研究者窪薗晴夫,松本曜
概要日本語はどのような言語なのか。この問いに答えるためには7,000とも言われる世界の言語の中に日本語を位置づけ,諸言語との比較の中で日本語を考察する必要がある。そして,その研究の成果を世界の言語研究者にわかる言語で発信することが必要である。そうすることによって日本語の特質が理解できるし,さらに日本語の研究が世界の言語研究に貢献することができる。本プロジェクトはこのソトから視点でもって,日本語の音声と文法を分析している。
研究者プラシャント・パルデシ,長崎郁
概要私たちは学校の国語や英語の時間に,主語や述語,また関係代名詞を伴った動詞文による名詞の修飾などを習うが,これらの文法知識に共通していて,それらを支えているのが,文を構成している語やその集まりである句が互いに修飾したり修飾されたりする関係を持っている,という事実である。つまり,文には構造があり,文法とは文の構造に関する規則だと言うことができる。統語・意味解析コーパスは,文の構造に関する情報を注釈付けしたコーパスであり,日本語のより詳細な文法研究に役立つことを目的に開発された。
研究者木部暢子
概要「消滅危機言語」ということばを聞いたことがあるだろうか。使用する人が少なくなり,このままでいくと近いうちに消滅のおそれのある言語のことで,2009年2月にユネスコがそのリストを公表した。それには,日本で話されている8つの言語―アイヌ語,八丈語,奄美語,国頭語,沖縄語,宮古語,八重山語,与那国語―が入っている。しかし,消滅の危機にあるのはこれだけではない。多くの方言が同じように危機的な状況にある。「消滅危機言語」はなぜ守らなければならないのだろうか。「もし、世界中が一つの言語になったとしたら」と仮定して,そこからこの問題を考えてみたい。