「議会会議録を活用した日本語のスタイル変異研究」研究発表会

プロジェクト名・リーダー名
議会会議録を活用した日本語のスタイル変異研究 (略称 議会会議録研究)
二階堂 整 (福岡女学院大学 教授)
開催期日
平成30年3月9日 (金) 10:00~16:00
開催場所
東洋大学 白山キャンパス 5号館 5102教室 (64人収容) (東京都文京区白山5-28-20)
備考 : 当日,特に案内掲示はしていません。ご注意ください。

事前申込み不要,参加無料

発表者氏名・発表テーマ

10:00~12:00会議録検索システム講習会

  • 「地方議会会議録検索システムの概要と操作方法」
    乙武 北斗 (福岡大学 助教),高丸 圭一 (宇都宮共和大学 准教授)

    2018年2月に一般公開した都道府県議会会議録検索システムの使い方,および検索対象であるデータの概要を発表した。システムの使い方に関しては,主な5つの機能 (全文検索,マップ可視化,時系列可視化,クロス集計表,政治的キーワード抽出) について実際にシステムのデモンストレーションを交えながら説明した。

13:00~16:00発表会

  • 「津軽方言における「そうすれば」は気づかない方言か」
    田附 敏尚 (神戸松蔭女子学院大学 准教授)

    津軽方言等の ”そうすれば” は,二階堂ほか (2015) 等において「気づかない方言」として取り上げられている。しかし,これは共通語アクセントでは使いにくいという発表者の直感のもと,それが本当に「気づかない方言」なのかを,青森・秋田県議会の会議録と録画映像を用いて検証した。結果,”そうすれば” は「気づかない方言」ではあるが,セミフォーマルというスタイルにおいて用いられるものであることがわかった。

  • 「福岡県議会における高年層の発言」
    二階堂 整 (福岡女学院大学 教授)

    福岡県議会の老年層議委員の幾人かは,議会本会議尾では,共通語を話すが,委員会においては,「少し丁寧な方言」を話す。これは方言の文で話しながら,文末のみ共通語の敬語 (「です」「ます」「れる」「られる」) で結ぶ話しかたである。これは老年層が編み出した1つのスタイルと考えられる。

  • 「会議録に載らない「ですね」について」
    太田 一郎 (鹿児島大学 教授)

    地方議会における文末表現「~ですね」の出現について論じた。「~ですね」は主節文末以外では文字化された会議録ではほとんど削除されるが,実際には多数現れることが議会の録画映像から確認できた。議員と市職員の立場 (スタンス) のちがいを表すものとしてとらえることができるものと予測し,今後の研究の方向性を示した。

  • 「会議録学の提言」
    二階堂 整 (福岡女学院大学 教授)

    議会会議録は,世界中に存在し,その基本的性格は同じで,かつ話し言葉の記録 (要約を除く) といってよい。今後は世界中でデジタル化や検索システムの整備が進むと予想される。この議会会議録を使って,様々な研究を進めることが可能と思われる。地域面からの各国・各地域の議会会議録の研究,さらに各分野 (言語学・政治学・経済学・情報学など) ごとの会議録研究がありうる。そうした視野にたっての会議録研究をすすめる必要があると考えられる。