「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」研究発表会

プロジェクト名・リーダー名
対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法
窪薗 晴夫 (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
班名・リーダー名
文法研究班 「名詞修飾表現」
プラシャント・パルデシ (国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授)
開催期日
平成28年7月9日 (土) 13:00~18:00
開催場所
神戸大学 六甲台第2キャンパス 人文学研究科C棟 5階 大会議室 (神戸市灘区六甲台町1-1)

文法研究班 「名詞修飾表現」 平成28年度 第1回研究発表会

13:00~13:15 受付,説明

13:15~13:30 プロジェクトの概要 プラシャント・パルデシ (国立国語研究所)

13:30~14:15 「マラーティー語の名詞修飾表現は English (European)-type か,Japanese (Asian)-type か?」 プラシャント・パルデシ (国立国語研究所)

日本語と英語の名詞修飾表現の対照研究を通じて Kuno (1973: 235-7) および Matsumoto (1988) は,(i) 英語の名詞修飾表現の分析は日本語の名詞修飾表現に直接当てはめることができないこと,(ii) 英語と違って,日本語の名詞修飾表現は統語的な制約がほぼなく,主名詞と修飾句間の関係は意味・語用論的な要因によって決まることを主張している。言語類型論の分野において,Comrie (1998a, 1998b) は Matsumoto (1988) の分析を援用し,名詞修飾表現の構造に基づいて世界の言語を English-type または Japanese-type に分類するという提案をしている。前者のタイプは統語的な抜き出しが関与し,後者のタイプは関与しないという点で異なる。さらに,Comrie (1996) は英語のある非規範的な方言においては English-type と Japanese-type の両者が混在することを述べている。このような背景のもとで,本発表ではマラーティー語の名詞修飾表現を取り上げ,日本語と対照させながらその類似点や相違点の観察を行った (Hook and Pardeshi (to appear) )。さらにインド諸語におけるマラーティー語の位置づけについて検討を行った。

14:15~15:00 「マラーティー語と日本語の写真名詞構文について」 岸本 秀樹 (神戸大学 / 国立国語研究所 客員教員)

マラーティー語には,写真名詞の主体を指す属格名詞句と分詞形動詞が意味的に主語と述語の関係を形成する写真名詞構文がある。日本語の写真名詞においても,マラーティー語と同じタイプの修飾関係をもつ構文があるのではないかという仮説をたて,この妥当性を幾つかの言語現象から検討を行った。

15:00~15:30 休憩

15:30~16:15 「日本語の名詞修飾節の「ウチ」と「ソト」 : 主節現象・主節化に関して」 堀江 薫 (名古屋大学 / 国立国語研究所 客員教員)

本発表では,名詞修飾節の内部に「主節」的な現象が実現される「主節現象」と,名詞修飾節全体が「主節」として機能する「主節化」を日本語や他言語の事例に基づいて概観し,それぞれの現象が生起する特徴的なジャンル (Biber and Conrad 2009) や動機付けがどのようなものかについて考察を行った (Horie, to appear)。

16:15~17:30 "What can modify nouns?" 柴谷 方良 (ライス大学 / 大阪大学 / 国立国語研究所 客員教員)

After examining the patterns of modification of a noun by nouns and nominalizations, we go on to look at the patterns of modification by quantifiers, comparing languages with numeral classifiers and those without. We then pursue the possibility of analyzing all modifiers as nominal in nature, which makes the understanding of the notion 'modification' much simpler.

17:30~18:00 全体討論