「消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究」研究発表会
- プロジェクト名
- 消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究 (略称 : 危機方言)
- リーダー名
- 木部暢子 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員教授)
- 開催期日
- 平成22年3月20日 (土) 13:30~18:30
- 開催場所
- 国立国語研究所 2階 多目的室
発表概要
「伊良部島方言における述語の焦点化」 下地理則 (群馬県立女子大学)
本発表では,伊良部島方言の述語焦点化を記述する。述語焦点化では -dus という接辞を語幹に接続する。一方,-dus に後続する語尾は連体形に限定されているので,「係り結び」という統語的な呼応現象の特徴を残している。いわば,ある接辞が別の接辞の取り方に影響を与えるという形態論的な呼応現象になっている。
「八丈方言の諸特徴」金田 章宏 (千葉大学)
八丈方言は万葉集東歌の文法現象を色濃く受け継ぐ方言として知られる。この方言は日本列島の太い幹に接ぎ木したような存在であり,内容的にも隣接する方言がほとんどみられない。東歌につながる文法現象や古代中央語にみられる文法現象,独自に獲得した文法現象について概観する。
「文の辞典」の可能性 ―『徳之島方言二千文辞典』中島 由美 (一橋大学)
方言文の資料というと昔話などが中心になりがちであるが,現代生活に必要な表現を提示し,若い世代が自力で文を生成するのに役立つような参考書があれば―,そのような願いをこめて取り組んできたプロジェクトを紹介する。
「南琉球方言の文法論」下地 賀代子 (千葉大学 非常勤講師)
南琉球方言の文法事象,特に,多良間島方言と石垣・宮良方言を対象として,石垣・宮良方言の係助辞 -du の文法的意味役割について考察する。