国立国語研究所年

国立国語研究所オープンハウス2020

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発表

基幹プロジェクトの紹介

「対照言語学の観点から見た日本語の音声と文法」
研究者窪薗晴夫,松本曜
概要日本語はどのような言語なのか。この問いに答えるためには7,000とも言われる世界の言語の中に日本語を位置づけ,諸言語との比較の中で日本語を考察する必要がある。そして,その研究の成果を世界の言語研究者にわかる言語で発信することが必要である。そうすることによって日本語の特質が理解できるし,さらに日本語の研究が世界の言語研究に貢献することができる。本プロジェクトはこのソトから視点でもって,日本語の音声と文法を分析している。
「統語・意味解析コーパスの開発と言語研究」
研究者プラシャント・パルデシ,長崎郁
概要私たちは学校の国語や英語の時間に,主語や述語,また関係代名詞を伴った動詞文による名詞の修飾などを習うが,これらの文法知識に共通していて,それらを支えているのが,文を構成している語やその集まりである句が互いに修飾したり修飾されたりする関係を持っている,という事実である。つまり,文には構造があり,文法とは文の構造に関する規則だと言うことができる。統語・意味解析コーパスは,文の構造に関する情報を注釈付けしたコーパスであり,日本語のより詳細な文法研究に役立つことを目的に開発された。
「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」
研究者木部暢子
概要「消滅危機言語」ということばを聞いたことがあるだろうか。使用する人が少なくなり,このままでいくと近いうちに消滅のおそれのある言語のことで,2009年2月にユネスコがそのリストを公表した。それには,日本で話されている8つの言語―アイヌ語,八丈語,奄美語,国頭語,沖縄語,宮古語,八重山語,与那国語―が入っている。しかし,消滅の危機にあるのはこれだけではない。多くの方言が同じように危機的な状況にある。「消滅危機言語」はなぜ守らなければならないのだろうか。「もし、世界中が一つの言語になったとしたら」と仮定して,そこからこの問題を考えてみたい。
「通時コーパスの構築と日本語史研究の新展開」
研究者小木曽智信,松崎安子
概要言語変化研究領域では,奈良時代から明治・大正時代までの日本語の歴史を研究するためのコーパスとして『日本語歴史コーパス』を構築している。動画では,このコーパスが日本語の歴史研究にとってどのように有用なのかを示しつつ,このコーパスの全体像を紹介する。また,コーパス検索アプリケーション「中納言」を使って実際に用例を検索してみながら,このコーパスの活用の可能性を示す。
「日本語学習者のコミュニケーションの多角的解明」
研究者石黒圭,岩崎拓也
概要日本語教育研究領域では,多様な環境で日本語を学習している人たちの日本語の運用能力を調べ,教育に役立てるために多岐にわたる研究を展開している。オープンハウスではこの研究プロジェクトの中から,学習者の日本語の話し方を分析するための「BTSJ日本語自然会話コーパス」「多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)」,学習者の日本語の読み方・聞き方を分析するための「日本語非母語話者の読解/聴解コーパス」「日本語学習者の文章理解過程データベース」,学習者の日本語学習に役立つ「基本動詞ハンドブック」の五つを紹介する。
「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」
研究者小磯花絵
概要「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」プロジェクトでは,多様な場面における多様な話者による日常会話200時間を対象とするデータベース(コーパス)を構築している。発表では,コーパスについて紹介した上で,書き言葉のコーパスや講演・スピーチ中心のコーパスと比較しながら、日常の言葉にどのような特徴があるかをコーパスを用いて具体的に見ていく。
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