式などの複数条件を組み合わせて検索できるデータベースの構築および2011年12月に一般公開
  • コーパスを「読む」ツール(NINJAL-LagoWordProfiler)の機能追加を続行。最終的に日本語の研究に資するツールに。
  • BCCWJコーパス検索ツール(NINJAL-LagoWordProfiler for BCCWJ、略称NLB)の機能追加
  • 日本語の見出し語のプロトタイプの作成:11見出し語が完成
  • 二言語ハンドブックの実現に向けての国際ワークショップの開催:インド、プネー市で実施

平成24年度の目標および10月15日現在までに実施した作業内容は以下の通り。

  • BCCWJコーパス検索ツール(NINJAL-LagoWordProfiler for BCCWJ、略称NLB)の一般公開(2012年6月)
  • NINJAL-LagoWordProfiler for BCCWJおよび中納言を利用して、作例の作成:7見出しの合計語義数:91、例文数:522文
  • ハンドブックの最終成果をネットで発信するためのインターフェースを開発(2012年9月末に完成)
  • 上記のインターフェス上で、日本語-マラーティー語、日本語-中国語、日本語-韓国語の対照版を展開:1見出しの作業に着手。
  • 二言語ハンドブックの実現に向けての国際ワークショップの開催:中国、北京市で2012年10月23日に実施
  • 本プロジェクトの最終成果として10月~3月間に合計11見出しの日本語-マラーーティー語の完成を目指す。日本語-中国語、日本語-韓国語の対照版に関して2見出しの完成を指す。

前年度と同じく,作業の効率化を図るため,複数のサブグループを設け,サブグループの研究会を頻繁に行い,全体研究発表会でその研究成果を発表する。

  1. 理論言語学グループ
  2. 認知言語学グループ
  3. 日本語教育グループ(言語習得グループを含む)
  4. 対照言語学グループ
  5. コーパス言語学グループ