「多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明」研究発表会
- プロジェクト名
- 多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明 (略称 : 現代日本語の動態)
- リーダー名
- 相澤 正夫 (国立国語研究所 時空間変異研究系 教授)
- 開催期日
- 平成24年7月14日 (土) 14:00~16:30
- 開催場所
- 国立国語研究所 3階 セミナー室
発表概要
「『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に基づく外来語表記のゆれの調査」小椋 秀樹 (立命館大学 准教授)
現代語における語表記のゆれに関する大規模調査は,国立国語研究所が行った1994年発行雑誌70誌調査以降行われていないため,より現在に近い時期を対象とした調査が望まれる。また,1994年発行雑誌70誌調査では外来語表記のゆれについては扱われていない。外来語表記のゆれに関する大規模調査は,相当長い期間にわたり,行われていないことになる。
そこで,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を利用して,2001-2005年の新聞・雑誌・書籍・Webにおける外来語表記のゆれの実態調査を行った結果を報告する。また単一の媒体を対象とした従来の調査では明らかにできなかった,ゆれの媒体差についても報告する。
「慣用句「気の (が) 置けない」の「誤用」について」新野 直哉 (国立国語研究所 時空間変異研究系 准教授)
慣用句「気の (が) 置けない」が,本来の<気を許せる,気を使わなくていい>という意味ではなく,<気を抜けない,気が楽にならない>のようなほぼ正反対の意味で使われる,ということは,約40年前から「日本語本」等で繰り返し指摘されており,「間違い言葉」「日本語の誤用」の定番例である。しかし,今日のこの句の使用実態に関する,実例の分析を踏まえた本格的な学術研究の成果は,いまだ論文の形では公にされていないと思われる。今回はその端緒として,世論調査の結果と,新聞・書籍・ブログ等における実例とを対比しつつ,考察する。