「消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究」研究発表会

プロジェクト名
消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究 (略称 : 危機方言)
リーダー名
木部暢子 (国立国語研究所 時空間変異研究系 客員教授)
開催期日
平成21年12月19日 (土) 13:30~17:30
開催場所
国立国語研究所 2階 多目的室 (東京都立川市緑町10-2)

発表概要

「琉球アクセント調査のための語彙開発とその活用法」松森 晶子 (日本女子大学 / 国立国語研究所 客員研究員)

琉球祖語にまで遡れると推定される語彙の一群を「系列別語彙」と呼び,日本祖語再建を含めた通時的研究のために,将来に向け,その語彙をもとに各地で組織的にデータを残しておくことの必要性について論じる。また,この系列別語彙の今後の通時・共時的活用法についていくつかの提案をしたい。

「接触が伝統方言に及ぼす影響をどう評価すべきか (仮称) 」狩俣 繁久 (琉球大学)

琉球方言は本土方言とは異なる体系を有するが,明治以降の日本語との接触によって大きな影響を受けている。言語接触による変容は興味深いが,伝統方言の自立的変化なのか接触による変化なのかを見極めるのは難しい。音韻と文法の両面から考える。

「宮古池間方言の係り結び」林 由華,田窪 行則 (京都大学)

沖縄本島の諸方言には係り結びが残っているのに対し,宮古の方言は焦点助詞に呼応する結びの形は,終止形と区別がないとされてきた。本発表では宮古池間方言には焦点助詞に呼応する形式が,終止形と区別して一部存在し,係り結びが存在することを報告する。

「琉球語電子博物館の構想」田窪 行則 (京都大学)

琉球語の保存,記録のために電子的な博物館を作成し,その地域の伝統行事,文化,伝承,地域方言による創作などを格納し,研究者のみならず,地域の住民が母語を保存し,楽しめる電子空間を作ろうとする試みを紹介する。