「「具体的な状況設定」から出発する日本語ライティング教材の開発」研究発表会

プロジェクト名・リーダー名
「具体的な状況設定」から出発する日本語ライティング教材の開発
小林 ミナ (早稲田大学 教授)
開催期日
平成30年1月28日 (日) 14:00~17:00
開催場所
国立国語研究所 講堂 (東京都立川市緑町10-2)
交通案内

参加費無料,申し込み不要です。当日直接会場にお越しください。

スケジュール

14:00~14:05 趣旨説明
小林 ミナ (早稲田大学)

14:05~15:20 基調講演「文字コミュニケーションと状況」 定延 利之 (京都大学)

音声と異なり,文字は対面式コミュニケーションのメディアにはなりにくく,文字言語は状況から切り離されたものと言われる。だが,本当にそうだろうか。音声言語と文字言語を,「状況」の観点からとらえ直してみたい。

15:30~16:00 研究発表①「書く/打つ言語生活の実態調査 ―調査デザインと予備調査報告―」 千石 昂 (早稲田大学大学院生),日野 純子 (帝京大学),舩橋 瑞貴 (群馬大学)

「具体的状況設定」から出発する日本語ライティング教材を開発するためには,現実のコミュニケーションにおいて,国内外の日本語学習者が何かを書く/打つ状況を把握する実態調査が求められる。そこで本プロジェクトでは,具体的な書く/打つ言語行動を,マルチモーダルな視点から把握,記述するための大規模調査を計画しており,現在,そのための予備調査を実施した段階にある。本発表では,予備調査の実施から得られた知見と調査結果をもとに,本調査デザインの検討をするとともに,書く/打つという言語行動にはどのような具体的な状況があるのかについて考察する。

16:00~16:30 研究発表②「『書く』言語的スキルとは ―LINEによる待ち合わせ場面の分析から―」 副田 恵理子 (藤女子大学),大和 えり子 (ロイヤルメルボルン工科大学ベトナム校)

近年,SNSの急速な普及によりコミュニケーションの形態が変わり,特に若い世代の友人間ではSNSの一つであるLINEが主要なコミュニケーションツールの一つとなっている。本発表では,日本語母語話者・学習者間のLINEコミュニケーションの分析結果から,特に出現頻度が高く,両者の理解に差が見られた待ち合わせ場面を取り上げる。そして,上級・中上級とされる学習者が経験しているコミュニケーション上の問題点を指摘する。更に,この結果を踏まえて,その問題点を日本語教育で支援するには,日本語母語話者の実際の言語使用をどう分析し,どのような言語的スキル (学習項目) を提示していくべきかを検討したい。

16:30~17:00 研究発表③「複言語・複文化社会における日本語使用者のライティングプロセス ―サンパウロとブラジリア在住の日系人を例にして―」 向井 裕樹 (ブラジリア大学),松田 真希子 (金沢大学)

本研究では,複言語・複文化社会の中で生活する日系ブラジル人による日本語でのライティングプロセスの解明に焦点を当てることとする。調査協力者はサンパウロとブラジリア在住の日系人である。発話プロトコル法を用いて,協力者が日本語で書きたい,または書く必要があることを普段通りに書いてもらい,データ収集者と協力者のやり取りはすべてICレコーダーで録音をした。実際に協力者が日本語で書いている時に,頭の中でどのようなことを考えながら書いているのか,そのライティングプロセスを明らかにするのが本研究の目的である。尚,本発表では,ライティングの際に協力者がどのようなことに困難を感じ,ライティングを促すためにどのようなストラテジーを用いているのか考察する。